JP7353723B2 - オルガノポリシロキサン生ゴムの製造方法、及び、その生ゴムを用いたシリコーンゴム組成物 - Google Patents

オルガノポリシロキサン生ゴムの製造方法、及び、その生ゴムを用いたシリコーンゴム組成物 Download PDF

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Description

本発明は、オルガノポリシロキサン生ゴムの製造方法と、その生ゴムを用いたシリコーンゴム組成物とに関する。
一般的にシリコーンゴムは耐候性、耐久性、耐熱性、生理不活性、着色性などに優れているため、建築材料、電気電子部品、事務機器、自動車部品、医療器具など様々な分野で使用されている。
シリコーンゴムは、シリコーンポリマーそのもの自体の強度が小さいため、煙霧質シリカ、沈降シリカなどの補強性シリカを配合したものが通常使用されている。しかし、シリコーンゴムの強度を増加させるために、シリコーンポリマーに補強性シリカを多量に添加すると、得られるシリコーンゴム組成物のウイリアムス可塑度が高くなりすぎ、かえって作業性に劣り、加工時の経済性を悪くしてしまう。更に、補強性シリカを高充填した場合、クレープハードニング性(可塑戻り)が非常に高くなるため、輸送保管後に、十分な粗練りが必要であったり、更には粗練り作業すらできないほどのクレープハードニングを生じることがある。
クレープハードニング性は、分散剤を多く添加することにより抑えられ、改善され得る。しかし、分散剤を多く添加すると、シリコーンゴム組成物の表面のべたつきが増え、ロール粘着が大きくなって作業性が悪くなり、更に該組成物の硬化物の機械的強度も悪くなる。
特許文献1では、長期保存してもウイリアムス可塑度の変化が少ないシリコーンゴムとして、オルガノポリシロキサン生ゴムと、吸着炭素量が2重量%以上で疎水化度が50容積%以上である疎水性煙霧質シリカと、分散剤としてシラノール基含有低重合度ケイ素化合物とを用いている。オルガノポリシロキサン生ゴムの末端封鎖率の有効性を述べてはいるが、未封鎖率が8%と高く、十分な効果を得られているとは言い難い。
末端封鎖率の高いオルガノポリシロキサン生ゴムは、特許文献2、特許文献3等に記載された公知方法によって製造した場合、末端封止剤を用いても重合中に微量混入する水により末端基がシラノール基で停止したまま残ってしまうので、ヘキサオルガノジシラザンとトリオルガノクロロシランを大過剰に添加する必要があった。この場合、末端封鎖後に塩化アンモニウムが発生し、オルガノポリシロキサン生ゴムが白濁してしまい、上記シリコーンゴムの特性を満たせないものがある。発生した塩化アンモニウムを取り除くには、オルガノポリシロキサン生ゴムを大過剰の有機溶媒に溶解させ、水で洗浄する必要があるため、不経済であり実用的ではない。
オルガノポリシロキサン生ゴムの製造において、重合触媒を失活させた後、N,O-ビス(トリアルキルシリル)アセトアミドを添加、混合して、生成物中のヒドロシリル基を低減させ、得られたオルガノポリシロキサン生ゴムを使用して、シリコーンゴム組成物を製造した時、シリコーンゴム組成物の経時によるクレープハードニング性が改善され、シリコーンゴム組成物の保存性が向上し、シリコーンゴム組成物使用時の作業性が改善できることが特許文献4に記載されている。しかし、末端封鎖後に取り除くのが困難なアセトアミドが発生してしまう問題があった。
副生成物が残留しない方法として、環状オルガノポリシロキサンを熱分解型重合触媒の存在下、末端トリオルガノシリル基で封鎖された低分子量の直鎖状オルガノポリシロキサンと共に重合させ、重合終了後、減圧下で加熱して熱分解型重合触媒を失活させ、水分を除去する方法が特許文献5で開示されている。この方法は、末端単位のヒドロキシル基生成を防ぐとされているが、オルガノシリコーン生ゴムをトルエンに溶解させ、テトラメトキシシランとテトラプロピルチタネートの添加後の粘度変化を比較するだけで、末端封鎖率の具体的な記載はない。
特開平8-100125号公報 特公昭61-12931号公報 特公昭62-20194号公報 特開平8-73591号公報 特開2000-159894号公報
クレープハードニング性やシリコーンゴム組成物の加工性を向上したオルガノポリシロキサン生ゴムについて、末端封鎖率が100%に近く、末端封鎖後に副生成物を容易に取り除ける方法はなかった。
本発明は、末端封鎖率が高く、副生成物の除去が容易なオルガノポリシロキサン生ゴムの製造方法、及びこの製造方法で得られたオルガノポリシロキサン生ゴムをベースポリマーとして用いた、経時におけるクレープハードニング性及び保存性が改善されたシリコーンゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、環状オルガノポリシロキサンをアルカリ性触媒の存在下で低分子量の直鎖状オルガノポリシロキサンと共に重合し、高分子量のオルガノポリシロキサン生ゴムを製造する場合、前記重合後、アルカリ性触媒を失活させてから、ジアルキルアミノビニルジアルキルシランを混合することにより、副生成物が残留せず、末端にヒドロキシル基をほとんど含まないオルガノポリシロキサン生ゴム(分子鎖両末端がビニルジアルキル基で封鎖されたオルガノポリシロキサン)が得られることを見出した。また、このようにして得られたオルガノポリシロキサン生ゴムをシリカ等の補強材と混練りし、シリコーンゴム組成物を製造した時、該シリコーンゴム組成物の硬化物(シリコーンゴム硬化物)の外観への影響がなく、シリコーンゴム組成物の経時におけるクレープハードニング性及び保存性が改善できることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明は、オルガノポリシロキサン生ゴムの製造方法、及び、その生ゴムを用いたシリコーンゴム組成物を提供するものである。
〔1〕
オルガノポリシロキサン生ゴムの製造方法であって、
(I)下記式(1)で示される環状オルガノシロキサンを、
Figure 0007353723000001
(式中、R1は互いに独立に、炭素数1~10の非置換又は、置換1価炭化水素基を表し、mは3~8の数である。)
アルカリ性触媒の存在下で、ジオルガノシロキサン単位が1~200の直鎖状オルガノシロキサンと共に重合する工程、
(II)前記アルカリ性触媒を失活させる工程、
(III)工程(II)で得られたオルガノシロキサンと、下記式(2)
Figure 0007353723000002
(式中、R2は互いに独立に、炭素数1~5の非置換又は置換1価炭化水素基を表す。)
で示され、沸点が165℃以下であるジアルキルアミノビニルジアルキルシランとを混合する工程、及び
(IV)未反応のジアルキルアミノビニルジアルキルシラン、及び、副生成物を除去する工程、
を有する、下記式(4)
Figure 0007353723000003
(式(4)中、R1は互いに独立に、炭素数1~10の非置換又は置換1価炭化水素基を表し、R4は互いに独立に水素原子又は下記式(5)
Figure 0007353723000004
(式(5)中、R2互いに独立に、炭素数1~5の非置換又は置換1価炭化水素基を表す。)であり、lは3,000以上の数である。)
で示されるオルガノポリシロキサン生ゴムの製造方法。

〔2〕
(A)下記式(4)
Figure 0007353723000005
(式(4)中、R1は互いに独立に、炭素数1~10の非置換又は置換1価炭化水素基を表し、R4は互いに独立に水素原子又は下記式(5)
Figure 0007353723000006
(式(5)中、R2互いに独立に、炭素数1~5の非置換又は置換1価炭化水素基を表す。)であり、lは3,000以上の数である。)
で示されるオルガノポリシロキサン生ゴム:100質量部
(B)BET吸着法による比表面積が50m2/g以上の補強性シリカ:10~100質量部、及び
(C)硬化剤:有効量
を含有するシリコーンゴム組成物。

〔3〕
〔2〕に記載のシリコーンゴム組成物の硬化物。
本発明は、末端封鎖率が高く、副生成物の除去が容易なオルガノポリシロキサン生ゴムの製造方法で、このようにして得られたオルガノポリシロキサン生ゴムをシリカ等の補強材と混練りし、シリコーンゴム組成物としたものは、該組成物を硬化したとき、外観への影響がなく、経時におけるクレープハードニング性及び保存性が改善されたものとなる。
なお本発明において末端封鎖率とは、オルガノポリシロキサンが末端封止剤によってトリオルガノシロキシ基に封鎖された封鎖率を示す。
[(A)オルガノポリシロキサン生ゴム]
I.オルガノポリシロキサン生ゴムの重合工程
本発明は、環状オルガノシロキサンをアルカリ性触媒の存在下で低分子量の直鎖状オルガノシロキサンと共に重合して、高分子量のオルガノポリシロキサンを得るもので、このアルカリ性触媒によるオルガノポリシロキサンの重合方法は公知であり、例えば、環状オルガノシロキサン及び低分子量の直鎖状オルガノシロキサンに少量のアルカリ性触媒を添加し、100~180℃の加温下に平衡化反応させることによって行われる。
ここで、環状オルガノシロキサンは、下記式(1)で示されるものである。
Figure 0007353723000007
(式中、R1は互いに独立に、炭素数1~10の非置換又は置換1価炭化水素基を表し、mは3~8の数である。)
式(1)中、R1は互いに独立に、炭素数1~10の非置換又は置換1価炭化水素基であり、特に炭素数1~6のものが好ましい。炭素数1~10の非置換又は置換1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基などやこれらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、メルカプト基、グリシド基、(メタ)アクリロキシ基、アミノ基等で置換される基が挙げられる。mは3~8の数であり、好ましくは3~6の数である。
上記環状オルガノシロキサンは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
低分子量の直鎖状オルガノシロキサンとしては、下記式(3)で示されるものが挙げられる。該低分子量の直鎖状オルガノシロキサンはオルガノポリシロキサン生ゴムの重合度を調節することができる。
Figure 0007353723000008
(式中R1は互いに独立に、炭素数1~10の非置換又は置換1価炭化水素基を表し、R3は互いに独立に水酸基又はR1と同一のものである。nは1~200の数である。)
式(3)中、R1は互いに独立に、炭素数1~10の非置換又は置換1価炭化水素基であり、R3は互いに独立に水酸基又はR1と同一のものである。上記直鎖状オルガノシロキサンは比較的低分子量が好ましく、具体的にはnは1~200の数であり、好ましくは1~150の数である。
これらの出発原料となる環状オルガノシロキサンや低分子量の直鎖状オルガノシロキサンは、予め一部を蒸留又はシリカゲルなどの乾燥剤の使用により乾燥させることが好ましい。なお、低分子量の直鎖状オルガノシロキサンは、生成されるオルガノポリシロキサン生ゴムの重合度を決定する要因であり、所望の重合度に応じて環状オルガノシロキサンに対する比率を変動させればよい。
本発明の製造方法で用いられるアルカリ性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属化合物又はそれらのシラノレートが例示される。また、これらのアルカリ性触媒は、酸性中和剤により失活させる場合があるが、130~150℃の高温下において分解し、活性を失うもの(例えば、(n-C494POHなどの第4級ホスホニウム、(CH34NOHなどの第4級アンモニウム及びそれらのシラノレート等)を使用することもできる。
アルカリ触媒の配合量は、上記環状オルガノポリシロキサンと上記直鎖状オルガノポリシロキサンの総量に対し1~1,000ppm、特に10~500ppmとすることが好ましい。上記範囲内であると十分な重合度が得られ、副生成物の除去が困難にならず、得られたシロキサン生ゴム(硬化物)の外観やにおい、耐熱性、架橋特性などに悪影響が生じない。
上記出発原料を用いた平衡化反応は、通常の条件で行うことができ、例えば100~170℃、好ましくは110~165℃で、30分~6時間、好ましくは2~5時間の反応条件で行うことができる。
II.アルカリ性触媒を失活させる工程
上記平衡化反応後は、アルカリ性触媒を、酸性中和剤、例えば塩酸、エチレンクロルヒドリン、酢酸、二酸化炭素等で中和処理を行ったり、熱分解処理するなどして失活させる。
中和処理において、酸性中和剤の添加量は、アルカリ性触媒に対して2モル倍量以上とすることが好ましく、より好ましくは3倍以上である。
熱分解処理は、用いる触媒によるが、具体的には120~200℃、好ましくは130~180℃で、30分~6時間、好ましくは1~3時間行う。
中和処理及び熱分解処理は、常温で行うことが好ましい。
また、アルカリ性触媒の失活後、酸性中和剤の未反応分の低揮発分を溜去することが好ましい。該低揮発分を除去する方法としては、130~180℃、好ましくは145~170℃で、1~24時間、好ましくは3~12時間処理する。
上記低揮発分を除去する方法は常圧又は減圧下で行ってよく、減圧する場合の圧力は20~0.01mmHg、好ましくは10~0.1mmHgである。
III.工程IIで得られたオルガノシロキサンと、ジアルキルアミノビニルジアルキルシランとを混合する工程
本発明は、上記のようにアルカリ性触媒を失活させた後、得られたオルガノポリシロキサン生ゴムと、下記式(2)で示されるジアルキルアミノビニルジアルキルシランとを混合することを特徴とする。本発明において前記ジアルキルアミノビニルジアルキルシランは末端封止剤として作用する。
Figure 0007353723000009
(式中、R2は互いに独立に、炭素数1~5の非置換又は置換1価炭化水素基を表す。)
式(2)中、R2は互いに独立に、炭素数1~5、好ましくは1~4、更に好ましくは1~3の非置換又は置換1価炭化水素基を表す。該1価炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基などのアルキル基が挙げられる。
上記ジアルキルアミノビニルジアルキルシランの具体例としては、ジメチルアミノビニルジメチルシラン(沸点:107℃)、ジエチルアミノビニルジメチルシラン(沸点:120℃)などが例示される。これらの沸点は165℃以下、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。沸点が165℃を超えると、工程IVにおいて未反応のジアルキルアミノビニルジアルキルシランを取り除くことができず、シリコーンゴム組成物を硬化させる時に、硬化阻害を起こすことがある。
なお、上記ジアルキルアミノビニルジアルキルシランの沸点が130℃未満である場合には、オルガノポリシロキサン生ゴムの重合工程(上記工程I)における平衡化反応後に100℃以下に冷却する工程か、又はアルカリ性触媒を失活させる工程(上記工程II)における中和処理後又は熱分解処理後に100℃以下に冷却する工程を設けることが好ましい。
上記式(2)で示されるジアルキルアミノビニルジアルキルシランの添加量は、上記式(3)で示した低分子量の直鎖状オルガノシロキサンの等モル量~50モル倍量で十分であり、等モル量~20モル倍量程度でよい。また、その添加は、工程IIでアルカリ性触媒を失活させた後であれば、低揮発分の溜去前又は溜去後を問わない。
アルカリ性触媒が活性な状態で、上記式(2)で示されるジアルキルアミノビニルジアルキルシランを添加すると、かかるジアルキルアミノビニルアルキルシランが重合体の末端停止剤として作用し、所望の重合度を持つ生成物を得ることができない。
かかるジアルキルアミノビニルジアルキルシランの添加後は、反応を完結させるため、室温~150℃、好ましくは50~130℃で、10分~5時間、好ましくは30分~1時間の保温を行うことが好ましい。
IV.未反応のジアルキルアミノビニルジアルキルシラン、及び、副生成物の低揮発分を除去する工程
得られたオルガノポリシロキサン生ゴム中に、未反応のジアルキルアミノビニルジアルキルシラン、及び、副生成物のジアルキルアミンが残留すると、該オルガノポリシロキサン生ゴムを用いて得られたシリコーンゴム組成物に加硫剤を入れて硬化させる時に、硬化阻害を起こすことがある。その為、未反応のジアルキルアミノビニルジアルキルシラン、及び副生成物等の低揮発分を除去する必要がある。該低揮発分を除去する方法としては、130~180℃、好ましくは145~170℃で、30分~12時間、好ましくは1~6時間処理する。上記反応は常圧又は減圧下で行ってよく、減圧する場合は20~0.01mmHg、好ましくは10~0.1mmHgである。
副生成物のジアルキルアミンの沸点は、好ましくは165℃以下、より好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下であると効率よく除去することができる。
本発明で得られるオルガノポリシロキサン生ゴムは、下記式(4)で示される分子鎖両末端がビニルジアルキル基で封鎖されたオルガノポリシロキサンである。
Figure 0007353723000010
(式(4)中、R1は互いに独立に、炭素数1~10の非置換又は置換1価炭化水素基を表し、R4は互いに独立に水素原子又は下記式(5)
Figure 0007353723000011
(式(5)中、R2は互いに独立に、炭素数1~5の非置換又は置換1価炭化水素基を表す。)であり、lは3,000以上の数である。)
式(4)中、R1は互いに独立に、炭素数1~10の非置換又は置換1価炭化水素基ある。1分子中、R1は、50%以上がメチル基であることが好ましく、80%以上がメチル基であることがより好ましく、側鎖アルケニル基及び末端アルケニル基以外のすべてのR1がメチル基であることが更に好ましい。このため、式(1)、式(3)の化合物を適宜選択することが好ましい。
また、式(4)のオルガノポリシロキサン生ゴムは、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有することが好ましく、上記式(4)及び(5)中、ケイ素原子に結合する基(即ち、式(4)におけるR1、式(5)におけるR2、及び末端ビニル基)のうち、0.001~20%、特に0.01~10%がアルケニル基であることが好ましい。このアルケニル基としては、好ましくはビニル基又はアリル基であり、特に好ましくはビニル基である。
なお、本発明において、アルケニル基含有量は以下に記載した測定条件で、日本電子(株)製400MHz-NMR測定装置を用いて1H-NMRスペクトルによって測定した積分比から算出した値を指すものとする。
[測定条件]
・測定周波数:400MHz
・測定サンプル:ポリシロキサンの重クロロホルム25質量%溶液を使用した。
・内部標準物質:クロロホルム
上記式(4)のオルガノポリシロキサン生ゴムの重合度lは、3,000以上の数、好ましくは3,000~100,000、より好ましくは3,000~50,000の高重合度(高粘度)であって、室温(25℃)において自己流動性のない非液状のオルガノポリシロキサンである。
アルケニル基含有オルガノポリシロキサン生ゴムは、本発明の組成物の主剤(ベースポリマー)である。
重合度が3,000未満であると、十分なゴム強度が得られない。
なお、この重合度は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均重合度として求められる。
本発明中で言及する重量平均重合度とは、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質として算出した値を指すこととする。
[測定条件]
・展開溶媒:トルエン
・流量:1mL/min
・検出器:示差屈折率検出器(RI)
・カラム:KF-805L×2本(Shodex社製)
・カラム温度:25℃
・試料注入量:30μL(濃度0.2質量%のトルエン溶液)
本発明において末端封鎖率とは、分子鎖両末端が末端封止剤であるジアルキルアミノビニルジアルキルシランによってビニルジアルキルシロキシ基に封鎖された封鎖率を示す。通常は、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がビニルジアルキルシロキシ基で封鎖された、直鎖状のジオルガノポリシロキサンであって、少なくとも分子鎖両末端が95%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上封鎖されたものである。
末端封鎖率が95%未満であると、得られたオルガノポリシロキサン生ゴムを用いてシリコーンゴム組成物とした際、該シリコーンゴム組成物に経時におけるクレープハードニングが生じ、シリコーンゴム組成物の保存性及び加工性が悪化する。
本明細書中で言及する末端封鎖率とは以下に記載した日本電子(株)製400MHz-NMR測定装置を用いて29Si-NMRスペクトルによって測定した積分比から算出した値を指すものとする。
[測定条件]
・測定周波数:400MHz
・測定サンプル:ポリシロキサンの重クロロホルム25質量%溶液を使用した。
・内部標準物質:クロロホルム
[シリコーンゴム組成物]
オルガノポリシロキサン生ゴムの製造方法により得られた上記式(4)で示されるオルガノポリシロキサン生ゴムを用いたシリコーンゴム組成物について説明する。
なお、本発明において、補強性フィラーの比表面積は、BET吸着法により測定された値である。シリコーンゴム組成物とは、室温(25℃)において自己流動性のない高粘度で非液状のミラブル型シリコーンゴム組成物であって、ロールミル(例えば、二本ロールミルや三本ロールミル)などの混練機で剪断応力下に均一に混練することが可能なシリコーンゴム組成物を意味する。また、オルガノポリシロキサン生ゴムとは、その重合度が3,000~100,000の高重合度(高粘度)であって、室温(25℃)において自己流動性のない非液状のミラブル型オルガノポリシロキサン成分であることを意味する。
(A)成分のオルガノポリシロキサン生ゴムは、上記式(4)で示されるものであり、各種用途に使用することができ、特にシリコーンゴム組成物の主剤(ベースポリマー)として、下記に詳述する成分と組み合わせて用いることができる。
なお、前記オルガノポリシロキサン生ゴムは、シリコーンゴム組成物において1種単独で用いても、重合度や分子構造の異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分のオルガノポリシロキサン生ゴムは、本発明のシリコーンゴム組成物中、10~95質量%含有することが好ましく、20~90質量%含有することがより好ましく、30~80質量%含有することがさらに好ましい。
[(B)補強性シリカ]
(B)成分の補強性シリカは、本発明のシリコーンゴム組成物の主剤(ベースポリマー)と混合されるものであり、得られるシリコーンゴム硬化物に対して優れた機械的特性を付与する成分として作用する。該補強性シリカは、沈降シリカ(湿式シリカ)でも、ヒュームドシリカ(乾式シリカ)でもよい。
本発明において(B)成分の補強性シリカのBET法による比表面積は、50m2/g以上であることが必要であり、好ましくは100~400m2/gである。この比表面積が50m2/g未満であると(B)成分による補強効果が不十分となる場合がある。
(B)成分の補強性シリカは、未処理の状態で使用しても、必要に応じてオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等の有機ケイ素化合物(シリカ表面処理剤)で表面処理(具体的には疎水化処理)されたものを使用してもよい。疎水化処理を施した補強性シリカを用いると、(A)成分中への分散性や補強性の面で好ましい。このとき、予め粉体の状態で、シリカ表面処理剤により直接表面疎水化処理されたものを用いてもよいし、シリカ微粉末と(A)成分との混合時にシリカ表面処理剤を添加して、加熱混合することにより、表面が疎水化処理されるようにしてもよい。
このようなシリカ表面処理剤は、本発明のシリコーンゴム組成物の主剤(ベースポリマー)と混合されるものであり、具体的に、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、及びメチルトリクロロシランなどのクロロシラン類;ヘキサメチルジシラザン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザンのようなシラザン類等の公知の処理剤が挙げられる。シリカ表面処理剤の使用量は、表面未処理のシリカ微粉末100質量部に対し、好ましくは5~75質量部、より好ましくは5~60質量部である。
上記補強性シリカは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の補強性シリカの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して10~100質量部であり、好ましくは10~80質量部であり、より好ましくは20~70質量部である。この配合量が上記範囲を逸脱すると、得られるシリコーンゴム組成物の加工性が低下するだけでなく、該シリコーンゴム組成物の硬化物(シリコーンゴム硬化物)の機械的特性(引張り強度、引き裂き強度等)が不十分となるおそれがある。
[(C)硬化剤]
(C)成分の硬化剤は、本発明のシリコーンゴム組成物を硬化させ得るものであれば、特に限定されるものではなく、例えば下記の(C-1)付加反応硬化剤、及び/又は(C-2)有機過酸化物硬化剤が挙げられる。即ち、これらの硬化剤は、本発明のシリコーンゴム組成物において、(A)成分のオルガノポリシロキサンと反応して架橋構造を形成し、本発明のシリコーンゴム硬化物を与えるものである。
(C-1)付加反応硬化剤
付加反応硬化剤としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒とを組み合わせて用いることができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1分子中に、好ましくは2~300個、より好ましくは3~200個、更に好ましくは4~100個のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を含有すれば、直鎖状、環状、分枝状のいずれであってもよく、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の架橋剤として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができ、例えば、下記式(7)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができる。
6 abSiO(4-a-b)/2 (7)
式(7)中、R6は互いに独立して、非置換又は置換の1価炭化水素基を示し、特に脂肪族不飽和結合を有さないものが好ましい。
なお、式(7)中、a、bは0≦a<3、好ましくは1≦a≦2.2、0<b≦3、好ましくは0.002≦b≦1、0<a+b≦3、好ましくは1.002≦a+b≦3を満たす正数である。
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のSiH基は、分子鎖末端にあっても、分子鎖の途中にあっても、その両方にあってもよい。
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、具体的には、例えば、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C653SiO1/2単位とからなる共重合体などや、これらの化合物中のメチル基の一部又は全部を他のアルキル基や、フェニル基等に置換したものなどが挙げられる。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、具体的に下記構造式の化合物を例示することができる。
Figure 0007353723000012
(式中、cは2~10の数、d~gは互いに独立に0~20の数である。)

これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対し0.1~40質量部が好ましく、より好ましくは0.3~20質量部である。
また、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分中のケイ素原子に結合した脂肪族不飽和基(アルケニル基)に対するオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)のモル比(SiH基/アルケニル基)が好ましくは0.5~10モル/モル、より好ましくは0.7~5モル/モルとなるような量で配合することが望ましい。該モル比(SiH基/アルケニル基)は、0.5モル/モル未満であると架橋が十分でなく、十分な機械的強度が得られない場合があり、また10モル/モルを超えると硬化後の物理特性、特に耐熱性と圧縮永久歪性が悪くなる場合がある。
ヒドロシリル化触媒
ヒドロシリル化触媒は、(A)成分のアルケニル基とオルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子結合水素原子(SiH基)とを付加反応させる触媒である。
ヒドロシリル化触媒としては、白金族金属系触媒が挙げられ、白金族の金属単体とその化合物があり、これには従来、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の触媒として公知のものが使用できる。ヒドロシリル化触媒としては、例えば、シリカ、アルミナ又はシリカゲルのような担体に吸着させた微粒子状白金金属、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸6水塩のアルコール溶液、パラジウム触媒、ロジウム触媒等が挙げられるが、白金又は白金化合物が好ましい。
これらのヒドロシリル化触媒は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ヒドロシリル化触媒の添加量は、付加反応を促進できればよく、通常、白金系金属量に換算して、(A)成分のオルガノポリシロキサンに対して1質量ppm~1質量%の範囲で使用されるが、10~500質量ppmの範囲が好ましい。この添加量が1質量ppm未満であると、付加反応が十分促進されず、硬化が不十分である場合がある、一方、上記の添加量が1質量%を超えると、これより多く加えても反応性に対する影響が少なくなり、不経済となる場合がある。
(C-2)有機過酸化物硬化剤
(C-2)有機過酸化物硬化剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p-メチルベンゾイルパーオキサイド、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエート、1,6-ヘキサンジオール-ビス-t-ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。
これらの有機過酸化物硬化剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記有機過酸化物の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部、好ましくは1~10質量部、特に0.2~5質量部が好ましい。配合量が少なすぎると硬化が不十分となる場合があり、多すぎると有機過酸化物の分解残渣によりシリコーンゴム硬化物が黄変する場合がある。
本発明で得られる(C)硬化剤は、上記の(C-1)成分又は(C-2)成分を単独で使用することができるが、(C-1)付加反応硬化剤と(C-2)有機過酸化物硬化剤とを組み合わせた共加硫型の硬化剤として使用することもできる。この場合、(A)成分に、(C-1)及び(C-2)成分を、それぞれの上記配合量の範囲内で組み合わせて配合して使用すればよい。
[(D)分散剤]
本発明では、上記成分に加え、必要に応じて、公知の分散剤を使用してもよい。該分散剤としては、具体的には、水、オルガノシロキサン化合物等が挙げられる。これらのなかでも、シラノール基を有するオルガノシロキサン化合物が好ましく、両末端基にシラノール基を有するオルガノシロキサン化合物がより好ましい。
これらの分散剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられる分散剤の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.1~50質量部が好ましく、0.1~30質量部がより好ましい。
[その他の任意成分]
本発明のシリコーンゴム組成物には、上述した成分に加え、必要に応じて、石英粉末、結晶性シリカ、珪藻土等の非補強性シリカ;アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;着色剤;ベンガラ、酸化セリウム等の耐熱性向上剤;上記白金族金属触媒以外の白金化合物、酸化チタン、トリアゾール化合物等の難燃性向上剤;受酸剤;アルミナ、窒化ホウ素等の熱伝導率向上剤;離型剤;エチニルシクロヘキサノール等の反応制御剤等を添加してもよい。これらの任意成分は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[製造方法]
本発明のシリコーンゴム組成物は、組成物を構成する成分をニーダー、バンバリーミキサー、二本ロールミル等の公知の混練機で混合することにより得ることができる。シリコーンゴム組成物として、上記(A)~(C)成分を含有する組成物を得る場合、(A)成分と(B)成分とを混合して混合物(ベースコンパウンド)を得た後、該混合物に(C)成分を添加するのが好ましい。上記(A)~(C)成分を含有する組成物が更にその他の成分を含む場合には、(A)成分と(B)成分とを混合して混合物(ベースコンパウンド)を得た後、その他の成分とを混合して混合物を得た後、該混合物に(C)成分を添加することが好ましい。
本発明のシリコーンゴム組成物は、加熱硬化と同時に成形することにより、ゴム状の弾性体(シリコーンゴム硬化物)からなる成形物を得ることができる。
上記シリコーンゴム組成物を硬化させる方法については、特に制限はないが、上述した硬化剤の分解及びシリコーンゴム組成物の加硫に十分な熱をかける方法であればよい。硬化の温度条件については硬化方法にもよるが、通常80~400℃、特に100~200℃で3秒~160分間、特に3秒~20分間である。また、その成形方法については、特に制限はなく、例えば、押し出し成形による連続加硫、プレス成形(加圧成形)、インジェクション成形等の成形方法を採用することができる。更に、必要に応じて、150~250℃で1~10時間程度で二次加硫(ポストキュア)してもよい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
下記の例において、オルガノポリシロキサン生ゴムに含まれるシラノール基における水酸基(シラノール性水酸基)の含有量(質量%)は、日本電子(株)製400MHz-NMR測定装置を用いて、29Si-NMRにおける検出スペクトルの積分値から算出した。
下記の例において、重量平均重合度は、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質として算出した値である。
[測定条件]
・展開溶媒:トルエン
・流量:1mL/min
・検出器:示差屈折率検出器(RI)
・カラム:KF-805L×2本(Shodex社製)
・カラム温度:25℃
・試料注入量:30μL(濃度0.2質量%のトルエン溶液)
[実施例1]
オルガノポリシロキサン生ゴム(I)の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた3Lセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン1800g、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン0.72g及び1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロシロキサン2.6gからなる混合物に、10%水酸化テトラ-n-ブチルホスホニウムのジメチルポリシロキサネート3gを添加し、110℃で1時間重合反応した。
重合反応後、150℃で2時間加熱撹拌し、水酸化テトラ-n-ブチルホスホニウムを熱分解させた。100℃まで冷却後、ジメチルアミノビニルジメチルシラン(末端封鎖剤1、沸点107℃)1.57gを添加し、100℃で1時間保温した。反応物を140~150℃、2mmHg以下でおよそ5時間減圧し、低揮発分を溜去した。得られたオルガノポリシロキサン生ゴムは、重量平均重合度が8,000で末端封鎖率が99%以上である無色透明なオルガノポリシロキサン生ゴム(I)1,620gであった。
上記「オルガノポリシロキサン生ゴム(I)」100質量部、(B)BET比表面積2
00m2/gのヒュームドシリカ(商品名「アエロジル200」、日本アエロジル(株)製)40質量部、ヘキサメチルジシラザン5質量部と水1質量部をニーダーにて混練りし、170℃にて2時間加熱処理して「ベースコンパウンド1」を調製した。
上記「ベースコンパウンド1」100質量部に対し、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にSi-H基を平均20個有するメチルハイドロジェン・ジメチルポリシロキサン(平均重合度38、Si-H基量0.0074モル/g)0.91質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.05質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.04質量部を混合し、「シリコーンゴム組成物1」を調製した。組成物全体の総Si-H基量と総ビニル基量のモル比(Si-H基/ビニル基)は4.7である。
シリコーンゴム組成物1を成形圧力7.8MPa(80kgf/cm2)、120℃、10分のプレスキュア(一次加硫)後、オーブン内で200℃、4時間のポストキュア(二次加硫)を行って、100mm角、厚さ2mmのシート状の「シリコーンゴム硬化物1」を得た。
[実施例2]
オルガノポリシロキサン(II)の合成
実施例1において末端封鎖剤を、ジエチルアミノビニルジメチルシラン(末端封鎖剤2、沸点120℃)1.89gに変更したところ、重量平均重合度が6,000で末端封鎖率が99%以上である無色透明なオルガノポリシロキサン生ゴム(II)を1,610g得ることができた。
(A)オルガノポリシロキサン生ゴム(I)をオルガノポリシロキサン生ゴム(II)に変更し、(B)BET比表面積200m2/gのヒュームドシリカを、BET比表面積が130m2/gで、表面が疎水処理化されたヒュームドシリカ(アエロジルR-972、日本アエロジル(株)製)40質量部に変更し、それ以外は実施例1と同様にして「ベースコンパウンド2」及び「シリコーンゴム組成物2」を得た。得られた「シリコーンゴム組成物2」を実施例1と同じ条件で硬化させ、100mm角、厚さ2mmのシート状の「シリコーンゴム硬化物2」を得た。
[実施例3]
オルガノポリシロキサン(III)の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた3Lセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン1800g、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン0.72g及び1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロシロキサン2.6gからなる混合物に、10%水酸化カリウムのジメチルポリシロキサネート0.6gを添加し、150℃で4時間重合反応した。重合反応後、エチレンクロルヒドリン0.4gを追加し、150℃で2時間中和処理を行った後、100℃まで冷却後、ジメチルアミノビニルジメチルシラン(末端封鎖剤1、沸点107℃)1.57gを添加し、1時間保温してから140~150℃の保温/減圧下で2mmHg以下になるまでおよそ5時間、低揮発分を溜去した。得られたオルガノポリシロキサン生ゴムは、重量平均重合度が8,000で末端封鎖率が99%以上である無色透明なオルガノポリシロキサン生ゴム(III)を1,615g得ることができた。
(A)オルガノポリシロキサン生ゴム(I)をオルガノポリシロキサン生ゴム(III)に変更し、(B)BET比表面積200m2/gのヒュームドシリカ(商品名「アエロジル200」、日本アエロジル(株)製)10質量部をニーダーにて混練りし、170℃にて2時間加熱処理して「ベースコンパウンド3」を調製した。それ以外は実施例1と同様にして「シリコーンゴム組成物3」を得た。得られた「シリコーンゴム組成物3」を実施例1と同じ条件で硬化させ、100mm角、厚さ2mmのシート状の「シリコーンゴム硬化物3」を得た。
[比較例1]
オルガノポリシロキサン(IV)の合成
実施例1において末端封鎖剤を使わなかった結果、重量平均重合度が5,000で末端封鎖率が93%である無色透明なオルガノポリシロキサン生ゴム(IV)を1,600g得ることができた。
(A)オルガノポリシロキサン生ゴム(I)をオルガノポリシロキサン生ゴム(IV)に変更し、それ以外は実施例1と同様にして「ベースコンパウンド4」及び「シリコーンゴム組成物4」を得た。得られたシリコーンゴム組成物4を実施例1と同じ条件で硬化させ、100mm角、厚さ2mmのシート状の「シリコーンゴム硬化物4」を得た。
[比較例2]
オルガノポリシロキサン(V)の合成
実施例1において末端封鎖剤を、ジメチルビニルクロロシラン(末端封鎖剤5-1、沸点82℃)2.92gと1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン(末端封鎖剤5-2、沸点170℃)2.25gの混合物に変更したところ、重量平均重合度が6,000で末端封鎖率が99%以上である白濁したオルガノポリシロキサン生ゴム(V)を1,615g得ることができた。
実施例1において(A)オルガノポリシロキサン生ゴム(I)をオルガノポリシロキサン生ゴム(V)に変更し、それ以外は実施例1と同様にして「ベースコンパウンド5」及び「シリコーンゴム組成物5」を得た。得られた「シリコーンゴム組成物5」を実施例1と同じ条件で硬化させ、100mm角、厚さ2mmのシート状の「シリコーンゴム硬化物5」を得た。
[比較例3]
オルガノポリシロキサン(VI)の合成
実施例1において末端封鎖剤を、ジ-n-オクチルアミノビニルジメチルシラン(末端封鎖剤7、沸点200℃以上)3.94gに変更したところ、重量平均重合度が6,000で末端封鎖率が97%である無色透明なオルガノポリシロキサン生ゴム(VI)を1,630g得た。
実施例1において(A)オルガノポリシロキサン生ゴム(I)をオルガノポリシロキサン生ゴム(VI)に変更し、それ以外は実施例1と同様にして「ベースコンパウンド6」及び「シリコーンゴム組成物6」を得た。得られた「シリコーンゴム組成物6」を実施例1と同じ条件で硬化をおこなったが、完全に硬化させることができず、「シリコーンゴム硬化物6」を得ることができなかった。
可塑度試験
実施例1~3及び比較例1~3で調製したベースコンパウンドについて、JIS K 6249:2003に準拠して可塑度試験をおこない、初期のウイリアムス可塑度を測定した。更に40℃、7日間経過した後、組成物を練り返すことなく30分放冷して、ウイリアムス可塑度を測定し、その差から可塑度変化を求めた。
外観
実施例1~3及び比較例1~3で調製したシリコーンゴム硬化物について、外観を確認した。
上記の実施例1~3及び比較例1~3の各例の試験用ゴムシート(シリコーンゴム硬化物)について、上記の各項目で測定した物性値を表1に示す。
Figure 0007353723000013
本発明は、末端封鎖率が高く、副生成物の除去が容易なオルガノポリシロキサン生ゴムの製造方法で、このようにして得られたオルガノポリシロキサン生ゴムをシリカ等の補強材と混練りし、シリコーンゴム組成物を製造した時、該シリコーンゴム組成物の硬化物(シリコーンゴム硬化物)の外観への影響がなく、シリコーンゴム組成物の経時におけるクレープハードニング性が改善され、シリコーンゴム組成物の保存性を著しく向上させることができた。

Claims (1)

  1. オルガノポリシロキサン生ゴムの製造方法であって、
    (I)下記式(1)で示される環状オルガノシロキサンを、
    Figure 0007353723000014
    (式中、R1は互いに独立に、炭素数1~10の非置換又は置換1価炭化水素基を表し、mは3~8の数である。)
    アルカリ性触媒の存在下で、ジオルガノシロキサン単位が1~200の直鎖状オルガノシロキサンと共に重合する工程、
    (II)前記アルカリ性触媒を失活させる工程、
    (III)工程(II)で得られたオルガノシロキサンと、下記式(2)
    Figure 0007353723000015
    (式中、R2は互いに独立に、炭素数1~5の非置換又は置換1価炭化水素基を表す。)
    で示され、沸点が165℃以下であるジアルキルアミノビニルジアルキルシランとを混合する工程、及び
    (IV)未反応のジアルキルアミノビニルジアルキルシラン、及び、副生成物を除去する工程、
    を有する、下記式(4)
    Figure 0007353723000016
    (式(4)中、R1は互いに独立に、炭素数1~10の非置換又は置換1価炭化水素基を表し、R4 は下記式(5)
    Figure 0007353723000017
    (式(5)中、R2 互いに独立に、炭素数1~5の非置換又は置換1価炭化水素基を表す。)であり、lは3,000以上の数である。)
    で示されるオルガノポリシロキサン生ゴムの製造方法。

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