JP3801503B2 - 作業機の油圧駆動装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベルなどの作業機に設けられ、ガバナ領域をアイソクロナス特性に制御可能なエンジンと、このエンジンにより駆動される可変容量油圧ポンプとを備えた作業機の油圧駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は一般的なエンジンのエンジン回転数とエンジン出力トルクの関係を表したものである。エンジンの出力は同図に示すごとく、ガバナ領域33と全負荷曲線30に分けられる。ガバナ領域33はガバナの開度が100%以下での出力領域であり、全負荷曲線はガバナ開度が100%の出力領域である。
【0003】
メカニカルガバナはフライウェイトとばねのつりあいによって燃料噴射量を調節する構造のため、メカニカルガバナを備えたエンジンのガバナ領域は図6のドループ特性線31のようになる。また一般に、エンジンの全負荷性能は全負荷曲線30のようになり、エンジン出力トルクTeが定格トルクT1からエンジン最大トルクTe 1まで増加していくとエンジン回転数Nは低下していく。
【0004】
以上のことから、メカニカルガバナを備えたエンジンでは無負荷最高回転数N2からエンジン最大トルクTe 1発生時のエンジン回転数N1の範囲内においては、エンジン出力トルクTeが増加するにつれて、すなわちエンジンにかかる負荷が大きくなるにつれて、エンジン回転数Nは低下していくという関係が成立する。ちなみに、最大トルクTe 1を超える負荷がエンジンに入力された場合は、エンジンストールとなる。
【0005】
ところで、メカニカルガバナを備えたエンジンを搭載する作業機において、エンジン馬力の有効活用及びエンスト防止等を目的とするスピードセンシング制御という従来技術が知られている。スピードセンシング制御は、メカニカルガバナを備えたエンジンの持つ「エンジン回転数の増減がほぼエンジンの負荷の増減と一致する」という特徴に着目した制御方法であり、エンジン回転数の変動に応じてポンプ吸収馬力を増減させる方法である。
【0006】
ここで、メカニカルガバナを備えたエンジンを搭載する作業機、例えば油圧ショベルに対して、スピードセンシング制御を適用したときの制御手順について、図7及び図8を用いて説明する。図7はエンジン回転数Nとエンジン出力トルクTe及びポンプ目標増減トルクΔTとの関係を示したものであり、図8はポンプ吐出圧力Pと吐出流量Qによる定馬力制御線図を示したものである。
【0007】
図7において、まずエンジン回転数Nからポンプ目標増減トルクΔTへの変換方法を特性線40のようにあらかじめ設定しておく(ポンプ目標増減トルクΔTは縦軸右側に表す)。次に、エンジン回転数検出器により導かれるエンジン回転数Nが定格回転数NOよりも大きい時はポンプ目標増減トルクΔTの値を0から増加させ(0<ΔT<ΔT3)、エンジン回転数Nが定格回転数NOよりも小さい時はポンプ目標増減トルクΔTの値を0から減少させる(ΔT2<ΔT<0)計算を行う。ここで、ΔT2とΔT3はポンプの機械的限界等により決まるポンプ目標増減トルクの下限値と上限値である。
【0008】
上記方法にて導いたポンプ目標増減トルクΔTの値に、ポンプ吸収トルク基準値TBを加算しポンプ吸収トルクTP(=ΔT+TB)を求める。ここで、ポンプ吸収トルク基準値TBとは、定格回転NOにおけるポンプ吸収トルクのことであり(ベーストルクとも呼ばれる)、一般に定格回転時のエンジントルクT1よりも小さくなるように設定される。
【0009】
次に、図8のポンプの吐出圧力Pと吐出流量Qの関係を示したP−Q線図において、前記ポンプ吸収トルクTPの値からポンプ吸収馬力が求められるので、前記ポンプ吸収トルクTPに基づいて、ポンプ吸収トルクがベーストルクTBに相当するポンプ吸収馬力を示す特性線41を、ΔT2減少分に相当するポンプ吸収馬力特性線42とΔT3増加分に相当する特性線43の範囲内にて増減させ、この吐出圧力Pと吐出流量Qの関係に基づき吐出圧力Pの変動に応じた吐出流量Qを求め、さらにこの吐出流量Qに応じたポンプ押し除け容積を求めレギュレータを制御する。
【0010】
このスピードセンシング制御を作業機に適用すると、以下の(1)〜(3)のような制御効果が得られる。
【0011】
(1)エンジン出力に余裕があるとき、すなわちエンジン回転数が定格回転数NOより大きくなったとき、ポンプ吸収馬力を増加させることでエンジン出力をより有効に活用できる。(増馬力制御)
(2)ターボ効き始めなどでエンジントルクが低下したとき、ポンプ吸収馬力を減じることでエンジンに過大なトルクがかかることを防ぎ、エンストを防止できる。(減馬力制御)
(3)エンジンの性能にばらつきが生じたとき、すなわち設計性能に対する製造上のばらつきや長時間稼働後の性能の低下等が生じても、性能に最適なポンプ吸収馬力に合わせることができる。(ばらつき補正)
ところで従来、上述のようなメカニカルガバナ式エンジンとは異なり、ガバナ領域33をアイソクロナス特性に制御可能な燃料噴射制御装置を有するエンジンを備えた作業機も提案されている。アイソクロナス制御を実現する制御方法としては、燃料噴射量を電子ガバナを用いて制御する方法、コモンレール式高圧燃料噴射制御システムやユニットインジェクター式燃料噴射制御システム等を用いて燃料の噴射圧力と噴射タイミングを制御する方法が知られており、ともにコンピュータで制御して実現する方法である。以下では電子ガバナを用いてアイソクロナス制御する作業機の例で説明する。
【0012】
この別の従来の作業機では、メカニカルガバナのようなフライウェイトの慣性による影響を生じることがなく、図6に示すように、エンジンの負荷の増減にかかわらず、すなわちエンジン出力トルクTeの増減にかかわらず、ガバナ領域33において、エンジン回転数Nを例えば定格回転数NOに一定に保つアイソクロナス制御が実施される。同図中、特性線32はアイソクロナス特性線を示す。このアイソクロナス制御により、メカニカルガバナを有するエンジンを備えた作業機に比べて低燃費及び低騒音を実現できる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、スピードセンシング制御は、上述したように、メカニカルガバナを備えたエンジンの持つ「エンジン回転数の増減がほぼエンジンの負荷の増減と一致する」という特徴に着目し、エンジン回転数の変動に応じてポンプ吸収馬力を増減させる方法である。
【0014】
しかし、アイソクロナス制御を実現するエンジンを搭載する作業機にスピードセンシング制御を適用しても、アイソクロナス制御を実現するエンジンにあってはガバナ領域33でのエンジン回転数が定格回転数NOにて一定となるので、メカニカルガバナ式エンジンの「エンジン回転数の増減がほぼエンジンの負荷の増減と一致する」という関係が成り立たず、結果、前述の(1)増馬力制御、(3)ばらつき補正の効果が得られなくなる。
【0015】
本発明は以上の点を鑑みてなされたものであり、アイソクロナス特性を有するエンジンを搭載する作業機にあっても、メカニカルガバナを備えたエンジンを搭載する作業機にスピードセンシング制御を適用したときとほぼ同等の効果が得られる油圧駆動装置を提供することを目的とする。
【0016】
なお(2)減馬力制御に関しては、アイソクロナス特性エンジンにおいても、定格トルクT1を超える負荷が入力された場合、メカニカルガバナ式エンジンと同様にエンジン回転数Nは低下する特性を持つので、従来のスピードセンシング制御と同様の効果が得られる。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、「ガバナ領域をアイソクロナス特性に制御可能な燃料噴射制御装置を有するエンジンと、前記エンジンにより駆動される可変容量油圧ポンプと、前記可変容量油圧ポンプの押し除け容積を制御するレギュレータと、前記可変容量油圧ポンプの吐出圧力を検出し吐出圧力信号を出力する圧力検出器と、前記可変容量油圧ポンプの前記押し除け容積に相当する傾転角を検出し傾転角信号を出力する傾転角検出器と、前記エンジンの回転数を検出しエンジン回転数信号を出力する回転数検出器と、前記エンジンにかかる負荷を検出しエンジン負荷信号を出力するエンジン負荷検出装置と、前記エンジン負荷信号を入力しエンジン負荷率を出力するエンジン負荷率演算手段と、前記エンジンの全負荷曲線を記憶しておく記憶装置とを備え、前記エンジン回転数信号と前記全負荷曲線からエンジン最大発生トルクを求め、前記エンジン最大発生トルクと前記エンジン負荷率から計算エンジントルクを求め、前記計算エンジントルクと前記吐出圧力信号と前記傾転角信号とからポンプ押除け容積を求め前記レギュレータを制御する制御手段とにより構成したことを特徴」とする構成としたことにある。
【0018】
この場合、請求項2に記載の発明のように、「前記エンジン負荷検出装置はエンジンのコントロールラック位置信号を出力し、前記エンジン負荷率演算手段は前記コントロールラック位置信号を入力しエンジン負荷率を出力する構成」としてもよい。
【0019】
また、請求項3に記載の発明のように、「前記エンジン負荷検出装置はエンジンの目標燃料流量信号または実燃料流量信号の少なくともどちらか一方を出力し、前記エンジン負荷率演算手段は前記目標燃料流量信号または前記実燃料流量信号の少なくともどちらか一方を入力し予め設定された全負荷状態燃料流量及び無負荷時燃料流量とからエンジン負荷率を出力する構成」としてもよい。
【0020】
請求項4に記載の発明は、作業機の油圧駆動方法を「ガバナ領域をアイソクロナス特性に制御可能な燃料噴射制御装置を有するエンジンと、このエンジンにより駆動される可変容量油圧ポンプと、エンジン負荷率を求める手段とを備えた作業機にあって、前記エンジン負荷率とエンジン回転数と予め設定されたエンジン全負荷曲線とから計算エンジントルクを求め、前記計算エンジントルクに基づきポンプ押し退け容積を増減させることを特徴」とすることにより課題の解決を図ったものである。
【0021】
この場合、請求項5に記載の発明のように、「前記エンジン負荷率をエンジンのコントロールラック位置信号により求めることを特徴とする」構成としてもよい。
【0022】
また、請求項6に記載の発明のように、「前記エンジン負荷率をエンジンの目標燃料流量または実燃料流量の少なくともどちらか一方と予め設定された全負荷状態燃料流量及び無負荷時燃料流量とにより求めることを特徴とする」構成としてもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の作業機の油圧駆動装置の実施形態を、図1乃至図5に基づいて説明する。
【0024】
図1は本発明の作業機の油圧駆動装置の一実施形態を示す油圧回路図、図2は図1に示す一実施形態に備えられるコントローラの要部構成を示す図、図3は図2のエンジン全負荷トルク演算手段と計算エンジントルク演算手段を説明した図、図4は図2のポンプ目標増減トルク演算手段について説明した図、図5は本発明によるばらつき補正の作動方法について説明した図である。
【0025】
本実施形態は、アイソクロナス制御を実施するエンジンを備えた作業機に従来技術のスピードセンシング制御を適用した場合、(1)増馬力制御、(3)ばらつき補正制御の効果が得られないので、ここにエンジン負荷率信号をあらたに加えることにより(1)増馬力制御、(3)ばらつき補正制御の効果を得られるようにしたものである。
【0026】
本実施形態は、作業機、例えば油圧ショベルに備えられるもので、図1に示すように、ガバナ領域をアイソクロナス特性に制御可能な燃料噴射制御装置を有するエンジン1と、エンジン1にかかる負荷を検出するエンジン負荷検出装置12と、エンジン負荷検出装置12から出力される負荷信号Lを入力しエンジン1にかかる負荷の割合、すなわちエンジン負荷率信号LF[%]として出力するエンジン負荷率演算手段13とを備えている。
【0027】
ここで、エンジン負荷率信号LFの演算方法の一例を示す。この例は電子ガバナを有するエンジンにおける例であり、ガバナ内のコントロールラック位置と燃料噴射量はほぼ一致するという関係を利用したもので、エンジン全負荷状態でのコントロールラック位置を検出しこれをエンジン負荷率100%と定め、無負荷時でのコントロールラック位置を検出しこれを負荷率0%と定め、その間のコントロールラック位置信号からエンジンの負荷率を求める方法である。この方法によれば、図1のエンジン負荷検出装置12がコントロールラック位置検出装置、エンジン負荷率演算手段13がエンジン負荷検出装置12から検出された現在のコントロールラック位置信号を入力し、予め設定された全負荷状態でのコントロールラック位置及び無負荷時でのコントロールラック位置とからエンジン負荷率信号LFを計算する装置となる。
【0028】
また、エンジン負荷率信号LFの演算方法の他の例としては、図1のエンジン負荷検出装置12が現在の目標燃料流量を検出する装置、エンジン負荷率演算手段13が前記現在の目標燃料流量と予め設定されている全負荷状態燃料流量及び無負荷時燃料流量に基づき、次式よりエンジン負荷率を計算する装置がある。
【0029】
エンジン負荷率(%)=〔(現在の目標燃料流量−無負荷時燃料流量)/(全負荷状態燃料流量−無負荷時燃料流量)〕×100 …(1)
なお、上記の目標燃料流量の部分を実燃料流量に置換えた装置においてもエンジン負荷率を計算することができる。
【0030】
また本実施形態は、図1に示すように、エンジン1により駆動される可変容量油圧ポンプ2と、この可変容量油圧ポンプ2の押し除け容積を制御するレギュレータ16とを備えている。そして、油圧ポンプ2から吐出される圧油によって駆動する油圧シリンダ3、油圧モータ4、油圧シリンダ5、6等の複数の油圧アクチュエータと、これらの油圧アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する方向制御弁7〜10と、メインリリーフ弁11と、油圧ポンプ2の吐出圧力を検出し吐出圧力信号Pを出力する圧力検出器14と、油圧ポンプ2の押し除け容積に相当する傾転角を検出し傾転角信号θを出力する傾転角検出器15と、エンジン1のエンジン回転数を検出しエンジン回転数信号Nを出力する回転数検出器17と、圧力検出器14から出力される吐出圧力信号P、及び傾転角検出器15から出力される傾転角信号θ、回転数検出器17から出力されるエンジン回転数信号N、エンジン負荷率演算手段13から出力されるエンジン負荷率信号LFを入力し、レギュレータ16に押し除け容積を制御する制御信号、すなわちレギュレータ目標値信号Rを出力するコントローラ18とを備えている。
【0031】
上述したコントローラ18の要部構成は、図2に示すように、大気圧や燃料の質などを標準状態としたときの全負荷性能をあらかじめエンジン単体ベンチ試験等で測定しておき、この測定データを記憶する記憶装置を備え、回転数検出器17から出力されるエンジン回転数Nが入力されたとき、そのエンジン回転数Nに相当するエンジン最大発生トルクEngFT(全負荷曲線上のトルク)を出力するエンジン全負荷出力トルク演算手段18aを含んでいる。
【0032】
エンジン全負荷トルク演算手段18aについて図3にて説明する。図3は縦軸左側に標準状態におけるエンジン出力トルク、横軸にエンジン回転数Nをあらわしたものであり、エンジン全負荷トルク演算手段18aは、例えばエンジン回転数Nが定格回転数NOの場合、定格回転数NOと同図の「18a内にて予め記憶しておいた標準状態における全負荷曲線」との交点を求め、この交点のエンジン出力トルクをエンジン最大発生トルクEngFTとして出力する。従って、スロットル開度が変更されエンジン回転数Nが変化したときは、再び交点を計算してこの交点に対応するエンジン最大発生トルクEngFTを出力する。
【0033】
また、エンジン全負荷出力トルク演算手段18aから出力されるエンジン最大発生トルクEngFTと、エンジン負荷率演算手段13から出力されるエンジン負荷率信号LF(%)とを入力し、計算式
EngT=EngFT×LF/100 …(2)
によって、計算エンジントルクEngTを求め、この計算エンジントルクEngTを出力する計算エンジントルク演算手段18bを含んでいる。
【0034】
計算エンジントルク演算手段18bについて図3にて説明する。例えばエンジン回転数Nが定格回転数NOの場合、エンジン負荷率信号LFは図3の縦軸右側で示すように定格出力時のエンジントルク点T1位置が100%となる。ちなみに、エンジン回転数Nが定格回転数NOと異なる場合は、そのエンジン回転数Nに相当する全負荷曲線上の点をLF=100%としたときのエンジン負荷の割合がエンジン負荷率となる。図3の一例のように、エンジン回転数Nが定格回転数NOのとき、エンジン負荷率演算手段13からLF=70%という値が出力され、エンジン全負荷トルク演算手段18bからEngFT=T1として出力され、これらの値が計算エンジントルク演算手段18bに入力されると、(2)式のような計算が行われ、結果、同図の縦軸左側に示すように、計算エンジントルクEngTが
EngT=0.7×T1
として出力される。
【0035】
なお、エンジン負荷率演算手段13により出力されるエンジン負荷率信号LFは、エンジンが実動状態で実際に発生している全負荷出力を100%としたときのエンジン負荷の割合であるから、エンジンの実動状態が上述した標準状態ならば、定格回転数NOかつLF=100%のとき、エンジンは定格出力トルクT1を発生していることになるが、エンジンの実動状態が例えば高地などのようにエンジン出力が低下するような状態では、定格回転数NOかつLF=100%であっても、実際にエンジンが出力している定格出力トルクはT1よりも小さい。
【0036】
また、コントローラ18は、計算エンジントルク演算手段18bから出力される計算エンジントルクEngTを入力し、計算エンジントルクEngTからポンプ目標増減トルクΔTを演算するポンプ目標トルク演算手段18cを含んでいる。
【0037】
図4に、計算エンジントルクEngTからポンプ目標増減トルクΔTへの演算手段の方法を示す。同図において、実線で示す特性線21は、従来技術のスピードセンシング制御と同じ制御効果を実現させるための特性線である。特性線21の計算エンジントルクEngTとポンプ目標増減トルクΔTの変化割合がEngT=T1の点をさかいに変化する、すなわち非線型となっているのは、図6に示すように、一般のエンジンではエンジン回転数Nとエンジン出力トルクTeとの変化割合がガバナ領域と全負荷領域をさかいに非線型となっているためである。言い換えると、従来のスピードセンシング制御では一般にエンジン回転数Nとポンプ目標増減トルクΔTの変化割合が線形となるように設定しているため、この変化割合を再現するためには、本発明の計算エンジントルクとポンプ目標増減トルクの変化の割合を特性線21のように設定する必要がある。
【0038】
また、ポンプ目標トルク演算手段18cから出力されるポンプ目標増減トルクΔTと、ベーストルクTBを設定するベーストルク設定手段18dから出力されるベーストルクTBとを加算して、ポンプ吸収トルクTPを出力する加算手段18eを含んでいる。
【0039】
また、加算手段18eから出力されるポンプ吸収トルクTPと、圧力検出器14から出力される吐出圧力信号Pと、傾転角検出器15から出力される傾転角信号θとを入力し、スピードセンシング制御と同様の手法により、レギュレータ16にポンプ押し除け容積を制御する制御信号Rを出力する吐出流量制御手段18fを含んでいる。
【0040】
このように構成したものでは、アイソクロナス特性エンジン1を搭載する作業機にあっても、メカニカルガバナを備えたエンジンを搭載する作業機にスピードセンシング制御を適用したときに得られる効果とほぼ同等の効果を得ることができる。なお、図4中のポイント▲1▼,▲2▼,▲3▼と、図7中のポイント▲1▼,▲2▼,▲3▼がそれぞれ対応していることになる。
【0041】
この方法により、ガバナ領域がアイソクロナス特性のエンジンに対しても増馬力制御が可能となり、メカニカルガバナを備えたエンジンを搭載する作業機にスピードセンシング制御を適用したときとほぼ同等の効果が得られる。
【0042】
また、図5はエンジンの出力にばらつきが生じたときについて説明したものであり、例として、定格出力のとき、出力が10%低下したときおよび出力が10%増加したときを示したものである。エンジン出力トルクが規定の性能より低下した場合は計算エンジントルクEngT1が定格出力時の計算エンジントルクEngT2の値よりも大きくなるため18c,18d,18eの演算手段を通じてポンプ吸収トルクTpは低減され、エンジン出力トルクが規定の性能より上昇した場合は計算エンジントルクEngT3が定格出力時の計算エンジントルクEngT2の値よりも小さくなるため18c,18d,18eの演算手段を通じてポンプ吸収トルクTpは増加される。これにより、エンジンの性能にばらつきが生じたときもスピードセンシング制御と同様、実際のエンジンの性能に最適なポンプ吸収馬力に合わせてエンジン出力を有効に活用することができる。
【0043】
また、計算エンジントルクEngTからポンプ目標増減トルクΔTへの演算方法は、図4に示すように、破線で示す特性線22、一点鎖線で示す特性線23のように自由に設定してもよい。
【0044】
図4において、特性線22のように設定する理由は以下の通りである。アイソクロナス特性に制御可能なエンジンを搭載する作業機にスピードセンシング制御をそのまま適用した場合、無負荷状態から急激に負荷がエンジンに入力されたときなどに生じる過渡的なエンジン回転数の落ち込み現象を、エンジンに定格を超えたトルクが働いたと判断してしまい、ポンプ目標増減トルクΔTを必要以上に下げてしまうという問題が生じる。そこで、計算エンジントルクEngTとポンプ目標増減トルクΔTの変化割合を特性線22のように設定する、すなわちエンジン負荷とポンプ目標増減トルクの変化割合を、特性線21に比べて小さく設定することにより、ポンプ目標増減トルクΔTを必要以上に下げるという悪影響を小さく抑えることができる。
【0045】
特性線23のように設定する理由は、特性線を線形にした方が制御手法としては単純になり制御が容易となるためである。
【0046】
なお、以上の説明では、図1においてエンジン負荷率演算手段13はコントローラ18と別に設ける例を説明したが、コントローラ18内に設けても良い。
【0047】
また、上記実施形態では、ガバナ領域をアイソクロナス特性に制御可能な燃料噴射制御装置として電子ガバナを例に説明してきたが、燃料噴射制御装置は電子ガバナだけに限られない。電子ガバナは、例えば特許第302153号公報に示すように、燃料噴射ポンプの燃料噴射量を調節するアクチュエータを位置制御する構成において、アクセル位置とエンジン回転数等の検出を基とする制御信号にて電磁弁を制御し、該アクチュエータを駆動させる装置である。これにより、電子ガバナはエンジンの負荷変動に関係無く燃料噴射量を調節することができるので、アイソクロナス特性を実現することができる。したがって、本発明は同様の負荷変動に関係無く燃料噴射量を調節することができる燃料噴射制御装置、例えばコモンレール式燃料噴射制御システムやユニットインジェクター式燃料噴射制御システム等を用いた構成にも適用することができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明により以下のような効果が得られる。
【0049】
(増馬力制御に対し)ガバナ領域がアイソクロナス特性のエンジンに対しても増馬力制御が可能となる。
【0050】
(ばらつき補正に対し)エンジンの性能にばらつきが生じても、スピードセンシング制御と同様、性能に最適なポンプ吸収馬力に合わせることができる。
【0051】
従って、メカニカルガバナを備えたエンジンを搭載した作業機にスピードセンシング制御を適用したときとほぼ同等の効果が得られる油圧駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の作業機の油圧駆動装置の一実施形態を示す油圧回路図である。
【図2】図1に示す作業機の油圧駆動装置の一実施形態に備えられるコントローラの要部構成を示す図である。
【図3】図2のコントローラの要部構成のエンジン全負荷トルク演算手段と計算エンジントルク演算手段を説明した図である。
【図4】図2のコントローラの要部構成の計算エンジントルクEngTからポンプ目標増減トルクΔTへの演算手段を示す図である。
【図5】本発明によるエンジン性能にばらつきが生じたときの制御効果について説明した図である。
【図6】メカニカルガバナ式エンジンで得られるドループ特性、電子ガバナ等の燃料噴射制御装置で得られるアイソクロナス特性を対比して示したエンジン回転数・エンジントルク特性図である。
【図7】メカニカルガバナを備えたエンジンを搭載する作業機に、スピードセンシング制御を適用したときの、エンジン回転数に対するエンジンの全負荷性能及びガバナ特性と、ポンプ目標増減トルクを示した図である。
【図8】スピードセンシング制御の作動方法についてP―Q線図上にて説明した図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 可変容量油圧ポンプ
3 油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)
4 油圧モータ(油圧アクチュエータ)
5 油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)
6 油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)
7 方向制御弁
8 方向制御弁
9 方向制御弁
10 方向制御弁
11 メインリリーフ弁
12 エンジン負荷検出装置
13 エンジン負荷率演算手段
14 圧力検出器
15 傾転角検出器
16 レギュレータ
17 回転数検出器
18 コントローラ
18a エンジン全負荷トルク演算手段
18b 計算エンジントルク演算手段
18c ポンプ目標増減トルク演算手段
18d ベーストルク設定手段
18e 加算手段
18f 制御手段(吐出流量制御手段)
21 スピードセンシング制御と同じ効果を実現させる特性線
22 過渡的なエンジン回転数の落ち込みを考慮した場合の特性線
23 制御の簡易化を狙った特性線
30 全負荷曲線
31 ドループ特性線
32 アイソクロナス特性線
33 ガバナ領域
40 スピードセンシング制御のポンプ目標増減トルク特性線
41 ポンプ吸収馬力特性線
42 ポンプ目標増減トルクをΔT2減少させたときのポンプ吸収馬力特性線43 ポンプ目標増減トルクをΔT3増加させたときのポンプ吸収馬力特性線
Claims (6)
- ガバナ領域をアイソクロナス特性に制御可能な燃料噴射制御装置を有するエンジンと、
前記エンジンにより駆動される可変容量油圧ポンプと、
前記可変容量油圧ポンプの押し除け容積を制御するレギュレータと、
前記可変容量油圧ポンプの吐出圧力を検出し吐出圧力信号を出力する圧力検出器と、
前記可変容量油圧ポンプの前記押し除け容積に相当する傾転角を検出し傾転角信号を出力する傾転角検出器と、
前記エンジンの回転数を検出しエンジン回転数信号を出力する回転数検出器と、
前記エンジンにかかる負荷を検出しエンジン負荷信号を出力するエンジン負荷検出装置と、
前記エンジン負荷信号を入力しエンジン負荷率を出力するエンジン負荷率演算手段と、
前記エンジンの全負荷曲線を記憶しておく記憶装置とを備え、
前記エンジン回転数信号と前記全負荷曲線からエンジン最大発生トルクを求め、前記エンジン最大発生トルクと前記エンジン負荷率から計算エンジントルクを求め、前記計算エンジントルクと前記吐出圧力信号と前記傾転角信号とからポンプ押除け容積を求め前記レギュレータを制御する制御手段とにより構成したことを特徴とする作業機の油圧駆動装置。 - 前記エンジン負荷検出装置はエンジンのコントロールラック位置信号を出力し、前記エンジン負荷率演算手段は前記コントロールラック位置信号を入力しエンジン負荷率を出力する構成としたことを特徴とする請求項1記載の作業機の油圧駆動装置。
- 前記エンジン負荷検出装置はエンジンの目標燃料流量信号または実燃料流量信号の少なくともどちらか一方を出力し、前記エンジン負荷率演算手段は前記目標燃料流量信号または前記実燃料流量信号の少なくともどちらか一方を入力し予め設定された全負荷状態燃料流量及び無負荷時燃料流量とからエンジン負荷率を出力する構成としたことを特徴とする請求項1記載の作業機の油圧駆動装置。
- ガバナ領域をアイソクロナス特性に制御可能な燃料噴射制御装置を有するエンジンと、このエンジンにより駆動される可変容量油圧ポンプと、エンジン負荷率を求める手段とを備えた作業機にあって、
前記エンジン負荷率とエンジン回転数と予め設定されたエンジン全負荷曲線とから計算エンジントルクを求め、前記計算エンジントルクに基づきポンプ押し退け容積を増減させることを特徴とする作業機の油圧駆動方法。 - 前記エンジン負荷率をエンジンのコントロールラック位置信号により求めることを特徴とする請求項4記載の作業機の油圧駆動方法。
- 前記エンジン負荷率をエンジンの目標燃料流量または実燃料流量の少なくともどちらか一方と予め設定された全負荷状態燃料流量及び無負荷時燃料流量とにより求めることを特徴とする請求項4記載の作業機の油圧駆動方法。
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