JP3801002B2 - 液晶装置の製造装置、製造方法及び液晶装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラビング工程において発生するラビング強度のばらつきを低減し、所定のラビング強度を高精度で処理するようにした液晶装置の製造方法及び液晶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ライトバルブ等の液晶装置は、ガラス基板、石英基板等の2枚の基板間に液晶を封入して構成される。このような液晶装置は、一方の基板に、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTと称す)をマトリクス状に配置し、他方の基板に対向電極を配置して、両基板間に封止した液晶層の光学特性を画像信号に応じて変化させることで、画像表示を可能にする。
【0003】
液晶層の光学特性は、液晶層に映像信号に基づく電圧を印加して、液晶分子の配列を変化させることで制御する。電圧無印加時の液晶分子の配列を規定するために、一方の基板(アクティブマトリクス基板)及び他方の基板(対向基板)の液晶層に接する面上に配向膜を形成し、配向膜にラビング処理を施す。
【0004】
即ち、配向膜は、例えばポリイミド等の有機膜を約数十ナノメーターの厚さで両基板の面上に形成したものであり、配向膜によって液晶分子を基板面に沿って配向処理することができる。更に、配向膜表面にラビング処理を施すことで、配向膜を配向異方性の膜にして液晶分子の配列を規定するのである。
【0005】
具体的なラビング方法としては、先ず、ラビング装置の載置台上にポリイミド膜を有する基板をポリイミド膜を上にして配置する。次に、ロールの周りにラビング布が取り付けられたラビングロールをポリイミド膜と接するように配置し、ラビングロールを回転させながら所定の方向に移動させて、ポリイミド膜を擦ることにより、ラビング処理された配向膜を形成する。
【0006】
ところで、ラビング強度は、ラビングロールとポリイミド膜との位置関係に応じた値となる。ラビング強度は液晶の配向特性に影響を与える。従って、ラビングロールとポリイミド膜(基板)との位置関係(相対距離)は厳密に規定する必要があり、従来、所定の基板を基準にしてラビングロールと基板との位置関係を所定の値に設定することで、配向特性のばらつきを抑制するようにしている。
【0007】
即ち、下記(1)式にて定義されるラビング強度Sに応じて、各パラメータを設定することで、良好なラビング条件を決定するようになっている。
【0008】
S=NM(2πRf/v+1) …(1)
ただし、R…ロール径、f…ロール回転数f、M…ロール押し込み量、v…基板の送り速度、N…ラビング回数である。
【0009】
なお、ロール押し込み量Mは、ラビングロール周面が基板表面に接する垂直位置を基準として、基板表面の押圧前の状態におけるラビングロール周面の垂直位置を示している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ラビング材の巻き付けばらつき、ラビング材そのもののばらつき等によって、ロール間でラビング強度がばらついてしまうという問題点があった。更に、ラビング強度のばらつきの原因としては、押し込み量Mの管理が不十分であるという理由もある。押し込み量Mは、液晶基板とロールとの接触ポイントを目視にて確認することによって設定されており、確認時のばらつきが押し込み量Mのばらつきの要因となっていた。
【0011】
また、ラビングロールの押し込み量Mをラビングロール周面と基板表面との接触長(ニップ幅)によって管理する手法もある。しかしながら、ラビングロールの径に対して押し込み量Mは極めて小さいことから、ニップ幅の変化幅が小さく管理能力が低いという問題があった。
【0012】
このように、従来、ラビング強度を高精度に管理することはできなかった。例えば、ラビング強度が適正値よりも小さくなると、液晶分子の配向が弱くなり、液晶分子のチルトむら、及びリバースツイストドメインが発生する原因となる。逆に、ラビング強度が適正値よりも大きくなると、配向膜の削れによる微小な異物の発生、及び液晶の配向が強くなりすぎて、液晶分子のチルト低下の要因となる。
【0013】
このようなチルトむらやリバースツイスト、及び配向膜の削れは、液晶装置の表示品位を低下させる原因となる。特に、液晶装置を投射型表示装置のライトバルブとして用いた場合には、投射型表示装置では画像を拡大投影されるので、液晶の配向むらによる表示不良は顕著になる。
【0014】
そこで、近年、、ラビング時の摩擦熱の検出による管理等が提案されている。しかし、これらの管理は、実用に至っていない。
【0015】
このように、従来、常に一定した表示特性を有する液晶装置を得ることができず、生産効率が悪いという問題点があった。
【0016】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、最適なラビング強度の設定を可能にして、常に一定の表示特性を有する液晶装置を得ることができる液晶装置の製造方法及び液晶装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液晶装置の製造装置は、ラビングロールの周面下端と液晶基板の所定の基準位置との間の接触,非接触を電気的に検出する接触検出手段と、前記接触検出手段の検出結果に基づいて前記ラビングロールと前記液晶基板の表面との相対的位置関係を制御することにより、前記液晶基板を前記ラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理させる制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、接触検出手段は、ラビングロールの周面下端と液晶基板の所定の基準位置との間の接触,非接触を電気的に検出する。電気的な検出法を採用しており、接触,非接触の確実な検出が可能である。制御手段は、接触点を基準にしてラビングロールと液晶基板の表面との相対的位置関係を制御する。こうして、制御手段は、液晶基板をラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理させる。接触,非接触を正確に検出しているので、ラビング強度を均質且つ正確に制御可能である。
【0019】
前記接触検出手段は、ラビングロール周面に取り付けた導電性を有するラビング布と、前記液晶基板の所定の基準位置に設けた導電性のパターンと、前記導電性のパターンに流れる電流を検出する電流検出手段とを具備したことを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、ラビング布は導電性を有しており、また、液晶基板の所定の基準位置には導電性のパターンが形成される。従って、ラビング布と導電性のパターンとが接触することにより、ラビング布に流れる電流が導電性のパターンを介して電流検出手段に流れる。電流検出手段は導電性のパターンに流れる電流を検出することによって、ラビングロールと液晶基板の所定の基準位置との接触,非接触を検出する。これにより、接触,非接触の確実な検出が可能である。
【0021】
前記電流検出手段は、前記液晶基板上に形成され前記導電性のパターンと電気的に接続されたコンタクト部と、前記コンタクト部に接続された電流センサとを具備したことを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、導電性のパターンに電気的に接続されたコンタクト部が設けられているので、電流センサをコンタクト部に接続することによって、容易に液晶基板の所定の基準位置に形成した導電性パターンに流れる電流を検出することができる。
【0023】
また、本発明に係る液晶装置の製造装置は、ラビングロールの周面下端と液晶基板の所定の基準位置との間の相対的位置を電気的に検出する相対位置検出手段と、前記相対位置検出手段の検出結果に基づいて前記ラビングロールと前記液晶基板の表面との相対的位置関係を制御することにより、前記液晶基板を前記ラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理させる制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、相対位置検出手段は、ラビングロールの周面下端と液晶基板の所定の基準位置との間の相対位置を電気的に検出する。電気的な検出法を採用しており、相対位置の確実な検出が可能である。制御手段は、検出した相対位置に基づいて、液晶基板をラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理させる。正確に相対位置の検出が行われるので、ラビング強度を均質且つ正確に制御可能である。
【0025】
前記相対位置検出手段は、ラビングロール周面に取り付けた導電性を有するラビング布と、前記液晶基板の所定の基準位置に設けた導電性のパターンと、前記導電性のパターンに流れる電流を検出する電流検出手段とを具備したことを特徴とする。
【0026】
このような構成によれば、ラビング布は導電性を有しており、また、液晶基板の所定の基準位置には導電性のパターンが形成される。従って、ラビング布と導電性のパターンとが接触することにより、ラビング布に流れる電流が導電性のパターンを介して電流検出手段に流れる。電流検出手段は導電性のパターンに流れる電流を検出することによって、ラビングロールと液晶基板の所定の基準位置との相対的位置を検出する。これにより、相対的位置の確実な検出が可能である。
【0027】
前記電流検出手段は、前記液晶基板上に形成され前記導電性のパターンと電気的に接続されたコンタクト部と、前記コンタクト部に接続された電流センサとを具備したことを特徴とする。
【0028】
このような構成によれば、導電性のパターンに電気的に接続されたコンタクト部が設けられているので、電流センサをコンタクト部に接続することによって、容易に液晶基板の所定の基準位置に形成した導電性パターンに流れる電流を検出することができる。
【0029】
本発明に係る液晶装置の製造方法は、ラビングロールの周面下端と液晶基板の所定の基準位置との間の接触,非接触を電気的に検出する接触検出手順と、前記接触検出手順の検出結果に基づいて前記ラビングロールと前記液晶基板の表面との相対的位置関係を制御することにより、前記液晶基板を前記ラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理させる制御手順とを具備したことを特徴とする。
【0030】
このような構成によれば、ラビングロールの周面下端と液晶基板の所定の基準位置との間の接触,非接触が電気的に検出される。この検出結果に基づいて、ラビングロールと液晶基板の表面との相対的位置関係が制御されて、液晶基板はラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理される。
【0031】
また、本発明に係る液晶装置の製造方法は、ラビングロールの周面下端と液晶基板の所定の基準位置との間の相対的位置を電気的に検出する相対位置検出手順と、前記相対位置検出手順の検出結果に基づいて前記ラビングロールと前記液晶基板の表面との相対的位置関係を制御することにより、前記液晶基板を前記ラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理させる制御手順とを具備したことを特徴とする。
【0032】
このような構成によれば、ラビングロールの周面下端と液晶基板の所定の基準位置との間の電気量によって相対位置が電気的に検出される。この検出結果に基づいて、ラビングロールと液晶基板の表面との相対的位置関係が制御されて、ラビングロールによって液晶基板が所定のラビング強度でラビング処理される。
【0033】
本発明の液晶装置の製造方法は、液晶基板を形成してなるマザーガラス基板の、前記液晶基板の形成部分以外の領域に、該マザーガラス基板の基準面となる接触検出部と、コンタクト部とを設け、前記コンタクト部に電流センサを接続する手順と、
前記マザーガラス基板が載置されるステージとラビングロールとの相対的位置を変化させながら、ラビングロールの周面下端と前記接触検出部との間に流れる電流を検出する接触検出手順と、
前記接触検出手順の検出結果によって前記マザーガラス基板の接触検出部と前記ラビングロールとの接触を検出して、前記ステージとラビングロールとの相対的位置の変化を停止させる手順と、
前記ラビングロールと前記マザーガラス基板の表面との相対的位置関係を補正することにより、前記液晶基板を前記ラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理させる制御手順とを具備したことを特徴とする。
【0034】
このような構成によれば、先ず、電流センサをマザーガラス基板上のコンタクト部に接続する。これにより、マザーガラス基板の所定の基準位置に流れる電流の検出が可能である。次に、マザーガラス基板が載置されるステージとラビングロールとの相対的位置を変化させながら、ラビングロールの周面下端とマザーガラス基板の所定の基準位置との間に流れる電流を検出する。この検出結果によって液晶基板の所定の基準位置とラビングロールとの接触が検出される。電流センサによって接触が検出されると、ステージとラビングロールとの相対的位置の変化が停止される。停止位置からラビングロールと液晶基板の表面との相対的位置関係が補正されて、液晶基板がラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理される。
すなわち、液晶基板を形成してなるマザーガラス基板に対し、その液晶基板の形成部分以外の領域に、該マザーガラス基板の基準面となる接触検出部を設け、この接触検出部とラビングロールとの接触を検出し、その後、ラビングロールとマザーガラス基板の表面との相対的位置関係を補正することにより、前記液晶基板を前記ラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理させるようにしたので、実際にラビング処理を行うマザーガラス基板を用いて直接、ラビングロールによる液晶基板に対する押し込み量を設定することにより、実際の製品となる液晶基板に対するラビング強度を高精度に制御することができる。
【0035】
また本発明の液晶装置の製造方法は、液晶基板を形成してなるマザーガラス基板の、前記液晶基板の形成部分以外の領域に、該マザーガラス基板の基準面となる接触検出部と、コンタクト部とを設け、前記コンタクト部に電流センサを接続する手順と、
前記マザーガラス基板が載置されるステージとラビングロールとの相対的位置を変化させながら、ラビングロールの周面下端と前記接触検出部との間に流れる電流を検出する検出手順と、
前記検出手順の検出結果によって前記マザーガラス基板の接触検出部と前記ラビングロールとの相対的位置を検出して、前記ラビングロールと前記マザーガラス基板の表面との相対的位置関係を制御することにより、前記液晶基板を前記ラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理させる制御手順とを具備したことを特徴とする。
【0036】
このような構成によれば、先ず、電流センサをマザーガラス基板上のコンタクト部に接続する。これにより、マザーガラス基板の所定の基準位置に流れる電流の検出が可能である。次に、マザーガラス基板が載置されるステージとラビングロールとの相対的位置を変化させながら、ラビングロールの周面下端とマザーガラス基板の所定の基準位置との間に流れる電流を検出する。この検出結果によってマザーガラス基板の所定の基準位置とラビングロールとの相対位置が検出される。電流センサによって相対位置が検出されると、ラビングロールとマザーガラス基板の表面との相対的位置関係に応じて、マザーガラス基板に形成された液晶基板がラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理される。
すなわち、液晶基板を形成してなるマザーガラス基板に対し、その液晶基板の形成部分以外の領域に、該マザーガラス基板の基準面となる接触検出部を設け、この接触検出部とラビングロールの周面下端との間に流れる電流を検出し、前記ラビングロールと前記マザーガラス基板の表面との相対的位置関係を制御することにより、前記液晶基板を前記ラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理させるようにしたので、実際にラビング処理を行うマザーガラス基板を用いて直接、ラビングロールによる液晶基板に対する押し込み量を設定することにより、実際の製品となる液晶基板に対するラビング強度を高精度に制御することができる。
【0037】
本発明に係る液晶装置は、上記液晶装置の製造方法によってラビング処理されたことを特徴とする。
【0038】
このような構成によれば、ラビング強度が確実に設定されているので、常に一定の表示品質が得られる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る液晶装置の製造装置を示す説明図である。図2は液晶装置の画素領域を構成する複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。図3はTFT基板等の素子基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板側から見た平面図であり、図4は素子基板と対向基板とを貼り合わせて液晶を封入する組立工程終了後の液晶装置を、図3のH−H'線の位置で切断して示す断面図である。また、図5は液晶装置を詳細に示す断面図である。図6はパネル組立工程を示すフローチャートである。図7は図1中のアレイ基板上の接触検出部及びコンタクト部を上面から示す説明図である。
【0040】
本実施の形態は、マザーガラス基板のままで組立工程中の最初に行われる洗浄工程から最後に行われる検査工程までを流動させ、液晶注入・封止後の検査工程終了後に、各液晶セルを分断するアレイ製造によるチップマウント方式を採用した例について説明する。即ち、チップマウント方式においては、ラビング工程もマザーガラス基板のままで行われる。本実施の形態においては、導電性のラビングロールを用いると共に、マザーガラス基板上にラビングロールとの接触を検出するための接触検出部を設けることによって、電気的に接触検出部の基準点を求め、これにより、ロール押し込み量の基準点を求めるようにしたものである。
【0041】
先ず、図2乃至図5を参照して、液晶パネルの構造について説明する。
【0042】
液晶パネルは、図3及び図4に示すように、TFT基板等の素子基板10と対向基板20との間に液晶50を封入して構成される。素子基板10上には画素を構成する画素電極等がマトリクス状に配置される。図2は画素を構成する素子基板10上の素子の等価回路を示している。
【0043】
図2に示すように、画素領域においては、複数本の走査線3aと複数本のデータ線6aとが交差するように配線され、走査線3aとデータ線6aとで区画された領域に画素電極9aがマトリクス状に配置される。そして、走査線3aとデータ線6aの各交差部分に対応してTFT30が設けられ、このTFT30に画素電極9aが接続される。
【0044】
TFT30は走査線3aのON信号によってオンとなり、これにより、データ線6aに供給された画像信号が画素電極9aに供給される。この画素電極9aと対向基板20に設けられた対向電極21との間の電圧が液晶50に印加される。また、画素電極9aと並列に蓄積容量70が設けられており、蓄積容量70によって、画素電極9aの電圧はソース電圧が印加された時間よりも例えば3桁も長い時間の保持が可能となる。蓄積容量70によって、電圧保持特性が改善され、コントラスト比の高い画像表示が可能となる。
【0045】
図5は、一つの画素に着目した液晶パネルの模式的断面図である。
【0046】
ガラスや石英等の素子基板10には、溝11が形成されている。この溝11上に遮光膜12及び第1層間絶縁膜13を介してLDD構造をなすTFT30が形成されている。溝11によって、TFT基板の液晶50との境界面が平坦化される。
【0047】
TFT30は、チャネル領域1a、ソース領域1d、ドレイン領域1eが形成された半導体層に絶縁膜2を介してゲート電極をなす走査線3aが設けられてなる。なお、遮光膜12は、TFT30の形成領域に対応する領域、後述するデータ線6a及び走査線3a等の形成領域、即ち各画素の非表示領域に対応した領域に形成されている。この遮光膜12によって、入射光がTFT30のチャネル領域1a、ソース領域1d及びドレイン領域1eに入射することが防止される。
【0048】
TFT30上には第2層間絶縁膜14が積層され、第2層間絶縁膜14上には中間導電層15が形成されている。中間導電層15上には誘電体膜17を介して容量線18が対向配置されている。容量線18は、容量層と遮光層とからなり、中間導電層15との間で蓄積容量を構成すると共に、光の内部反射を防止する遮光機能を有する。半導体層に比較的近接した位置に中間導電層15を形成しており、光の乱反射を効率よく防止することができる。
【0049】
容量線18上には第3層間絶縁膜19が配置され、第3層間絶縁膜19上にはデータ線6aが積層される。データ線6aは、第3及び第2層間絶縁膜19,14を貫通するコンタクトホール24a,24bを介してソース領域1dに電気的に接続される。データ線6a上には第4層間絶縁膜25を介して画素電極9aが積層されている。画素電極9aは、第4〜第2層間絶縁膜25,19,14を貫通するコンタクトホール26a,26bにより容量線18を介してドレイン領域1eに電気的に接続される。画素電極9a上にはポリイミド系の高分子樹脂からなる配向膜16が積層され、図1の装置によって所定方向にラビング処理されている。
【0050】
走査線3a(ゲート電極)にON信号が供給されることで、チャネル領域1aが導通状態となり、ソース領域1dとドレイン領域1eとが接続されて、データ線6aに供給された画像信号が画素電極9aに与えられる。
【0051】
一方、対向基板20には、TFTアレイ基板のデータ線6a、走査線3a及びTFT30の形成領域に対向する領域、即ち各画素の非表示領域において第1遮光膜23が設けられている。この第1遮光膜23によって、対向基板20側からの入射光がTFT30のチャネル領域1a、ソース領域1d及びドレイン領域1eに入射することが防止される。第1遮光膜23上に、対向電極(共通電極)21が基板20全面に亘って形成されている。対向電極21上にポリイミド系の高分子樹脂からなる配向膜22が積層され、所定方向にラビング処理されている。
【0052】
そして、素子基板10と対向基板20との間に液晶50が封入されている。これにより、TFT30は所定のタイミングでデータ線6aから供給される画像信号を画素電極9aに書き込む。書き込まれた画素電極9aと対向電極21との電位差に応じて液晶50の分子集合の配向や秩序が変化して、光を変調し、階調表示を可能にする。
【0053】
図3及び図4に示すように、対向基板20には表示領域を区画する額縁としての遮光膜42が設けられている。遮光膜42は例えば遮光膜23と同一又は異なる遮光性材料によって形成されている。
【0054】
遮光膜42の外側の領域に液晶を封入するシール材41が、素子基板10と対向基板20間に形成されている。シール材41は対向基板20の輪郭形状に略一致するように配置され、素子基板10と対向基板20を相互に固着する。シール材41は、素子基板10の1辺の一部において欠落しており、貼り合わされた素子基板10及び対向基板20相互の間隙には、液晶50を注入するための液晶注入口78が形成される。液晶注入口78より液晶が注入された後、液晶注入口78を封止材79で封止するようになっている。
【0055】
素子基板10のシール材41の外側の領域には、データ線駆動回路61及び実装端子62が素子基板10の一辺に沿って設けられており、この一辺に隣接する2辺に沿って、走査線駆動回路63が設けられている。素子基板10の残る一辺には、画面表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路63間を接続するための複数の配線64が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、素子基板10と対向基板20との間を電気的に導通させるための導通材65が設けられている。
【0056】
次に、図6を参照してパネル組立工程について説明する。素子基板10(TFT基板)と対向基板20とは、別々に製造される。ステップS1 ,S6 で夫々用意されたTFT基板及び対向基板20に対して、次のステップS2 ,S7 では、配向膜16,22となるポリイミド(PI)を塗布する。次に、ステップS3 ,S8 において、素子基板10表面の配向膜16及び対向基板20表面の配向膜22に対して、ラビング処理を施す。
【0057】
次に、ステップS4 ,S9 において、洗浄工程を行う。この洗浄工程は、ラビング処理によって生じた塵埃を除去するためのものである。洗浄工程が終了すると、ステップS5 において、シール材41、及び導通材65(図2参照)を形成する。シール材41を形成した後、次に、ステップS10で、素子基板10と対向基板20とを貼り合わせ、ステップS11でアライメントを施しながら圧着し、シール材41を硬化させる。最後に、ステップS12において、シール材41の一部に設けた切り欠きから液晶を封入し、切り欠きを塞いで液晶を封止する。
【0058】
図1において、ラビング装置は、ラビングステージ83及びラビングロール84を有している。ラビングステージ83上にはマザーガラス基板81が載置されるようになっている。マザーガラス基板81上には図3に示す素子基板(TFT基板)10と同様の素子基板が、組立て工程の前工程であるTFT基板工程において複数形成されている。マザーガラス基板81は、配向膜を構成するポリイミドが塗布されている。
【0059】
ラビングステージ83とラビングロール84とは相対的に移動自在であり、上下方向及び水平方向に相対的に移動する。例えば、ラビングステージ83の移動によって、マザーガラス基板81はその表面に平行で、ラビングロール84の回転軸に略垂直な方向に移動自在である。マザーガラス基板81の搬送路の上方に、ラビングロール84が設けられている。
【0060】
ラビングロール84は、円柱形状に構成され、円中心を軸にして周方向に回動自在である。ラビングロール84の周面には、例えばレーヨンで形成されたラビング布85が取り付けられている。
【0061】
本実施の形態においては、ラビング布85は導電性の材料、例えば、カーボンが練り込まれており、これにより、導電性を有する。一方、マザーガラス基板81は、図7に示すように、表面に複数の素子基板95(図2乃至図5の素子基板10に相当)が形成されている。更に、本実施の形態においては、マザーガラス基板81は、周辺の一部に導電材料を用いたパターンによって接触検出部82(斜線部)が構成されている。
【0062】
接触検出部82は、素子基板95の形成部分以外のいずれの位置に設けてもよい。しかし、作業性を考慮すると、接触検出部82を、ラビング時にラビングロール84が最初に接触する部分に設けた方がよい。
【0063】
上述したように、ラビングステージ83及びラビングロール84の少なくとも一方は垂直方向にも移動自在であり、ラビングロール84とラビングステージ83との相対距離が小さくなって0になることによって、ラビングロール84は接触検出部82に接触するようになっている。
【0064】
また、マザーガラス基板81上にはコンタクトプローブ91(図9参照)の電流測定ピン94を接触させるためのコンタクト部93(斜線部)も形成されている。コンタクト部93は、マザーガラス基板81の周辺の一部に導電材料を用いて形成されたパターンであり、接触検出部82と電気的に接続されている。なお、コンタクト部93も、素子基板95の形成部分以外のいずれの位置に設けてもよい。
【0065】
コンタクトプローブ91は電流センサ86に接続されている。ラビングロール84はラビング布85に電流を流すことができるようになっている。電流センサ86は、コンタクト部93に流れる電流をコンタクトプローブ91を介して測定し、測定結果を制御回路87に出力することができる。即ち、ラビングロール84のラビング布85が接触検出部82に接触することによって、ラビング布85からの電流が接触検出部82、コンタクト部93及びコンタクトプローブ91を介して電流センサ86に流れて、電流センサ86によって接触を検出することができるようになっている。
【0066】
なお、ラビングステージ83とラビングロール84との水平及び垂直方向の相対的な移動は、制御回路87によって制御されるようになっている。制御回路87は、ラビング強度を安定化させるための一定の最適な押し込み量Mが得られるように、ラビングステージ83,ラビングロール84の垂直方向の移動を制御する。
【0067】
次に、このように構成された実施の形態の動作について図8乃至図10を参照して説明する。図8は押し込み量の基準点を求めてラビングステージ83とラビングロール84との垂直方向の位置関係を決定してラビングを行う場合の動作フローを示すフローチャートである。図9及び図10はラビング工程の動作を工程順に説明するための説明図である。
【0068】
TFT基板と対向基板とは、別々に製造される。上述したように、本実施の形態においては、TFT基板投入工程から分断工程が行われるまでの間は、マザーガラス基板上に形成された各TFT基板が分断されることなく一体的に処理されるいわゆるアレイ製造によるチップマウント方式が採用される。マザーガラス基板81上には図3に示す素子基板(TFT基板)10と同様の素子基板95が、組立て工程の前工程であるTFT基板工程において複数形成されている。
【0069】
ラビング工程が開始されると、図8のステップS21において、素子基板がアレイ状に形成されているマザーガラス基板81が投入される。図9(a)はこの状態を示しており、ラビングステージ83上にマザーガラス基板81が載置されている。この時点では、ラビングステージ83とラビングロール84(ラビング布85)とは離間している。
【0070】
ステップS22では、ラビングロール84のラビング布85が接触検出部82の近傍に位置するように、ラビングロール84又はラビングステージ83を相対的に移動させる。例えば、図9では矢印に示すように、ラビングステージ83を上方に移動させる例を示している。ラビングステージ83とラビングロール84との相対的な移動は制御回路87によって制御されており、制御回路87はラビングステージ83とラビングロール84との相対的な移動の移動量を管理する。図9(b)はラビングロール84のラビング布85が接触検出部82の近傍に位置した状態を示している。
【0071】
次に、ステップS23において電流測定ピン94をコンタクト部93に接触させる。これにより、接触検出部82はコンタクト部93、電流測定ピン94及びコンタクトプローブ91を介して電流センサ86に電気的に接続される。一方、ラビングロール84はラビング布85に電流を流す。図9(c)はこの状態を示している。
【0072】
次に、ステップS24において、制御回路87はラビングステージ83を上昇させる。一方、電流センサ86は、ステップS25において、コンタクトプローブ91に流れる電流を検出する。図10(a)はこの状態を示している。
【0073】
ラビングロール84のラビング布85が接触検出部82に接触していない状態では、ラビング布85から接触検出部82に電流は流れない。ラビングロール84のラビング布85が接触検出部82に接触すると、ラビング布85から接触検出部82に電流が流れ、更に、コンタクト部93、電流測定ピン94及びコンタクトプローブ91を介して電流センサ86に電流が流れる。
【0074】
ラビング布85が接触検出部82に最初に接触する時点では、ラビング布85と接触検出部82とが接触している部分の長さ(以下、接触長という)とは極めて小さく、電流センサ86に流れる電流量は極めて微少であるか又は不定である。そこで、電流センサ86は、ステップS26において、検出した電流量が所定の基準電流値に到達した場合に、ラビング布85が接触検出部82に接触したものと判断する。
【0075】
電流センサ86の検出結果は制御回路87に供給されており、制御回路87によって、電流センサ86が基準電流値以上の電流を検出するまで、ラビングステージ83を上昇させる。電流センサ86が検出する電流量が基準電流値に到達すると、制御回路87は、ラビングステージ83の上昇移動を停止させる(ステップS27)。図10(b)はこの状態を示している。
【0076】
次に、ステップS28において、電流測定ピン94をコンタクト部93から取り外す。接触検出部82の表面の垂直方向位置と素子基板95表面の配向膜(図5の配向膜16に相当)との垂直方向位置が異なることがある。そこで、制御回路87は、ステップS29において、接触検出部82の表面及び配向膜表面の垂直位置情報を基に押し込み量の基準位置を判断し、所定の押し込み量を得る相対位置にラビングロール84とラビングステージ83との少なくとも一方を垂直方向に移動させる。
【0077】
この状態で、図10(c)に示すように、ラビングロール84を回転させながら、ラビングロール84とラビングステージ83とを水平方向に相対的に移動させる。これにより、ラビング布85によって配向膜がラビング処理される(ステップS30)。
【0078】
このように、本実施の形態においては、ラビング布85がマザーガラス基板81上の基準面となる接触検出部82に接触したことを電気的に検出しており、接触時の垂直位置の検出精度は極めて高い。そして、接触検出部82の垂直位置に基づいて、押し込み量の基準位置を判断し、ラビングステージ83とラビングロール84との相対位置を所定の押し込み量が得られる位置に移動させており、ラビング強度を高精度に制御することが可能である。
【0079】
なお、一旦接触検出部82の基準位置を求めた場合には、同種のマザーガラス基板に対するラビング処理については、一度算出した基準位置を利用することができる。従って、この場合には、マザーガラス基板の種類毎に1回だけ接触検出部82の基準位置を求めればよい。また、ラビングロールについても種類毎に径及びラビング布の厚さ等が異なる。従って、ラビングロールの交換毎に接触検出部82の基準位置を求めるようにしてもよい。これにより、ラビングロールを取り替えた場合でも、常に一定した押し込み量を得ることができ、常に一定の表示特性を有する液晶装置を得ることができる。更に、ラビングの回数によって、ラビング布に変化等が発生することを考慮し、所定枚数のマザーガラス基板をラビング処理する毎に接触検出部82の基準位置を求めて、押し込み量の基準位置を判断するようにしてもよい。
【0080】
ところで、第1の実施の形態においては、ラビング布がマザーガラス基板上の接触検出部に接触することによって接触検出部の基準位置を求め、この基準位置に基づいて押し込み量の基準位置を求めた。しかし、接触検出部に流れる電流量は、ラビング布と接触検出部との接触長に応じて変化する。即ち、ラビング布と接触検出部との垂直方向の相対的な位置関係を電流値から把握することができる。
【0081】
図11はこの関係を説明するためのグラフであり、横軸にラビングロールとラビングステージとの相対位置dをとり、縦軸に電流量Iをとっている。図11のグラフに示すように、電流量を測定することによって、ラビングロールとラビングステージとの相対位置、即ち、押し込み量の基準位置を把握することが可能である。
【0082】
即ち、図8のフローチャートのステップS26において、電流量が所定の電流に到達したか否かを判断するようにすればよい。電流値によって直接押し込み量を制御することが可能である。
【0083】
ところで、第1の実施の形態においては、ラビング布85が導電性の材料が練り込まれているものとして説明した。しかし、ラビングロール84の略全長に亘って導電性を有する部分を設ける必要はない。例えば、ラビングロール84のうち実際のラビングに寄与しないロールのデッドゾーンのみに、導電性素材を用いるようにしてもよい。この場合には、導電性を有する繊維のゾーンが狭いので、ラビングロールを安価に構成することができるという利点がある。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、最適なラビング強度の設定を可能にして、常に一定の表示特性を有する液晶装置を得ることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る液晶装置の製造装置を示す説明図。
【図2】液晶装置の画素領域を構成する複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図。
【図3】TFT基板等の素子基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板側から見た平面図。
【図4】素子基板と対向基板とを貼り合わせて液晶を封入する組立工程終了後の液晶装置を、図3のH−H'線の位置で切断して示す断面図。
【図5】液晶装置を詳細に示す断面図。
【図6】パネル組立工程を示すフローチャート。
【図7】図1中のアレイ基板上の接触点検出部及びコンタクト部を上面から示す説明図。
【図8】実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図9】ラビング工程の動作を工程順に説明するための説明図。
【図10】ラビング工程の動作を工程順に説明するための説明図。
【図11】ラビング布と接触検出部との垂直方向の相対位置と電流値との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
81…マザーガラス基板
82…接触検出部
83…ラビングステージ
84…ラビングロール
85…ラビング布
86…電流センサ
Claims (3)
- 液晶基板を形成してなるマザーガラス基板の、前記液晶基板の形成部分以外の領域に、該マザーガラス基板の基準面となる接触検出部と、コンタクト部とを設け、前記コンタクト部に電流センサを接続する手順と、
前記マザーガラス基板が載置されるステージとラビングロールとの相対的位置を変化させながら、ラビングロールの周面下端と前記接触検出部との間に流れる電流を検出する接触検出手順と、
前記接触検出手順の検出結果によって前記マザーガラス基板の接触検出部と前記ラビングロールとの接触を検出して、前記ステージとラビングロールとの相対的位置の変化を停止させる手順と、
前記ラビングロールと前記マザーガラス基板の表面との相対的位置関係を補正することにより、前記液晶基板を前記ラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理させる制御手順とを具備したことを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 液晶基板を形成してなるマザーガラス基板の、前記液晶基板の形成部分以外の領域に、該マザーガラス基板の基準面となる接触検出部と、コンタクト部とを設け、前記コンタクト部に電流センサを接続する手順と、
前記マザーガラス基板が載置されるステージとラビングロールとの相対的位置を変化させながら、ラビングロールの周面下端と前記接触検出部との間に流れる電流を検出する検出手順と、
前記検出手順の検出結果によって前記マザーガラス基板の接触検出部と前記ラビングロールとの相対的位置を検出して、前記ラビングロールと前記マザーガラス基板の表面との相対的位置関係を制御することにより、前記液晶基板を前記ラビングロールによって所定のラビング強度でラビング処理させる制御手順とを具備したことを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 上記請求項1又は2のいずれか1つに記載の液晶装置の製造方法によってラビング処理されたことを特徴とする液晶装置。
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