JP3800802B2 - バンプ製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、バンプ製造方法に関し、特に、ウエットバック技術を用いたはんだボールバンプの製造に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化をより一層進展させるためには、部品実装密度をいかに向上させるかが重要なポイントとなる。こと半導体集積回路(IC)の実装に関しても、従来のパッケージ実装の代替として、ベアチップを直接プリント配線基板にマウントするフリップチップ実装法など高密度実装技術の開発が盛んに行われている。
【0003】
このプリップチップ実装法の一つに、ICチップのアルミニウム(Al)電極パッド上に、はんだボールバンプを形成したものをプリント配線基板に実装する方法がある。このはんだボールバンプを所定のAl電極パッド上に形成する方法としては、電解メッキ法を用いた方法があるが、この場合、成膜されるはんだ膜の厚さが、下地の表面状態や電気抵抗のわずかなばらつきによる影響を受けるため、チップ内で高さが均一に揃ったはんだボールバンプの形成を行うことは基本的に難しいという問題がある。
【0004】
そこで、はんだボールバンプの高さのばらつきを抑制することができる方法として、真空蒸着法によるはんだ膜の成膜と、レジストパターンのリフトオフとを用いてはんだボールバンプを形成する方法がある。この方法を用いたはんだボールバンプの製造方法の一例を図4を参照しながら、以下に説明する。
【0005】
すなわち、このはんだボールバンプの製造方法においては、まず、図4Aに示すように、例えばシリコン(Si)基板のような半導体基板101に回路素子などが形成されたウェハWにおいて、半導体基板101上の所定部分に、スパッタリング法およびエッチング法により、Al−Cu合金からなる所定形状の電極パッド102を形成する。次に、ウェハWの全面に、例えば窒化シリコン(SiN)膜やポリイミド膜のような表面保護膜103を被覆した後、この表面保護膜103の電極パッド102上に対応する部分に開口103aを形成する。
【0006】
次に、ウェハWの全面にスパッタリング法により、例えばクロム(Cr)膜、銅(Cu)膜および金(Au)膜を順次積層してCr/Cu/Au膜を形成した後、このCr/Cu/Au膜を所定形状にパターニングすることにより、このパターニングされたCr/Cu/Au膜からなるBLM(Ball Limiting Metal )膜104を形成する。このBLM膜104は、下地の電極パッド102と後に形成される上層金属膜との間の密着性の向上を図り、かつ、両者の間の相互拡散を防止するためのバリアメタルとしての役割を有する。
【0007】
次に、図4Bに示すように、ウェハWの全面にレジスト膜を形成した後、このレジスト膜をリソグラフィー法により所定形状にパターニングする。符号105は、これによって形成された所定形状のレジストパターンを示す。このレジストパターン105は、このBLM膜104上に対応する部分に所定の寸法の開口部105aを有する。
【0008】
次に、図4Cに示すように、ウェハWの全面に真空蒸着法によりはんだ膜106を形成した後、図4Dに示すように、リフトオフ法により、レジスト膜105をその上のはんだ膜106と共に除去する。これにより、はんだ膜106の不要部分が除去され、はんだ膜106が所望の形状にパターニングされる。この後、熱処理を行ってはんだ膜106を溶融させることで、最終的に図4Eに示すように、ほぼ球状のはんだボールバンプ107を形成する。
【0009】
ここで、熱処理によってはんだ膜106を球状に丸める工程は、通常、ウエットバックと呼ばれる。このウエットバック工程は、例えば窒素(N2 )雰囲気中で、温度調節されたホットプレート上に順次ウェハWを連続搬送してゆくことにより行われるのが一般的である。図5に、従来のはんだボールバンプの製造方法においてウエットバック工程に用いられる熱処理装置の構成の一例を示す。
【0010】
図5に示すように、この熱処理装置においては、加熱処理室201の内部に、複数の熱処理部が直列に配置されている。各熱処理部は、例えば6インチウェハ対応のウェハステージ202a〜202dを有している。これらのウェハステージ202a〜202dは、それぞれ加熱手段としてのヒータ203a〜203dを内蔵している。これらの各熱処理部における温度は、ヒータ203a〜203dを用いてPID(Proportional Integral and Differential)制御を行うことにより調整、維持される。また、加熱処理室201には、ウェハ搬入口の近傍にガス導入口204が設けられていると共に、ウェハ搬出口の近傍にガス排気口205が設けられ、これによって、ガス導入口204を通じて加熱処理室201の内部に窒素ガスのような雰囲気ガスを導入し、この雰囲気ガスをガス排気口205から排気することによって、加熱処理室201内の雰囲気制御が行われるようになっている。
【0011】
また、この熱処理装置においては、図示省略したハンドラのようなウェハ搬送手段を用いることにより、ウェハカセット206からウェハWを取り出し、このウェハWをウェハ搬入口から加熱処理室201の内部に搬入し、各熱処理部において順次所定の熱処理を行った後、ウェハ搬出口からウェハWを搬出してウェハカセット207に収納するという一連の操作が行われるようになっている。
【0012】
ところで、上述の従来のはんだボールバンプの製造方法におけるウエットバック工程においては、はんだ膜106の表面に自然酸化膜(主に酸化すず)が厚く形成されている場合は、熱処理を行ってもはんだの溶融が均等に進まず、はんだボールバンプ107の形成がうまく行えなくなってしまうという問題がある。そのため、従来のはんだボールバンプの製造方法においては、リフトオフによりはんだ膜106をパターニングした後、ウエットバック工程によるはんだ膜106の加熱溶融処理を行う前に、通常、はんだ膜106の表面に、予め、還元作用や表面活性作用を有するフラックス(主成分は、アミン系活性剤、アルコール系溶媒、ロジンおよびポリグリコール等の樹脂成分)を均一にコーティングするようにしている。そして、その状態から熱処理を行うことで、はんだの溶融および表面張力によりはんだが球状に丸まることを促進してやり、安定したはんだボールバンプ107の形成を実現している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術によるはんだボールバンプの製造方法のように、はんだボールバンプ形成の安定化のためにウエットバック工程においてフラックスを用いる場合、熱処理によってはんだボールバンプ107が形成された後のウェハW(図4E参照)に対して有機薬液洗浄を行い、フラックスを洗い落とす工程が行われる。しかしながら、このとき、熱処理中にフラックス内の有機成分が炭化してウェハ表面にこびり着いてしまっていたり、その洗浄方法が不適切だったりすると、フラックス内の固形分が洗浄後も除去しきれずに、これが残渣としてはんだボールバンプ107の表面やその近傍に残ってしまうことがあった。このため、従来のはんだボールバンプの製造方法においては、このフラックスに起因する残渣不良が頻繁に発生してしまうという問題があった。また、このようにしてはんだボールバンプが形成されたデバイスチップをプリント配線基板上にフリップチップ実装して製品の組み立てを行った場合、その製品の信頼性および耐久性の低下に繋がるという問題があった。
【0014】
こうした中、フラックス残渣による不良発生やはんだボールバンプ中への不純物の取り込みを回避すべく、はんだボールバンプの製造方法において、フラックスフリーのウエットバック工程プロセスを確立することが切望されている。
【0015】
したがって、この発明の目的は、フラックスを用いずとも安定にバンプ形成を行うことができ、しかも、高い信頼性を有するバンプを形成することができるバンプ製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明によるバンプ製造方法は、
金属膜が選択的に形成された基体に対して光照射を行うことにより金属膜の表面処理を行うと同時に、基体の表面にガス噴射ノズルからガスを吹きつけ、基体の表面からの離脱物を吸入ノズルにより吸引除去する工程と、
金属膜の加熱溶融処理を行うことによりバンプを形成する工程
とを有することを特徴とする。
この発明によるバンプ製造方法はまた、
金属膜が選択的に形成された基体に対して光照射を行うことにより金属膜の表面に熱膨張を生じさせて表面付着物を離脱させるとともに金属膜の表面の酸化物の除去および金属膜の表面の活性化を行う工程と、
金属膜の加熱溶融処理を行うことによりバンプを形成する工程
とを有することを特徴とする。
【0017】
この発明においては、金属膜として、典型的には例えばはんだ膜が用いられる。
【0018】
この発明において、金属膜の加熱溶融処理は、雰囲気中に残存する酸素や水分による金属膜の酸化を防止するために、減圧下(すなわち高真空下)および/または非酸化性ガス雰囲気中で行うようにすることが好ましい。ここで、非酸化性ガスとしては、例えば窒素(N2 )ガスまたはアルゴン(Ar)ガスなどの不活性ガスを用いることができるほか、例えば水素(H2 )ガス、フッ化水素(HF)ガス、塩化水素(HCl)ガスなどの還元性ガスを用いることができ、また、これらの不活性ガスおよび還元性ガスの混合ガスを用いることもできる。
【0019】
この発明において、金属膜の表面処理は、加熱溶融処理を行う前の前処理として、表面の付着物や自然酸化膜の除去ならびに表面の活性化を目的として行われる処理である。この金属膜の表面処理を行った後、金属膜の加熱溶融処理を行うまでの間は、基体を大気にさらすことの無いように、例えば真空中または非酸化性ガス雰囲気中を搬送することが好ましい。
【0020】
この発明において、金属膜の表面処理に用いられる光としては、好適には例えばレーザ光が用いられるが、自然放出光を用いることも可能である。光の照射エネルギーは、金属膜の表面に熱膨張を生じさせ有機物などからなる付着物や低級酸化物などからなる自然酸化膜を、金属膜の表面から解離させるのに十分で、かつ、金属膜を完全に溶融させたり基体にダメージを与えないような範囲に選ばれる。また、この光の波長帯域は、例えば真空紫外領域、紫外領域、可視領域、近赤外領域の何れであってもよいが、短波長化する程、したがって、フォトンエネルギーが高くなる程、金属膜の表面を活性化する効果が高まる。このため、金属膜の表面処理用の光としては、好適には例えばフォトンエネルギーが1eV以上の光が用いられ、より好適には真空紫外領域または紫外領域の光が用いられる。
【0021】
上述のように構成されたこの発明によれば、金属膜の加熱溶融処理の前処理として、金属膜が選択的に形成された基体に対して光照射による金属膜の表面処理を行うようにしていることにより、このときの光の照射エネルギーを受けることによって、金属膜の表面層に極めて急激な熱膨張が起こり、表面付着物の離脱が促進され、また、フォトンエネルギーを受けることによって、金属膜の表面が還元状態になり低級酸化物のような酸化物が除去されると共に、金属膜の表面が活性化される。このように光照射による金属膜の表面処理を行うことにより、清浄で活性な金属面を有する金属膜が得られる。そして、この状態から金属膜の加熱溶融処理を行うことで、清浄で活性な表面状態から金属膜の溶融が始まるようになるため、フラックスを用いずとも安定にバンプ形成を行うことができる。この際、この加熱溶融処理を減圧下および/または非酸化性ガス雰囲気中で行うことにより、処理中に金属膜が酸化されることを効果的に防止することができる。その結果、フラックスに起因して従来多発していた残渣不良やバンプ中への不純物の取り込みの問題が解消され、高信頼性を有するウエットバックプロセスを確立することができるようになる。
【0022】
また、高真空下であっても、雰囲気中に微量に残存している酸素や水分が、金属膜の溶融の際にその内部に取り込まれ、その結果、出来上がり後のバンプ内に局所的に酸化物や空孔が取り込まれることによって欠陥が生じることがあるが、金属膜の加熱溶融処理を少なくとも還元性ガスを含む雰囲気中で行う場合は、そのような残留酸素や残留水分による欠陥の発生を、ほぼ完全に防止することができる。また、この場合、この前処理として行われる光照射による金属膜の表面処理によって除去しきれなかったり、一度除去された後に再付着したような酸化物が極わずかに金属膜の表面に残存していたとしても、これを化学的に還元しながら金属膜の溶融が進行するようになり、より高い信頼性を有するバンプの形成が可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
まず、この発明の第1の実施形態によるはんだボールバンプの製造方法について説明する。図1は、この第1の実施形態によるはんだボールバンプの製造方法においてウエットバック工程に用いられる熱処理装置の一例を示す。この熱処理装置は、少なくとも被処理基板に対して光照射を行うことが可能な前処理室を具備し、かつ、減圧下で被処理基板の加熱処理を行うことが可能なものである。
【0025】
すなわち、図1に示すように、この熱処理装置は、ロードロック室1、前処理室2、加熱処理室3およびロードロック室4を有している。そして、これらのロードロック室1、前処理室2、加熱処理室3およびロードロック室4が、それぞれ、ゲートバルブ5を介して直列に連結されている。また、符号6、7は、ウェハカセットを示す。なお、図示は省略するが、各室毎に真空ポンプのような真空排気装置が設けられ、これによって、各室毎に内部の真空排気が行われるようになっている。
【0026】
前処理室2の内部には、例えば6インチウェハ対応のウェハステージ11と、ウェハWにレーザ光12を照射するためのレーザ源(図示せず)とが互いに対向して設けられている。レーザ源としては、例えばKrFエキシマレーザ(発振波長λ=248nm)が用いられる。この場合、レーザ光12はパルス光である。なお、このレーザ光12は、例えばレンズにより集光されてウェハWに照射される。ウェハステージ11は、そのウェハ設置面と平行な方向に移動可能となっている。そして、ウェハWを載せた状態でウェハステージ11を平行移動させることにより、ウェハWの全面に対して、レーザ光12のビームスポットが所定のスキャン速度で照射されるようになっている。このウェハステージ11の動きについては、例えば、レーザパルスと同期した制御が行われるようになっている。
【0027】
この前処理室2の内部にはまた、ガス噴射ノズル13および吸入ノズル14が設けられている。そして、ガス噴射ノズル13から例えばN2 ガスのような不活性ガスをジェットガス化したものをウェハWの表面(特に、レーザ光12の照射位置の近傍)に吹きつけてやり、レーザ光12の照射によってウェハWの表面から浮遊した離脱物15(例えば表面に付着していた有機物や自然酸化膜)を吸入ノズル14によって吸引、除去することにより、ウェハWの表面からの離脱物15の効果的な除去および離脱物15の再付着の防止を実現している。なお、ガス噴射ノズル13および吸入ノズル14を用いたジェットガスの吹きつけのみによっても一定のクリーニング効果を得ることはできるが、ここでは、光照射およびジェットガスの吹きつけを併用することにより、より高いクリーニング効果を得るようにしている。
【0028】
この前処理室2に隣接した加熱処理室3の内部には、温度設定を独立して行うことが可能な複数の熱処理部が直列に配列されている。前処理室2からこの加熱処理室3内に搬入されたウェハWは、これらの熱処理部において順次所定の熱処理が行われた後、この加熱処理室3からロードロック室4に搬出されるように構成されている。
【0029】
この加熱処理室3における各熱処理部は、例えば6インチウェハ対応のウェハステージ21a〜21dを有している。これらのウェハステージ21a〜21dは、それぞれ加熱手段としてのヒータ22a〜22dを内蔵している。また、各熱処理部には、ウェハステージ21a〜21dに対向して、加熱手段としての赤外線ランプ23a〜23dが設けられている。そして、各熱処理部の設定温度は、これらのヒータ22a〜22dと赤外線ランプ23a〜23dとの2系統の加熱手段を併用してPID制御を行うことにより、精密かつ迅速に調整、維持されるようになっている。
【0030】
また、この加熱処理室3には、前処理室2側のウェハ搬入口の近傍にガス導入口24が設けられていると共に、ロードロック室4側のウェハ搬出口の近傍にガス排気口25が設けられている。そして、ガス導入口24を通じて、非酸化性ガスのような雰囲気ガスを加熱処理室3の内部に導入し、この雰囲気ガスをガス排気口25から排気することによって、加熱処理室3内の雰囲気制御が行われる。加熱処理室3内の圧力は、これらのガス導入口24およびガス排気口25を通じたガスの供給速度と排気速度とのバランスに応じて決定される。
【0031】
上述のように構成されたこの熱処理装置においては、図示省略したハンドラのようなウェハ搬送手段を用いることにより、ロードロック室1内に設置されたウェハカセット6からウェハWを取り出して搬送してゆき、前処理室2および加熱処理室3において対応する処理を順次施した後、ロードロック室4内に設置されたウェハカセット7に収納するという一連の動作が行われるようになっている。
【0032】
以下に、この発明の第1の実施形態によるはんだボールバンプの製造方法について、図2を参照しながら説明する。
【0033】
すなわち、この第1の実施形態によるはんだボールバンプの製造方法においては、まず、図2Aに示すように、例えばSi基板のような半導体基板51に回路素子などが形成されたウェハWにおいて、半導体基板51上の所定部分に、スパッタリング法およびエッチング法により、例えばAl−Cu合金からなる所定形状の電極パッド52を形成する。なお、この電極パッド52の材料としては、Al−Cu合金以外のAl合金や純Alを用いてもよく、また、これら以外にも、例えば銅(Cu)、銀(Ag)またはこれらの合金を用いてもよい。
【0034】
次に、ウェハWの全面に、例えばSiN膜やポリイミド膜のような表面保護膜53を被覆した後、この表面保護膜53の電極パッド52上に対応する部分に開口部53aを形成する。
【0035】
次に、ウェハWの全面にスパッタリング法により、例えばCr膜、Cu膜およびAu膜を順次積層してCr/Cu/Au膜を形成した後、このCr/Cu/Au膜を所定形状にパターニングすることにより、このパターニングされたCr/Cu/Au膜からなるBLM膜54を形成する。このBLM膜54は、下地の電極パッド102と後に形成される上層金属膜との間の密着性の向上を図り、かつ、両者の間の相互拡散を防止するためのバリアメタルとしての役割を有する。
【0036】
次に、図2Bに示すように、ウェハWの全面にレジスト膜を形成した後、このレジスト膜をリソグラフィー法により所定形状にパターニングする。符号55は、これによって形成された所定形状のレジストパターンを示す。このレジストパターン55は、BLM膜54上に対応する部分に所定の寸法の開口部55aを有する。
【0037】
次に、図2Cに示すように、ウェハWの全面に真空蒸着法によりはんだ膜56を形成した後、図2Dに示すように、リフトオフ法により、レジスト膜55をその上のはんだ膜56と共に除去する。これにより、はんだ膜56の不要部分が除去され、はんだ膜56が所望の形状にパターニングされる。
【0038】
次いで、上述のようにはんだ膜56のパターニングまで行った状態のウェハWを図1に示した加熱処理装置に搬入し、前処理室2においてウェハWに対して光照射による前処理を施した後、加熱処理室3において、例えば減圧下の非酸化性ガス雰囲気中ではんだ膜56の加熱溶融処理を行う。
【0039】
具体的には、大気圧に窒素パージされたロードロック室1内に、図2Dに示す状態のウェハWを収納したウェハカセット6を設置した後、ロードロック室1内を真空排気する。このロードロック室1内の圧力と、これに隣接する前処理室2内の圧力とがある程度釣り合ったところで両者の間のゲートバルブ5を開けて、ウェハカセット6からウェハWを取り出し、このウェハWを真空排気された前処理室2内に搬入する。
【0040】
この前処理室2においては、図3に示すように、ウェハWのはんだ膜パターン形成面に、上方からレーザ光12を照射することにより、はんだ膜56の表面処理を行う。具体的には、一例として以下に示すプロセス条件で、溶融前のはんだ膜56の表面処理を行う。すなわち、レーザ源としてKrFエキシマレーザ(発光波長248nm)を用い、そのパルス周波数を50Hz、パルス幅を15msとし、1パルス当たりの照射エネルギー密度を100〜1000mJ/cm2 、好適には150〜1000mJ/cm2 、具体的には400mJ/cm2 とする。また、ウェハステージ11の移動によるスキャン速度を50mm/sとし、この際、ウェハステージ11の動きとレーザパルスとを同期させ、ウェハWに一定のオーバーラップでレーザ光12を照射して、例えば、1ショットあたりのパルス数を1または2以上とし、ショット繰り返し周波数を30Hzとして、ウェハWの各部位に少なくとも30ショットの光照射が行われるようにし、ウェハWの面内で照射量がほぼ均一となるように、ウェハステージ11の動きを制御する。また、このレーザ光12の照射と同時に、ウェハWの表面にガス噴射ノズル13からジェットガスを吹きつけ、ウェハWの表面からの離脱物15、すなわち、レーザ光12の照射を受けてはんだ膜の表面から浮遊した有機物などの付着物や低級酸化物からなる自然酸化膜を、吸入ノズル14で吸引して除去することにより、高いクリーニング効果を得るようにしている。この場合、ウェハWに吹きつけるジェットガスとして、例えばN2 のジェットガスを用い、その流量を例えば20l/sとする。
【0041】
この結果、はんだ膜56の表面に付着していた有機物や自然酸化膜が除去されて、はんだ膜56に清浄なはんだ面が露出すると同時に、最表面のはんだ原子層は、約5eVの高エネルギーのフォトンの作用を受けて化学的に活性な状態となる。
【0042】
この前処理室2でのはんだ膜56の表面処理を行った後、ウェハWを真空搬送して、これに隣接する加熱処理室3にウェハWを搬入し、この加熱処理室3において、減圧下で温度調節されているウェハステージ21a〜21d上で、はんだ膜56の加熱溶融処理を行う。このとき、出来上がり後のはんだボールバンプをより緻密なものに形成するため、および、急激な熱拡散によってバリアメタル(BLM膜54)との界面に欠陥が発生することを防止するために、各ウェハステージ21a〜21dの設定温度を互いに異なる値に設定し、段階的な昇温/降温を行うことにより、徐熱徐冷による熱処理を施す。具体的には、一例として以下のような条件で熱処理を行う。すなわち、雰囲気ガスとしてN2 ガスを用い、その流量を350sccm、圧力を75mTorr(10Pa)とし、ウェハステージ21aの設定温度を150℃、ウェハステージ21bの設定温度を250℃、ウェハステージ21cの設定温度を350℃、ウェハステージ21cの設定温度を200℃とする。また、各ウェハステージ21a〜21dにおけるウェハWの保持時間(熱処理時間)は、例えば30秒とする。
【0043】
なお、この加熱処理室3の各熱処理部における熱処理は、ウェハステージ21a〜21dに内蔵されたヒータ22a〜22d、ならびに、ウェハステージ21a〜21dに対向配置された赤外線ランプ23a〜23dによって、迅速かつ均一なウェハ温度制御が実現されている。また、この場合、ウェハステージ21cの設定温度は、はんだ膜56の融点以上とされ、このウェハステージ21cにおける熱処理によって、実質的なはんだ膜56の収縮が始まるようにされている。
【0044】
上述のように、表面処理によってはんだ膜56の表面が清浄化されているウェハWに対して、減圧下の窒素雰囲気中で一連の加熱溶融処理を行った結果、図2Eに示すように、良好なはんだボールバンプ57が形成される。
【0045】
以降は、上述のようにしてはんだボールバンプ57が形成されたウェハWを、個別のデバイスチップに分割し、このLSIチップを、はんだボールバンプ形成面が下側を向くようにしてプリント配線基板に対向配置する。そして、このプリント配線基板上の予備はんだ付けされた導体パターンとはんだボールバンプ57とを、位置合わせした上で加熱溶着する。これにより、はんだボールバンプが形成されたデバイスチップのプリント配線基板へのフリップチップ実装が完了する。
【0046】
以上のように、この第1の実施形態によれば、はんだ膜56のパターニングまで行ったウェハWに対して、光照射によるはんだ膜56の表面処理を行った後、減圧下の窒素雰囲気中ではんだ膜56の加熱溶融処理を行ってはんだボールバンプ57を形成するようにしていることにより、フラックスを用いずとも、はんだ膜56の表面の有機物および自然酸化膜の除去、ならびに、はんだ膜56の表面の活性化を行うことができるため、ウエットバック工程においてフラックスに起因して従来多発していた残渣不良やはんだボールバンプへの不純物の取り込みを、ほぼ完全に防止することができる。
【0047】
そして、このようにしてはんだボールバンプが形成されたデバイスチップをプリント配線基板上にフリップチップ実装して組み立てられた製品デバイスは、信頼性および耐久性が従来のものに比べて大幅に改善されることが確認された。
【0048】
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態によるはんだボールバンプの製造方法においては、はんだ膜56の加熱溶融処理を、例えばH2 ガスのような還元性ガスを含む雰囲気中で行うようにしている。
【0049】
すなわち、この第2の実施形態によるはんだボールバンプの製造方法においては、第1の実施形態によるはんだボールバンプの製造方法と同様に工程を進めて、図2Dに示すようにはんだ膜56をパターニングする工程まで行う。次に、図2Dに示す状態のウェハWを図1に示す熱処理装置に搬入して、第1の実施形態によるはんだボールバンプの製造方法と同様に、前処理室2におけるはんだ膜溶融前の表面処理を行い、はんだ膜56の表面の有機物や自然酸化膜の除去および最表面層の活性化処理を施す。この状態のウェハWを加熱処理室3に搬入して、、一例として以下に示す条件で、はんだ膜56の加熱溶融処理を行う。すなわち、雰囲気ガスとしてH2 ガスを用い、その流量を350sccm、圧力を75mTorr(10Pa)とし、ウェハステージ21aの設定温度を150℃、ウェハステージ21bの設定温度を250℃、ウェハステージ21cの設定温度を350℃、ウェハステージ21dの設定温度を200℃とし、各ウェハステージ21a〜21dでの熱処理時間を30秒とする。
【0050】
これにより、第1の実施形態におけると同様に、図2Eに示すようなはんだボールバンプ57が良好に形成される。
【0051】
この第2の実施形態によるはんだボールバンプの製造方法の上記以外の構成は、第1の実施形態によるはんだボールバンプの製造方法と同様であるので、説明を省略する。
【0052】
以上のように、この第2の実施形態によれば、はんだ膜56の加熱溶融処理を減圧下の水素雰囲気中で行っているため、加熱処理室3内に微量に残留している酸素や水分があったとしても、還元作用により表面酸化を抑制しながらはんだ膜56の溶融が行われる。また、前処理室2におけるはんだ膜56の表面処理で除去しきれなかったり、一度除去されてから再付着したような酸化物が極わずかにはんだ膜56の表面に残存していたとしても、これを還元しながらはんだ膜56の溶融が進行するようになる。これにより、出来上がり後のはんだボールバンプ57内に局所的に酸化物や空孔が取り込まれることによって欠陥が発生することをほぼ完全に防止することができ、良質なはんだボールバンプ57を得ることができる。
【0053】
その結果、フラックスフリーのウエットバック工程において、第1の実施形態以上に高信頼性を有するはんだボールバンプの形成が可能となる。
【0054】
そして、このようにして形成されたデバイスチップをプリント配線基板上にフリップチップ実装して組み立てられる製品は、第1の実施形態と同様に信頼性および耐久性が従来のものに比べて大幅に改善されることが確認された。
【0055】
以上この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、熱処理装置の前処理室2や加熱処理室3の構成および熱処理装置の全体構成、各プロセスの条件、ウェハの種類および構造など、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜選択可能であることは言うまでもない。具体的には、例えば、図1に示した熱処理装置において、前処理室2および加熱処理室3のウェハステージ11およびウェハステージ21a〜21dは、6インチウェハ対応のものであるが、これらは、例えば8インチウェハ、12インチウェハまたはそれ以上の大きさを有するウェハに対応するものであってもよい。
【0056】
また、上述の第1および第2の実施形態においては、レーザ源としてKrFエキシマレーザを用いているが、このレーザ源としては、例えばArFエキシマレーザ(λ=193nm)、Ar+ レーザ(λ=488nmまたはλ=514.5nm)、Nd:YAGレーザ(λ=1064nm)などを用いることも可能である。また、レーザ源に代えて、例えば水銀ランプのような自然放出光の光源を用いてもよい。
【0057】
また、上述の第2の実施形態においては、還元性ガスとしてH2 ガスを用いているが、この還元性ガスとしては、例えばフッ化水素(HF)ガスや塩化水素(HCl)ガスなどを同様に用いることもできる。なお、これらのHFガスやHClガスは、ソースとしてそれぞれフッ酸、塩酸が用いられるが、このようにソースが液体である場合は、液体ソースに対してヘリウム(He)ガスなどのキャリアガスによるバブリング、加熱気化、超音波気化などの処理を施すことによって得られたガスを加熱処理室3内に導入する。
【0058】
また、上述の第1および第2の実施形態においては、はんだ膜の加熱溶融処理を減圧下の非酸化性ガス雰囲気中で行うようにしているが、このはんだ膜の加熱溶融処理は真空中で行ってもよく、あるいは、非酸化性ガスによる置換が十分に行われ、残留酸素濃度が例えば150ppm以下とされていれば、常圧で行ってもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によるバンプ製造方法によれば、金属膜が選択的に形成された基体に対して光照射による金属膜の表面処理を行う工程と、金属膜の加熱溶融処理を行うことによりバンプを形成する工程とを有していることにより、金属膜表面に形成された自然酸化膜および金属膜の表面に付着した有機物などの付着物を、金属膜の加熱溶融処理を行う前に効果的に除去することができ、これによって、清浄で活性な表面を有する金属膜に対して加熱溶融処理を施すことが可能となるため、フラックスを使用せずとも安定にバンプ形成を行うことができる。その結果、フラックスの使用に起因して従来多発していた残渣不良やバンプ中への不純物の取り込みがなくなり、高信頼性を有するウエットバックプロセス技術を確立することができる。
【0060】
そして、このようにしてバンプが形成されたデバイスチップをプリント配線基板上にフリップチップ実装して組み立てられた製品においては、その信頼性および耐久性が、従来のものに比べて大幅に向上するという効果も得られる。
【0061】
したがって、この発明は、微細なデザインルールに基づいて設計され、高集積度、高性能および高信頼性を要求される半導体装置の製造方法に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施形態によるはんだボールバンプの製造方法においてウエットバック工程に用いられる熱処理装置の構成の一例を示す略線図である。
【図2】 この発明の第1の実施形態によるはんだボールバンプの製造方法を説明するための断面図である。
【図3】 この発明の第1の実施形態によるはんだボールバンプの製造方法におけるはんだ膜の加熱溶融処理を行う前の前処理方法を説明するための略線図である。
【図4】 従来技術によるはんだボールバンプの製造方法を説明するための断面図である。
【図5】 従来技術によるはんだボールバンプの製造方法においてウエットバック工程に用いられる熱処理装置の構成の一例を示す略線図である。
【符号の説明】
2・・・前処理室、3・・・加熱処理室、12・・・レーザ光、13・・・ガス噴射ノズル、14・・・吸入ノズル、21a〜21d・・・ウェハステージ、22a〜22d・・・ヒータ、23a〜23d・・・赤外線ランプ、51・・・半導体基板、52・・・電極パッド、53・・・表面保護膜、54・・・BLM膜、55・・・レジストパターン、56・・・はんだ膜、57・・・はんだボールバンプ、W・・・ウェハ
Claims (7)
- 金属膜が選択的に形成された基体に対して光照射を行うことにより上記金属膜の表面処理を行うと同時に、上記基体の表面にガス噴射ノズルからガスを吹きつけ、上記基体の表面からの離脱物を吸入ノズルにより吸引除去する工程と、
上記金属膜の加熱溶融処理を行うことによりバンプを形成する工程
とを有することを特徴とするバンプ製造方法。 - 上記光照射にレーザ光を用いることを特徴とする請求項1記載のバンプ製造方法。
- 上記金属膜ははんだ膜であり、上記バンプははんだボールバンプであることを特徴とする請求項1記載のバンプ製造方法。
- 上記光照射を行うことにより上記金属膜の表面に熱膨張を生じさせて表面付着物を離脱させるとともに上記金属膜の表面の酸化物の除去および上記金属膜の表面の活性化を行うことを特徴とする請求項1記載のバンプ製造方法。
- 金属膜が選択的に形成された基体に対して光照射を行うことにより上記金属膜の表面に熱膨張を生じさせて表面付着物を離脱させるとともに上記金属膜の表面の酸化物の除去および上記金属膜の表面の活性化を行う工程と、
上記金属膜の加熱溶融処理を行うことによりバンプを形成する工程
とを有することを特徴とするバンプ製造方法。 - 上記光照射にレーザ光を用いることを特徴とする請求項5記載のバンプ製造方法。
- 上記金属膜ははんだ膜であり、上記バンプははんだボールバンプであることを特徴とする請求項5記載のバンプ製造方法。
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- 1998-05-18 JP JP13505798A patent/JP3800802B2/ja not_active Expired - Fee Related
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