JP3800751B2 - 光学式読取装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バーコード等の表示に走査光を出射して、そのパターンを読み取る光学式読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光学式読取装置、例えばバーコード読取装置としては、例えば特開平8−292995号公報に開示されているように、レーザ光をポリゴンミラーによって走査動作させるとともに、それを多面反射鏡で反射することにより、読み取り窓の正面における広範囲の読み取りが可能な多方向ライン走査パターンを形成するものが知られている。したがって、この多方向ライン走査パターンにより、読み取り時に物品に貼付されているバーコードの配置が少々ずれていても高速で容易なバーコードの読み取りが可能である。
【0003】
但し、この多面反射鏡を使用する場合には各反射面における反射角度が異なるため、反射面の境界部分における反射光については読取データとして扱わないようにしなくてはならない。そのためには反射面の境界部分を示すタイミングデータを何等かの方法で取得する必要がある。この点に関して従来は、ポリゴンミラーを回転させるモータ軸に円盤を取り付け、その円盤の所定位置に設けられた穴がフォトカップラを通ったときの信号を境界を示すタイミングとしていた。この円盤に設ける穴の所定位置とは、多面反射鏡の反射面境界毎に対応した位置であり、ポリゴンミラーのミラー面毎に設定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような円盤に設けた穴によって境界を検出する手法の場合には、多面反射鏡の境界位置と円盤に設けた穴位置とが正確に対応していることが前提となる。しかし、各部品要素などの寸法誤差や配設誤差などによって、多面反射鏡の境界位置と円盤に設けた穴位置とを正確に対応させるのは難しく、正確に対応させるためには個体ごとに調整する必要があり、生産時の工数増大を招いてしまう。
【0005】
この原因は、従来のタイミング検出が、実際に検出した信号に基づくのではなく、多面反射鏡の物理的な境界位置に対応するように設けた円盤の穴位置という間接的な位置情報に基づいているからである。
そこで本発明は、多面反射鏡などの異なる配置の走査光反射面の物理的な境界位置を、実際に検出した信号に基づいて判断するようにし、適切なタイミングでのデータ取り込みを行なえるようにすることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の光学式読取装置は、光ビームによる走査光を出射する走査光出射手段と、異なる配置の走査光反射面を複数備え、前記走査光出射手段から出射された走査光を前記走査光反射面にて反射させる複数反射手段と、前記複数反射手段によって反射された走査光によって発生された走査線上から反射されてくる反射光を検出する第1の受光センサと、前記第1の受光センサによって検出した反射光に基づいて前記走査線上に存在する表示のパターンを読み取る読取手段とを備える光学式読取装置において、境界検知用の第2の受光センサを前記第1の受光センサとは別個に設け、前記複数の走査光反射面の境界部分であって、かつ前記走査光の走査経路上に、前記走査光を反射させてそのまま前記第2の受光センサに入射させる境界検知用反射面を設けると共に、前記第2の受光センサによって検出した境界検知用反射面による反射光に基づいて前記複数の走査光反射面の境界部分を検知する境界部分検知手段を備え、前記読取手段は、前記第1の受光センサにて検出した反射光の内、前記境界部分検知手段によって検知された境界部分以外の部分の反射光に基づいて、前記走査線上に存在する表示のパターンを読み取るよう構成されており、前記走査光出射手段は、光ビームを出射する走査光発生部と、光ビーム反射面を回転させることにより、前記走査光発生部から出射される光ビームの反射方向を回転に応じて変化させて、前記光ビームを走査光として出射する回転反射体と、を備え、前記回転反射体は、面倒れ角度が異なる複数の光ビーム反射面を回転させることにより、前記走査光発生部から出射される光ビームの反射方向を回転に応じて変化させて、前記光ビームを光ビーム反射面毎に出射角度の異なる複数の走査光として出射するよう構成されており、前記境界検知用反射面は、前記複数の走査光反射面の境界部分であって、かつ前記出射角度の異なる複数の走査光の走査経路上にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0007】
本光学式読取装置によれば、走査光出射手段から出射された光ビームによる走査光は、異なる配置の走査光反射面を複数備えた複数反射手段の走査光反射面にて反射され、その複数反射手段によって反射された走査光によって発生された走査線上から反射されてくる反射光を第1の受光センサが検出し、読取手段が、その第1の受光センサによって検出した反射光に基づいて走査線上に存在する表示のパターンを読み取る。
【0008】
また、複数の走査光反射面の境界部分であって、かつ走査光の走査経路上に設けられた境界検知用反射面によって反射された走査光は、第1の受光センサとは別個に設けられた第2の受光センサにそのまま入射させる。境界部分検知手段は、その第2の受光センサによって検出した境界検知用反射面による反射光に基づいて境界部分を検知する。
【0009】
そして、読取手段は、第1の受光センサにて検出した反射光の内、境界部分検知手段によって検知された境界部分以外の部分の反射光に基づいて、走査線上に存在する表示のパターンを読み取る。
本発明の前提は、異なる配置の走査光反射面を複数備えた複数反射手段の走査光反射面にて走査光を反射される構成である。これは、例えば多面反射鏡などのように各反射面における反射角度が異なっているもので、より広い範囲での読取を実現するのに有利な手法である。但し、反射面の境界部分における反射光については読取データとして扱わないようにしなくてはならない。そのためには反射面の境界部分を示すタイミングデータを何等かの方法で取得する必要があるが、上述したように、ポリゴンミラーを回転させるモータ軸に取り付けた円盤の所定位置に設けられた穴がフォトカップラを通ったときの信号を境界を示すタイミングとする手法では、各部品要素などの寸法誤差や配設誤差などによって、多面反射鏡の境界位置と円盤に設けた穴位置とを正確に対応させるのは難しく、正確に対応させるためには個体ごとに調整する必要があり、生産時の工数増大を招いてしまっていた。
【0010】
この原因は、従来のタイミング検出が、実際に検出した信号に基づくのではなく、多面反射鏡の物理的な境界位置に対応するように設けた円盤の穴位置という間接的な位置情報に基づいているからである。したがって、本発明のように、実際の反射面の境界部分に設けた境界検知用反射面による反射光に基づいて境界部分を検知すれば、これは直接的な位置情報に基づくものであるため上述の寸法誤差や配設誤差などが生じない。したがって、適切に境界部分を把握することができ、その結果、境界部分以外の部分の反射光に基づいて走査線上に存在する表示のパターンを読み取る場合に、適切なタイミングでのデータ取り込みを実現することができる。
【0011】
なお、上述の発明は、境界検知用の第2の受光センサを第1の受光センサと別個に設けていたが、これら受光センサを共通化してもよい。その場合には、請求項2に示すような構成となる。すなわち、光ビームによる走査光を出射する走査光出射手段と、異なる配置の走査光反射面を複数備え、前記走査光出射手段から出射された走査光を前記走査光反射面にて反射させる複数反射手段と、前記複数反射手段によって反射された走査光によって発生された走査線上から反射されてくる反射光を検出する受光センサと、前記受光センサによって検出した反射光に基づいて前記走査線上に存在する表示のパターンを読み取る読取手段とを備える光学式読取装置において、前記複数の走査光反射面の境界部分であって、かつ前記走査光の走査経路上に、前記走査光を反射させてそのまま前記受光センサに入射させる境界検知用反射面を設けると共に、前記境界検知用反射面によって反射された反射光に基づいて前記複数の走査光反射面の境界部分を検知する境界部分検知手段を備え、前記読取手段は、前記受光センサにて検出した反射光の内、前記境界部分検知手段によって検知された境界部分以外の部分の反射光に基づいて、前記走査線上に存在する表示のパターンを読み取るよう構成されており、前記走査光の走査方向から見た場合の前記境界検知用反射面と前記走査光反射面との間には、前記受光センサには光を反射しないような角度に設定された反射面が設けられていることを特徴とする光学式読取装置である。
【0012】
請求項1に記載の光学式読取装置の場合には、境界検知用の第2の受光センサを第1の受光センサと別個に設けていたため、第2の受光センサには境界検知用反射面によって反射された反射光だけを入射させし、走査光によって発生された走査線上から反射されてくる例えば表示パターンに対応する反射光については入射させないようにすることができる。したがって、境界部分を適切に検知することは容易にできる。
【0013】
一方、請求項2に記載の光学式読取装置の場合には、受光センサが共通化されているので、受光センサにて検出した反射光に基づいて境界部分を検知し、同じ受光センサにて検出した反射光の内の、境界部分以外の部分の反射光に基づいて表示のパターンを読み取ることとなる。したがって、境界部分を適切に検知しないと、表示パターンに対応する反射光との区別ができなくなる。
【0014】
このように境界部分を適切に検知するための工夫としては、例えば請求項3に示す構成が挙げられる。すなわち、受光センサは、反射光を光電変換し受光量に応じた電気信号を出力するよう構成されていると共に、読取手段は、走査線上に存在する表示のパターンに対応する反射光を検出した受光センサからの電気信号を検出可能な相対的に小さなスレッシュホールドに基づいて、受光センサからの電気信号を2値化する第1の2値化手段を備え、境界部分検知手段は、走査線上に存在する表示のパターンに対応する反射光を検出した受光センサからの電気信号は検出せず、境界検知用反射面によって反射された反射光を検出した受光センサからの電気信号は検出可能な相対的に大きなスレッシュホールドに基づいて、受光センサからの電気信号を2値化する第2の2値化手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
境界検知用反射面によって反射された反射光は一般的に走査光をそのまま全反射するため相対的に受光量が大きく、(例えばバーコードなどの)表示パターンによる反射光は相対的に受光量が小さい。つまり、受光センサから出力される電気信号レベルには明確な差が生じると考えられるので、第2の2値化手段側には境界検知用反射面による反射光だけを検出できるような相対的に大きなスレッシュホールドを設定しておけば、境界部分を適切に検知することができる。
【0016】
また、これに関連して、次に示す構成を採用してもよい。つまり、受光センサからの電気信号を所定の増幅率で増幅して前記第1及び第2の2値化手段に出力する増幅手段を備え、この増幅手段は、走査線上に存在する表示のパターンに対応する反射光を検出した受光センサからの電気信号では飽和せず、境界検知用反射面によって反射された反射光を検出した受光センサからの電気信号では飽和するように構成するのである。このようにすれば、境界部分の検出がさらに容易となる。
【0017】
ところで、走査線上に存在する表示のパターンに対応する反射光に加えて外乱光を検出してしまった場合に、受光センサからの電気信号を増幅した増幅手段からの増幅信号のレベルが全体的に飽和状態あるいは飽和状態に近い所定の上限レベル以上となる可能性がある。この場合には、境界部分とそれ以外との区別がつきにくくなるので、増幅信号のレベルが上限レベル未満となるように増幅手段の増幅率を変更する増幅率変更手段を備えるようにすることが考えられる。
【0018】
また、このように増幅手段の設定や増幅率の変更にて対応するのではなく、受光センサ自体の設定や飽和レベルを変更するようにしてもよい。つまり、受光センサ自体を、走査線上に存在する表示のパターンに対応する反射光では飽和せず、境界検知用反射面によって反射された反射光では飽和するように構成しておけば、上記増幅手段にて実現したのと同様、境界部分の検出がさらに容易となる。また、反射光に加えて外乱光を検出してしまった場合の対処についても、受光センサからの電気信号のレベルが飽和状態に近い所定の上限レベル以上である場合には、その電気信号のレベルが上限レベル未満となるように受光センサの飽和レベルを変更する飽和レベル変更手段を備えるようにすればよい。
【0019】
なお、2値化手段による2値化方式としては例えば比較追従方式や微分方式が挙げられる。この内の比較追従方式の場合には、次のような不都合が生じる可能性がある。つまり、境界検知用反射面による反射光に対応する電気信号から表示パターンによる反射光に対応する電気信号に移行する範囲では、両者の信号レベルの差が大きいので、比較追従のための波形が適切に追従しなくなるおそれがあり、例えば表示パターンによる反射光に基づく最初の部分が2値化されない可能性がある。
【0020】
このような不都合を解消するためには、請求項2に係る発明では、走査光の走査方向から見た場合の境界検知用反射面と走査光反射面との間に、受光センサには光を反射しないような角度に設定された反射面を設けたのである。
【0021】
また、請求項2に記載の光学式読取装置は、境界検知用の第2の受光センサを第1の受光センサと別個に設けるのではなく、これら受光センサを共通化した場合の例であったが、同様に受光センサを共通化する場合の例として請求項8に示す構成も考えられる。
【0022】
すなわち、光ビームによる走査光を出射する走査光出射手段と、異なる配置の走査光反射面を複数備え、前記走査光出射手段から出射された走査光を前記走査光反射面にて反射させる複数反射手段と、前記複数反射手段によって反射された走査光によって発生された走査線上から反射されてくる反射光を検出する受光センサと、前記受光センサによって検出した反射光に基づいて前記走査線上に存在する表示のパターンを読み取る読取手段と、を備える光学式読取装置において、前記複数の走査光反射面の境界部分であって、かつ前記走査光の走査経路上に、前記走査光を反射させてそのまま前記受光センサに入射させる境界検知用反射面を設けると共に、前記境界検知用反射面によって反射された反射光に基づいて前記複数の走査光反射面の境界部分を検知する境界部分検知手段を備え、前記読取手段は、前記受光センサにて検出した反射光の内、前記境界部分検知手段によって検知された境界部分以外の部分の反射光に基づいて、前記走査線上に存在する表示のパターンを読み取るよう構成されており、前記走査光出射手段は、光ビームを出射する走査光発生部と、光ビーム反射面を回転させることにより、前記走査光発生部から出射される光ビームの反射方向を回転に応じて変化させて、前記光ビームを走査光として出射する回転反射体と、を備え、前記回転反射体は、面倒れ角度が異なる複数の光ビーム反射面を回転させることにより、前記走査光発生部から出射される光ビームの反射方向を回転に応じて変化させて、前記光ビームを光ビーム反射面毎に出射角度の異なる複数の走査光として出射するよう構成されており、前記境界検知用反射面は、前記複数の走査光反射面の境界部分であって、かつ前記出射角度の異なる複数の走査光の走査経路上にそれぞれ設けられていることを特徴とする光学式読取装置である。
【0023】
前記複数反射手段の複数の走査光反射面は、例えば、前記走査光出射手段から出射される走査光の出射方向に、前記走査光出射手段を少なくとも部分的に取り囲むように配列される。更に具体的には例えば、頂辺に比較して底辺が短い台形をなし、頂面に比較して底面が狭い角錐台の側面状態に配列される。
【0024】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は実施の形態1の構成説明図である。本実施の形態1は、ポリゴンミラーおよび多面反射鏡を用いてレーザ光を走査動作させてバーコードを読み取るバーコード読取装置に本発明を適用したものである。
【0025】
図1において、バーコード1を読み取るバーコード読取装置2は、読み取り窓4と、ケース(筐体)6と、このケース6に内蔵された光学装置部8と電気回路部10とを備える。
読み取り窓4には、読み取り窓4を密閉することにより、外部の埃等から内部の機構を保護するための板状カバー部材4aが組み付けられている。この板状カバー部材4aは、走査光を透過可能な材料で成形されている。
【0026】
光学装置部8は、図示せぬレンズ系と後述するレーザダイオード12aとを備えた走査光発生部としてのレーザ光源12、平面反射鏡13、4面のポリゴンミラー14、その駆動モータ16、集光用凹面鏡18、第1の受光センサ20、および5面の多面反射鏡22を備える。尚、平面反射鏡13は実際には後述する図3等に示すごとく、集光用凹面鏡18の中に埋め込まれている。
【0027】
また、電気回路部10は、増幅器30、同期信号検出回路32、2値化回路34、制御回路36、出力I/F38およびレーザ光源12の半導体レーザダイオードの駆動回路40を備える。
制御回路36はマイクロコンピュータを備え、駆動回路40にレーザ駆動信号を出力する。このことにより、バーコード読取装置2からはレーザ光が走査光として出射される。
【0028】
バーコード読取装置2から出射されたレーザ光がバーコード1を走査することにより返ってくるバーコード1からの反射光は、多面反射鏡22、ポリゴンミラー14および集光用凹面鏡18を介して第1の受光センサ20に受光される。第1の受光センサ20は、反射光を光電変換し受光量に応じた電気信号(受光信号と称す。)を出力するものであり、増幅器30は、この第1の受光センサ20からの受光信号aを増幅し2値化回路34に入力する。2値化回路34は増幅された受光信号aを2値化信号dに変換して制御回路36に入力する。
【0029】
制御回路36は、この入力された2値化信号dをデコードすることによってバーコード1に符号化された情報を得る。そして、その情報は、出力I/F38を介して外部機器(たとえばPOSレジスタ)100へ出力する。なお、2値化信号dに基づいて制御回路36が行なうデコード処理は従来周知の手法を用いることができる。
【0030】
駆動回路40は、図2のブロック図に示すように、突入電流阻止回路40aと、自動出力制御(APC)回路40bとを備え、制御回路36からのレーザ駆動信号に応じてレーザ光源12に内蔵されたレーザダイオード12aへの電流を断続する。また、突入電流阻止回路40aは、レーザダイオード12aへの通電の断続に伴う突入電流を阻止し回路を保護する。また、APC回路40bはモニタダイオード12bによりレーザダイオード12aの出力をモニタし、レーザ光源12のレーザ出力を一定にするようにフィードバック制御する。
【0031】
ポリゴンミラー14には、面倒れ角度の異なる4個の反射鏡(光ビーム反射面の概念に含まれる)14a,14b,14c,14dがポリゴンミラー14の回転中心からそれぞれ90度の範囲にわたって形成され、レーザ光源12から平面反射鏡13を介して出射されたレーザ光Lを反射する。ここで、図5に示された走査線の組220a,220b,220c,220d,220eの各組における平行な4本の走査線は、この4個の反射鏡14a〜14dによって形成される。なお、ポリゴンミラー14は、本実施の形態では、ポリカーボネート等の樹脂により成形したものの表面にアルミニウムの反射膜を蒸着して形成されている。また、ポリゴンミラー14内部は肉ぬきしてあるので、肉ぬきされている部分に駆動モータ16のロータ部を入れて高さ方向の寸法を小さくするとともに、質量を減少させて、起動時間を短縮したり、駆動モータ16の回転軸への負荷を軽減している。
【0032】
また、多面反射鏡22は、配置の異なる5個の反射鏡(走査光反射面の概念に含まれる)22a,22b,22c,22d,22eにより構成され、その5個の反射鏡22a〜22eのそれぞれが、上記ポリゴンミラー14の4個の反射鏡14a〜14dからのレーザ光を反射する。多面反射鏡22の5個の反射鏡22a〜22eは、図3に示すごとく、それぞれ、頂辺に比較して底辺が短い台形をなし、これら5個の反射鏡22a〜22eは、頂面に比較して底面が狭い角錐台の側面状態に、かつポリゴンミラー14を取り囲むように配列されている。
【0033】
ポリゴンミラー14は、駆動モータ16により回動されて、レーザ光源12から出射されたレーザ光Lを反射する。これにより、4面ポリゴンミラー14の各面で反射されたレーザ光Lは、多面反射鏡22を180度の範囲で走査する。そして、ポリゴンミラー14で反射されたレーザ光Lは、多面反射鏡22の各反射鏡22a〜22eで反射されて、読み取り窓4より出射する。例えば図4には中央の反射鏡22cがポリゴンミラー14の4個の反射鏡14a〜14dからのレーザ光を反射した状態を示している。5個の反射鏡22a〜22eのそれぞれがレーザ光を反射することで、図5に示すごとく4本1組の走査線が5組220a〜220eに別れて発生される。
【0034】
ここで多面反射鏡22の反射鏡22a〜22eは、図示せぬシャーシに固定されている。そして、この多面反射鏡22を交換することにより、走査パターンを変更することができる。また、ポリゴンミラー14を、面数の異なる(例えば、3面から8面)ポリゴンミラーや面倒れ角度の異なるポリゴンミラーに交換すれば、走査線数や走査線の間隔が変更できる。
【0035】
また、多面反射鏡22の5個の反射鏡22a〜22eの境界部分には、図6に示すように境界検知用反射面50が形成されている。この境界検知用反射面50は、ポリゴンミラー14の4個の反射鏡14a〜14dからのレーザ光による走査経路上に設けられている。したがって、図7に示すように、本実施形態の場合には4個の反射鏡14a〜14dからの4つの異なる走査経路に対応して4つの境界検知用反射面50が設けられている。なお、図6,7では、多面反射鏡22の5個の反射鏡22a〜22eの内の反射鏡22cと反射鏡22dの間の境界部分に形成された境界検知用反射面50を示しているが、その他の境界部分、つまり反射鏡22aと反射鏡22bの間、反射鏡22bと反射鏡22cの間、反射鏡22dと反射鏡22eの間の3つの境界部分、さらに両端の反射鏡22a,22eの自由端側の2つの境界部分にも同様に境界検知用反射面50が形成されている。すなわち、本構成では、全部で6つの境界部分が存在することとなる。
【0036】
そして、これらの全ての境界検知用反射面50は、図7に例示するように、それぞれに対応するポリゴンミラー14の4個の反射鏡14a〜14dからのレーザ光を全反射させて、後述する同期信号検出回路32の構成要素である第2の受光センサ32aにそのまま入射させるように構成されている。なお、この境界検知用反射面50は、多面反射鏡22の各反射鏡22a〜22eの面倒れ角度に対して例えば45度程度傾いて設定されている。その結果、多面反射鏡22の各反射鏡22a〜22eに反射して読み取り窓4から外部へ出るレーザ光(図4等参照)に対して、この境界検知用反射面50においてレーザ光は90度程度異なる方向へ反射することとなる(図7等参照)。そのため、この境界検知用反射面50において反射されたレーザ光が読み取り窓4から外部へ出ることはなく、したがって、境界検知用反射面50で反射されたレーザ光により標的以外のバーコードが検出される事態は生じない。
【0037】
また、境界検知用反射面50によって反射されたレーザ光Lは同期信号検出回路32にて同期信号として検出される。同期信号検出回路32は、第2の受光センサ32a、増幅器32cおよび同期信号発生回路32dから構成されている。この第2の受光センサ32aは、反射光を光電変換し受光量に応じた電気信号(受光信号)を出力するものであり、増幅器32cは、この第2の受光センサ32aからの受光信号を増幅し同期信号発生回路32dに入力する。同期信号発生回路32dは、増幅器32cによって増幅された受光信号を同期信号bに整形して制御回路36に入力する。この同期信号bにより、制御回路36にては境界検知用反射面50の位置、つまり多面反射鏡22の5個の反射鏡22a〜22eのそれぞれのミラー端の位置が判明する。
【0038】
そして、制御回路36は、集光用凹面鏡18、第1の受光センサ20、増幅器30及び2値化回路34を介して入力したデータ(この場合は2値化信号)の内、上述した境界部分以外の位置にて入力したデータだけをデコード対象として取り込むようにしている。この制御回路36において実行されるデータ取り込み処理について、図8のフローチャートおよび図9のタイムチャートにより説明する。本処理は、制御回路36内に設けられているROMに記憶されているプログラムに基づいて行われる。
【0039】
データ取り込み処理が開始すると、まず、同期信号発生回路32dから入力した同期信号の立ち下がりを検出したか否かを判断する(S10)。そして、同期信号の立ち下がりを検出すると(S10:YES)、2値化回路34からの2値化信号の取り込み、この場合はバーコードの表示パターンに対応するバーデータの取り込みを開始する(S20)。
【0040】
その後、同期信号発生回路32dから入力した同期信号の立ち上がりを検出したか否かを判断する(S30)。そして、同期信号の立ち上がりを検出すると(S30:YES)、バーデータの取り込みを終了する(S40)。
そして、データの取り込み処理を終了する条件が成立しているかどうかを判断し(S50)、取り込み処理を終了する条件が不成立であれば(S50:NO)、S10へ戻り、次の同期信号の立ち下がりを検出したら(S10:YES)、バーデータの取り込みを開始し(S20)、同期信号の立ち上がりを検出したら(S30:YES)、バーデータの取り込みを終了する(S40)という一連の処理を繰り返す。一方、取り込み処理を終了する条件が成立していれば(S50:YES)、本データ取り込み処理を終了する。
【0041】
この処理内容を、同期信号発生回路32dからの出力と増幅器30からの出力とを対比したタイムチャートで示すと図9のようになる。
以上説明した本実施の形態1のバーコード読取装置2によれば、レーザ光源12から出射され、4面ポリゴンミラー14の各面で反射されたレーザ光Lは、多面反射鏡22の各反射鏡22a〜22cで反射されて読み取り窓4より出射する。そして、この出射されたレーザ光Lがバーコード1を走査することにより返ってくる(バーコード1からの)反射光は、多面反射鏡22、ポリゴンミラー14および集光用凹面鏡18を介して第1の受光センサ20に受光され、増幅器30によって増幅され、さらに2値化回路34にて2値化信号dに変換されて制御回路36に入力する。制御回路36は、この入力された2値化信号dをデコードすることによってバーコード1に符号化された情報を得ることができる。
【0042】
このように、配置の異なる5個の反射鏡22a,22b,22c,22d,22eにてレーザ光Lを反射する構成であるため、より広い範囲での読取を実現するのに有利であるが、5個の反射鏡22a〜22eの境界部分における反射光については読取データとして扱わないようにしなくてはならない。従来は、ポリゴンミラー14を回転させる駆動モータ16の軸に取り付けた円盤の所定位置に設けられた穴がフォトカップラを通ったときの信号を、境界部分を示すタイミングデータとして取得していた。しかし、この手法では、各部品要素などの寸法誤差や配設誤差などによって、多面反射鏡22の境界位置と円盤に設けた穴位置とを正確に対応させるのは難しく、正確に対応させるためには個体ごとに調整する必要があり、生産時の工数増大を招いてしまっていた。
【0043】
この原因は、従来のタイミング検出が、実際に検出した信号に基づくのではなく、多面反射鏡22の物理的な境界位置に対応するように設けた円盤の穴位置という間接的な位置情報に基づいているからである。したがって、本実施形態のバーコード読取装置2のように、実際の反射鏡22a〜22eの境界部分に設けた境界検知用反射面50による反射光に基づいて境界部分を検知すれば、これは直接的な位置情報に基づくものであるため上述の寸法誤差や配設誤差などが生じない。したがって、適切に境界部分を把握することができ、その結果、境界部分以外の有効なデータを適切に取り込むことができる。
【0044】
本実施の形態1において、レーザ光源12及びポリゴンミラー14が走査光出射手段の概念に含まれ、詳しくはレーザ光源12が走査光発生部の概念に含まれ、ポリゴンミラー14が回転反射体の概念に含まれる。また、多面反射鏡22が複数反射手段の概念に含まれる。また、図8のステップS10及びS30が境界部分検知手段としての処理に含まれ、図8のデータ取込処理全体が読取手段としての処理の概念に含まれる。
【0045】
[実施の形態2]
上記実施の形態1では、境界検知用の第2の受光センサ32aを第1の受光センサ20と別個に設けていたが、これら受光センサを共通化してもよい。実施の形態2は、これら受光センサを共通化したものである。
【0046】
図10は実施の形態2のバーコード読取装置102の構成説明図である。なお、図1に示す実施の形態1のバーコード読取装置2と同じ構成部分には同じ符号を付して詳しい説明は省略する。
まず、実施の形態2のバーコード読取装置102においては、図1の実施の形態1のバーコード読取装置2では存在した同期信号検出回路32がない。つまり第2の受光センサ32a、増幅器32cおよび同期信号発生回路32dがない。
【0047】
一方、図1の実施の形態1のバーコード読取装置2に対して追加された、あるいは修正された構成は次の通りである。まず、図10には図示していないが、本実施の形態2における境界検知用反射面50は、それぞれに対応するポリゴンミラー14の4個の反射鏡14a〜14dからのレーザ光を全反射させて、ポリゴンミラー14および集光用凹面鏡18を介して受光センサ120に受光されるような角度に設定されている。なお、この受光センサ120は図1における実施の形態1での第1の受光センサ20と同じ構成であるが、実施の形態2では受光センサが1つしかないので、単に「受光センサ120」と記して区別することとする。
【0048】
そして、実施の形態1においては、図1に示すように受光信号aが増幅器30にて増幅されて2値化回路34に入力していたが、本実施の形態2においては、図10に示すように、受光信号aが増幅器30にて増幅された後、第1の2値化回路134及び第2の2値化回路135に入力し、それら2つの2値化回路134,135にてそれぞれ2値化信号d,eに変換されて制御回路136に入力する。さらに、制御回路136は、増幅器30に対してゲインコントロール、つまり増幅率を設定するための増幅率設定信号を出力することができるようにされている。
【0049】
第1の2値化回路134は、実施の形態1における2値化回路34(図1参照)と同様に、バーコード1からの反射光を検出した受光センサ120からの電気信号を検出するためのものであり、相対的に小さなスレッシュホールドが設定されている。一方、第2の2値化回路135は、境界検知用であり、バーコード1からの反射光を検出した受光センサ120からの電気信号は検出せず、境界検知用反射面50によって反射された反射光を検出した受光センサ120からの電気信号は検出可能な相対的に大きなスレッシュホールドが設定されている。
【0050】
境界検知用反射面50によって反射された反射光はレーザ光Lをそのまま全反射するため相対的に受光量が大きく、それに対してバーコード1による反射光は相対的に受光量が小さい。つまり、受光センサ120から出力される電気信号レベルには明確な差が生じると考えられるので、第2の2値化回路135には境界検知用反射面50による反射光だけを検出できるような相対的に大きなスレッシュホールドを設定しておくことにより、この第2の2値化回路135からの出力に基づいて境界部分を適切に検知しようとするものである。したがって、この第2の2値化回路135からの出力が同期信号に相当する。
【0051】
また、増幅器30について言えば、受光センサ120からの電気信号を所定の増幅率で増幅するのであるが、図12(a)に示すように、バーコード1による反射光を検出した受光センサ120からの電気信号では飽和せず、境界検知用反射面50によって反射された反射光を検出した受光センサ120からの電気信号では飽和するように構成してある。したがって、第2の2値化回路135では、増幅器30から飽和した電気信号が送られてきた場合に、それを2値化できればよいので、図12(a)に示すようにスレッシュホールドもその飽和した電気信号レベルの近くに設定しておけば、的確に境界部分の検出ができる。つまり、第2の2値化回路135の出力が図12(b)に示すようになり、境界検知用反射面50によって反射された反射光に対応する部分だけを特定できる2値化信号となる。
但し、バーコード1による反射光に加えてその他の外乱光を検出してしまった場合には、図12(c)に示すように、一時的に受光センサ120からの受光信号aを増幅した増幅器30からの増幅信号のレベルが全体的に飽和状態あるいは飽和状態に近い所定の上限レベル以上となる可能性がある。この場合には、第2の2値化回路135のスレッシュホールドが飽和した電気信号レベルの近くに設定してあっても、境界部分とそれ以外との区別がつきにくくなる。つまり、第2の2値化回路135の出力が図12(c)に示すようになり、境界検知用反射面50によって反射された反射光に対応する部分だけでなくバーコード1による反射光に対応する部分にも信号の立ち上がり、立ち下がり生じた2値化信号となる。したがって、このような場合には、制御回路136が増幅器30に対してゲインコントロールを行って、バーコード1による反射光に加えてその他の外乱光を検出した場合の増幅器30からの出力が2値化回路135のスレッシュホールド未満となるように、つまり図12(a)に示すような出力となるようにする。
【0052】
この実施の形態2のバーコード読取装置102の制御回路136において実行されるデータ取り込み処理について、図11のフローチャートにより説明する。本処理は、制御回路136内に設けられているROMに記憶されているプログラムに基づいて行われる。
【0053】
データ取り込み処理が開始すると、まず、第2の2値化回路135から入力した同期信号(2値化信号)の立ち下がりを検出したか否かを判断する(S110)。そして、同期信号の立ち下がりを検出すると(S110:YES)、時間測定を開始し(S120)、第1の2値化回路134からの2値化信号の取り込み、この場合はバーコード1の表示パターンに対応するバーデータの取り込みを開始する(S130)。
【0054】
その後、第2の2値化回路135から入力した同期信号の立ち上がりを検出したか否かを判断する(S140)。そして、同期信号の立ち上がりを検出すると(S140:YES)、S120にて開始した時間測定を終了し(S150)、その測定した時間tが所定基準時間Tよりも大きいか否かを判断する。測定時間tが所定基準時間Tよりも大きい場合には(S160:YES)、バーデータの取り込みを終了する(S170)。一方、測定時間tが所定基準時間T以下の場合には(S160:NO)、取り込んだバーデータを消去し(S200)、増幅器30の増幅率を下げ(S210)、S110へ戻る。このようにして、測定時間tが所定基準時間Tよりも大きい場合にだけバーデータの取り込みが行われ、続くS180にて増幅器30の増幅率を元に戻す。
【0055】
そして、データの取り込み処理を終了する条件が成立しているかどうかを判断し(S190)、取り込み処理を終了する条件が不成立であれば(S190:NO)、S110へ戻るが、取り込み処理を終了する条件が成立していれば(S1190:YES)、本データ取り込み処理を終了する。
【0056】
ここで、S160にて測定時間tを所定基準時間Tと比較し、バーデータを取り込むか消去するかを判断している意図について説明する。
まず、測定時間tが所定基準時間Tよりも大きくなるのは、例えば図12(a),(b)に示すような場合である。つまり、この場合には境界検知用反射面50によって反射された反射光に対応する部分だけを特定できる2値化信号となっているので、図12(b)に示す同期信号の立ち下がりから次の同期信号の立ち上がりまでの時間t1は、境界検知用反射面50間の距離に対応したものである。ここで、所定基準時間Tは境界検知用反射面50間の距離に対応した時間よりも少し小さな値に設定してあるため、正常に境界検知用反射面50によって反射された反射光に対応する部分だけを特定できる2値化信号であれば、図12(b)に示す関係から、測定時間tが所定基準時間Tよりも大きくなる(S160:YES)。つまり、この場合にはのは、境界検知用反射面50間の反射鏡22a〜22eによって反射されたバーコード1からの反射光によるバーデータを適切に取り込むことができる。
【0057】
一方、測定時間tが所定基準時間T以下となるのは、例えば図12(c),(d)に示すような場合である。つまり、この場合には境界検知用反射面50によって反射された反射光に対応する部分だけでなく、バーコード1によって反射された反射光に対応する部分にも信号の立ち上がり・立ち下がりが生じている。そのため、図12(d)に示す同期信号の立ち下がりから次の同期信号の立ち上がりまでの時間t2は、境界検知用反射面50間の距離に比べてかなり短い距離に対応するものとなる。上述したように所定基準時間Tは境界検知用反射面50間の距離に対応した時間よりも少し小さな値に設定してあるため、図12(d)に示す関係から、この場合の測定時間t2は所定基準時間T以下となる(S160:NO)。つまり、この場合にはバーコード1からの反射光によるバーデータのみをを適切に取り込むことができないので、S200に示すように、取り込んだバーデータを消去する。
【0058】
なお、第1及び第2の2値化回路134,135において実行される2値化の方式としては、例えば比較追従方式や微分方式が挙げられる。この内の比較追従方式の場合には、次のような不都合が生じる可能性がある。つまり、図13(a)に示すように、境界検知用反射面50による反射光に対応する電気信号からバーコード1の表示パターンによる反射光に対応する電気信号に移行する範囲では、両者の信号レベルの差が大きいので、図13(a)中に破線で示した比較追従のための波形が適切に追従しなくなるおそれがある。そのため、例えばバーコードの表示パターンによる反射光に基づく最初の部分(図13(a)中の矢印A参照)が2値化されない可能性がある。
【0059】
このような不都合を解消するためには、次のような工夫を施すとよい。例えば図14(a)に示すように、境界検知用反射面50に対して、走査光の走査方向から見て後半部分を、光を反射しないようにマスキングするのである。このようにすれば境界検知用反射面50による反射光に対応する電気信号レベルが大きくても、その後に生じるマスキング部分50aに対応する電気信号のレベルが下がるので、図13(b)に示すように、さらにその後に発生する表示パターンによる反射光に対応する電気信号についても、図13(b)中に破線で示す比較追従波形が適切に追従し、同図中に矢印Aで示すバーコード1の表示パターンによる反射光に基づく最初の部分も適切に2値化できることとなる。
【0060】
また、同様の作用を発揮するために、マスキングを施すのではなく、図14(b)に示すように、走査光の走査方向から見た場合の境界検知用反射面50と走査光反射面との間に、受光センサには光を反射しないような角度に設定された反射面60を設けてもよい。
【0061】
以上説明した実施の形態2のバーコード読取装置102においても、実施の形態1のバーコード読取装置2と同様、実際の反射鏡22a〜22e間の境界部分に設けた境界検知用反射面50による反射光に基づいて境界部分を検知しているので、適切に境界部分を把握することができ、その結果、境界部分以外の有効なデータを適切に取り込むことができる。
【0062】
以上、本発明はこのような実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得る。
(1)例えば上記各実施の形態では、ポリゴンミラー14の機能によりレーザ光を走査動作させたが、ポリゴンミラー式のものでなく、ガルバノミラー式あるいはホログラム式の走査手段を設けて、レーザ光を走査動作させるようにしても良い。
(2)また、上記実施の形態2においては、境界部分を適切に検知するために増幅器30の設定及び増幅率の調整をするようにしたが、受光センサ120自体の設定や飽和レベルの調整によって対応してもよい。つまり、受光センサ120自体を、バーコード1による反射光では飽和せず、境界検知用反射面50によって反射された反射光では飽和するように構成するのである。このようにすれば、上記実施の形態2において増幅回路30に対して設定した場合と同様、境界部分の検出がさらに容易となる。そしてまた、反射光に加えて外乱光を検出してしまった場合の対処についても、受光センサ120からの電気信号のレベルが飽和状態に近い所定の上限レベル以上である場合には、その電気信号のレベルが上限レベル未満となるように受光センサ120の飽和レベルを変更すればよい。この場合には、増幅回路30はなくても構わない。
【0063】
ここで、受光センサ120の飽和レベルを変更するための構成の一例について図15(a)を参照して説明する。ここではフォトダイオードPDを用いており、そのフォトダイオードPDと第1電源VCC1 との間には、制限抵抗R1と第1スイッチ回路SW1が直列に設けられている。一方、第2電源VCC2 及び第2スイッチ回路SW2は第1電源VCC1 及び第1スイッチ回路SW1と並列で設けられている。なお、第1スイッチ回路SW1は制御回路36からの信号P1によって通常はオンされており、P1のレベルが反転するとオフされる。一方、第2スイッチ回路SW2は制御回路36からの信号P2によって通常はオフされており、P2のレベルが反転するとオンされる。
【0064】
したがって、通常では、第1スイッチ回路SW1のみオンしており第2スイッチ回路SW2はオフであるので、第1電源VCC1 の電圧レベルでの逆電圧がフォトダイオードPDに加えられることとなる。一方、制御回路36からの制御信号P1,P2のレベルが反転すると、第1スイッチ回路SW1がオフし第2スイッチ回路SW2がオンとなるので、第2電源VCC2 の電圧レベルでの逆電圧がフォトダイオードPDに加えられることとなる。フォトダイオードPDの場合、加えられている逆電圧の電圧レベルを上げると飽和レベルを上げることができる。そのため、第2電源VCC2 の電圧レベルを第1電源VCC1 の電圧レベルよりも大きくすれば、フォトダイオードPDの出力特性としては、図15(b)に示すように、第2電源VCC2 のときの飽和レベルの方が第1電源VCC1 のときの飽和レベルよりも大きくすることができる。
【0065】
なお、この手法を採用した場合のデータ取り込み処理については、図11を参照して説明した実施の形態2の場合の増幅率制御と同様であり、例えば図11のS210の処理の代わりに、フォトダイオードPDの出力特性を第2電源VCC2 のときの飽和レベルに変更する処理を実行し、S180の処理の代わりに、フォトダイオードPDの出力特性を第1電源VCC1 のときの飽和レベルに戻す処理を実行すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1としてのバーコード読取装置の構成説明図である。
【図2】実施の形態1における駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1における多面反射鏡の構成説明図である。
【図4】実施の形態1における多面反射鏡の反射状態の説明図である。
【図5】走査範囲を示す説明図である。
【図6】実施の形態1における境界検知用反射面の構成説明図である。
【図7】実施の形態1における境界検知用反射面の反射状態の説明図である。
【図8】実施の形態1におけるデータ取り込み処理のフローチャートである。
【図9】前記データ取り込み処理におけるタイミングチャートである。
【図10】実施の形態2のバーコード読取装置の構成説明図である。
【図11】実施の形態2におけるデータ取り込み処理のフローチャートである。
【図12】 実施の形態2における増幅器からの出力と第2の2値化回路からの出力状態の説明図である。
【図13】 比較追従方式の2値化を行なう場合に生じる不都合な状態及びそれを解消した場合の適切な状態を示す説明図である。
【図14】 比較追従方式の2値化を行なう場合に生じる不都合な状態を解消するための境界検知用反射面に対する工夫を示す説明図である。
【図15】 受光センサの飽和レベル調節メカニズムを示す回路図である。
【符号の説明】
1…バーコード 2…バーコード読取装置
4…読み取り窓 8…光学装置部
10…電気回路部 12…レーザ光源
13…平面反射鏡 14…ポリゴンミラー
14a,14b,14c,14d…ポリゴンミラーの反射鏡
16…駆動モータ 18…集光用凹面鏡
20…第1の受光センサ 22…多面反射鏡
22a,22b,22c,22d,22e…反射鏡
30…増幅器 32…同期信号検出回路
32a…第2の受光センサ 32c…増幅器
32d…同期信号発生回路 34…2値化回路
36…制御回路 40…駆動回路
50…境界検知用反射面 50a…マスキング部分
102…バーコード読取装置 120…受光センサ
134…第1の2値化回路 135…第2の2値化回路
136…制御回路 L…レーザ光

Claims (8)

  1. 光ビームによる走査光を出射する走査光出射手段と、
    異なる配置の走査光反射面を複数備え、前記走査光出射手段から出射された走査光を前記走査光反射面にて反射させる複数反射手段と、
    前記複数反射手段によって反射された走査光によって発生された走査線上から反射されてくる反射光を検出する第1の受光センサと、
    前記第1の受光センサによって検出した反射光に基づいて前記走査線上に存在する表示のパターンを読み取る読取手段と、
    を備える光学式読取装置において、
    境界検知用の第2の受光センサを前記第1の受光センサとは別個に設け、
    前記複数の走査光反射面の境界部分であって、かつ前記走査光の走査経路上に、前記走査光を反射させてそのまま前記第2の受光センサに入射させる境界検知用反射面を設けると共に、
    前記第2の受光センサによって検出した境界検知用反射面による反射光に基づいて前記複数の走査光反射面の境界部分を検知する境界部分検知手段を備え、
    前記読取手段は、前記第1の受光センサにて検出した反射光の内、前記境界部分検知手段によって検知された境界部分以外の部分の反射光に基づいて、前記走査線上に存在する表示のパターンを読み取るよう構成されており、
    前記走査光出射手段は、
    光ビームを出射する走査光発生部と、
    光ビーム反射面を回転させることにより、前記走査光発生部から出射される光ビームの反射方向を回転に応じて変化させて、前記光ビームを走査光として出射する回転反射体と、を備え、
    前記回転反射体は、面倒れ角度が異なる複数の光ビーム反射面を回転させることにより、前記走査光発生部から出射される光ビームの反射方向を回転に応じて変化させて、前記光ビームを光ビーム反射面毎に出射角度の異なる複数の走査光として出射するよう構成されており、
    前記境界検知用反射面は、前記複数の走査光反射面の境界部分であって、かつ前記出射角度の異なる複数の走査光の走査経路上にそれぞれ設けられていることを特徴とする光学式読取装置。
  2. 光ビームによる走査光を出射する走査光出射手段と、
    異なる配置の走査光反射面を複数備え、前記走査光出射手段から出射された走査光を前記走査光反射面にて反射させる複数反射手段と、
    前記複数反射手段によって反射された走査光によって発生された走査線上から反射されてくる反射光を検出する受光センサと、
    前記受光センサによって検出した反射光に基づいて前記走査線上に存在する表示のパターンを読み取る読取手段と、
    を備える光学式読取装置において、
    前記複数の走査光反射面の境界部分であって、かつ前記走査光の走査経路上に、前記走査光を反射させてそのまま前記受光センサに入射させる境界検知用反射面を設けると共に、
    前記境界検知用反射面によって反射された反射光に基づいて前記複数の走査光反射面の境界部分を検知する境界部分検知手段を備え、
    前記読取手段は、前記受光センサにて検出した反射光の内、前記境界部分検知手段によって検知された境界部分以外の部分の反射光に基づいて、前記走査線上に存在する表示のパターンを読み取るよう構成されており、
    前記走査光の走査方向から見た場合の前記境界検知用反射面と前記走査光反射面との間には、前記受光センサには光を反射しないような角度に設定された反射面が設けられていることを特徴とする光学式読取装置。
  3. 前記受光センサは、反射光を光電変換し受光量に応じた電気信号を出力するよう構成されていると共に、
    前記読取手段は、前記走査線上に存在する表示のパターンに対応する反射光を検出した前記受光センサからの電気信号を検出可能な相対的に小さなスレッシュホールドに基づいて、前記受光センサからの電気信号を2値化する第1の2値化手段を備え、
    前記境界部分検知手段は、前記走査線上に存在する表示のパターンに対応する反射光を検出した前記受光センサからの電気信号は検出せず、前記境界検知用反射面によって反射された反射光を検出した前記受光センサからの電気信号は検出可能な相対的に大きなスレッシュホールドに基づいて、前記受光センサからの電気信号を2値化する第2の2値化手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の光学式読取装置。
  4. 前記受光センサからの電気信号を所定の増幅率で増幅して前記第1及び第2の2値化手段に出力する増幅手段を備えており、
    この増幅手段は、前記走査線上に存在する表示のパターンに対応する反射光を検出した前記受光センサからの電気信号では飽和せず、前記境界検知用反射面によって反射された反射光を検出した前記受光センサからの電気信号では飽和するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の光学式読取装置。
  5. 前記走査線上に存在する表示のパターンに対応する反射光に加えて外乱光を検出してしまうことによって、前記受光センサからの電気信号を増幅した前記増幅手段からの増幅信号のレベルが飽和状態に近い所定の上限レベル以上である場合には、前記増幅信号のレベルが前記上限レベル未満となるように前記増幅手段の増幅率を変更する増幅率変更手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の光学式読取装置。
  6. 前記受光センサは、前記走査線上に存在する表示のパターンに対応する反射光では飽和せず、前記境界検知用反射面によって反射された反射光では飽和するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の光学式読取装置。
  7. 前記走査線上に存在する表示のパターンに対応する反射光に加えて外乱光を検出してしまうことによって、前記受光センサからの電気信号のレベルが飽和状態に近い所定の上限レベル以上である場合には、前記電気信号のレベルが前記上限レベル未満となるように前記受光センサの飽和レベルを変更する飽和レベル変更手段を備えていることを特徴とする請求項6に記載の光学式読取装置。
  8. 光ビームによる走査光を出射する走査光出射手段と、
    異なる配置の走査光反射面を複数備え、前記走査光出射手段から出射された走査光を前記走査光反射面にて反射させる複数反射手段と、
    前記複数反射手段によって反射された走査光によって発生された走査線上から反射されてくる反射光を検出する受光センサと、
    前記受光センサによって検出した反射光に基づいて前記走査線上に存在する表示のパターンを読み取る読取手段と、
    を備える光学式読取装置において、
    前記複数の走査光反射面の境界部分であって、かつ前記走査光の走査経路上に、前記走査光を反射させてそのまま前記受光センサに入射させる境界検知用反射面を設けると共に、
    前記境界検知用反射面によって反射された反射光に基づいて前記複数の走査光反射面の境界部分を検知する境界部分検知手段を備え、
    前記読取手段は、前記受光センサにて検出した反射光の内、前記境界部分検知手段によ って検知された境界部分以外の部分の反射光に基づいて、前記走査線上に存在する表示のパターンを読み取るよう構成されており、
    前記走査光出射手段は、
    光ビームを出射する走査光発生部と、
    光ビーム反射面を回転させることにより、前記走査光発生部から出射される光ビームの反射方向を回転に応じて変化させて、前記光ビームを走査光として出射する回転反射体と、を備え、
    前記回転反射体は、面倒れ角度が異なる複数の光ビーム反射面を回転させることにより、前記走査光発生部から出射される光ビームの反射方向を回転に応じて変化させて、前記光ビームを光ビーム反射面毎に出射角度の異なる複数の走査光として出射するよう構成されており、
    前記境界検知用反射面は、前記複数の走査光反射面の境界部分であって、かつ前記出射角度の異なる複数の走査光の走査経路上にそれぞれ設けられていることを特徴とする光学式読取装置。
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