JP3800126B2 - 作業ヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直線方向に推力を発生するボイスコイル型モータを用いた作業ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品を基板に実装する実装ヘッドは、電子部品を基板に対して押圧する押圧荷重を発生する荷重発生手段を備えており、この荷重発生手段として可動コイルと固定マグネットとの組み合わせによるボイスコイル型モータを用いる方法が知られている。この方法は、電子部品に当接して保持する電子部品保持ツールに軸部材を介して可動コイルを結合し、固定マグネットが作る磁界の中でこの可動コイルに通電することにより固定マグネットとの間に発生する電磁力を電子部品保持ツールを介して電子部品に伝達するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年電子部品の種類の多様化に伴い、大型チップを実装するために高推力のボイスコイル型モータが求められるようになってきている。しかしながら従来のボイスコイル型モータでは、推力を増加させるためにはマグネットやコイルの大型化などによってモータ全体のサイズ・重量の増加が避けられず、装置コンパクト化の要請に反するとともに、ヘッド重量の増大によって実装動作タクトの遅延を招くという問題点があった。
【0004】
そこで本発明は、小型・軽量で高い推力を発生することができるボイスコイル型モータを用いた作業ヘッドを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の作業ヘッドは、ボイスコイル型モータによって移動するシャフトと、このシャフトの一端部に装着された作業ツールを備えた作業ヘッドであって、前記シャフトを支持する軸受け部と、中央部に前記シャフトが貫通する貫通孔を有し、前記シャフトと同軸且つ平行な外壁面を備えた第1磁性部材と、前記第1磁性部材を包囲し、この第1磁性部材の外壁面と間隔をおいて向かい合い前記シャフトと同軸且つ平行な内壁面を有する第2磁性部材と、前記外壁面と前記内壁面に挟まれた略円筒状の空間内において前記シャフトの長手方向に沿って直列に配置され、半径方向に着磁された2個のリング形状の磁石と、前記内壁面と前記磁石の間の空間に前記シャフトと同軸に巻回され、前記磁石に対応して前記シャフトの長手方向に沿って直列に配置された2個の外側コイルと、前記外壁面と前記磁石の間の空間に前記シャフトと同軸に巻回され、前記外側コイルに対応して前記シャフトの長手方向に沿って直列に配置された2個の内側コイルと、前記外側コイルと前記内側コイルに電流を供給する駆動回路を備え、前記外側コイルの内周面及び前記内側コイルの外周面に前記リング状の磁石の外周面及び内周面をそれぞれ直接露呈させて前記シャフトに前記外側コイル及び前記内側コイルを一体的に装着して可動部とし、前記軸受け部、前記第1磁性部材、前記第2磁性部材、前記磁石とを一体的に装着して固定部とし、隣接する前記磁石の極性を逆向きにすると共に、隣接する外側コイルに流す電流の方向を逆向きとし、さらに外側コイルに対応する内側コイルに流す電流の方向をこの外側コイルと同じ向きにしてボイスコイル型モータを構成し、前記シャフトの他端部にシャフトとは軸心を中心に一体的に回転し長手方向へは摺動自在に結合する回転体と、この回転体を回転させる駆動手段と前記駆動回路と前記駆動手段を制御する制御手段と、前記シャフトの上下方向の位置を検出する位置検出手段を備え、前記位置検出手段が、前記シャフトに装着されたリニアスケールと前記回転体に装着された読み取りヘッドからなり、前記リニアスケールと前記読み取りヘッドは相対向して配置されている。
【0015】
本発明によれば、着磁方向の異なる2つの磁石を推力発生方向に直列に配置し、それぞれのマグネットを挟んで内外2層のコイルを配置することにより、ボイスコイル型モータ全体のサイズや重量の増大を招くことなく高推力を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の電子部品実装装置の正面図、図2は本発明の実施の形態1の電子部品実装装置の斜視図、図3は本発明の実施の形態1の電子部品実装装置の実装ヘッドの断面図、図4は本発明の実施の形態1のボイスコイル型モータの断面図、図5は本発明の実施の形態1のボイスコイル型モータの動作説明図である。
【0017】
まず図1、図2を参照して電子部品実装装置の構成を説明する。図1において、電子部品実装装置1は、基台2上に配設された基板保持部3、部品供給部6および実装部10によって構成されている。基板保持部3は保持ステージ4を備えており、保持ステージ4上には電子部品実装対象となる基板5が保持されている。部品供給部6に載置された部品トレイ7には、電子部品8が多数収納されている。
【0018】
図2に示すように実装部10は、電子部品実装用の作業ヘッドである実装ヘッド12を移動テーブル11によって移動自在に配設した構成となっている。実装ヘッド12の下端部には、作業ツールであって電子部品保持ツールであるボンディングツール13が装着されている。ボンディングツール13は、水平な横長形状のホーン13aを備えており、ホーン13aは保持部13bによって実装ヘッド12の下端部に結合されている。ホーン13aの下面には接合作用部13cが突設されており、接合作用部13cは電子部品8の上面に当接して吸着保持するとともに、電子部品8を基板5に対して押圧することにより電子部品8を基板5に実装する。
【0019】
ホーン13aの一方側の端部には振動子14が装着されており、振動子14を駆動することにより、超音波振動伝達用のホーン13aを介して接合作用部13cには超音波振動が伝達される。これにより、ボンディングツール13によって電子部品8を基板に押圧する際に、電子部品8には接合作用部13cを介して超音波振動が付与される。
【0020】
次に図3を参照して、移動テーブル11および実装ヘッド12の構造について説明する。図3において、移動テーブル11のフレーム11aには、ガイドレール16が2本水平方向に配設されており、ガイドレール16にスライド自在に嵌合したスライダ15には、垂直なプレート11bが固着されている。
【0021】
実装ヘッド12は、ボンディングツール13を回転させる回転機構20と、ボンディングツール13に押圧荷重を付与する押圧手段としてのボイスコイル型モータ30とを上下に組み合わせた構成となっている。プレート11bには、回転機構20の本体を構成する保持部材20aが結合されている。保持部材20aの上面にはモータ21が垂直に配設されており、モータ21の出力軸21aには、ベアリング23によって軸支されたカップリング部材22が結合されている。
【0022】
カップリング部材22の下部には、ボールスプライン24が装着されており、ボールスプライン24には、ボイスコイル型モータ30を軸受け部32を介して貫通する垂直な回転軸31(シャフト)の上部のスプライン軸部31bが、上下方向に摺動自在に嵌合している。回転軸31の下端部31aは、非磁性体で製作された結合部材34を介してボンディングツール13の保持部13bと結合されている。
【0023】
モータ21を回転駆動することにより、回転軸31にはボールスプライン24およびスプライン軸部31bを介して回転が伝達され、回転軸31は軸心廻りに回転する。このとき、ボールスプライン24に対してスプライン軸部31bの上下方向の相対変位が許容される。すなわち、ボールスプライン24が装着されたカップリング部材22およびスプライン軸部31bは、回転軸31の他端部に連結され回転方向へは回転軸31と軸心を中心に一体的に回転し長手方向へは回転軸31に対して摺動自在に移動する回転体となっている。そしてこの回転体は、回転駆動手段であるモータ21の出力軸21aによって回転駆動される。モータ21は駆動回路51によって駆動され、駆動回路51は電子部品実装装置の制御手段9によって制御される。
【0024】
次に回転軸31の上下方向の位置を検出する位置検出手段について説明する。この位置検出手段は、上下位置検出用に回転軸31に装着されたドグ部材28の左側面(移動テーブル11と反対側面)から上方に突出したブラケット28aによって回転軸31に装着されたリニアスケール29、およびブラケット26によってカップリング部材22の左側面に装着された読みとりヘッド27によって構成される。リニアスケール29と読みとりヘッド27は相対向して配置されており、リニアスケール29の上下方向の変位を読みとりヘッド27で読みとることにより、回転軸31の上下方向の位置が検出される。
【0025】
ドグ部材28を挟んで、2つの光学センサ25a,25bが配設されている。光学センサ25a,25bは、それぞれ投光部と受光部とを備えた透過式の光学センサであり、回転軸31の上下方向の変位が予め設定された上限範囲・下限範囲に到達したことを検知する。
【0026】
次に図4を参照して、ボイスコイル型モータ30の構成を説明する。図4において、保持部材20aの下面には、ヨーク35が固着されている。ヨーク35は、機械構造用鋼やマルテンサイトステンレス鋼などの磁性金属によって製作された略2重円筒形状の部材であり、内筒部35a(第1磁性部材)、外筒部35d(第2磁性部材)より構成される。内筒部35aと外筒部35dとは、上部の連結部35fによって連結されている。
【0027】
ヨーク35の内筒部35aの中央部には、貫通孔35bが上下に貫通して設けられている。ヨーク35の中央部に設けられた貫通孔35bには、回転軸31が軸受け部32を介して回転および軸方向移動自在に支持されている。内筒部35aは回転軸31と同軸且つ平行な外壁面35cを備えており、外壁面35cは外筒部35dの内壁面35eと対向している。すなわち、外筒部35dは、内筒部35aを包囲して外壁面35cと間隔をおいて向かい合い、回転軸31と同軸且つ平行な内壁面35eを備えている。
【0028】
外壁面35cと内壁面35eに挟まれた略円筒状の空間37には、マグネット保持部35gが連結部35fから下方に突出して設けられている。マグヘット保持部35gには、半径方向に着磁されたリング形状のマグネット(磁石)39A,39Bが装着されており、マグネット39A,39Bは、空間37において回転軸31の長手方向に沿って直列に配置されている。
【0029】
内筒部35aの外壁面35cとマグネット39A,39Bとの間の空間には、移動部材33から上方に延出した内側コイル保持部33aが進入しており、内側コイル保持部33aには2つの内側コイル38A,38Cが装着されている。また外筒部35dの内壁面35eとマグネット39A,39Bとの間の空間には、移動部材33から上方に延出した外側コイル保持部33bが進入しており、外側コイル保持部33bには2つの外側コイル38B,38Dが装着されている。
【0030】
2つの内側コイル38A,38C、2つの外側コイル38B,38Dは、それぞれ回転軸31の軸方向におけるマグネット39A,39Bの位置に対応して直列に配置されており、ともにマグネット39A,39Bの長手方向のサイズL1よりも短い巻き幅B1で、回転軸31と同軸に卷回されている。ここではB1がボイスコイル型モータ30の推力に関連する有効コイル長に相当し、L1は、B1に回転軸31の上下方向の所要ストロークを加え合わせたもの以上となっている。
【0031】
外側コイル38B,38D、内側コイル38A,38Cには、駆動回路50(図3)によって駆動用の電流が供給され、駆動回路50は制御手段9(図3)によって制御される。これにより、外側コイル38B,38D、内側コイル38A,38Cに対してマグネット39A,39Bが長手方向に相対移動するが、外側コイル38B,38D、内側コイル38A,38Cは、マグネット39A,39Bの長手方向のサイズL1よりも短い巻幅B1で卷回されていることから、通常のストローク範囲において、有効コイル長さは常に一定に保たれる。
【0032】
図4〜図8に示すように、マグネット39A,39Bは、その外周面及び内周面を外側コイル38B,38Dの内周面及び内側コイル38A,38Cの外周面にそれぞれ直接露呈させて配置されている。そしてこの外側コイル38B,38D、内側コイル38A,38Cは移動部材33を介して回転軸31と一体的に装着されて推力発生方向(軸方向)に移動する可動部を構成する。またヨーク35の内筒部35aおよび軸受け部32、外筒部35dはマグネット39A,39Bと一体的に装着されて保持部材20aに固定された固定部を構成する。
【0033】
ここで図5を参照して、マグネット39A,39Bの極性、外側コイル38B,38D、内側コイル38A,38Cの巻き方向について説明する。図5に示すように、マグネット39A,39Bは、マグネット39Aについては半径方向の内側がS極、外側がN極となる方向に、またマグネット39Bについては半径方向の内側がN極、外側がS極となる方向に着磁されている。すなわち、回転軸31の長手方向に隣接するマグネットの極性が相互に逆向きとなるような着磁方向となっている。
【0034】
4つのコイルのうち、内側コイル38A、外側コイル38Bは、同じ巻き方向となっており、また、内側コイル38C,外側コイル38Dは同じ巻き方向となっている。そして、回転軸31の長手方向に隣接する内側コイル38A,38Cはそれぞれ巻き方向が逆となっており、同様に外側コイル38B,38Dも巻き方向が逆となっている。
【0035】
図5は、マグネット39A,39Bによって構成される磁気回路を示しており、磁束は、マグネット39Aの外側(N極)から外側コイル38Bを横切って外筒部35d内に入る。そして外側コイル38Dを横切ってってマグネット39Bの外側(S極)へ向かう。そしてマグネット39Bの内側(N極)から内側コイル38Cを横切って内筒部35aに入り、さらに内側コイル38Aを横切ってマグネット39Aの内側(S極)に入って閉じる。
【0036】
このような磁気回路による磁界内で、外側コイル38B,38D、内側コイル38A,38Cに通電することにより、外側コイル38B,38D、内側コイル38A,38Cとマグネット39A,39Bとの間には、電流の強さに応じた大きさの、また電流の方向に応じて矢印a方向または矢印b方向の相対力が作用する。これにより、マグネット39A,39Bとともに可動部を構成する回転軸には、駆動回路50によって供給される電流に応じた軸方向の力が伝達される。
【0037】
そしてこの軸方向に発生した推力は、回転軸31の下端部31aに結合された結合部材34を介してボンディングツール13に伝達される。これにより、ボンディングツール13は接合作用部13cによって電子部品を基板5に対して押圧する。上記構成のボイスコイル型モータ30は、上下に分割されたマグネット39A,39Bをそれぞれ内外2層のコイルで挟んだ構成となっていることから、これらのマグネットやコイルおよびヨーク35を大型化することなく、高推力を得ることが可能となっている。したがって、ボイスコイル型モータ全体のサイズ・重量の増加を抑えてコンパクトな実装ヘッドが実現され、高速動作が可能となっている。
【0038】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2のボイスコイル型モータの断面図である。本実施の形態2に示すボイスコイル型モータ30Aは、実施の形態1に示すヨーク35に非磁性体を介して軸受け部32を装着した構成となっており、これ以外の構成は実施の形態1のボイスコイル型モータ30と同様である。
【0039】
図6において、保持部材20aの下面には、ヨーク40が固着されている。ヨーク40は、実施の形態1に示すヨーク35と同様の磁性金属によって製作された第1磁性部材である。ヨーク40の中央部には貫通孔40aが上下に貫通して設けられており、貫通孔40aにはオーステナイト系ステンレス鋼などの非磁性体で製作されたカラー部材41が嵌着されている。
【0040】
カラー部材41は上部に径方向に張り出したフランジ部41aと上下方向に貫通した貫通孔41bが設けられた円筒状部材であり、貫通孔41bには回転軸31を回転および軸方向移動自在に支持する軸受け部32が装着されている。フランジ部41aには、ヨーク40と同様の磁性金属によって製作された第2磁性部材としての外筒部42が結合されている。
【0041】
ヨーク40は、回転軸31と同軸且つ平行な外壁面40bを備えており、外筒部42はヨーク40を包囲して配置されており、外壁面40bと間隔をおいて対向し回転軸31と同軸且つ平行な内壁面42aを備えている。
【0042】
外壁面40bと内壁面42aに挟まれた略円筒状の空間47には、マグネット保持部41cがフランジ部41aから下方に突出して設けられている。マグヘット保持部41cには、半径方向に着磁されたリング形状のマグネット(磁石)39A,39Bが装着されており、マグネット39A,39Bは、空間47において回転軸31の長手方向に沿って直列に配置されている。
【0043】
外壁面40bとマグネット39A,39Bとの間の空間、マグネット39A,39Bと内壁面42aとの間の空間には、移動部材33から上方に延出した内側コイル保持部33a、外側コイル保持部33bがそれぞれが進入している。内側コイル保持部33aには2つの内側コイル38A,38Cが、外側コイル保持部33bには、外側コイル38B,38Dがそれぞれ装着されている。マグネット39A,39Bの配置や極性、外側コイル38B,38D、内側コイル38A,38Cの配置や巻き方向については、ボイスコイル型モータ30と同様である。
【0044】
上記構成は、軸受け部32とヨーク40(第1磁性部材)の間に非磁性体であるカラー部材41を設け、カラー部材41に軸受け部32、ヨーク40、外筒部42を装着し、ヨーク40の外壁面40bに内側コイル38A,38Cを装着し、外筒部42の内壁面42aに外側コイル38B,38Dを装着して固定部を構成したものとなっている。
【0045】
このように、ヨーク40と軸受け部32との間に非磁性体のカラー部材41を介在させることにより、マグネット39A,39Bから回転軸31への磁束漏洩を防止することができる。したがって、磁束が漏洩することによる推力の低下を防止するとともに、回転軸31を介して漏洩した磁束によるボンディングツール13への悪影響を防止することができる。
【0046】
(実施の形態3)
図7は本発明の実施の形態3のボイスコイル型モータの断面図、図8は本発明の実施の形態3のボイスコイル型モータの動作説明図である。本実施の形態3に示すボイスコイル型モータ30Bは、実施の形態1と同様の構成において、マグネットとコイルの長手方向の配置幅を変更したものである。
【0047】
図7において保持部材20aの下面には、ヨーク45が固着されている。ヨーク45は、機械構造用鋼やマルテンサイトステンレス鋼などの磁性金属によって製作された略2重円筒形状の部材であり、内筒部45a(第1磁性部材)、外筒部45d(第2磁性部材)より構成される。内筒部45aと外筒部45dとは、上部の連結部45fによって連結されている。
【0048】
ヨーク45の内筒部45aの中央部には、貫通孔45bが上下に貫通して設けられている。ヨーク45の中央部に設けられた貫通孔45bには、回転軸31が軸受け部32を介して回転および軸方向移動自在に支持されている。内筒部45aは回転軸31と同軸且つ平行な外壁面45cを備えており、外壁面45cは外筒部45dの内壁面45eと対向している。すなわち、外筒部45dは、内筒部45aを包囲して外壁面45cと間隔をおいて向かい合い、回転軸31と同軸且つ平行な内壁面45eを備えている。
【0049】
外壁面45cと内壁面45eに挟まれた略円筒状の空間47には、マグネット保持部45gが連結部45fから下方に突出して設けられている。マグヘット保持部45gには、半径方向に着磁されたリング形状のマグネット(磁石)49A,49Bが装着されており、マグネット49A,49Bは、空間47において回転軸31の長手方向に沿って直列に配置されている。
【0050】
内筒部45aの外壁面45cとマグネット49A,49Bとの間の空間には、移動部材43から上方に延出した内側コイル保持部43aが進入しており、内側コイル保持部43aには2つの内側コイル48A,48Cが装着されている。また 外筒部45dの内壁面45eとマグネット49A,49Bとの間の空間には、移動部材43から上方に延出した外側コイル保持部43bが進入しており、外側コイル保持部43bには2つの外側コイル48B,48Dが装着されている。
【0051】
2つの内側コイル48A,48C、2つの外側コイル48B,48Dは、それぞれ回転軸31の軸方向におけるマグネット49A,49Bの位置に対応して直列に配置されており、ともにマグネット49A,49Bの長手方向のサイズL2よりも長い巻幅B2で、回転軸31と同軸に卷回されている。ここではL2がボイスコイル型モータ30Bの推力に関連する有効コイル長に相当し、B2は、L2に回転軸31の上下方向の所要ストロークを加え合わせたもの以上となっている。
【0052】
外側コイル48B,48D、内側コイル48A,48Cには、駆動回路50(図3)によって駆動用の電流が供給され、駆動回路50は制御手段9(図3)によって制御される。これにより、外側コイル48B,48D、内側コイル48A,48Cに対してマグネット49A,49Bが長手方向に相対移動するが、外側コイル48B,48D、内側コイル48A,48Cは、マグネット49A,49Bの長手方向のサイズL2よりも長い巻幅B2で卷回されていることから、通常のストローク範囲において、有効コイル長さは常に一定に保たれる。
【0053】
ここで図8を参照して、マグネット49A,49Bの極性、外側コイル48B,48D、内側コイル48A,48Cの巻き方向について説明する。図8に示すように、マグネット49A,49Bは、マグネット49Aについては半径方向の内側がS極、外側がN極となる方向に、またマグネット49Bについては半径方向の内側がN極、外側がS極となる方向に着磁されている。すなわち、回転軸31の長手方向に隣接するマグネットの極性が相互に逆向きとなるような着磁方向となっている。
【0054】
4つのコイルのうち、内側コイル48A、外側コイル48Bは、同じ巻き方向となっており、また、内側コイル48C、外側コイル48Dは同じ巻き方向となっている。そして、回転軸31の長手方向に隣接する内側コイル48A,48Cはそれぞれ巻き方向が逆となっており、同様に外側コイル48B,48Dも巻き方向が逆となっている。
【0055】
図8は、マグネット49A,49Bによって構成される磁気回路を示しており、磁束は、マグネット49Aの外側(N極)から外側コイル48Bを横切って外筒部45d内に入る。そして外側コイル48Dを横切ってマグネット49Bの外側(S極)へ向かう。そしてマグネット49Bの内側(N極)から内側コイル48Cを横切って内筒部45aに入り、さらに内側コイル48Aを横切ってマグネット49Aの内側(S極)に入って閉じる。
【0056】
このような磁気回路による磁界内で、外側コイル48B,48D、内側コイル48A,48Cに通電することにより、外側コイル48B,48D、内側コイル48A,48Cと、マグネット49A,49Bとの間には、電流の強さに応じた大きさの、また電流の方向に応じて矢印a方向または矢印b方向の相対力が作用する。これにより、マグネット49A,49Bとともに可動部を構成する回転軸には、駆動回路によって供給される電流に応じた軸方向の力が伝達される。
【0057】
以上の実施例において、軸方向に直列に並べたコイルの巻き方向を逆にしているが、巻き方向を同じにして結線を変え、逆方向の電流を印加しても同様の効果が得られるのは明らかである。なお以上の実施例では、磁石、外側コイル、内側コイルをそれぞれ2個づつ備えた例を示したが、それ以上備えて推力を増大してもよい。それぞれ2個づつとすると、コンパクト性と推力増大のバランスがとれて望ましい。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、着磁方向の異なる2つのマグネットを推力発生方向に直列に配置し、それぞれのマグネットを挟んで内外2層のコイルを配置したので、ボイスコイル型モータ全体のサイズや重量の増大を招くことなく高推力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の電子部品実装装置の正面図
【図2】本発明の実施の形態1の電子部品実装装置の斜視図
【図3】本発明の実施の形態1の電子部品実装装置の実装ヘッドの断面図
【図4】本発明の実施の形態1のボイスコイル型モータの断面図
【図5】本発明の実施の形態1のボイスコイル型モータの動作説明図
【図6】本発明の実施の形態2のボイスコイル型モータの断面図
【図7】本発明の実施の形態3のボイスコイル型モータの断面図
【図8】本発明の実施の形態3のボイスコイル型モータの動作説明図
【符号の説明】
1 電子部品実装装置
5 基板
8 電子部品
10 実装部
11 移動テーブル
12 実装ヘッド
13 ボンディングツール
20 回転機構
21 モータ
30 ボイスコイル型モータ
31 回転軸
38A,38C,48A,48C 内側コイル
38B,38D,48B,48D 外側コイル
39A,39B,49A,49B マグネット
Claims (1)
- ボイスコイル型モータによって移動するシャフトと、このシャフトの一端部に装着された作業ツールを備えた作業ヘッドであって、前記シャフトを支持する軸受け部と、中央部に前記シャフトが貫通する貫通孔を有し、前記シャフトと同軸且つ平行な外壁面を備えた第1磁性部材と、前記第1磁性部材を包囲し、この第1磁性部材の外壁面と間隔をおいて向かい合い前記シャフトと同軸且つ平行な内壁面を有する第2磁性部材と、前記外壁面と前記内壁面に挟まれた略円筒状の空間内において前記シャフトの長手方向に沿って直列に配置され、半径方向に着磁された2個のリング形状の磁石と、前記内壁面と前記磁石の間の空間に前記シャフトと同軸に巻回され、前記磁石に対応して前記シャフトの長手方向に沿って直列に配置された2個の外側コイルと、前記外壁面と前記磁石の間の空間に前記シャフトと同軸に巻回され、前記外側コイルに対応して前記シャフトの長手方向に沿って直列に配置された2個の内側コイルと、前記外側コイルと前記内側コイルに電流を供給する駆動回路を備え、前記外側コイルの内周面及び前記内側コイルの外周面に前記リング状の磁石の外周面及び内周面をそれぞれ直接露呈させて前記シャフトに前記外側コイル及び前記内側コイルを一体的に装着して可動部とし、前記軸受け部、前記第1磁性部材、前記第2磁性部材、前記磁石とを一体的に装着して固定部とし、隣接する前記磁石の極性を逆向きにすると共に、隣接する外側コイルに流す電流の方向を逆向きとし、さらに外側コイルに対応する内側コイルに流す電流の方向をこの外側コイルと同じ向きにしてボイスコイル型モータを構成し、前記シャフトの他端部にシャフトとは軸心を中心に一体的に回転し長手方向へは摺動自在に結合する回転体と、この回転体を回転させる駆動手段と前記駆動回路と前記駆動手段を制御する制御手段と、前記シャフトの上下方向の位置を検出する位置検出手段を備え、前記位置検出手段が、前記シャフトに装着されたリニアスケールと前記回転体に装着された読み取りヘッドからなり、前記リニアスケールと前記読み取りヘッドは相対向して配置されていることを特徴とする作業ヘッド。
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