JP3800014B2 - 画像読取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明された原稿からの反射光を撮像素子に結像させて原稿の画像を読み取る画像読取装置に係り、特に、少なくともその撮像素子を覆うネジ止め固定される遮蔽カバーについて改良した画像読取装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の画像読取装置としては、例えば、図10に示すような構成のものが知られている。図示の画像読取装置は、基本的に、その筐体100の上部に設けた原稿載置台としてのプラテンガラス101に載置する原稿102を、矢印方向に往復移動するに設けられた第1走査移動体120に搭載した照明ランプ121により照明し、このときの原稿からの反射光H(その光軸を示す)を反射ミラー122で反射させた後、第1走査移動体120と連動して移動する第2走査移動体123に搭載した2つの反射ミラー124、125で反射させて結像レンズ126に導き、その結像レンズ126により撮像素子127に結像させることにより、原稿102の画像を電気的に読み取るようになっている。
【0003】
ところで、このような画像読取装置においては、図10や図11に示すように、結像レンズ126や撮像素子127が筐体100の所定部位(100a)に固定して取り付けられる金属材料等からなる支持板130に搭載されているうえに、その支持板130には、撮像素子127から放射される電波ノイズを遮蔽するとともに撮像素子127等に入射する外乱光を遮蔽するための金属材料等からなる遮蔽カバー140が取り付けられている。
【0004】
また、このときの遮蔽カバー140の支持板130への取り付けは、一般に、図11に示すように、その箱状の本体形態からなる遮蔽カバー140の下部において外側に折り曲げられて形成されたネジ止め用の折り曲げ固定部141を支持板130に接合し、その折り曲げ固定部141(のネジ通し孔)から固定用ネジ150を支持板130側に設けられたネジ孔に締結することでネジ止め固定するという手段が主に採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなネジ止め固定される遮蔽カバー140を備えた画像読取装置にあっては、次のような課題がある。
【0006】
すなわち、遮蔽カバー140がその材質や形態に起因して比較的剛性が高いことから、その折り曲げ固定部141においてネジ止め固定すると、固定用ネジ150の締結による応力が遮蔽カバー140の特に折り曲げ部等の部位に集中して伝わることにより潜在的に歪み変形が発生し、かかる遮蔽カバー140の歪みが支持板130に伝わることによってその支持板130にも僅かな歪み変形を発生させている。この結果、かかる歪み変形が発生した支持板130に搭載されている撮像素子127や結像レンズ126の取付姿勢に微妙な狂いが生じるため、原稿からの反射光Hの光軸のずれを引き起こすようになり、ひいては画像読取精度が劣化してしまうという問題がある。
【0007】
ちなみに、このような問題を解消するための手段として、遮蔽カバー全体の剛性を低下させる観点からステンレス等の剛性を低くすることができる材質を用いて遮蔽カバーを製作するという解決策が考えられる。しかし、この場合には、材料自体が高価なものであるため、画像読取装置のコストアップを招き適当ではない。
【0008】
特に画像読取装置のような場合、図12aに示すように原稿からの反射光Hを結像レンズ126で撮像素子127の受光面に正確に結像させるため、その結像レンズ126や撮像素子127を取り付け板130に対して位置調整してから固定する必要がある。実際、結像レンズ126のピント位置は個々に異なるため、ピント調整のためには、例えば原稿面と撮像素子127の受光面との間の距離Dを500mmとした場合、受光素子127の位置は最大で光軸H方向に距離d=±5mm程度移動することがある。これは、その受光素子127を固定する取付板130が±5mmずれた状態の撮像ユニット(交換対象となる部品)が構成されることに相当する。そして、かかる撮像ユニットの交換をする場合、その新たに取り付ける取付板130が前述したように支持板141の変形部141aに乗り上げた状態になり、この結果、光軸のずれが発生する。
【0009】
例えば、400dpiの縮小光学系においては、原稿面と結像レンズ間の距離Xと結像レンズと撮像素子間の距離YがX:Y=9:1程度の比となるように形成されているため、図12bに示すように交換後の取付板130が支持板141の変形部141aに乗り上げた状態で取り付けられてずれ量δが0.2mm程度になると、その取付板130に搭載される撮像素子127なども追従してずれ、この撮像素子127等の位置ずれによって、同図cに示すように光軸のずれ(約1.8mmのずれ)を引き起こすことになる。この現象は、アライメント不良のみならず、光軸Hが原稿面照度安定域Mからも外れてかぶり等の画質劣化を誘発するおそれがある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、遮蔽カバーの材質等を変更してカバー全体の剛性を低下させることなく、遮蔽カバーの剛性を簡便にかつ効率良く低下させて、その遮蔽カバーを撮像素子等を支持する支持板にネジ止め固定した際における遮蔽カバーの変形歪み、ひいては当該支持板の変形歪みの発生を防止することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像読取装置は、読み取り対象の画像を有する原稿からの反射光を受光して電気信号に変換する撮像素子を少なくとも支持する支持板に、少なくとも前記撮像素子を覆う本体形態からなり且つネジ止め用の折り曲げ固定部を有する遮蔽カバーをその折り曲げ固定部でネジ止めして固定する画像読取装置において、前記遮蔽カバーの折り曲げ固定部にスリット状の開口部を設けたことを特徴とするものである。
【0012】
ここで、上記遮蔽カバーは、ネジ止め用の折り曲げ固定部を有する形態のものであれば特に制約されるものではないが、主にその本体形態が稜線部を持たない形状からなる遮蔽カバーが該当する。稜線部を持たない本体形態からなる遮蔽カバーとは、例えば、そのカバー本体の形態が半球面状(ドーム型)のものや、角部が曲面(アール状)のものなどである。また、この遮蔽カバーは、一般に金属部材又は非導電材料の表面に導電性加工を施した部材で形成される(後述する稜線部を有する形態の遮蔽カバーの場合も同様とする)。
【0013】
上記スリット状の開口部は、折り曲げ固定部のみに存在するように設けたものでもよいが、好ましくは、折り曲げ固定部の折り曲げ線を横断する状態で設けるとよい。また、このスリット状の開口部は、折り曲げ固定部が複数ある場合、そのすべての折り曲げ固定部に設けてもよいほか、その一部の折り曲げ固定部に設けてもよい。さらに、スリット状開口部は、1つの折り曲げ固定部に対して複数設けるとよいが、1つであっても構わない。但し、遮蔽カバーが撮像素子等からの電波ノイズの放射を防止する機能を持たせる場合には、そのスリット状開口部が電波ノイズのアンテナとならない寸法(開口幅や長さ等)に設定することが必要である。例えば、その開口部の幅や長さ、開口部どうしの間隔などが、電波ノイズの波長λ(=c/f、c:光速、f:クロック周波数)の1/2よりも小さい値となるように設定すればよい。
【0014】
また、本発明の画像読取装置は、読み取り対象の画像を有する原稿からの反射光を受光して電気信号に変換する撮像素子を少なくとも支持する支持板に、少なくとも前記撮像素子を覆うとともに稜線部を有する本体形態からなり且つネジ止め用の折り曲げ固定部を有する遮蔽カバーをその折り曲げ固定部でネジ止めして固定する画像読取装置において、前記遮蔽カバーの折り曲げ固定部及び遮蔽カバー本体の稜線部の一方又は双方にスリット状の開口部を設けたことを特徴とするものである。
【0015】
ここで、上記遮蔽カバーは、基本的に稜線部を有する本体形態からなり且つネジ止め用の折り曲げ固定部を有するものであれば特に制約されるものではなく、例えば、そのカバー本体の形態が複数の平面で構成されるもの(直方体状のものなど)や、平面と曲面を組み合わせて構成されるもの(かまぼこ又はトンネル形状など)である。
【0016】
上記スリット状の開口部は、折り曲げ固定部の折り曲げ線及び稜線部の稜線を横断する状態で設けるよい。また、このスリット状の開口部は、折り曲げ固定部及び稜線部が複数ある場合、そのすべての折り曲げ固定部及び稜線部に設けてもよいほか、その一部の折り曲げ固定部及び稜線部に設けてもよい。さらに、スリット状開口部は、1つの折り曲げ固定部及び稜線部の少なくとも一方に対して複数設けるとよいが、1つであっても構わない。但し、遮蔽カバーが撮像素子等からの電波ノイズの放射を防止する機能を持たせる場合には、前述したスリット状の開口部と同様に、そのスリット状開口部が電波ノイズのアンテナとならない寸法(開口幅や長さ等)に設定することが必要である。
【0017】
このようなスリット状の開口部が設けられた遮蔽カバーを備えた画像読取装置によれば、その遮蔽カバーの折り曲げ固定部や稜線部の部位及びその周辺部位における剛性(機械的強度)がスリット状の開口部の存在により各部位の一部欠落した分だけ低下する。これにより、この遮蔽カバーを、撮像素子等を支持する支持板にその折り曲げ固定部においてネジ止め固定した場合に、ネジ締結時の応力がスリット状開口部の設けられた折り曲げ固定部や稜線部において主に吸収されるようになり、カバー全体としての変形歪みが発生しにくくなり、ひいては遮蔽カバーの変形歪みに起因した上記支持板の変形歪みも発生しにくくなる。この結果、支持板に支持される撮像素子等の取付姿勢が狂うことがなくなり、原稿からの反射光の光軸がずれることも防止される。
【0018】
このような画像読取装置は、例えば、単体として使用されるほか、複写機、ファクシミリ等に代表される画像形成装置の画像読取装置として組み込まれて使用される。
【0019】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1及び図2は本発明の実施の形態1に係る画像読取装置1を示すもので、図1はその全体を示す概要図、図2はその要部を概略的に示す分解斜視図である。
【0020】
この画像読取装置1は、箱状の筐体10の上部に原稿11を載置するプラテンガラス(原稿台)12がはめ込んで設けられており、このプラテンガラス12の下方となる筐体10の内部に縮小結像光学系を構成する第1のキャリッジ20及び第2のキャリッジ25と読取ユニット30とが配設されている。
【0021】
第1のキャリッジ20は、図示されていないガイドレール上をプラテンガラス12と平行に副走査方向(図中の左右方向)に往復移動する走査移動体であり、光源であるランプ(ハロゲンランプ、蛍光ランプなど)21と、このランプ21からの光を原稿面に反射させるリフレクタ22と、原稿11からの反射光H(その光軸を示している)を第2のキャリッジ25側に反射させる反射ミラー23とが搭載されている。一方、第2のキャリッジ25は、図示されていないガイドレール上を第1キャリッジ20の移動と連動して同じ副走査方向に1/2の速度で往復移動する走査移動体であり、上記反射ミラー23で反射させた原稿からの反射光Hを読取ユニット30側へと反射して導く2つの反射ミラー26、27が搭載されている。
【0022】
読取ユニット30は、後述するように筐体10の支持フレーム15の所定部位に固定して取り付けられる搭載板31に、前記第2のキャリッジ25における反射ミラー26、27で反射された原稿からの反射光Hを結像させる結像レンズ32と、この結像レンズ32で結像させた原稿からの反射光Hを光電変換して読み取るラインCCDセンサ等の撮像素子33とが搭載されている。このうち、結像レンズ32はレンズブラケット34を介して搭載板31に固定されている。一方、撮像素子33は、これを駆動する回路基板35に実装されており、その回路基板35が図示しないスタッド等の取付治具により基板取付用ブラケット36に取り付けられたうえで、さらにその基板取付用ブラケット36が支持板37を介して支持基板31に固定されているという取付構造になっている。上記レンズブラケット34及び基板取付用ブラケット36には、原稿からの反射光Hを通過させるための開口部がそれぞれ形成されている。また、この読取ユニット30は、その読取光学系部品である結像レンズ32の一部と撮像素子33を覆う遮蔽カバー40が搭載板31に取り付けられている。
【0023】
そして、この画像読取装置1においては、プラテンガラス12に読み取り対象となる画像が記録された原稿11をその原稿面を下方にむけて載置した状態で、その原稿11の原稿面がランプ21及びリフレクタ22により照明されて主走査方向(副走査方向と直交する方向、図1の紙面垂直方向)の走査がなされ、さらに第1キャリッジ20及び第2キャリッジ25の移動(図5中の2点鎖線で示す状態など参照)により副走査方向の走査がなされる。このとき、照明された原稿11からの反射光Hがミラー23、さらにはミラー26、27を経由して結像レンズ32に入射された後、その結像レンズ32により撮像素子33の撮像面に結像され、もって原稿11の画像が電気的に読み取られる。
【0024】
しかも、この画像読取装置では、上記したような原稿11をプラテンガラス12に固定した状態でキャリッジ20、25を走査させて原稿の画像を読む原稿固定読み動作に加え、そのキャリッジ20、25をプラテンガラス12の下方となる所定の読取位置に固定したうえで原稿11を自動原稿送り装置等によりプラテンガラス12を通過させるように送って原稿の画像を読む原稿流し読み動作を行うことが可能になっている。
【0025】
また、この画像読取装置1においては、図3〜図5等に示すように、撮像ユニット30における遮蔽カバー40を搭載板31に以下のような構造でネジ止め固定している。
【0026】
まず、遮蔽カバー40は、金属薄板(厚さ0.5〜1.2mm程度の鋼板など)を下面が開口した箱状の形態に成形したものであり、撮像素子33を含むその周辺部と結像レンズ32の一部を覆うことができる大きさになっている。
【0027】
具体的には、そのカバー本体が長方形の天板41とその天板41から垂直下方に折り曲げられた状態の4つの平面状の側板42〜45とからなるものであり、また、そのカバー本体における各側板42〜45の下端部に、それぞれ外側にほぼ垂直に折り曲げた形態からなる折り曲げ固定部46〜49が形成されたものである。このうち、結像レンズ32側に位置する前方の側板42の下端部と撮像素子33側に位置する後方の側板45の下端部には、それぞれ2つの折り曲げ固定部46A,46B,49A,49Bが形成されている。また、折り曲げ固定部46〜49には、この遮蔽カバー40を搭載板31にネジ止め固定するための固定ネジ51を通すためのネジ通し孔46a〜49aが開設されており、また、その一部の折り曲げ固定部46〜48には位置決め調整孔46b〜48bも開設されている。図中の符号40aは結像レンズ32の外形線にほぼそって形成されたレンズ露出用切欠部、40bは通気孔、40cは撮像素子33と図示されていない画像信号処理基板等との間を接続する接続ケーブルを通すための開口部を形成するために折り曲げた折り曲げ部である。
【0028】
さらに、この遮蔽カバー40は、上記折り曲げ固定部46A,46B,49A,49Bにスリット状の第1開口部60、第2開口部61が設けられているとともに、その稜線部の一部(側板43と後方側板45の間の稜線部R1、側板44と後方側板45の間の稜線部R2)にスリット状の第3開口部62が設けられている。
【0029】
このうち第1開口部60は、折り曲げ固定部46A,46Bのうちネジ通し孔46a,49aが開設されている部位に1つずつ設けられている。この第1開口部60は、その各折り曲げ固定部16、49の折り曲げ線(OL)を横断するような状態(その折り曲げ角部を欠落させる状態)で形成されている。また、第1開口部60は、その横幅W60が折り曲げ固定部46等の横幅W46(W49)の1/3〜1/2程度の比率となるように形成されている。さらに、第1開口部60は、その折り曲げ線OLを境とした高さH60と長さL60とが同じ寸法であるが、互いに異なっていても構わない。一方、第2開口部61は、その1つを見た場合、この実施形態では第1開口部60と同じ寸法形状のものとしているが、異なっていてもよい。また、この第2開口部61は、所定の間隔をあけて複数個並べた状態で形成されるが、そのときの間隔K61は第2開口部61の横幅W61の1/3〜1/2程度の比率となるように形成されている。なお、折り曲げ固定部46A,46B側にも図6に2点鎖線で例示するように第2開口部61を設けることも可能であるが、遮光カバー40の遮光機能が低下してしまう等の観点から設けていない。
【0030】
また、第3開口部62は、側板43と後方側板45の間の稜線部R1と側板44と後方側板45の間の稜線部R2にそれぞれ間隔をあけて複数個ずつ設けられている。この第3開口部62は、その各稜線部R1,R2の稜線(RL)を横断するような状態(その稜線角部を欠落させる状態)で形成されている。さらに、この第3開口部62は、その1つを見た場合、この実施形態では第1開口部60と同じ寸法形状のものとしているが、異なっていてもよい。そして、この第3開口部62は、その幅W62の合計値が各稜線部R1,R2の長さM(図5b参照)の1/3〜2/3程度の比率となるように形成されていることが好ましい。また、第3開口部62は、各所定の間隔をあけて複数個並べた状態で形成されるが、そのときの間隔K62は第3開口部62の幅W62の1/2〜1/3程度の比率となるように形成されている。
【0031】
一方、搭載板31は、金属板(例えば厚さ1.2〜2mm程度の鋼板など)を所定の形態(この例では後方側が一段下がった形態)に成形したものであり、その両端部が筐体10の支持フレーム15にネジ止め固定される。また、この搭載板31の所定箇所には、図8等に示すように、遮蔽カバー40をネジ止め固定するための前記固定用ネジ51のネジ孔31aが開設されているとともに、遮蔽カバー40の前記位置決め調整孔46b〜48bにそれぞれ差し込む位置決めピン31bが突設されている。そして、この搭載板31は、図2や図8に示すように、その両端部に開設されたネジ通し長孔31c(図4等参照)を通して固定ネジ50の締結により、前記支持フレーム15の支持板部16にネジ止め固定されるようになっている。また、この搭載板31は、支持フレーム15(の支持部16)に対して位置調整可能に取り付けられており、その位置調整時の移動方向が位置調整用ガイド板17、18(図2、図8参照)によって光軸(H)の方向及びそれと直交する方向へそれぞれガイド規制されるようになっている。
【0032】
ちなみに、読取ユニット30における結像レンズ32については、図3、8等に示すように、レンズブラケット34を介して搭載板31に対して位置調整可能に取り付けられている。即ち、レンズブラケット34は、最終的にネジ34aで支持基板31に固定されるが、ブラケット34側に光軸H方向に延びるように形成されたガイド長孔34bを支持基板31側に突設されたガイドピン31bにはめ込むとともに、光軸H方向と直交する方向に延びる長孔34cを支持基板31側に回動可能に取り付けられる位置調整操作用の偏心カム70にはめ込むようになっており、その偏心カム70を適宜方向に回転操作することでレンズブラケット34の全体がガイドピン31bに案内されて移動する。これにより、結像レンズ32の光軸H方向における位置が微調整される仕組みになっている。
【0033】
また、読取ユニット30における撮像素子33についても、図3、8等に示すように、支持板37を介して搭載板31に対して位置調整可能に取り付けられている。即ち、支持板37は、最終的にネジ37a、37bで搭載板31に固定されるが、その一端部がネジ37aを支軸として回動可能に支持されているとともに、その他端部が光軸H方向と直交する方向に延びるように形成された切欠部37cを搭載板31側に回動可能に取り付けられる位置調整操作用の偏心カム71にはめ込むようになっており、その偏心カム71を適宜方向に回転操作することで支持板37の全体がネジ37aを支軸として回動(揺動)される。これにより、撮像素子33の光軸H方向に対する傾きが微調整される仕組みになっている。なお、上記偏心カム71は、図12等に示すように遮蔽カバー40の天板41に開設された作業孔41aを通してカバー装着状態でも操作できるようになっている。
【0034】
そして、この画像読取装置1では、結像レンズ32及び撮像素子33を搭載する搭載板31を支持フレーム15に位置調整をしつつネジ止め固定した後、その搭載板31(結像レンズ32や撮像素子33が取り付けられた状態の搭載板)に前記した遮蔽カバー40を取り付ける。なお、この遮蔽カバー40を取り付けた後に、原稿11からの反射光Hを結像レンズ32で撮像素子33の受光面に正確に結像させるため、その結像レンズ32及び撮像素子33の前述したような位置調整を行う。
【0035】
すなわち、遮蔽カバー40の取り付けは、まず、その折り曲げ固定部46〜48の位置決め調整孔46b〜48bを搭載板31側の位置決めピン31bに差し入れるようにして遮蔽カバー40を搭載板31に一旦載せた後、搭載板31に対する取り付け位置の調整を行ってから、その折り曲げ固定部46〜49のネジ通し孔46a〜49aから固定用ネジ51をそれぞれ通して搭載板31側のネジ孔31aにドライバ等の工具を用いて(締め付けトルク:0.9N・m程度で)締結することにより、搭載板31にネジ止め固定される(図3、4、9参照)。
【0036】
この際、遮蔽カバー40には、その折り曲げ固定部46〜49と稜線部R1,R2にスリット状の第1〜第3開口部60〜62が設けられているため、その折り曲げ固定部46〜49や稜線部R1,R2の部位及びその周辺部位における剛性が低下している。これにより、この遮蔽カバー40を、搭載板31にその折り曲げ固定部46〜49においてネジ止め固定した場合に、固定ネジ51の締結による応力がスリット状開口部60〜62の設けられた折り曲げ固定部46〜49や稜線部部R1,R2において主に吸収されてカバー全体としての変形歪みが発生しにくくなり、ひいては遮蔽カバー40の変形歪みに起因した搭載板31の変形歪みも発生しにくくなる。この結果、搭載板31に搭載されている結像レンズ32、撮像素子33等の取付姿勢が搭載板31の変形歪みに起因して狂うことがなくなり、原稿11からの反射光Hの光軸(H)がずれることが防止される。
【0037】
従って、この画像読取装置1においては、かかる遮蔽カバー40の搭載板31へのネジ止め固定を発端として発生する光軸Hのずれにより画像読取の精度が劣化してしまうことが防止されるようになり、このため良好な画像読取を安定して行うことができる。
【0038】
本発明者によれば、上記実施の形態におけるスリット状開口部60〜62を設けた遮蔽カバー40(図5など)を上記搭載板31にネジ止め固定した場合、従来技術の項で説明したような例えば400dpiの縮小光学系における撮像素子33で受光される原稿からの反射光Hの光軸ずれについて測定したところ、約0.15mm程度であることが確認された。これに対し、上記遮蔽カバー40においてスリット状開口部60〜62を設けない以外は同じ構成(寸法形状など)の遮蔽カバー(比較例)を同様にネジ止め固定した場合、上記光軸ずれは約0.92mmであることが確認された。このようにスリット状開口部60〜62を設けた遮蔽カバー40では、光軸ずれの発生を大幅に低減できることがわかる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像読取装置によれば、遮蔽カバーの剛性をその材質を変更することなく簡便にかつ効率良く低下させることができ、これにより、その遮蔽カバーを撮像素子等を支持する支持板にネジ止め固定した際における遮蔽カバーの変形歪み、ひいては当該支持板の変形歪みの発生を防止することができる。この結果、かかる支持板の変形歪みに起因して撮像素子等の取付姿勢が狂って光軸のずれが発生し、画像読取精度が低下することを回避することが可能となり、良好な画像読取を安定して行うこができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る画像読取装置を示す概略断面図。
【図2】 図1の画像読取装置における読取ユニットを示す分解斜視図。
【図3】 読取ユニットの遮蔽カバーを取り付けた状態を示す前方側から見たときの要部斜視図。
【図4】 読取ユニットの遮蔽カバーを取り付けた状態を示す後方側から見たときの要部斜視図。
【図5】 読取ユニットの遮蔽カバーを示すもので、(a)はその前方側から見たときの斜視図、(b)はその後方側から見たときの斜視図。
【図6】 遮蔽カバーの折り曲げ固定部に設けるスリット状の開口部を示す要部拡大斜視図。
【図7】 遮蔽カバーの稜線部に設けるスリット状の開口部を示す要部拡大斜視図。
【図8】 遮蔽カバーを取り外した状態の撮像ユニットを示す平面図。
【図9】 遮蔽カバーを取り付けた状態の撮像ユニットを示す平面図。
【図10】 従来の画像読取装置を示す概念図。
【図11】 従来の撮像ユニットにおける遮蔽カバーの取付状態を概略的に示すもので、(a)はその斜視図、(b)はその平面図。
【図12】 (a)は画像読取装置における原稿面と受光面との間の距離の説明図、(b)は取付板(結像レンズや撮像素子を含む)を交換して取り付けたときの姿勢変化の状態を示す説明図、(c)は光軸ずれ(視点ずれ)と原稿面照度分布との関係を示す説明図。
【符号の説明】
1…画像読取装置、11…原稿、31…搭載板(支持板)、33…撮像素子、40…遮蔽カバー、46〜49…折り曲げ固定部、60〜62…スリット状の開口部、H…原稿からの反射光、OL…折り曲げ線、R1,R2…稜線部、RL…稜線。
Claims (4)
- 読み取り対象の画像を有する原稿からの反射光を受光して電気信号に変換する撮像素子を少なくとも支持する支持板に、少なくとも前記撮像素子を覆う本体形態からなり且つネジ止め用の折り曲げ固定部を有する遮蔽カバーをその折り曲げ固定部でネジ止めして固定する画像読取装置において、
前記遮蔽カバーの折り曲げ固定部にスリット状の開口部を設けるとともに、その開口部の幅及び長さ並びに当該開口部を複数設ける場合における各開口部どうしの間隔を電磁波ノイズの波長λ(=c/f、c:光速、f:クロック周波数)の1/2よりも小さい値に設定したことを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1に記載の画像読取装置において、
前記スリット状の開口部を、前記折り曲げ固定部の折り曲げ線を横断する状態で設けたことを特徴とする画像読取装置。 - 読み取り対象の画像を有する原稿からの反射光を受光して電気信号に変換する撮像素子を少なくとも支持する支持板に、少なくとも前記撮像素子を覆うとともに稜線部を有する本体形態からなり且つネジ止め用の折り曲げ固定部を有する遮蔽カバーをその折り曲げ固定部でネジ止めして固定する画像読取装置において、
前記遮蔽カバーの折り曲げ固定部及び遮蔽カバー本体の稜線部の一方又は双方にスリット状の開口部を設けるとともに、その開口部の幅及び長さ並びに当該開口部を複数設ける場合における各開口部どうしの間隔を電磁波ノイズの波長λ(=c/f、c:光速、f:クロック周波数)の1/2よりも小さい値に設定したことを特徴とする画像読取装置。 - 請求項3に記載の画像読取装置において、
前記スリット状の開口部を、前記折り曲げ固定部の折り曲げ線及び稜線部の稜線を横断する状態で設けたことを特徴とする画像読取装置。
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