JP3799887B2 - バッテリストッパ装置及び該バッテリストッパ装置を備えた産業用車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばフォークリフト等のような産業車両において、車体に搭載されるバッテリケース(多数のバッテリが収納固定されたケース)の移動を規制するために備えられるバッテリストッパ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
バッテリを駆動源とする一般的なバッテリ式フォークリフトでは、図6に示すように、車体の略中央部にバッテリケース102を搭載するためのバッテリ格納室103を備えている。バッテリ格納室103はフレーム105によって略方形状の箱形に形成され、上面側がバッテリケース102の搬出入口として開口されている。そして、バッテリケース102が、クレーンやホイストのような巻上げ装置あるいは他のフォークリフトによって吊られて、上面開口部からバッテリ格納室103に搭載されるようになっている。なお、図6において、109は車体後部に搭載されたカウンターウェイトである。
【0003】
このようなタイプのバッテリ格納室103の場合、フォークリフトが走行中に異物に乗り上げたり、走行路面の状態が悪くてフレームに対してバッテリケース102が振動したときには、バッテリケース102がバッテリ格納室103から車外へ抜け出すおそれがある。従って、バッテリケース102の抜け出しを防止するためにバッテリストッパ装置110が設けられている。バッテリストッパ装置110は、図示のように、円柱形状のストッパ軸111(リヤフレーム105の前面側への突出長さt101)と、リヤフレーム105に設けられ、ストッパ軸111の一部を差し込んで固定(抜け止め)する円形のストッパ孔107等により構成されている。そして、バッテリケース102がバッテリ格納室103から抜け出そうとした場合には、ストッパ軸111がバッテリケース102のリヤプレート102aに当接することによってバッテリケース102がバッテリ格納室103から抜け出すのを防止することができる。
なお、バッテリケース102内に収容配置されたバッテリ101は、バッテリケース102に対して固定されており、また、バッテリケース102の上面に被せられるバッテリフード(図示省略)によって覆われており、バッテリ単位での車外への抜け出しが防止されている。また、図中の矢印FRは車両前方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のバッテリストッパ装置110において、ストッパ軸111は、バッテリケース102がバッテリ格納室103から抜け出さない(バッテリケース102が横ずれしてもストッパ軸111とリヤプレート102aとの当接が外れない)ような長さに形成されている。
しかしながら、このようなバッテリ装置110は、ストッパ軸111が長すぎるとバッテリ101の上面側にストッパ軸111が位置し、バッテリ101のメンテナンス時等の作業性が低下するという問題があった。かといって、作業性を重視して、ストッパ軸111の突出長さt101を短くすると、本来の目的であるバッテリケース102の抜け出し防止を全うできないという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バッテリケースの抜け出し防止とバッテリのメンテナンス性の改善を図る上で有効なバッテリストッパ装置及び該バッテリストッパ装置を備えた産業用車両を提供することにある。
【0006】
前記課題を解決するために、本発明のバッテリストッパ装置は、請求項1に記載の通りに構成されている。
ここで、請求項1、また他の請求項及び発明の詳細な説明に記載した用語については以下のように解釈する。
「産業用車両」には、バッテリ及び該バッテリを収納するバッテリケースを備えた車両であって、フォークリフト以外にトーイングトラクター、ショベルローダー等も含む。
【0007】
請求項1に記載のバッテリストッパ装置を用いれば、ストッパ軸の連結片をストッパ孔の連結溝に通してバッテリケースとフレームとを連結したうえで、バッテリ格納室内に突出したストッパ軸の凹部がバッテリケースと係合するように構成されているため、例えば、フォークリフトが走行中に異物に乗り上げたり、走行路面の状態が悪くてフレームに対してバッテリケースが振動したりして、バッテリケースが移動しようとした場合には、連結片が連結溝に入ってフレームに連結され、かつバッテリケースが振動したときにストッパ軸の凹部がバッテリケースの端面と嵌合するので、バッテリケースの移動を確実に規制することができる。
ここで、凹部は、直線状に延びるストッパ軸に切り欠きを設けて構成するのみならず、ストッパ軸自体を「L字型」、「コの字型」等といったように折曲して構成してもよい。また、「かぎ型」に構成してもでもよい。
また、このような構成によって、突出部分に凹部を有していない従来タイプのストッパ軸に比して、ストッパ軸の長さを短くすることができる。従って、従来タイプのストッパ軸付近に配置されたバッテリをメンテナンスする場合は、ストッパ軸が作業の邪魔になることがあったが、ストッパ軸の長さを短くしたことによって、バッテリケースに搭載されたバッテリのメンテナンス性を向上させることができる。
さらに、バッテリ格納室に搭載されたバッテリケースが、バッテリ格納室から抜け出そうとした場合に、バッテリ格納室側に取付けられたストッパ軸の凹部によってバッテリケースの移動が規制されるため、バッテリケースの車外への抜け出しを確実に防止することができる。
【0008】
また、本発明のバッテリストッパ装置は、請求項2に記載の通りに構成されている。
請求項2に記載のバッテリストッパ装置を備えた産業用車両を用いれば、バッテリ格納室からのバッテリケースの抜け出しを確実に防止することができ、しかも従来のバッテリストッパ装置に比してストッパ軸の長さを短くしてメンテナンス性を向上させた産業用車両を実現することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(第1及び第2の実施の形態)を図面に基づいて説明する。図1は第1の実施の形態に係るバッテリストッパ装置の使用形態を示す斜視図、図2はバッテリストッパ装置の拡大斜視図、図3は図2の縦断面図である。また、図4は第2の実施の形態に係るバッテリストッパ装置の拡大斜視図、図5は図4の縦断面図である。なお、図中の矢印FRは車両前方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0010】
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態に係るバッテリストッパ装置10は、図1に示すように、上面がバッテリの搬出入口として開口されたタイプのバッテリ格納室3を有するバッテリ式フォークリフトに適用されるものである。図示のように、多数のバッテリ1が収容されたバッテリケース2は、車両前後方向の略中程に設定された、上面がバッテリ搬出入口として開口される箱形のバッテリ格納室3に搭載されている。バッテリ格納室3は鉄板製のフレーム、即ち、左右の壁板を構成するサイドフレーム4、前後の壁板を構成するフロント及びリヤフレーム5(フロントフレームは図示省略)、及び底板を構成するアンダーフレーム6によって形成されている。
そして、各フレームのうち、サイドフレーム4及びフロントフレームは、背丈がバッテリケース2よりも低く設定されるが、リヤフレーム5はバッテリケース2よりも高く設定されており、その背丈の高いリヤフレーム5にバッテリケース2の抜け出し防止用のバッテリストッパ装置10が設けられている。
【0011】
図2に示すように、バッテリストッパ装置10は、リヤフレーム5に形成されたストッパ孔7に嵌合可能な略円柱形状のストッパ軸11を備えている。ストッパ軸11には二つの連結片11bが設けられており、連結片11bはいずれもストッパ孔7に形成された連結溝7aに対応した形状に形成されている。従って、ストッパ軸11の連結片11bを連結溝7aに位置に位置合わせした後、ストッパ軸11を図2中の矢印30方向へ回転させることによって、二つの連結片11bの間にリヤフレーム5が挟持され(係合し)、ストッパ軸11とリヤフレーム5とを連結することができる。
【0012】
また、ストッパ軸11には、連結片11bの反対側に、例えば円柱形状の軸部分の側面を切り欠いて形成された凹部11aが設けられている。凹部11aの軸方向の幅t1は、バッテリケース2のリヤプレート2aの板厚t3よりも広く、リヤプレート2aの端面が凹部11aと係合(嵌合)可能である。従って、例えば、フォークリフトが走行中に異物に乗り上げたり、走行路面の状態が悪くてフレームに対してバッテリケース2が振動したりして、バッテリケース2が移動した場合には、図3中の二点鎖線で示すようにリヤプレート2aの端面が凹部11aに嵌まり込み、バッテリケース2はそれ以上の移動が規制される。よって、ストッパ軸11に対してバッテリケース2を確実に固定することができる。
【0013】
なお、図3に示すように、ストッパ軸11をリヤフレーム5に取付けた際にリヤフレーム5の前面側へ突出する長さt2は、リヤプレート2aの上端と嵌合可能な凹部11aを形成できる長さであればよい。従って、ストッパ軸11の突出長さt2を従来タイプのストッパ軸111の突出長さ(図6中のt101)よりも短くすることができ、バッテリケース2内のバッテリ1を個別にメンテナンスする場合にストッパ軸11が邪魔になり難くなるため、バッテリ1のメンテナンス性を向上させることができる。
【0014】
上述のように構成された第1の実施の形態のバッテリストッパ装置10によれば、リヤフレーム5のストッパ孔7に固定されたストッパ軸11は、リヤプレート2aの上端と係合(嵌合)可能な凹部11aを備えているため、バッテリケース2が車外へ抜け出す方向に移動しようとしても、その動きはリヤプレート2aの上端に嵌合するストッパ軸11の凹部11aによって抑えられる(規制される)ことになり、バッテリケース2の車外への抜け出しが防止される。
【0015】
さて、本実施の形態においては、ストッパ軸11の固定手段として連結片11bを採用したので、ストッパ孔7にストッパ軸11を差し込んで回転させるだけで容易に固定でき、またストッパ軸11を容易に取り外すことができる。このため、バッテリ交換に際して行われるストッパ軸11の脱着操作を従来に比べて簡便化することができる。
また、ストッパ軸11に連結片11b(固定手段)を設けたため、固定に必要な部材を別個に設ける必要がなく、その結果、構造の簡素化が図られるとともに、材料費の低下、製作工程及び組付け工程等が削減され、コストの低減に極めて有効となる。なお、ストッパ軸11、ストッパ孔7の形状は円柱形に限定されず、必要に応じて種々変更可能である。
【0016】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態を、図4及び図5に基づいて説明する。第2の実施の形態は第1の実施の形態と同様に、上面がバッテリの搬出入口として開口されたタイプのバッテリ格納室3を有するバッテリ式フォークリフトに適用されるものである。
なお、説明を簡単にするために、第1の実施の実施と異なる点について説明する。すなわち、第2の実施の形態が第1の実施の実施と異なるのはストッパ軸の構成である。
【0017】
図4に示すように、バッテリストッパ装置20のストッパ軸21には、第1の実施の形態のストッパ軸11と同様に二つの連結片21bが設けられており、連結片21bはいずれもストッパ孔7に形成された連結溝7aに対応した形状に形成されている。また、ストッパ軸21の連結片21bと反対側には凸部21aが設けられている。凸部21aから(凸部21a寄りの)連結片21bまでの長さt4は、バッテリケース2のリヤプレート2aの板厚t3よりも広く、リヤプレート2aの端面が凸部21aから連結片21bまでの間に形成された凹部21cに嵌合可能である。従って、例えば、フォークリフトが走行中に異物に乗り上げたり、走行路面の状態が悪くてフレームに対してバッテリケース2が振動したりして、バッテリケース2が移動した場合には、図5中の二点鎖線で示すようにリヤプレート2aの端面が凹部21cに嵌まり込み凸部21aに当接するため、バッテリケース2はそれ以上の移動が規制される。よって、ストッパ軸21に対してバッテリケース2を確実に固定することができる。
【0018】
なお、図5に示すように、ストッパ軸21をリヤフレーム5に取付けた際にリヤフレーム5の前面側へ突出する長さt5は、リヤプレート2aの上端と係合可能な凸部21a及び凹部21cを形成できる長さであればよい。従って、ストッパ軸21の突出長さt5を従来タイプのストッパ軸111の突出長さ(図6中のt101)よりも短くすることができ、バッテリケース2内のバッテリ1を個別にメンテナンスする場合にストッパ軸21が邪魔になり難くなるため、バッテリ1のメンテナンス性を向上させることができる。
【0019】
上述のように構成された第2の実施の形態のバッテリストッパ装置20によれば、リヤフレーム5のストッパ孔7に固定されたストッパ軸21は、リヤプレート2aの上端と係合可能な凸部21aを備えているため、バッテリケース2が車外へ抜け出す方向に移動しようとしても、その動きはリヤプレート2aの上端と係合するストッパ軸21の凸部21aによって抑えられる(規制される)ことになり、バッテリケース2の車外への抜け出しが防止される。
従って、この第2の実施の形態によっても前述の第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0020】
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。
第1及び第2の実施の形態においては、直線状に延びるストッパ軸11を切り欠いて凹部11aを形成し、また、ストッパ軸21に凸部21aを突出させたが、凹部又は凸部の形状は必要に応じて種々変更可能である。例えば、ストッパ軸自体を「L字型」、「コの字型」等といったように折曲して構成してもよい。
また、例えば、ストッパ軸側とリヤプレート側を互いに係合するかぎ型状に形成することができる。このような構成すれば、ストッパ軸に対してバッテリケース2をさらに確実に固定することができるバッテリストッパ装置を実現することができる。
【0021】
また、本実施の形態においては、連結片11b(又は連結片21b)と連結溝7aとを係合させることによってストッパ軸11(又はストッパ軸21)とリヤフレーム5とを連結する構成としたが、ストッパ軸11(又はストッパ軸21)とリヤフレーム5とを連結する構成は限定されず、必要に応じて種々変更可能である。また、ストッパ軸11,21及びストッパ孔7の形状は、図示の形状に限らず、円形断面を含む如何なる形状であっても差し支えなく、要するに嵌り合う形状であればよい。
【0022】
また、本実施の形態においては、バッテリストッパ装置10,20をバッテリ格納室3のリヤフレーム5に設けたが、バッテリストッパ装置10,20の設置箇所については、リヤフレーム5に限るものではなく、フロント側にフレームが存在する構造の形式であれば、フロントフレームを設置対象にしてもよいし、場合によってはサイドフレーム4であってもよい。
【0023】
さらには、本実施の形態に係るバッテリストッパ装置10,20は、上面をバッテリ搬出入口として開口し、バッテリ交換をクレーンやホイスト等の巻上げ装置あるいは他のフォークリフトを用いて吊上げることによって行うタイプのバッテリ格納室3を備えたフォークリフトに適用する場合で説明したが、バッテリ交換を車体側方から水平に移動することによって行うロールアウト式のバッテリ格納室を備えたフォークリフトに適用してもよい。
【0024】
また、本実施の形態はフォークリフトの場合について説明しているが、トーイングトラクターやショベルローダ等の他の産業車両であってもバッテリを動力源として搭載している車両であれば、適用できることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のバッテリストッパ装置によれば、従来のバッテリストッパ装置に比べて、バッテリケースの抜け出しを確実に防止でき、バッテリのメンテナンス性を向上させたバッテリストッパ装置及び該バッテリ装置を備えた産業用車両を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態に係るバッテリストッパ装置の使用形態を示す斜視図である。
【図2】 図1のバッテリストッパ装置の拡大斜視図である。
【図3】 図2の縦断面図である。
【図4】 第2の実施の形態に係るバッテリストッパ装置の拡大斜視図である。
【図5】 図4の縦断面図である。
【図6】 従来のバッテリストッパ装置の使用形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…バッテリ
2…バッテリケース
3…バッテリ格納室
5…リヤフレーム
7…ストッパ孔
10,20…バッテリストッパ装置
11,21…ストッパ軸
11a…凹部
21a…凸部
Claims (2)
- 車体のバッテリ格納室に搭載されたバッテリケースを搭載位置に固定するためのバッテリストッパ装置であって、
前記バッテリ格納室側に設けられ、フレームに形成されたストッパ孔と嵌合可能であって、前記バッテリ格納室内に突出した突出部分に凹部と連結片とを有するストッパ軸を備え、
前記ストッパ軸の連結片を前記ストッパ孔に形成された連結溝に通して前記フレームに連結したうえで、前記バッテリケースが振動したときに前記ストッパ軸の凹部が前記バッテリケースの端面と嵌合することによって該バッテリケースの移動を規制するように構成され、
上面がバッテリケースの搬出入口として開口されたバッテリ格納室における前記搬出入口からのバッテリケースの抜け出し規制用として適用されたバッテリストッパ装置。 - 請求項1に記載のバッテリストッパ装置を備えた産業用車両。
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