JP3799831B2 - 商品在庫計数機能付自動販売機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶、ビン、ペットボトル等の固体状の商品(以下、単に商品という)の在庫数を管理する、サーペンタイン式商品ラック(以下、単に商品ラックという)を具備した在庫管理機能付自動販売機(以下、単に自販機という)に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の自販機の側断面図である。図6において、101は外箱、102は内箱、103は外箱101と内箱102とに挟まれた断熱材、104は内部に断熱材103を充填した内扉、105は商品見本等が並べられた外扉、106は商品107を収納する商品ラックである。商品ラック106の下部には、商品107を1本づつ払い出すための払出し機構108が、各商品毎に設けられている。払い出された商品107は重力によって落下し、シュータ109によって導かれ、内扉104の下部のフラップ扉110を通過して、商品取り出し口111へ送られる。また、収納された商品107は、自販機内に設けられた冷却器112またはヒータ113によって、予め設定されたように冷却または加熱される。その際、庫内の空気は、ファン114によって循環され、商品107を冷却または加熱する。また、庫内の下部には、機械室115が設けられており、冷凍機のコンプレッサ116、凝縮器117等が収納されている。
【0003】
次に、商品107を計数する計数手段について説明する。
図7は、従来の自販機の商品ラック部の計数手段の部分を示す側面図である。図7において、118は商品107を投入するための投入口、119は投入口118から商品ラック106に商品107を送るトレイ、121は商品ラック106を構成するセグメント、122はセグメント121の商品107の通過側の面に貼りつけられた感圧センサである。感圧センサ122にはリード線123が取り付けられ、検出回路124に接続されている。商品107は、投入口118から人の手によりトレイ119に乗せられ、商品ラック106の中に補充される。補充された商品107は、セグメント121にぶつかりながら商品ラック106の下部へと送られ、セグメント121に貼りつけられた感圧センサ122に衝突する。感圧センサ122は、周知のように、加えられた荷重に従って電気抵抗値が急激に変化する特性を有する。補充された商品107がぶつかることによる押圧により、電気抵抗値が変化し、その電気抵抗値の変化を検出することにより、商品ラック106に補充された商品107を計数することができる。商品107がぶつかることによる電気抵抗値の変化は、スイッチのオン/オフに近い矩形波状のシンプルな出力となる。
【0004】
次に、計数方法について説明する。図8は、従来の感圧センサ設置付近の商品ラック部の説明図で、(a)は商品補充時、(b)は商品販売時を示す図である。図8において、構成要素は図7と同じであり同じ符号を付してある。図8(a)に示す商品補充時は、感圧センサ122の出力は、Aの位置までの収納に対しては、商品107が直接セグメント121に貼りつけられた感圧センサ122に衝突するため、商品107の数に応じたパルス信号が、その衝撃力に応じて感圧センサ122から出力される。Aの位置より上の収納本数に対しては、商品107が直接感圧センサ122に衝突することがなく、間接的に衝撃が伝わるだけであるので、衝撃力のレベルは直接商品107が衝突するときに比べて低いから、等価的には出力されない形となり計数されることはない。次に、図8(b)に示す商品販売時は、販売毎に商品ラック106内の商品107が下方に落下するので、その都度A位置より上方に積み重ねて収納された商品が感圧センサ122に衝突する。従って、感圧センサ122の出力は、Aの位置から投入口118まで収納された商品の本数に対応する販売に対しては、販売毎に商品107が直接感圧センサ122に衝突するため、販売数に応じたパルス信号が、その衝撃力に応じて感圧センサ122から出力される。しかし、Aの位置まで販売が進むと、その後商品107が衝突しなくなるため、感圧センサ122の出力は発生しなくなる。そこで、商品補充時には感圧センサ122設置部より下の収納本数を、商品販売時には感圧センサ122設置部より上の収納本数を計数することで、最終的に収納された全本数を計数する。
【0005】
ところで、商品補充時の通過商品107を感圧センサ122で計数するとき、実際には次に述べるようなプラス側の誤計数が発生する。図9は、従来のプラス側の誤計測の説明図で、(a)は感圧センサ位置までの商品補充が終わったときの最上位商品が感圧センサと確実に接触して停止した状態を示す図、(b)は同じくその最上位商品が感圧センサの下端部と不安定に接触して停止した状態を示す図である。図9において、構成要素は図8と同じであり同じ符号を付してある。図9(b)のような場合、感圧センサ122まで商品107を補充後、その後に上方に積み重なる形で順次投入される商品107が、最上位商品に衝撃を与え、その都度感圧センサ122に作用力を加え、その分だけ余計に計数されることがある。この誤計数は、発生するかしないかが非常に微妙である。例えば、作用力の方向が感圧センサ122の面に直角かまたは直角に近いときは、検出されて誤計数になるが、作用力の方向が感圧センサ122の面に平行かまたは平行に近いときは、検出されず誤計数にはならない。また、商品107の作用力は、その大きさが商品重量や商品ラック106内を搬送されるときの弾み方によって大幅に変化するとともに、その方向も大幅に変化するので、誤計数になるかならないかは微妙である。この誤計数を解消することは、実際上非常に困難であるので、次善の策として次のような商品補充時の通過商品107の本数を推定する方法が採用されている。
【0006】
表1は、商品補充時の計数値とそのときの推定本数との関係を示したものである。商品補充時の計数値が14本以下のときには11本と推定し、以下同様に15〜16のときには13本、17以上に対しては16本とそれぞれ推定する。
【0007】
【表1】
この対応関係は、以下に述べるような実験結果から集約して求めた。
【0008】
【表2】
表2は、各商品別に適用される自販機の商品ラックに、実際に多数回繰り返して補充して求めた、商品補充時の計数値の変動(ばらつき)と、その時の実際本数との関係である。左側の縦列に商品名、中間の縦列に商品補充時の計数値変動、右側の縦列に実際本数をとる。例えば、商品Aでは、計数値が17〜18の範囲で変動し、実際本数は16本であった。以下、各商品B,C,D・・・Kについて、表2記載のように計数値変動と、その時の実際本数の関係を求めた。ここで、計数値変動がいずれも実際本数の値以上となっており、最上位商品の上方から積み重なる形で順次投入される商品が、最上位商品に衝撃を与えることを示している(図9(b)参照)。このデータから、実際本数を、11本、13本、16本の3つのグループに集約し、それに対して互いに重なり合わないように計数値の変動範囲を求めたのが、表1に示した対応関係である。表1の対応関係から得られる推定本数は、当然ながら誤差を含むと考えられるが、もともと微妙な要因によって変動する計数値からできるだけ確度の高い本数を推定するために、実験データに裏打ちされて導出された「計数値−推定本数の対応関係」を根拠としたというのがこの方法の眼目である(特願平9−186658参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来技術においても、次のような問題点がある。すなわち、商品ラックのセグメントに設置した感圧センサを用いて自販機内の在庫数を精度良く管理するには、補充時および販売時の商品を精度良く感圧センサに衝突させなければならない。しかしながら、商品の補充のされ方は、丁寧に1本づつ入れられる場合もあれば、2本同時に入れられる場合、投げ込むように入れられる場合とさまざまである。従って、商品ラック内部における補充時の商品挙動が安定せず、感圧センサの設置位置によっては、商品が感圧センサに衝突しないこともあり、検出精度が悪くなる。このため、感圧センサの設置位置に依存しないように感圧センサの形状を大きくする方法もあるが、その場合、形状を相当大きくしなければならず、価格が高くなってしまう。また、価格面でみると、在庫管理機能を自販機に設けるためには、感圧センサのみでなく、感圧センサの信号処理を行い、商品の計数を行うための信号処理回路が必要となる。1台の自販機の中には、販売商品の種類を多くするため、通常、商品ラックが10台以上設置されている。また、1台の商品ラックには、通常、2つの商品収納コラムがあるため、1台の自販機には合計で20個以上の感圧センサが必要となり、信号処理回路はそれらの全ての出力を順次取り込まなければならない。従って、20個以上の感圧センサ出力を取り損なうことなく順次検出するためには、感圧センサの信号幅が短い場合、サンプリング速度の速い信号処理回路が必要となり、価格の上昇を招いてしまう。
【0010】
上記の問題点に鑑み、本発明の目的は、感圧センサを使用して商品の在庫数を計数する機能付きの自販機において、価格上昇することなく計数精度を向上した自販機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明においては、商品を積み重ねて収納する商品ラックと、固体状の商品の補充/販売時に前記商品が前記商品ラックを構成するセグメントへ衝突する作用力を電気抵抗の変化として検出する感圧センサとを具備し、該感圧センサの矩形波状の出力に基づき前記商品の在庫数を計数する自動販売機において、前記セグメントのうちの前記商品ラックの中間部に位置する特定のセグメントの前記商品通過側の面であって商品搬送方向に対し3等分した領域のうちの最も商品取り出し口に近い領域に前記感圧センサを設置することとした。
【0012】
また、上記において、感圧センサの商品搬送方向の長さを、関係式L=S×V(Lは感圧センサ長さ、Sは任意のサンプリング速度の信号処理回路で検出可能な信号幅、Vは商品の搬送速度)を満たす長さとした。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施例の商品衝突精度評価時の商品ラック部の説明図である。1はサーペンタイン式商品ラック2を構成するセグメント、3は商品4の搬送方向の3等分領域(a位置、b位置、c位置)に設置した感圧センサ、5は商品4の転がる軌跡である。
【0014】
図2は、図1における商品衝突精度の評価結果を示すグラフで、(a)は補充時を示す図、(b)は販売時を示す図である。補充時、販売時ともに、感圧センサ3の設置位置は、a→b→cとセグメント1の下部(商品取り出し口に近い領域)に近くなるほど、商品4と衝突しやすくなり衝突精度が高くなる。これは、図1の商品4の搬送方向と感圧センサ3の位置関係を見て分かるように、a位置では感圧センサ3の面が商品4の搬送方向と平行に近い関係にあるため、補充時に、商品4が投げ込まれた時やスムーズに転がった時のように、勢いよく転がっていく時には感圧センサ3と衝突するが、販売時にように転がる勢いがない場合には衝突しなくなり、感圧センサ3の検出精度は低くなる。b位置では、感圧センサ3の面が商品4の搬送方向と直角に近い関係になるため、a位置よりは、補充時、販売時ともに、商品4が感圧センサ3と衝突しやすくなり、感圧センサ3の検出精度は高くなる。c位置では、感圧センサ3の面が商品4の搬送方向と直角に近い関係であり、b位置の場合と同じように、対向するセグメント1の位置から転がってきた商品4が直接感圧センサ3と衝突しやすく、また、それとは別に、c位置では、a位置、b位置とは異なり商品4がセグメント1に衝突した後の転がる軌跡に位置するため、例えセグメント1への初期の衝突で感圧センサ3に衝突することがなくても、その後の商品4の転がり落ちる際に感圧センサ3に衝突するため、感圧センサ3の検出精度は大幅に向上する。
【0015】
図3は、本発明の実施例の感圧センサと信号処理回路との関係を示す図である。1台の自販機にn個、例えば20個の感圧センサが内蔵されているとすると、それぞれのセンサ信号が信号処理回路に順次取り込まれる。
図4は、本発明の実施例のセンサ信号と信号処理回路のサンプリング間隔との関係を示す図で、(a)はセンサ信号幅がサンプリング間隔より小さい場合を示す図、(b)はセンサ信号幅がサンプリング間隔と同じ場合を示す図である。図4において、6はセンサ信号、7は信号処理回路サンプリング、8はサンプリング間隔、9および11はセンサ1の信号、10および12はセンサ2の信号である。1つの信号処理回路で20個のセンサ信号6を検出するには、信号処理回路サンプリング7のサンプリング間隔8と同じ大きさのセンサ信号6の幅が必要である。例えば、図4(a)では、各々のセンサ信号6の幅が信号処理回路サンプリング7のサンプリング間隔8より小さいので、センサ1の信号9は信号処理回路サンプリング7のタイミングと一致するため検出されるが、センサ2の信号10は信号処理回路サンプリング7のタイミングと一致しないため検出されない。図4(b)では、各々のセンサ信号6の幅が信号処理回路サンプリング7のサンプリング間隔と同じであるので、信号処理回路サンプリング7の第1のタイミングと一致するセンサ1の信号11だけでなく、第1のサンプリングのタイミングがずれたセンサ2の信号12も第2のサンプリングのタイミングにより検出され、結果的に検出漏れがなくなる。従って、信号処理回路にてセンサ信号6を検出するためには、信号処理回路サンプリング7のサンプリング間隔8以上の大きさのセンサ信号6の幅とする必要となる。
【0016】
図5は、本発明の実施例のセンサ信号幅とセンサ形状との関係の説明図で、(a)は補充または販売時の商品速度Vと感圧センサ長Lの関係を示す図、(b)は(a)と対応するセンサ信号Sを示す図である。図5において、13は商品の搬送速度V、14は感圧センサの長さL、15はセンサ信号Sである。センサ信号S15は、商品4が感圧センサ3と接触している間だけオンとなり、商品4が感圧センサ3と接触し始める、信号がオフからオンへの立ち上がり時間と、商品4が感圧センサ3から離れ始める、信号がオンからオフへの立ち下がり時間は、商品4が感圧センサ3と接触している時間と比較して十分短いため、ほとんどオン/オフの矩形波となる。そこで、センサ信号S15と、商品搬送速度V13、感圧センサ3の長さL14との間には次の関係式、すなわち、(感圧センサの長さL=センサ信号S×商品搬送速度V)が成立するので、これを用いて、感圧センサの長さLを決定する。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、感圧センサを、商品の衝突精度の最も高い、商品ラックの中間部に位置する特定のセグメントの商品通過側の面であって商品搬送方向に対し3等分した領域のうちの最も商品取り出し口に近い領域に設置することにより、低価格な小形の感圧センサでも、検出精度を低下することなく、自販機の在庫数を高精度に管理することが可能となる。
【0018】
また、感圧センサの商品搬送方向の長さ形状を、関係式L=S×V(Lはセンサ長さ、Sは任意のサンプリング速度の信号処理回路にて検出可能な信号幅、Vは商品の搬送速度)を満たす長さとすることにより、高価格なサンプリング速度の速い信号処理回路を用いることなく、自販機の既存の信号処理回路を利用可能とし、20個の感圧センサの信号を検出漏れなく順次取り込むことが可能となり、価格の上昇を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の商品衝突精度評価時の商品ラック部の説明図。
【図2】図1における商品衝突精度の評価結果を示すグラフで、(a)は補充時を示す図、(b)は販売時を示す図。
【図3】本発明の実施例の感圧センサと信号処理回路との関係を示す図。
【図4】図3におけるセンサ信号と信号処理回路のサンプリング間隔との関係を示す図で、(a)はセンサ信号幅がサンプリング間隔より小さい場合を示す図、(b)はセンサ信号幅がサンプリング間隔と同じ場合を示す図。
【図5】本発明の実施例のセンサ信号幅とセンサ形状との関係の説明図で、(a)は補充または販売時の商品速度Vと感圧センサ長Lの関係を示す図、(b)は(a)と対応するセンサ信号Sを示す図。
【図6】従来の自動販売機の側断面図。
【図7】従来の商品ラック部の計数手段の部分を示す側面図。
【図8】従来の感圧センサ設置付近の商品ラック部の説明図で、(a)は商品補充時を示す図、(b)は商品販売時を示す図。
【図9】従来のプラス側の誤計測の説明図で、(a)は感圧センサ位置までの商品補充が終わったときの最上位商品が感圧センサと確実に接触して停止した状態を示す図、(b)は同じくその最上位商品が感圧センサの下端部と不安定に接触して停止した状態を示す図。
【符号の説明】
1…セグメント、2…サーペンタイン式商品ラック、3…感圧センサ、4…商品、5…商品の軌跡、6…センサ信号、7…信号処理回路サンプリング、8…サンプリング間隔、9,11…センサ1の信号、10,12…センサ2の信号、13…商品の搬送速度V、14…感圧センサの長さL、15…センサ信号S。
Claims (2)
- 商品を積み重ねて収納する商品ラックと、固体状の商品の補充/販売時に前記商品が前記商品ラックを構成するセグメントへ衝突する作用力を電気抵抗の変化として検出する感圧センサとを具備し、該感圧センサの矩形波状の出力に基づき前記商品の在庫数を計数する自動販売機において、前記セグメントのうちの前記商品ラックの中間部に位置する特定のセグメントの前記商品通過側の面であって商品搬送方向に対し3等分した領域のうちの最も商品取り出し口に近い領域に前記感圧センサを設置したことを特徴とした商品在庫計数機能付自動販売機。
- 請求項1に記載の商品在庫計数機能付自動販売機において、感圧センサの商品搬送方向の長さを、関係式L=S×V(Lは感圧センサ長さ、Sは任意のサンプリング速度の信号処理回路で検出可能な信号幅、Vは商品の搬送速度)を満たす長さとしたことを特徴とする商品在庫計数機能付自動販売機。
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