JP3799709B2 - 光ディスク装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複数種類の光ディスクに対応する光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学ディスクとしてCD(コンパクトディスク)が広く普及しており、音楽用途をはじめとしてCD方式のディスクは各種分野で使用されている。また音楽用CDは通常、再生専用メディアとされるが、CD−R(コンパクトディスク−レコーダブル)と呼ばれる追記型のディスクも開発されている。
【0003】
一方、マルチメディア用途に好適な光学ディスクとしてDVD(Digital Versatile Disc/Digital Video Disc )と呼ばれるディスクも開発されている。このDVDはビデオデータ、オーディオデータ、コンピュータデータなどの広い分野で適応することが提唱されている。そしてDVDはCDと同サイズのディスク(直径12cm)でありながら、記録トラックの小ピッチ化やデータ圧縮技術等により、記録容量も著しく増大されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、新規な光ディスクが開発されることに応じて、旧来の光ディスクとの互換性を備えた光ディスク装置の提供が望まれることになる。
【0005】
DVDについて考えれば、CDとDVDの両方に対応する光ディスク装置の開発が望まれる。ところがCDとDVDでは、その光ディスクの層構造の違いなどにより反射率が異なるので、光ディスクの種類によって光学ピックアップにより得られるRF信号の信号レベルが変化し、また、フォーカスサーボやトラッキングサーボなどの各種サーボ系のパラメータの最適値も変化する。
【0006】
したがって、複数種類のディスクに対応できる光ディスク装置では、光ディスクが装填された際に、そのディスクが何れの種類のディスクであるかを正確に判別しなければならない。
【0007】
例えばカートリッジに光ディスクが収納されるような形態をとるものでは、カートリッジの識別孔等を設ければ容易に識別できるが、上記のCDとDVDなどのように、カートリッジに収納されず、またディスク自体が同サイズの形態のものではこのような機械的な検出方式は採用できない。
【0008】
さらに、センサその他の種別検出のための特別な部品、機構を設けることは、構成の複雑化やコストアップなどが生じるため好ましくない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、反射率などの異なる複数種類の光ディスクに対して、ミラー信号生成手段により複数種類の光ディスクに対して確実にミラー信号を生成することができる光ディスク装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光ディスク装置は、光ディスクの信号面に対物レンズを介して照射するレーザ光を出射するレーザ光源と、上記レーザ光源から出射されたレーザ光の上記光ディスクの信号面による反射戻り光を検出する戻り光検出手段と、上記戻り光検出手段の検出出力に基づいて互いに記録密度の異なる二種類の上記光ディスクを判別するディスク判別手段と、上記戻り光検出手段による検出出力に基づいて再生信号を検出し、この再生信号からローパスフィルタを通して抽出したトラバース信号を増幅回路によって増幅し、基準レベル信号とレベル比較することによりミラー信号を生成するミラー信号生成手段と、上記ディスク判別手段による判別出力に基づいて、上記ローパスフィルタの周波数特性及び上記増幅回路のゲインを切り換える制御手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
本発明は例えばCDとDVDに対応する光ディスク装置に適用される。本発明を適用した光ディスク装置の説明に先立って、まずCD、DVD及びCD−Rの構造を図1で説明する。なお、CD、DVD及びCD−Rともに、直径は12cmのディスクとされている。
【0014】
図1(a)(b)(c)はそれぞれCD,CD−R,DVDのディスク断面として層構造を示している。各図に記したようにCD,CD−R,DVDともにディスク全体の厚みは12cmとされている。
【0015】
図1(a)に示すCD100には、光透過率が高くかつ耐機械的特性あるいは耐化学特性を有する透明ポリカーボネイト樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、あるいはアクリル樹脂等の透明な合成樹脂材料によってディスク基板(透明層)101が成形される。ディスク基板101には、一方の主面に成形金型に組み込まれたスタンパによってピットが転写され、信号面102が形成される。この信号面102におけるピットは、所定の情報信号に対応してそれぞれ円周方向の長さを異にする符号化された小孔としてディスク基板101に形成され、記録トラックを構成することになる。上記信号面102が形成されたディスク基板101の面には光反射率の高いアルミニウム等が蒸着されて反射層103が形成されるとともに、さらに全体に保護層104が被覆されて、CD100が形成される。
【0016】
このCD100に対してはディスクドライブ装置からのレーザ光がディスク表面105側から入射され、信号面102に記録された情報が、その反射光から検出されることになる。
【0017】
図1(b)に示すCD−R110は、追加記録可能なメディアとされ、CD100と物理的特性(直径、重さ、厚さ)や容量を同一とするが、CD100に比べ少量生産を経済的に行うことができ、耐久年数も長いことから、データ保存用として適している。
【0018】
このCD−R110も、ディスク表面116側からみて透明のディスク基板(ポリカーボネイト)111が配される。そしてこのようなディスク基板111の上に、有機色素層114、金の反射層113、保護層115が順に積層されてCD−R110が形成されている。また、このCD−R110には、レーザ光の照射ガイドとなる溝(グルーブ)が刻まれており、有機色素層112がこのグルーブを覆っている。そして、照射されたレーザ光の熱により有機色素層112とポリカーボネイトによるディスク基板111とが反応して情報信号に応じたピットが形成されることで、実際のデータが記録された信号面112が形成される。
【0019】
図1(c)に示すDVDも同様にディスク表面128制からディスク基板121が配され、ディスク基板121の他面側に信号面が形成される。DVDの場合、信号面が1つである1層ディスクと呼ばれるものと、信号面が2層となっている2層ディスクと呼ばれるものの2種類が提案されており、図1(c)は2層ディスクの例を示している。すなわち第1信号面122及び第1信号面122に対応する第1反射層123により第1層のデータ記録面が形成される。また第2信号面124及び第2信号面124に対応する第2反射層125により第2層のデータ記録面が形成される。第2反射層125の上は接着面126とされ、これを介してダミー板127が接着される。
【0020】
第1反射層123は半透明膜とされ、レーザ光の一定割合を反射させるように形成されている。これによってレーザ光が第1信号面122に焦点を当てれば第1反射層123による反射光から第1信号面122に記録された信号を読み取ることができ、またレーザ光を第2信号面124に焦点をあてさせる際は、そのレーザ光は第1反射層123を通過して第2信号面124に集光され、第2反射層125による反射光から第2信号面124に記録された信号を読み取ることができる。
【0021】
1層ディスクの場合は信号面及び反射層が第2信号面124と第2反射層125と同様に形成される。
【0022】
この図1(a)(b)(c)からわかるように、CD100及びCD−R110は信号面102,112がディスク表面105,116側からみて、ほぼディスクの厚み分に近い位置に形成されている(ディスク表面105,116側から概略1.2mmの位置にレーザスポットの焦点を当てるべき信号面102,112が位置する)。
【0023】
一方、DVDでは信号面122(124)はディスク表面128側からみて、ほぼディスクの厚みの中央に近い位置に形成されている(ディスク表面128側から概略0.6mmの位置にレーザスポットの焦点を当てるべき信号面122(124)が位置する。また上述したように信号面122(124)に形成されるビットによる記録密度もCD100,CD−R110に比べて高密度化されている。
【0024】
このような違いから、DVDの再生には、再生のためのレーザ光として波長が650nm以下のものが用いられ、また対物レンズは開口(NA)が0.6に高められるとともに、ディスク表面128側から概略0.6mmの位置にレーザスポットの焦点を結ぶために最適化された光学ピックアップが使用される。
【0025】
なお、CD/DVDの互換機では、波長が650nm以下のレーザ光により、CD100の信号面102の情報を読み取ることは不可能ではない。またCD100のディスク表面105側から概略1.2mmの位置にレーザスポットの焦点を結ばせることも不可能ではない。しかし、CD100に対して各種特性が最適化されたピックアップ装置が用いられるに越したことはなく、その方が再生特性上も有利である。
【0026】
また、CD−R110は、波長依存性を有する有機色素層114を備えており、650nm以下のレーザ光を使用した場合には正確なデータ再生を行うことができない。すなわち、CD−R110は、照射された650nm以下のレーザ光に対して有機色素層114での光吸収率が太きくなって反射率が低下するとともに、信号面112のピットによるレーザ光の変調度が低下する。またデータを記録する際には波長780nmのレーザ光に適した吸収率、反射率でピットが形成されるので、このデータを他の波長のレーザ光で読み出そうとしても十分な変調度が得られないという特性を有している。
【0027】
以上のことから、CD100(CD−R110)とDVD120の互換性を有する光ディスク装置では、少なくとも対物レンズ及びレーザ光源を各光ディスクに対して専用に備えることが望ましい。
【0028】
そこで、以下に説明する本発明を適用した光ディスク装置では、CD100及びCD−R110に対応するピックアップとDVD120に対応する光学ピックアップが設けられている。なお、CD100,CD−R110,DVD120を総称してディスクDと呼ぶ。
【0029】
図2は、光ディスク装置における光ディスクの再生駆動部分(いわゆるメカデッキ部)の斜視図である。
【0030】
このメカデッキはサブシャーシ本体11上にディスクの再生駆動に必要な各種機構が設けられて成る。装填される光ディスクはターンテーブル7に積載されることになるが、ターンテーブル7がスピンドルモータ6によって回転駆動されることで光ディスクが回転されるようになっている。
【0031】
回転されている光ディスクに対してレーザ光を照射し、その反射光から情報を抽出するための光学ピックアップ1は、その胴体内部にCD100(CD−R110)に最適化された光学系及びレーザ光源を備えたCDピックアップ1aと、DVD120に最適化された光学系及びレーザ光源を備えたDVDピックアップ1bが互いに独立して設けられている。CDピックアップ1aのレーザ出力端はCD用対物レンズ2aであり、DVDピックアップ1bのレーザ出力端はDVD用対物レンズ2bである。
【0032】
ピックアップ1はいわゆるスレッド機構によりディスク半径方向にスライド移動可能とされている。このため、ピックアップ1の両側にはメインシャフト8aとサブシャフト12が設けられる。そしてピックアップ1のホルダ部8gにメインシャフト8aが挿通され、また図示していない反対側のホルダ部にサブシャフト12が挿通されることで、ピックアップ1はメインシャフト8aとサブシャフト12によって支持された状態で、シャフト方向に移動可能とされている。
【0033】
シャフト上でピックアップ1を移動させるための機構として、スレッドモータ8b、スレッド伝達ギア8c,8d,8eが設けられ、またピックアップ1のホルダ部8gの近傍にはラックギア8fが取り付けられている。
【0034】
スレッドモータ8bが回転駆動されることで、その回転力がスレッド伝達ギア8c,8d,8eと伝わる。そしてスレッド伝達ギア8eはラックギア8fと噛み合わせているため、伝達された回転力はピックアップ1をシャフト方向1に移動させることになる。したがってスレッドモータ8bの正逆回転により、ピックアップ1はディスク内外周方向へ移動される。
【0035】
図3は光ディスクドライブ装置の要部のブロック図である。
【0036】
光ディスクDは、図2にも示したターンテーブル7に積載され、再生動作時にスピンドルモータ1によって一定線速度(CLV)若しくは一定角速度(CAV)で回転駆動される。
【0037】
そして、ピックアップ1によって光ディスクDにビット形態で記録されているデータの読み出しが行われることになるが、上述したように光学ピックアップ1として実際には独立した2つのピックアップすなわちCDピックアップ1a,DVDピックアツプ1bが設けられている。
【0038】
CDピックアップ1aにはCD100及びCD−R110に最適な光学系が設けられている。レーザ光源となるレーザダイオード4aは、例えば出力するレーザーの中心波長が780nmのものとされ、またCD用対物レンズ2aはNA=0.45とされる。CD用対物レンズ2aは二軸機構3aによってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
【0039】
DVDピックアップ1bにはDVD120に最適な光学系が設けられている。レーザ光源となるレーザダイオード4bは、例えば出力するレーザーの中心波長が650nm若しくは635nmのものとされ、またDVD用対物レンズ2bはNA=0.6とされる。DVD用対物レンズ2bは二軸機構3bによってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
【0040】
光ディスクDがCD100である場合は、CDピックアップ1aを用いて再生動作が行われる。そしてディスクDからの反射光情報はディテクタ5aによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてRFブロック21に供給される。
【0041】
また、光ディスクDがDVD120である場合は、DVDピックアップ1bを用いられて再生動作が行われる。DVDピックアップ1bにおいては光ディスクDからの反射光情報はディテクタ5bによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてRFブロック21に供給される。
【0042】
ディテクタ5a,5bとして図4のような、4分割した検出部SA ,SB ,SC ,SD の両側にそれぞれ2分割した検出部SE ,SF ,SG ,SH から成る8分割フォトディテクタが設けられている。
【0043】
RFブロック21は、それぞれ電流電圧変換回路、増幅回路、マトリクス演算回路等を備え、ディテクタ5a,5bからの信号に基づいて必要な信号を生成する。例えば再生データであるRF信号、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、いわゆる和信号であるプルイン信号PIやディスク判別信号DDPI,DDAND ,DDA/D などを生成する。
【0044】
ここで、上記RFブロック21は、例えば上記8分割フォトディテクタの検出部SA ,SB ,SC ,SD による検出信号A,B,C,Dから、
FE=(A+C)−(B+D)
PI=A+C+B+D
なる演算によりフォーカスエラー信号FEとプルイン信号PIを生成する。
【0045】
また、上記RFブロック21は、上記トラッキングエラー信号TEを生成するために、図5に示すような構成のトラッキングブロック40を備える。
【0046】
上記トラッキングブロックは、上記8分割フォトディテクタの各検出信号A,B,C,D,E,F,G,Hからトラッキングエラー信号TEを生成するブロックであって、図5に示すように、3種類のトラッキングエラー信号3SP,DPP,DPDを生成する3個のトラッキングエラー信号生成ブロック41,42,43を備え、3種類のトラッキングエラー信号3SP,DPP,DPDを切換スイッチ44により選択して出力部45を介して出力するようになっている。なお、上記切換スイッチ44は、4入力のスイッチであって、外部入力信号AUXを選択することができるようになっている。上記切換スイッチ44は、上記ディスク判別信号DDPI,DDAND ,DDA/D に基づいて光ディスクの種類を判別する上記システムコントローラ30により、光ディスクDの種類に応じて切り換え制御される。
【0047】
上記トラッキングブロック40において、第1のトラッキングエラー信号生成ブロック41は、
3SP=(E+F)−(G+H)
なる演算により3スポット方式のトラッキングエラー信号3SPを生成する。
【0048】
また、第2のトラッキングエラー信号生成ブロック42は、
DPP={(A+D)−(B+C)}−{(F+H)−(E+G)}
なる演算によりディファレンシャルプッシュプル方式のトラッキングエラー信号DPPを生成する。
【0049】
さらに、第3のトラッキングエラー信号生成ブロック43は、図6に示すような構成により、上記8分割フォトディテクタの各検出信号A,B,C,D,E,F,G,Hのうちの検出信号A,B,C,DからDPD(Differential Phase Detection)方式のトラッキングエラー信号DPDを生成する。
【0050】
すなわち、第3のトラッキングエラー信号生成ブロック43は、上記8分割フォトディテクタの各検出信号A,B,C,D,E,F,G,Hのうちの検出信号A,B,C,DがそれそれDPDフィルタ46A,46B,46C,46Dを介して供給されるレベル比較器47A,47B,47C,47Dと、上記レベル比較器47A,47B,47C,47Dの出力信号が供給される位相比較器48A,48Bと、上記位相比較器48A,48Bの出力信号が供給される積分回路49により構成される。
【0051】
この第3のトラッキングエラー信号生成ブロック43において、上記レベル比較器47A,47B,47C,47Dは、上記DPDフィルタ46A,46B,46C,46Dを介して入力される各検出信号A,B,C,Dを所定レベルVCと比較することにより、各検出信号A,B,C,Dを2値化する。また、上記位相比較器48A,48Bは、2値化された各検出信号A,B,C,Dを位相比較する。なお、各位相比較器48A,48Bの最大動作周波数は10MHzとなっている。そして、積分回路49は、上記位相比較器48A,48B出力信号を30KHzで積分することにより、トラッキングエラー信号DPDを出力する。
【0052】
ここで、上記第3のトラッキングエラー信号生成ブロック43の入力部の各DPDフィルタ46A,46B,46C,46Dは、図7に示すように、DC成分をカットするためのハイパスフィルタHPF1とEFM信号成分を増幅するための2つのバンドパスフィルタBPF1,BPF2の出力選択スイッチSWDPD からなり、上記出力選択スイッチSWDPD で2つのバンドパスフィルタBPF1,BPF2を選択することにより、図8に示すように周波数特性が切り換えられるようになっている。
【0053】
上記出力選択スイッチSWDPD は、上記ディスク判別信号DDPI,DDAND ,DDA/D に基づいて光ディスクDの種類を判別する上記システムコントローラ30により、光ディスクDの種類に応じて切り換え制御される。
【0054】
また、上記RFブロック21は、図9に示すような構成のミラーブロック50によりミラー信号MIRRを生成する。
【0055】
このミラーブロック50は、上記ディテクタ5a,5bにより検出信号として得られるRF信号RF_ACが供給される入力部に設けられたローパスフィルタ51と、このローパスフィルタ51の出力信号LPFOUT が供給される増幅回路52と、この増幅回路53の出力信号AMPOUT が供給されるピークホールド回路53及びボトムホールド回路54と、上記ピークホールド回路53及びボトムホールド回路54の各出力信号PKHOUT ,BMHOUT が供給される基準レベル信号生成回路55と、上記増幅回路52の出力信号AMPOUT と上記基準レベル信号生成回路55から基準レベル信号REFが供給されるレベル比較回路56とからなる。
【0056】
このミラーブロック50において、上記ローパスフィルタ51は、図10に示すように、RF信号RF_ACからトラバース信号を抜き出すためのもので、スイッチSWLPF によりカットオフ周波数が60KHzと30KHzに切り換え可能に構成されており、上記システムコントローラ30により光ディスクDの種類に応じて上記スイッチSWLPF 切り換え制御されるようになっている。
【0057】
また、上記増幅回路52は、上記ローパスフィルタ51の出力信号LPFOUT すなわちトラバース信号を増幅するためのものであって、スイッチSWAMP によってゲインが12dBと2dBに切り換え可能に構成されており、上記システムコントローラ30により光ディスクの種類に応じて上記スイッチSWAMP 切り換え制御されるようになっている。
【0058】
さらに、上記ピークホールド回路53は、上記増幅回路52の出力信号AMPOUT をピークホールドして、その出力信号PKHOUT 上記基準レベル信号生成回路55に供給する。また、上記ボトムホールド回路54は、上記増幅回路52の出力信号AMPOUT をボトムホールドして、その出力信号BMHOUT を上記基準レベル信号生成回路55に供給する。なお、上記ピークホールド回路53及びボトムホールド回路54は、上記システムコントローラ30によりスピンドル速度やトラバース速度など応じて32ステップで時定数をそれぞれ設定できるようになっている。
【0059】
また、上記基準レベル信号生成回路55は、上記ピークホールド回路53の出力信号PKHOUT とボトムホールド回路54の出力信号BMHOUT から、
REF=(PKHOUT +BMHOUT )/2
なる演算により、上記各出力信号PKHOUT ,BMHOUT の中間の信号レベルを有する基準レベル信号REFを生成する。
【0060】
そして、上記レベル比較回路56は、上記増幅回路52の出力信号AMPOUT すなわち増幅されたトラバース信号を上記基準レベル信号生成回路55から基準レベル信号REFとレベル比較することにより、ミラー信号MIRRを生成する。
【0061】
また、上記RFブロック21は、図11に示すような構成の判別信号生成ブロック60により、ディスク判別信号DDPI,DDAND ,DDA/D を生成するようになっている。
【0062】
この判別信号生成ブロック60は、上記8分割フォトディテクタの検出部SA ,SB ,SC ,SD による検出信号A,B,C,Dから生成されたフォーカスエラー信号FE=(A+C)−(B+D)とプルイン信号PI=A+C+B+Dをそれぞれ二値化する各二値化回路61,62と、各二値化回路61,62の出力信号DDFE,DDPIの論理積を求める論理積回路63と、上記プルイン信号PIの信号レベルをデジタルデータ変換するA/D変換器64を備え、上記二値化回路62の出力信号DDPIと、上記論理積回路63により得られる論理積信号DDAND と、上記A/D変換器64の出力信号DDA/D をディスク判別信号としてシステムコントローラ30に供給するようになっている。
【0063】
そして、RFブロック21で生成される各種信号は、2値化回路25、サーボプロセッサ31及び判別信号生成回路27に供給される。すなわち、RFブロック21からの再生RF信号は2値化回路25に供給され、また、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE及びプルイン信号PIがサーボプロセッサ31に供給され、さらに、ディスク判別信号DDPI,DDAND ,DDA/D がシステムコントローラ30に供給されるようになっている。
【0064】
RFブロック21で得られた再生RF信号は2値化回路25で2値化されることでいわゆるEFM信号(8−14変調信号;CDの場合)若しくはEFM+信号(8−16変調信号;DVDの場合)とされ、デコーダ26に供給される。デコーダ26ではEFM復調,CIRCデコード等を行い、また必要に応じてCD−R0Mデコード、MPEGデコードなどを行ってディスクDから読み取られた情報の再生を行う。
【0065】
サーボプロセッサ31は、RFブロック21からのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEや、デコーダ26若しくはシステムコントローラ30からのスピンドルエラー信号SPE等から、フォーカス、トラッキング、スレッド、スピンドルの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
【0066】
すなわち、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに応じてフォーカストライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、スイッチ24に出力する。スイッチ24は、ディスクDがCD100であるときはTCD端子が選択され、また、ディスクDがDVD120であるときはTDV端子が選択される。
【0067】
CD100の再生時にはRFブロック21からのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに応じて生成されたフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号は二軸ドライバ18aに供給され、二軸ドライバ18aはCDピックアップ1aにおける二軸機構3aを駆動することになる。これによってCDピックアップ1a、RFブロック21a、サーボプロセッサ31、二軸ドライバ18aによるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0068】
また、DVD120の再生時には、RFブロック21からのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに応じてサーボプロセッサ31で生成されたフォーカストライブ信号、トラッキングドライブ信号は二軸ドライバ18bに供給され、二軸ドライバ18bはDVDピックアップ1bにおける二軸機構3bを駆動する。これによってDVDピックアップ1b、RFブロック21b、サーボプロセッサ31、二軸ドライバ18bによるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0069】
また、サーボプロセッサ31はスピンドルモータドライバ19に対して、スピンドルエラー信号SPEに応じて生成したスピンドルドライブ信号を供給する。スピンドルモータドライバ19はスピンドルドライブ信号に応じて例えば3相駆動信号をスピンドルモータ6に印加し、スピンドルモータ6のCLV回転を実行させる。またサーボプロセッサ31はシステムコントローラ30からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータドライバ19によるスピンドルモータ6の起動又は停止などの動作も実行させる。
【0070】
サーボプロセッサ31は、例えばトラッキングエラー信号TEなどから得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ30からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッドドライバ17に供給する。スレッドドライバ17はスレッドドライブ信号に応じてスレッド機構8を駆動する。スレッド機構8は、図2に示したメインシャフト8a、スレッドモータ8c、スレッド伝達ギア8c,8d,8e等により構成されており、スレッドドライバ17がスレッドドライブ信号に応じてスレッドモータ8bを駆動することで、光学ピックアップ1の適正なスライド移動を行うようになっている。
【0071】
CDピックアップ1aにおけるレーザダイオード4aはレーザドライバ20aによってレーザ発光駆動される。またDVDピックアップ1bにおけるレーザダイオード4bはレーザドライバ20bによってレーザ発光駆動される。
【0072】
上記レーザドライバ20a,20bは、上記レーザダイオード4a,4bから出射されたレーザ光の光量を検出するフロントモニタ・フォトダイオードPDによる検出出力が一定となるように上記レーザダイオード4a,4bのレーザ出力を制御する自動パワー制御(APC:Automatic Power Control)回路を内蔵している。このAPC回路は、例えば図12に示すように、3段の増幅回路71,72,73で構成されており、フロントモニタ・フォトダイオードPDによる検出出力を初段の増幅回路71と次段の増幅回路72で増幅して、レーザダイオードLDを駆動する出力段の増幅回路73に帰還することにより、上記フロントモニタ・フォトダイオードPDによる検出出力が一定となるようにレーザダイオードLDの駆動制御を行う。このAPC回路は、初段の増幅回路71にゲインの切り換えスイッチSWAPC が設けられており、この切り換えスイッチSWAPC によりAPC回路の閉ループゲインを図13に示すように33.2dBと28.8dBに切り換え設定できるようになっている。上記切り換えスイッチSWAPC は、上記システムコントローラ30により、光ディスクDの種類に応じて切り換え制御される。
【0073】
サーボプロセッサ31はシステムコントローラ30からの指示に基づいて再生時などにピックアップ1のレーザ発光を実行すべきレーザドライブ信号を発生させスイッチ23に供給する。スイッチ23は、ディスクDがCD100であるときはTCD端子が選択され、またディスクDがDVD120であるときはTDV端子が選択される。したがって、再生されるディスクに応じてレーザダイオード4a,4bのいずれかが発光動作を行うことになる。
【0074】
以上のようなサーボ及びデコードなどの各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ30により制御される。
【0075】
例えば再生開始、終了、トラックアクセス、早送り再生、早戻し再生などの動作は、システムコントローラ30がサーボプロセッサ31やピックアップ1の動作を制御することで実現される。
【0076】
また、この光ディスク装置は、CD100とDVD120の両方に対応する機器であり、ピックアップ1(1a,1b)やRFブロック21a,21b、レーザドライバ20a,20b、二軸ドライバ18a,18bがそれぞれCD100若しくはDVD120専用に設けられているので、これらの専用回路系を適切に用いるために、光ディスクDが装填された際に、そのディスクDがCD100であるかDVD120であるかを判別して、システムコントローラ30によりスイッチ22,23,24をTCD端子とTDV端子のいずれか一方に切り換える制御を行う。
【0077】
この光ディスク装置で取り扱う光るディスクDでは、上述したようにCD100,CD−R110はディスク表面105,116から約1.2mmの位置に信号面102,112がある。一方DVD120はディスク表面128から約0.6mmの位置に信号面122がある。
【0078】
なお説明上、CD100,CD−R110を1.2mm単板ディスク、DVD120を0.6mm貼合せディスクともいう。
【0079】
CDピックアップ1aにおける対物レンズ2aはフォーカスサーボ動作により図14(c)のように1.2mm単板ディスクであるCD100の信号面102にレーザ光の焦点が合うようにCD100に接離する方向に移動されることになる。
【0080】
そして、フォーカスサーボ制御を実行するには、まず対物レンズ2aをそのフォーカスストローク範囲内で強制的に移動させ、フォーカス引き込み範囲を検出する。つまりフォーカスエラー信号FEとしてS字カーブが観測され、そのS字カープのリニア領域となるフォーカス引込範囲を探すフォーカスサーチ動作が行われることになる。そしてフォーカス引込範囲に対物レンズ2aが位置する状態でフォーカスサーボループをオンとすることで、以降ジャストフォーカス状態に収束するフォーカスサーボ制御が実行される。
【0081】
このようなフォーカスサーチ、フォーカスサーボ動作はDVD120に対応するDVDピックアップ1bについても同様である。
【0082】
ただしジャストフォーカスポイントは図15(c)のように0.6mm貼合せディスクであるDVD120の信号面122にレーザ光の焦点が合ったポイントとなり、ディスクの厚み方向の位置としてCD100とは異なる位置となっている。
【0083】
CD用対物レンズ2a、DVD用対物レンズ2bのいずれも、フォーカスサーチ範囲(フォーカスストローク範囲)は図14(a),図15(a)のボトム位置から図14(d),図15(d)のトップ位置までとなり、仮に図14(c),図15(c)のジャストフォーカス状態での位置を初期基準位置であるとすると、±約0.9mmの範囲となっている。
【0084】
対物レンズ2(CD用対物レンズ2a,DVD用対物レンズ2b)が、CD100若しくはDVD120に対して図14,図15の(a)〜(d)各回のように位置状態が変位できるとすると、ディスクからの反射光情報としてはその各位置に応じたフォーカスエラー信号FEやプルイン信号PIが得られる基とになる。
【0085】
そして、図14(c),図15(c)のようなジャストフォーカスポイントの近傍位置では反射光が適正レベルで検出されるため、フォーカスエラー信号FEとしてはS字カーブが観測され、プルイン信号PIとしては振幅レベルが大きくなる。また、図14(b),図15(b)のようにディスク表面105,128にフォーカスがあっている状態を考えてみると、反射率は低いがディスク表面105,128においても反射光が検出されるため、フォーカスエラー信号FEとしては小さいS字カーブが観測され、プルイン信号PIとしては僅かな振幅レベルが観測される。
【0086】
そこで、上記システムコントローラ30は、上記8分割フォトディテクタの検出部SA ,SB ,SC ,SD による検出信号A,B,C,Dから生成されたフォーカスエラー信号FE=(A+C)−(B+D)とプルイン信号PI=A+C+B+Dを二値化する各二値化回路61,62の出力信号DDFE,DDPI,の論理積を求める論理積回路63により得られるディスク判別信号DDAND と、上記二値化回路62の出力信号DDPIと、上記プルイン信号PIの信号レベルを上記A/D変換器64によりデジタル化したディスク判別信号DDA/D に基づいて、ディスクDの種類を判別して、ディスクDの種類に応じたパラメータ設定を行う。
【0087】
例えば、対物レンズ2をフォーカスサーチ動作のように強制移動させながら、プルイン信号PIにおいてディスクの信号面で得られる振幅と、ディスク表面で得られる振幅を検出し、その両振幅の時間を計測することで、ディスクがCD100であるかDVD120であるかを判別する。すなわち1.2mm単板ディスクにおけるディスク表面105から信号面102までの距離は約1.2mmであり、一方、0.6mm貼合せディスクにおけるディスク表面128から信号面122までの距離は約0.6mmであるため、ディスク表面でジャストフォーカスとなって振幅が得られるタイミングと、信号面でジャストフォーカスとなって振幅が得られるタイミングとの間の時間差は、1.2mm単板ディスクと0.6mm貼合せディスクで異なるものとなる。これを利用すれば例えばプルイン信号PIからディスク判別を行うことができる。
【0088】
なおフォーカスエラー信号FEを用いても同様の判別動作を行うことができる。この例では、上記プルイン信号PIを上記二値化回路62により二値化したディスク判別信号DDPIを用いて次のようなディスク判別動作を行う。
【0089】
すなわち、システムコントローラ30は、サーボプロセッサ31に対してフォーカスサーチと同様の対物レンズ2の駆動を指示し、サーボプロセッサ31はそれに応じて二軸ドライバ18a,18bに対してフォーカスサーチドライブ信号として図16(a)のような信号を供給する。
【0090】
この例ではディスク判別時にはスイッチ22,24はTDV端子が接続され、ディスク判別のための動作はDVDピックアップ1bを用いて行うようにしている。このため図16(a)のようなフォーカスサーチドライブ信号により、二軸ドライバ18bが二軸機構3bを駆動して、DVD用対物レンズ2bを強制的に上昇/下降させることになる。
【0091】
図16において対物レンズ下降とはDVD用対物レンズ2bがディスクから遠ざかる方向に移動されている状態をいい、また対物レンズ上昇はDVD用対物レンズ2bがディスクに近づく方向に移動されている状態をいう。対物レンズ上昇時/下降時のいずれであってもディスク判別は可能であるが、以下、対物レンズ上昇時に得られる信号からディスク判別を行う場合を説明する。
【0092】
対物レンズ2がそのフォーカスサーチ範囲内を移動されるときは、プルイン信号PIとしては、対物レンズ2が図14(b),図15(b)で示した表面ジャストフォーカスとなる位置になったタイミングと、図14(c),図15(c)で示した信号面ジャストフォーカスとなる位置になったタイミングとで振幅が観測される。
【0093】
ディスク表面105と信号面102が約1.2mmはなれている1.2mm単板ディスクが装填されていたとした場合、図16(a)のフォーカスサーチドライブ信号により対物レンズ2bが上昇された際に、図16(b)のように、まずディスク表面105に焦点があったタイミングで小振幅が観測され、その後、信号面102に焦点があったタイミングで大振幅が観測される。このようなプルイン信号PIは比較回路29においてスレッショルド値TH1と比較されることで、図16(c)のような判別信号DDが生成され、システムコントローラ30に供給される。システムコントローラ30はディスク表面105に対応するタイミングで得られる判別信号DDのパルスと、信号面102に対応するタイミングで得られる判別信号DDのパルスの間の時間を計測する。この計測値をt1とする。
【0094】
一方、ディスク表面128と信号面122が約0.6mmはなれている。0.6mm貼合せディスクが装填されていたとした場合も、図16(a)のフォーカスサーチドライブ信号により対物レンズ2bが上昇された際に、図16(d)のように、まずディスク表面128に焦点があったタイミングで小振幅が観測され、その後、信号面122に焦点があったタイミングで大振幅が観測されるので、図16(e)のような判別信号DDPIがシステムコントローラ30に供給される。システムコントローラ30はディスク表面128に対応するタイミングで得られる判別信号DDPIのパルスと、信号面122に対応するタイミングで得られる判別信号DDPIのパルスの間の時間を計測する。この計測値をt2とする。
【0095】
つまり、1.2mm単板ディスクが装填されている場合と、0・6mm貼合せディスクが装填されている場合では、ディスク表面と信号面の距離の違いから、計測値txがt1又はt2と異なるものとなる。したがってシステムコントローラ30では、例えば計測値t1、t2の中間的な値として時間tTHを基準値として保持しておけば、計測値txと時間tTHを比較することで、その計測値txは、図16でいうt1であるのかt2であるのかを判別でき、つまり装填されているディスクはCD100であるのかDVD120であるのかを判別できることになる。
【0096】
なお、対物レンズを下降させている際にも、同様の判別動作は可能である。つまり判別信号DDPIの両パルス間の時間差は、CD100の場合とDVD120の場合で、それぞれ図16(c),(e)のt3,t4のようになり、異なる時間値となるためである。ただし、この図16(a)の例におけるフォーカスサーチドライブ信号によれば、対物レンズ下降は上昇よりも高速で行われることになるため、判別信号DDPIの両パルス間の計測値t3,t4は、計測値t1,t2よりも短い時間値となる。したがって計測タイムカウント処理のクロック周波数にもよるが、この図16の例の場合では対物レンズ上昇時に判別を行う方が正確な判別処理のためには有利である。もちろん対物レンズの上昇速度と下降速度を同一とすれば、このような有利/不利はない。また下降速度の方が遅いのであれば、下降時に判別を行うようにすることが有利となる。
【0097】
この場合のシステムコントローラ30の処理について説明する。
【0098】
装填されたディスクDがまだ1.2mm単板ディスクであるか0.6mm貼合せディスクであるかが判別されていない段階では、CDピックアップ1aとDVDピックアップ1bのどちらが最初に使用されるモードとしても、原理的には構わないといえる。
【0099】
つまり図16で説明した方式でディスク判別動作を行うにはいずれかのピックアップを使用することになるが、どちらのピックアップでディスク判別動作を実行してもよい。
【0100】
ここでは、DVDピックアップ1bを使用する動作例とし、光ディスク装置が電源オンとされてから、第1の判別動作例として装填されたディスクDの判別動作を行い、その後再生が行われるまでの動作におけるシステムコントローラ30の処理例を図17で説明する。
【0101】
図17は電源オンとされた場合の処理であり、電源オンとされ、システムコントローラ30はまず各種のパラメータ設定等の初期設定動作を行ったら、ステップF101としてディスクDが挿入されることを待機する。
【0102】
ディスクDが挿入されたらステップF102に進み、DVDピックアップ1bを使用するDVDピックアップモードに設定する。すなわちスイッチ22,24がTDV端子に接続されるモードとする。そしてステップF103以降のディスク判別処理に移る。
【0103】
このディスク判別処理には、ステップF102でDVDピックアップモードとされていることにより、DVDピックアップ1bが使用されることになる。
【0104】
図16で説明したように、判別動作時には、まずDVD用対物レンズ1bをフォーカスサーチストローク範囲内を強制的に上昇若しくは下降させることになるか、ステップF103でこの対物レンズ駆動が開始される。すなわち図16(a)のようなフォーカスサーチドライブ信号の出力開始を指示する。なお、もちろんこの際にレーザダイオード4bのレーザ出力も開始させることになる。
【0105】
システムコントローラ30はこのようなフォーカスサーチストローク範囲内でのDVD用対物レンズ1bの上昇移動(若しくは下降移動)を実行させながら、ステップF104として判別信号生成回路27から供給される判別信号DDの検出を行い、図16(c),(e)に示したような2つのパルスの間の期間の計測を行う。
【0106】
ところで例えばディスク表面での反射レベルが低すぎたなどの各種の理由で、DVD用対物レンズ1bの上昇時(若しくは下降時)に判別信号DDとしてのパルスが正しく2つ観測されない場合もある。このような場合ステップF105で計測エラーと判断してステップF103に戻り、対物レンズ駆動及び計測処理を再実行することになる。なお実際には、このような計測エラーに基づくリトライ動作としては無制限に実行させるのではなく、リトライ回数制限を設定することが好適である。
【0107】
判別信号DDPIの2つのパルスの間の期間の計測が行われたら、ステップF106ではその計測値を基準値としての時間tTHと比較し、その比較結果として計測値の方が長ければ、ステップF108でディスクDは1.2mm単板ディスク、つまりCD100と判断する。
【0108】
このとき、それまでの判別動作としてDVDピックアップ1bが使用されていたため、現在装填されているディスクD(=CD100)に対応する状態となっていないことが判別されることになる。そこでこのステップF108でCDピックアップモードに切り換える。つまりスイッチ22,23,24がTCD端子に接続されるモードとし、CDピックアップ1aを使用する状態とする。
【0109】
一方、ステップF106の比較結果として基準値tTHの方が長ければ、ステップF107でそのディスクDは0.6mm貼合せディスク、つまりDVD120と判断する。
【0110】
DVD120と判別された場合は、このときすでにDVDピックアップモードとされているため、ピックアップモード状態は変更しない。
【0111】
以上のようにディスク判別及び判別結果に応じたピックアップモード設定が完了したら、実際の再生動作のため処理に移る。つまりステップF109で、フォーカスサーチを開始し、フォーカスサーボの引き込みを行う。そしてフォーカスサーボの引き込みが完了したら、ステップF110からF111に進み、さらに他の立ち上げ処理を行う。すなわちスピンドルモータ6の回転の整定、トラッキングサーボオンなどのサーボ系の処理を完了させ、ディスクDからのデータ読出可能な状態とし、さらにT0CなどのディスクDに記録されている必要な管理情報の読み込みを行う。これらの処理が終了したらステップF112でCD100又はDVD120に対する再生処理にうつる。
【0112】
ここで、上記プルイン信号PI=A+C+B+Dの信号レベルはディスクDの反射率により変化するので、上記システムコントローラ30は、上記フォーカスサーボの引き込みが完了した時点で、上記ディスク判別信号DDA/D からディスクDの反射率を算出する。そして、上記システムコントローラ30は、上記レーザドライバ20a,20bに内蔵されているAPC回路の切り換えスイッチSWAPC をディスクDの反射率に応じて切り換え制御することにより、1層ディスクと2層ディスクとでAPC回路の閉ループゲインを切り換える。これにより、上記光学ピックアップ1のレーザダイオードLDから1層ディスクと2層ディスクに対してそれぞれ最適パワーのレーザ光を出射することができ、光学ピックアップ1によりディスクDから安定して信号を読み取ることができ、S/Nの良好な再生RF信号を得ることができる。
【0113】
また、上記二軸ドライバ18a,18bにより対物レンズ2をフォーカスストローク範囲で強制移動させるフォーカスサーチ動作を行うと、上記8分割フォトディテクタの検出部SA ,SB ,SC ,SD による検出信号A,B,C,Dから生成されたフォーカスエラー信号FE=(A+C)−(B+D)とプルイン信号PI=A+C+B+Dは、1層ディスクの場合には、図18に示すようにフォーカスエラー信号FEとして1つのS字カーブが得られ、また、そのS字カーブの範囲内でプルイン信号PIが得られるのに対し、2層ディスクの場合には、図19に示すようにフォーカスエラー信号FEとして2つのS字カーブが得られ、また、各S字カーブの範囲に跨るプルイン信号PIが得られる。したがって、上記フォーカスエラー信号FEとプルイン信号PIを二値化回路61,62により2値化して論理積回路63で論理積を求めることにより得られるディスク判別信号DDAND は、1層ディスクでは1回のフォーカスサーチ動作により1回だけ論理「H」となるのに対し、2層ディスクでは1回のフォーカスサーチ動作により2回だけ論理「H」となる。
【0114】
そこで、上記システムコントローラ30は、図20のフローチャートに示す手順に従ったディスク判別処理を行うことにより1層ディスクと2層ディスクとを判別することができる。
【0115】
すなわち、ディスク判別処理を開始すると、第1のステップS1で入力すなわちディスク判別信号DDANDが論理「H」になったか否かを判定しており、入力が論理「H」になるのを待って第2のステップS2に移る。
【0116】
この第2のステップS2では、入力すなわちディスク判別信号DDANDが論理「L」になったか否かを判定しており、入力が論理「L」になるのを待って第3のステップS3に移る。
【0117】
この第3のステップS3では、入力すなわちディスク判別信号DDANDが再び論理「H」になったか否かを判定しており、入力が論理「H」になるのを待って第4のステップS4に移る。
【0118】
この第4のステップS4では、入力すなわちディスク判別信号DDANDが再び論理「L」になったか否かを判定しており、入力が論理「L」になると第5のステップS5に移って2層ディスクのパラメータを設定する。
【0119】
また、上記第3のステップS3における判定結果が「NO」すなわち入力が再び論理「H」になっていない場合には、第6のステップS6に移る。
【0120】
この第6のステップS6では、上記第3のステップS3の判定処理の繰り返し回数Nが100になったか否かを判定して、その判定結果が「NO」すなわちN=100でなければ第7のステップS7に移って1ms待ち、その後第8のステップS8でN=N+1としてから上記第3のステップS3の判定処理に戻る。そして、上記第3のステップS3の判定処理を繰り返し行い、上記第6のステップS6の判定結果が「YES」すなわちN=100になると、第9のステップS9に移って1層ディスクのパラメータを設定する。
【0121】
このように、フォーカス制御手段により光ディスクの信号面にフォーカスをかけたときの戻り光検出手段の検出出力に基づいて制御手段により自動パワー制御手段の閉ループゲインを上記光ディスクの反射率に応じたゲインに制御するので、反射率の異なる複数種類の光ディスクにそれぞれ最適パワーのレーザ光を安定に照射することができる。したがって、上記戻り光検出手段により光ディスクから安定して信号を読み取ることができ、S/Nの良好な再生RF信号を得ることができる。
【0122】
また、フォーカス制御手段により対物レンズを光軸方向に変位させてフォーカスサーチしたときに上記フォーカス制御手段により生成されるフォーカスエラー信号に基づいてディスク判別手段により層数の異なる複数の光ディスクの種類を判別して、その判別出力に基づいて制御手段により光ディスクの種類に応じた動作モードを設定するので、複数種類の光ディスクを確実に再生することができる。
【0123】
また、対物レンズを介して光ディスクの信号面にレーザ光を照射し、上記対物レンズを光軸方向に変位させながら、上記光ディスクの信号面によるレーザ光の反射戻り光を検出することにより、その検出出力から生成されるフォーカスエラー信号に基づいて、層数の異なる複数の光ディスクの種類を確実に判別することができる。
【0124】
また、ディスク判別手段による判別出力に基づいて、制御手段により、光ディスクの種類に応じてトラッキング制御手段の動作特性を切り換えるので、反射率などの異なる複数種類の光ディスクに対して、上記トラッキング制御手段により複数種類の光ディスクに対して確実にトラッキング制御を行うことができる。
【0125】
また、ディスク判別手段による判別出力に基づいて、制御手段により、光ディスクの種類に応じてミラー信号生成手段の動作特性を切り換えるので、反射率などの異なる複数種類の光ディスクに対して、上記ミラー信号生成手段により複数種類の光ディスクに対して確実にミラー信号を生成することができる。
【0126】
さらに、ディスク判別手段による判別出力に基づいて、制御手段により、光ディスクの種類に応じてトラッキング制御手段におけるトラッキングエラー信号の検出方式を切り換え設定するので、反射率などの異なる複数種類の光ディスクに対して、上記トラッキング制御手段により複数種類の光ディスクに対して確実にトラッキング制御を行うことができる。
【0127】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る光ディスク装置では、ディスク判別手段による判別出力に基づいて、制御手段により、光ディスクの種類に応じてミラー信号生成手段の動作特性を切り換えるので、反射率などの異なる複数種類の光ディスクに対して、上記ミラー信号生成手段により複数種類の光ディスクに対して確実にミラー信号を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光ディスク装置が対応するディスクの構造の説明図である。
【図2】上記光ディスク装置のメカデッキの斜視図である。
【図3】上記光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図4】上記光ディスク装置の8分割ディテクタの模式的な平面図である。
【図5】上記光ディスク装置におけるトラッキングブロックの構成を示すブロック図である。
【図6】上記トラッキングブロックにおけるDPDブロックの構成を示すブロック図である。
【図7】上記DPDブロックにおけるDPDフィルタの構成を示す回路図である。
【図8】上記DPDフィルタの周波数特性を示す特性図である。
【図9】上記光ディスク装置におけるミラーブロックの構成を示すブロック図である。
【図10】上記ミラーブロックの動作を示す波形図である。
【図11】上記光ディスク装置における判別信号生成ブロックの構成を示すブロック図である。
【図12】上記光ディスク装置におけるAPC回路の構成を示す回路図である。
【図13】上記APC回路のゲイン特性を示す特性図である。
【図14】上記光ディスク装置におけるディスク判別動作原理の説明図である。
【図15】上記ディスク判別動作原理の説明図である。
【図16】上記ディスク判別動作の説明図である。
【図17】上記ディスク判別動作を示すフローチャートである。
【図18】1層ディスクのディスク判別信号を示す波形図である。
【図19】2層ディスクのディスク判別信号を示す波形図である。
【図20】上記光ディスク装置におけるシステムコントローラによる1層ディスクと2相ディスクの判別処理の手順を示すフローチャトである。
【符号の説明】
1 光学ピックアップ、6 スピンドルモータ1、8a,18b 二軸ドライバ、20a,20b レーザドライバ、21 RFブロック、30 システムコントローラ、31 サーボプロセッサ

Claims (1)

  1. 光ディスクの信号面に対物レンズを介して照射するレーザ光を出射するレーザ光源と、
    上記レーザ光源から出射されたレーザ光の上記光ディスクの信号面による反射戻り光を検出する戻り光検出手段と、
    上記戻り光検出手段の検出出力に基づいて互いに記録密度の異なる二種類の上記光ディスクを判別するディスク判別手段と、
    上記戻り光検出手段による検出出力に基づいて再生信号を検出し、この再生信号からローパスフィルタを通して抽出したトラバース信号を増幅回路によって増幅し、基準レベル信号とレベル比較することによりミラー信号を生成するミラー信号生成手段と、
    上記ディスク判別手段による判別出力に基づいて、上記ローパスフィルタの周波数特性及び上記増幅回路のゲインを切り換える制御手段と
    を備えることを特徴とする光ディスク装置。
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