JP3799682B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動変速機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多段式の自動変速機では、セレクトレバ−を操作することによりレンジ位置の切換えが行われるが、このレンジ位置としては少なくとも、Pレンジ、Nレンジ、RレンジおよびDレンジが設定される。このDレンジ位置では、変速特性に基いて自動変速機が行われることになる。
【0003】
また、最近の自動変速機では、変速特性に基く自動変速の他に、マニュアル操作に基く1段毎のシフトアップあるいはシフトダウンを得るようにしたものがある(例えば特開昭62−34215号公報、特開平2−125174号公報参照)。すなわち、シフトアップ指令用の第1スイッチが操作される毎に1段シフトアップを行い、シフトダウン指令用の第2スイッチが操作される毎に1段シフトダウンを行うものがある。この変速スイッチのマニュアル操作に基く変速を、Dレンジ以外に別途設定された特定レンジ位置でのみ行うようにすることも行われている。そして、従来は、変速特性に基く変速制御を行う第1変速モ−ドから、マニュアル操作に基く1段シフトアップと1段シフトダウンとを行う第2変速モ−ドへの切換には、一旦特別のマニュアル操作、例えば切換用マニュアルスイッチの操作、あるい特定レンジ位置への切換操作が別途必要となる。
【0004】
一方、最近の車両では、自動変速機以外の他の制御機器が多く搭載される傾向にあり、この他の制御機器における制御との関係から、変速特性に基く変速制御以外の他の変速モ−ドで自動変速を行うことが要求される場合がある。例えば、車速の自動制御を行うオ−トクル−ズ装置では、追従式と呼ばれるように、前方車両との車間距離を所定距離に維持するように車速を自動制御する場合において、前方車両との車間距離が小さくなり過ぎないように、スロットル制御と変速制御とを行うことがある。特に、前方車両との衝突を回避するために、前方車両との車間距離が極端に小さくなり過ぎたときは、危険回避モ−ドとされて、スロットル制御と変速制御とに加えて、車両の制動を自動的に行うことも提案されている(例えば特開平5−270369号公報参照)。
【0005】
同様に、走行路に沿って配設された指令装置からの指令信号に基く車速の自動制御、つまり路車間通信による車速の自動制御も提案されている(例えば特開平5−270369号公報参照)。この路車間通信からの指令信号としては、車速の上限指令や、車両の停止指令などがあり、この場合も、路車間通信に基くスロットル制御、変速制御、さらにはブレーキの自動制御が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、変速特性に基く変速制御を行う第1変速モ−ドから、マニュアル操作に基く1段シフトアップと1段シフトダウンとを行う第2変速モ−ドへの切換には、一旦特別のマニュアル操作、例えば切換用マニュアルスイッチの操作、あるい特定レンジ位置への切換操作が別途必要であった。また、前述のように、他の制御機器からの変速制御の要請がある場合、1段シフトアップ、1段シフトダウンを行う前記第2変速モ−ドの態様のままでは対応することができないものとなる。
【0007】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、変速特性に基く変速制御を行う変速制御態様と、マニュアル操作に基く変速制御態様との間での切換選択をより容易に行え、しかも自動変速機以外の他の制御機器からの変速要求にも容易に対応しえるようにした自動変速機の制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明にあってはその解決手段として次のようにしてある。すなわち、
あらかじめ設定された変速特性に基づいて変速信号を出力する第1変速信号出力手段と、
運転者によりマニュアル操作される部材と、該部材の操作状況を検出し、該操作状況に基づいて変速信号を出力する第2変速信号出力手段と、
前記第1、第2の各変速信号出力手段からの信号に基づいて変速を実行する変速実行手段と、を備えた自動変速機の制御装置であって、
前記第1変速信号出力手段からの信号に基づいて変速を実行する第1変速モ−ドのみを達成する第1レンジ位置と、前記第2変速信号出力手段からの信号に基づいて変速を実行する第2変速モ−ドと上記第1変速モ−ドとの両方を達成する第2レンジ位置とが設定され、
セレクトレバーが前記第2レンジ位置にあるとき、あらかじめ設定された所定の変速モ−ド切換条件成立時、前記第1変速モ−ドと第2変速モ−ドとの間の切換を行う変速モ−ド切換手段を備えており、
前記変速モ−ド切換手段が、セレクトレバーが前記第2レンジ位置以外の他のレンジ位置から該第2レンジ位置へ切換えられた直後は前記第1変速モ−ドを選択し、該第2レンジ位置において前記第2変速信号出力手段がマニュアル操作されたときに前記第2変速モ−ドに切換えるように設定されている、
ようにしてある。上記解決手段を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。
【0009】
【発明の効果】
請求項1に記載された発明によれば、次のような効果を奏する。すなわち、
第2レンジ位置が、変速特性に基く変速制御を行う第1変速モ−ドと、マニュアル操作に基く変速を行う第2変速モ−ドとの両方の変速モ−ドをとり得るようにされ、しかも両変速モ−ドの間での切換は所定の切換条件に基いて自動的に行われるので、両モ−ド間での切換が容易に行われることになる。また、切換条件の設定のみによって、自動変速機以外の他の制御機器からの変速制御に応えることのできる第1変速モ−ドに切換えることができる。
【0010】
また、第2レンジ位置が、第1変速モ−ドと第2変速モ−ドとの2つの変速モ−ドを有するので、第2変速モ−ドしか有しない従来のものに比して、種々の点において利用価値の高いものとなる。なお、第2レンジ位置以外に、第1変速モ−ドでの自動変速を行う第1レンジ位置を有するので、変速特性に基く一般的な変速制御を確実に得る上で好ましいものとなる。
【0011】
以上に加えて、第2レンジ位置を選択しておけば、通常は自動変速を行いつつ、マニュアル操作される部材を操作するだけで、第2変速モ−ドへの切換と、この操作に応じたシフトアップあるいはシフトダウンを迅速に得ることができる。
【0012】
請求項2によれば、第2レンジ位置において、第1変速モ−ドのときに第1レンジ位置と同じ変速段の範囲で自動変速することができ、第1変速モ−ドの利用価値が高いものとなる。
【0013】
請求項3によれば、第2定レンジ位置において、第1変速モ−ドのときに第1レンジ位置と同じ変速特性で自動変速されるので、当該第2レンジ位置を、第2変速モ−ドへの切換用待機位置としつつ、通常は第1レンジと同じ機能を得て、利用価値の極めて高いものとなる。
【0014】
請求項4によれば、他の制御機器での制御態様に応じて、適切な変速段とすることができる。
【0015】
請求項5、請求項6によれば、オ−トクル−ズ装置での制御態様に応じて適切な変速段とすることができる。特に、請求項6によれば、危険回避の上で極めて好ましいものとなる。
【0016】
請求項7によれば、第2変速モ−ドでのマニュアル変速を、ハンドルから大きく手を離すことなく容易に行うことができる。
【0017】
請求項8によれば、操作し易いセレクトレバ−を、レンジ位置の切換のみならず、マニュアル変速のための操作部材として兼用させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
先ず、自動変速機のレンジ位置の切換選択用のセレクトレバ−部分について、図1〜図9を参照しつつ説明するが、このセレクトレバ−は、レンジ位置切換のみならず、1段シフトアップ、1段シフトダウンをマニュアル選択するときの入力部材として機能されるようになっている。また、図示は略すが、多段式の自動変速機(多段変速歯車機構)は、前進4段とされている。
【0019】
図1〜図3に示すように、自動車用自動変速機の変速操作入力装置1(以下、変速操作入力装置という)には、自動変速機のレンジを選択するセレクトレバー10と、セレクトレバー10の揺動操作を自動変速機の入力部に伝達する伝達機構25と、セレクトレバー10の揺動操作に節度感を付与するとともにセレクトレバー10を各レンジ位置に位置決めするディテント機構30と、セレクトレバー10のレンジの位置切換えを規制する規制機構40と、FレンジとDレンジとの間の切換えを規制したり規制解除したりする規制・規制解除機構50等が設けられている。
【0020】
セレクトレバー10は、左右のフロントシート間のセンターコンソール2の内部から、ゲートプレート5のシフトゲート6を挿通して上方へ延び、セレクトレバー10の先端部には、セレクトボタン12を設けた操作ノブ11が装着されている。セレクトレバー10の基端部は、センターコンソール2内において、支持板3の下側のプラケット14に枢支された支軸15に連結され、セレクトレバー10は、支軸15を回動中心としてシフトゲート6を含む鉛直面内において前後に揺動可能に支持され、前側から順に設けられたPレンジ位置・Rレンジ位置・Nレンジ位置・Dレンジ位置・Fレンジ位置とに亙って揺動にて位置切換え可能に構成されている。Fレンジ位置は、Pレンジ位置とRレンジ位置とNレンジ位置とDレンジ位置と共通の前記操作面内つまり同一直線上において、Dレンジ位置に隣接するように設けられている。
【0021】
センターコンソール2内には、シフトレバー10の右側において支持板3に立設された規制プレート9が設けられ、この規制プレート9の上端部に、ディテント機構30の5つの係止部31が形成されるとともに、規制プレート9の左面部には、規制機構40のシフトロック穴41と、シフトロック穴41の後端に連なる規制・規制解除機構50のブロック装着穴51が形成されている。
【0022】
図3に示すように、セレクトレバー10の内部には、コイルバネ16で上方へ付勢されたロックロッド17が設けられ、ロックロッド17の上端部には、セレクトボタン12で下方へ押される操作部材18が固定され、ロックロッド17の下端部にはガイドピン20が固定されている。ガイドピン20はセレクトレバー10に形成されたガイド孔10aに昇降自在に案内され、ガイドピン20の右部はセレクトレバー10から右方へ突出して、規制プレート9のシフトロック穴41とブロック装着穴51に移動可能に嵌まっている。また、セレクトレバー10のうちの規制プレート9の僅かに上側には、規制ピン22が右側へ突出させて固着されている。
【0023】
図2に示すように、セレクトレバー10の揺動操作を自動変速機の入力部に伝達する伝達機構25は、支軸15に一体連結されたレバー部材26と、レバー部材26の下端部と自動変速機のコントロールブルブユニットのマニュアルバルブを連動連結するプッシュプルワイヤ27を有している。
セレクトレバー10の揺動操作に節度感を付与するとともにセレクトレバー10を各レンジ位置に位置決めするディテント機構30は、5つのレンジ位置に対応させて規制プレート9の上端部に形成された5つの係止部31と、セレクトレバー10にプラケット32を介して取付けられた板バネ33と、板バネ33の先端部に装着され規制プレート9側に付勢されて係止部31に係合可能なディテント34等で構成されている。
【0024】
規制機構40は、図2に示すように、規制プレート9のシフトロック穴41には、2つの規制部42、43が形成されており、セレクトボタン12を操作しない通常時においては、バネ部材16の付勢力によりガイドピン20がシフトロック穴41の上端部に当接するため、規制部42によりPレンジとRレンジ間の位置切換えが規制され、規制部43によりNレンジからRレンジへのセレクトレバー10の位置切換えが規制される。セレクトボタン12を押し操作し、操作部材18とロックロッド17を介してガイドピン20を規制部42、43よりも下方へ移動させると、PレンジとRレンジ間と、NレンジからRレンジへの位置切換えが可能になる。
【0025】
前記規制・規制解除機構50は、セレクトレバー10のDレンジとFレンジ間の位置切換えを規制解除可能に規制する機構であり、規制プレート9のブロック装着穴51に装着された第1、第2ブロック部材60、70と、シフトレバー10のガイドピン20及び規制ピン22が設けられている。図4に示すように、ブロック装着穴51は、シフトロック穴41より深い上端開放状の穴に形成され、ブロック装着穴51の右端側の縦壁52には、T型のガイド孔53が形成されている。ブロック装着穴51の上端部には、前後1対の規制部55、56が形成され、ブロック装着穴51の下端側には、ブロック装着穴51より前後幅のやや小さな穴部51aが形成され、穴部51aの下側にスプリング装着穴54が形成されている。
【0026】
図5に示すように、第1ブロック部材60は、ブロック装着穴51の右端側の縦壁52に当接する縦壁部61、縦壁部61の前後両端部から左側へ延びる上下長さの異なる1対の側壁部62、63、1対の側壁部62、63間において縦壁部61の上端部から左側へ突出状に設けられた係合部64とを一体成形してなり、縦壁部61の右面側にガイド部材(図示略)が固定され、このガイド部材がT型のガイド孔53に係合され、このガイド部材により、第1ブロック部材60は、昇降可能且つ前後に移動可能に、且つ、ブロック装着穴51からの脱落を防止した状態で、スプリング装着穴54に装着され引張りスプリング65で下方へ付勢されてブロック装着穴51に装着されている。
【0027】
一方、第2ブロック部材70は、第1ブロック部材60の係合部64に係合する係合凹部71を有する。この係合凹部71の上下長は係合部64の上下長の略2倍あり、第1ブロック部材60と第2ブロック部材70とは、上下に相互移動可能に連結されている。係合凹部71の下側には、ガイドピン20が前側から係合可能な係合部72が形成され、係合凹部71の上側には、規制部55、56に係止される前後1対の被規制部73、74と、セレクトレバー10の係止ピン22が係合する係合部75が形成されている。
【0028】
次に、前記規制・規制解除機構50の作用について説明する。セレクトボタン12を操作しないで、Dレンジ位置からFレンジ位置へセレクトレバー10を操作しようとすると、ガイドピン20が下方へ移動していないため、ガイドピン20がブロック部材60、70の前部に当たり、セレクトレバー10をDレンジ位置からFレンジ位置へ切換えることができない。
【0029】
セレクトボタン12を押し操作して、ガイドピン20を下降させた状態で、セレクトレバー10をDレンジ位置からFレンジ位置へ揺動させると、ガイドピン20が第1ブロック部材60の側壁部62の下側を通って、図6に示すように、第2ブロック部材70の係合部72に係合し、セレクトレバー10をFレンジ位置に切換えることができる。
【0030】
セレクトボタン12を離すと、バネ16で情報へ付勢されているロックロッド17を介して、図7に示すように、ガイドピン20とともに第2ブロック部材70だけが所定ストローク上昇する。これは、第1ブロック部材60がスプリング65で下方へ付勢されているためで、第1ブロック部材60に対して第2ブロック部材70は相対移動し、第1ブロック部材60の側壁部62で係合部72の前側が塞がれた状態になり、規制ピン22の一部が係合部75に係合する。
【0031】
バネ16の付勢力はスプリング65の付勢力より大きいため、その後、ガイドピン20と係合部64と係合凹部71との係合を介して第1、第2ブロック部材60、70が一体的に上昇し、図8に示すように、規制ピン22が係合部75に係合して、Fレンジにおいて、セレクトレバー10はディテント機構30によりFレンジ位置の中立位置PNに付勢、保持される。この中立位置PNからセレクトレバー10を後方へ揺動させ、被規制部74が規制部56に当接する第1ポジションP1と、セレクトレバー10を前方へ揺動させて被規制部73が規制部55に当接する第2ポジションP2とに亙って、位置切換え可能な状態になる。
【0032】
ここで、セレクトレバー10又は規制プレート9には、図2に示すように、セレクトレバー10をDレンジ位置からFレンジ位置に揺動操作し、Fレンジ位置において第1ポジションP1と第2ポジションP2とに亙って操作可能な中立位置PNになったのを検出する第1検出スイッチ85と、セレクトレバー10が第1ポジションP1側へ所定角度以上揺動したのを検出する第2検出スイッチ86と、セレクトレバー10が第2ポジションP2側へ所定角度以上揺動したのを検出する第3検出スイッチ87が設けられ、セレクトレバー10を後方へ前記所定角度以上揺動させるとアップ側に1段変速し、セレクトレバー10を前方に前記所定角度以上揺動させるとダウン側に1段変速するように構成されている。上記第1〜第3検出スイッチ85〜87は、マイクロスイッチで構成されている。
【0033】
セレクトレバー10をFレンジ位置からDレンジ位置へ位置切換えする場合、セレクトボタン12を操作しなければ、ガイドピン20及び規制ピン22と、第1、第2ブロック部材60、70との連結が解除されないため、セレクトレバー10をDレンジ位置まで揺動操作することができないが、セレクトボタン12を押し操作してガイドピン20を下降させると、スプリング65の付勢力により第1、第2ブロック部材60、70が下降して図6の通常状態に戻り、この状態でセレクトレバー10を揺動操作すると、セレクトレバー10をFレンジ位置からDレンジ位置へ切換えることができる。尚、通常時の第1、第2ブロック60、70においては、その下端部が穴部51aに嵌合して前後に移動しないように保持されている。
【0034】
図10は、変速制御とオ−トクル−ズ制御との制御系統図を示すものである。符号Uは、マイクロコンピュ−タを利用して構成された制御ユニットで、少なくともCPU、ROM、RAMを備えている。この制御ユニットUには、各種センサ類S1〜S9、86、87からの信号が入力される他、制御ユニットUからは各種アクチュエ−タA1〜A7へ出力される。
【0035】
センサS1は、車速を検出するものである。センサS2はスロットル開度を検出するものである。スイッチS3はレンジ位置を検出するものであり、前述したFレンジでの中立位置検出用のスイッチ85も含まれる。S6は、スキャン式のレ−ザレ−ダで、前方車両等の前方障害物までの距離を測定する。S7はカメラであり、前方車両等の前方障害物の確認のためのものである。このカメラS7とレ−ダS6とにより、自車と同じ走行レ−ンにある前方車両の有無確認と、前方車両までの距離つまり車間距離とが決定される。また、得られた車間距離を微分することにより、前方車両に対する相対速度が得られる。
【0036】
スイッチ群S8は、オ−トクル−ズ用のもので、メインスイッチ(電源スイッチ)の他、既知のようにセットスイッチ、リジュ−ムスイッチ、アクセルスイッチ等が含まれる。S9は、ブレーキペダルが踏み込み操作されたときにONされるブレーキスイッチである。
【0037】
前記アクチュエ−タのうち、A1は変速用ソレノイドであり、所定の変速段に対応した変速指令信号を受けて、自動変速機の変速を行うためのものである。A4は、スロットル開度を自動制御するスロットルアクチュエ−タである。A5は、車両制動用のブレーキを自動作動させるためのブレーキアクチュエ−タであり、ABS制御用やトラクション制御用のものを用いることができる。A6は、警報器であり、ランプ、ブザ−等が用いられるが、運転者への効果的な告知という点で、ブザ−を用いるのが好ましい。
【0038】
A2、A3、A7は、それぞれ、運転者から目視し易い位置に設けられた表示手段である。このうち、A2は、特定レンジ位置となるFレンジ位置において、自動変速される第1変速モ−ド(4ATモ−ドと称することもある)であるか、マニュアル操作によって1段のシフトアップあるいはシフトダウンを行う第2変速モ−ドであるかの識別用とされる。A3は、P、R、N、D、Fの各レンジ位置のうち現在どのレンジ位置が選択されているかを示す。A7は、後述するオ−トクル−ズ制御が現在どの制御モ−ドにあるかを示すもので、後述するように、路車間通信モ−ド、定速走行モ−ド、追従走行モ−ド、危険回避モ−ドのいずれであるかを示す。
【0039】
次に、制御ユニットUの制御内容のうち、変速制御について、図12のフロ−チャ−トを参照しつつ説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。この図12のフロ−チャ−トのうち、Q57はオ−トクル−ズ制御との協調制御のために特別に設けられたものである。また、Dレンジ位置が第1レンジ位置となり、Fレンジ位置が第2レンジ位置となる。勿論、特許請求の範囲における請求項1に記載の第1第2の変速信号出力手段、変速実行手段、切換手段は、制御ユニットUに内蔵されている(制御ユニットUの機能)。
【0040】
まず、Q51において、現在Pレンジであるか否かが判別される。このQ51の判別でYESのときは、Q52において、自動変速機を駐車モ−ドに制御すると共に、その表示が行われる。Q51の判別でNOのときは、Q53において現在Rレンジであるか否かが判別され、このQ53の判別でYESのときは、Q54において、後退変速段が選択されると共にその表示がなされる。
【0041】
Q53の判別でNOのときは、Q5において、現在Dレンジであるか否かが判別される。このQ55の判別でYESのときは、Q56において、4段自動変速が選択されると共に、その表示がなされる。このQ56での自動変速は、既知のようにあらかじめ設定された変速特性にもとづいて行われ、この変速特性は、例えば車速とスロットル開度とをパラメ−タとして設定されている。
【0042】
Q57の判別でNOのときは、フラグが1であるか否かが判別されるが、このフラグは、後述するオ−トクル−ズの制御においてセット、リセットされるもので、1のときに、オ−トクル−ズ制御の観点から、自動変速のモ−ドを要求していることを示す。なお、オ−トクル−ズ制御がなされているというだけで自動変速のモ−ドとするときは、オ−トクル−ズのメインスイッチがONされているという条件のみで、フラグを1にセットするようにすることもできる。このQ57の判別でYESのときも、Q56に移行して、4段自動変速とされる。
【0043】
Q57の判別でNOのときは、Q58において、現在Nレンジであるか否かが判別される。このQ58の判別でYESのときは、Q59において、自動変速機がニュ−トラルとされると共にその表示がなされる。
【0044】
Q58の判別でNOのときは、現在特定レンジとしてのFレンジにあるときである。このときは、Q60において、シフトアップスイッチ86がONされたか否かが判別される。このQ60の判別でNOのときは、Q61において、シフトダウンスイッチがONされたか否かが判別される。このQ61の判別でNOのときは、Q56に移行して、自動変速が行われる。Q61からQ56に移行したときは、Fレンジにおける自動変速で、第2変速モ−ドに相当するが、この自動変速は、Dレンジ位置での自動変速と同じ変速段の範囲つまり4段変速で、かつ同じ変速特性を利用した自動変速となる。
【0045】
Q61の判別でYESのときは、Q62において、Fレンジ位置でのマニュアル変速である旨表示された後、Q63において、現在の変速段から1段シフトダウンされる。この後、Q64において、0速に向けてのシフトダウンであるか否かが判別されるが、このQ64の判別でYESのときは現在1速であって最低変速段にきていること、つまりこれ以上のシフトダウンが不可能なときを意味し、このときは、Q65において1速に保持される。Q64の判別でNOのときはQ65を経ることなく終了される。
【0046】
前記Q60の判別でYESのときは、Fレンジでのマニュアル変速である旨表示された後、Q67において1段シフトアップされる。この後、Q68において最高変速段となる4速以上の5速へのシフトアップ時であるか否かが判別され、このQ68の判別でYESのときは、Q69において4速に保持される。Q68の判別でNOのときは、Q69を経ることなく終了される。
【0047】
以上の説明から明らかなように、Fレンジ以外の他のレンジから当該Fレンジへと移行した直後は、マニュアル操作によってシフトアップ操作あるいはシフトダウン操作しない限り、Q60、Q61、Q56を経ることになり、自動変速のモ−ドとなる。Fレンジにおいて、マニュアル操作によってシフトアップ操作あるいはシフトダウン操作するのみで、Q66あるいはQ62を経るマニュアル変速のモ−ドに直ちに移行することになる。さらに、Fレンジであっても、オ−トクル−ズ制御の要求があるときは、マニュアル変速されるモ−ドであっても、Q57からQ56に移行することとなって、自動変速されることになる。
【0048】
図11は、オ−トクル−ズ制御の一例を示すが、図11の例では、オ−トクル−ズの制御モ−ドとして、路車間通信モ−ド、定速モ−ド、追従モ−ド、危険回避モ−ドの4つのモ−ドが設定されている。このモ−ド設定のために、前方車両との車間距離に応じたしきい値L1、L2が設定されている(L1>L2)。このしきい値は、例えば前方車両との相対速度と自車車速とをパラメ−タとして可変とされている。すなわち、前方車両に接近する相対速度が大きい程、また自車車速が大きいほどL1、L2がそれぞれ大きくされる。
【0049】
路車間通信モ−ドは、車両外部から、所定の指令信号を受けたときのもので、上限車速指令と、停止指令とを想定している。この路車間通信モ−ドでは、指令車速となるように、あるいは所定位置で停止するように、スロットル制御(スロットル開度低下制御)と、変速制御(少なくとも変速特性に基く自動変速制御で、変速特性に優先するシフトダウン制御を行うこともできる)と、ブレーキを作動させる制動制御とが行われる。勿論、必要に応じて、スロットル制御のみ、スロットル制御+変速制御、スロットル制御+変速制御+制動制御とが適宜選択される。
【0050】
定速モ−ドは、前方車両が存在しないとき、あるいは前方車両との実際の車間距離が、前記しきい値L1以上のときに行われ、運転者が設定した目標車速となるように制御する。この場合、スロットル制御のみ、あるいはスロットル制御+変速制御のいずれかが適宜選択される。
【0051】
追従モ−ドは、前方車両との実際の車間距離が、しきい値L1とL2との間のときに行われ、所定の車間距離を維持するように加減速制御される。すなわち、前方車両との相対速度が小さい状態で前方車両に接近したときは、スロットル制御で減速して、車間距離が調整される。相対速度がやや大きい状態で前方車両に接近したときは、スロットル制御とシフトダウン制御とにより、車間距離を調整する。
【0052】
危険回避モ−ドは、前記追従モ−ドの延長の制御ともいうべきものであり、前方車両との実際の車間距離が、しきい値L2以下のときに行われる。すなわち、前方車両に近づきすぎたときであり、このときは、前方車両との衝突の危険を回避すべく、スロットル制御とシフトダウン制御に加えて、自動ブレーキによる制動制御が行われる。また、運転者に危険を告知すべく、警報器A6が作動される。なお、自動ブレーキを有しない場合は、警報器A6が作動されることが、追従モ−ドと異なるものとなる。
【0053】
以上のことを前提として、図11のフロ−チャ−トは、運転者によって所定の目標車速が設定された状態を前提としている。まずQ1において、ブレーキペダルがONされたか否かが判別される。このQ1の判別でYESのときは、Q19においてオ−トクル−ズ制御がキャンセルされると共に、図12のQ57で用いるフラグが0にリセットされる。
【0054】
Q1の判別でYESのときは、Q2において、現在路車間通信が行われているときであるか否かが判別される。このときは、Q3おいて、指令に従うように車速制御が行われ、次いでQ4において、路車間通信モ−ドでの制御が行われていることを示す表示が行われる。そして、Q5において、フラグが1にセットされる。
【0055】
Q2の判別でNOのときは、Q6において、前述したように、しきい値L1、L2を利用した選択すべき制御モ−ドが判定される。この後、Q7において、定速モ−ドと判定されたか否かが判別される。このQ7の判別でYESのときは、Q8〜Q10の処理によって、定速モ−ドでの制御が実行され、その表示が行われ、フラグが1にセットされる。
【0056】
Q7の判別でNOのときは、Q11において、追従モ−ドと判定されたか否かが判別される。このQ11の判別でYESのときは、Q12〜Q14の処理によって、追従モ−ドでの制御が実行され、その表示が行われ、フラグが1にセットされる。Q11の判別でNOのときは、危険回避モ−ドと判定されたときであり、このときは、Q15〜Q17の処理によって、危険回避モ−ドの制御が実行され、その表示我行われ、フラグが1にセットされる。
【0057】
前記Q10あるいはQ14の後はそれぞれ、Q18において、マニュアル変速を行うシフトアップスイッチ86あるいはシフトダウンスイッチ87がONされたか否かが判別される。このQ18の判別でYESのときは、Q19に移行される。これにより、Fレンジにおいて、オ−トクル−ズ制御の要請から自動変速されている状態であっても、定速モ−ドおよび追従モ−ドでは、その後のマニュアル変速の操作によって、マニュアル変速が実行可能な状態へと切換えられることになる。この一方、路車間通信モ−ドおよび危険回避モ−ドのときは、Q18を経ることのないようにされて、マニュアル変速が実行可能な状態への切換が禁止される。
【0058】
図13は、Fレンジでのマニュアル変速の際に、シフトアップ指令、シフトダウン指令を行うスイッチを、ハンドル90に設けた例を示す。すなわち、ハンドル90に、ほぼステアリング軸を中心として揺動される揺動レバー91を有する揺動型のスイッチ92(85、86対応)を設け、レバー91を中立位置から上方へ揺動させたときにシフトアップ、下方へ揺動させたときにシフトダウンとなるようにしてある。なお、ハンドル90に設ける変速指令スイッチとしては、この他プシュ式のスイッチにする等、適宜選択できる。
【0059】
以上実施の形態について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば次のような場合をも含むものである。オ−トクル−ズ制御の態様としては、既知の種々の態様のものとすることができ、また、実施の形態で示した各種の制御モ−ドのうち任意の1つ、任意の2つ、あるいは任意の3つを行うものであってもよい。また、オ−トクル−ズの制御モ−ドのうち、定速モ−ドと追従モ−ドとのいずれか一方をマニュアル選択する等、制御モ−ドの選択を自動ではなくてマニュアル式とすることもできる。
【0060】
Fレンジでの自動変速モ−ドのときに用いる変速特性は、Dレンジで用いる変速特性と異なるように設定することもできる。例えば、マニュアル変速という積極的な変速を選択する可能性の高いレンジ位置であるからして、Dレンジでの変速特性よりも低速段領域が拡大されたいわゆるパワ−モ−ドの変速特性を設定するようにすることもできる。また、Fレンジでの自動変速の範囲を、例えば、Dレンジでの最高変速段よりも小さい(例えば1段下の)変速段を最高変速段とする範囲にする等のこともできる。
【0061】
フロ−チャ−トに示す各ステップあるいはセンサやスイッチ等の各種部材は、その機能の上位表現に手段の名称を付して表現することができる。また、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。さらに、本発明は、方法として表現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】セレクトレバ−部分の斜視図。
【図2】図1の左側面断面図
【図3】図2のIIIーIII線相当断面図。
【図4】規制プレ−トの要部斜視図。
【図5】第1、第2ブロック部材の斜視図。
【図6】規制・規制解除機構の規制解除時での左側面図。
【図7】規制・規制解除機構のブロック部材移動時での左側面図。
【図8】規制・規制解除機構の規制時での左側面図。
【図9】レンジ位置の設定例を示す図。
【図10】制御系統図。
【図11】変速制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図12】オ−トクル−ズ制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図13】マニュアル操作により変速指令を行うスイッチの別の配置例を示す図。
【符号の説明】
10:セレクトレバ−
86:シフトアップ指令検出スイッチ
87:シフトダウン指令検出スイッチ
U:制御ユニット
Claims (8)
- あらかじめ設定された変速特性に基づいて変速信号を出力する第1変速信号出力手段と、
運転者によりマニュアル操作される部材と、該部材の操作状況を検出し、該操作状況に基づいて変速信号を出力する第2変速信号出力手段と、
前記第1、第2の各変速信号出力手段からの信号に基づいて変速を実行する変速実行手段と、を備えた自動変速機の制御装置であって、
前記第1変速信号出力手段からの信号に基づいて変速を実行する第1変速モ−ドのみを達成する第1レンジ位置と、前記第2変速信号出力手段からの信号に基づいて変速を実行する第2変速モ−ドと上記第1変速モ−ドとの両方を達成する第2レンジ位置とが設定され、
セレクトレバーが前記第2レンジ位置にあるとき、あらかじめ設定された所定の変速モ−ド切換条件成立時、前記第1変速モ−ドと第2変速モ−ドとの間の切換を行う変速モ−ド切換手段を備えており、
前記変速モ−ド切換手段が、セレクトレバーが前記第2レンジ位置以外の他のレンジ位置から該第2レンジ位置へ切換えられた直後は前記第1変速モ−ドを選択し、該第2レンジ位置において前記第2変速信号出力手段がマニュアル操作されたときに前記第2変速モ−ドに切換えるように設定されている、
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1において、
前記第2レンジ位置における前記第1変速モ−ドが、前記第1レンジ位置における第1変速モ−ドと同じ変速段の範囲で自動変速される、ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項2において、
前記第2レンジ位置における前記第1変速モ−ドが、前記第1レンジ位置における第1変速モ−ドと同じ変速特性に基いて自動変速される、ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1において、
前記変速モ−ド切換条件が、車両に搭載された自動変速機以外の他の制御機器が所定の制御状態となったときに、前記第2変速モ−ドから第1変速モ−ドへと切換えるられるように設定されている、ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項4において、
前記他の制御機器が、車速検出手段を備え、検出された車速が目標の値に近付くように少なくとも変速制御を行いつつ車速を自動制御するオ−トクル−ズ装置とされ、
前記変速モ−ド切換手段が、前記オ−トクル−ズ装置により前記車速制御が行われていることを判定したとき、前記第1変速モ−ドを選択するように設定されている、
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項4において、
前記他の制御機器が、車速検出手段を備え、検出された車速が目標の値に近付くように少なくとも変速制御を行いつつ車速を自動制御するオ−トクル−ズ装置とされ、
前記オ−トクル−ズ装置が、前記変速制御および自動ブレーキ制御によって前方障害物との衝突を回避するために車速を自動制御する危険回避モ−ドの制御態様を備え、
前記変速モ−ド切換手段が、前記オ−トクル−ズ装置の制御態様が前記危険回避モ−ドとなったときに、前記第1変速モ−ドを選択するように設定されている、ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記マニュアル操作される部材が、ステアリングハンドルに設けられたマニュアルスイッチとされている、ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
レンジ位置の切換選択用のセレクトレバ−が、前記第2レンジ位置において、該第2レンジ位置以外の他のレンジ位置への位置切換を伴うことなく所定範囲揺動可能とされ、
前記第2レンジ位置において、前記セレクトレバ−の前記所定範囲の揺動における一方側揺動によって作動されるシフトアップ指令用の第1スイッチと他方側揺動によってよって作動されるシフトダウン指令用の第2スイッチとが設けられて、該セレクトレバ−が前記マニュアル操作される部材として機能されるように設定されている、
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
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