JP3799508B2 - 負イオン発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レナード効果を利用した負イオン発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水滴が空気中で分裂するとき、付近の空気中に負イオンが発生する現象はレナード効果(Lenard’s effect)として古くから知られている。この現象は滝の付近の空気中に負電気が存在することから滝効果ともいわれる。
【0003】
レナード効果を利用して負イオンを発生させる方法は、例えば特公平5−587555号に記載されている。この方法は、微細水滴製造機にて水から微細水滴を発生させると同時に、この微細水滴に風速0.5〜50m/secで空気を吹き込み、微細水滴混合空気とし、そのあと、この微細水滴混合空気を分離器に通して少なくとも粒径1μmより大きな微細水滴を分離して超微細水滴混合空気となし、該超微細水滴混合空気1m3中に負イオンを1.25×109以上発生させるというものである。この先行例において、「微細水滴製造機」は「水分裂部」,「分離器」は「気液分離部」である。水分裂部には、水を高圧で噴出して衝壁に衝突させる装置、回転する円板上に水を噴射し、噴射水に遠心力を作用させて微細水滴に分裂させる装置,超音波加湿器を用い、水を振動させて微細水滴に分裂させる装置あるいは回転する羽根車に水を吹き付け、羽根車で水を叩いて微細水滴に分裂させる装置が用いられ、気液分離部には、サイクロンセパレータが用いられている。
【0004】
上記装置によるときには、水分裂部に発生させた微細水滴を送風し、気液分離部であるサイクロンセパレータ内で空気中から微細水滴を気液分離して負イオンを含む空気を外部へ取出すことができる。
【0005】
上記負イオン発生装置を家庭用の室内設置型空気清浄機として利用する例は、例えば実開平4−126717号公報に記載されている。この例では図6に示すように、ファン21により吸引して複数のフィルタからなる集塵フィルタ装置22を介して空気を取り入れ、サイクロン構造の気液接触部23内で噴射ノズル24より微細な水滴を噴射して気液接触させ、連通口25を介して連通する同じくサイクロン構造の液滴分離部26に送って余分な水分を除去した後、空気排出口27から清浄空気を排出する構造となっている。図中、28は噴射ノズル24に水を圧送するポンプ、29は給水タンク、30は噴射水を収容する水槽である。この例における気液接触部23は水分裂部であり、液滴分離部26は気液分離部である。この先行例に明らかなとおり、水分裂部及び気液分離部には円形の断面の筒が用いられ、筒内に圧入した空気を旋回させつつ水分裂部ではノズルから噴射した水を空気中で分裂させ、気液分離部では、旋回により生じた遠心力作用で空気中から微細水滴を分離している。図6は、水分裂部及び気液分離部の筒は、縦長に設置された例であるが、横長に設置される例もある。水分裂部及び気液分離部に円形断面の筒を用いる理由は、筒内及び筒を含む装置の機内を流動する空気の静圧を下げるためであるといわれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、水の分裂による負イオン発生のメカニズムに関して、レナード(Lenard)は、水滴が金属板に衝突して分裂する場合に、付近の空気中にイオンが発生し、且つ分裂した水滴の帯電量の総和は、最初の水滴の電気量よりも多くなること、空気中に発生したイオンの電荷の総和と、分裂によって増した水滴の電気量とは相等しいことを実験的に見出し、その後シンプソン(Simpson)は、レナードの実験を繰返し、より精密な装置を用いて測定して、水滴が空気中で分裂するだけでレナードと同様な結果が起こり得ること、空気中に発生したイオンは水滴の電荷の如何にかかわらず負イオンであること、水滴は分裂の際に発生したイオンと等価の正電荷を得ることを確かめたのである(気象電気学 畠山,川野,岩波書店 1955,p26〜27参照)。このように水滴が微細水滴に分裂するだけで空気中に負イオンが発生するのであって、もとより機内の静圧を下げることは負イオン発生に寄与しているわけではない。
【0007】
本発明の目的は、空気中で微細水滴の分裂を促進させる負イオン発生装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の負イオン発生装置においては、水分裂部を有する負イオン発生装置であって、
水分裂部は、角筒内に形成され、ノズルを有し、水を微細水滴に分裂させて空気中に負イオンを発生させる部分であり、
角筒は、空気の流路を形成する多角形断面をなし、外部から角筒内に送入された空気を旋回させつつ乱流を伴って流動させるものであり、縦長に配置され、送風機に通ずるダクトが接続され、旋回案内板を有し、
送風機は、外気を吸引してダクト内に圧送するものであり、
ダクトは、角筒の一側面に開口され、
旋回案内板は、ダクトの開口に向き合わせて配設され、中心角90°の弯曲面を有し、ダクトから圧送されてきた空気の流れを旋回流に変換して角筒内に誘導する板であり、
ノズルは、角筒内で旋回する空気中に水を角筒の内壁に向けて噴出するものであり、
噴出された水は、角筒内に生ずる乱流を伴った旋回流に接触して微細水滴に分裂するものである。
【0010】
また、水分裂部を有する負イオン発生装置であって、
水分裂部は、角筒内に形成され、ノズルを有し、水を微細水滴に分裂させて空気中に負イオンを発生させる部分であり、
角筒は、空気の流路を形成する多角形断面をなし、外部から角筒内に送入された空気を旋回させつつ乱流を伴って流動させるものであり、縦長に配置され、送風機に通ずるダクトが接続され、旋回案内板を有し、
送風機は、外気を吸引してダクト内に圧送するものであり、
ダクトは、角筒の上面に開口され、
旋回案内板は、弯曲面に沿ってダクトから圧送されてきた空気の流れを旋回流に変換して角筒内に誘導する放射状の羽根であり、
ノズルは、角筒内で旋回する空気中に水を角筒の内壁に向けて噴出するものであり、
噴出された水は、角筒内に生ずる乱流を伴った旋回流に接触して微細水滴に分裂するものである。
【0012】
また、ノズル配管は、角筒内の中心部分の上下方向に配管され、
角筒内に送入された空気は、ノズル配管を中心に旋回しつつ流動し、角筒の各隅で渦流を生じて乱流を伴った旋回流となり、
ノズルは、角筒の内面に向けて空気の旋回流中に水を噴出するものである。
【0013】
また、角筒内に受板を有し、
受板は、角筒内面に張り出し、角筒内に噴射され、角筒内面に衝突した水滴が落下する途中で再衝突させて空気の乱流中で散乱を繰り返させるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図によって説明する。
【0015】
図1〜3において、負イオン発生装置は、ハウジング1内に水分裂部2と気液分離部3と水槽4とを有するものである。
【0016】
水分裂部2は、水槽4から供給された水を微細水滴に分裂させ、微細水滴を含む空気を気液分離部3に送風する部分であり、気液分離部3は、水分裂部2より受入れた空気中の水滴を分離除去して負イオンを含む多湿の空気を外部へ送出する部分であり、水槽4は、水分裂部2へ供給する水を入れたものである。図中5は空気取入口であり、6は、ハウジング1の上面に開口された送気口である。空気取入口5と、送気口6との間は空気流通路7であり、空気流通路7には送風機8を有し、水分裂部2及び気液分離部3は、送風機8の下流の空気流通路7内にそれぞれに形成されたものである。
【0017】
水分裂部2にはノズル配管9を有し、ノズル配管9は、その管軸方向の周面にノズル10が開口され、ポンプ11を介して水槽4に接続されている。水槽4内の水はポンプ11に汲み上げられ、ノズル10から水分裂部2内に噴出される。送風機8によって吸引された外部の空気は、ダクト12を通して水分裂部2に流入し、ノズル10から噴出された水は水分裂部2の内壁に衝突し、あるいは空気中での微細水滴に分裂し、空気中に負イオンを生ずる。微細水滴を含む空気は、次に気液分離部3に送入される。気液分離部3は、この実施形態においてはサイクロンセパレータである。
【0018】
気液分離部3内に受入れられた空気は、円筒内を旋回しつつ上昇し、旋回によって生じ遠心力作用で空気中に含まれる微細水滴を空気中から遠心力分離する。したがって、気液分離部3内を空気が通過する間に空気中の微細水滴が除かれ、負イオンを含む多湿の空気が出口管13に送り出され、負イオンは、送気口6から外部へ取り出される。なお、水分裂部2内に噴射された大部分の水及び気液分離部3で空気中から分離された水は、それぞれ水槽4内に落下して循環使用される。
【0019】
水分裂部2及び気液分離部3は、いずれも筒状体内に形成されるが、本発明においては、特に水分裂部2の筒状体に多角形断面の角筒14を選定したものである。角筒14は、この実施形態では断面四角形であり、縦長に配置され、上端には送風機8に通ずるダクト12が接続され、下端には、気液分離部3に通ずる連結管15が接続されている。ダクト12は、角筒14の一面片隅に開口され、ダクト12の開口に向き合わせて角筒14内には旋回案内板16が取付けられている。旋回案内板16は、中心角90°の弯曲面を有し、ダクト12から圧送されてきた空気の流れを旋回流に変換して角筒14内に誘導するものである。ノズル配管9は、角筒14内の中心部分の上下方向に配管され、角筒14内に送りこまれた空気は、ノズル配管9を中心に旋回し、角筒14内を螺旋運動しつつ下降し、連結管15から気液分離部3内へ送り出される。しかし、筒状体が角筒14のため、空気の螺旋運動は、円筒内を流動する場合のように必ずしも滑らかではなく、おそらく図2に示すように、角筒14内の各隅では渦が生じ、空気は乱流を伴った旋回流となり、この乱流中で噴出された水滴の分裂が促進され、多量の負イオンを空気中に発生させることができる。
【0020】
水滴の分裂効率をさらに高めるには、噴射水を空気の乱流を利用して空気中で散乱させるのが好ましい。水は、多角形の角筒14の各面に向けて直角に噴射され、角筒14の内面に衝突して散乱するが、角筒14の内面上に張り出して受板17を取付け、衝突面となる角筒の内面に張出し部分を設ければ、角筒内面に衝突した水滴が落下する途中で受板17上に再度衝突し、さらに空気の乱流中で散乱を繰返し、水滴の分裂効率が高まる。
【0021】
以上実施形態においては角筒14の一側面から空気を導入する例を説明したが、あるいは図4に示すように角筒14の上面から導入することもできる。この場合に旋回案内板には、弯曲面を有する放射状の羽根18を用い、ダクト12を通して上方から送り込まれた空気の流れを強制的に旋回流に変換して角筒14内に導入する。角筒14内での空気の旋回流は螺旋運動であり、ノズル配管9を中心に旋回しつつ角筒14内を下降するが、ノズル配管9は必ずしも1本に限らず、複数本であってもよい。例えば、図5に示すように四角形の角筒14の各面に対応して1本ずつ配管し、計4本のノズル配管9a〜9dを設けて、各々のノズル配管9a〜9dのノズル10a〜10dから各面に向けて別個に噴出してもよい。この場合においても、空気はノズル配管9a〜9dを結ぶ円の周囲を旋回し、水は空気の旋回流に向けて噴射される。
【0022】
ノズル配管9と、噴射水の衝壁となる角筒14内面との間隔は余り離れすぎない方が負イオンの発生には好ましいようである。したがって、大型の負イオン発生装置では角筒内に図5の配置で複数本のノズル配管を配管するのが望ましい。
【0023】
(実施例)以下に本発明の実施例を示す。この実施例においては、以下に示す仕様の負イオン発生装置を作り、負イオン発生量を測定した。
【0024】
ポンプを稼動させて水分裂部1にポンプ圧力1.8kg/cm2で18 l/minの水量を8個のノズルより噴射して外板面に衝突させた。一方、送風機を稼動し、風量8m3/minの空気を吹込んだ。水分裂部の静圧は30mmAgであり、機内の全静圧は85mmAgであった。発生した負イオン量は、180,000個/ccであった。また大気温度,湿度は29.3℃,54.3%RHに対して吹き出される空気温度,湿度は24.4℃,91%RHであった。吹き込み風速は12m/secであった。
【0025】
(比較例)比較例として水分裂部に、実施例の角筒に代えて直径300mmφ,高さ600mmの円筒を用い、他は実施例と同じ仕様の負イオン発生装置を作り、風速8m/secで水分裂部の静圧を測定したところ、水分裂部内の静圧は28mmHgであった。また、負イオン発生量は、120,000個/ccであった。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明によるときには、水分裂部の空気の流通路に角筒を用い、角筒内で空気を旋回させつつ流動させるものであり、空気は、円筒内で旋回させつつ流動させる場合のように層流にならず、角筒の各隅に渦を生じ全体の空気の流れとしては不規則な乱流を伴った旋回流となり、角筒内に放水された噴射水は乱流に巻き込まれて分裂効率を高めることができる。さらに、角筒の内面一部に受板による張出し部分を設けることによって、水滴の衝突が繰返され、効率よく微細水滴に分裂して多量の負イオンを空気中に発生させることができる。しかも、実施例と比較例とを対比して明らかなとおり、角筒の使用は、円筒の使用に較べて静圧は極端に違わないことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す一部断面正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す平面図である。
【図3】要部斜視図である。
【図4】ダクトと角筒との接続部分の他の実施形態を示すもので(a)は水分裂部の断面平面図、(b)は同縦断面図である。
【図5】ノズルの配置の他の実施形態を示すもので(a)は水分裂部の断面平面図、(b)は同縦断面図である。
【図6】負イオン発生装置の従来例を示すもので、(a)は断面側面図、(b)は平面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
2 水分裂部
3 気液分離部
4 水槽
5 空気取入口
6 送気口
7 空気流通路
8 送風機
9 ノズル配管
10 ノズル
11 ポンプ
12 ダクト
13 出口管
14 角筒
15 連結管
16 旋回案内板
17 受板
18 羽根
Claims (4)
- 水分裂部を有する負イオン発生装置であって、
水分裂部は、角筒内に形成され、ノズルを有し、水を微細水滴に分裂させて空気中に負イオンを発生させる部分であり、
角筒は、空気の流路を形成する多角形断面をなし、外部から角筒内に送入された空気を旋回させつつ乱流を伴って流動させるものであり、縦長に配置され、送風機に通ずるダクトが接続され、旋回案内板を有し、
送風機は、外気を吸引してダクト内に圧送するものであり、
ダクトは、角筒の一側面に開口され、
旋回案内板は、ダクトの開口に向き合わせて配設され、中心角90°の弯曲面を有し、ダクトから圧送されてきた空気の流れを旋回流に変換して角筒内に誘導する板であり、
ノズルは、角筒内で旋回する空気中に水を角筒の内壁に向けて噴出するものであり、
噴出された水は、角筒内に生ずる乱流を伴った旋回流に接触して微細水滴に分裂するものであることを特徴とする負イオン発生装置。 - 水分裂部を有する負イオン発生装置であって、
水分裂部は、角筒内に形成され、ノズルを有し、水を微細水滴に分裂させて空気中に負イオンを発生させる部分であり、
角筒は、空気の流路を形成する多角形断面をなし、外部から角筒内に送入された空気を旋回させつつ乱流を伴って流動させるものであり、縦長に配置され、送風機に通ずるダクトが接続され、旋回案内板を有し、
送風機は、外気を吸引してダクト内に圧送するものであり、
ダクトは、角筒の上面に開口され、
旋回案内板は、弯曲面に沿ってダクトから圧送されてきた空気の流れを旋回流に変換して角筒内に誘導する放射状の羽根であり、
ノズルは、角筒内で旋回する空気中に水を角筒の内壁に向けて噴出するものであり、
噴出された水は、角筒内に生ずる乱流を伴った旋回流に接触して微細水滴に分裂するものであることを特徴とする負イオン発生装置。 - ノズル配管は、角筒内の中心部分の上下方向に配管され、
角筒内に送入された空気は、ノズル配管を中心に旋回しつつ流動し、角筒の各隅で渦流を生じて乱流を伴った旋回流となり、
ノズルは、角筒の内面に向けて空気の旋回流中に水を噴出するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の負イオン発生装置。 - 角筒内に受板を有し、
受板は、角筒内面に張り出し、角筒内に噴射され、角筒内面に衝突した水滴が落下する途中で再衝突させて空気の乱流中で散乱を繰り返させるものであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の負イオン発生装置。
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