JP3799432B2 - 脱硝装置用シール材及び脱硝装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被脱硝ガスを脱硝する脱硝装置のシール材及びこれを備えた脱硝装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来技術に係る脱硝装置を示す斜視図、図8は、図7の要部を示し、(A)は触媒ブロックの斜視図、(B)は図7の II−II 線断面図、(C)は図7の III−III 線断面図、を各々示す。脱硝装置100は、多数の触媒ブロック102が積層されて一つの脱硝触媒体101としてケーシング105内に収納されている。更に、触媒ブロック102は、複数の触媒ユニット103を組み合わせて一辺が約1〜3mの範囲となるように形成され枠体112の中に収納されている。そして、触媒ユニット103は板状又はハニカム状の触媒エレメントを複数重ね合わせて形成されている。
【0003】
更に、被脱硝ガスの入口側或いは出口側において触媒ブロック102同士の間隙及び触媒ユニット103同士の間隙には、被脱硝ガスのリークを減少させるために、図8(B)に示すように、丸鋼106が矢印108で示される個所に断続的に溶接されシールされている。又、図8(C)に示すように、脱硝触媒体101とケーシング105の内部支柱109との間には、シールプレート107が設けられ、矢印110で示される個所に断続溶接が施されシールされている。尚、矢印111は被脱硝ガスの流れ方向(向き)を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一般的に設置された丸鋼106及びシールプレート107は、触媒交換作業等の便宜上、断続溶接(或いは点溶接)されているため、この部分より脱硝されずに通過する被脱硝ガスが発生する。シール部分からのリークガスは、脱硝触媒体101を通過すること無く脱硝装置出口へと排出されるため、リークしたガスに含まれるNOxがそのままの濃度で排出され脱硝率を低下させることになる。
【0005】
上記のように、リークする被脱硝ガスが、そのまま脱硝されないで脱硝触媒体101を通過した場合、例えば全被脱硝ガス量の1%のガスがリークすると、80%の脱硝率のものが79%の脱硝率にまで低下することになる。又、ガスリークを減少させるため、前記の間隙にパッキン等のシール材を設置するもの(実開昭58−26923号公報)や粒状触媒を充填するもの(実開昭58−26924号公報)等が用いられていた。しかし、前者はシール材の劣化或いは温度変化に伴う触媒ブロックの伸縮等によって該触媒ブロック同士の間隙寸法が変化しガスリークを完全には防止出来ず、入口の濃度のままのリークガスが脱硝装置出口へ排出されていた。
【0006】
又、後者では、該触媒ブロック同士の間隙の粒状触媒が、装置の起動時及び停止時の温度差により触媒ブロック同士の間隙が増減し、これによって押しつぶされて粉化し飛散するという問題があった。その他、前記の間隙に板状触媒を設置しリークガス中のNOxを脱硝するもの(特願平4−312029号)が提案されているが、このものはリークするガス量を低減させる効果が少なく、ある程度のNOxが流出してしまうと云う問題があった。
【0007】
このように、従来技術の脱硝装置における隣接触媒ユニット同士の間隙、隣接触媒ブロック同士の間隙又は脱硝触媒体とケーシングとの間隙に設けたシール材は、ガスリークを十分に防止出来ず脱硝性能の低下を引き起していた。
【0008】
本発明の課題は、上記従来技術の課題を解決し、被脱硝ガスを脱硝する脱硝触媒体を有する脱硝装置のシール部に設けられ、このシール部をリークする被脱硝ガスのガス量を減少させると共に、リークする被脱硝ガスの脱硝を行ない、脱硝装置の脱硝性能を長期に渡って安定的に維持する脱硝装置用シール材及びこれを備えた脱硝装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題は次のようにして解決される。即ち、本発明の脱硝装置用シール材は、触媒作用によって被脱硝ガスの脱硝を行なう脱硝触媒体を有する脱硝装置のシール部に設けられる脱硝装置用シール材であって、前記被脱硝ガスの脱硝を行なう板状の触媒材と、耐熱無機繊維で形成され板厚方向に伸縮性を持たせた板状緩衝材とを交互に積層して形成したことを特徴とする。
【0010】
すなわち、本発明の脱硝装置用シール材によれば、板厚方向に伸縮性を持たせたことにより、脱硝触媒体をリークする被脱硝ガスのガス量を減少させると共に、リークする被脱硝ガスの脱硝を行ない、長期に渡って安定的に脱硝性能を維持する。また、板状緩衝材は触媒ブロック又は触媒ユニットの温度変化による伸び縮みに対応してその間隙変化を吸収し、リークガス量を減少させる。更に、板状緩衝材は耐熱無機繊維で形成されているので、被脱硝ガスの高温度に耐えられる。
【0015】
また、本発明の脱硝装置は、被脱硝ガスを流通させて脱硝を行なう流通路を有する脱硝触媒ユニットを複数個前記流通路が互いに平行になるように、上記に記載の脱硝装置用シール材を介して組み合わせて触媒ブロックを形成し、該触媒ブロックを複数個前記流通路が互いに平行になるように、上記に記載の脱硝装置用シール材を介して積層させて形成した脱硝触媒体を備えて構成することができる。
【0016】
また、上記の本発明の脱硝装置において、前記脱硝触媒体は、ケーシングに収納され、該脱硝触媒体と前記ケーシングとの間隙に、上記に記載の脱硝装置用シール材を設けて構成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る脱硝装置用シール材及びこれを備えた脱硝装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、図1〜6において、同じ構造、作用部分には同じ参照番号を付けて示す。また、図4〜6は、参考例を示している。
【0018】
図2は、本発明に係る脱硝装置の一実施の形態を示す斜視図である。本実施の形態の脱硝装置1は、被脱硝ガス、例えばNOxを含む排ガスを流通させて脱硝を行なうもので、多数の触媒ブロック18が積層されて一つの脱硝触媒体17としてケーシング24内に収納されている。脱硝触媒体17は、所謂パラレルフロー型触媒体である。触媒ブロック18は、複数の触媒ユニット19を組み合わせて一辺が約1〜3mの範囲になるように形成され、従来技術のところで記したように、図示していない枠体に収納されている。更に、触媒ユニット19は、板状又はハニカム状の触媒エレメントを複数重ね合わせて排ガスを流通させて脱硝を行なう流通路を形成し、且つ流通路が互いに平行になるように組み合わされている。
【0019】
本実施の形態の脱硝装置用シール材は、上記脱硝触媒体17を構成する触媒ブロック18同士の間隙及び触媒ユニット19同士の間隙或いは脱硝触媒体17とケーシング24の間隙等のシール部に設けられ、これらシール部からリークする排ガスの脱硝を行なうバナジウム等の触媒成分を含浸させると共に、伸縮性を持たせている。
【0020】
図1は、上記脱硝装置用シール材の第1実施の形態を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)の丸印部拡大斜視図である。脱硝装置用シール材2は、触媒成分を含浸させた厚さ1mmの板状の触媒材3と、耐熱無機繊維、例えばシリカアルミナ系繊維で形成され板厚方向に伸縮性を持たせた板状緩衝材である厚さ2mm程度のブランケット6とを備え、触媒材3とブランケット6とを交互に積層してジョイント針8にて固定して形成された厚さ10mm程度のものである。ブランケット6は、シリカアルミナ系の耐熱繊維が集合し綿状となっている。
【0021】
図3は、図2に示した脱硝装置の要部を示し、(A)は横断面図、(B)は(A)の丸印部31の拡大図、(C)は(A)の丸印部32の拡大図、を各々示す。尚、矢印30は排ガスの流れ方向(向き)を示している。図3(B)に示すように、本実施の形態の脱硝装置1は、触媒ブロック18又は触媒ユニット19で構成される脱硝触媒体17とケーシング24の内部支柱25との間にシールプレート23が設けられ、シールプレート23の一端と脱硝触媒体17とで形成される空間にシール材2が挿入され排ガスをシールする。矢印27で示される個所は断続溶接され、矢印28で示される個所はシール溶接される。同様に、図3(C)に示すように、触媒ブロック18同士の間隙及び触媒ユニット19同士の間隙にもシール材2が挿入されている。
【0022】
以上の構造を有する第1実施の形態の脱硝装置用シール材2及びこれを備えた脱硝装置1は、次のように作用する。即ち、触媒成分を含浸させた板状の触媒材3と、板厚方向に伸縮性を持たせたブランケット6とを交互に積層して形成されたことにより、リークする排ガスを触媒材3によって脱硝すると共に、板厚方向に伸縮性を持たせたブランケット6を用いているので、触媒ブロック18又は触媒ユニット19の温度変化による伸び縮みを吸収する。更に、ブランケット6は耐熱無機繊維で形成されているので、排ガスの高温度に耐えられる。従って、本脱硝装置用シール材2は、脱硝触媒体17をリークする排ガスのガス量を減少させると共に、リークする排ガスの脱硝を行ない、脱硝装置の脱硝性能を長期に渡って安定的に維持する。又、上記脱硝装置用シール材2を備えた脱硝装置1は処理効率が向上する。
【0023】
図4は、脱硝装置用シール材の第1の参考例を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)のI−I線断面図である。第1の参考例の脱硝装置用シール材2は、触媒成分が焼成された触媒物質を粉状に粉砕し、0.5〜1mm程度の粉状に形成され、板状緩衝材がアルミナシリケート繊維で形成されたもので、伸縮性を一層増し、排ガス温度変化による間隙変化に対しても十分なシール性を発揮する。
【0024】
図5は、脱硝装置用シール材の第2の参考例を示す斜視図である。第2の参考例の脱硝装置用シール材2は、スラリー状に調製された触媒物質が無機繊維、例えばガラス繊維を細かく網み合わせた布状材10に含侵、塗布され焼成されることによって触媒成分が形成されたことである。触媒ユニット同士の間隙又は触媒ブロック同士の間隙又は脱硝触媒体とケーシングの間隙に挿入される際は、その間隙に合わせて何枚かを充填する。触媒成分が布状材10に含侵、塗布され焼成されることによって形成されたことにより、脱硝触媒体をリークする排ガスのガス量を減少させると共に、リークする排ガスの脱硝を行ない、脱硝装置の脱硝性能を長期に渡って安定的に維持すると共に、触媒活性成分が多く付着したシール材となり、一層大きいリークガスの脱硝性能を発揮する。
【0025】
図6は、図4と同様の第3の参考例の斜視図である。第3の参考例の脱硝装置用シール材2は、排ガスが通過可能な袋13に触媒成分を含浸させた1〜3mm程度の粒状触媒14が充填されて形成されたことである。第2の参考例のシール材と同様にシールする個所の間隙に挿入する際は、袋13が変形可能であるので間隙に合致させて挿入することが出来ると共に、触媒活性成分が多く充填され、より大きいリークガスの脱硝性能を発揮する。
【0026】
ところで、従来技術による脱硝装置ではシール材よりリークした排ガス(排ガス)がそのままのNOx濃度で脱硝装置出口に排出されていたが、本実施の形態の脱硝装置用シール材は、シール部からリークする排ガスの脱硝を行なう触媒成分を含浸させることにより、リークする排ガスについてもNOxの脱硝を行ない脱硝装置出口でのNOx濃度を低くすることが出来る。又、脱硝機能(作用)と共に、伸縮性のあるシール材を設けたことにより間隙のシール効果をより一層高めリークする排ガスを減少させている。
【0027】
本実施の形態の脱硝装置及び従来技術の脱硝装置の脱硝効率を説明するために図3(A)と図9を使用し、具体的な数値を示して効果を説明する。排ガスの入口NOx濃度を100ppm、脱硝触媒体17又は101を通過するガス流速を5m/s、リークを無視した場合の脱硝触媒体17又は101の脱硝率を80%、触媒ユニット同士の間隙、触媒ブロック同士の間隙又は脱硝触媒体とケーシングの間隙のシール部分よりリークするガスを本実施の形態の場合全体の0.1%、従来技術の場合全体の1%、とする。
【0028】
本実施の場合、図3(A)に示すように、シール材2に伸縮性のある板状緩衝材を用いているため、シール材2を挿入(充填)している間隙部分よりリークするガスを0.1%に減少することが出来、且つシール材2が脱硝機能(作用)を有し、この間隙部分を流れるガス流速は1m/sとなるので、シール材2に含まれる触媒量が少なくても80%程度の脱硝が可能となる。従って、リークガス中に含まれるNOx濃度は、0.02ppmとなる。これと、脱硝触媒体17を通過し脱硝された排ガス中に含まれる19.8ppmとを合わせた19.82ppmが、最終的な出口のNOx濃度となる。このように、本実施の形態の脱硝装置1によって、出口NOx濃度を低減し脱硝率を高めることが出来る。
【0029】
一方、従来技術の場合、図9に示すように、排ガスの1%がシールプレート107及び丸鋼106部分よりリークしてくるので、出口NOx濃度は脱硝触媒体を通過し脱硝された排ガス中に含まれる19.8ppmとリークガスにより生じる1ppmとを合わせた20.8ppmとなり、図3(A)の脱硝装置1によって処理されたNOx濃度19.82ppmよりも高くなる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の脱硝装置用シール材によれば、脱硝装置のシール部をリークする被脱硝ガスのガス量を減少させると共に、リークする被脱硝ガスの脱硝を行ない、脱硝装置の脱硝性能を長期に渡って安定的に維持する。
【0031】
又、本発明の脱硝装置によれば、上記脱硝装置用シール材を備えることにより、脱硝装置の処理効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る脱硝装置用シール材の第1実施の形態を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)の丸印部拡大斜視図である。
【図2】本発明に係る脱硝装置の一実施の形態を示す斜視図である。
【図3】図2に示した脱硝装置の要部を示し、(A)は横断面図、(B)は丸印部31の拡大図、(C)は丸印部32の拡大図、を各々示す。
【図4】本発明に係る脱硝装置用シール材の第1の参考例を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)のI−I線断面図である。
【図5】図4と同様の第2の参考例を示す斜視図である。
【図6】図4と同様の第3の参考例を示す斜視図である。
【図7】従来技術に係る脱硝装置の斜視図である。
【図8】図7の要部を示し、(A)は触媒ブロックの斜視図、(B)は図8のII−II線断面図、(C)は図8のIII−III線断面図、を各々示す。
【図9】従来技術に係る脱硝装置の脱硝効率を説明する平面図である。
【符号の説明】
1 脱硝装置
2 脱硝装置用シール材
3 触媒材
6 ブランケット(板状緩衝材)
10 布状材
13 袋
14 粒状触媒
17 脱硝触媒体
19 媒体ユニット
24 ケーシング

Claims (3)

  1. 触媒作用によって被脱硝ガスの脱硝を行なう脱硝触媒体を有する脱硝装置のシール部に設けられる脱硝装置用シール材であって、前記被脱硝ガスの脱硝を行なう板状の触媒材と、耐熱無機繊維で形成され板厚方向に伸縮性を持たせた板状緩衝材とを交互に積層して形成した脱硝装置用シール材。
  2. 被脱硝ガスを流通させて脱硝を行なう流通路を有する脱硝触媒ユニットを複数個前記流通路が互いに平行になるようにシール材を介して組み合わせて触媒ブロックを形成し、該触媒ブロックを複数個前記流通路が互いに平行になるようにシール材を介して積層させて形成した脱硝触媒体を備えた脱硝装置において、前記シール材は、請求項1に記載の脱硝装置用シール材であることを特徴とする脱硝装置。
  3. 請求項2において、前記脱硝触媒体は、ケーシングに収納され、該脱硝触媒体と前記ケーシングとの間隙に前記シール材が設けられ、該シール材は、請求項1に記載の脱硝装置用シール材であることを特徴とする脱硝装置。
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