JPH0615138A - 触媒ブロック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製作上や運転中に生じるハニカム触媒と外枠
間の隙間を小さくして、ガス流出を抑制する。 【構成】 ハニカム状などの触媒成形体１の１個または
複数個を触媒ズレ防止ストッパを有する枠体４に組込ん
でユニット化し、それを複数段外枠３内に組込む。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はガス水平流型反応器に装
填する脱硝用触媒ブロックなどの触媒ブロックに係り、
特にハニカム触媒を外枠に組み込む構造を改善した触媒
ブロックに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ボイラ等の排ガス中の窒素酸化物
（ＮＯｘ）を低減する方法として、触媒の存在下で排ガ
スとアンモニア（ＮＨ₃）ガス等の還元性物質を接触反
応させＮＯｘを低減する、いわゆる選択的接触還元（Ｓ
ＣＲ）法が広く国内外のプラントで利用されている。こ
の選択的接触還元（ＳＣＲ）法に用いられる、いわゆる
脱硝触媒の形状については、ハニカム形（例えば、蜂の
巣状、碁盤目状、パイプ状等）、板状触媒等が使用され
ている。

【０００３】これらの脱硝触媒は、運搬・輸送及び広い
断面を有する排ガス煙道中に均等にかつ有効に充填配置
するために、単一触媒を一旦ユニット化及び、又はブロ
ック化したものを図７に示すように反応器内に積重ね装
填し、排ガスを通過させて所定の反応を行うものであ
る。

【０００４】なお、図中の８は反応器、９は触媒ブロッ
クを示す。

【０００５】ハニカム形触媒（以下ハニカム触媒と称
す）の従来のガス水平流型触媒ブロックは、図８に示す
ように、一定の長さを持った単一のハニカム触媒１を底
板６ａ、側面板６ｂ、上板６ｃからなる外枠６内に多数
個配列、積重ね装填する。また装填に際しては、該ハニ
カム触媒１の四周並びに前記外枠６の四周板間に緩衝材
としてカオウール等を配置する。また排ガス通過のため
に開放された側面には、ハニカム触媒１のズレによる損
傷を防止する目的で、前面及び後面に、格子状の支持枠
７が配置されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、その触媒ブロ
ック９に装填するハニカム触媒１は、押し出し成形され
る陶器類のものであり、それ自体がねじれ、たわみ、ひ
ずみ等を持った製品であり、これらを含めた寸法公差も
大きく、かつ、排ガス通過によるドラフト損失の低減を
図るため、触媒構造上、ハニカム触媒１の隔壁は１ｍｍ
以下と非常に薄く、強度的にも小さい。

【０００７】これら変形等を含めた製作公差が大きく、
強度の小さい触媒をブロック化する場合、触媒の損傷を
防止する観点から、外枠６は前記触媒製作公差の最大値
を考慮した寸法とする必要があることから、実際のブロ
ック化では、例えば図９に示すように、外枠６の高さ方
向とハニカム触媒１の積み重ね方向の寸法差ΔＨ、およ
び外枠６の幅方向とハニカム触媒１の配列方向に寸法差
ΔＢが生じる。

【０００８】このような隙間ΔＨ，ΔＢが存在すると、
一部のガスはその隙間を通過し、触媒層を通らずに流出
してしまうため、脱硝装置の性能が低下するという欠点
がある。

【０００９】このため、良好な触媒ブロックとするため
には、外枠６とハニカム触媒１間に生じた隙間ΔＨ，Δ
Ｂにカオウール等の緩衝材を詰め込み充填してシールし
たり、外枠側板６ｂおよび上板６ｃの組立は、外枠底板
６ａ上にハニカム触媒１を配列、積み重ねた後に合せ加
工で溶接及び、又はボルト締めにより外枠を組立、ブロ
ック化して外枠６とハニカム触媒１間に生じる隙間を小
さくする等の方法を講じていた。

【００１０】また反応器８内においては、図７に示すよ
うに複数の触媒ブロック９を積み重ねた構造となるため
に、底部の外枠６はその上に積み重ねられる触媒ブロッ
クの重量によって外枠６が変形する。そのために強度の
小さいハニカム触媒を破損させないように、厚くして剛
性の高い部材を使用した外枠６とする必要から反応器８
の断面に対し、ガスが通過する断面積の割合が低下する
という欠点がある。

【００１１】ところで最近、前記ハニカム触媒のガス通
過孔を閉塞させるダストを排ガス中に含まない、いわゆ
るクリーンガス用脱硝装置においては、装置のコンパク
ト化を目的として、排ガスが触媒層を通過中に接触する
触媒表面積（単位触媒体積当りの表面積）を増大すべ
く、ハニカム触媒のガス通過孔の狭ピッチ化が図られて
いる。

【００１２】この狭ピッチハニカム触媒では、触媒自身
の開口率（空隙率）が小さくなり、排ガスの触媒通過に
際しての抵抗が増大するために、ハニカム触媒と外枠間
の隙間の存在は、従来以上に排ガスがこの隙間を通過し
やすくなる。

【００１３】このことから、従来技術に示す製作過程に
おけるハニカム触媒と外枠間の隙間のガスシールのみな
らず、外枠材料と触媒自身の線膨張係数の違いによる、
運転中の熱膨張差によって生じる高さおよび幅方向の隙
間や、損傷防止を目的として、ハニカム触媒の四周に配
置した緩衝材の長期間使用での劣化による厚さの減少に
ともなう高さ方向の隙間に対しても、ガスシールを配慮
しないと、この隙間を排ガスが通過することになり、装
置の脱硝性能に大きく影響してしまう。

【００１４】本発明の目的は、上記せる諸点に鑑みてな
されたもので、製作上や運転中に生じるハニカム触媒と
外枠間の隙間を小さくする構造の触媒ブロックを提供す
ることにある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記目的は、多数のガス
通過孔を有する単一の直方体ハニカム触媒などの触媒成
形体を、外枠内に直接配列および積み重ね組み込んで触
媒ブロックとすることなく、一旦、触媒成形体の１個も
しくは複数個を触媒ズレ防止ストッパーを有する金属枠
体に組込み、触媒ユニットとし、外枠内に複数段積み重
ねて触媒ブロックとすることを特徴とするものである。

【００１６】

【作用】このような構成をとることによりハニカム触媒
の製作公差等に起因する製作上および運転中の外枠材と
触媒体との熱膨張差によって生じる、触媒成形体と外枠
間の隙間を、１個所に集積することなく、触媒ユニット
により触媒成形体のガス流路面より高い抵抗となる隙間
寸法に分割・縮小することができる。

【００１７】

【実施例】図１は、本発明の一実施例を示す触媒ブロッ
クの一部を切欠した斜視図である。この触媒ブロックは
成形加工された鋼板からなる外枠３内に、単一ハニカム
触媒１を複数個充填し触媒ユニット２化した後に、これ
を複数段積み重ね充填したものであり、矢印は排ガスの
流れ方向である。

【００１８】図２は、前記触媒ユニット２の斜視図であ
り、この触媒ユニット２は、触媒ズレ防止ストッパ４ａ
としてプレス加工により端部をＬ字型に成形された厚さ
が１．０ｍｍ〜３．２ｍｍ程度の薄板鋼板からなるユニ
ット枠体４内に、ハニカム触媒１の四周にカオウール等
の緩衝材５を充填したものである。また、図３は前記触
媒ユニット２の側断面図である。

【００１９】上記のように触媒ブロックを構成すれば、
ハニカム触媒１の製作上で生じるねじれ等の変形を含め
た大きな寸法公差は、ユニット枠体４の寸法で考慮・調
整することになり、図８に示すように外枠６に多数個の
ハニカム触媒１を直接充填する場合に比べ、前記触媒の
寸法公差による触媒と外枠間の高さおよび幅方向の隙間
は、図９に示すΔＨやΔＢのように１個所に集積するこ
となく、図４に示すようなΔｈやΔｂに、充填する触媒
ユニット数に応じた隙間寸法に分割、縮小できることか
ら、この隙間の排ガス通過を防止するシールも容易とな
る。

【００２０】図５は、外枠３やユニット枠体４の材料で
ある炭素鋼とセラミックスなどからなる触媒自体の各温
度における線膨張係数を示す図である。この図からも明
らかなように枠体材料の線膨張係数は、触媒に比べ約３
倍の値である。この両者の値を用いて、図８に示すごと
き単一のハニカム触媒１を横方向に８個、上方向に６個
積み重ねた触媒ブロック構成における一般的な脱硝装置
の運用温度である３５０℃での外枠とハニカム触媒の熱
膨張による差は、幅方向で約５ｍｍ、高さ方向では約３
ｍｍとなり、図８に示す製作上で生じる隙間ΔＢおよび
ΔＨに加算されることになる。

【００２１】またこの熱膨張で生じる外枠とハニカム触
媒間の隙間は、寸法的にもハニカム触媒１のガス通過孔
のピッチ（寸法）と同程度となるが、図１に示すような
触媒ブロック構成とすれば、前記製作過程で生じる隙間
同様１個所に集積せず、充填触媒ユニット数に応じた隙
間に分割、縮小できる。

【００２２】この分割された隙間は、ハニカム触媒のガ
ス通過孔のピッチ以下となり、触媒層よりガス流れに対
する抵抗が大きくなるため、隙間のガス流出を防止でき
る。

【００２３】さらに図１に示すような触媒ブロックを、
反応器内に積み重ねる場合、積み重ねた上部触媒ブロッ
クの重量は、外枠のみならず、ユニット枠体でも支持で
きるため、荷重は分散され、みぞ形鋼等の剛性の高い外
枠部材への使用が不要となり、鋼板を主部材とした外枠
構成とできる。このことから、反応器内でのその外枠部
材が占めるデッドスペースの低減が図れるとともに、ユ
ニット枠体４に触媒のズレ防止を有するために、触媒支
持格子７の配置も不要となる。

【００２４】上記実施例において、触媒ブロックを構成
する触媒ユニットへの充填ハニカム触媒１は、４個とし
たが、触媒のガス通過孔のピッチや脱硝装置の運用温度
により、寸法公差や熱膨張による隙間がガス通過孔のピ
ッチより小さくできるのであれば、図６に示すように、
ユニット枠体４へ充填するハニカム触媒１数を６個又は
８個としても同じ効果が得られる。

【００２５】前記実施例ではハニカム状の触媒成形体を
使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
例えば板状の触媒成形体をスペーサを介して複数枚積層
したり、長尺板状の触媒成形体をスペーサを介してスパ
イラル状に巻回したものであってもよい。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、少員数の触媒成形体を
充填した触媒ユニットとした上で、外枠内に充填する触
媒ブロックとすることにより、触媒製作上の寸法公差や
運転中の枠体と触媒の熱膨張差による隙間を１箇所に集
積することなく、各触媒ユニットに分割・縮小できるの
で、隙間のガス流出防止が容易にかつ低減することがで
きる。

【００２７】また他の効果として、触媒ブロック製作
上、強度の小さい触媒単体の取扱いが不要となり、ハン
ドリング性の向上や、触媒ユニットの枠体でも充填ハニ
カム触媒の自重は保持されることから、触媒ブロックの
大型化も可能となり、現地における触媒充填の作業性を
向上できる。

【００２８】更に、触媒が部分的に損傷（例えば摩耗や
ヒートスポット、外部衝撃による破損等）した場合、損
傷触媒が充填される触媒ユニットのみの取換えが可能で
あることから、取換え作業が容易に且つ、短時間に行な
える効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る触媒ブロックの一部を切
欠した斜視図である。

【図２】その触媒ブロックに使用する触媒ユニットの斜
視図である。

【図３】その触媒ユニットの断面図である。

【図４】触媒ブロックの正面図である。

【図５】外枠、ユニット機材と触媒の線膨張係数の特性
図である。

【図６】本発明の他の実施例に係る触媒ユニットの斜視
図である。

【図７】触媒ブロックを装填した反応器の断面図であ
る。

【図８】従来の触媒ブロックの一部を切欠した斜視図で
ある。

【図９】その触媒ブロックの正面断面図である。

【符号の説明】

１ ハニカム触媒 ２ 触媒ユニット ３ 外枠 ４ ユニット枠 ４ａ 触媒ズレ防止ストッパ ５ 緩衝材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 向井 正人 広島県呉市宝町６番９号 バブコツク日立 株式会社呉工場内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 触媒ズレ防止ストッパを有する金属製内
   枠体の中に、その内枠体の線膨張係数とは異なる線膨張
   係数を有する触媒成形体を収容してユニット化し、その
   ユニットの複数個を金属製外枠内に組込んでブロック化
   したことを特徴とする触媒ブロック。