JP3798835B2 - 走行作業機の緊急停止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歩行形トラクタ等の走行作業機に実施される緊急停止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歩行形トラクタ等の原動機は所定の操作で停止させるようになっている。多くは、アルセルレバーを停止位置を越えた停止位置に回動させることで、燃料カット等を行って停止させるようにしている。ところが、通常の減速(回転数低減)操作のときに停止位置まで至っては拙いので、ここで何等かの切替え操作を必要とするものが多い。しかし、これでは、緊急に停止しなければならないときに咄嗟に操作できないことがある。
【0003】
このため、緊急停止装置を設けており、これには特開昭58−199227号公報及び実公昭62−009150号公報に見られるものがある。前者は、緊急停止用レバーをハンドルと一緒に握っておき、緊急時にこのレバーを離すと、スプリングの力でアクセルレバーを停止位置に移動させるものである。また、後者は、アクセルレバーの傍に緊急停止用ロッドを設けておき、緊急時にこのロッドを押し上げることでアクセルレバーを停止位置に移動させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した前者公報のものでは、緊急停止用レバーをハンドルと常に共握りしておくのが通常操縦の際の負担となるし、後者公報のものでは慣性の大きな緊急停止用ロッドを重力に逆らって上方に押し上げるには相当大きな力を要する。また一方で、原動機に停止指令を与えただけでは、原動機は慣性力の関係で即座には停止しないのであり、従って、この停止指令に連動させて何らかの走行停止の措置を取らなければ完全とは言えない。
【0005】
本発明は斯かる問題点を解決するものであり、緊急停止用ワイヤーを引っ張るという簡易な操作で原動機を停止させると共に、原動機から走行系に至る動力系を切断することで、作業機の走行を即座に、且つ確実に停止させるようにしたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明では、左右の操縦ハンドルに、原動機の回転数を制御するアクセルレバーを有するアクセルレバー装置と、原動機から走行部や作業部へ至る動力系を断続するクラッチレバーを有するクラッチレバー装置とを設ける一方、アクセルレバー装置とクラッチレバー装置との間に張設される緊急停止用ワイヤーと、アクセルレバー装置に付設される緊急停止用ノブとを有する緊急停止装置を設けた歩行形の走行作業機において、アクセルレバー装置が、アクセルレバーを最高速位置から最低速位置を経て停止位置に回動させることで原動機の回転数を最大から最小を経て零に制御するものであり、緊急停止装置が、緊急停止用ワイヤーの引張り又は押込みでアクセルレバーに作用するディスクを作動させてアクセルレバーを停止位置に一挙に回動させ、かつ、クラッチレバーを切断位置に移行させるものであるとともに、緊急停止用ノブの叩き操作によっても、ディスクを作動させて緊急停止用ワイヤを引っ張り又は押し込んでアクセルレバーを停止位置に一挙に回動させる他、クラッチレバーを切断位置に移行させるものである構成にした。
【0007】
この発明を歩行形走行作業機に実施する際は例えば次のようになす。即ち、歩行形走行作業機は一般に原動機停止装置の一部をなすアルセルレバー装置及び、主クラッチを断続させるためのクラッチレバー装置を具備しているが、このような作業機の操縦ハンドルの左右把握部の相互間に緊急停止用ワイヤーを張設し、このワイヤーをアクセルレバー装置及びクラッチレバー装置に連系させるようにする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。図1は走行作業機としての歩行形トラクタにおける操縦ハンドルの要部を後方から見た図であるが、操縦部の主要部材である操縦ハンドル1は機体の主要部(原動機等の搭載された部分)から延出された右側把握部2と左側把握部3を有すると共に、これら把握部2、3を連結部材4で結合したものとなされている。
【0009】
そして右側把握部2にはアクセルレバー装置5が固定され、また左側把握部3にはクラッチレバー装置6が固定されている。
【0010】
前記アクセルレバー装置5は、原動機に供給する燃料の量を加減してその回転数を制御するものとした原動機回転数制御装置の操作部として機能すると同時に、原動機の燃料をカットする等してその駆動力を消失させるものとした原動機停止装置の一部をなすもので同停止装置の操作部としても機能するものとなされるのであり、その具体的構成は次のとおりである。
【0011】
即ち、図2及び図3はアクセルレバー装置5の縦断面図、そして図4は一部を断面で示した同装置5等の平面図であり、これらの図に於けるケース部材7の上面中央には縦向きの支持筒部8を形成し、これの外周面にはアクセルレバー11を一定高さ位置での回動自在に外嵌すると共に同レバー11に直接的に係着された図示しないスプリングにより図4に示す矢印方向f1へ付勢された状態となす。そしてアクセルレバー11の上面には原動機側の端部が原動機回転数制御装置及び原動機停止装置の入力部に連結された連係ワイヤー9を巻き取るための巻取りリール部材10を固定する。ここに、原動機回転数制御装置は原動機に供給される燃料の量を加減するポンプ機構とか、これにガバナーを関連させたもの等となし、また原動機停止装置は前記ポンプ機構の供給作用を停止させるものとか、点火プラグの電気系統を遮断するようにしたもの等となす。
【0012】
またアクセルレバー11の半径方向の途中には縦支軸12を固着し、この縦支軸12にはサブレバー13を支点部13aを介して同支軸12廻りの回動自在に嵌着すると共に図示しないスプリングにより図4に示す矢印方向f2へ付勢された状態となす。このサブレバー13は縦支軸12の外方側となる部位を操作部となし、また同支軸12の内方側先端を係合部13bとなす。そして係合部13bは図2等に示すようにその縦縁の高さ中央部に山形の凹み13cを形成したものとなす。
【0013】
一方、支持筒部8の内孔には段付の軸体14を挿通させると共に、この軸体14の上端にノブ15を、そして下端に欠円形のディスク16を固定させ、長さ途中には支持筒部8の内孔に案内される摺動筒17を嵌着させるほか、この軸体14を上方へ押圧するためのスプリング18を設ける。ディスク16は下面の中央部が上方へ凹んだ形状となし、且つ、図2に仮想線で示す通常位置aにあるときにその外端縁がサブレバー13の凹み13c内に存在するように関連させる。
【0014】
ケース部材7の底面上には突起軸部19を支持筒部8と同心に形成し、この軸部19に抵抗円盤体20を回動自在に嵌着すると共に、この円盤体20の上面に皿バネ21を配し、これをバネ押さえ22と固定ボルト23で下方へ押圧した状態となす。抵抗円盤体20は周縁の一定間隔位置にサブレバー13の係合部13bが密状に嵌合される係止溝20aを刻設したものとなす。そして、ケース部材7の高さ途中にはアーム24の固定された横軸25を回動自在に装着すると共に、この横軸25に固定ボルトを介してコ形の鋼線部材26を固定する。この鋼線部材26は両端をデイスク16の直径方向の各端部に形成された横長の凹み部16aに係合させる。
【0015】
またケース部材7の底面にはサブレバー13の係合部13bの下端を係止させ得るものとしたストッパー部27を設けるほか、スプリング18の周囲はカバー28で覆う。
【0016】
さらに図示は省略してあるが、軸体14にはスプリングで押圧されるボールとこれを案内する溝からなる弾性係止力付与機構を設け、デイスク16が通常位置aと、図2に実線で表示された位置と、図3に表示された位置の各個所に位置したとき、軸体14に適当大きさの係止力が作用するようになす。
【0017】
このように構成されたアクセルレバー装置5の使用例及びその作用を説明すると、作業状態では、ディスク16は通常位置aに存在した状態となされ、アクセルレバー11が任意位置に回動されても、サブレバー13と干渉することはない。従って、サブレバー13は図示しないスプリングの弾力により係合部13bの下部が抵抗円盤体20の係止溝20aに密状に入り込んだ状態で保持される。また抵抗円盤体20は皿バネ21の弾力によりケース部材7の底面に接触し、軸部19廻りの回動に対する適当大きさの抵抗を発生するものとなる。
【0018】
このため、アクセルレバー11を高速側の方向f3へ回動させる際は、同レバー11には抵抗円盤体20の発生する抵抗と、同レバー11の停止位置p1側の方向f1へ向けて作用する図示しないスプリングの付勢力とを加えた力よりも大きな操作力を付与することが必要となるのであり、この操作力を除去したときは抵抗円盤体20の抵抗が停止位置p1側の方向f1へ向けて作用する図示しないスプリングの付勢力を上回り、同レバー11は操作力の除去位置で停止した状態となる。また同レバー11を停止位置p1側へ回動させるさいは抵抗円盤体20の抵抗から矢印方向f1への図示しないスプリングの付勢力を差し引いた力よりも大きな操作力を付与することが必要となる。
【0019】
アクセルレバー11を停止位置p1へ向けて回動させると、同レバー11が最低速位置p2に達したとき、サブレバー13の係合部13bの下端がストッパー部27に係止され、同レバー11はそれ以上の回動を規制されるのであり、この規制作用が原動機を停止させるような不用意なレバー操作を回避させる。
【0020】
非緊急状態に於いて原動機を停止させる際はサブレバー13を矢印方向f4へ操作してその係合部13bがストッパー部27と干渉しない状態でアクセルレバー11を停止位置p1まで回動させるようにする。
【0021】
ノブ15等に外力が作用する等して軸体14が上方へ変位すると、ディスク16は図2に実線で表示したように高位置に存在した状態に保持され、逆に軸体14が下方へ変位すると、図3に示すように低位置に存在した状態に保持されるものとなる。そして、このようなデイスク16の変位は鋼線部材26や横軸25を介してアーム24を関連作動させる。
【0022】
また、前記クラッチレバー装置6は原動機から走行部や作業部へ至る動力系を切断するための主クラッチを断続させるものとなされるのであり、その具体的構成は、次のとおりである。
【0023】
即ち、図5及び図6はクラッチレバー装置6の縦断面図、そして図7は一部を断面で示した同装置6等の平面図であるが、操縦ハンドル1に固定された枠形フレーム28に横向きの支軸29を固定し、これにクラッチレバー30と同体の支持板31に固定された図7に示す筒部材32を一定角度範囲内の揺動自在に外嵌させると共に、支持板31の下部にC形リンク部材33の一端を軸着し、同部材33の他端には原動機側の端部が主クラッチの入力部と連結され且つ、主クラッチ側に設けた図示しないスプリングの引張弾力を付与される連係ワイヤー34をこれに固定された端部材を介して軸着する。また支軸29には支持板31に隣接してカム板35を回動自在に外嵌すると共にこのカム板35の上部35aを支持板31側へ屈曲して同板31と干渉するようになし、またカム板35の周縁を案内部35bとすると共にその特定個所に凹み部35cを形成するほか、これを操縦ハンドル1の後方f5へ付勢するためのスプリング36を装着する。そして、支軸29の後方側となる枠形フレーム28の外面には軸37を突設し、この軸37を介してアーム38を揺動自在に装着し、またこれの上縁近傍にカム板35の案内部35b上を転動するものとしたカムローラ39を設けると共に、カム板35を前方へ引張するためのスプリング40を設ける。この際、41は支持板31の横位置を規制するため支軸29に嵌着された筒部材、42は枠形フレーム28等の上方を覆うためのカバー部材である。
【0024】
このような構成としたクラッチレバー装置6の使用例及びその作用を説明すると、クラッチレバー30は切り位置p3に操作された後の自由状態ではカム板35を介して付与されるスプリング36の押圧弾力や連係ワイヤー34に作用する図示しないスプリングの引張弾力により切り位置p3に保持されるのであり、また同レバー30がスプリング36等の弾力に抗して前方の入り位置p4(図6参照)側へ操作されると、その操作量の増大により、ローラ39がカム板35の案内部35b上を移動して凹み部35cに達し、ここでスプリング40の引張弾力によりその凹み部35cに嵌まり込んで同レバー40の後方f5への回動を規制し、同レバー30は図6に示すように入り位置p4に安定的に保持される。なお、入り位置p4のクラッチレバー30は連係ワイヤー34の引張力に関連した弾性的な支点を僅かに越えた状態となっているため、同ワイヤー34の引張力による同レバー30の回動力は比較的小さいものとなる。
【0025】
この状態に於いて、アーム38に外力が作用して後方f5へ揺動すると、ローラ39が凹み部35cから脱出されるものとなり、これによりクラッチレバー30はスプリング36の弾力により後方へ揺動されるのである。この際、スプリング36の弾力の強さはクラッチレバー30が揺動して前記した弾性的な支点を越えるまで同レバー30を揺動させるに要するものよりも大きくする。
【0026】
しかして、操縦ハンドル1の左右把握部2、3の相互間に緊急停止用ワイヤー43を張設し、このワイヤー43をアクセルレバー装置5及びクラッチレバー装置6に連系させるようにするのであって、具体的には次のようにする。
【0027】
即ち、図2及び図3等に示すようにアクセルレバー装置5のケース部材7に固定した支持片を介して凡そ90度に屈曲されたワイヤー案内管44をネジ44a及びナット45を介して位置調整可能に固定し、この際、ワイヤー案内管44はケース部材7から先ず下方へ導き、続いて操縦ハンドル1の巾中央へ向けるようにする。
またクラッチレバー装置6の近傍にも図5及び図6等に示すように図示しない支持片を介してやはり凡そ90度に屈曲されたワイヤー案内管46を固定する。
【0028】
そして、これら二つのワイヤー案内管44、46に緊急停止用ワイヤー43を挿通させ、その一端に固定された端部材47をアクセルレバー装置5のアーム24に軸着し、他端に固定された端部材48をクラッチレバー装置6のアーム38に軸着すると共に、このように結合された後の同ワイヤ−43は適当に緊張させる。
【0029】
緊急停止用ワイヤー43は左右のワイヤ−案内管44、46の相互間部分が操作部となされるのであり、この操作部には弾性的に撓曲可能なものとした被覆管49を同ワイヤー43の摺動が可能なように装着するほか、被覆管49の両端部にはワイヤー案内管44、46との接触による損傷を防止するためリング状の端部材50、50を固定する。
【0030】
斯かる構成の歩行形トラクターを使用例を説明すると、作業者は操縦ハンドル1の左右把握部2、3を持って運転するのであり、この運転中に機体が不安定となる等して危険な状態となったときは緊急停止用ワイヤー43の操作部を左右何れかの手で成るべく操縦ハンドル1の前後方向に近い任意方向へ僅かに引張或いは押圧操作するのである。
【0031】
これにより、緊急停止用ワイヤー43の各端部はそれぞれに対応した各アーム24、38を所定の方向f6、f7へ引張し揺動させるのであり、一方のアーム24の矢印方向f6の揺動はデイスク16を上方へ変位させて、これの外周縁をサブレバー13の係合部13bの上方突部n1に係合させ、サブレバー13をその係合部13bが抵抗円盤体20の係止溝20aから抜け出るように揺動させるのであり、また他方のアーム38の矢印方向f7の揺動はローラ39を凹み部35cから脱出させるものとなる。
【0032】
このため、これまで抵抗円盤体20の抵抗及びサブレバー13の係止作用により運転状態位置に固定されていたアクセルレバー11は同円盤体20の抵抗による係止力を失った状態となってこの状態は停止位置まで継続されるため、同レバー11は図示しないスプリングの弾力により一挙に停止位置p1まで回動される。この一方ではクラッチレバー30がスプリング36等の弾力により入り位置p4から切り位置p3まで一挙に揺動される。また、これらの動作に関連して、原動機停止装置が停止作動して原動機の駆動力を直ちに消失させると共に主クラッチが直ちに断状態となって動力系を切断するものとなり、機体の走行は瞬時に停止され、安全が確保される。
【0033】
この緊急停止の後、再び使用する際はノブ15を押し下げてデイスク16を通常位置aに保持させると共に、アクセルレバー11を少し回してサブレバー13の係合部13bを抵抗円盤体20の任意の係止溝20aに嵌まり込んだ状態となし、この状態で同レバー11を適当位置に回動させて原動機を始動させるようになし、またクラッチレバー30は必要に応じ再び入り位置p4に揺動操作する。この際、カム板35は既に緊急停止用ワイヤー43の引張状態から解放されているため、クラッチレバー30は前述したようにローラ39で入り位置p4に保持されるものとなる。
【0034】
使用中に緊急停止用ワイヤー43が延びたときはナット45の位置調整によりワイヤー案内管44を適当長だけ下げるようにする。
【0035】
なお、本実施形態ではノブ15の直接的な操作により原動機を緊急停止させることもできるのであって、即ちノブ15を上方へ引き上げると、デイスク16が図2に実線で示す高位置に変位し、恰も緊急停止用ワイヤー43を操作した場合と同様に各部が作動し、上記と同様な緊急停止状態となる。
【0036】
一方、ノブ15を上方から叩き下げると、デイスク16が図3に示すような低位置に変位し、この位置に保持される。この状態ではデイスク16の外周縁がサブレバー13の係合部13bの下方突部n2に係合して、同レバー13をその係合部13bが抵抗円盤体20の係止溝20aから抜け出るように揺動させるのであり、これによりアクセルレバー11は緊急停止ワイヤー43を操作したと同様に停止位置p1に回動され、またアーム24がデイスク16の動作に関連して矢印方向f6の逆へ揺動して緊急停止用ワイヤー43を引張する。このためアーム38は緊急停止ワイヤー43を引き操作したと同様に矢印方向f7へ揺動され、クラッチレバー30は切り位置p3に回動されるものとなる。かくして、この場合も上記と同様な緊急停止状態となるのである。なお、この緊急停止の後に再びトラクタを使用状態とするにはノブ15を引き上げてデイスク16を通常位置aに保持させるのであり、これにより緊急停止ワイヤー43はアーム38の前方揺動に対する規制を解除し、またデイスク16はサブレバー13の矢印方向f2の揺動に対する規制を解除するものとなり、各部は再使用の可能な状態となる。
【0037】
なお、このようなノブ15の直接的な操作による緊急停止は本発明を実施する上では必ずしも必要ではなく、したがって、ノブ15はデイスク16を図2に実線で示す高位置から通常位置aに下げることを可能とするもので足りるのであって、この際、デイスク16は通常位置aよりも下方へ変位する必要はなく、またサブレバー13の係合部13bの下方突部n2も必要ない。
【0038】
【発明の効果】
上記した本発明によれば、緊急停止用ワイヤーの操作部を操縦者の手前に引張し又は前方へ押圧することにより、原動機の駆動力が消失されると共に主クラッチが切断されて機体の走行が瞬時に停止されるものとなり、作業者の安全を確実なものとなし得るのである。また、緊急停止用ワイヤーは操作部をレバーや押しボタン等に較べて長くでき、しかも操作方向に制約がない等のため、操作が容易となって安全の確保が一層確実となるのである。
【0039】
また請求項2に記載したものによれば、緊急停止用ワイヤーを左右把握部の相互間に設けたことから、操縦ハンドルの片側から操縦したり操縦ハンドルを持ち上げて回行するような場合でも、支障なく緊急停止させ得るのである。
【0040】
また請求項3に記載したものによれば、ディスクが緊急停止用ノブによる緊急停止と緊急停止用ワイヤーによる緊急停止との二つの場合に兼用されるものとなり、小スペース化及び低コスト化が可能になるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る走行作業機としての歩行形トラクタにおける操縦ハンドルの要部を後方から見た図である。
【図2】 本発明に係るアクセルレバー装置の一使用状態を示す縦断面図である。
【図3】 同アクセルレバー装置の他の使用状態を示す縦断面図である。
【図4】 同アクセルレバー装置等を示し、一部が断面となされた平面図である。
【図5】 本発明に係るクラッチレバー装置の一使用状態を示す縦断面図である。
【図6】 同クラッチレバー装置の他の使用状態を示す縦断面図である。
【図7】 同クラッチレバー装置等を示し、一部が断面となされた平面図である。
【符号の説明】
1 操縦ハンドル
2及び3 把握部
5 アルセルレバー装置
6 クラッチレバー装置
11 アクセルレバー
15 緊急停止用ノブ
16 ディスク
30 クラッチレバー
43 緊急停止用ワイヤー
Claims (1)
- 左右の操縦ハンドルに、原動機の回転数を制御するアクセルレバーを有するアクセルレバー装置と、原動機から走行部や作業部へ至る動力系を断続するクラッチレバーを有するクラッチレバー装置とを設ける一方、アクセルレバー装置とクラッチレバー装置との間に張設される緊急停止用ワイヤーと、アクセルレバー装置に付設される緊急停止用ノブとを有する緊急停止装置を設けた歩行形の走行作業機において、アクセルレバー装置が、アクセルレバーを最高速位置から最低速位置を経て停止位置に回動させることで原動機の回転数を最大から最小を経て零に制御するものであり、緊急停止装置が、緊急停止用ワイヤーの引張り又は押込みでアクセルレバーに作用するディスクを作動させてアクセルレバーを停止位置に一挙に回動させ、かつ、クラッチレバーを切断位置に移行させるものであるとともに、緊急停止用ノブの叩き操作によっても、ディスクを作動させて緊急停止用ワイヤを引っ張り又は押し込んでアクセルレバーを停止位置に一挙に回動させる他、クラッチレバーを切断位置に移行させるものであることを特徴とする走行作業機の緊急停止装置。
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