JP3798829B2 - 晶析装置及び晶析方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、結晶可能な成分を含有する液体原料から結晶可能な成分の結晶を析出させて高純度の結晶性物質を得るための晶析装置及び晶析方法に関し、特に大量処理に適した晶析装置及び晶析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば工業的に生産されるアクリル酸には、通常不純物として酢酸やプロピオン酸が含まれている。これらの不純物濃度は通常は合計0.1%程度であるが、近年の用途の拡大により例えば紙オムツ等に使用される場合は、不純物濃度がさらに数百から数十ppm程度の高純度のアクリル酸が必要とされるに至っている。
【0003】
結晶性物質中の不純物の除去方法としては蒸留法が一般的であるが、酢酸やプロピオン酸はアクリル酸と沸点が近接しているため蒸留法によってこれらの不純物を除去することはきわめて困難である。このような事情から従来においては晶析方法により不純物を除去することが検討されている。代表的な晶析方法には、結晶可能な成分を含有する液体原料に種結晶を入れ液体中に結晶を懸濁状態に成長させる方法と、冷却壁面等に結晶を析出しそれを成長させる方法とがある。
【0004】
前者の方法を実施する攪拌槽型晶析装置では、大量生産をする場合に伝熱面積が不足しやすく、またアクリル酸のように付着性の結晶の場合は、冷却面からの結晶のかきとりが必要であるため冷却コイルを設置することが不可能で、なおさら伝熱面積が不足する問題がある。また、固液分離が必要であり、多段の晶析の場合に、装置も操作も煩雑である。
【0005】
後者の方法を実施するものとして、特公昭53−41637号があり、管の内面に結晶を析出し成長させる多段式分別結晶技術が開示されている。しかしながら、管内面に結晶を形成する方法では、晶析の進行に伴って結晶の内径が小さくなっていくので結晶析出面積(伝熱面積)が減少する欠点を有する。さらに、発汗及び融解回収操作における結晶融解の際、管内面に付着していた結晶が管壁側から融解し、結晶の外径が小さくなって管内面から離れるため、融解の開始とともに結晶が脱落するという大きな欠点がある。
【0006】
そして管底部や金網やグリッド等の支えを設置することによって結晶の脱落を防いだとしても、結晶と管壁面との間に空隙が生じるため伝熱が大きく低下し、結晶の融解にきわめて長時間を要する。融解した液を加熱し循環供給しても、加熱液体は結晶と管壁との空隙を流れるため融解時間減少への効果は小さい。これらの欠点は、管外面に結晶層を形成させた場合でも同様である。また、管を利用する方法では、液体原料及び冷媒や熱媒を多数並設した各管へ均等に供給し、薄膜を形成させることが容易でない。多数の管を並設することはかなりのコスト高となるという問題もある。
【0007】
また、通常のプレート型熱交換器に類似した形態の晶析装置も知られてはいるが、この種の装置は、通流面が狭くて、凹凸をなしており、しかも流路が複雑である上、一部が下から上へ液を流す形態の装置であるため、液体原料と冷媒や熱媒を満液状態で流さなければならず、プレートに十分な強度が必要となり、構造が複雑となる。また、満液状態で流すので、結晶化の速度が小さくて大量処理が困難であり、不純物の除去能力も劣る。さらには簡単には大型化できない問題もある。
【0008】
そこで本発明者らは、プレート(板)に結晶を析出させた後に、これを融解して回収する晶析方法について検討している。この方法は特願平6−266362号に開示するものであり、例えば図14を用いて説明すると、板11は結晶付着用の基材であり、垂直に配置される。この板11の上方には、下部にスリット13を有する原料分散器12が設けられて、板11の一面側14にこの原料分散器12からスリット13を介して結晶可能な成分を含有する液体原料16が薄膜状に流下される。これと同時に当該板11の他面側15に液体原料の凝固点以下の温度の冷媒を薄膜状に流下させると、板11の一面側14には、結晶可能な成分の結晶が析出し、さらにこの処理を連続して行なうと、結晶の層が徐々に成長して、高純度に精製された結晶層が形成される。
【0009】
この結晶層の厚さが所定値に達した後、板11の他面側15に結晶層を構成する結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させると、当該結晶は徐々に融解し、板11の下方側へ流下する。そしてこの処理を連続して行なって流下した融液(結晶が融解した液)を回収すると、この融液は液体原料に比較して不純物濃度の低いものとなる。またこの方法においては、板11の一面側14に形成された結晶層を融解する際に、結晶の融解処理を迅速に行うために、結晶の融液を加熱して、これを板11の一面側14に流下させることも行なわれる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ここで結晶層を融解させるために、熱媒を板11の他面側15に流下させると、熱媒の熱は板11の他面側15から一面側11に伝熱し、このため結晶層は伝熱された部分即ち板11との接触面側から融解する。そして融解した融液は、板11の下方側へ流下し、この融液の表面張力により結晶層が板11表面に付着しつつ板11との接触面側から、更にはまた融液を加熱して板11の一面側14に流下させる場合には、接触面(内面)及び外面側の両側から融解される。
【0011】
しかしながら上述方法を実施する晶析装置の大型化に伴って、板11の面積が大きくなると、結晶の析出量が多くなって結晶層全体の重量も大きくなる。一方装置を構成するにあたり、板11の面積が大きくなると、板11の表面の平坦性を確保することが非常に難しくなってくる。このように板11の平坦性の確保が難しく、かつ結晶層全体の重量が大きくなると、場合によっては結晶層の一部が表面張力から解放されて板11の表面から剥れてしまうおそれが考えられる。仮に結晶層が伝熱面から離れてしまうと伝熱効率が悪化して、結晶の融解に長時間要することになり、また場合によっては下側の結晶層がこの離れた部分の結晶層の重量を支えきれずに、結晶層全体が下方側へずり落ちてしまったり、板11の反対側へ向って倒れてしまうといったことを引き起こす懸念もある。
【0012】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、結晶層の剥れを防止して、高純度の結晶性物質を大量生産できる晶析装置及び晶析方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、結晶可能な成分を含有する液体原料から結晶可能な成分の結晶を析出させる晶析装置において、垂直に配設された板と、この板の一面側に設けられ、結晶の脱落を防止するための複数の突状部と、前記板の一面側に液体原料を供給して薄膜状に流下させる原料供給手段と、前記板の他面側に液体原料の凝固点以下の温度の冷媒を薄膜状に流下させる冷媒供給手段と、前記板の他面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させる熱媒供給手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、結晶可能な成分を含有する液体原料から結晶可能な成分の結晶を析出させる晶析装置において、上端部を屈曲して傾斜面を形成した2枚の平板を互いの傾斜面部分が外側になりそれぞれ垂直かつ互いに平行に位置するように傾斜面端部を接合してなるユニットと、このユニットを形成する2枚の板の傾斜面の下端に連続する垂直な液体原料の供給面に設けられ、結晶の脱落を防止するための複数の突状部と、このユニットを形成する2枚の板のそれぞれの傾斜面上に直接液体原料を循環供給するか、または傾斜面の上端に連続する垂直面を介して当該傾斜面上に液体原料を循環供給して前記供給面に薄膜状に流下させる原料供給手段と、前記液体原料の供給面の反対側の面に液体原料の凝固点以下の温度の冷媒を薄膜状に流下させる冷媒供給手段と、前記冷媒供給面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させる熱媒供給手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2記載の発明において、枚の平板の間に、平板の平面度を確保するために、垂直に伸びるサポ−ト部材を介設することを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、請求項2のユニットの複数を間隔を有するように並設したブロックと、各ユニットの板の傾斜面側に液体原料を循環供給して薄膜状に流下させる原料供給手段と、各ユニットの原料供給面の反対側の面に液体原料の凝固点以下の温度の冷媒を薄膜状に流下させる冷媒供給手段と、前記冷媒流下面に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させる熱媒供給手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4のブロック化した晶析装置の複数を組み合わせて一体化することを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、請求項4又は5記載の発明において、ユニットを構成する2枚の平板の間、及び一のユニットの平板とこのユニットに隣接する他のユニットの平板との間のそれぞれに、平板の平面度を確保するために、垂直に伸びるサポ−ト部材を介設することを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5又は6載の発明において、突状部は、結晶を保持するための上向きの面を有することを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5又は6記載の発明において、突状部は、板の面と平行な切り口断面の輪隔が板と離れる方向にしたがって大きくなる円弧状に形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の発明において、突状部は、板の面と平行な切り口断面の少なくとも下流側の輪郭が下に向うほど狭まる形状に形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5又は6記載の発明において、突状部は、椀状体の底部を板に固定してなることを特徴とする。
【0023】
請求項11の発明は、請求項8又は10記載の発明において、装置突状部の下流側部分に切欠部を形成したことを特徴とする。
【0024】
請求項12の発明は、請求項10又は11記載の発明において、突状部は椀状体の底部を溶接して板に固定されたものであることを特徴とする。
【0025】
請求項13の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の発明において、突状部の高さは、板に析出する結晶の厚さよりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0026】
請求項14の発明は、結晶可能な成分を含有する液体原料から結晶可能な成分の結晶を析出させる晶析方法において、垂直に配設される板の一面側に多数の突状部を設け、この一面側に液体原料を供給して薄膜状に流下させるとともに、当該板の他面側に液体原料の凝固点以下の温度の冷媒を薄膜状に流下させて、当該板の一面側に前記突状部により結晶の脱落を防止しながら結晶可能な成分の結晶の所定量を析出させ、次いで、前記板の他面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させて一面側に析出した結晶を融解して回収することを特徴とする。
【0027】
請求項15の発明は、請求項14記載の発明において、板の他面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させ一面側の結晶を完全に融解して回収する前に、目的とする結晶可能な成分の、純物質としての融点の±5℃以内の温度の熱媒を板の他面側に薄膜状に流下させて結晶を部分融解して除去した後、結晶全体を回収することを特徴とする。
【0028】
請求項16の発明は、請求項14又は15記載の発明において、板の他面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させて結晶を融解するとともに、一面側にその融液を加熱して循環供給し結晶を融解することを特徴とする。
【0029】
請求項17の発明は、結晶可能な成分を含有する液体原料から結晶可能な成分の結晶を析出させる晶析操作を多段にわたり繰返して行う晶析方法において、垂直に配設される板の一面側に複数の突状部を設け、この板の上端部に傾斜面を形成し前記一面側の傾斜面上に、または傾斜面の上端に連続する垂直面を介して前記傾斜面に液体原料を循環供給して薄膜状に流下させるとともに、当該板の他面側に液体原料の凝固点以下の温度の冷媒を薄膜状に流下させ、当該板の一面側に結晶可能な成分の結晶の所定量を析出させるN段の晶析過程で発生する未結晶残留液体(母液)を、前段(N−1段)の液体原料に添加して使用し、N段の晶析過程で板の他面側に熱媒を流下させるとともに後段(N+1段)の液体原料を加熱して一面側に流下させることにより結晶を融解して回収し、回収した液体を後段(N+1段)の液体原料として使用することを特徴とする。
【0030】
【作用】
請求項1および14では、垂直に配設される板の一面側に液体原料を供給し薄膜状に流下させると共に、板の他面側に液体原料の凝固点以下の温度の冷媒を薄膜状に流下させるので、一面側の薄膜状の液体原料から徐々に結晶可能な成分の結晶が析出して板の表面に付着していき、一定時間が経過すると高純度に精製された結晶層が形成される。次いで板の他面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させると、付着していた結晶が融解して融液となるので、この融液を回収して高純度の結晶性物質を得るが、このとき板の表面に沿って液体原料が薄膜状に流下しながら冷却され、また加熱されるため晶析速度が大きく、融解速度も大きい。また突状部を設けているため、結晶層の支持力の一部がこの突状部に負担され、板からの結晶層の剥れを有効に防止することができる。
【0031】
請求項2、3、4、5、6では、上端部に傾斜面を形成した2枚の板を傾斜面が外側になるように接合してユニットを構成するので、晶析面積が大きくなり、簡単な構造で、晶析処理量を増加できる。特に請求項3では、サポ−ト部材を介設するので、装置を大型化した場合においても各板の平面度が確保され、装置の強度を増加でき、請求項4では、ブロックを構成するので晶析処理量をさらに増加でき、請求項5では、ブロックの複数を組み合わせて一体化するので大量生産に適した大型の晶析装置が得られ、請求項6では、各板の平面度と全体装置の強度が確保できる。
【0032】
請求項7では、突状部に形成された上向きの面により、結晶層の滑り落ちようとする下向きの力と剥れようとする横向きの力を合成してなる結晶層の斜め下方の力を止めることができ、板からの結晶層の剥れ防止に有効に機能することができる。
【0033】
請求項8、10、11では、突状部上部は上向きの面を有するため、板からの結晶層の剥れを防止できると共に、液体原料は突状部の曲面に沿って下流側へ流れるため、突状部の下流側近傍の領域においても結晶層の厚さが極端に薄くなることを防止できる。さらに請求項10では、板と突状部との接触面積が小さいため、晶析面積を大きくすることができると共に、液体原料の均一な流れを得ることができる。さらにまた請求項11では、切欠部により開口面側での液垂れが防止されるので液流れの乱れを抑えられ、これにより結晶層の厚さを均一にすることができる。
【0034】
請求項9では、液体原料は突状部の輪隔に沿って下流側に流れていくので、突状部の下流側近傍の領域においても結晶層の厚さが極端に薄くなることを防止できる。また請求項12では、突状部の板への溶接時の熱により板面の平坦性が損なわれることを抑えることができる。さらに請求項13では、結晶層を確実に保持すると共に、結晶層の突状部の周囲部分の空洞形成を防ぐことができる。
【0035】
請求項15では、いわゆる発汗操作を行うので、結晶間に取り込まれた液体や結晶表面に付着した不純物濃度の高い液体が融解除去されるので、不純物の除去効率が高くなる。また請求項16では、結晶を融解して得られる融液を加熱して循環して結晶を融解しているので、結晶の融解処理を迅速に行うことができる。さらに請求項17では、得られた融液を液体原料として晶析操作を多段にわたって繰り返して行うのでさらに高純度の結晶性物質が得られる。またこの場合、未結晶残留液体(母液)を前段の液体原料に添加して再使用し、純度の高い次段の液体原料を加熱して板の一面側に流下させることにより結晶を融解させ、得られた融液を冷却して新しい結晶層と母液とを形成し、この母液を前段の液体原料に添加して使用するプロセスを追加すると、設備費の上昇を招かずに高純度の結晶性物質が効率的に得られる。
【0036】
【実施例】
以下本発明について、図を用いて説明する。図1は本発明の実施例に係る晶析装置である。図中2は、例えばステンレス製の縦3m×横100cm×厚さ1mの大きさを有する平板からなる結晶付着用の板であり、この板2は垂直に配置されると共に、上端部は屈曲されて傾斜面20が形成されている。また板2は仕切り板2a,2b,2c,2dにより結晶付着領域が横に例えば5分割されており、以下の説明では分割された領域の部分をも板21と呼ぶことにする。この板21の例えば上方側には、上記傾斜面20上に、または傾斜面20の上端に連続する垂直面を介して、板21の一面側22に液体原料Lを薄膜状に流下させる原料供給手段をなす原料供給器24が設けられており、この原料供給器24にはその長さ方向に沿って穴が配設されていて、板21の幅方向に均一に液体原料Lが供給されるように構成されている。
【0037】
また板21の他面側23に液体原料Lの凝固点以下の温度の冷媒Cを薄膜状に流下させる冷媒供給手段をなす冷媒供給管25が設けられており、この冷媒供給管25は板21の他面側23に液体原料Lの凝固点以上の温度の熱媒を供給する熱媒供給手段をなす熱媒供給管を兼用している。図中P1,P2はポンプであり、このポンプP1により、板21の一面側22を流下した液体原料Lは原料供給器24に循環して供給され、一方板21の他面側23を流下した冷媒Cは、ポンプP2及び冷却器26を介して冷媒供給管25に循環供給される。但し熱媒Hの供給時には、加熱器27を介して所定の温度に加熱されて供給される。
【0038】
また板21の一面側22には、結晶を保持するための複数の突状部3が、例えば縦一列に間隔をおいて設けられている。この突状部3は、例えば図2に示すように、ほぼ球を2分割した曲面から構成される椀状体をなしており、その底部を椀状体の内面側からスポット溶接することにより、板21の表面に固定されていると共に、椀状体の下面側つまり液体原料Lの流れにおける下流側の部分に開口周縁側から底部に向って切欠された切欠部3aが形成されている。この椀状体(突状部)3は例えばステンレスの材質から構成され、椀状体の上面開口面3bの内径は25mm、高さ(椀状体の底部と上面部との間の距離)は、例えば13mmであって、後述するように板21の一面側22に形成される結晶層の厚さより大きく設定されている。
【0039】
このような晶析装置では、原料供給器24から液体原料を、板21の傾斜面20上に、または傾斜面20の上端に連続する垂直面を介して、板21の一面側22に、供給すると、液体原料は板21の一面側を薄膜状に流下する。ここで突状部3は、椀状体であり、板21の面に沿った切り口の輪郭が円形状であるため、液体原料が突状部3の周辺を流下する際には、液体原料は椀状体の曲面に沿って上流側から下流側(上から下へ)へ向って流れる。また板21の下方側へ流下した液体原料は回収され、ポンプP1により再び板21の一面側22へ循環して供給される。
【0040】
一方板21の他面側23に、一面側22に供給される液体原料と同様に、冷媒供給管25により循環して供給しながら冷媒を薄膜状に流下させると、板21の一面側22を流下する液体原料は、冷媒により板21を介して冷却され、これにより液体原料中の結晶可能な成分が結晶化し、板21の一面側に析出する。従ってこのような処理を連続して行うと、板21に析出した結晶から構成される結晶層が成長しその厚さが徐々に厚くなっていくが、この際突状部3の周辺では、液体原料は突状部の曲面に沿って、突状部の周囲を周り込みながら流下するので、液体原料の流れに沿って突状部を囲むように結晶層が成長していく。
【0041】
このように突状部3として椀状体を用いると、椀状体に流れ落ちてきた液体原料は、その周囲を周り込んで下流側に流れるので、椀状体の下面側(下流側)近傍の領域は、突状部のいわば陰にならずに、他の領域とさほど変わらない流れとなるため、つまり椀状体の周囲の流れの乱れの程度が小さく整流状態であるため、結晶層の厚さがこの領域で極端に薄くなるということを回避できる。更にこの例の椀状体は下流側が切欠されているので次のような利点もある。即ち椀状体が切欠されていない場合には、その曲面に沿って流れ落ちてきた液体原料は、椀状体の下面側に回り込むときにそのまま下方に流れ落ちずに曲面に沿って手前側(椀状体の開口面側)に垂れ落ち、液流れが乱れるおそれもあるが、切欠部3aが形成されていると、この液垂れを防止できるので、液流れの乱れが抑えられ、結晶層の厚さの均一性が阻害されない。
【0042】
ここで板2の面積が大きいと結晶層の成長に伴い、結晶層全体の重量が大きくなってくるが、結晶層は上述のように突状部3を囲むように成長していくので、突状部3の上向きの面によりその重量が支えられる。即ち突状部3がない場合には、結晶層は、板面との間の表面張力の支持に頼っていたが、突状部3を設けたことにより、結晶層の支持力の一部が突状部3に負担されることになる。そして詳しくいえば結晶層には滑り落ちようとする下向きの力と剥れようとする横向きの力とが加わるので、結果として斜め下方に力が作用するが、椀状体(突状部)3の上流側の部分は斜め上方に向いた面として構成されているので、結晶層の斜め下方の力を止める役割を果たし、板からの結晶層の剥れ防止に有効に機能することになる。従って結晶層を多数の突状部3により保持することにより、結晶層は多数の突状部3に分散して支えられる。
【0043】
このようにして結晶層の厚さが所定値に達するまで結晶析出処理が続けられるが、上述のように突状部3の高さは結晶層の厚さより大きく設定されることが好ましい。その理由は、結晶層が突状部3を越えて成長すると、突状部3が結晶層の中に埋もれてしまい、結晶層のうち、突状部3の高さを越えた部分については、突状部3により保持できなくなると共に、突状部3の上流側の面に載っている結晶が、板21側へ寄れなくなり、突状部3の周囲に空洞ができるおそれがあるからである。ただし結晶層が薄いと不純物が取り込まれやすく、精製度が低くなり、逆に厚くなりすぎると熱伝導が悪くなり、晶析に要する時間が長くなって効率的でない。従って結晶層の厚さは5〜20mmが好ましく、より好ましくは7〜15mmである。
【0044】
次いで結晶化されなかった成分を含む液体原料(母液)を回収した後、板21の他面側23に熱媒を薄膜状に流下させると、結晶層のうち、板21を介して熱媒により加熱された部分は融解し、板21の下方側へ流下していく。このとき上述のように、結晶層は板21との間の表面張力に加えて多数の突状部3により保持されており、結晶層全体は板21側に確実に支えられているので、結晶層のうち融解した部分において、板21と結晶との付着力が結晶層の重力を支えきれずに、この部分の結晶層が板21から剥れてしまうおそれはなくなる。
【0045】
このため結晶層全体がずり落ちたり倒れたりするといった不具合がないことは勿論、板21を介した熱媒Hからの熱伝導が阻害されることもない。そして板21の下方に流下した熱媒を循環させることにより繰り返して板21の他面側23に供給し、このような処理を連続して行うと、板21の一面側22に付着していた結晶層が全て融解し、回収された融液(結晶を融解して得られた液)は液体原料に比較して不純物濃度の低いものとなる。
【0046】
上述の実施例によれば、平板の表面に沿って液体原料を薄膜上に流下させ、当該表面に結晶を形成しているため、構造が簡単で容易に大型化でき、また結晶の融解も短時間で行うことができる。そして突状部を設けているため、既述したように板面からの結晶の剥れ、脱落のおそれもない。また突状部として椀状体を用いると既述のような利点に加えて板面の平坦性の確保が容易であるという効果もある。即ち平板を用いる手法は板面について高い平坦性が要求されるが、突状部と板とを溶接する時の熱により平坦性が損なわれるおそれがあり、仮に大きく平坦性が損なわれるとその後加工処理を施して使用するか、あるいは廃棄しなければならない。ここで椀状体を用いれば、椀状体の内側からスポット溶接により板を固定できるので、溶接時の熱による板面の平坦性の影響は少なく、製作上非常に有利である。
【0047】
次に突状部3の他の例について説明する。突状部3の形状は、結晶層を保持するために、結晶層の重力と剥れ方向の力とに対抗するものであることが有効であり、このため突状部3の一部に液体原料の流れに対して上向きの面を有することが好ましい。また結晶の成長を妨げないこと即ち液体原料の整流を妨げないものであることが好ましく、このためには板21の面に沿った切り口の輪郭が外に膨らむ円弧状に形成されていたり、切り口の下流側の輪郭が下に向う程窄む形状に形成されていることが好ましい。さらに結晶の析出面積を大きくすると共に、液体原料の均一な流れを得るためには突状部と板との接触面積が小さいことが好ましい。
【0048】
このような突状部3の形状の例としては、例えば図3に示すものが挙げられる。例えば図3(a)に示す突状部31は図2に示す椀状体において下流側の面に切欠部を形成しない形状のものであり、また図3(b)の突状部32は円錐形状からなる椀状体である。図3(c)の突状部33は菱形の角柱体、図3(d)の突状部34は菱形の角錐体、図3(e)の突状部35は円柱体からそれぞれなり、これらは筒状体であってもロッド体であってもよい。
【0049】
また図3(f)〜(i)の突状部36〜39は、板状体の一端側を屈曲して板21に接合すると共に他端側を屈曲したり湾曲させて上向きの面を形成してなるものである。突状部36は板状体の他端側を斜め上方に延伸させて形成され、突状部37は、他端部をV字状に形成して斜め上方に延伸させたものである。また突状部38、39は他端部を斜め上方に延伸させ先端を上向きにL字状に屈曲あるいは湾曲させたものである。なおこれらの突状部は、例えばメッシュ体により形成してもよい。この場合にはメッシュを介して液体原料は流れるが、結晶はメッシュを通過できないため、これにより保持されることになる。
【0050】
以上において、板2の厚さや形状は、付着した結晶と流下する薄膜の荷重を支えることができる限り、特に限定されない。板厚は熱伝導の点では薄いほうが良いが、入手容易性等から0.5〜2.0mmが好ましく、0.6〜1.2mmがより好ましい。また板2の材料も特に限定されないが、価格が安い点から金属板が好ましく、特に鉄板あるいはステンレス板が好ましい。さらに板2の寸法も特に限定されず、加工性や生産規模を考慮して適宜設定すればよい。
【0051】
また傾斜面20の水平面に対する角度θは、20度〜80度が好ましく、30度〜60度であればより好ましい。角度θが小さ過ぎると、板が左右どちらかに傾くと傾いた側の液の膜厚が大きくなるので、幅方向に偏流が生じやすくなり、逆に角度が大き過ぎると、整流効果、即ち液の流れを横に分散させて幅方向の膜厚を均一化する効果が小さくなってしまう。なお角度θが20度より小さいかあるいは80度よりも大きい場合には、結晶の厚さの不均一性が顕著であった。さらに板2への液体原料の供給は液体原料が板2の一面側を薄膜状に流下するものであれば、いずれの方法でもよいが、板2の横幅全面にわたりほぼ均一な量で供給されることが好ましい。
【0052】
そして液体原料の供給流量については、物性特に表面張力に関係するが、膜厚が安定した薄膜流を得るためには、好ましくは幅1m当り0.1トン/hr以上であり、更に好ましくは0.25トン/hr以上である。なお前記供給流量の上限は、薄膜流が得られる範囲であれば制限されず、流量が多いほど伝熱係数が向上して処理速度が上がるため、流量は可能な限り多いほうが望ましい。液体原料の供給温度については、好ましくは凝固点から+5℃以内、更に好ましくは+1℃以内である。更にまた冷媒の温度については、液体の凝固点以下であれば制限はないが、結晶が析出し始めた初期時には、急激に晶析すると結晶の純度が低くなるので凝固点マイナス20度よりも高い温度であることが好ましい。
【0053】
次に本発明を実施する処理装置の他の例について説明する。図4の晶析装置では、液体原料供給手段は、ポンプ44と、原料タンク46と図示しない原料分散器とからなる。冷媒供給手段は冷媒タンク41と冷却器42とポンプ45からなり、熱媒供給手段が冷媒タンク41と兼用する熱媒タンクと加熱器43とポンプ45からなり、冷媒と熱媒が同一媒体であって冷媒と熱媒を兼用している。板2の一面側22に結晶を析出させる際には、冷媒タンク41の冷媒を冷却器42により液体原料の凝固点以下の温度に冷却した状態で板21の他面側23に供給し、結晶を融解させる際には、冷媒タンク41の冷媒を加熱器43により結晶の凝固点以上の温度に加熱した状態で熱媒として板21の他面側23に供給する。5は板21が収納された晶析装置本体である。この装置によれば、熱媒タンクを別個に設けることが不要となるため装置を簡素化できる。
【0054】
またこの装置において、加熱器43として温度制御機能を有するものを用い、この加熱器43により熱媒の温度を制御するようにして、発汗操作を行うようにしてもよい。発汗操作とは、析出した結晶間に取り込まれた又は結晶表面中に付着している不純物濃度が高い液体を融解除去するものであって、結晶中の不純物濃度をさらに低くするために行われるものである。具体的には、板21の他面側23に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を流下させる前に、目的とする純物質の融点の例えば±5℃以内の温度の熱媒を板21の他面側23に薄膜状に流下させて結晶を部分融解させることにより行なわれる。従ってこの加熱器43により、結晶を部分融解させる際には熱媒を若干低い温度に加熱し、結晶を完全に融解させる際には熱媒を結晶の凝固点以上の温度に加熱するようにすれば発汗操作を行うことができるので、融液中の不純物濃度をさらに低くすることができる。
【0055】
さらにこの装置において、熱媒により融解した結晶の融液を板21の一面側22に循環させて流下させる融液循環器を設けてもよい。この場合は、結晶の融解操作において、結晶が熱媒により融解されるとともに融液循環器により循環された融液によっても融解が促進されるので、結晶の融解操作を短時間で行うことができる。尚、この手法を実施するためには、原料タンク46とポンプ44を融液循環器に兼用してもよく、融液を加熱するためには、原料タンク46に加熱手段を設けてもよいし、或いは図4に示すように循環路に加熱器44aを設けてもよい。
【0056】
次に、大量処理に適した本発明に係る晶析装置について説明する。図5は、図1(a)及び(b)に示した2枚の板を用いてユニット化した晶析装置を示し、図6に分解して示す一方の板61と他方の板62とを傾斜面が外側になるよう垂直に配設し、傾斜面端面を接合してユニットAを形成する。これらの板61、62の外側の面には突状部3が多数配設されている。図7にも示すように、このユニットAを形成する2枚の板61と62が対向する内面側の上部に冷媒供給管63を配置し、反対の外面側の上部に原料分散器64を配置する。この原料分散器64からユニットAの下方に流下した母液は一般に図示しない循環手段により原料分散器64に循環して液体原料として繰り返して使用する。
【0057】
冷媒供給管63は図示しない冷媒供給手段本体に接続されこれより冷媒が供給される。ここで、原料分散器64の位置が冷媒供給管63よりも低いと、原料分散器64の供給口65から供給される液体原料が直ちに冷媒により冷却されるため、供給口65に近い位置から結晶化が進み、供給口65の閉塞を招きやすい。従って、このような閉塞を有効に防止するため、原料分散器64は冷媒供給管63よりも高い位置に配置する必要がある。
【0058】
一方、冷媒供給管63は、熱媒供給管を兼用しており、図示しない熱媒供給手段本体に接続され、結晶の融解時にはこれより熱媒が供給され、ユニットAの外面に付着した結晶を溶解させてその融液を回収する。この場合、冷媒供給手段と別個に熱媒供給手段を設けてもよいが、冷媒供給手段を熱媒供給手段として兼用することが好ましい。即ち、熱媒により結晶を融解させる際には、冷媒を加熱器により加熱して熱媒とし、この熱媒を冷媒供給管63を利用してユニットAの内面側に薄膜状に流下させてユニットAの外面に付着している結晶を融解させてもよい。
【0059】
各板61、62は、平板の形態であって、寸法の一例を示すと、縦が約3m、横は約1.5mである。また、板の材質としては、伝熱効率が高く、加工が容易である等の点で鉄あるいはステンレス等の金属が好ましい。また、鉄あるいはステンレス板は規格化されたものをそのまま用いることもでき入手も容易である。また、平板であれば特に複雑な加工をする必要がないのでその点でも有利である。ただし平板における液の流下方向の平面性が低いと、つまり流下方向に大きな凹凸があると結晶の融解時に剥れて落下してしまうおそれがあるので、流下方向における高い平面性を確保するために、図6に示したように、板61、62のそれぞれに縦方向に伸びる複数のサポート61A、62Aを適宜の間隔で設けることが好ましい。特に大型の平板の場合は強度が若干不足することも考えられるので、サポートを設ける構造は有効である。
【0060】
この場合、サポートの形状は、薄膜状の流体が大きく乱されないようなものにすることが好ましい。また、サポートは板に付属している必要はなく別個に支持するようにしてもよい。このように板61、62の外面側にサポ−ト61Aを設けた場合には、突状部3は板61、62の外面側のサポ−トで仕切られた各区画内に配置されるが、このとき各区画の大きさに応じて、板61、62の長辺方向に1列配列しても、複数列配列してもよく、ジグザグに配列してもよい。
【0061】
なお液の流下方向の平面性とは、平面上の流下方向の2点間を結ぶ直線に、その2点間の板面が接近している度合いであり、本発明では、流下方向に1m離れた2点をとったとき、2点間の直線と板面との最大離間距離が好ましくは10mm以内、より好ましくは5mm以内である。また平板の場合には、幅方向の平面性についても、幅方向の2点間の直線に対して板面の最大距離が同様の範囲内であることが好ましい。
【0062】
板61と62との間隙は、小型化するためにはできるだけ狭い方が好ましく、対向するそれぞれの内面に冷媒が薄膜状に流下できる程度であれば足り、一例においては10mmである。また、この間隙は、他方の板62の内面に設けたサポート62Aをいわばスペーサとして利用することにより均一に設定することもできる。即ち、各サポート62Aの突出高さを間隙として必要な一定値に設定し、このサポート62Aが板61の内面に密着するように2枚の板61と62を並設すれば、間隙を一様なものとすることができる。
【0063】
各板61、62の下端は、それぞれ内方側に屈曲されていて、これらの屈曲部分が接合されて一体化されている。また、各板61、62の側部はそれぞれ外方側に屈曲されていて、冷媒供給管63が挿入できるようになっている。冷媒供給管63は、冷媒供給手段本体に連結される連結管63Aと、この連結管63Aから分岐した3本の分岐管63Bとから構成され、3本の分岐管63Bが板61、62の間隙内に挿入されている。
【0064】
図8に示すように、サポート62Aは、この分岐管63Bを支持する機能をも兼ねている。分岐管63Bには、板61、62の内面に対向するよう小さな穴からなる噴出口63Cが各領域に対応する位置に多数設けられており、これより冷媒を噴出させて当該内面を薄膜状に流下させるようにしている。このように3本の分岐管63Bにより3つの各領域ごとに分担して冷媒を均一に供給するようにすれば、各領域に均等な成長速度で結晶を形成することができるので処理効率の低下を招くことがない。但し、ここで冷媒供給用の分岐管63Bの本数は3本に限定されるものではなく、分岐管63Bの太さ、即ち、板61と62との間隔、及び冷媒供給量、並びに板61と62との幅から決めるべきものであり、板61と62の横幅方向に冷媒を均等に供給できる本数を選択すればよい。
【0065】
原料分散器64の供給口65は、原料分散器64の下部であって板61、62の外面に対向する位置に当該板の幅方向に沿って多数設けられており、供給口65から板61、62の外面に均等に液体原料を薄膜状に流下させるようにしている。図8に示すように、原料分散器64の上方には連続的に液体原料を供給するための供給スプレー66が設けられている。但し、液体原料の供給はスプレーに限定されるものではなく、他の分散器を使用してもよい。
【0066】
以上の晶析装置によれば、原料分散器64からユニットAの外面側に液体原料を循環供給して薄膜状に流下させながら、冷媒供給管63からユニットAの内面側に冷媒を薄膜状に流下させることにより、ユニットAの外面側に結晶の所定量を析出させ、次いで、冷媒供給管63からユニットAの内面側に熱媒を薄膜状に流下させることにより、結晶を融解して回収することができる。従って、簡単な構造により、1枚の板を用いる場合に比して単位時間当たりの結晶析出量を2倍とすることができる。また装置の大型化に伴って、板61、62の面積が大きくなっても、板61、62の外面側には突状部3が設けられているため、結晶を成長させた後、例えば結晶融解時における結晶の脱落を防止できて、結晶の融解処理を迅速に行うことができる。
【0067】
以上の晶析装置において、ユニットAの下方に流下した冷媒や熱媒は循環させることにより繰り返して使用することが好ましい。また、不純物濃度をさらに低くする必要がある場合には、以上の1段の処理で得られた融液を再度液体原料として用いて上記と同様の処理を行う。このような処理を多段にわたって行うことにより、最終的には不純物濃度が数十ppm以下の高純度の融液が得られる。このとき、母液を前段の晶析処理の液体原料に添加して使用することが好ましく、更にユニットAの内面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させるとともに純度の高い次段の晶析処理の液体原料を加熱してユニットAの外面側に流下させることにより結晶を融解させ、得られた融液を次段の晶析処理の液体原料として使用することが好ましい。このように母液を前段の晶析処理の液体原料に添加するのは、ある段において液体原料から結晶を析出させると、その母液中には不純物が当該液体原料よりも高い濃度で残留することとなるため、これを同一の段で液体原料として繰り返して使用すると、液体原料の不純物濃度が次第に高くなって析出する結晶中の不純物濃度も高くなってしまうからである。
【0068】
また、以上の晶析装置において、温度制御機能を有する加熱器を備えた熱媒供給器を付加することにより、必要に応じて発汗操作を行うことが好ましい。即ち、ユニットAの内面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させる前に、これより若干低い温度の熱媒をユニットAの内面側に薄膜状に流下させ、これにより結晶を部分融解させて発汗操作を行う。
【0069】
また、以上の晶析装置において、融液循環器を付加することにより結晶の融解を迅速に行うことが好ましい。即ち、ユニットの内面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させて結晶を融解させる際に、融液循環器により結晶の融液を加熱してこれを原料分散器64に循環させてユニットの外面側に薄膜状に流下させるようにしてもよい。
【0070】
次に、さらに大量処理に適した本発明に係る晶析装置について説明する。図9は、上記ユニットAの複数を用いてブロック化した晶析装置を示す。即ち、上記ユニットAの複数を間隙を介して並設してブロックBを形成し、ユニットAと隣接するユニットAとの間の間隙に位置する板の表面に原料分散器から液体原料を薄膜状に流下させるようにし、各ユニットAの内部の間隙に位置する板の表面に冷媒供給器から冷媒を薄膜状に流下させるようにしたものである。
【0071】
ユニットAと隣接するユニットAとは、図10にも示すように、ユニットAを構成する板61、62の側部に設けられた外方側に屈曲する部分68同士が接合されて一体化されている。ユニットAと隣接するユニットAとの間隔は、各ユニットの外面に液体原料が薄膜状に流下できる程度であれば足りるが、結晶層の最大の厚みを例えば10mmとすればクリアランスを考慮して30mmもあれば十分である。また、この間隔は、板61に設けたサポート61Aをいわばスペーサとして利用することにより均一に設定することができる。即ち、各サポート61Aの突出高さを間隔として必要な一定値に設定し、このサポート61Aが板62の外面に密着するように各ユニットAを並設すれば、間隔を一様なものとすることができる。冷媒供給器に連結される連結管63Aは、各ユニットAに共通に利用できるよう実質的には1本の管からなり、この連結管63Aから各ユニットAの間隙にはそれぞれ3本の分岐管63Bが挿入配置されている。
【0072】
このような晶析装置によれば、ユニットAの複数を並設してブロックBを構成しているので、大型の晶析装置を容易に構成することができ、しかも各ユニットAは全く同じものを用いて相互に連結しているので、ユニットAを構成する規格化された2枚の板を大量生産することができ、装置の製造コストも低く抑えることができる。
【0073】
図11及び図12は、さらに上記ブロックBの複数を並設して構成した大型の晶析装置を示し、各ブロックBは、10個のユニットAが並設されて構成され、そして例えば7つのブロックBによって大型の晶析装置が構成されている。各ブロックBにおける各ユニットAの上部には液体原料を連続的に循環供給するための供給スプレー66が板の幅方向に沿って例えば3個設けられている。この供給スプレー66から原料分散器64を介して各ユニットAの外面側に液体原料が供給される。この液体原料は各ユニットAの外面側を薄膜状に流下しながら裏面側の冷媒により冷却されて結晶が析出するとともに、未結晶残留液体が各ブロックBの下部に設けた原料排出口73から排出される。排出された未結晶残留液体は循環されて供給スプレー66から再び供給されて結晶の析出に供される。液体原料の固化による閉塞を防止するために、原料排出口73の位置は冷媒の排出口72よりも下側にする必要がある。
【0074】
結晶を析出させる過程において、結晶核の生成時に微小結晶が落下することも考えられるので、原料排出口73の閉塞を防止するため原料排出口73を大きくするか、あるいは別のバイパスラインを設けることが好ましい。また、結晶の部分融解時又は完全融解時において結晶がすべり落ちた場合にこれを結晶の融液と分離するためのグリッド又は金網等からなる分離部材を原料排出口73の直上に設けることが好ましい。このような分離部材によれば原料排出口73の目詰まりを有効に防止することができる。
【0075】
各ブロックBにおける各ユニットAの上部の間隙内には分岐管63Bが挿入配置され、これらの分岐管63Bは連結管63Aに連結されている。各ブロックBの連結管63Aは相互に連結されて一体化され、冷媒又は熱媒は共通の連結管63Aにより各ブロックBに供給され、分岐管63Bの噴出口から各ユニットAの内面側を薄膜状に流下していく。各ブロックBの下部側部には冷媒又は熱媒の排出口72が設けられ、この排出口72から排出された冷媒又は熱媒は循環されて繰り返して使用される。
【0076】
このような晶析装置によれば、ブロックBの複数を並設しているので、さらに大型の晶析装置を容易に構成することができ、大型プラントの設計に好適である。また、ユニットAに破損が生じた場合は、ブロックBの単位で交換することができるので、メンテナンスの点でも便利である。尚、この晶析装置では、大量処理する場合は各ブロックBのすべてにおいて同一の処理を1回で行ってもよいし、また、各ブロックBごとに異なる段の処理を行ってもよい。
【0077】
図13は、1つの晶析装置を用いて多段階の晶析を行う多段階晶析装置の概略図であり、母液貯槽V−0と、第1段の貯槽V−1と、第2段の貯槽V−2と、第3段の貯槽V−3と、製品貯槽V−4とが設けられ、これらの貯槽から循環槽V−5を介して晶析装置80に各液体が供給されるようになっている。また、晶析装置80からの母液、発汗液、結晶融液も循環槽V−5に供給され、これより各貯槽及び晶析装置80に循環されるようになっている。
【0078】
例えば、第1段の晶析を1回、第2段の晶析を2回、第3段の晶析を1回行うことにより一つの晶析サイクルが完了する場合について説明すると、まず、液体原料は、第2段の貯槽V−2に供給される。この第2段の晶析では、第3段の晶析で得られた母液と、第1段の晶析で得られた結晶融液と、第2段の発汗液と、液体原料とを混合したものを循環槽V−5を介して晶析装置80に原料として供給して晶析を2回に分けて行う。この第2段の晶析で得られた母液を第1段の貯槽V−1に送り、発汗液を第2段の貯槽V−2に送り、結晶融液を第3段の貯槽V−3に送る。
【0079】
第3段の晶析では、第2段の晶析から送られてきた結晶融液に第3段の発汗液を混合したものを循環槽V−5を介して晶析装置80に原料として供給して晶析を行う。この第3段の晶析で得られた母液を第2段の貯槽V−2に送り、発汗液を第3段の貯槽V−3に送り、結晶融液を製品貯槽V−4に送る。第1段の晶析では、第2段の晶析から送られてきた母液に第1段の発汗液を混合したものを循環槽V−5を介して晶析装置80に原料として供給して晶析を行う。この第1段の晶析で得られた母液を母液貯槽V−0に送り、発汗液を第1段の貯槽V−1に送り、結晶融液を第2段の貯槽V−2に送る。このようにして一つの晶析サイクルが完了する。
【0080】
以上の多段階晶析装置によれば、高純度の製品が得られるとともに、製品の回収率も向上する。
【0081】
次に本発明の効果を確認するために行った実験例について説明する。
実験例1
実験装置として、図10に示すような原料、および、冷熱媒の供給装置を備えたもので、縦3m、横1mの板にサポートを20cm間隔で4本配設するとともに、サポートで区切られた5つの区画に、それぞれ7個の腕状体の突起部(上面開口部の直径25mm、高さ13mm)を縦方向に1列に所定間隔で配列したものを用いた。
液体原料として、不純物を含むアクリル酸を使用した。まず、冷媒として2℃の30重量%のエタノール水溶液を用いて、厚さが10mmの結晶層を成長させた後、アクリル酸の循環を停止して、5分間静置した。ついでエタノール水溶液を14℃に加熱して、15分間発汗操作を行った。さらにエタノール水溶液を25℃に加熱するとともに、結晶の融液を25℃に加熱して結晶表面に循環流下して、融解処理を行った。結晶が完全に融解するまでに要した時間は20分であり、区画ごとの融解時間は、ほとんど差がなかった。また、晶析、静置、発汗、融解の全工程を通して、結晶の剥離、脱落は起こらなかった。
【0082】
実験例2
実験装置として、5つの区画のうち、区画2のみに腕状体の突状部を設置した以外は実験例1と同じ装置を用いて、同様な操作を行った。
区画1の結晶は晶析後の静置時に結晶の上面が剥れ、融解時にこの剥れた部分がちぎれて底部まで落下した。区画3の結晶は融解時に結晶中央部が剥れ、晶析板から離れたために、結晶中央部が白濁したように見えることが確認された。区画5の結晶は、発汗時に結晶の上部が剥れ、融解時には全体が剥離して装置前面の塩化ビニル板に倒れた。突状部を設置した区画2、および設置しなかった区画4の結晶は、全工程で剥離、脱落することがなかった。
融解に要した時間は、区画1が28分、区画2が19分、区画3が37分、区画4が22分で、結晶全体が脱落した区画5では、2時間かけても融解が完了しなかった。
【0083】
実験3〜6
実験例2と同じ装置を用いて、同様な操作を繰り返して行った。結果を、実験例2の結果と合わせて、表1に示した。腕状体の突起部を設置した区画2の結晶はどの実験例においても、剥離脱落することがなかったが、突状部を設置しない区画の現象には再現性がなかった。なお表1中記号は、◎:剥離脱落なし、○:一部剥離、△:一部脱落、×:全体剥離をそれぞれ示している。
【0084】
【表1】
Figure 0003798829
実験例7
実験装置として図13に示したものを用いた。晶析板は幅400mm、高さ2200mmで、幅方向の中央に縦にサポートを設置して、200mmの2区画に分割した。また各区画にはそれぞれ一定間隔で6個の椀状体の突状部(上面開口部の直径25mm、高さ13mm)を縦方向に1列に所定間隔で配列した。装置の前面には透明塩化ビニル板を設置して目視可能とした。
【0085】
晶析原料の、不純物を含んだアクリル酸は、第2段の貯槽V−2に供給される。第2段の晶析を例にとると、第3段晶析の母液8.1kg、第1段の結晶融液8.0kg、第2段の発汗液1.8kg、および原料アクリル酸16.1kgを混合して34.0kgとし、これを2回に分けて晶析した。1回の晶析で母液8.0kg、発汗液0.9kg、および結晶融液8.1kgを得た。すなわち、第2段の晶析2回で得られた母液16.0kgを第一段の貯槽V−1に、発汗液1.8kgを第二段の貯槽V−2に、結晶融液16.2kgを第三段の貯槽V−3に、それぞれ送った。
【0086】
第3段の晶析では、第2段の晶析から送られてきた結晶融液16.2kgに第3段の発汗液0.9kgを混合した17.1kgを原料として母液8.1kg、発汗液0.9kg、および結晶融液8.1kgを得た。この母液は貯槽V−2に、発汗液は貯槽V−3に、結晶融液は製品貯槽V−4に送った。同様に、第1段の晶析では、第2段の晶析から送られてきた母液16.0kgに第1段の発汗液0.9kgを加えた16.9kgを原料として、母液8.0kg、発汗液0.9kg、および結晶融液8.0kgを得た。この母液は最終母液貯槽V−0に、発汗液は貯槽V−1に、結晶融液は貯槽V−2に送った。
【0087】
このようにして、第1段晶析1回、第2段晶析2回、第3段晶析1回で一つのサイクルが完了し、原料16.1kgから、製品8.1kgと、最終母液8.0kgが得られた。なお、すべての段階において、晶析温度は2℃、発汗温度は15℃、および融解温度は25℃に制御した。すべての工程において結晶が剥離脱落することはなく、融解に要した時間は、第1段が16分、第2段が17分、第3段も17分であった。
【0088】
このときに使用した原料、および製品と最終母液の不純物濃度は表2に示す通りであった。このように、多段の晶析を行うことによって高純度の製品を得ることができる。本実験は3段の晶析であるが、段数を増加させることによって、純度と製品回収率をさらに向上させることももちろん可能である。また、本実験のように各段の操作に同一の晶析装置を使用する場合には、晶析段数ごとに晶析回数を変えて、処理量を同程度にするのが効率的である。
【0089】
【表2】
Figure 0003798829
実験例8
実験装置として幅1m、高さ3mの晶析板を20枚組み合わせて、図12のようにブロックとして組み立てたものを使用した。ここで図5ユニットAのように組み立てた板61と板62の間隔は10mmであり、冷媒供給管を各2本設置している。また、晶析面の間隔は30mmであり、両端を除く18枚を晶析に使用した。各晶析板は幅方向に20mm間隔にサポートを4本配設するとともに、サポートで区切られた5つの区画にそれぞれ7個の椀状体の突状部(上面開口部の直径25mm、高さ13mm)を縦方向に1列に所定間隔で配列した。原料、および冷熱媒の供給装置を含めた装置全体は図4の通りである。
【0090】
原料アクリル酸を原料タンクに770kg投入し、ポンプで晶析器に循環するとともに、冷媒として2℃の30重量パーセントのエタノール水溶液を循環した。原料タンクの液面位置の観測から、540kgの結晶が析出したと判断した時点で原料の循環を停止して、そのまま5分間静置し、この間に原料タンクから残った母液を母液タンク(図示していない)に送液した。
【0091】
ついで、エタノール水溶液の温度を14℃に上げて発汗を行った。発汗液は原料タンクに回収し、54kgの発汗液を得、これを発汗液タンク(図示していない)に送液した。ここで、原料タンクに新たなアクリル酸200kgを投入し、このアクリル酸を25℃に加熱して晶析器に循環するとともに、エタノール水溶液を25℃に加熱して循環し、融解操作を行った。原料タンクの液面位置を経時的に記録していたところ、22分後に液面位置が変化しなくなったため、原料と熱媒の供給を停止した。原料タンクに集められたアクリル酸の重量を測定したところ、376kgであり、これは、22分で結晶の全体が融解したことを示していた。また、確認のために融解操作後に再びエタノール水溶液を2℃に冷却して循環しながら、装置の上部を取り外して、光を当てて上から観察したが、晶析板および下部の結晶支えに結晶は残存していなかった。
【0092】
実験例9
実験装置として実験例1と同じものを使用して、シクロヘキサンを主な不純物として含有するベンゼンを用いて同様の処理を行ったところ、原料の不純物が4.6重量パーセントであったのに対して、得られた結晶融液の不純物濃度は0.51重量パーセントに低下した。このとき融解に要した時間は16分であり、すべての工程で結晶が剥離脱落することはなかった。
【0093】
実験10
また、o−ジクロロベンゼンを主な不純物として含有するp−ジクロロベンゼンを液体原料として用いて同様の処理を行ったところ、液体原料の不純物濃度が53.5重量%であったのに対し得られた結晶融液の不純物濃度は5.3重量%と良好であった。融解に要した時間は23分であり、結晶の剥離、脱落はなかった。
【0094】
実験11
MAA(メタクリル酸)を目的成分、i−BA(イソ酪酸)を分離、除去対象成分とする混合物について1段の晶析精製を行い、原料と、得られた結晶、母液の組成をガスクロマトグラフィにより分析したところ表3に示す結果が得られた。ただし表中の数字の単位は重要%である。融解に要した時間は21分であり、結晶の剥離脱落はなかった。
【0095】
【表3】
Figure 0003798829
尚、本発明は、晶析を利用した精製プロセスに好適に利用することができ、特に溶媒を使用しない溶融晶析に好適である。また、晶析の対象としては、特に限定されないが、例えばナフタレン類、フェノール類、キシレン、ハロゲン化ベンゼン類、有機酸類等が挙げられる。とくにアクリル酸およびメタクリル酸の晶析には好適である。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、板に突状部を設けると共に、この板を垂直に配置して晶析を行うので、板の表面に形成された結晶層を突状部で保持しながら晶析が行われ、このため晶析時の結晶の脱落を防止できる。従って伝熱効率がよいため、結晶の融解処理を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の晶析装置の説明図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図2】本発明の晶析装置に設けられる突状部の説明図であり、(a)は斜視図、(b)は板の斜視図である。
【図3】突状部の他の例を説明する斜視図である。
【図4】本発明の晶析装置の説明図である。
【図5】ユニットタイプの本発明の晶析装置の斜視図である。
【図6】ユニットタイプの本発明の晶析装置の分解斜視図である。
【図7】ユニットタイプの本発明の晶析装置の断面図である。
【図8】ユニットタイプの本発明の晶析装置の要部の分解斜視図である。
【図9】ブロックタイプの本発明の晶析装置の部分破断断面図である。
【図10】ブロックタイプの本発明の晶析装置の斜視図である。
【図11】ブロックの複数を組み合わせて一体化した本発明の晶析装置の部分破断側面図である。
【図12】ブロックの複数を組み合わせて一体化した本発明の晶析装置の部分破断正面図である。
【図13】本発明の多段階晶析装置の概略図である。
【図14】従来の晶析方法を説明する説明図である。
【符号の説明】
2、21、61、62 板
24 原料供給器
25、63 冷媒(熱媒)供給管
26、42 冷却器
27、43 加熱器
3 突状部
3b 切欠部
41 冷媒タンク
46 原料タンク
5 晶析装置本体
61A、61B サポ−ト
64 原料分散器
72 冷媒の排出口
73 原料排出口
L 液体原料
C 冷媒
H 熱媒
A ユニット
B ブロック

Claims (17)

  1. 結晶可能な成分を含有する液体原料から結晶可能な成分の結晶を析出させる晶析装置において、
    垂直に配設された板と、
    この板の一面側に設けられ、結晶の脱落を防止するための複数の突状部と、
    前記板の一面側に液体原料を供給して薄膜状に流下させる原料供給手段と、
    前記板の他面側に液体原料の凝固点以下の温度の冷媒を薄膜状に流下させる冷媒供給手段と、
    前記板の他面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させる熱媒供給手段と、を備えることを特徴とする晶析装置。
  2. 結晶可能な成分を含有する液体原料から結晶可能な成分の結晶を析出させる晶析装置において、
    上端部を屈曲して傾斜面を形成した2枚の平板を互いの傾斜面部分が外側になりそれぞれ垂直かつ互いに平行に位置するように傾斜面端部を接合してなるユニットと、
    このユニットを形成する2枚の板の傾斜面の下端に連続する垂直な液体原料の供給面に設けられ、結晶の脱落を防止するための複数の突状部と、
    このユニットを形成する2枚の板のそれぞれの傾斜面上に直接液体原料を循環供給するか、または傾斜面の上端に連続する垂直面を介して当該傾斜面上に液体原料を循環供給して前記供給面に薄膜状に流下させる原料供給手段と、
    前記液体原料の供給面の反対側の面に液体原料の凝固点以下の温度の冷媒を薄膜状に流下させる冷媒供給手段と、
    前記冷媒供給面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させる熱媒供給手段と、を備えることを特徴とする晶析装置。
  3. 2枚の平板の間に、平板の平面度を確保するために、垂直に伸びるサポ−ト部材を介設することを特徴とする請求項2記載の晶析装置。
  4. 請求項2のユニットの複数を間隔を有するように並設したブロックと、
    各ユニットの板の傾斜面側に液体原料を循環供給して薄膜状に流下させる原料供給手段と、
    各ユニットの原料供給面の反対側の面に液体原料の凝固点以下の温度の冷媒を薄膜状に流下させる冷媒供給手段と、
    前記冷媒流下面に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させる熱媒供給手段と、を備えることを特徴とする晶析装置。
  5. 請求項4のブロック化した晶析装置の複数を組み合わせて一体化することを特徴とする晶析装置。
  6. ユニットを構成する2枚の平板の間、及び一のユニットの平板とこのユニットに隣接する他のユニットの平板との間のそれぞれに、平板の平面度を確保するために、垂直に伸びるサポ−ト部材を介設することを特徴とする請求項4又は5記載の晶析装置。
  7. 突状部は、結晶を保持するための上向きの面を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の晶析装置。
  8. 突状部は、板の面と平行な切り口断面の輪隔が板と離れる方向にしたがって大きくなる円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の晶析装置。
  9. 突状部は、板の面と平行な切り口断面の少なくとも下流側の輪郭が下に向うほど狭まる形状に形成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の晶析装置。
  10. 突状部は、椀状体の底部を板に固定してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の晶析装置。
  11. 突状部の下流側部分に切欠部を形成したことを特徴とする請求項8又は10記載の晶析装置。
  12. 突状部は椀状体の底部を溶接して板に固定されたものであることを特徴とする請求項10又は11記載の晶析装置。
  13. 突状部の高さは、板に析出する結晶の厚さよりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の晶析装置。
  14. 結晶可能な成分を含有する液体原料から結晶可能な成分の結晶を析出させる晶析方法において、垂直に配設される板の一面側に多数の突状部を設け、この一面側に液体原料を供給して薄膜状に流下させるとともに、当該板の他面側に液体原料の凝固点以下の温度の冷媒を薄膜状に流下させて、当該板の一面側に前記突状部により結晶の脱落を防止しながら結晶可能な成分の結晶の所定量を析出させ、次いで、前記板の他面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させて一面側に析出した結晶を融解して回収することを特徴とする晶析方法。
  15. 板の他面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させ一面側の結晶を完全に融解して回収する前に、目的とする結晶可能な成分の、純物質としての融点の±5℃以内の温度の熱媒を板の他面側に薄膜状に流下させて結晶を部分融解して除去した後、結晶全体を回収することを特徴とする請求項14記載の晶析方法。
  16. 板の他面側に結晶の凝固点以上の温度の熱媒を薄膜状に流下させて結晶を融解するとともに、一面側にその融液を加熱して循環供給し結晶を融解することを特徴とする請求項14又は15記載の晶析方法。
  17. 結晶可能な成分を含有する液体原料から結晶可能な成分の結晶を析出させる晶析操作を多段にわたり繰返して行う晶析方法において、垂直に配設される板の一面側に複数の突状部を設け、この板の上端部に傾斜面を形成し前記一面側の傾斜面上に、または傾斜面の上端に連続する垂直面を介して前記傾斜面に液体原料を循環供給して薄膜状に流下させるとともに、当該板の他面側に液体原料の凝固点以下の温度の冷媒を薄膜状に流下させ、当該板の一面側に結晶可能な成分の結晶の所定量を析出させるN段の晶析過程で発生する未結晶残留液体(母液)を、前段(N−1段)の液体原料に添加して使用し、N段の晶析過程で板の他面側に熱媒を流下させるとともに後段(N+1段)の液体原料を加熱して一面側に流下させることにより結晶を融解して回収し、回収した液体を後段(N+1段)の液体原料として使用することを特徴とする晶析方法。
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