JP3797766B2 - 電磁弁及びその弁座の位置決め方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ソレノイドを作動させることにより弁体を弁座に当接又は離間させるようにした電磁弁に係る。詳しくは、電磁弁の弁座を任意に位置決めするのに好適な機構と、その位置決めのための位置決め方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ソレノイドを作動させて弁体を弁座に当接又は離間させるようにした電磁弁がある。この種の電磁弁では、弁座に対する弁体の移動ストローク、即ち弁体のストローク値が、電磁弁から出力される流体の流量を決定することになる。
【0003】
ここで、弁座に対する弁体のストローク値を任意に設定するために、電磁弁のケーシングに対して弁座を動かすことにより、弁座の位置を任意に変える方法が考えられる。例えば、弁座を筒体の一端に設け、その筒体の外周に雄ねじを設ける。一方、電磁弁のケーシングに雌ねじ孔を設け、その孔に筒体を嵌め入れて雄ねじを雌ねじにねじ込むようにする。ここで、雌ねじ孔に対する雄ねじのねじ込み量を調節することにより、弁座の位置を変えることができ、弁座に対する弁体のストローク値を変えることができる。この場合、調節された位置で弁座を固定するために、例えば、筒体を別の取付部品によってケーシングに固定するか、筒体の雄ねじ又は雌ねじ孔に予め接着剤を塗布しておき、雄ねじを雌ねじ孔にねじ込むことにより両者を接着剤で固定する等の方法が考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の取付部品を使った方法では、弁座を位置決めするために、取付部品のための専用スペースを確保しなければならず、取付部品の分だけ部品点数が増加することになる。一方、上記従来の接着を使った方法では、予め接着剤を塗布してから雄ねじを雌ねじ孔にねじ込むものであることから、ねじ込みの過程で接着剤が固まることもあって微妙な調節が容易ではなく、調節精度や作業性、生産性の点で問題があった。
【0005】
この発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、別部品を使うことなく、容易に、かつ、高精度に弁座の位置決めを行うことを可能にした電磁弁及びその弁座の位置決め方法をを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、弁体及び弁座を有する弁本体部と、弁体を駆動するためのソレノイドとを備え、ソレノイドを作動させて弁体を弁座に対して当接又は離間させるようにした電磁弁であって、一端に弁座を有し、外周には雄ねじを有する弁座筒と、弁座筒を保持するために雄ねじをねじ込ませる雌ねじを含む雌ねじ孔を有する保持ブロックと、雌ねじと雄ねじとの間に外部から接着剤を注入するために雌ねじ孔の内周又は雄ねじの外周に設けられた注入窪とを備えたことを趣旨とする。
【0007】
上記の構成によれば、雌ねじ孔の内周又は雄ねじの外周に注入窪が設けられるので、雌ねじ孔に弁座筒の雄ねじをねじ込んで弁座を所定の位置に設定した後に、注入窪に接着剤を注入することが可能となる。従って、弁座を任意の位置に設定した上で、注入窪から接着剤を注入することにより、雄ねじが雌ねじに接着されて弁座の位置決めが行われる。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1の発明の構成において、弁座筒に、雄ねじの一部を削除してなるねじ欠き部を設けたことを趣旨とする。
【0009】
上記の構成によれば、請求項1の発明の作用に加え、注入窪に注入された接着剤が、ねじ欠き部があることによって雌ねじの全周に回り易くなり、雄ねじと雌ねじとの接着がより強固になる。
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2の発明に係る電磁弁の弁座を位置決めするための位置決め方法であって、弁座筒の雄ねじを、保持ブロックの雌ねじの最奥までねじ込むねじ込み工程と、そのねじ込み工程の後に、雄ねじを雌ねじの最奥から所定の距離分だけねじ戻すねじ戻し工程と、雄ねじがねじ戻された状態で、弁座を位置決めするために、注入窪から接着剤を注入することにより、雄ねじを雌ねじに接着する接着工程とを備えたことを趣旨とする。
【0011】
上記の構成によれば、雄ねじが雌ねじ孔の最奥までねじ込まれた後に、雄ねじが雌ねじの最奥から所定の距離分だけねじ戻されることにより、雌ねじの最奥に対応する位置を基準とした弁座の位置が仮設定される。そして、その仮設定状態で、注入窪から接着剤を注入することにより、雄ねじが雌ねじに接着されて弁座が仮設定された位置に位置決めされる。
従って、弁座を位置決めするために別部品が用いられることはなく、雄ねじのねじ込みに接着剤が傷害となることがない。
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項3の発明の構成であって、ねじ戻し工程においてねじ戻される所定の距離分は、弁座に対する弁体の移動ストロークを決定する要素であり、電磁弁からの実際の出力流量と対応させて予め決定されるものであることを趣旨とする。
【0013】
上記の構成によれば、請求項3の発明の作用に加え、雄ねじが所定の距離分だけねじ戻されて弁座が位置決めされることにより、弁座に対する弁体の移動ストロークが決定される。この移動ストロークが、電磁弁からの実際の出力流量と対応させて予め決定されることから、弁座が位置決めされることにより、電磁弁の出力流量が所望の値に任意に設定される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電磁弁及びその弁座の位置決め方法を具体化した一実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明を具体化した電磁弁11と、それに付随したマニホールド12の設備状態を示す。この電磁弁11は、マニホールド12に対してボルト13で固定される。
【0016】
ここで、本実施の形態の電磁弁11は、圧縮されたエアをノズル(図示しない)から吐出させたり、その吐出を遮断したりするために作動するものであり、高速応答に対応するものである。この電磁弁11として、例えば、穀物中に含まれる石や泥、不良穀物等の異物を選別して除去するための選別装置に適用されるものがある。この選別装置において、電磁弁11は、センサによって識別された異物のみを、ノズルから吐出されるエアで吹き飛ばすために、コントローラにより制御される。
【0017】
電磁弁11は、弁体(後述する)を内蔵する弁本体部14と、その弁体を駆動するために励磁されるソレノイド15とを備える。弁本体部14は、本発明の保持ブロック41を有する。ソレノイド15はエポキシ樹脂よりなる絶縁封止部材16により覆われる。絶縁封止部材16は、給電部17を含む蓋部材18と、その蓋部材18と一体的に接合される本体部材19とを含む。
【0018】
マニホールド12は、一対の集中給気ポート20と、各ポート20から電磁弁11に通じる給気通路21と、同電磁弁11に通じる出力通路22とを有する。各集中給気ポート20には、コンプレッサ等のエア源から圧縮エアが供給される。
【0019】
図2は、電磁弁11の断面を示す。図3は図2の3−3線に沿った断面を示す。図4は、図2の4−4線における保持ブロック41の上面を示す。図5は図2の5−5線におけるソレノイド15の底面を示す。弁本体部14及びソレノイド15は、ボルト孔15a,41aに挿通されたボルト13により互いに組み付けられる。弁本体部14は、その保持ブロック41の中央に設けられた雌ねじ孔23及び一対の給気孔24を有する。図2,4に示すように、両給気孔24は、雌ねじ孔23を挟んで配置され、弁室42を介して雌ねじ孔23に連通する。各給気孔24は、前述したマニホールド12の各給気通路21に接続される。雌ねじ孔23は、その内周の下側半分に雌ねじ23aを有する。
【0020】
図2,3,5に示すように、ソレノイド14は、その底面側に設けられた底部材43を備える。この底部材43は、両給気孔24に対応する位置に、一対の凹部43aを有し、弁室42に対応する位置には、両凹部43aを互いに連通させる複数の連通溝43bを有する。雌ねじ孔23には、弁座筒25が装着されて固定される。この弁座筒25は、その上端に弁座25aを有し、その外周に中間部に雄ねじ25bを有する。弁室42には、弁座25aに対応する弁体26が、弁座25aに接離可能に、即ち垂直方向に移動可能に配置される。この弁体26は、鉄製の平板より形成される。
【0021】
図2,3は弁体26が弁座25aに当接した状態、即ち電磁弁11が閉弁した状態を示す。この状態において、弁体26の上面とソレノイド15の底部材43との間には、所定の隙間G1が形成される。この隙間G1は、弁体26が弁座25aから最大限移動することのできる距離に相当し、弁座25aに対する弁体26の移動ストロークを意味する。この状態において、給気孔24に供給されるエアは、両凹部43aから隙間G1を通じて弁体26に作用する。これにより、弁体26は弁座25aに接する方向へ付勢される。
【0022】
ソレノイド15は、蓋部材18及び本体部材19により覆われたコイル27と、そのコイル27へ給電するための一対のコイル端子28とを有する。両コイル端子28は、給電部17において、蓋部材18を上方へ貫通して外部へ突出される。コイル27はボビン29に巻かれ、ボビン29は磁気フレーム30に支持される。磁気フレーム30は底部材43に組み付けられる。ボビン29の中心には、磁性体である固定鉄心44が設けられる。ボビン29の中心軸線と、弁体26の移動方向とは互いに直交する。磁気フレーム30は、コイル27の両側に配置された一対の側板31を含む。これら側板31はその下端が底部材43を貫通し、どう底部材43の底面に露出する。底部材43の底面と、両側板31の下端面とは互いに同一平面をなす。各コイル端子28は、各側板31の上端から上方へ突設される。各コイル端子28の基部には、コイル27から延びるコイル線27aの端が巻き付けられて半田により固定される。
【0023】
蓋部材18は、エポキシ樹脂より成形される。蓋部材18は、底部18aと、裾部18bと、底部18aから下方へ突設された一対のピン18c及び一対の突部18dとを有する。これら突部18dは、蓋部材18の中央において、その幅方向に沿って配列される。これらの突部18dは、蓋部材18をコイル27に対して位置決めするためのものである。磁気フレーム30及びコイル27等、並びにコイル端子28の基部は、それぞれ本体部材19により覆われる。各コイル端子28の基部を覆った本体部材19の部位は、蓋部材18に内包される。蓋部材18から突設されたコイル端子28には、給電部17に装着されるコネクタ(図示しない)が電気的に接続される。
【0024】
次に、上記のように構成された電磁弁11の動作を説明する。図2,3は、コイル端子28への給電が停止され、コイル27が消磁されたとき状態を示す。この状態では、凹部43aから弁室42を通じて弁体26の上面にエアが作用することから、弁体26が下方へ付勢されて弁座25aに当接している。これにより、電磁弁11が閉弁され、ノズルからの圧縮エアの吐出が遮断される。
【0025】
ここで、両コイル端子28に電力を供給すると、コイル27が励磁される。この励磁により、コイル27、固定鉄心44、磁気フレーム30及び弁体26の間に磁界が形成され、弁体26がその上方の側板31の下端面を吸着面として吸引される。この吸引力は、弁体26を弁座25aへ付勢するエアの圧力よりも大きいことから、弁体26は上方へ移動して側板31の吸着面及び底部材43の底面に当接する。これにより、弁体26が弁座25aから離れて電磁弁11が開弁される。従って、集中給気ポート20に供給される圧縮エアが、給気通路21、弁座筒25及び出力通路22を通り、所定のノズルから吐出される。この結果、選別装置においては、穀物中の異物がエアで吹き飛ばされて除去される。
【0026】
ここで、異物が吹き飛ばされる勢いの程度は、ノズルからのエアの吐出量により決定される。この吐出量は、電磁弁11の開度、つまりは弁座25aに対する弁体26の移動ストローク、即ち前述した隙間G1に依存することになる。この実施の形態の電磁弁11は、その移動ストロークを予め任意に調節しておくための調節機構を備える。
【0027】
次に、上記の調節機構について説明する。この調節機構は、弁座筒25と、保持ブロック41との関係から構成される。
【0028】
図6は弁座筒25を示し、図7はその弁座筒25の弁座25aを示す。この弁座筒25の雄ねじ25bは、弁座筒25の長さ方向における中間部に位置する。弁座筒25は、その外周に、雄ねじ25bの一部を削除してなる一対のねじ欠き部25cを有する。
【0029】
図8は保持ブロック41を、図2,3に示す状態における底面を上に向けて示した斜視図である。この保持ブロック41において、弁座筒25を保持するための雌ねじ孔23の内周には、接着剤を注入するための一対の注入窪23bが設けられる。各注入窪23bは、雌ねじ23aに対応して、その雌ねじ23aをその周方向において分断するように設けられる。
【0030】
上記の構成によれば、雌ねじ孔23に弁座筒25の雄ねじをねじ込んで弁座25aを所定の位置に仮設定した上で、各注入窪23cに接着剤を注入することにより、弁座筒25を雌ねじ孔23に接着固定するようになっている。従って、雄ねじ25bのねじ込み程度を調整して弁座25aを任意の位置に仮設定した上で、注入窪23cから接着剤を注入することにより、弁座筒25が雌ねじ孔23に接着されて弁座25aの位置決めが行われる。このように、所定の手順を経ることにより、接着剤を使用することにより、容易に、かつ、確実に弁座25aの位置決めを行うことができるようになる。
【0031】
このように弁座25aの位置決めを完了した保持ブロック41は、その弁室42に弁体26を装着した後、ボルト13でソレノイド15と組み付けられる。
【0032】
ここで、上記した弁座25aの位置決め方法につき、図10〜図12を参照して以下に説明する。
【0033】
弁座25aの位置決めをするには、先ず、図9に示すように、保持ブロック41をその底面側が上になるように配置し、所定の治具(図示しない)に対して固定する。この状態で、弁座筒25を雌ねじ孔23に向かって嵌め入れる。
【0034】
そして、図10に示すように、ねじ込み工程において、弁座筒25の雄ねじ25bを、保持ブロック41の雌ねじ23aの最奥までねじ込むね。ここで、雌ねじ23aの最奥とは、雌ねじ23aに雄ねじ25bをねじ込んだときに、雄ねじ25bの先が行き止まってこれ以上ねじ込めなくなる位置を意味する。
【0035】
次に、図11に示すように、ねじ戻し工程においては、ねじ込み工程の後に、雄ねじ25bを雌ねじ23aの最奥から所定の距離分だけねじ戻す。つまり、雌ねじ孔23における弁座筒25のストローク調整を行う。ここで、ねじ戻される所定の距離分とは、弁座25aに対する弁体26の前記移動ストローク(隙間G1)を決定する要素であり、電磁弁11からの実際の出力流量と対応させて予め実験的に決定されたものである。この距離分は、ダイヤルゲージ、リニアゲージ、或いは、レーザ変位計等を使用して正確に設定される。
【0036】
そして、図12に示すように、接着工程において、雄ねじ25bがねじ戻された状態で、弁座25aを位置決めするために、注入器49等を使用して注入窪23bから接着剤50を注入することにより、雄ねじ25bを雌ねじ23aに接着する。このようにすることにより、任意に位置決めされた弁座25aの位置が保持される。
【0037】
以上が弁座25aの位置決め方法の内容である。その後、弁座25aの位置決めを完了した保持ブロック41を、その弁室42に弁体26を装着した後、ボルト13でソレノイド15と組み付けることにより、図2,3に示すような電磁弁11が得られる。更に、電磁弁11をマニホールド12に組み付けることにより、図1に示すように設備された電磁弁11が得られる。
【0038】
以上説明したように本実施の形態の弁座25aの位置決め方法によれば、ねじ込み工程において、雄ねじ25bが雌ねじ23aの最奥までねじ込まれる。その後、ねじ戻し工程において、雄ねじ25bが雌ねじ23aの最奥から所定の距離分だけねじ戻される。このことにより、雌ねじ23aの最奥に対応する位置を基準とした弁座25aの位置が仮設定される。この仮設定状態において、注入窪23bから接着剤50を注入することにより、その接着剤50が雄ねじ25bと雌ねじ23aとの間に入り込む。これにより、雄ねじ25bが雌ねじ23aに接着して弁座筒25が保持ブロック41に固定され、弁座25aが仮設定された位置に位置決めされることになる。
【0039】
従って、弁座25aを位置決めするために、単独の別部品を用いる必要がなく、雌ねじ23aに対する雄ねじ25bのねじ込みに際して、前もって両者23a,25bの間に接着剤50が供給されないことから、その接着剤が雄ねじ25bのねじ込み、ねじ戻しの傷害になることがない。この結果、別部品を使うことなく、容易に、かつ、高精度に弁座25aの位置決めを行うことができるようになる。つまり、弁座25aの位置決め精度の向上を図り、その位置決めのための作業性及び生産性の向上を図ることができるようになるのである。しかも、位置決めのために、部品点数を増やすことがないので、生産コストの低減を図ることもできる。
【0040】
この実施の形態によれば、雄ねじ25bが所定の距離分だけねじ戻されて弁座25aが位置決めされることにより、弁座25aに対する弁体26の移動ストローク(隙間G1)が決定される。この移動ストロークが、電磁弁11からの実際の出力流量と対応させて予め実験的に決定される。従って、弁座25aが位置決めされることにより、電磁弁11の出力流量が所望の値に任意に設定される。この意味で、電磁弁11の出力流量を直接計測することなく、その流量を所望の値に任意に設定することができる。
【0041】
更に、この実施の形態によれば、雄ねじ25bにねじ欠き部25cがあることによって、注入窪23bに注入された接着剤50が、雄ねじ25bと雌ねじ23aとの間の全周に回り易くなり、両者25b,23aの接着がより強固になる。この意味で、一旦決定された弁座25aの位置が、不用意に変わることを未然に防止することができるようになる。
【0042】
尚、この発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更して実施することができる。
【0043】
(1)前記実施の形態では、接着剤50の注入窪23bを雌ねじ孔23の内周に形成したが、この注入窪を、弁座筒25の外周に形成してもよい。
【0044】
(2)前記実施の形態では、本発明の電磁弁を選別装置に適用される電磁弁11に具体化したが、これに限られるものではなく、それ以外の用途の電磁弁に具体化することもできる。
【0045】
(3)前記実施の形態では、雌ねじ孔23の内周に注入窪23bを二つ形成したが、数は二つに限られるものではなく、例えば、一つ、或いは三つ、四つ等にすることもできる。
【0046】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明の構成によれば、一端に弁座を有する弁座筒の雄ねじを、保持ブロックの雌ねじ孔にねじ込ませるようにし、雌ねじと雄ねじとの間に外部から接着剤を注入するための注入窪を設けている。
従って、雌ねじ孔に弁座筒の雄ねじをねじ込んで弁座を任意の位置に仮設定した上で、注入窪に接着剤を注入することが可能となり、雄ねじが雌ねじに接着されて弁座の位置決めが行われる。このため、所定の手順に従って接着剤を使用することにより、容易に、かつ、確実に弁座の位置決めを行うことができるという効果を発揮する。
【0047】
請求項2に記載の発明の構成によれば、請求項1の発明の構成において、雄ねじの一部を削除してなるねじ欠き部を設けている。
従って、請求項1の発明の作用及び効果に加え、注入窪に注入された接着剤が、ねじ欠き部によって雄ねじと雌ねじとの間の全周に回り易くなり、雄ねじと雌ねじとの接着がより強固になる。この意味で、一旦決定された弁座の位置が、不用意に変わることを未然に防止することができるという効果を発揮する。
【0048】
請求項3に記載の発明の構成によれば、請求項1又は請求項2の発明に係る電磁弁の弁座の位置決め方法であって、雄ねじを雌ねじの最奥までねじ込むみ、その上で、雄ねじを雌ねじの最奥から所定の距離分だけねじ戻す。その後、注入窪から接着剤を注入することにより、雄ねじを雌ねじに接着するようにしている。従って、雌ねじの最奥に対応する位置を基準とした弁座の位置が仮設定され、注入窪から注入される接着剤により、雄ねじが雌ねじに接着固定されて弁座が位置決めされる。このたね、弁座を位置決めするために別部品が用いられることはなく、雄ねじのねじ込みに接着剤が傷害となることがない。この結果、別部品を用いることなく、容易に、かつ、高精度に弁座の位置決めを行うことができるという効果を発揮する。
【0049】
請求項4に記載の発明の構成によれば、請求項3の発明の構成であって、ねじ戻される所定距離分を、弁座に対する弁体の移動ストロークを決定する要素とし、電磁弁の出力流量と対応させて予め決定するようにしている。
従って、請求項3の発明の作用及び効果に加え、弁座が位置決めされることにより、電磁弁の出力流量が所望の値に任意に設定される。この結果、電磁弁の出力流量を直接計測することなく、その出力流量を所望の値に任意に設定することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態に係り、電磁弁とそれに付随したマニホールドの設備状態を一部破断して示す側面図である。
【図2】同じく、電磁弁を示す断面図である。
【図3】同じく、図2の3−3線に沿った断面図である。
【図4】同じく、図2の4−4線における保持ブロックを示す端面図である。
【図5】同じく、図2の5−5線におけるソレノイドを示す端面図である。
【図6】同じく、弁座筒を示す断面図である。
【図7】同じく、弁座筒の弁座を示す平面図である。
【図8】同じく、保持ブロックを示す斜視図である。
【図9】同じく、弁座の位置決め方法を示す断面図である。
【図10】同じく、弁座の位置決め方法に係るねじ込み工程を示す断面図である。
【図11】同じく、弁座の位置決め方法に係るねじ戻し工程を示す断面図である。
【図12】同じく、弁座の位置決め方法に係る接着工程を示す断面図である。
【符号の説明】
11 電磁弁
14 弁本体部
15 ソレノイド
23 雌ねじ孔
23a 雌ねじ
23b 注入窪
25 弁座筒
25a 弁座
25b 雄ねじ
25c ねじ欠き部
26 弁体
41 保持ブロック
50 接着剤
Claims (4)
- 弁体及び弁座を有する弁本体部と、前記弁体を駆動するためのソレノイドとを備え、前記ソレノイドを作動させて前記弁体を前記弁座に対して当接又は離間させるようにした電磁弁であって、
一端に前記弁座を有し、外周には雄ねじを有する弁座筒と、
前記弁座筒を保持するために前記雄ねじをねじ込ませる雌ねじを含む雌ねじ孔を有する保持ブロックと、
前記雌ねじと前記雄ねじとの間に外部から接着剤を注入するために前記雌ねじ孔の内周又は前記雄ねじの外周に設けられた注入窪と
を備えたことを特徴とする電磁弁。 - 請求項1に記載された電磁弁において、
前記弁座筒に、前記雄ねじの一部を削除してなるねじ欠き部を設けたことを特徴とする電磁弁。 - 請求項1又は請求項2に記載された電磁弁の弁座を位置決めするための位置決め方法であって、
前記弁座筒の前記雄ねじを、前記保持ブロックの前記雌ねじの最奥までねじ込むねじ込み工程と、
前記ねじ込み工程の後に、前記雄ねじを前記雌ねじの最奥から所定の距離分だけねじ戻すねじ戻し工程と、
前記雄ねじがねじ戻された状態で、前記弁座を位置決めするために、前記注入窪から接着剤を注入することにより、前記雄ねじを前記雌ねじに接着する接着工程と
を備えたことを特徴とする電磁弁の弁座の位置決め方法。 - 請求項3に記載の電磁弁の弁座の位置決め方法であって、
前記ねじ戻し工程においてねじ戻される前記所定の距離分は、前記弁座に対する前記弁体の移動ストロークを決定する要素であり、前記電磁弁からの実際の出力流量と対応させて予め決定されるものであることを特徴とする電磁弁の弁座の位置決め方法。
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