JP3796716B2 - 避難用設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、建物に隣接して設けられる避難用設備であって、滑り台を有するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−9709号に開示される非常避難用設備は、滑り台使用者に対する階段側からの介添えを容易にすることを目的として、直行式の階段が上下階中間の踊場を境に折り返す構造の非常避難用階段と、この非常避難用階段の外側に沿って設けられる滑り台とからなり、前記上下階中間の踊場の外側に設けられた滑り台部分にスロープを設けたものである。
【0003】
また、特開2001−564号に開示される避難用滑り台は、より多くの人を短時間で、安全に避難させることを目的し、各階部分を一回転して滑り降りる勾配角度を有する内外2つの滑り面を並設し、一方をローラ式、他方をパイプ式にすると共に、ローラ式に用いられるテーパーローラを所定の間隔で回転不能に固定したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した引例に開示される非常避難用設備及び避難用滑り台は、それぞれの目的に対しては有効であるものの、設置するにはかなりの面積が必要になるという問題点がある。特に、個人所有の建物や、建物が林立する場所では設置が不可能であり、安全対策として設置の要望があっても実際的に設置することができないのが現状である。
【0005】
また、パイプ式滑り台は、ローラ式に比べて滑り難いので、その勾配角度を25°〜35°に設定することが許容されている(「日本消防安全センター」による)。
【0006】
以上のことから、本願発明は、従来よりも設置面積が狭い場所にも設置が可能である滑り台式の避難用設備を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
よって、この発明は、少なくとも一つの建物に隣接して設置される支柱と、前記建物の各階に設けれた非常用出口も設けられる踊場部と、前記支柱に螺旋状に配されて前記最上階から地上まで各階の踊場部を順次接続する滑り台部とによって構成される避難用設備において、前記滑り台部は、その内周面が前記支柱に直接取付けられると共に、勾配角度が25°〜35°となるように各階の間で複数回回転するように設けられることにある。
【0008】
これによって、滑り台部が支柱に螺旋状に巻きつくように形成されることから、従来のものと比べて設置面積を格段に減少させることができると共に、勾配角度25°〜35°が許容されるものである。また、支柱側面が内側側板を兼ねることから、内側側板を省略できるため、コストダウンを達成できる。また、支柱側面には内側手摺部が滑り台部に沿って螺旋状に設けられる。
【0009】
さらに、前記滑り台部の外周側面には所定の高さの外周側板が設けられることが望ましい。また、外周側板を、手摺の規定高さ、約60cmにすることによって外周部分の手摺を省略することができるため、安全面を維持しつつコストダウンを達成できる。
【0010】
また、前記滑り台部の次の踊場部又は地上に接続される部分には、減速部が設けられることが望ましい。これによって、各階毎に滑り速度を抑制できるので、安全に滑っていくことができるものである。また、踊場部の両側には手摺が設けられ、滑り台部の外周側面側の手摺には、滑り台部の外周側面に沿って所定の長さ延出する補助手摺部が形成され、安全性を確保できるようになっている。
【0011】
さらに、前記支柱の上端部には屋根部が設けられることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面により説明する。
【0013】
図1は、本願発明の実施の形態に係る避難用設備1の一例を示すものである。この避難用設備1は、支柱2と、少なくとも一つの建物の非常用出口に接続される踊場部3と、前記支柱2に螺旋状に設けられ、各階の踊場部3を接続する滑り台部4とよって基本的に構成される。
【0014】
支柱2の上端に設けられる屋根部5は、支柱2に固着される内周部51と、この内周部51から径方向に延出する複数のブラケット52と、この複数のブラケット52によって保持される屋根プレート53と、屋根プレート53の外周部分に形成され、前記ブラケット52の一端が固定される外周リング部54とによって構成される。
【0015】
踊場部3は、図3及び図4で示すように、建物にアンカー等によって固定されプレート部31と、左右の手摺部32,33とによって構成される。また、一方の手摺部32は、前記滑り台部4の外周側板41に沿って所定の範囲に延出する落下防止用手摺部34が形成され、さらに支柱側面には、この支柱側面に沿って内側手摺部55が形成される。
【0016】
滑り台部4は、図3、図5及び図6に示されるように、前記支柱2に一端が固着されると共に径方向に延出し、且つ前記支柱2の側面に螺旋状に配される複数のブラケット42と、この複数のブラケット42に保持されると共に螺旋方向に並設される複数のパイプ43によって形成される滑り面44と、この滑り面44の外周側に立設される外周側板41と、前記滑り面44の前記踊場部3に至る部分又は地上に至る部分に形成される減速部45とによって構成される。また、前記減速部45は、前記滑り面44よりも摩擦抵抗を向上させたもの、傾斜面を緩やかにしたもの等があり、この実施の形態では特に限定しない。
【0017】
また、この実施の形態において、踊場部3の間の距離が一般的な一階分の高さ(階高)4.3mである場合を設定し、勾配角度25°〜35°を達成するために各階踊場間でそれぞれ2回転するように設定した。これによって、踊場間の滑り台部4の長さは約7.5m〜約10.0mの範囲内となり、勾配角度25°〜35°が達成される。この長さは、支柱2の径によって調整可能である。
【0018】
以上の構成により、前記避難用設備1は、直径1.35m〜2.05mの範囲内で設置可能であり、これは1.43m〜3.3mの設置面積となる。また、図6で示すような1.5m程度の避難空地7が必要となるため、実際の設置面積としては一坪から一坪半広さが必要となる。しかしながら、この大きさは従来に比べてかなり狭いといえる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、支柱の周りに滑り台部を螺旋状に直接設置したことから、設置面積を狭くすることができると共に外周側板を高くしたことによって外側の手摺を所定の範囲省略することができるのでコストダウンを達成でき、個人所有の建物等の避難用設備として従来に比べて安価に提供できるようになるものである。
【0020】
また、建物に近接して狭い設置面積で設けることができるので、隣接する建物の間に共有物として設置することも可能となるため、避難用設備を普及させることができ、火災等の災害時に安全に人を避難させることができるようになるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態に係る避難用設備の一例を示した正面図である。
【図2】屋根部を示した平面図である。
【図3】踊場部及び滑り台部を示した概略平面図である。
【図4】踊場部を示した正面図である。
【図5】滑り台部を示した説明図である。
【図6】滑り台部の最下端部分を示した概略平面図である。
【符号の説明】
1 避難用設備
2 支柱
3 踊場部
4 滑り台部
5 屋根部
32,33 手摺部
34 落下防止手摺部
41 外周側板
44 滑り面
45 減速部
55 内側手摺部

Claims (1)

  1. 少なくとも一つの建物に隣接して設置される支柱(2)と、前記建物の各階に設けられた非常用出口に設けられる踊り場部(3)と、前記支柱(2)に螺旋状に入れて前記最上階から地上まで各階の踊り場部(3)を順次接続する複数の滑り台部(4)とによって構成される避難用設備において、
    前記滑り台部(4)は、前記支柱(2)に一端が固定されると共に径方向に延出し、前記支柱の側面に螺旋状に配される複数のブラケット(42)及び該複数のブラケット(42)に支持され、前記各階の踊り場部(3)間で複数回回転するように前記支柱(2)に沿って螺旋状に併設される複数のパイプ(43)からなり、前記踊り場部(3)若しくは地上に至る所定の範囲に減速部(45)を有する滑り面(44)と、該滑り面(44)の外側側面に設けられる所定の高さの外周側板(41)とを具備し、
    さらに屋根部(5)が前記支柱(2)の上端部に設けられ、且つ
    落下防止用手摺部(34)が該滑り台部(4)の外側側板(41)に沿って所定範囲に設けられることを特徴とする避難用設備。
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