JP3001069U - 螺旋降下型避難装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 降下速度を制動して安全な避難を行うことが
できる螺旋降下型避難装置を得ることを目的とする。 【構成】 支持体１２の回りに螺旋床を配置するととも
にこの螺旋床に多数の円錐ローラ２６を並設してなる螺
旋降下型避難装置における前記円錐ローラの外側面に、
螺旋床の降下方向に対して制動力を生じるように形成し
た螺旋体を設ける。この装置では螺旋体を設けた円錐ロ
ーラの回転が使用者とのすべり摩擦を増大させるので降
下速度が低下し、安全な避難を行うことができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、避難装置に関するものであり、一層詳細には、多数の円錐ローラ によって形成した螺旋スロープを使用する型式の螺旋降下型避難装置の改良に関 するものである。

【０００２】

【従来技術および考案が解決すべき課題】

従来より、所定階数以上の建造物においては、階段やエレベータなどの通常の 昇降手段の他にも非常時における避難装置が設けられており、特に、病院や老人 ホームなどでは建造物の規模には関係なくこのような避難装置を設けることが安 全上重要な要素となっている。

【０００３】 この種の避難装置としては、例えば、建造物の外側面に沿って立設した支柱の 回りに多数の円錐ローラを放射状に並設して形成した螺旋床を設けるとともにこ の螺旋床の両側壁に沿って防護ネットおよび手摺部材を配設することにより構成 した螺旋降下型の避難装置が周知である。

【０００４】 また、前記螺旋降下型避難装置の各円錐ローラの取付軸を螺旋中心を通る半径 線に対して所定角度偏倚させ、使用時における降下速度を制動して安全に避難で きるようにした装置（実用新案登録第１９０７５８９号）も提案され、需要者の 便宜に供されている。

【０００５】 ところでこのように使用時における降下速度を制動する型式の避難装置におい ては、螺旋床を形成する各円錐ローラの間隙が一定となるようにするため複雑な 演算を必要とするだけでなく、実際に支柱の回りに取付ける際もかなりの寸法精 度が要求されるなどさらに改良すべき課題があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 そこで、この考案では建造物の外側面に沿って立設した支柱の回りに多数の円 錐ローラを放射状に並設することにより螺旋床を形成した型式の螺旋降下型避難 装置における前記円錐ローラの外側面に、螺旋の降下方向に対して制動力を生じ るように形成した、例えば、凸条や凹溝などからなる螺旋体を設けることにより 取付作業などを含む施工の容易化を図ろうとするものである。

【０００７】

【作 用】

この考案では、螺旋床を形成する円錐ローラに設けた螺旋体が使用者とのすべ り摩擦を増大させてその降下速度を制動し、安全に避難することができるもので ある。

【０００８】

【実施例】

次に、本考案に係る螺旋降下型避難装置の好適な実施例につき添付図面を参照 しながら以下詳細に説明する。 図１および図２において、本考案に係る螺旋降下型避難装置１０は、建造物の 外壁面から所定距離離間させて立設した支持体１２と、この支持体１２の外側に 位置しかつ所定の半径を有する円周線上に所定の間隔で配置される外側支持柱１ ４と、前記支持体１２と外側支持柱１４との間に配設される螺旋降下床体１６と を備えている。

【０００９】 すなわち、螺旋降下床体１６は、支持体１２の外周に沿って所定の螺旋勾配を なすように梁部材１８を取着するとともにこれらの梁部材１８の端部を外側支持 柱１４に固定する。 また、梁部材１８上には所定間隔離間させて外壁部材２０および内壁部材２２ を夫々立設するとともにこれらの外壁部材２０および内壁部材２２を外側支持柱 １４および前記梁部材１８に立設固定した内側支持部材２４に取付け、さらに前 記外壁部材２０と内壁部材２２との間に多数の円錐ローラ２６を放射状にかつ回 転自在に架設配置する。なお、各円錐ローラ２６を架設するに際してはその取付 軸２８を水平面に対して螺旋の中心軸線３０（支持体１２の中心軸線）に向かっ て角度αだけ傾斜させる。

【００１０】 また、円錐ローラ２６のテーパ状外側面には、図３ａに示すように、所定径の 線条３２をスポット溶着して形成した螺旋体３４を周設することにより、螺旋の 降下方向（図２矢印参照）に対して制動力を生じさせるように構成する。なお、 この場合、本実施例のように全ての円錐ローラ２６に螺旋体３４を設けても良い が、建造物の階数や螺旋勾配などによっては所定の円錐ローラにのみ設けるよう にしても良いことは勿論である。 さらにまた、螺旋体３４としては円錐ローラ２６のテーパ状外側面に形成した 凹溝３６によって構成することもできる（図３ｂ参照）。

【００１１】 また、外壁部材２０および内壁部材２２の各頂部には手摺部材３８を配設する とともに外側支持柱１４および内側支持部材２４の所定箇所には適宜の防護部材 ４０を配設する。

【００１２】 このように構成した本考案に係る螺旋降下型避難装置１０を使用して避難する 際、使用者に作用する遠心力および使用者の降下重力から分力され略遠心方向に 作用する力は、円錐ローラ２６の取付軸２８を水平面に対して角度αだけ傾斜さ せてあるのでこの取付軸２８を水平に設定した場合よりもはるかに小さい値とな り、従って、降下時に外壁部材２０側に押しつけられて避難できなくなるような 不都合を可及的に回避することができる。

【００１３】 また、円錐ローラ２６のテーパ状外側面には螺旋体３４が設けてあり、しかも この円錐ローラ２６の回転方向は螺旋の降下方向と一致するので、円錐ローラ２ ６（螺旋体３４）の回転は使用者に対する滑り摩擦として作用することになり、 その結果、降下速度の制動が行われ、前述のような略遠心方向に作用する力の低 下と相まって、使用者はゆっくりとしかも安全を避難を行うことができることに なるものである。 なお、円錐ローラの外側面に設けた螺旋体のピッチや勾配などは螺旋降下型避 難装置の規模や所望する降下速度などに応じて適宜設定できることは言うまでも ない。

【００１４】

【考案の効果】

先に述べたように、本考案に係る螺旋降下型避難装置によれば、螺旋体を設け た円錐ローラの回転が降下速度の制動力として作用するので、使用者はゆっくり としかも安全に避難を行うことができる。また、螺旋床を構成する各円錐ローラ も螺旋中心に対して放射状に取付ければよいので設計も容易となり、取付作業を 含む施工の簡便化を図ることができる等種々の利点を有しその実用的効果は極め て大きい。

【００１５】 以上、本考案に係る螺旋降下型避難装置の好適な実施例につき説明したが、本 考案はこの実施例に限定されるものではなく、例えば、円錐ローラの外側面に設 ける螺旋体をその螺旋勾配に沿って不連続に形成したり、あるいは円錐ローラ自 体を螺旋体によって形成するなど本考案の精神を逸脱しない範囲内において種々 の改変をなし得ることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る螺旋降下型避難装置の好適な実施
例を示す概略断面説明図である。

【図２】図１に示す螺旋降下型避難装置の平面説明図で
ある。

【図３】図１に示す螺旋降下型避難装置に使用する円錐
ローラの側面図であって、ａは線条によって螺旋体を形
成した円錐ローラ、ｂは凹溝によって螺旋体を形成した
円錐ローラである。

【図４】図３に示す円錐ローラの回転が降下速度の制動
力として作用する説明図である。

【符号の説明】

１０ 螺旋降下型避難装置、１２ 支持体、 １４
外側支持柱、１６ 螺旋降下床体、 １８ 梁部
材、 ２０ 外壁部材、２２ 内壁部材、
２４ 内側支持部材、２６ 円錐ローラ、 ２８
取付軸、 ３０ 中心軸線、３２ 線条、
３４ 螺旋体、 ３６ 凹溝、３８ 手摺部
材、 ４０ 防護部材、

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持体の回りに螺旋床を配置するととも
   にこの螺旋床に多数の円錐ローラを並設してなる螺旋降
   下型避難装置において、前記円錐ローラの外側面に、螺
   旋床の降下方向に対して制動力を生じるように形成した
   螺旋体を設けることを特徴とする螺旋降下型避難装置。