JP3796302B2 - オキソノール化合物およびハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真用染料として有用な新規オキソノール化合物およびそれを含有するハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀写真感光材料には、イラジエーション防止、ハレーション防止あるいは特定波長の光のフィルターのような目的で染料を添加することが普通である。代表的な染料として、オキソノール化合物が知られている。
例えば、米国特許3247127号、同3469985号、同4078933号、英国特許506385号、同1177429号、同1311884号、同1338799号、同1385371号、同1467214号、同1433102号、同1553516号の各明細書および特開昭48−85130号、同49−114420号、同55−161233号、同59−111640号の各公報には、ピラゾロン核やバルビツール酸核を有するオキソノール染料が記載されている。特開平5−197079号公報には、フラノンおよびチオフェン骨格を有するオキソノール染料が記載されている。米国特許5283165号明細書には、ピロリノン骨格を有するオキソノール染料が記載されている。オキソノール染料は、米国特許2533472号、同3379533号、英国特許1278621号の各明細書にも記載がある。
【0003】
オキソノール染料を写真用(イラジエーション防止用、アンチハレーション用)フィルター染料として使用する場合、染料を、露光後、現像、定着等の処理時に消色することが求められる。消色が不充分であると、処理液に染料が蓄積したり、得られる画像の白地が着色する問題が生じる。最近の現像処理の迅速化に伴って、これらの問題は顕著になっている。
オキソノール化合物をハレーション防止染料として用いる場合、吸収特性が重要である。メチン基上の置換が、吸収特性を変化させるのに有効であることが知られている。欧州特許397435号明細書には、メチン基上の置換基として、5員、6員または7員の炭素環、複素環または縮合環を有する基の記載がある。米国特許4042397号、同3653905号の各明細書には、メチン基がアルキル基、アラルキル基、アリール基またはカルボキシル基で置換されてもよいバルビツール酸オキソノール染料の記載がある。米国特許3370950号明細書には、メチン基がアセチル基で置換されたピラゾロン骨格を有するオキソノール染料が開示されている。また、特開平8−50346号および同8−109334号の各公報には、オキソノール染料のメチン基に置換基を導入することにより、白地の着色を防止する方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者が、従来のオキソノール染料を研究したところ、メチン基に置換基を導入すると、水溶液中における化合物の安定性が低下することが判明した。ハロゲン化銀写真感光材料の製造において、染料は水溶液の状態で保存してあるものを使用することが普通である。水溶液中での染料の安定性が低いと、ハロゲン化銀写真感光材料の製造に問題が生じる。
本発明の目的は、ハロゲン化銀写真感光材料用の染料としての機能が優れているオキソノール化合物を提供することである。
また、本発明の目的は、水溶液中での安定性が優れ、写真の用途に適した吸収特性を有し、画像形成処理において容易に消色できる新規オキソノール染料を提供することでもある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(5)のオキソノール化合物により達成された。
(1)下記式(I)で表されるオキソノール化合物。
【0006】
【化3】
【0007】
式中、Zは2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル、スクシンイミド、フタルイミド、マレイミド、2,4,6−ピペリジントリオン−1−イル、2−ピロリジノン−1−イルまたはペルヒドロアゼシン−2,10−ジオン−1−イルを表し、W1およびW2は、それぞれヘテロ環中にヘテロ原子として窒素原子、酸素原子または硫黄原子を有する5員または6員のヘテロ環を形成する原子団であり、そしてMはカチオンである。
(2)式(I)において、W 1 およびW 2 が、それぞれフラノン、ベンゾフラノン、ピロリノン、ピリドン、ピラゾロン、ピラゾリジンジオン、イソオキサゾロン、イミダゾロン、ピラゾロピリドン、バルビツール酸、ロダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、オキシインドール、ジアザインダノンまたはクマリン環を形成する原子団である(1)に記載のオキソノール化合物。
(3)式(I)においてW1およびW2がそれぞれピラゾロン環を形成する原子団である(1)に記載のオキソノール化合物。
(4)式(I)において、Zがヒダントイン環である2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イルを形成する原子団であり、W1およびW2がともにピラゾロン環を形成する原子団である(1)に記載のオキソノール化合物。
(5)下記式(Ia)で表されるオキソノール化合物。
【0008】
【化4】
【0009】
式中、Za は2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル、スクシンイミド、フタルイミド、マレイミド、2,4,6−ピペリジントリオン−1−イルまたはペルヒドロアゼシン−2,10−ジオン−1−イルを表し、W1aおよびW2aは、それぞれヘテロ環中にヘテロ原子として窒素原子、酸素原子または硫黄原子を有する5員または6員のヘテロ環を形成する原子団であり、そしてMaはカチオンである。
さらに本発明は、下記(6)のハロゲン化銀写真感光材料も提供する。
(6)支持体上に、ハロゲン化銀乳剤層および非感光性層を有するハロゲン化銀写真感光材料であって、ハロゲン化銀乳剤層または非感光性層が、(1)乃至(5)のいずれかに規定するオキソノール化合物を含むことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のオキソノール化合物は、メチン基のメソ位のみが特定のヘテロ環基により置換されていることを特徴とする。オキソノール化合物は、下記式(I)で表される。
【0011】
【化5】
【0012】
式(I)において、Zはヘテロ環を形成する原子団である。式(I)には、2員の原子が表示されているため、Zは残りの原子(およびそれに任意に結合できる置換基)とその結合を意味する。ヘテロ環は5員また6員である。ヘテロ環中のヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子および酸素原子がさらに好ましい。ヘテロ環には他のヘテロ環、脂肪族環又は芳香族環(好ましくは他のヘテロ環又は芳香族環)が縮合してもよい。
【0013】
Zが形成するヘテロ環基の例には、2、4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2、4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル、スクシンイミド、フタルイミド、マレイミド、2、4、6−ピペリジントリオン−1−イル、2−ピロリジノン−1−イルおよびペルヒドロアゼシン−2、10−ジオン−1−イルが含まれる。2、4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2、4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル、スクシンイミド、フタルイミドおよびマレイミドが好ましく、2、4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2、4−ジオキシオキサゾリジン−3−イルおよびマレイミドがさらに好ましい。
Zが形成するヘテロ環基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、炭素原子数が1乃至20のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、カルボキシメチル、スルホエチル)、炭素原子数が7乃至20のアラルキル基(例、ベンジン、フェネチル)、炭素原子数が1乃至8のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)、炭素原子数が6乃至20のアリール基(例、フェニル、4−スルホフェニル、2、5−ジスルホフェニル、4−カルボキシフェニル、ナフチル)、炭素原子数が6乃至20のアリールオキシ基(例、フェノキシ、ナフトキシ)ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、沃素)、カルボキシル、炭素原子数が2乃至10のアルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、シアノ、炭素原子数が2乃至10のアシル基(例、アセチル、ピバロイル)、炭素原子数が1乃至10のカルバモイル基(例、カルバモイル、メチルカルバモイル、モルホリノカルバモイル)、炭素原子数が1乃至20の置換アミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジスルホニルアミノ、N−エチル−N’−スルホエチルアミノ)、スルホおよびオキソが含まれる。カルボキシルおよびスルホは、塩の状態であってもよい。
【0014】
式(I)において、W1およびW2は、それぞれヘテロ環を形成する原子団である。形成するヘテロ環は、5員または6員である。ヘテロ環中のヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子であり、窒素原子および酸素原子が好ましい。また、少なくとも一つの窒素原子をヘテロ原子として有することが好ましい。ヘテロ環は不飽和であることが好ましい。ヘテロ環には、他のヘテロ環、脂肪族環または芳香族環(好ましくは、他のヘテロ環または芳香族環)が縮合してもよい。式(I)のヘテロ環のW1とW2の部分は、同一の構造を有することが好ましい。
ヘテロ環の例には、フラノン、ベンゾフラノン、ピロリノン、ピリドン、ピラゾロン、ピラゾリジンジオン、イソオキサゾロン、イミダゾロン、ピラゾロピリドン、バルビツール酸、ロダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、オキシインドール、ジアザインダノンおよびクマリンが含まれる。ベンゾフラノン、ピリドン、ピラゾロン、ピラゾリジンジオン、イソオキサゾロン、イミダゾロン、ピラゾロピリドン、バルビツール酸、オキシインドールおよびジアザインダノンが好ましい。ベンゾフラノン、ピラゾロン、ピラゾリジンジオンおよびイソオキサゾロンがさらに好ましい。
【0015】
ヘテロ環は置換基を有していてもよい。置換基の例には、炭素原子数が1乃至20のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、カルボキシメチル、スルホエチル)、炭素原子数が7乃至20のアラルキル基(例、ベンジル、フェネチル)、炭素原子数が1乃至8のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)、炭素原子数が6乃至20のアリール基(例、フェニル、4−スルホフェニル、2,5−ジスルホフェニル、4−カルボキシフェニル、ナフチル)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、カルボキシル、炭素原子数が2乃至10のアルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、シアノ、炭素原子数が2乃至10のアシル基(例、アセチル、ピバロイル)、炭素原子数が1乃至10のカルバモイル基(例、カルバモイル、メチルカルバモイル、モルホリノカルバモイル)、炭素原子数が1乃至10のスルファモイル基(例、メチルスルファモイル)、炭素原子数が1乃至20の置換アミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジスルホエチルアミノ、N−エチル−N’−スルホエチルアミノ)、スルホおよびオキソが含まれる。カルボキシルおよびスルホは、塩の状態であってもよい。
【0016】
式(I)において、Mは、カチオンである。カチオンは、一価であることが好ましい。カチオンの例には、プロトン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン)および有機イオン(例、テトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)が含まれる。プロトン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、トリエチルアンモニウムイオンおよびピリジニウムイオンが好ましく、プロトン、カリウムイオンおよびナトリウムイオンがさらに好ましい。なお、Mがプロトンの場合は、それに隣接する酸素原子と共に水酸基を形成する。
【0017】
下記式(Ia)で表されるオキソノール化合物が特に好ましい。
【0018】
【化6】
【0019】
式(Ia)において、Zaはヘテロ環を形成する原子団である。式(I)には、3員の原子が表示されているため、Zは残りの原子(およびそれに任意に結合できる置換基)とその結合を意味する。ヘテロ環は、5員または6員である。ヘテロ環中のヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子および酸素原子がさらに好ましい。ヘテロ環には他のヘテロ環、脂肪族環又は芳香族環(好ましくは他のヘテロ環又は芳香族環)が縮合してもよい。
Zaが形成するヘテロ環基の置換基については、前述した式(I)のZが形成するヘテロ環基の置換基と同様である。
式(Ia)において、W1aおよびW2aは、それぞれヘテロ環を形成する原子団である。W1aおよびW2aの定義および置換基の例は、前述した式(I)のW1およびW2 の定義および置換基の例と同様である。
式(Ia)において、Maはカチオンである。Maの定義および例は、前述した式(I)のMの定義および例と同様である。
【0020】
本発明のオキソノール化合物の具体例を以下に挙げる。
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】
【化10】
【0025】
【化11】
【0026】
【化12】
【0027】
【化13】
【0028】
【化14】
【0029】
【化15】
【0030】
【化16】
【0031】
【化17】
【0032】
【化18】
【0033】
【化19】
【0034】
【化20】
【0035】
【化21】
【0036】
【化22】
【0037】
【化23】
【0038】
I−19
【0039】
【化25】
【0040】
【化26】
【0041】
【化27】
【0042】
本発明のオキソノール化合物は、エフ・エム・ハマー(F.M. Hammer )著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニン・ダイズ・アンド・リレイテッド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyaninedyes and Related Compounds)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons )社、ニューヨーク・ロンドン、1964年」の244〜247頁および463〜482頁に記載の方法を参考にして合成することができる。すなわち、オキソエステル類、アセタール類、アミジン類、ピリジニウム4級塩のようなメチン源と、活性メチレン基を有する酸性核との反応によりオキソノール化合物を合成する。メチン源の添加量は、酸性核の20乃至200モル%であることが好ましく、30乃至100モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。
【0043】
オキソノール化合物の合成反応には、塩基の存在が必要である。有機塩基と無機塩基のいずれも用いることができる。求核性の小さい有機塩基が好ましく、具体的には、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロウンデセンまたはカリウム−t−ブトキシドが特に好ましく用いられる。塩基の添加量は、酸性核の1乃至20倍モルであることが好ましく、1乃至10倍モルであることがさらに好ましく、1乃至6倍モルであることが最も好ましい。
合成反応は不活性溶媒中で行なう。不活性溶媒の例には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、酢酸エチル、スルホラン、テトラヒドロフランおよびトルエンが含まれる。ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドが好ましく、ジメチルホルムアミドが特に好ましい。反応温度は、−20乃至150℃であることが好ましく、0乃至120℃であることが更に好ましく、0乃至100℃であることが最も好ましい。
【0044】
本発明のオキソノール化合物をハロゲン化銀写真感光材料用の染料として用いると、感光材料の鮮鋭度や色分解能を向上させることができる。具体的には、本発明の化合物を、フィルター染料、イラジエーション防止染料またはハレーション防止染料として用いることができる。
本発明の化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料のハロゲン化銀乳剤層または非感光性層(例、保護層、中間層、ハレーション防止層、バック層、紫外線吸収層、混色防止層)に添加する。複数の層に添加してもよい。ハロゲン化銀乳剤層よりも非感光性層に添加する方が好ましい。化合物を層内に分子状に分散されていてもよいし、固体微粒子状で分散してもよい。分子状で分散することが好ましい。分子状分散とは、化合物が層内に均一に分散されており、透過型電子顕微鏡(TEM)で10万倍の倍率で観察しても、化合物の微粒子が全く検出されない状態を意味する。
【0045】
本発明の化合物を、ハロゲン化銀写真感光材料のハロゲン化銀乳剤層または非感光性層に分子状に分散するためには、化合物を適当な溶媒中に溶解して、得られた溶液を層の塗布液に添加することが好ましい。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、メチルセロソルブ、ハロゲン化アルコール(特開昭48−9715号公報および米国特許3756830号明細書記載)、アセトン、N、N−ジメチルホルムアミド、ピリジンおよびこれらの混合溶媒が用いられる。水、メタノールまたは水とメタノールの混合溶媒が特に好ましい。
【0046】
ハロゲン化銀写真感光材料中の本発明の化合物の使用量は、光学濃度が0.05乃至3.0の範囲となるように調整することが好ましい。具体的な添加量としては、感光材料1m2 当り、0.5乃至1000mgであることが好ましく、1乃至500mgであることがさらに好ましく、5乃至200mgであることが最も好ましい。
【0047】
本発明の化合物は、種々のカラー及び白黒用のハロゲン化銀写真感光材料に用いることができる。
具体的には、カラーポジ用感光材料、カラーペーパー用感光材料、カラーネガ用感光材料、カラー反転用感光材料(カプラーを含む内型と、含まない外型とがある)、直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料、製版用写真感光材料(例えば、リスフィルム、リスデュープフィルム)、陰極線管ディスプレイ用感光材料、X線記録用感光材料(特にスクリーンを用いる直接及び間接撮影用材料)、銀塩拡散転写法(Silver salt diffusion transfer process) に用いる感光材料、色素拡散転写法に用いる感光材料、銀色素漂白法に用いる感光材料や熱現像用感光材料に、本発明の化合物を染料として用いることができる。
【0048】
ハロゲン化銀感光材料に使用するハロゲン化銀は、臭化銀、沃臭化銀、沃塩臭化銀、塩臭化銀および塩化銀のいずれであってもよい。好ましいハロゲン化銀は臭化銀、塩臭化銀および沃塩臭化銀である。塩化銀の割合の高い高塩化銀も好ましく用いられる。高塩化銀に適した感光材料の構成および処理については、特開平2−42号公報に記載がある。また、塩臭化銀に適した感光材料の構成および処理については、特開昭63−264743号公報に記載がある。
ハロゲン化銀粒子の形状は、立方体、14面体、菱12面体のような規則的 (regular)な結晶体であってもよく、また球状、平板状などのような変則的(irregular) な結晶形であってもよい。また、これらの結晶形の複合形であってもよい。さらに、種々の結晶形の粒子の混合物であってもよい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層とが異なる相をもっていても、均一な相から成っていてもよい。また潜像が主として表面に形成されるような粒子(例えば、ネガ型ハロゲン化銀乳剤)でも、粒子内部に主として形成されるような粒子(例えば、内部潜像型ハロゲン化銀乳剤)でも、あるいは予めかぶらせた粒子(例えば、直接ポジ型ハロゲン化銀乳剤)であってもよい。
【0049】
ハロゲン化銀乳剤は、ピー・グラフキデス(P. Glafkides)著「シミー・エ・フィジーク・フォトグラフィーク(Chimie et Physique Photograhique 」(ポ−ルモンテル(Paul Montel) 社刊、1967年)、ジー・エフ・デフェイン(G.F. Duffin) 著、 「フォトグラフィク・エマルジョン・ケミストリー(Photographic Emulsion Chemistry) 」(ザ・フォーカルプレス(The Focal Press) 刊、 1966年)、あるいはヴィ・エル・ツエリクマンら(V.L.Zelikman et al.) 著「メーキング・アンド・コーティング・フォトグラフィク・エマルジョン(Making and Coating Photographic Emulsion)」(ザ・フォーカルプレス(The Focal Press) 刊、 1964年)に記載された方法を参考にして調製することができる。
ハロゲン化銀粒子の形成時に、粒子の成長をコントロールするためハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。ハロゲン化銀溶剤の例には、アンモニア、ロダンカリ、ロダンアンモン、チオエーテル化合物(米国特許3271157号、同3574628号、同3704130号、同4297439号、同4276374号の各明細書記載)、チオン化合物(特開昭53−144319号、同53−82408号、同55−77737号の各公報記載)およびアミン化合物(特開昭54−100717号公報記載)が含まれる。
【0050】
ハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成において、カドミウム塩、亜鉛塩、タリウム塩、イリジウム塩またはその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩、鉄塩または鉄錯塩を共存させてもよい。
内部潜像型ハロゲン化銀乳剤については、米国特許2592250号、同3206313号、同3447927号、同3761276号および同3935014号の各明細書に記載がある。内部潜像型ハロゲン化銀乳剤については、コンバージョン型ハロゲン化銀乳剤、コア/シェル型ハロゲン化銀乳剤や異種金属を内蔵させたハロゲン化銀乳剤が含まれる。
【0051】
ハロゲン化銀乳剤は、通常は化学増感される。化学増感については、エイチ・フリーザー(H. Frieser)編「ディ・グランドラーゲン・デア・フォトグラフィッツェン・プロヅェッセ・ミット・ジルベルハロゲニーデン( Die Grundlagen der Photographischen Prozesse mit Silberhalogeniden) 」、アカデミッシェ フェアラーグス社(Akademische Verlagsgesellschaft) 社、(1968年)675〜734頁に記載がある。
化学増感は、カルコゲン増感(硫黄増感、セレン増感、テルル増感)、還元増感および貴金属増感に分類される。硫黄増感では、活性ゼラチンや銀と反応し得る硫黄を含む化合物(例、チオ硫酸塩、チオ尿素類、メルカプト化合物類、ローダニン類)を増感剤として用いる。還元増感では、還元性物質(例、第一すず塩、アミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物)を増感剤として用いる。貴金属増感では、貴金属化合物(例、金あるいはPt、Ir、Pdのような周期律表VIII族の金属の錯塩)を増感剤として用いる。二種類以上の増感方法を併用することもできる。
【0052】
写真感光材料には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防止し、写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物をカブリ防止剤または安定剤として添加することができる。そのような化合物として、ヘテロ環化合物、ヘテロ環メルカプト化合物、チオケトン化合物(例、オキサゾリンチオン)、ベンゼンチオスルホン酸類、ベンゼンスルフィン酸あるいはアセチンレン化合物(特開昭62−87957号公報に記載)が用いられる。ヘテロ環化合物の例には、チアゾール類(例、ベンゾチアゾリウム塩およびその開環体)、ニトロインダゾ−ル類、トリアゾ−ル類、ベンゾトリアゾール類、ベンズイミダゾール類(特にニトロ−またはハロゲン置換体)およびアザインデン類(例、テトラアザインデン類、特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデン類)が含まれる。ベンゾチアゾリウム塩については、米国特許3954478号、同4942721号の各明細書および特開昭59−191032号公報に記載がある。ベンゾチアゾリウム塩の開環体については、特公昭59−26731号公報に記載がある。ヘテロ環メルカプト化合物の例には、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール)およびメルカプトピリミジン類が含まれる。ヘテロ環メルカプト化合物には、カルボキシル基やスルホ基のような水溶性基が結合してもよい。
【0053】
ハロゲン化銀写真感光材料は、カラーカプラー(シアンカプラー、マゼンタカプラー、イエローカプラー)を含むことができる。
カラーカプラーは、発色現像処理において芳香族1級アミン現像薬(例、フェニレンジアミン誘導体、アミノフェノール誘導体)との酸化カップリングによって発色しうる化合物である。
マゼンタカプラーの例には、5−ピラゾロンカプラー、ピラゾロベンズイミダゾールカプラー、シアノアセチルクマロンカプラーおよび開鎖アシルアセトニトリルカプラーが含まれる。イエローカプラーの例には、アシルアセトアミドカプラー(例、ベンゾイルアセトアニリド類、ピバロイルアセトアニリド類)が含まれる。シアンカプラーの例には、ナフトールカプラーおよびフェノールカプラーが含まれる。これらのカプラーは、分子中にバラスト基とよばれる疎水基を有する非拡散性の化合物が望ましい。カプラーは、銀イオンに対し4当量性あるいは2当量性のどちらでもよい。また、色補正の効果を持つカラードカプラーや現像にともなって現像抑制剤を放出するカプラー(いわゆるDIRカプラー)を用いてもよい。
DIRカプラー以外にも、カップリング反応の生成物が無色であって現像抑制剤を放出する無呈色のDIRカップリング化合物を用いることができる。
含んでもよい。
【0054】
写真感光材料の添加剤には、感度上昇、コントラスト上昇あるいは現像促進の目的で使用する化合物もある。そのような添加剤の例には、ポリアルキレンオキシドまたはその誘導体(例、エーテル、エステル、アミン)、チオエーテル化合物、チオモルホリン類、4級アンモニウム塩化合物、ウレタン誘導体、尿素誘導体、イミダゾール誘導体および3−ピラゾリドン類が含まれる。
【0055】
本発明の化合物に加えて、他の染料を併用してもよい。写真感光材料に用いられる染料には、ピラゾロン核やバルビツール酸核を有するオキソノール染料(英国特許506385号、同1177429号、同1311884号、同1338799号、同1385371号、同1467214号、同1433102号、同1553516号、、米国特許3247127号、同3469985号、同4078933号の各明細書、特開昭48−85130号、同49−114420号、同52−117123号、同55−161233号、同59−111640号、特公昭39−22069号、同43−13168号、同62−273527号の各公報記載)、その他のオキソノール染料(米国特許2533472号、同3379533号、英国特許1278621号の各明細書、特開平1−134447号、同1−183652号の各公報記載)、アゾ染料(英国特許575691号、同680631号、同599623号、同786907号、同907125号、同1045609号、米国特許4255326号の各明細書、特開昭59−211043号公報記載)、アゾメチン染料(特開昭50−100116号、同54−118247号の各公報、英国特許2014598号、同750031号の各明細書記載)、アントラキノン染料(米国特許2865752号明細書記載)、アリーリデン染料(米国特許2533009号、同2688541号、同2538008号、英国特許584609号、同1210252号の各明細書、特開昭50−40625号、同51−3623号、同51−10927号、同54−118247号、特公昭48−3286号、同59−37303号の各公報記載)、スチリル染料(特公昭28−3082号、同44−16594号、同59−28898号の各公報記載)、トリアリールメタン染料(英国特許446583号、同1335422号の各明細書、特開昭59−228250号公報記載)、メロシアニン染料(英国特許1075653号、同1153341号、同1284730号、同1475228号、同1542807号の各明細書記載)およびシアニン染料(米国特許2843486号、同3294539号の各明細書、特開平1−291247号公報記載)がある。
【0056】
染料の拡散を防止するため、解離したアニオン性染料と反対の電荷をもつ親水性ポリマーを媒染剤として層に共存させ、染料分子との相互作用によって染料を特定層中に局在化させることができる。この方法は、米国特許2548564号、同4124386号、同3625694号の各明細書に記載がある。
また、水に不溶性の染料固定を用いて、特定層を染色してもよい。この方法は、特開昭56−12639号、同55−155350号、同55−155351号、同63−27838号、同63−197943号の各公報、欧州特許15601号明細書に記載がある。
さらに、染料が吸着した金属塩微粒子を用いて特定層を染色してもよい。この方法は、米国特許2719088号、同2496841号、同2496843号の各明細書、特開昭60−45237号公報に記載がある。
【0057】
写真感光材料は界面活性剤を含むことができる。界面活性剤には、塗布助剤、帯電防止剤、スベリ性改良剤、乳化分散剤、接着防止剤および写真特性改良剤(例えば、現像促進、硬調化、増感)のようなさまざまな機能がある。
写真感光材料のその他の添加剤としては、退色防止剤、無機もしくは有機の硬膜剤、色カブリ防止剤、紫外線吸収剤、媒染剤、可塑剤、ラテックスポリマーやマット剤を挙げることができる。写真感光材料用添加剤の詳細については、リサーチディスクロージャー(Research Disclosure)Vol.176(1978、XI) 、D−17643に記載がある。
写真感光材料には、保護コロイドとして親水性ポリマーが用いられる。ゼラチンが代表的な親水性保護コロイドである。
写真感光材料の支持体としては、バライタ紙、レジンコート紙、合成紙、トリアセテートフイルム、ポリエチレンテレフタレートフイルム、その他のプラスチックフイルムまたはガラス板が用いられる。
【0058】
画像を得るための露光は、通常の方法で実施できる。すなわち、自然光(日光)、タングステン電灯、蛍光灯、水銀灯、キセノンアーク灯、炭素アーク灯、キセノンフラッシュ灯、陰極線管フライングスポットのような公知の光源を用いることができる。通常のカメラで用いられる1/1000秒から1秒の露光時間に加えて、1/1000秒より短い露光時間(例えば、キセノン閃光灯や陰極線管を用いた1/104 〜1/106 秒の露光)や1秒より長い露光時間を採用することもできる。必要に応じて、色フィルターで露光に用いられる光の分光組成を調節することができる。露光にレーザー光を用いることもできる。また電子線、X線、γ線、α線などによって励起された蛍光体から放出する光により、感光材料を露光してもよい。
ハロゲン化銀感光材料の処理は、公知の方法に従い公知の処理液を用いて実施できる。処理方法と処理液については、リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure) 176号、28〜30頁(RD−17643)に記載がある。目的に応じて、銀画像を形成する写真処理(黒白写真処理)あるいは色素像を形成する写真処理(カラー写真処理)を採用する。処理温度は、通常は18乃至50℃であるが、18℃より低い温度や50℃を越える温度でも処理可能である。
【0059】
磁気記録媒体を有するハロゲン化銀写真感光材料に、本発明の化合物を染料として添加してもよい。
磁気記録媒体を有するハロゲン化銀写真感光材料では、予め熱処理したポリエステルの薄層支持体(例えば、ポリエチレン芳香族ジカルボキシレート系ポリエステル支持体)が好ましく用いられる。支持体の厚さは、50乃至300μmが好ましく、50乃至200μmがより好ましく、80乃至115μmがさらに好ましく、85乃至105μmが最も好ましい。熱処理(アニーリング)は、40℃からポリエステルのガラス転移温度までの温度で、1乃至1500時間実施することが好ましい。このようなポリエステル支持体については、特開平6−35118号、同6−17528号、発明協会公開技法94−6023号の各公報に記載がある。
【0060】
熱処理したポリエステル支持体は、紫外線照射(特公昭43−2603号、同43−2604号、同45−3828号の各公報記載)、コロナ放電(特公昭48−5043号、特開昭51−131576号の各公報記載)あるいはグロー放電(特公昭35−7578号、同46−43480の各公報記載)により、表面を親水化することができる。支持体に下塗り処理(米国特許5326689号明細書記載)を行ない、必要に応じて下引き層(米国特許2761791号明細書記載)を設けてから、強磁性体粉末(特開昭59−23505号、特開平4−195726号、同6−59357号の各公報記載)を塗布することができる。
磁性層は、ストライプ状(特開平4−124642号、同4−124645号の各公報記載)に設けてもよい。必要に応じて帯電防止処理(特開平4−62543号公報記載)を行なってから、ハロゲン化銀乳剤(特開平4−166932号、同3−41436号、同3−41437号の各公報記載)を塗布することができる。
【0061】
磁気記録媒体を有するハロゲン化銀写真感光材料は、製造状況を管理(特公平4−86817号公報記載)し、製造データを記録(特公平6−87146号公報記載)しながら製造することが好ましい。製造の前後で、従来の135サイズよりも細幅のフイルムにカットし、従来よりも小さいフォーマット画面に適合するように、パーフォレーションを小フォーマット画面当たり片側2穴せん孔することができる(特開平4−125560号公報記載)。
製造した写真フイルムは、カートリッジ包装体(特開平4−157459号公報記載)、カートリッジ(特開平5−210202号公報、米国特許4834306号、同4834366号、同5226613号、同4846418号の各明細書記載)あるいはフイルムパトローネ(米国特許4221479号明細書記載)に入れて使用することができる。
フイルムカートリッジおよびフィルムパトローネは、ベロが収納できる形状(米国特許4848693号、同5317355号各明細書記載)であると遮光性が向上する。さらに、ロック機構を持ったカートリッジ(米国特許5296886号明細書記載)、使用状態が表示されるカートリッジ(米国特許5347334号明細書記載)や二重露光防止機能を有するカートリッジも好ましく用いられる。フイルムを単に差し込むだけで容易にフイルムが装着されるカートリッジ(特開平6−85128号公報記載)を用いてもよい。
【0062】
フイルムカートリッジは、カメラを用いて撮影し、現像機やラボ機器を用いて現像することで、色々な写真を作成できる。
簡易装填式のカメラ(特開平6−8886号、同6−99908号の各公報記載)、自動巻き上げ式カメラ(特開平6−57398、同6−101135号の各公報記載)、撮影途中でフイルムの種類を取り出し交換できるカメラ(特開平6−205690公報記載)、アスペクト比のような撮影時の情報をフイルムに磁気記録できるカメラ(特開平5−293138号、同5−283382号の各公報記載)、二重露光防止機能を有するカメラ(特開平6−101194号公報記載)やフイルムの使用状態表示機能の付いたカメラ(特開平5−150577号公報記載)を用いるとフィルムカートリッジ(パトロ−ネ)の機能を充分発揮できる。
撮影されたフイルムは、自動現像機(特開平6−222514号、同6−222545号の各公報記載)で処理することができる。処理の前後または処理中に、フィルム上の磁気記録を利用(特開平6−95265号、同4−123054号の各公報記載)してもよいし、アスペクト比選択機能を利用(特開平5−19364号公報記載)してもよい。
【0063】
シネ型現像であれば、スプライス処理(特開平5−119461号公報記載)が可能である。現像処理と同時に、または処理後に、アタッチ・デタッチ処理(特開平6−148805号公報記載)を行なうことができる。現像処理の後で、カラーペーパーへのバックプリント、フロントプリントを経てフィルム情報をプリントに変換してもよい(特開平2−184835号、同4−186335号、同6−79968号の各公報記載)。プリントは、インデックスプリント(特開平5−11353号、同5−232594号の各公報記載)および返却カートリッジと共に、顧客に返却することができる。
【0064】
【実施例】
(1)メチン源1の合成
下記式に従ってメチン源1を合成した。
【0065】
【化28】
【0066】
(化合物aの合成)
4−アミノピリジン37.4g(0.4mol)をアセトニトリル400mlに懸濁させ、トリエチルアミン56ml(0.4mol)を加え、氷冷下でクロロ蟻酸フェニル50.2ml(0.4mol)を5回に分けて添加した。添加後室温にて5分間攪拌した後、反応液を水700mlに注ぎ、析出する結晶を濾取し、化合物aを得た。
収量:74.6g
収率:87%
H−NMR(DMSO−d6):δ8.42(d,2H)、7.10−7.60(m,7H)
【0067】
(化合物bの合成)
化合物a21.4g(0.1mol)とグリシンエチルエステル塩酸塩14.0g(0.1mol)とトリエチルアミン14ml(0.1mol)をアセトニトリル200mlに添加し、2時間加熱還流を行なった。アセトニトリルを減圧下で留去した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を濃縮して化合物bを含むオイルを得た。このオイルは精製することなく次の工程に用いた。
Mass(Posi):224(M+H)+
【0068】
(化合物cの合成)
化合物bを含むオイルを150℃で1時間加熱すると固体が析出した。室温まで冷却した後、アセトン50mlを加えて固体を濾取し、さらにアセトンで洗浄して化合物cの針状結晶を得た。
収量:10.4g
収率:59%(化合物aから換算)
H−NMR(DMSO−d6):δ8.70(d,2H)、8.50(s,1H)、7.58(d,2H)、4.10(s,2H)
Mass(Posi):178(M+H)+
【0069】
(メチン源1の合成)
化合物c1.8g(10mmol)と2,4−ジニトロクロルベンゼン4.0g(20mmol)をn−ブチロニトリル6mlに溶解させ、135℃で6時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、アセトン20mlを添加して析出した結晶を濾取してメチン源1を得た。
収量:3.0g
収率:79%
H−NMR(DMSO−d6):δ9.38(d,2H)、9.19(s,1H)、9.10(d,1H)、8.97(dd,1H)、8.69(d,2H)、8.47(d,1H)、4.20(s,2H)
Mass(Posi):344(M−Cl)+
【0070】
(2)メチン源2の合成
下記式に従って、メチン源2を合成した。
【0071】
【化29】
【0072】
(化合物dの合成)
4−アミノピリジン9.4g(0.1mol)と2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチルエステル11.8g(0.1mol)と炭酸ジエチル36mlを混合し、ナトリウムエチラートを触媒量添加して、アルコールを留去しながら6時間加熱還流を行なった。反応液に析出した結晶を濾取し、ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒で再結晶を行い化合物dを得た。
収量:12.8g
収率:62%
Mass(Posi):207(M+H)+
【0073】
(メチン源2の合成)
化合物d2.06g(10mmol)と2,4−ジニトロクロルベンゼン4.0g(20mmol)をn−ブチロニトリル6mlに溶解させ、135℃で12時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、アセトン20mlを添加して析出した結晶を濾取してメチン源2を得た。
収量:2.8g
収率:68%
Mass(posi):373(M−Cl)+
【0074】
(3)メチン源3の合成
下記式に従って、メチン源3を合成した。
【0075】
【化30】
【0076】
(化合物eの合成)
4−アミノピリジン9.4g(0.1mol)とジエチルスクシネート17.4g(0.1mol)をn−ブチロニトリルに溶解し、触媒量のパラトルエンスルホン酸を添加してアルコールを留去しながら4時間加熱還流を行った。反応液に析出した結晶を濾取し、ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒で再結晶を行い化合物eを得た。
収量:14.1g
収率:80%
Mass(posi):177(M+H)+
【0077】
(メチン源3の合成)
化合物e1.76g(10mmol)と2,4−ジニトロクロルベンゼン4.0g(20mmol)をn−ブチロニトリル6mlに溶解させ、115℃で6時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、アセトン20mlを添加して析出した結晶を濾取してメチン源3を得た。
収量:3.4g
収率:91%
Mass(posi):309(M−Cl)+
【0078】
(4)メチン源4の合成
下記式に従って、メチン源4を合成した。
【0079】
【化31】
【0080】
(化合物fの合成)
4−アミノピリジン9.4g(0.1mol)とジエチルマレエート16.0g(0.1mol)をn−ブチロニトリルに溶解し、溶媒量のパラトルエンスルホン酸を添加してアルコールを留去しながら4時間加熱還流を行った。反応液に析出した結晶を濾取し、ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒で再結晶を行い化合物fを得た。
収量:13.6g
収率:78%
Mass(Posi):175(M+H)+
【0081】
(メチン源4の合成)
化合物f1.74g(10mmol)と2,4−ジニトロクロルベンゼン4.0g(20mmol)をn−ブチロニトリル6mlに溶解させ、115℃で6時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、アセトン20mlを添加して析出した結晶を濾取してメチン源4を得た。
収量:3.3g
収率:88%
Mass(posi):341(M−Cl)+
【0082】
(5)メチン源5の合成
下記式に従って、メチン源5を合成した。
【0083】
【化32】
【0084】
(化合物gの合成)
4−アミノピリジン9.4g(0.1mol)と無水フタル酸14.8g(0.1mol)をジメチルアセトアミド10mlに溶解し、パラトルエンスルホン酸1.90g(10mmol)を添加して8時間加熱還流を行った。反応液に析出した結晶を濾取し、ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒で再結晶を行い化合物gを得た。
収量:12.5g
収率:56%
Mass(Posi):225(M+H)+
【0085】
(メチン源5の合成)
化合物g2.24g(10mmol)と2,4−ジニトロクロルベンゼン4.0g(20mmol)をn−ブチロニトリル6mlに溶解させ、115℃で6時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、アセトン20mlを添加して析出した結晶を濾取してメチン源5を得た。
収量:3.8g
収率:89%
Mass(posi):391(M−Cl)+
【0086】
(6)化合物I−1の合成
1−(2,4−ジスルホフェニル)−3−メチルカルバモイルピラゾロンモノナトリウム塩4.0g(10mmol)とメチン源1・1.9g(5mmol)をジメチルホルムアミド40mlに分散させ、トリエチルアミン5.6ml(40mmol)を添加して室温で3日間攪拌した。反応液をアセトン100mlに注加して室温で30分間攪拌すると、I−1のトリエチルアミン塩が析出した。この結晶をメタノール50mlに溶解させ、酢酸カリウム8gのメタノール溶液20mlを添加して室温で30分間攪拌すると、I−1の粗結晶が析出した。粗結晶を水20mlに溶解させ、メタノール80mlを添加し、不溶物を濾別した後濾液に少量のアセトンを添加すると純度の高いI−1が析出した。
収量:1.8g
収率:33%
融点:>300℃
溶液吸収極大:689nm(水)
分子吸光係数:140000
【0087】
(7)化合物I−2の合成
1−(2,4−ジスルホフェニル)−3−カルボキシピラゾロンモノナトリウム塩3.9g(10mmol)とメチン源1・1.9g(5mmol)をジメチルスルホキシド100mmlと水10mlに分散させ、トリエチルアミン5.6ml(40mmol)を添加して室温で2日間攪拌した。反応液をアセトン500mlに注加して室温で30分間攪拌するとI−2のトリエチルアミン塩が析出した。この結晶をメタノール50mlに溶解させ、酢酸カリウム8gの水溶液20mlを添加して室温で30分間攪拌すると、I−2の粗結晶が析出した。粗結晶を水20mlに溶解させ、メタノール80mlを添加するとI−2が析出した。 収量:1.2g
収率:21%
融点:>300℃
溶液吸収極大:685nm(水)
分子吸光係数:120000
【0088】
(8)化合物I−3の合成
1−(2,4−ジスルホフェニル)−3−エトキシカルボニルピラゾロンモノナトリウム塩4.1g(10mmol)と1−(2,4−ジニトロフェニル)−4−(1−メチル−2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル)ピリジウムクロリド2.0g(5mmol)をジメチルホルムアミド40mlに分散させ、トリエチルアミン5.6ml(40mmol)を添加して室温で2日間攪拌した。反応液をアセトン500mlに注加して室温で30分間攪拌するとI−3のトリエチルアミン塩が析出した。この結晶をメタノール50mlに溶解させ、酢酸ナトリウム8gの水溶液20mlを添加して室温で30分間攪拌すると、I−3の粗結晶が析出した。粗結晶を水20mlに溶解させ、メタノール80mlを添加するとI−3が析出した
収量:2.7g
収率:25%
融点:>300℃
溶液吸収極大:692nm(水)
分子吸光係数:120000
【0089】
(9)化合物 I−5の合成
3−(4−メトキシ−3−スルホフェニル)イソオキサゾロンナトリウム塩2.9g(10mmol)とメチン源1・1.9g(5mmol)をジメチルホルムアミド10mlに溶解させ、トリエチルアミン2.8ml(20mmol)を添加して70℃で2時間攪拌した。次に反応液を室温まで冷却し、アセトンに注ぎ込み、上澄みを除去して得られたオイル状残渣をメタノールに溶解し、酢酸カリウム8.0gのメタノール溶液10mlを添加すると化合物 I−5の粗結晶が析出した。結晶を濾取してさらに水とメタノールから再沈を行うと I−5が得られた。
収量:3.7g
収率:45%
融点:>300℃
溶液吸収極大:640nm(水)
分子吸光係数:120000
【0090】
(10)化合物I−6の合成
化合物I−5の合成例において、3−(4−メトキシ−3−スルホフェニル)イソオキサゾロンナトリウム塩を3−(4−メトキシ−3,5−ジスルホフェニル)イソオキサゾロンナトリウム塩に替え、メチン源1を1−(2,4−ジニトロフェニル)−4−(1−メチル−2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル)ピリジニウムクロリドに替えて化合物I−5の合成例で示した条件で処理すると化合物I−6が得られた。
収量:5.1g
収率:48%
融点:>300℃
溶液吸収極大:640nm(水)
分子吸光係数:115000
【0091】
(11)化合物I−7の合成
化合物I−5の合成例において、3−(4−メトキシ−3−スルホフェニル)イソオキサゾロンナトリウム塩を2,3−ビス(4−スルホフェニル)ピラゾリジンジオンに替え、メチン源1を1−(2,4−ジニトロフェニル)4−(1−フェニル−2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル)ピリジニウムクロリドに、酢酸カリウムを酢酸ナトリウムに替えて化合物I−5の合成例で示した条件で処理すると化合物I−7が得られた。
収量:6.0g
収率:51%
融点:>300℃
溶液吸収極大:635nm(水)
分子吸光係数:125000
【0092】
(12)化合物I−8の合成
1−(4−スルホフェニル)バルビツール酸3.0g(10mmol)と1−(2,4−ジニトロフェニル)4−(1−アセチル−2、4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル)ピリジニウムクロリド2.1g(5mmol)をジメチルホルムアミド10mlに溶解させ、トリエチルアミン2.8ml(20mmol)を添加して70℃で1時間攪拌した。次に反応液を室温まで冷却し、アセトンに注ぎ込み、上澄みを除去して得られたオイル状残渣をメタノールに溶解し、酢酸ナトリウム1.0gのメタノール溶液10mlを添加するとI−8の粗結晶が析出した。結晶を濾取してさらに水とメタノールから再沈を行うとI−8が得られた。
収量:4.6g
収率:55%
融点:>300℃
溶液吸収極大:632nm(水)
分子吸光係数:180000
【0093】
(13)化合物I−11の合成
4−スルホベンザフラノン2.2g(10mmol)をジメチルホルムアミド20mlに溶解させ、氷冷下で1,8−ジアザビスクロウンデセン5mlを添加した。次にメチン源1・1.9g(5mmol)を添加した後、30分かけて内部温度が60℃になるまで加熱し、さらに1時間攪拌した。次に反応液を室温まで冷却し、酢酸カリウム3.9gのメタノール溶液を添加するとI−11の粗結晶が析出した。結晶を濾取してさらに水とメタノールから再沈を行なうとI−11が得られた。
収量:1.3g
収率:19%
融点:>300℃
溶液吸収極大:695nm(水)
分子吸光係数:110000
【0094】
(14)化合物I−14の合成
1−(2,4−ジスルホフェニル)−3−カルボキシピラゾロンモノナトリウム塩3.9g(10mmol)とメチン源2・2.0g(5mmol)をジメチルスルホキシド100mlを水100mlに分散させ、トリエチルアミン5.6ml(40mmol)を添加して室温で2日間攪拌した。反応液をアセトン500mlに注加して室温で30分間攪拌するとI−14のトリエチルアミン塩が析出した。この結晶をメタノール50mlに溶解させ、酢酸カリウム8gの水溶液20mlを添加して室温で30分間攪拌すると、I−14の粗結晶が析出した。粗結晶を水20mlに溶解させ、メタノール80mlを添加するとI−14が析出した
収量:2.4g
収率:20%
融点:>300℃
溶液吸収極大:687nm(水)
分子吸光係数:125000
【0095】
(15)化合物I−15の合成
1−(2,4−ジスルホフェニル)−3−エトキシカルボニルピラゾロンモノナトリウム塩4.1g(10mmol)とメチン源3・1.7g(5mmol)をジメチルホルムアミド40mmlに分散させ、トリエチルアミン5.6ml(40mmol)を添加して室温で2日間攪拌した。反応液をアセトン100mlに注加して室温で30分間攪拌するとI−15のトリエチルアミン塩が析出した。この結晶をメタノール50mlに溶解させ、酢酸ナトリウム8gの水溶液20mlを添加して室温で30分間攪拌すると、I−15の粗結晶が析出した。粗結晶を水20mlに溶解させ、メタノール80mlを添加するとI−15が析出した
収量:2.3g
収率:22%
融点:>300℃
溶液吸収極大:686nm(水)
分子吸光係数:120000
【0096】
(16)化合物I−16の合成
1−(2,4−ジスルホフェニル)−3−アセチルピラゾロンモノナトリウム塩4.0g(10mmol)とメチン源4・1.9g(5mmol)をジメチルホルムアミド20mlに溶解させ、トリエチルアミン5.6ml(40mmol)を添加して室温で6時間攪拌した。反応液にアセトンを加えて析出するI−16の粗結晶をメタノールと水の混合溶媒に溶解し、酢酸ナトリウム10.0gの水溶液20mlを添加するとI−16が析出した。
収量:3.1g
収率:31%
融点:>300℃
溶液吸収極大:682nm(水)
分子吸光係数:140000
【0097】
(17)化合物I−17の合成
1−(2,4−ジスルホフェニル)−3−メチルカルバモイルピラゾロンモノナトリウム塩4.0g(10mmol)とメチン源5・2.2g(5mmol)をジメチルホルムアミド40mlに分散させ、トリエチルアミン5.6ml(40mmol)を添加して室温で3日間攪拌した。反応液をアセトン100mlに注加して室温で30分間攪拌するとI−17のトリエチルアミン塩が析出した。この結晶をメタノール50mlに溶解させ、酢酸カリウム8gのメタノール溶液20mlを添加して室温で30分間攪拌すると、I−17の粗結晶が析出した。粗結晶を水20mlに溶解させ、メタノール80mlとイソプロピルアルコール40mlを添加し、不溶物を濾別した後、濾液に少量のアセトンを添加すると純度の高いI−17が析出した。
収量:3.8g
収率:33%
融点:>300℃
溶液吸収極大:689nm(水)
分子吸光係数:1150000
【0098】
[感光材料の作成]
(反射支持体の作成)
MFR=3の低密度ポリエチレンに、15重量%の割合で二酸化チタンを添加し、さらにステアリン酸亜鉛を二酸化チタン量に対して3.0重量%の割合で添加し、群青(DV−1、第一化成工業(株)製)と共にバンバリーミキサー中で混練後、ペレット状に成形してマスターバッチを作成した。二酸化チタンは、電子顕微鏡で0.15乃至0.35μmの粒子径を有し、水和酸化アルミニウムのコーティング量がA12 03 換算で二酸化チタンに対して0.75重量%のものを用いた。
坪量170g/m2 の紙基体に10kVAのコロナ放電処理後、多層押し出しコーティングダイを用いて320℃で溶融押し出しを行ない、30μmの膜厚でポリエチレンラミネート層を設けた。このポリエチレン層表面にグロー放電処理を行なった。
【0099】
(写真構成層の形成)
反射支持体の上に種々の写真構成層を塗布して、以下に示す層構成の多層カラー印画紙を作製した。塗布液は下記のようにして調製した。
【0100】
(第一層塗布液の調製)
イエローカプラー(ExY)153.0g、色像安定剤(Cpd−1)15.0g、色像安定剤(Cpd−2)7.5g、色像安定剤(Cpd−3)16.0gを、溶媒(Solv−1)25g、溶媒(Solv−2)25gおよび酢酸エチル180ccに溶解し、この溶液を10重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液60ccおよびクエン酸10重量%を含む10%ゼラチン水溶液1000ccに乳化分散させて乳化分散物Aを調製した。
別に、塩臭化銀乳剤A(立方体、平均粒子サイズ0.88μm の大サイズ乳剤Aと0.70μm の小サイズ乳剤Aとの銀モル比で3:7の混合物、粒子サイズ分布の変動係数はそれぞれ0.08と0.10、各サイズ乳剤とも臭化銀0.3モル%を粒子表面の一部に局在して含有する)を調製した。この乳剤には、下記に示す青感性増感色素A、B、Cが、銀1モル当たり、大サイズ乳剤Aに対してはそれぞれ1.4×10-4モル、また小サイズ乳剤Aに対してはそれぞれ1.7×10-4モル添加されている。また、この乳剤の化学熟成は、硫黄増感剤と金増感剤を添加して行われた。
【0101】
前記の乳化分散物Aとこの塩臭化銀乳剤Aとを混合溶解し、以下に示す組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は銀量換算塗布量で表した。
第二層〜第七層塗布液の調製
第二層〜第七層用の塗布液も第一層塗布液と同様の方法で調製した。
支持体の上に前記の各層用の塗布液を塗布して、後記の層構成を有する感光材料の試料を製造した。
また、各層にCpd−14とCpd−15を,それぞれ全量が25.0mg/m2 と50.0mg/m2 となるように添加した。
【0102】
青感性乳剤層では、下記増感色素A〜Cを、ハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては各々1.4×10-4モル、または小サイズ乳剤に対しては各々1.7×10-4モル添加した。
【0103】
【化33】
【0104】
【化34】
【0105】
【化35】
【0106】
緑感性乳剤層では、下記増感色素Dをハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては3.0×10-4モル、小サイズ乳剤に対しては3.6×10-4モル、下記増感色素Eをハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては4.0×10-5モル、小サイズ乳剤に対しては7.0×10-5モル、下記増感色素Fをハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては2.0×10-4モル、また小サイズ乳剤に対しては2.8×10-4モル添加した。
【0107】
【化36】
【0108】
【化37】
【0109】
【化38】
【0110】
赤感性乳剤層では、下記増感色素Gをハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては5.0×10-5モル、小サイズ乳剤に対しては6.0×10-5モル、下記増感色素Hをハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては5.0×10-5モル、また小サイズ乳剤に対しては6.0×10-5モル添加した。
【0111】
【化39】
【0112】
【化40】
【0113】
さらに、下記の化合物をハロゲン化銀1モル当りたり2.6×10-3モル添加した。
【0114】
【化41】
【0115】
また青感性乳剤層、緑感性乳剤層、赤感性乳剤層に対し、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり8.5×10-5モル、9.0×10-4モル、2.5×10-4モル添加した。
また、青感性乳剤層と緑感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンをそれぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10-4モルと2×10-4モル添加した。
【0116】
(層構成)
以下に各層の組成を示す。数字は塗布量(g/m2 )であるが、ハロゲン化銀乳剤については銀換算塗布量を表す。
【0117】
────────────────────────────────────
支持体
────────────────────────────────────
ポリエチレンラミネート紙
(第一層側のポリエチレンに白色顔料(TiO2 )と青味染料(群青)を含む)
────────────────────────────────────
【0118】
────────────────────────────────────
第一層(青感性乳剤層)
────────────────────────────────────
青感性塩臭化銀乳剤 0.27
ゼラチン 1.36
イエローカプラー(ExY) 0.79
色像安定剤(Cpd−1) 0.08
色像安定剤(Cpd−2) 0.04
色像安定剤(Cpd−3) 0.08
色像安定剤(Cpd−5) 0.04
溶媒(Solv−1) 0.13
溶媒(Solv−2) 0.13
────────────────────────────────────
【0119】
────────────────────────────────────
第二層(混色防止層)
────────────────────────────────────
ゼラチン 1.00
混色防止剤(Cpd−16) 0.08
溶媒(Solv−1) 0.10
溶媒(Solv−2) 0.15
溶媒(Solv−3) 0.25
溶媒(Solv−8) 0.03
────────────────────────────────────
【0120】
────────────────────────────────────
第三層(緑感性乳剤層)
────────────────────────────────────
塩臭化銀乳剤B−1 0.13
(立方体、平均粒子サイズ0.55μmの大サイズ乳剤と、0.39μmの小サイズ乳剤との銀モル比で1:3の混合物。粒子サイズ分布の変動係数は、それぞれ0.08と0.06、各サイズ乳剤とも臭化銀0.8モル%を塩化銀を基体とする粒子表面の一部に局在含有させた。更に粒子内部と前記臭化銀局在相に銀1モル当りヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムを合わせて0.1mg、およびフェロシアン化カリウムを合わせて1mg含有させた。)
ゼラチン 1.45
マゼンタカプラー(ExM) 0.16
紫外線吸収剤(UV−2) 0.16
色像安定剤(Cpd−2) 0.03
色像安定剤(Cpd−5) 0.10
色像安定剤(Cpd−6) 0.01
色像安定剤(Cpd−17) 0.01
色像安定剤(Cpd−8) 0.08
色像安定剤(Cpd−19) 0.02
溶媒(Solv−3) 0.13
溶媒(Solv−8) 0.39
溶媒(Solv−9) 0.26
────────────────────────────────────
【0121】
────────────────────────────────────
第四層(混色防止層)
────────────────────────────────────
ゼラチン 0.70
混色防止剤(Cpd−16) 0.06
溶媒(Solv−1) 0.07
溶媒(Solv−2) 0.11
溶媒(Solv−3) 0.18
溶媒(Solv−7) 0.02
────────────────────────────────────
【0122】
────────────────────────────────────
第五層(赤感性乳剤層)
────────────────────────────────────
塩臭化銀乳剤C−1 0.18
(立方体、平均粒子サイズ0.50μmの大サイズ乳剤と、0.41μmの小サイズ乳剤との銀モル比で1:4の混合物。粒子サイズ分布の変動係数は、それぞれ0.09と0.11、各サイズ乳剤とも臭化銀0.8モル%を塩化銀を基体とする粒子表面の一部に局在含有させた。更に粒子内部と前記臭化銀局在相に銀1モル当りヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムを合わせて0.3mg、およびフェロシアン化カリウムを合わせて1.5mg含有させた。)
ゼラチン 0.85
シアンカプラー(ExC) 0.33
紫外線吸収剤(UV−4) 0.18
色像安定剤(Cpd−1) 0.33
色像安定剤(Cpd−6) 0.01
色像安定剤(Cpd−8) 0.01
色像安定剤(Cpd−18) 0.02
色像安定剤(Cpd−19) 0.01
溶媒(Solv−1) 0.01
溶媒(Solv−6) 0.22
────────────────────────────────────
【0123】
────────────────────────────────────
第六層(紫外線吸収層)
────────────────────────────────────
ゼラチン 0.60
紫外線吸収剤(UV−3) 0.39
色像安定剤(Cpd−5) 0.01
色像安定剤(Cpd−17) 0.05
溶媒(Solv−10) 0.05
────────────────────────────────────
【0124】
【0125】
使用した化合物を以下に示す。
【0126】
【化42】
【0127】
【化43】
【0128】
【化44】
【0129】
【化45】
【0130】
【化46】
【0131】
【化47】
【0132】
【化48】
【0133】
【化49】
【0134】
【化50】
【0135】
【化51】
【0136】
【化52】
【0137】
【化53】
【0138】
【化54】
【0139】
【化55】
【0140】
【化56】
【0141】
【化57】
【0142】
【化58】
【0143】
【化59】
【0144】
【化60】
【0145】
【化61】
【0146】
【化62】
【0147】
【化63】
【0148】
【化64】
【0149】
【化65】
【0150】
【化66】
【0151】
第2層および第4層には、下記のイラジエーション防止染料(C)および(D)を添加した。(C)の添加量は第2層および第4層共に10mg/m2 、(D)の添加量は第2層および第4層共に4mg/m2 であった。
【0152】
【化67】
【0153】
【化68】
【0154】
以上のようにハロゲン化銀写真感光材料(カラー印画紙)100を作成した。次に、第6層に第1表の記載のイラジエショーション防止染料を40mg/m2 添加した以外は同様にして、ハロゲン化銀写真感光材料(カラー印画紙)101〜110を作製した。
【0155】
(感度と最低濃度の評価)
写真感光材料の感度を調べるため、光学ウェッジ及び青色、赤色、および赤色フィルターを通して1秒の露光を与え、下記に示す処理工程と処理液を用いて発色現像処理を行った。処理後の印画紙のイエロー、マゼンタ、およびシアンの反射濃度を測定して特性曲線を求め、特性曲線上の最低濃度(Dmin)および濃度1.0が得られる露光量にて写真感度(S)を求めた。
【0156】
(鮮鋭度の評価)
ガラス基盤上に蒸着させた空間周波数を変化させた濃度差0.5の矩形パターンを各印画紙に密着させ、赤色フィルターを介した露光を行った上、下記の現像処理を行った。得られた矩形画像の濃度をミクロ濃度計で精密に測定し、CTF値が0.5となる空間周波数(CTF値)を求め、鮮鋭度の目安とした。CTF値は大きい程、鮮鋭度に優れることを表す。
【0157】
(保存性能の評価)
感光材料を未露光のまま保存した場合の写真感度の変動と鮮鋭度の低下を評価するため、各印画紙を0℃および40℃、60%RHの雰囲気下で4週間保存したものを用意した。これらの印画紙について、同様の露光および現像処理を行った。
保存後の写真感度の変化は、0℃で保存した印画紙の感度(S1 )と40℃60%RHの雰囲気下で保存した印画紙の感度(S2 )の差(ΔS=S2 −S1 )を以て表した。△S値が小さい程感光材料を長期保存した場合の感度増加が小さく好ましいことを表す。また、40℃、60%RHで保存後の印画紙の鮮鋭度についても上記と同様な方法で評価した。
現像処理の条件および処理液の組成を以下に示す。
【0158】
【0159】
【0160】
────────────────────────────────────
漂白定着液
────────────────────────────────────
水 800ml
チオ硫酸アンモニウム(750g/リットル) 120ml
亜硫酸アンモニウム 30g
エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム塩 0.11モル
エチレンジアミン四酢酸 0.01モル
3−カルボキシフェニルスルフィン酸 0.1モル
マレイン酸 0.1モル
pH(25℃/硝酸およびアンモニウム水にて) 6.5
────────────────────────────────────
【0161】
────────────────────────────────────
リンス液
────────────────────────────────────
イオン交換水(カルシウム、マグネシウム各々3ppm以下)
────────────────────────────────────
【0162】
以上の結果を第1表に示す。
第1表に示すように、本発明の化合物を染料として使用した印画紙の場合は、高い鮮鋭度が得られ、しかも印画紙を保存した後も高い鮮鋭度が保たれる。
一方、従来の染料を使用した比較用印画紙(101)の場合、製造直後には高い鮮鋭度が得られるが、保存後は鮮鋭度の低下や写真感度の変動が起こる問題があった。また、別の染料使用した比較用印画紙(102)〜(104)では高い鮮鋭度が得られにくい欠点があった。従来の染料の塗布量を増やした印画紙(105)では、鮮鋭度が向上するものの染料が現像処理時に充分に脱色されずに白地が汚染されており高いDmin値を示した。
すなわち、本発明の化合物を染料として使用した写真感光材料では、高い鮮鋭度が得られ、白地の汚染も少なく、かつ感光材料を保存した後も写真感度の変動や鮮鋭度の低下などが起こらない。
【0163】
【表1】
【0164】
【化69】
【0165】
【化70】
【0166】
【化71】
【0167】
【化72】
【0168】
【発明の効果】
本発明のオキソノール化合物は、吸収極大波長が従来の染料よりも長波で、かつ水溶液状態での安定性が優れている。
Claims (6)
- 式(I)において、W1およびW2が、それぞれフラノン、ベンゾフラノン、ピロリノン、ピリドン、ピラゾロン、ピラゾリジンジオン、イソオキサゾロン、イミダゾロン、ピラゾロピリドン、バルビツール酸、ロダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、オキシインドール、ジアザインダノンまたはクマリン環を形成する原子団である請求項1に記載のオキソノール化合物。
- 式(I)において、W 1 およびW 2 がそれぞれピラゾロン環を形成する原子団である請求項1に記載のオキソノール化合物。
- 式(I)において、Zがヒダントイン環である2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イルを形成する原子団であり、W1およびW2がそれぞれピラゾロン環を形成する原子団である請求項1に記載のオキソノール化合物。
- 支持体上に、ハロゲン化銀乳剤層および非感光性層を有するハロゲン化銀写真感光材料であって、ハロゲン化銀乳剤層または非感光性層が、請求項1乃至5のいずれか一項に規定するオキソノール化合物を含むことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
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