JP3790940B2 - ハロゲン化銀感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なストレプトシアニン色素を含有するハロゲン化銀感光材料に関し、さらに詳しくは互いが2価の連結基で2箇所ずつ連結されたことを特徴とする連結型ストレプトシアニン色素を含有するハロゲン化銀感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ストレプトシアニン色素は写真用増感色素として重要であるが、依然としてハロゲン化銀乳剤への吸着力が弱くハロゲン化銀乳剤中での光吸収率は低く不十分なレベルであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、光吸収率の高いハロゲン化銀感光材料を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記一般式(1)で表されるストレプトシアニン色素を含有するハロゲン化銀感光材料によって達成された。
一般式(1)
【0005】
【化3】
【0006】
式中、A1,A2及びA3は各々ストレプトシアニン色素を表す。L1,L2,L3及びL4は各々2価の連結基を表す。n1は0以上の整数を表す。
【0007】
特に下記一般式(2)で表されるストレプトシアニン色素を含有するハロゲン化銀感光材料が有効である。
一般式(2)
【0008】
【化4】
【0009】
式中、R1、R2、R3及びR4は各々アルキル基またはアリール基を表す。E1,E2,E3.,E4,E5,E6,E7,E8及びE9は各々メチン基を表す。L5,L6,L7及びL8は各々2価の連結基を表す。m1、m2、m3及びn2は0以上の整数を表す。Mは電荷中和イオンを表す。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、一般式(1)及び(2)で表されるストレプトシアニン色素について詳細に述べる。
A1,A2及びA3は各々ストレプトシアニン色素を表す。ストレプトシアニン色素とは、下記一般式(3)で表される共役系を有する化合物の総称である。
一般式(3)
【0011】
【化5】
【0012】
式中、Y1、Y2及びY3は各々水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−ノニル、i−プロピル、i−ブチル、i−ペンチル、t−ブチルなどであり、置換されていてもよい。置換基としては例えばハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子)、ニトロ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、アリール基(例えば、フェニル)、アリーロキシ基(例えば、フェノキシ)、アミド基、カルバモイル基、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ)、シアノ基などが挙げられる。以下、これらを置換基群Xという。)及び炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)、炭素数1〜20のアルコキシ基(たとえば、メトキシ、エトキシなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)、炭素数1〜20のアリールオキシ基(たとえば、フェノキシなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)である。
Y4,Y5,Y6及びY7は各々水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−ノニル、i−プロピル、i−ブチル、i−ペンチル、t−ブチルなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)、炭素数1〜20のアリール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)である。
n3は0以上の整数を表す。
具体的には、M. Okawara, T. Kitao, T. Hirashima, M. Matuoka, Organic Colorants, A Handbook of Data of Selected Dye for Electro-optical Applications, Elsvir, New York(1988), 第306〜308頁に記載の色素のNo.61021〜61074などがあげられる。
A1とA3が同一となり環状構造となってもよい。
【0013】
L1,L2,L3L4,L5,L6,L7及びL8は各々2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキレン基(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、1−メチルエチレン、2−メチルプロピレンなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。アルキレン基の間にヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子)、アリーレン基(例えば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,2−ナフチレン)、複素環(例えば、2,3−ピリジレン)などが存在していてもよい。)、炭素数1〜20のアルケニレン基(例えば、1,2−エテニレン、1−メチルー1,2−エテニレン、1,2−ジメチル−1,2−エテニレン、1,3−(1−プロペニレン)、1,4−(2−ブテニレン)などであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)、炭素数1〜20のアルキニレン基(例えば、エチニレン、プロピニレンなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)などが挙げられる。
L1,L2,L3L4,L5,L6,L7及びL8として好ましくは、アルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基である。
【0014】
R1、R2、R3及びR4は各々炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−ノニル、i−プロピル、i−ブチル、i−ペンチル、t−ブチルなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。R1とR2及びR3とR4は環を形成してもよい。環は4員環、5員環、6員環、7員環などであり、環の中にヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子)、アリール基(例えば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,2−ナフチレン)、複素環(例えば、2,3−ピリジレン)などが存在していてもよい。)及び炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)である。
R1、R2、R3及びR4として好ましくは、無置換のアルキル基、環状のアルキル基及びアリール基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、ピペラジン環である。
【0015】
E1,E2,E3.,E4,E5,E6,E7,E8及びE9は各々炭素数1〜20のメチン基(置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。好ましい置換基はメチル基、エチル基、フェニル基、塩素原子、臭素原子、メトキシ基である。)を表す。E1,E2,E3,E4,E5,E6,
E7,E8及びE9として好ましくは、無置換のメチン基である。
【0016】
n1及びn2は0以上の整数を表す。上限はないが、1000以下の場合が好ましい。ポリマー色素の場合、n1及びn2は10以上100以下が好ましく、特に10以上20以下が好ましい。オリゴマー体の場合、n1及びn2は0から10以下が好ましく、特に0、1、2、3が好ましい。
n3、m1、m2及びm3は0、1、2、3、4または5であり、好ましくは1、2、3である。
【0017】
Mは電荷中和イオンを表す。ある化合物が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、その置換基に依存する。典型的な陽イオンはアンモニウムイオン及びアルカリ金属イオンであり、一方陰イオンは無機イオンあるいは有機イオンのいずれであってもよい。
陽イオンとしては、たとえば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、1−エチルピリジニウムイオンであり、陰イオンとしては、たとえば、ハロゲン陰イオン(例えば、塩素イオン、臭素イオン、フッ素イオン、ヨウ素イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えば、パラトルエンスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、酢酸イオンなどが挙げられる。
【0018】
次に好ましい組合せについて述べる。
一般式(1)の場合、好ましい組合せはA1〜A3がトリメチンストレプトシアニン色素、L1〜L4がアルキレン基(n1は0以上の整数)の場合、A1〜A3がペンタメチンストレプトシアニン色素、L1〜L4がアルキレン基、n1=0、1の場合、A1〜A3がペンタメチンストレプトシアニン色素、L1〜L4がアルキレン基、n1=2以上の整数の場合、A1〜A3がヘプタメチンストレプトシアニン色素、L1〜L4がアルキレン基(n1は0以上の整数)の場合である。
一般式(2)の場合、好ましい組合せはR1〜R4がアルキル基、L5〜L8がアルキレン基、E1〜E9が無置換のメチン基、m1〜m3が1、2または3、n2は0〜10の場合である。
【0019】
以下に本発明の一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】
【化10】
【0025】
本発明の化合物は、たとえば以下の文献記載の方法に準じて合成することができる。S. S. Malhotra and M. C. Whiting, J. Chem. Soc., 1960 年、第3812頁.
【0026】
以下に合成例を示す。
合成例1.(化合物7の合成)
【0027】
【化11】
【0028】
化合物(C−1)と化合物(C−2)のエタノール溶液に過塩素酸水溶液を添加し、50℃で15分間加熱攪拌し、冷却後ろ別し、得られた粗結晶をDMSO−酢酸エチルエステル−ヘキサン混合溶媒から晶析を繰り返し、目的化合物7を得た。黄色結晶。
λmax =439 nm(MeOH)
【0029】
合成例2.(化合物15の合成)
化合物15は以下のスキームに従い合成した。黄色結晶。λmax =457 nm(MeOH)
【0030】
【化12】
【0031】
合成例3(化合物37の合成)
【0032】
【化13】
【0033】
化合物(C−3)1.64gと化合物(C−2)0.86gのDMF 溶液にクロロスルホン酸1.16g を添加し加熱下還流を2時間行い、冷却後アセトンから晶析して目的化合物37を得た。収量1.20 g.
λmax=350nm(MeOH)
【0034】
合成例4(化合物38の合成)
【0035】
【化14】
【0036】
化合物(C−4)2.72g と化合物(C−2)0.86g のエタノール溶液を加熱下還流を15分間行い、冷却後得られた結晶をろ別し、メタノール、アセトン、ヘキサン混合溶媒より晶析させ、目的化合物38を得た。収量0.40g.
λmax=484nm(MeOH)
【0037】
本発明に用いるメチン化合物(又、その他の増感色素についても同様)を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用である事が認められている乳剤調製の如何なる工程中であってもよい。例えば、米国特許2,735,766号、同3,628,960号、同4,183,756号、同4,225,666号、特開昭58−184142号、同60−196749号等に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/及び脱塩前の時期、脱塩工程中及び/または脱塩後から化学熟成の開始前迄の時期、特開昭58−113920号等に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後塗布迄の時期の乳剤が塗布される前なら如何なる時期、工程に於いて添加されても良い。また、米国特許4,225,666号、特開昭58−7629号等に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば、粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加しても良く、分割して添加する化合物及び化合物の組み合わせの種類をも変えて添加されても良い。
【0038】
本発明に用いる色素の添加量としては、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズにより異なるが、ハロゲン化銀1モル当たり、1×10-6〜8×10-3モルで用いることができる。例えば、ハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀1モル当たり、2×10-6〜3.5×10-3モルの添加量が好ましく、7.5×10-6〜1.5×10-3モルの添加量がより好ましい。
【0039】
本発明に用いる色素は、直接乳剤中へ分散することができる。また、これらはまず適当な溶媒、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、メチルセロソルブ、アセトン、水、ピリジンあるいはこれらの混合溶媒などの中に溶解され、溶液の形で乳剤中へ添加することもできる。この際、塩基や酸、界面活性剤などの添加物を共存させることもできる。また、溶解に超音波を使用することもできる。また、この色素の添加方法としては米国特許第3,469,987号などに記載のごとき、該化合物を揮発性の有機溶媒に溶解し、該溶液を親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭46−24185号などに記載のごとき、水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号に記載のごとき、界面活性剤にメチン化合物を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法、特開昭51−74624号に記載のごとき、レッドシフトさせる化合物を用いて溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法、特開昭50−80826号に記載のごとき、メチン化合物を実質的に水を含まない酸に溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法などが用いられる。その他、乳剤中への添加には米国特許第2,912,343号、同3,342,605号、同2,996,287号、同3,429,835号などに記載の方法も用いられる。
【0040】
また、本発明の色素は、鮮鋭度、色分解能向上などの目的のための種々のフィルター染料、イラジェーション防止染料またはアンチハレーション用染料等として用いることができる。
この色素は慣用の方法でハロゲン化銀写真感光材料層、フィルター層および/またはハレーション防止層などの塗布液に含有させることができる。染料の使用量は写真層を着色させるに充分な量でよく、当業者は容易にこの量を使用目的に応じて適宜選定できる。一般には、光学濃度が0.05ないし3.0の範囲になるように使用するのが好ましい。
添加時期は塗布される前のいかなる工程でもよい。
また、染料イオンと反対の荷電をもつポリマーを媒染剤として層に共存させ、これを染料分子との相互作用によって、染料を特性層中に局在化させることもできる。
ポリマー媒染剤としては例えば米国特許2,548,564号、同4,124,386号、同3,625,694号、同3,958,995号、同4,168,976号、同3,445,231号に記載されているものなどを挙げることができる。
【0041】
本発明における分光増感において有用な強色増感剤は、例えば米国特許3,511,664号、同3,615,613号、同3,615,632号、同3,615,641号、同4,596,767号、同4,945,038号、同4,965,182号、同4,965,182号等に記載のピリミジルアミノ化合物、トリアジニルアミノ化合物、アゾリウム化合物などであり、その使用法に関しても上記の特許に記載されている方法が好ましい。
【0042】
本発明のハロゲン化銀感光材料に使用しうるハロゲン化銀は、臭化銀、沃臭化銀、沃塩臭化銀、塩臭化銀および塩化銀のいずれであってもよい。好ましいハロゲン化銀は臭化銀、塩臭化銀、沃塩臭化銀、または特開平2−42号に記載されている高塩化銀である。
また、以下に感光材料の構成、処理などについて述べるが、特開平2−42号に記載の構成、処理は特に高塩化銀において好ましく用いられる。
また、特開昭63−264743号に記載の構成、処理は特に塩臭化銀において好ましく用いられる。
写真感光材料中のハロゲン化銀粒子は、立方体、14面体、菱12面体のような規則的(regular)な結晶体を有するものでもよく、また球状、平板状などのような変則的(irregular)な結晶形をもつもの、あるいはこれらの結晶形の複合形をもつものでもよい。種々の結晶形の粒子の混合から成ってもよい。
【0043】
ハロゲン化銀粒子は内部と表層とが異なる相をもっていても、均一な相から成っていてもよい。また潜像が主として表面に形成されるような粒子(例えばネガ型感光材料)でもよく、粒子内部に主として形成されるような粒子(例えば、内部潜像型感光材料)、または予めかぶらせた粒子(例えば直接ポジ型感光材料)であってもよい。
前記の種々のハロゲン組成、晶癖、粒子内構造、形状および分布を有するハロゲン化銀粒子は、各種用途の感光性写真材料(要素)に於て使用される。
【0044】
本発明の色素は、増感剤、増感色素、フィルター、アンチハレーションあるいはイラジェーション防止等の目的で下記の如き用途の感光材料に用いられる。これらの色素は感光性乳剤層以外に、中間層、保護層、バック層など所望の層に添加できる。
本発明の色素は、種々のカラー及び白黒用のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる。
さらに詳しくは、カラーポジ用感光材料、カラーペーパー用感光材料、カラーネガ用感光材料、カラー反転用感光材料(カプラーを含む場合もあり、含まぬ場合もある)、直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料、製版用写真感光材料(例えばリスフィルム、リスデュープフィルムなど)、陰極線管ディスプレイ用感光材料、X線記録用感光材料(特にスクリーンを用いる直接及び間接撮影用材料)、銀塩拡散転写プロセス(Silver Salt diffusion transfer process) に用いられる感光材料、カラー拡散転写プロセスに用いる感光材料、ダイ・トランスファー・プロセス(imhibition process) に用いる感光材料、銀色素漂白法に用いる感光材料、熱現像用感光材料等に用いられる。
【0045】
本発明に用いられるハロゲン化銀写真乳剤は、ピー・グラフキデス(P.Glafkides)著「シミー・エ・フィジーク・フォトグラフィーク(Chimie et Physique Photograhique 」(ポールモンテル (Paul Montel)社刊、1967年)、ジー・エフ・デフェイン(G.F.Duffin)著「フォトグラフィク・エマルジョン・ケミストリー(Photographic Emulsion Chemistry)」(ザ・フォーカルプレス(The Focal Press) 刊、1966年)、ヴィ・エル・ツエリクマンら(V.L.Zelikman et al.)著「メーキング・アンド・コーティング・フォトグラフィク・エマルジョン(Making and Coating Photographic Emulsion)」(ザ・フォーカルプレス(The Focal Press) 刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0046】
またハロゲン化銀粒子の形成時には粒子の成長をコントロールするためにハロゲン化銀溶剤として例えばアンモニア、ロダンカリ、ロダンアンモン、チオエーテル化合物(例えば米国特許第3,271,157号、同3,574,628号、同3,704,130号、同4,297,439号、同4,276,374号など)、チオン化合物(例えば特開昭53−144319号、同53−82408号、同55−77737号など)、アミン化合物(例えば特開昭54−100717号など)などを用いることができる。
ハロゲン化銀粒子形成または物理熟成の過程において、カドミウム塩、亜鉛塩、タリウム塩、イリジウム塩またはその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩、鉄塩または鉄錯塩などを共存させてもよい。
本発明に用いられる内部潜像型ハロゲン化銀乳剤としては例えば米国特許2,592,250号、同3,206,313号、同3,447,927号、同3,761,276号、及び同3,935,014号等に記載があるコンバージョン型ハロゲン化銀乳剤、コア/シェル型ハロゲン化銀乳剤、異種金属を内蔵させたハロゲン化銀乳剤を挙げることができる。
【0047】
ハロゲン化銀乳剤は、通常は化学増感される。化学増感のためには、例えば、エイチ・フリーザー(H.Frieser)編「ディ・グランドラーゲン・デア・フォトグラフィッシェン・プロヅェッセ・ミット・ジルベルハロゲニーデン(Die Grundlagen der Photographischen Prozesse mit Silberhalogeniden) 」、アカデミッシェ フェアラーグス社(Akademische Verlagsgesellschaft)社、(1968年)675〜734頁に記載の方法を用いることができる。
すなわち、活性ゼラチンや銀と反応し得る硫黄を含む化合物(例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、メルカプト化合物類、ローダニン類)を用いる硫黄増塩感法;セレン増感法;還元性物質(例えば、第一すず塩、アミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物)を用いる還元増感法;貴金属化合物(例えば、金錯塩のほか、Pt、Ir、Pdなどの周期律表VIII族の金属の錯塩)を用いる貴金属増感法等を単独または組合せて用いることができる。
【0048】
本発明に用いられる写真感光材料には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール類たとえば米国特許第3,954,478号、同4,942,721号、特開昭59−191032号などに記載されているベンゾチアゾリウム塩、また特公昭59−26731号に記載されているその開環体、ニトロインダゾール類、トリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ベンズイミダゾール類(特にニトロ−またはハロゲン置換体);ヘテロ環メルカプト化合物類たとえばメルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール)、メルカプトピリミジン類;カルボキシル基やスルホン基などの水溶性基を有する上記のヘテロ環メルカプト化合物類;チオケトン化合物たとえばオキサゾリンチオン;アザインデン類たとえばテトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデン類);ベンゼンチオスルホン酸類;ベンゼンスルフィン酸;特開昭62−87957号に記載されているアセチレン化合物等;などのようなカブリ防止剤または安定剤として知られた多くの化合物を加えることができる。
【0049】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料はシアンカプラー、マゼンタカプラー、イエローカプラーなどのカラーカプラー及びカプラーを分散する化合物を含むことができる。
すなわち発色現像処理において芳香族1級アミン現像薬(例えば、フェニレンジアミン誘導体や、アミノフェノール誘導体など)との酸化カップリングによって発色しうる化合物を含んでもよい。例えば、マゼンタカプラーとして、5−ピラゾロンカプラー、ピラゾロベンズイミダゾールカプラー、シアノアセチルクマロンカプラー、開鎖アシルアセトニトリルカプラー等があり、イエローカプラーとして、アシルアセトアミドカプラー(例えばベンゾイルアセトアニリド類、ピバロイルアセトアニリド類)等があり、シアンカプラーとして、ナフトールカプラーおよびフェノールカプラー等がある。これらのカプラーは分子中にバラスト基とよばれる疎水基を有する非拡散のものが望ましい。カプラーは銀イオンに対し4当量性あるいは2当量性のどちらでもよい。また色補正の効果をもつカラードカプラー、あるいは現像にともなって現像抑制剤を放出するカプラー(いわゆるDIRカプラー)であってもよい。
またDIRカプラー以外にも、カップリング反応の生成物が無色であって現像抑制剤を放出する無呈色DIRカップリング化合物を含んでもよい。
【0050】
本発明の写真感光材料には感度上昇、コントラスト上昇、または現像促進の目的で、例えばポリアルキレンオキシドまたはそのエーテル、エステル、アミンなどの誘導体、チオエーテル化合物、チオモルフォリン類、四級アンモニウム塩化合物、ウレタン誘導体、尿素誘導体、イミダゾール誘導体、3−ピラゾリドン類などを含んでいてもよい。
本発明のハロゲン化銀感光材料にはフィルター染料として、あるいはイラジェーション防止その他の種々の目的で、本発明のメチン化合物以外に、種々の染料を含んでいてもよい。
この様な染料には、例えば英国特許第506,385号、同1,177,429号、同1,311,884号、同1,338,799号、同1,385,371号、同1,467,214号、同1,433,102号、同1,553,516号、特開昭48−85130号、同49−114420号、同52−117123号、同55−161233号、同59−111640号、特公昭39−22069号、同43−13168号、同62−273527号、米国特許第3,247,127号、同3,469,985号、同4,078,933号等に記載されたピラゾロン核やバルビツール酸核を有するオキソノール染料、米国特許第2,533,472号、同3,379,533号、英国特許第1,278,621号、特開平1−134447号、同1−183652号等記載されたその他のオキソノール染料、英国特許第575,691号、同680,631号、同599,623号、同786,907号、同907,125号、同1,045,609号、米国特許第4,255,326号、特開昭59−211043号等に記載されたアゾ染料、特開昭50−100116号、同54−118247号、英国特許第2,014,598号、同750,031号等に記載されたアゾメチン染料、米国特許第2,865,752号に記載されたアントラキノン染料、米国特許第2,533,009号、同2,688,541号、同2,538,008号、英国特許第584,609号、同1,210,252号、特開昭50−40625号、同51−3623号、同51−10927号、同54−118247号、特公昭48−3286号、同59−37303号等に記載されたアリーリデン染料、特公昭28−3082号、同44−16594号、同59−28898号等に記載されたスチリル染料、英国特許第446,583号、同1,335,422号、特開昭59−228250号等に記載されたトリアリールメタン染料、英国特許第1,075,653号、同1,153,341号、同1,284,730号、同1,475,228号、同1,542,807号等に記載されたメロシアニン染料、米国特許第2,843,486号、同3,294,539号、特開平1−291247号等に記載されたシアニン染料などが挙げられる。
【0051】
このような染料の拡散を防止するために以下の方法を用いることができる。
例えば、解離したアニオン性染料と反対の電荷をもつ親水性ポリマーを媒染剤として層に共存させ、染料分子との相互作用によって染料を特定層中に局在化させる方法が、米国特許2,548,564号、同4,124,386号、同3,625,694号等に開示されている。
また、水に不溶性の染料固体を用いて特定層を染色する方法が、特開昭56−12639号、同55−155350号、同55−155351号、同63−27838号、同63−197943号、欧州特許第15,601号等に開示されている。
また、染料が吸着した金属塩微粒子を用いて特定層を染色する方法が米国特許第2,719,088号、同2,496,841号、同2,496,843号、特開昭60−45237号等に開示されている。
【0052】
本発明の写真感光材料には塗布助剤、帯電防止、スベリ性改良、乳化分散、接着防止および写真特性改良(たとえば現像促進、硬調化、増感)など種々の目的で種々の界面活性剤を含んでもよい。
本発明を実施するに際しては、その他添加剤がハロゲン化銀乳剤または他の親水性コロイドと共に用いられる、例えば、退色防止剤、無機もしくは有機の硬膜剤、色カブリ防止剤、紫外線吸収剤、媒染剤、可塑剤、ラテックスポリマー、マット剤などを挙げることができる。具体的には、リサーチディスクロージャー(Research Disclosure)Vol.176(1978、XI)、D−17643などに記載されている。
また、本発明に用いられる写真感光材料には、保護コロイドとしてゼラチン等の親水性ポリマーが用いられる。
完成(finished) ハロゲン化銀乳剤等は、適切な支持体、例えばバライタ紙、レジンコート紙、合成紙、トリアセテートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、その他のプラスチックベースまたはガラス板の上に塗布される。
【0053】
写真像を得るための露光は通常の方法を用いて行なえばよい。すなわち、自然光(日光)、タングステン電灯、蛍光灯、水銀灯、キセノンアーク灯、炭素アーク灯、キセノンフラッシュ灯、陰極線管フライングスポットなどの公知の多種の光源をいずれでも用いることができる。露光時間は通常カメラで用いられる1/1000秒から1秒の露光時間はもちろん、1/1000秒より短い露光、たとえばキセノン閃光灯や陰極線管を用いた1/104 〜1/106 秒の露光を用いることもできるし、1秒より長い露光を用いることもできる。必要に応じて色フィルターで露光に用いられる光の分光組成を調節することができる。露光にレーザー光を用いることもできる。また電子線、X線、γ線、α線などによって励起された蛍光体から放出する光によって露光されてもよい。
本発明を用いて作られる感光材料の写真処理には、例えばリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)176号第28〜30頁(RD−17643)に記載されているような、公知の方法及び公知の処理液のいずれをも適用することができる。この写真処理は、目的に応じて、銀画像を形成する写真処理(黒白写真処理)、あるいは色素像を形成する写真処理(カラー写真処理)のいずれであってもよい。処理温度は普通18℃から50℃の間に選ばれるが、18℃より低い温度または50℃を越える温度としてもよい。
【0054】
本発明で用いてもよい磁気記録を担持したハロゲン化銀写真感光材料(以下「感材」ともいう。)は、特開平6−35118、特開平6−17528、発明協会公開技報94−6023に詳細に記載される予め熱処理したポリエステルの薄層支持体、例えば、ポリエチレン芳香族ジカルボキシレート系ポリエステル支持体で、50μm〜300μm、好ましくは50μm〜200μm、より好ましくは80〜115μm、特に好ましくは85〜105μmを40℃以上、ガラス転移点温度以下の温度で1〜1500時間熱処理(アニール)し、特公昭43−2603、特公昭43−2604、特公昭45−3828記載の紫外線照射、特公昭48−5043、特開昭51−131576等に記載のコロナ放電、特公昭35−7578、特公昭46−43480記載のグロー放電等の表面処理し、米国特許第5,326,689に記載の下塗りを行い必要に応じ米国特許第2,761,791に記載された下引き層を設け、特開昭59−23505、特開平4−195726、特開平6−59357記載の強磁性体粒子を塗布すれば良い。
なお、上述した磁性層は特開平4−124642、特開平4−124645に記載されたストライプ状でも良い。
更に、必要に応じ、特開平4−62543の帯電防止処理をし、最後にハロゲン化銀乳剤を塗布した物を用いる。ここで用いるハロゲン化銀乳剤は特開平4−166932、特開平3−41436、特開平3−41437を用いる。
こうして作る感材は特公平4−86817記載の製造管理方法で製造し、特公平6−87146記載の方法で製造データを記録するのが好ましい。その後、またはその前に、特開平4−125560に記載される方法に従って、従来の135サイズよりも細幅のフィルムにカットし、従来よりも小さいフォーマット画面にマッチするようにパーフォレーションを小フォーマット画面当たり片側2穴せん孔する。
こうして出来たフィルムは特開平4−157459のカートリッジ包装体や特開平5−210202実施例の図9記載のカートリッジ、または米国特許第4,221,479のフィルムパトローネや米国特許第4,834,306、US4,834,366、米国特許第5,226,613、米国特許第4,846,418記載のカートリッジに入れて使用する。
ここで用いるフィルムカートリッジまたはフィルムパトローネは米国特許第4,848,693、米国特許第5,317,355の様にベロが収納できるタイプが光遮光性の観点で好ましい。
さらには、米国特許第5,296,886の様なロック機構を持ったカートリッジや米国特許第5,347,334に記載される使用状態が表示されるカートリッジ、二重露光防止機能を有するカートリッジが好ましい。
また、特開平6−85128に記載の様にフィルムを単にカートリッジに差し込むだけで容易にフィルムが装着されるカートリッジを用いても良い。
こうして作られたフィルムカートリッジは次に述べるカメラや現像機、ラボ機器を用いて合目的に撮影、現像処理、色々な写真の楽しみ方に使用できる。
例えば、特開平6−8886、特開平6−99908に記載の簡易装填式のカメラや特開平6−57398、特開平6−101135記載の自動巻き上げ式カメラや特開平6−205690に記載の撮影途中でフィルムの種類を取り出し交換できるカメラや特開平5−293138、特開平5−283382に記載の撮影時の情報、例えば、パノラマ撮影、ハイヴィション撮影、通常撮影(プリントアスペクト比選択の出来る磁気記録可能)をフィルムに磁気記録出来るカメラや特開平6−101194に記載の二重露光防止機能を有するカメラや特開平5−150577に記載のフィルム等の使用状態表示機能の付いたカメラなどを用いるとフィルムカートリッジ(パトローネ)の機能を充分発揮できる。
この様にして撮影されたフィルムは特開平6−222514、特開平6−222545に記載の自現機で処理するか、処理の前または最中または後で特開平6−95265、特開平4−123054に記載のフィルム上の磁気記録の利用法を用いても良いし、特開平5−19364記載のアスペクト比選択機能を利用しても良い。
現像処理する際シネ型現像であれば、特開平5−119461記載の方法でスプライスして処理する。
また、現像処理する際または後、特開平6−148805記載のアッタヂ、デタッチ処理する。
こうして処理した後で、特開平2−184835、特開平4−186335、特開平6−79968に記載の方法でカラーペーパーへのバックプリント、フロントプリントを経てフィルム情報をプリントへ変換しても良い。
更には、特開平5−11353、特開平5−232594に記載のインデックスプリント及び返却カートリッジと共に顧客に返却しても良い。
【0055】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではない。
【0056】
実施例1
乳剤Bの調製
{100}AgBrCl平板乳剤の調製
反応容器にゼラチン水溶液42.6リットル(ゼラチン−1(メチオニン含率が約40μモル/gの脱イオン化アルカリ処理骨ゼラチン)526.5g、HNO3 1N液211mlを含み、pH4.3)、NaCl−1液(100ml中にNaCl 10gを含む)を351ml入れ、温度を40℃に保ちながら、Ag−1液(100ml中にAgNO3 20gを含む)とX−1液(100ml中にNaCl 7.05gを含む)を1685ml/分で421mlずつ同時混合添加した。3分間攪拌した後、Ag−2液(100ml中にAgNO3 2gを含む)とX−2液(100ml中にKBr 1.4gを含む)を2176ml/分で761mlずつ同時混合した。3分間攪拌した後、Ag−1液とX−1液を1685ml/分で1264mlずつ同時混合添加した。2分間攪拌した後、ゼラチン水溶液5481ml(ゼラチン−1 351g、NaCl 35g、pHを5.5に調整するためにNaOH1N液を含む)を加え、pClを1.8とした後、温度を75℃に昇温し、pClを1.8とした後5分間熟成した。この後、平均粒径0.07μmのAgBrCl微粒子(Br含率60%)を硝酸銀の添加速度を7.24×10-1モル/分に設定して、20分間成長させた。
添加後10分間熟成した後、沈降剤を加え、温度を35℃に下げ、沈降水洗した。ゼラチン水溶液を加え、60℃でpH6.0に調節した。該粒子のレプリカの透過型電子顕微鏡写真像(以下TEMと記す)を観察した。得られた乳剤は、銀を基準としてAgBrをおよそ53モル%含む塩臭化銀{100}平板粒子であった。該粒子の形状特性値は、a1 =85、a2 =9.2、a3 =1.66、a4 =0.18、a5 =21であった。
【0057】
この乳剤Bを凝集法により脱塩処理後、ゼラチン62g、フェノキシエタノール1.75gを加え、pH6.0、pAg7.5に合わせた。
【0058】
「化学増感」
以上の如く調製した乳剤を攪拌しながら56℃に保った状態で最適に化学増感を施した。
まず、チオスルフォン酸化合物−1をハロゲン化銀1モル当たり6×10-5モル相当添加し、つぎに、平均球相等径0.05μmのAgBr微粒子をハロゲン化銀1モルあたり1.0モル%相当を添加して約5分間熟成を行い、さらにハロゲン化銀1モル当たり0.2モル%相当の1%KI水溶液を添加した。
さらに3分後、二酸化チオ尿素を1×10-6モル/モルAg添加し、22分間そのまま保持して還元増感を施した。
つぎに4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンをハロゲン化銀1モルあたり1.5×10-4モル相当を添加し、引き続きチオ硫酸ナトリウムをハロゲン化銀1モル当たり1×10-5モル相当とセレン化合物−1をハロゲン化銀1モル当たり2×10-6モル相当加えた後、塩化金酸をハロゲン化銀1モル当たり2.7×10-6モル相当およびチオシアン酸カリウムをハロゲン化銀1モル当たり1.8×10-3モル相当添加した。
さらに核酸(山陽国策パルプ社製:商品名RNA−F)をハロゲン化銀1モル当たり67mg相当添加した。その後、塩化金酸を添加してから20分後に亜硫酸ナトリウムをハロゲン化銀1モル当たり3.2×10-4モル相当加えてさらに熟成し、亜硫酸ナトリウムを添加した5分後、試料(101)には何も加えずに塩化金酸を添加してから80分後に水溶性メルカプト化合物−1を添加し35℃に冷却した。また試料(102)には本発明化合物No. 37をハロゲン化銀1モル当たり5×10-3モル相当加えた後、塩化金酸を添加してから80分後に水溶性メルカプト化合物−1を添加し35℃に冷却した。
こうして乳剤の調整(化学熟成)を終了した。
【0059】
【化15】
【0060】
(乳剤塗布層の調製)
化学増感を施した乳剤に対してハロゲン化銀1モル当たり下記の薬品を添加して乳剤塗布液とした。
【0061】
【化16】
【0062】
【化17】
【0063】
【化18】
【0064】
上記塗布液に対し、紫外線吸収染料−I〜III が各々片面当たり5mg/m2となるように染料乳化物Sを添加した試料を作成した。
【0065】
【化19】
【0066】
(染料乳化物Sの調製)
上記染料−I〜III を各々20gおよび下記高沸点有機溶媒−Iを62.8g、−IIを62.8g及び酢酸エチル333gを60℃で溶解した。つぎにドデシルスルホン酸ナトリウムの5%水溶液65ccとゼラチン94g、水581ccを添加し、ディゾルバーにて60℃、30分間乳化分散した。つぎに下記化合物−IXを2gおよび水6リットルを加え、40℃に降温した。つぎに旭化成製限外濾過ラボモジュールACP1050を用いて、全量が2kgとなるまで濃縮し、化合物−IXを1g加えて染料乳化物Sとした。
【0067】
【化20】
【0068】
(表面保護層塗布液の調製)
表面保護層塗布液を、各成分が下記の塗布量となるように調製した。
・ゼラチン 0.780g/m2
・ポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量40万) 0.035g/m2
・ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量60万) 0.0012g/m2
・ポリメチルメタクリレート(平均粒径3.7μm) 0.072g/m2
・塗布助剤−I 0.020g/m2
・塗布助剤−II 0.037g/m2
・塗布助剤−III 0.0080g/m2
・塗布助剤−IV 0.0032g/m2
・塗布助剤−V 0.0025g/m2
・化合物−VII 0.0022g/m2
・1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 0.0010g/m2
(NaOHでpH6.8に調整)
【0069】
【化21】
【0070】
(支持体の調製)
(1)下塗層用染料分散物Bの調製
下記の染料−IIを特開昭63−197943号に記載の方法でボールミル処理した。
【0071】
【化22】
【0072】
水434ccおよび Triton X200(登録商標)界面活性剤(TX−200(登録商標)の6.7%水溶液791ccとを2リットルのボールミルに入れた。染料20gをこの溶液に添加した。酸化ジルコニウム(ZrO2)のビーズ400ml(2mm径)を添加し、内容物を4日間粉砕した。この後、12.5%ゼラチン160gを添加した。脱泡した後、濾過によりZrO2 ビーズを除去した。得られた染料分散物を観察したところ、粉砕された染料の粒径0.05〜1.15μm にかけての広い分野を有していて、平均粒径は0.37μm であった。
さらに、遠心分離操作を行うことで0.9μm 以上の大きさの染料粒子を除去した。
こうして染料分散物Bを得た。
【0073】
(2)支持体の調製
二軸延伸された厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にコロナ放電を行い、下記の組成より成る第1下塗液を塗布量が4.9cc/m2と成るようにワイヤーコンバーターにより塗布し、185℃にて1分間乾燥した。
つぎに反対面にも同様にして第1下塗層を設けた。使用したポリエチレンテレフタレートには染料−IVが0.06wt%、染料−Vが0.06wt%含有されているものを用いた。
【0074】
【化23】
【0075】
対し0.4wt%含有
【0076】
【化24】
【0077】
(3)下塗層の塗布
上記の両面の第1下塗層上に下記の組成からなる第2の下塗層を塗布量が下記に記載の量となるように片側ずつ、両面にワイヤー・バーコーダー方式により塗布し、155℃で乾燥した。
・ゼラチン 80mg/m2
・染料分散物B(染料固形分として) 8mg/m2
・塗布助剤−VI 1.8mg/m2
・化合物−X1 0.27mg/m2
・マット剤 平均粒径2.5μm のポリメチルメタクリレート 2.5mg/m2
【0078】
【化25】
【0079】
(写真材料の調製)
前述のごとく準備した支持体上に先の乳剤層と表面保護層とを組み合わせ同時押し出し法により両面に塗布した。片面当りの塗布銀量は0.80g/m2とした。
【0080】
(写真性能の評価)
写真材料をDu Pont社製ウルトラビジョンファーストディテールを使用して両側に密着させ、両側から、0.05秒の露光を与え、X線センシトメトリーをおこなった。
露光量の調整は、X線管球とカセッテとの距離を変化させることにより行った。露光後、下記現像液と定着液にて自動現像機処理を行った。感度は試料(101)を基準とした時の相対値(△logE) で表1に示した。
【0081】
(処理)
PartA300mlとPartB60mlとPartC50mlに水を加えて1リットルとしてpH10.90に合わせる。
PartA4.50リットル、PartB0.90リットル、PartC0.75リットルを富士フイルム(株)社製CE−DF1ボトルに使用液1.5リットル用として充填して使用した。現像開始液
前記現像補充液に酢酸を添加してpH=10.20にしたものを現像開始液とした。
【0082】
【0083】
また、水あか防止剤として、放線菌を平均粒径100μm、平均孔径3μmのパーライトに担持させたもの0.4gをポリエチレン製のビン(ビン開口部を300メッシュのナイロン布で覆い、この布より水および菌の流通が可能)に充填したものを3個用意し、そのうちの2個を水洗槽の底部に、1個を水洗水のストックタンク(液量0.2リットル)の底部にそれぞれ沈めた。
【0084】
表1より、本発明化合物を添加した場合、写真感度が向上することがわかる。
【0085】
【表1】
【0086】
上記の試料について、反射スペクトルをクベルカ・ムンク変換した後、横軸をエネルギー値でプロットした吸収スペクトルに関して、340nmより長波長側の吸収を積分した値Sを求めた。試料(101)を基準とした場合、試料(102)はS=1.40となり、ハロゲン化銀乳剤の光吸収率が向上していることがわかった。
【0087】
【発明の効果】
本発明の化合物はハロゲン化銀乳剤中における光吸収率が高い。
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