JP3794482B2 - 結晶化Si膜の評価方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶化Si膜の評価方法及びその装置に関し、液晶表示装置に用いられる薄膜トランジスターの結晶化シリコンの製造や、ポリイミドなどの合成樹脂を加工する際に、レーザ光を利用して製造される結晶化Si膜の評価方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
例えば、液晶表示画面に用いられる薄膜トランジスターの結晶化Si膜の作製に際し、ラインビームからなるレーザ光をアモルファス・シリコン膜(以下a−Si膜という。)に照射する方法が知られている。これは、図8に示すように、パルス発振動作のエキシマレーザ光を発生させるレーザ発振器10で生じさせたレーザ光1を、アッテネータ11によつてエネルギーを自動設定した後、光学系容器9内に導き、反射ミラー7で方向転換させ、図9に示すように複数本のシリンドリカル・レンズを稜線2cが平行になるように並べた長軸ホモジナイザー2aと、長軸ホモジナイザー2aと稜線方向が直交する短軸ホモジナイザー2bを通して、強度分布を矩形状に均一化させた後、再度、反射ミラー8で方向転換させ、集光レンズ3を通すことにより、長軸×短軸を約200×0.4mmの方形のラインビーム4に整形し、このラインビーム4をa−Si膜5aを有する基板5に照射している。基板5は、レーザ発振器10と光学系容器9及び照射室を備えるレーザアニール装置の真空の照射室内に設置されている。
【0003】
この基板5は、ガラス基板6上に薄いa−Si膜5aを形成したもので、このa−Si膜5aに、ラインビーム4を照射することで、a−Si膜5aを結晶化して薄いポリ・シリコン膜33(以下p−Si膜という。)としている。ガラス基板6は大きいもので730×920mmあり、ガラス基板6上のa−Si膜5aの全面を結晶化するために、ラインビーム4の1ショットあたり、ラインビーム短軸幅の5〜10%の送りピッチでガラス基板6をラインビーム4の短軸の方向に間欠的に移動させる。短軸幅0.4mmのとき送りピッチは20〜40μmであり、a−Si膜5aに対する1 箇所当たりのレーザ光の照射回数は10〜20回である。
【0004】
ここで、レーザ光1のパルス幅(レーザ光1発の発振時間)は一般に数〜数十ns、発振周波数は数百Hz以下であるため、レーザ光1つまりラインビーム4のa−Si膜5aへの照射が数〜数十ns行われた後、数msの比較的長時間の間隔が開いて、再び数〜数十nsの照射が行われている。a−Si膜5aへのレーザ光1の複数回の照射を行うことで、結晶が成長する。この結晶の成長は、1回目の照射で発生した結晶粒が、2 回目以降の照射により結合して大きくなるものと考えられている。この結晶の成長のためには、a−Si膜基板5が冷却(常温)の状態から溶融温度近傍まで上昇するように、レーザ光1の照射を実施する必要がある。
【0005】
このような結晶化シリコン膜の作製におけるp−Si膜33の結晶性は、レーザ光1(ラインビーム4)の照射エネルギー密度に大きく依存し、エネルギー密度が低すぎても、高すぎても良好に得られない。このため、レーザ光1のエネルギー密度を変えて複数のp−Si膜33を作製し、それらのp−Si膜33をSEM(走査型電子顕微鏡)等で直接観察し、その結果、結晶性の良好なものから最適エネルギー密度を決定し、そのエネルギー密度により、ガラス基板6上のa−Si膜5aの全面を結晶化させる方法が一般に採られている。
【0006】
図10に、a−Si膜5aに照射するレーザ光1(ラインビーム4)のエネルギー密度(mJ/cm2 )を変えたときの結晶化Si膜33のSEM写真を示す。図10から分かるように、エネルギー密度370mJ/cm2 では微細な結晶粒が作製されており、エネルギー密度380及び410mJ/cm2 では大きさ約300nmの矩形の結晶粒が配列ないし分布の規則性を持つて作製されている。一方、エネルギー密度435及び450mJ/cm2 では、結晶粒は300nm以上の大きさであるが、周期性つまり配列・分布の規則性が見られなかつた。一般に、ガラス基板6上の結晶化Si膜33を薄膜トランジスター(以下、TFTという。)に使用する場合、TFT特性をガラス基板6上の全体で均一にするために、エネルギー密度380及び410mJ/cm2 で照射した際に得られるような規則性のある結晶粒が適正とされる。ここでは、特に410mJ/cm2 で作製した結晶粒の規則性が良好であつた。
【0007】
このような、SEMによる評価方法では、p−Si膜33を小さく分割し、エッチング後、SEM観察を行う必要があり、その結果を得るには数時間を要して煩雑であるのみならず、試料を破壊しなけらばならないという課題がある。
【0008】
これに対し、結晶化Si膜の評価方法として、結晶化したSi膜に光を照射してその反射率から結晶性を評価する方法が提案されている(特開平10−300662号)。この方法は、ELA(エキシマレーザアニール)工程の後に設置され、試料に垂直入射させた光の反射率の内、特定の波長での反射スペクトルの傾きから結晶性を評価する。従つて、結晶性と反射率との関係を予め計測しておく必要がある。
【0009】
また、半導体膜の表面にレーザ光を照射させ、当該半導体膜の表面からの散乱光の強度を計測し、該散乱光の強度に基づいて前記半導体膜の表面の凹凸状態を判定する方法も提案されている(特開2001−110861)。この判定方法は、短時間のうちに非破壊で半導体膜の膜質を評価できるので、TFTの製造工程においてインラインで評価を行い、正常な膜質の多結晶性の半導体膜を形成した基板のみを後工程に回すことができる、としている。
【0010】
しかしながら、前記垂直入射させた光の反射率から結晶性を評価する方法にあつては、Si膜の結晶粒径を直接求めるものではなく、Si膜の評価を簡易かつ正確に行なうことが困難であるのみならず、予め反射率と結晶性との関係を子細に評価しておく必要があるため、p−Si膜の結晶性をSEMで詳細に評価しておかなければならない。加えて、特定領域の波長での反射率の傾きを求める場合、その傾きが現れないこともあり、傾きから結晶性を必ずしも評価することができない。
【0011】
また、レーザ光の散乱光の強度に基づいて半導体膜の表面の凹凸状態を判定する方法にあつては、Si膜の結晶粒径を直接求めるものではなく、より確実な結晶性の評価のために、短波長及び長波長の散乱光の強度を比較して凹凸状態を判定するものであるため、測定結果の良否判定が困難であり、Si膜の評価を簡易かつ正確に行ない得ない。
【0012】
以上から、本発明は、結晶化Si膜における結晶粒の分布の規則性の評価を簡易に行ない、ひいては、良好なエネルギー密度のレーザ光をSi膜に照射して、均一かつ適正な規則性を有する結晶を基板の全面に形成することを可能にすることを第1の目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、その構成は、次の通りである。
請求項1の発明は、レーザ光4により結晶化した結晶化Si膜33の表面に、結晶化Si膜33平面からの法線znと入射角αをなす平行光31を入射させ、この平行光31による結晶化Si膜33の表面からの回折光32を、前記法線znと回折角βをなす位置で検出する結晶化Si膜の評価方法であつて、
入射角α及び回折角βの範囲を、共に0°以上90°以下に限定して正反射光35を含まない回折光32を得ると共に、
結晶化Si膜33に入射させる平行光31の入射位置及び入射角αを固定した状態で、該平行光31の結晶化Si膜33への入射位置回りの回転角度θを相対変化させ、複数の回転角度θの位置における回折光32のスペクトル強度及び波長から、結晶化Si膜33の結晶粒の配列方向及び結晶粒の分布の規則性の内の少なくとも1つを評価することを特徴とする結晶化Si膜の評価方法である。
請求項2の発明は、レーザ光4により結晶化した結晶化Si膜33の表面に、結晶化Si膜33平面からの法線znと入射角αをなす平行光31を入射させる光源41,42と、この平行光31による結晶化Si膜33の表面からの回折光32を、前記法線znと回折角βをなす位置で受光すると共にスペクトルを示す分光器46とを備える結晶化Si膜の評価装置であつて、
入射角α及び回折角βの範囲を、共に0°以上90°以下に限定して正反射光35を含まない回折光32を得ると共に、
結晶化Si膜33に入射させる平行光31の入射位置及び入射角αを固定した状態で、該平行光31の結晶化Si膜33への入射位置回りの回転角度θを相対変化させ、複数の回転角度θの位置における回折光32のスペクトル強度及び波長から、結晶化Si膜33の結晶粒の配列方向及び結晶粒の分布の規則性の内の少なくとも1つを評価することを特徴とする結晶化Si膜の評価装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1〜図7は、本発明に係る結晶化Si膜の評価装置の1実施の形態を示す。先ず、ガラス基板6上のp−Si膜33つまり結晶化Si膜は、レーザ光1を利用して図8,図9に示す従来例と同様に製造される。すなわち、ガラス基板6上の薄いa−Si膜5aに、ラインビーム4を照射することで、a−Si膜5aを結晶化して薄い結晶化Si膜33とする。
【0015】
このp−Si膜33は、規則性のある結晶粒を有していることの評価を行いながら作製する。このために、図1に示すように、p−Si膜33に対して平行光31を入射角αで入射させる。この平行光31は、p−Si膜33の表面に存在するいくつかの突起38において回折現象を生じ、回折光32を発生する。この回折光32は、球面波で形成されるので、所定の回折角βの位置で検出して、結晶粒の大きさD及び配列・分布の規則性の優劣を判定する。結晶粒の大きさDは、突起38で囲まれた1つの平坦部39の大きさである。
【0016】
ここで、入射角α及び回折角βは、いずれも結晶化Si膜33平面からの法線znとなす角であり、その範囲を、共に0°以上90°以下に限定して正反射光35を含まない回折光32を得る。図1に示すように結晶化Si膜33の平坦部39に光31をあてると、反射の法則に従う角度方向(−α)に正反射光35が進む。一方、数十nmの突起38が無数にある結晶化Si膜33の結晶粒界では、入射光(31)は回折して球面波を形成し、この球面波の波面が互いに強めう角度方向つまり回折角βに平面波からなる回折光32を形成する。回折角βは、回折光32の次数をnとし、突起間隔(すなわち結晶粒の大きさに相当する)をDとした場合、回折条件式D(sinα+sinβ)=nλを満たす角度である。
【0017】
このような回折光32の検出を正反射光35の方向−αもしくはその近傍で行うと、回折光32のスペクトル強度に比べて正反射光35のスペクトル強度の方が非常に高いため、重畳した二つのスペクトル成分から回折光32のスペクトル成分のみを分離することは困難である。そこで、回折光32のスペクトルのみを精度良く検出するために、α及びβを共に0 °以上90°以下に限定し、正反射光35を含まない回折光32を得るようにする。
【0018】
従つて、図1に示す正面視で、入射角αで平行光31を入射させるとき、結晶化Si膜33の平面からの法線znに対し、入射光31と同一側で回折光32を計測する。
【0019】
このようにして、スペクトルが連続である平行光31を入射し、p−Si膜33の結晶粒界にあるいくつかの突起38(数十nm)で発生した回折光32を計測することで、入射角α、回折角β及び回折光32のスペクトル波長λは既知の値となり、回折条件式D(sinα+sinβ)=n・λ(nは回折光の次数)より導かれるD=n・λ/(sinα+sinβ)なる式によつて、結晶粒の大きさDを瞬時に算出することができる。これにより、p−Si膜33の結晶粒の配列・分布の規則性の優劣及び結晶粒の大きさDの適否を短時間で評価し、規則性のある結晶粒を形成し、TFTに最適な大きさDのp−Si膜33を得ることができる。
【0020】
実際には、図2に示すように、大きさDの結晶粒を有するp−Si膜33に対して評価装置を配置する。この評価装置により、図10のSEM写真に示される照射エネルギー密度410mJ/cm2 で結晶化した結晶化Si膜33に対し、エッチング前に結晶化Si膜33の評価を行つた。
【0021】
評価装置は、光源(41,42)、レンズ44及び分光器46を有する。光源は、ハロゲンランプによつて得られる連続光41と照射用光ファイバー42とを有し、所定波長(λ=380〜800nm)の連続光41が照射用光ファイバー42に導かれ、光ファイバー42の先端から出る光がレンズ44によつて平行光31とされ、Si膜33に入射角αにて入射し、Si膜33上で回折角βにて回折した平行光からなる回折光32を生ずる。この回折光32がレンズ44によつて集束され、受光用光ファイバー45に導かれて分光器46に入り、表示装置47にスペクトルが表示されるので、最大のピーク強度が得られる波長(λmax)を知ることができる。
【0022】
平行光31の結晶化Si膜33への照射方向は、SEM写真において、縦方向をy方向、横方向をx方向とした場合、x方向に相当する方向からとした。なお、照射した矩形をなすラインビーム4の長軸がx方向であり、短軸がy方向である。
【0023】
しかして、結晶化Si膜33に、波長λが約380〜800nmの連続スペクトル光41を照射用光ファイバー42で伝送し、光ファイバー42の出射口から21mmの位置に配置した焦点距離f=21mmの凸レンズ44によつて平行光31となし、レンズ44からv=95mmの距離に保つた結晶化Si膜33に、入射角α=45°で平行光31を照射した。
【0024】
一方、結晶化Si膜33の表面からの回折光32を先の凸レンズ44を透過させ、照射用光ファイバー42からu=0.2mmだけ平行に離れた位置にある受光用光ファイバー45に角度2δで入射させた。ここで、uはvに比べて充分に小さい(0.2/95=0.002=2mrad)ため、回折光32の回折角βを照射した平行光31の入射角αと同じβ=α=45°とみなした。
【0025】
このような条件で分光器46を用いて測定したスペクトルを、300〜800nmの波長範囲で図3に示す。図3において破線で示す回折光32のスペクトルは、波長422nmにおける鋭いピークがある。他の波長域の連続スペクトルは、照射した平行光31が結晶化Si膜33の表面で乱反射して受光用光ファイバー45に検出された成分である。参照のため、同様の測定をレーザ照射前のa−Si膜5aに対して行つた場合の結果も同じグラフ上に実線で示した。
【0026】
この鋭いピークを伴う結果から、結晶粒の配列・分布に適当な規則性があることが分かるので、次に結晶化Si膜33の結晶粒の大きさDを算出する。先ず、回折光32の次数は、分光器46での波長測定で422nm(λmax)以外の波長に強いスペクトルが見られなかつたことから、これが1次であり、n=1とする。従つて、結晶粒の大きさDは、
D=λ/(sinα+sinβ)=λ/(2sinα)=422nm/(2×√2/2)=422nm/√2 =298.4nm
となる。これは、SEM写真より得られた結果と実質的に同じであつた。
【0027】
理論的には、入射角αと回折角βの値は異なつても問題ないが、レンズ44が1つで照射する平行光31及び回折光32の検出のための機構構成が簡素になるため、図2に示すような入射角αと回折角βとが事実上同じ角度になる測定装置が望ましい。
【0028】
同様な計測を、図10のSEM写真に示される他の照射エネルギー密度で結晶化された結晶化Si膜33および同時に行つた他のエネルギー密度で結晶化された結晶化Si膜33にも行つた。平行光31の結晶化Si膜33への照射方向は、SEM写真において、縦方向をy方向(短軸方向)、横方向をx方向(長軸方向)とした場合、x方向とy方向に相当する両方向からとした。
【0029】
図4に各エネルギー密度における結晶化Si膜33からの回折光32のスペクトル強度を示す。縦軸の単位は任意強度である。図4に丸印で示す特性は、γ=5°であり、四角印で示す特性は、γ=95°である。γは、図7に示すように、平行光31及び回折光32をxy平面上に投影したときに、x軸(x方向)となす角度である。図10のSEM写真の結果と比較してわかるように、スペクトル強度が高くなるにつれ、結晶化Si膜33の結晶粒の配列・分布の規則性が増加しており、また、結晶粒の配列・分布の規則性は、y方向(γ=95°)よりもx方向(γ=5°)の方が良好であり、x方向とy方向で差異がでている点もはつきりとわかる。
【0030】
このように回折光32のスペクトル強度の強弱から、結晶化Si膜33の結晶粒の配列・分布の規則性に関する優劣の知見を、簡便にかつ短時間で得ることができる。勿論、D=n・λ/(sinα+sinβ)なる式から、結晶粒の大きさDを求めることもできる。なお、図4におけるピークを示すスペクトル波長は、各エネルギー密度の結晶化Si膜33で、x方向422nm,y方向473nmであり、両者はほぼ同じであつた。従つて、結晶粒の大きさDは、x方向及びy方向のいずれか一方で評価すれば、実用上の問題は生じない。
【0031】
上述したように、結晶化Si膜33に連続スペクトル光を平行光31にして照射し、そこから得られる回折光32のスペクトル強度及び波長より、結晶粒の配列の規則性と結晶粒の大きさDを短時間で評価できる。このため、実際のガラス基板6上への結晶化Si膜33の量産中に、結晶化Si膜33の作製時間を延長することなく、常時、基板状態の適否を監視することかできる。
【0032】
すなわち、予め、レーザ光(4)の使用できる照射エネルギー密度範囲内で、結晶化に最適な回折光32のスペクトル強度及び波長を決定しておけば、結晶化Si膜33の形成直後、常に回折光32のスペクトル強度及び波長を監視し、スペクトル強度及び波長を一定に保つようにレーザ光(4)のエネルギー密度を制御することにより、結晶粒配列の規則性を一定範囲に保つて結晶化Si膜33を作製することができる。回折光32のスペクトル強度及び波長が変化する原因としては、レーザ発振器10やホモジナイザー2a,2b、反射ミラー7,8及び集光レンズ3からなる光学系の特性が変化した場合がある。勿論、上記式から結晶粒の大きさDを求め、結晶粒の大きさDを一定範囲に保ちながら結晶化Si膜33を作製することもできる。
【0033】
なお、回折光32のスペクトル強度及び波長を一定に保つために必要なレーザ光(4)のエネルギー密度が、アッテネータ11によつて設定・使用できるエネルギー密度範囲を逸脱した場合には、自動的又は手動により結晶化Si膜33の作製装置を停止させることもできる。これにより、不良率の低減を図ることができる。
【0034】
ところで、図4から分かるように、結晶化Si膜33においては、結晶粒の配列・分布の規則性が方向により異なる。このため、図5に示すように、平行光31の結晶化Si膜33への入射位置(図5のO位置付近)と入射角αを固定した状態で、結晶化Si膜33のx軸(x方向)に対する回転角度θの方向を相対変化させ、複数の変化位置における回折光32のスペクトル強度及び波長の変化を調べることにより、結晶粒の配列方向を知ることができる。回折光32のスペクトル強度及び波長の変化を調べることにより、各方向での結晶粒の規則性や大きさDを知ることもできる。
【0035】
この結晶粒の配列方向の評価方法を、結晶化Si膜33に適用した結果の一例を図6に示す。このときも入射角α及び回折角βは45°とし、当初、図5に示すようにx軸とz軸とを含む面上で法線znとなす入射角α=45°を固定し、その状態が回転角度θの零とし、その後、結晶化Si膜33をz軸を中心(O位置)として相対回転させ、平行光31の結晶化Si膜33への入射位置回りの回転角度θを次第に相対変化させながら、各角度θ位置における回折光32のスペクトル強度及び波長の変化を調べた。
【0036】
図6に示されるとおり、0 °≦θ≦10°の範囲において、回折光32のスペクトルの適当な強度のピークが波長λ=426nmで検出され、また、90°≦θ≦110°の範囲において、回折光32のスペクトルの別の適当な強度のピークが波長λ=468nmで検出された。それ以外の回転角度θの位置では、回折光32のスペクトルのピークは検出されなかつた。波長λ=426nmにおける回折光32のスペクトル強度の最大はθ= 5°のときであり、また、波長λ=468nmにおける回折光32のスペクトル強度の最大はθ=95°のときであり、これらが結晶粒の配列・分布の方向であることが分かる。
【0037】
また、この結果を回折条件式から導かれるD=n・λ/(sinα+sinβ)なる式に適用して、x軸に対して5°傾いた軸に沿う方向では、結晶粒が301nmごとに規則性を持つて配列され、また、同様に、95°傾いた軸に沿う方向では、結晶粒が331nmごとに規則性を持つて配列されていると評価される。更に、回折光32のスペクトルの強度は、波長λ=426nmの方が波長λ=468nmに比べて約4倍高いことから、結晶粒の配列の規則性は、x軸に対し5 °傾いた軸に沿う方向の方が高いと評価できる。図7に評価した結晶化Si膜33のイメージを示す。但し、結晶粒の配列・分布の規則性の良否は、x方向(x軸方向)つまり0 °≦θ≦10°の範囲及びy方向(y軸方向)つまり90°≦θ≦110°の範囲のいずれか一方で評価すれば、実用上の問題は生じない。すなわち、結晶粒の配列ないし分布に適当な規則性があることは、所定範囲の回転角度θ(0 °≦θ≦10°及び90°≦θ≦110°)での、鋭いピークを伴うスペクトル強度の大きさから、評価することが可能である。
【0038】
この配列方向の評価方法を用いれば、スペクトルのピークが見られる平行光の基板5に対する狭い回転角度θ内での最大強度から、結晶化Si膜33の結晶粒の配列・分布の方向が評価できるのみならず、スペクトルの同一波長に現れる強度の大きさから結晶粒の配列・分布の規則性の有無が分かり、更には結晶粒の大きさDが、短時間で分かり、これらの適否を結晶化Si膜33を損なうことなく、直ちに評価することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明によつて理解されるように、本発明に係る結晶化Si膜の評価方法及びその装置によれば、次の効果を奏することができる。
結晶化Si膜における結晶粒の配列ないし分布の規則性の評価を簡易に行ない、ひいては、良好なエネルギー密度のレーザ光をSi膜に照射して、均一かつ適正な規則性を有する結晶を基板の全面に形成することができる。
【0042】
また、結晶化Si膜の結晶粒の配列方向を知ることにより、結晶粒界数又は粒界長の最小になる配列方向にTFTを作製し、結晶粒界において電子の移動度が低下してTFTの特性が悪化することを防止して、TFTの品質を向上させることが可能になる。また、結晶化Si膜の結晶粒の配列方向を容易に知ることができるので、結晶粒の配列方向が希望する方向になるように、レーザ光の照射方向を調整しながら結晶化させることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施の形態に係る結晶化Si膜の評価装置の原理を示す正面図。
【図2】 同じく結晶化Si膜の評価装置を示す正面図。
【図3】 同じく強度−波長特性を示すスペクトル線図。
【図4】 同じく回折光のスペクトル強度−照射エネルギー密度特性を示す線図。
【図5】 同じく結晶化Si膜のx軸に対する回転角度方向を変化させて回折光のスペクトルを得るための説明図。
【図6】 同じく回転角度方向を変化させて得た回折光の強度−波長特性を示すスペクトル線図。
【図7】 同じく評価した結晶化Si膜のイメージを示す平面図。
【図8】 結晶化Si膜の作製装置を示し、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図。
【図9】 結晶化Si膜の作製装置のホモジナイザーを示す斜視図。
【図10】 結晶化Si膜の作製装置の照射エネルギー密度を変えたときの結晶化Si膜のSEM写真を示す図。
【符号の説明】
1:レーザ光、4:ラインビーム(レーザ光)、10:レーザ発振器、31:平行光、32:回折光、33:結晶化Si膜、41:連続光(光源)、42:照射用光ファイバー(光源)、44:レンズ、45:受光用光ファイバー、46:分光器、47:表示装置、D:結晶粒の大きさ、zn:法線、α:入射角、β:回折角、θ:回転角度、λ:波長。
Claims (2)
- レーザ光(4)により結晶化した結晶化Si膜(33)の表面に、結晶化Si膜(33)平面からの法線(zn)と入射角αをなす平行光(31)を入射させ、この平行光(31)による結晶化Si膜(33)の表面からの回折光(32)を、前記法線(zn)と回折角βをなす位置で検出する結晶化Si膜の評価方法であつて、
入射角α及び回折角βの範囲を、共に0°以上90°以下に限定して正反射光(35)を含まない回折光(32)を得ると共に、
結晶化Si膜(33)に入射させる平行光(31)の入射位置及び入射角αを固定した状態で、該平行光(31)の結晶化Si膜(33)への入射位置回りの回転角度(θ)を相対変化させ、複数の回転角度(θ)の位置における回折光(32)のスペクトル強度及び波長から、結晶化Si膜(33)の結晶粒の配列方向及び結晶粒の分布の規則性の内の少なくとも1つを評価することを特徴とする結晶化Si膜の評価方法。 - レーザ光(4)により結晶化した結晶化Si膜(33)の表面に、結晶化Si膜(33)平面からの法線(zn)と入射角αをなす平行光(31)を入射させる光源(41,42)と、この平行光(31)による結晶化Si膜(33)の表面からの回折光(32)を、前記法線(zn)と回折角βをなす位置で受光すると共にスペクトルを示す分光器(46)とを備える結晶化Si膜の評価装置であつて、
入射角α及び回折角βの範囲を、共に0°以上90°以下に限定して正反射光(35)を含まない回折光(32)を得ると共に、
結晶化Si膜(33)に入射させる平行光(31)の入射位置及び入射角αを固定した状態で、該平行光(31)の結晶化Si膜(33)への入射位置回りの回転角度(θ)を相対変化させ、複数の回転角度(θ)の位置における回折光(32)のスペクトル強度及び波長から、結晶化Si膜(33)の結晶粒の配列方向及び結晶粒の分布の規則性の内の少なくとも1つを評価することを特徴とする結晶化Si膜の評価装置。
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