JP3794438B2 - 板状材の自動切断方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、板状材の自動切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、数値制御(以下、N/Cと略称する)切断作業というのは、切断架台またはコンベヤ上にセットされた鋼板等の板状材をN/Cテープまたはディスクにメモリされたプログラムの指令によりN/C装置で自動的にマーキングおよび切断を行い、加工する作業である。
【0003】
このようなN/C切断作業においては、従来では、N/C装置の切断開始点、つまり板状材の原点への切断トーチセット、N/C装置をオペレータが手動にて原点位置まで移動させ、切断トーチをセットする操作が必要であり、マーキング後の一時停止機能(プログラムストップ)時の再スタート操作等オペレータの手動による操作が不可欠であった。
【0004】
特に、並列に置かれた複数枚の板状材を同時にマーキングおよび切断する場合においては、切断機の進行方向のレールに対してその切断線が平行になるように、板状材の芯出しを行う必要があった。また、レールに並行でない切断線のマーキングおよび切断については、N/C装置等が備えている座標回転機能を用いることで、板状材の傾き角度、つまり切断線の傾き角度に対応することができたが、それが板状材が1列に置かれた場合あるいは並列であってもそれぞれの切断線の傾き角度が同じ場合に限られていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来技術においては、板状材1枚に対してマーキングおよび切断の経路プログラムが1個対応しているのが一般的であったので、並列に置かれた板状材を同時に長さ方向のマーキングおよび切断を行おうとすると、板状材がそれぞれ並行で、かつ板取り寸法が同一でないとマーキングおよび切断を行うことが不可能であった。また、並列板を幅方向にマーキングおよび切断しようとすると、切断トーチを前後に寸動するトーチ前後装置が手動であるため、幅方向のマーキングおよび切断中にそれを前後に自動制御することが不可能であった。
【0006】
本発明は、上記のような従来技術の有する課題を解決した板状材の自動切断方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の切断トーチを備えた数値制御切断機を用いて、並列に配置される複数の板状材の長手方向または幅方向を同時に自動切断する方法であって、各々の切断トーチの移動速度を決定するに当たり、板状材の自動切断を2通りの場合に区別し、切断機を移動させて切断を行う場合を長手方向の同時切断とし、切断機を移動させずに切断を行う場合を幅方向の同時切断とし、用いる複数の切断トーチをあらかじめ決定するとともに、複数の板状材の切断開始位置にあらかじめ基準点を決定しておき、前記数値制御切断機を移動して、各々の切断トーチを対応する基準点にそれぞれ位置決めする工程と、各々の切断トーチの切断線での最大切断速度をあらかじめ求める工程と、長手方向の同時切断を行う場合には、前記最大切断速度及び各々の切断トーチの切断線と、切断機移動方向とのなす傾き角度に基づいて前記最大切断速度の切断機移動方向への速度成分である各々の切断トーチの切断速度を求め、それらの中から最小切断速度を選んで前記数値制御切断機の移動速度として決定する工程を経、幅方向の同時切断を行う場合には、前記最大切断速度及び各々の切断トーチの切断線と、切断機移動方向に対して直角な方向とのなす傾き角度に基づいて前記最大切断速度の切断機移動方向に対して直角な方向への速度成分である各々の切断トーチの切断速度を求め、その中から最小切断速度を選んで各々の切断トーチを切断機移動方向に対して直角な方向へ動かす手段であるトーチブロックの移動速度として決定する工程を経て、該決定した最小切断速度に基づいて各々の切断トーチを板状材の長手方向または幅方向に移動させながら板状材を切断する工程と、からなることを特徴とする。
【0008】
なお、長手方向の同時切断を行う場合には、各々の切断トーチの切断線と、切断機の移動方向とのなす傾き角度をθi とし、前記最大切断速度の切断機移動方向への速度成分である各々の切断トーチの切断速度vi を下記(1) 式で求め、
幅方向の同時切断を行う場合には、各々の切断トーチの切断線と、前記数値制御切断機の移動方向に対して直角な方向とのなす傾き角度をφ i とし、前記最大切断速度の切断機移動方向に対して直角な方向への速度成分である各々の切断トーチの切断速度v i を下記 (2) 式で求めるのがよい。
vi =Simaxcos θi ………………(1)
v i =S imax cos φ i ……………… (2)
ここで、S imax ;各々の切断トーチの切断線での最大切断速度、i;切断トーチの番号である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。なお、本発明装置はマーキングと切断の双方の機能を有することができるものであるが、ここでは切断機能についてのみ説明することとする。
図1は本発明の板状材長手方向の切断の一例を示す概要図であり、図2は本発明の板状材幅方向の切断の一例を示す概要図である。
【0010】
これらの図において、1はレール、2はレール1上を走行するN/C切断機、3a〜3dは切断トーチである。4a〜4dはサーボモータ等の駆動装置(図示せず)を備えたトーチ前後装置で、切断トーチ3a〜3dをそれぞれ板状材P1 ,P2 の長手方向に移動自在とする機能を有する。5a〜5dはトーチ前後装置4a〜4dをそれぞれ保持するトーチブロックで、内部に装着した電動モータ等の駆動装置(図示せず)によって切断トーチ3a〜3dをそれぞれ板状材P1 ,P2 の幅方向に移動自在とする機能を有する。6は並列に切断される板状材P1 ,P2 を矢示F方向に搬送するコンベヤ等の搬送テーブルである。
【0011】
そこで、図1に示したように、搬送テーブル6で並列に傾いて搬送された2枚の板状材P1 ,P2 を長手方向の同時切断を行う場合は、以下の手順で操作する。
( i ) 2枚の板状材P1 ,P2 の切断開始位置にあらかじめ基準点7a〜7dを決定しておき、N/C切断機2を移動して切断トーチ3a〜3dを基準点7a〜7dの位置にそれぞれ合わせる。
( ii ) 切断トーチ3a〜3dのそれぞれの切断線の最大切断速度S1max,S2max,S3max,S4maxをあらかじめ求める。
( iii ) これら切断トーチ3a〜3dの切断線とN/C切断機2の移動方向L(切断機移動方向)とのなす傾き角度θ1 ,θ2 (通常は、θ2 =θ1 ),θ3 ,θ4 (通常は、θ4 =θ3 )を算出する。
( iv ) そして、下記(1) 式を用いて最大切断速度の切断機移動方向Lへの速度成分である各々の切断トーチの切断速度vi を求める。
【0012】
vi =Simaxcos θi ………………(1)
ここで、i;切断トーチの番号で、i=1〜4である。
▲5▼ さらに、求められた4つの切断速度v1 ,v2 ,v3 ,v4 から最小な速度を選んでN/C切断機2の移動速度v1 を決定する。
▲6▼ N/C切断機2をこの移動速度v1 で矢示L方向に移動させ、かつ、トーチブロック5a,5bを角度θ1 の方向に、またトーチブロック5c,5dを角度θ3 の方向にそれぞれ移動させながら長手方向の切断を行う。
【0013】
つぎに、2枚の板状材P1 ,P2 の幅方向の同時切断を行う場合は、図2に示したように、切断トーチ3a〜3dのうち、両端の切断トーチ3a,3dを待機状態にして、2本の切断トーチ3b,3cを用いて、以下の手順で操作する。
( i ) まず、2枚の板状材P1 ,P2 の切断開始位置にあらかじめ基準点7e,7fを決定しておき、N/C切断機2を移動して切断トーチ3b,3cを基準点7e,7fの位置にそれぞれ合わせる。
( ii ) 切断トーチ3b,3cのそれぞれの切断線の最大切断速度S2max,S3max,をあらかじめ求める。
( iii )これらの切断線と切断機移動方向Lに対して直角な方向とのなす傾き角度φ2 ,φ3 を算出する。
( iv ) そして、下記(2) 式を用いて最大切断速度の切断機移動方向Lに対して直角な方向への速度成分である各々の切断トーチの切断速度vi を求める。
【0014】
vi =Simaxcos φi ………………(2)
ここで、i=2,3である。
▲5▼ さらに、求められた2つの切断速度v2 ,v3 の中から最小な値を選んでトーチブロック5b,5cの移動速度v2 を決定する。
▲6▼ トーチブロック5bをこの移動速度v2 で移動させるとともに、同時にトーチ前後装置4bを操作して切断トーチ3bを傾き角度φ2 で矢示W方向に移動させるようにし、一方、トーチブロック5cを移動速度v2 で移動させるとともに、同時にトーチ前後装置4cを操作して切断トーチ3cを傾き角度φ3 で矢示W方向に移動させるようにして、同時に2枚の板状材P1 ,P2 の幅方向の切断を行う。
【0015】
なお、上記の例では、並列とされる2枚の板状材P1 ,P2 の長手方向および幅方向の同時切断を行う場合について説明したが、搬送テーブル6による板状材の搬送が3枚以上可能であるならば、N/C切断機2に取り付ける切断トーチの数を増加することにより、3枚以上の同時切断が可能である。なお、前記搬送テーブル6の代わりに切断用架台を用いて、クレーン等を介して板状材を載置するようにしてもよい。
【0016】
また、切断トーチの代わりにマーキングパウダをスプレーし得るマーキングノズルを取り付けることにより、並列な複数枚の板状材のマーキングを同様にして同時に行うことができることはいうまでもない。
【0017】
【効果】
以上説明したように、本発明によれば、異なる傾きで並列に配置される複数の板状材の長手方向または幅方向を同時に自動切断することが可能となり、切断あるいはマーキングに要する時間を半減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の板状材長手方向の切断の一例を示す概要図である。
【図2】本発明の板状材幅方向の切断の一例を示す概要図である。
【符号の説明】
1 レール
2 N/C切断機(数値制御切断機)
3a〜3d 切断トーチ
4a〜4d トーチ前後装置
5a〜5d トーチブロック
6 搬送テーブル
7a〜7f 基準点(切断開始位置)
P1 ,P2 板状材
L 切断機移動方向
θ i 切断線と切断機移動方向とのなす傾き角度
φ i 切断線と切断機移動方向に対して直角な方向とのなす傾き角度
Claims (2)
- 複数の切断トーチを備えた数値制御切断機を用いて、並列に配置される複数の板状材の長手方向または幅方向を同時に自動切断する方法であって、
各々の切断トーチの移動速度を決定するに当たり、板状材の自動切断を2通りの場合に区別し、切断機を移動させて切断を行う場合を長手方向の同時切断とし、切断機を移動させずに切断を行う場合を幅方向の同時切断とし、
用いる複数の切断トーチをあらかじめ決定するとともに、複数の板状材の切断開始位置にあらかじめ基準点を決定しておき、前記数値制御切断機を移動して、各々の切断トーチを対応する基準点にそれぞれ位置決めする工程と、各々の切断トーチの切断線での最大切断速度をあらかじめ求める工程と、
長手方向の同時切断を行う場合には、前記最大切断速度及び各々の切断トーチの切断線と、切断機移動方向とのなす傾き角度に基づいて前記最大切断速度の切断機移動方向への速度成分である各々の切断トーチの切断速度を求め、それらの中から最小切断速度を選んで前記数値制御切断機の移動速度として決定する工程を経、
幅方向の同時切断を行う場合には、前記最大切断速度及び各々の切断トーチの切断線と、切断機移動方向に対して直角な方向とのなす傾き角度に基づいて前記最大切断速度の切断機移動方向に対して直角な方向への速度成分である各々の切断トーチの切断速度を求め、その中から最小切断速度を選んで各々の切断トーチを切断機移動方向に対して直角な方向へ動かす手段であるトーチブロックの移動速度として決定する工程を経て、該決定した最小切断速度に基づいて各々の切断トーチを板状材の長手方向または幅方向に移動させながら板状材を切断する工程と、からなることを特徴とする板状材の自動切断方法。 - 長手方向の同時切断を行う場合には、各々の切断トーチの切断線と、切断機の移動方向とのなす傾き角度をθi とし、前記最大切断速度の切断機移動方向への速度成分である各々の切断トーチの切断速度vi を下記(1) 式で求め、
幅方向の同時切断を行う場合には、各々の切断トーチの切断線と、前記数値制御切断機の移動方向に対して直角な方向とのなす傾き角度をφi とし、前記最大切断速度の切断機移動方向に対して直角な方向への速度成分である各々の切断トーチの切断速度vi を下記(2) 式で求めることを特徴とする請求項1記載の板状材の自動切断方法。
vi =Simaxcos θi ………………(1)
vi =Simaxcos φi ………………(2)
ここで、Simax;各々の切断トーチの切断線での最大切断速度、i;切断トーチの番号である。
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---|---|---|---|
JP07213396A JP3794438B2 (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | 板状材の自動切断方法 |
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JP07213396A JP3794438B2 (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | 板状材の自動切断方法 |
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JPH09253840A JPH09253840A (ja) | 1997-09-30 |
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Family Applications (1)
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JP07213396A Expired - Lifetime JP3794438B2 (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | 板状材の自動切断方法 |
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JP (1) | JP3794438B2 (ja) |
-
1996
- 1996-03-27 JP JP07213396A patent/JP3794438B2/ja not_active Expired - Lifetime
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