JP3794211B2 - 高炉出銑口のマッド材の評価方法および出銑口開口方法 - Google Patents

高炉出銑口のマッド材の評価方法および出銑口開口方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マッド材の損耗性を的確に評価することが可能な高炉出銑口のマッド材の評価方法および出銑終了時刻を的確に予測することが可能な高炉の出銑終了時刻の予測方法および出銑時間の制御が可能な高炉の出銑口開口方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉炉内に生成した溶銑滓は、炉床部の出銑口から排出される。
炉内での溶銑滓の単位時間当たりの生成量(造銑滓速度)と出銑口からの溶銑滓の単位時間当たりの排出量(排出速度)が等しければ、炉内の滞留溶銑滓量が一定の状態で連続的に出銑滓が行われる。
【0003】
しかし、出銑口を形成する耐火物(以下、マッド材と記す)は、出銑口の内部を流れる溶銑滓によって損耗を受け、出銑口の径が徐々に拡大するため、排出速度は出銑口開口時から次第に増加し、溶銑滓の排出速度が造銑滓速度よりも大きくなると炉内滞留溶銑滓量が減少する。
炉内滞留溶銑滓の上面が出銑口の位置まで下降すると、出銑口から溶銑滓と共に炉内ガスが吹き出るため、出銑口にマッド材を充填して出銑滓を停止し、マッド材の焼成後、所定時期に再度出銑口をドリル掘り、金棒打ち込みなどの手段により開口する。
【0004】
以上、高炉の出銑滓について述べたが、従来、高炉の出銑滓に関して下記で述べる(1) 精度に優れた出銑終了時刻の予測、(2) 出銑時間の延長が求められていた。
(1) 精度に優れた出銑終了時刻の予測:
出銑中にその出銑が終了する時刻を予測することができれば、終了前に的確に他の出銑口を開口して、次回の出銑を開始すること(以下、ラップ出銑とも記す)ができるため、炉内残銑滓量に応じた出銑スケジュールを立てることが可能になる。
【0005】
前記したように、出銑中は、出銑口が損耗により拡大して出銑滓速度が時間と共に増加し、造銑滓速度を上回って、炉内の銑滓レベルが出銑孔レベルまで低下した時に、炉内のガスが炉外に吹き出し、出銑が終了する。
出銑の終了時刻を予測するためには、出銑滓速度を予測することが必要であるが、それに必要な出銑口の拡大速度、すなわち損耗速度は、マッド材質以外に、高炉の操業条件や溶銑滓性状に大きく依存するため、正確に出銑の終了時刻を予測することは極めて困難であった。
【0006】
これに対して、造銑量と出銑量から求めた炉内残留溶銑量と、溶銑の生成速度と過去の出銑速度パターンから算定した炉内残留溶銑の予測減少速度から、出銑終了予測時刻を遂次求め、出銑中のある時点から出銑終了予測時刻までの時間が所定時間内になった後、出銑速度の降下を検知して出銑終了を判定する技術が開示されている(特許第 2615290号公報参照)。
【0007】
しかし、上記した技術の場合、過去の出銑速度パターンを出銑終了時刻の予測に用いているため、特に高炉の操業条件などが変化した場合に出銑終了時刻の予測誤差が大きくなることが問題である。
(2) 出銑時間の延長:
高炉操業においては、出銑口の開口から閉塞(以下出銑止めとも記す)までの出銑時間を延長することによって、作業者の出銑作業負荷の軽減、出銑口の閉塞に用いられるマッド材や開口時の金棒などに要する費用の削減を達成することができる。
【0008】
さらに、出銑口の閉塞から次回の出銑開始までの時間(以下、出銑間隔とも記す)中は、炉内の残銑滓量が増加するため操業が不安定となり易いが、出銑時間を延長することによって出銑止めの回数を低減し、出銑間隔を短くすることができれば、出銑間隔中に発生するこれらの問題も少なくなる。
以上述べたように、1回の出銑時間の延長による出銑回数の減少は、高炉操業上多くの利点をもたらす。
【0009】
出銑時間を支配する主な因子としては、出銑量(出銑速度)、スラグ比、出銑口の初期の開口径、出銑口深度、マッド材の損耗速度などが挙げられる。
また、異なる出銑口を順次使用する交互出銑の場合は、これらの出銑口の出銑前後の出銑の重複時間(以下、ラップ時間とも記す)も出銑時間に影響を与える。
【0010】
上記した各因子の内、出銑量やスラグ比は高炉の操業条件で決まるものであり、出銑口深度は、出銑口上部の羽口条件や、炉内のコークスの充填状態などに大きく影響されるため、出銑時間をマッド材の充填量などの操作因子だけで制御することは難しい。
これに対して、開口径は、開口作業時に随時選択可能な因子であり、また、マッド材の損耗速度は、マッド材の原料配合や粒度構成などによって制御可能であるため、一般的にはこれらの因子の選択、あるいは改善によって出銑時間の制御が行われている。
【0011】
マッド材の損耗速度の評価は、溶銑あるいは溶銑と溶滓との混合液にマッド材を浸漬し、一定時間後のマッド材の損耗量を実験室的に調べることによって行うのが一般的である。
しかしながら、実際の高炉の出銑口内においては、秒速10m近い速度で溶銑滓が流れており、流出する溶銑滓中の溶銑と溶滓の量比も常に変化している。
【0012】
また、出銑口の形状および出銑口内におけるマッド材の焼成状態、充填密度は、空間的にも経時的にも一定ではない。
すなわち、実機におけるマッド材の損耗性を評価、予測する場合、マッド材の損耗速度の実験室的な評価のみでは極めて不十分である。
さらに、前記したように高炉の出銑時間は種々の因子に複雑に支配されているため、マッド材の損耗性が出銑時間に与える影響を単独で評価することはこれまで困難であった。
【0013】
この結果、出銑口の初期の開口径を規定したとしても、マッド材の損耗性の評価、予測が困難なため、出銑時間が所定時間となるように制御することは困難であった。
これに対して、出銑時間を延長する技術として、出銑口直上部にマッド材を充填するための専用口を設け、出銑に伴って損耗するマッド材を適宜補うことによって出銑時間を延長する技術が開示されている(特開平9−279211号公報)。
【0014】
しかしながら、上記した技術の場合、マッド材充填口を設置するための費用がかかる上に、炉内の出銑口前とコークス充填層との間にマッド材が充填される可能性があり、出銑口への溶銑滓の流れが阻害される危険性がある。
また、出銑時間を最適範囲に制御する技術として、複数の内孔を設けた耐火物スリーブを出銑口内に装着し、当該内孔から不活性ガスを噴射して溶銑滓と耐火物との間にガス膜層を形成し、両者の接触を防ぐ技術が開示されている(特開平9−235602号公報参照)。
【0015】
上記した技術によれば、出銑口の損耗が著しく減少するため、出銑時間の飛躍的な延長が期待できるが、複雑な構造の耐火物スリーブが高価であることや、出銑中に多量の不活性ガスを使用する必要があり、溶銑コストの上昇が免れない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、マッド材の損耗性を的確に評価することが可能な高炉出銑口のマッド材の評価方法および出銑終了時刻を的確に予測することが可能な高炉の出銑終了時刻の予測方法および所定のマッド材に対して最大の出銑時間を得ることが可能な高炉の出銑口開口方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、高炉の出銑時に、出銑口から排出される溶銑と溶滓の合計流出体積速度である全流出速度を測定し、得られた全流出速度の時間変化率に基づき出銑口のマッド材の損耗性を評価することを特徴とする高炉出銑口のマッド材の評価方法である。
【0018】
第2の発明は、高炉の出銑時に、出銑口から排出される溶銑と溶滓の合計流出体積速度である全流出速度を測定し、得られた全流出速度の時間変化率と、操業条件から求められる造銑滓量に基づき、当該出銑の終了時刻を下記の式により予測することを特徴とする高炉の出銑終了時刻の予測方法である。
T=T 0 +t 1 +t
2 +〔(Wt/2)+a〕t=V R +(t 1 +t)V 1
ここで
T :出銑終了時刻
0 :出銑開始時刻
1 :出銑開始後全流出速度が増加し始めるまでの時間 (min)
t :出銑開始後全流出速度が増加し始めてから出銑が終了しガス吹きするまでの時間 (min)
1 :出銑中の造銑滓量 (m 3 /min)
2 :出銑開始後全流出速度が増加し始めるまでの溶銑滓流出量 (m 3 )
W :全流出速度の時間変化率 (m 3 /min/min)
a :出銑開始後全流出速度が増加し始めた時点の全流出速度 (m 3 /min)
R :出銑開始時の高炉内の残銑滓量 (m 3 )
第3の発明は、高炉の出銑時に、使用するマッド材に対して出銑口から排出される溶銑と溶滓の合計流出体積速度である全流出速度を測定し、得られた全流出速度の時間変化率と、操業条件から求められる造銑滓量に基づき、出銑中の炉内残銑滓量が一定限度値を超えない範囲内での出銑口開口、得られた出銑口開口に基づき出銑口の開口を行うことを特徴とする高炉の出銑口開口方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、出銑時のマッド材の損耗速度を的確に評価することことが可能な高炉出銑口のマッド材の評価方法を提供するものである。
また、本発明は、出銑終了時刻を的確に予測することが可能な高炉の出銑終了時刻の予測方法を提供するものである。
【0021】
また、本発明は、予め、マッド材質毎の損耗速度を的確に評価、予測し、得られた結果に基づき、出銑口の開口条件を選択することによって、炉内残銑滓量を一定値以下に管理しながらマッド材質に対応する最大の出銑時間を得るものである。
すなわち、本発明によれば、下記(1) 〜(3) の方法によって前記した課題を解決する。
【0022】
(1) 高炉の出銑口から排出される溶銑および溶滓の合計流出体積速度である全流出速度を測定し、得られた全流出速度の時間変化率によってマッド材の損耗性を評価する。
(2) 上記(1) で得られたマッド材の損耗性の評価結果と、操業条件から求められる造銑滓量に基づき、出銑終了時刻を予測する。
【0023】
この場合、出銑時において全流出速度が増加し始めた後、所定時間経過迄の全流出速度の時間変化率によって、当該出銑の出銑終了時刻を予測する。
(3) 上記(1) で得られたマッド材の損耗性の評価結果と、操業条件から求められる造銑滓量に基づき、次回出銑時における適切な出銑口開口条件を求め、出銑口の開口を行う。
【0024】
以下、本発明を、[1] 高炉出銑口のマッド材の評価方法(第1の発明)、[2] 高炉の出銑終了時刻の予測方法(第2の発明)、[3] 出銑口開口方法(第3の発明)の順に説明する。
[1] 高炉出銑口のマッド材の評価方法(第1の発明):
本発明者らは、種々の高炉操業条件、出銑口開口条件およびマッド材質の条件下、溶銑滓の流出速度の時間変化率を測定した。
【0025】
その結果、いずれの条件においても、出銑口から流出する溶銑の単位時間当たりの体積(以下、溶銑流出速度と記す)と、出銑口から流出する溶滓の単位時間当たりの体積(以下、溶滓流出速度と記す)とを合計した量(以下、全流出速度と記す)が、出銑中の一定の時間内において経過時間に対して直線的に増加することを見出した。
【0026】
図1に、出銑中の溶銑流出速度、溶滓流出速度、全流出速度の経時変化の1例を示す。
図1に示されるように、溶銑流出速度および溶滓流出速度のそれぞれは、時間に対して大きく変動するが、溶銑流出速度および溶滓流出速度の合計量である全流出速度は、出銑開始後一定時間経過後は、時間に対して直線的に増加し、その変動も少ない。
【0027】
また、上記した一定時間内の全流出速度の時間変化率、すなわち下記式(1) で定義されるW値は、初期に変動する場合があるが、例えば出銑開始後60分からガスが出銑口より吹き出すまでの間、一定値を維持することが分かった。
【0028】
【数1】
Figure 0003794211
【0029】
本発明に係るW値は、流出する溶銑滓の性状の変化などの因子を取り込んだ形での出銑時のマッド材の損耗速度を示すものであり、同一の高炉であれば、W値によってマッド材の損耗性を単独で評価することができる。
この結果、後記する実施例で示されるように、本発明に係るW値は、高耐久性マッド材の開発にとって非常に有用である。
【0030】
[2] 高炉の出銑終了時刻の予測方法(第2の発明):
本発明によれば、出銑開始後所定時間全流出速度を測定することによって、その後の任意の時刻迄の高炉炉外排出溶銑滓量を予測することができる。
すなわち、図2の例では、出銑時は、出銑開始(時刻:T0 )後t1 時間は、全流出速度はほぼ一定値を示し、時刻T1 以降全流出速度が増加し始める。
【0031】
ただし、T0 からT1 までの全流出速度の変化は、一定値であるとは限らない。
本発明においては、▲1▼出銑開始時の高炉内の残銑滓量:VR 、▲2▼出銑中の造銑滓量V1 、▲3▼t1 時間に流出する溶銑滓量V2 、▲4▼全流出速度が増加し始めた後の所定時刻T2 迄の全流出速度の時間変化率:Wに基づき、下記式(2) からtを求め、この回の出銑の出銑終了時刻:T(=T0 +t1 +t)を予測することができる。
【0032】
2 +〔(Wt/2)+a〕t=VR +(t1 +t)V1 ………(2)
なお、上記式(2) において、
t :出銑開始後全流出速度が増加し始めてから出銑が終了しガス吹きするまでの時間(min)
R :出銑開始時の高炉内の残銑滓量(m3)
1 :出銑開始後全流出速度が増加し始めるまでの時間(min)
1 :出銑中の造銑滓量(m3/min)
2 :出銑開始後全流出速度が増加し始めるまでの溶銑滓流出量(m3)
W :前記式(1) で求められる全流出速度の時間変化率(m3/min/min)
a :出銑開始後全流出速度が増加し始めた時点の全流出速度(m3/min)
示す。
【0033】
所定時刻における高炉内の残銑滓量は、高炉へ装入する原料、燃料、副原料の組成と装入量から算出される高炉内の造銑滓量と出銑滓量の差から求めることができ、出銑開始時の高炉内の残銑滓量:VR は、前回出銑終了時の残銑滓量と出銑間隔中の造銑滓量から求めることができる。
出銑中の造銑滓量:V1 は上記と同様に、高炉へ装入する原料、燃料、副原料の組成と装入量から算出される。
【0034】
また、出銑開始後全流出速度が増加し始めるまでの溶銑滓流出量:V2 、出銑開始後全流出速度が増加し始めた時点の全流出速度:a、全流出速度の時間変化率:Wは、例えば受銑車、受滓車に秤量器を設置してその重量および単位時間当たりの重量増加量および重量増加量の時間変化率を測定し、それぞれの測定値を、溶銑滓の温度、組成から計算される溶銑滓の密度で除すことによって求められる。
【0035】
溶銑滓の重量は、受銑車、受滓車内の液面レベルから求めることもできるが、一般に受銑車、受滓車の形状が複雑であること、溶銑の場合は液面をスラグが覆うことなどから精度の面で問題があり、上記した秤量器による測定の方が優れている。
さらに、本発明者らは、図3に示すように、W値と、ガス吹きを伴う出銑終了直前の全流出速度との間には一定の関係があることを見出した。
【0036】
この関係は、高炉の炉床径、出銑口の配置、出銑口と羽口との距離、出銑口と炉底との距離など高炉の仕様によって異なるが、同一の高炉では送風量、送風温度、燃料比、補助燃料比、酸素富化率、スラグ比などの操業諸元や、使用出銑口、出銑口の開口径、開口方法、出銑間隔などの開口条件によらず一定であることが分かった。
【0037】
すなわち、前記した図3に示す関係と計算で求めた高炉内の溶銑滓レベルとを組み合わせることによって、出銑終了時刻を正確に予測することが可能となる。
[3] 出銑口開口方法(第3の発明):
一般に、マッドの耐久性が向上して出銑時間が延長されると、出銑中に炉内に滞留する溶銑滓量が増加し、送風圧力の上昇や変動の増大などの悪影響が生じ易くなる。
【0038】
このため、本発明においては、予め、マッド材質毎の損耗性を正確に評価、予測し、得られた結果に基づき、開口時の開口径、出銑口深度など出銑口の開口条件を選択することによって、炉内銑滓量の増加を伴うことなくマッド材質に対応する最大の出銑時間を得るものである。
本発明によれば、全流出速度の時間変化率:W、出銑開始時の高炉内の残銑滓量および出銑中の造銑滓量とから開口条件を最適化することができる。
【0039】
すなわち、予め、使用するマッド材質に対するWを実操業データの解析によって求める。
次に、与えられた造銑滓速度と、前記において求めたWから算出した出銑滓速度との差を、想定した出銑口開口径、出銑口深度などの開口条件から計算する。これと出銑開始時の炉内残銑滓量から求めた、出銑中の炉内残銑滓量が一定限度値を越えない範囲内での最小開口径で開口する。
【0040】
本発明によれば、全流出速度の時間変化率:Wによって、マッド材質毎の損耗速度を事前に適切に評価できるため、適切な開口条件を選択することによって、炉内残銑滓量の増加に伴う操業トラブルを起こすことなく、マッド材質に対応した最大の出銑時間を得ることができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。
すなわち、本発明を、内容積:5153m3、羽口本数:40本の高炉に適用して試験を行った。
なお、本試験においては、下記事項について試験を行った。
【0042】
(1) 出銑終了時刻の予測:
本発明の出銑終了時刻の予測方法を用い、予測出銑時間と実績出銑時間との対応を調査した。
すなわち、前記した図2において、全流出速度が一定の時間t1 と前記した式(1) 、(2) から求められるtとの合計である予測出銑時間と、実績出銑時間との対応を調査した。
【0043】
(2) 出銑時間の制御:
本発明の出銑口開口方法によって出銑時間を制御した。
すなわち、予め、使用するマッド材質に対するWを実操業データの解析によって求めた。
次に、得られた関係および前回の出銑時間に基づき、次回の出銑において、出銑中の炉内残銑滓量が一定値を越えない範囲内での最小開口径を求め、得られた開口径で出銑口を開口した。
【0044】
(3) W値が小さいマッド材の開発:
損耗速度が大きいマッド材の場合、開口径の縮小のみでは、出銑時間の延長には限界があり、前記した図1に例示した全流出速度の時間変化率であるW値に基づき、マッド材の損耗性を評価し、マッド材の原料配合、混練の最適化によりW値が小さいマッド材の開発を行った。
【0045】
また、開発した各マッド材に対して上記した本発明の出銑口開口方法を適用し、出銑時間の延長を図った。
図4に、下記高炉操業条件下において本発明の方法で予測した予測出銑時間と実績の出銑時間との関係を示す。
〔高炉操業条件:〕
送風量 :5000〜7500Nm3/min
コークス比:480 〜520kg/ton-pig
微粉炭比 :50〜100kg/ton-pig
図4に示すように、操業条件が大きく変化しているにもかかわらず、予測出銑時間は実績出銑時間と良く一致しており、本発明によって、出銑終了時刻の予測を精度良く行えることが分かった。
【0046】
次に、図5に、試験期間中の出銑時間の推移を示す。
なお、図5の各プロットは、休風の前後や大幅な減風時の出銑を除いた3日間の平均値を示す。
図5に示すように、マッド材開発中から出銑時間は増加し始め、本発明適用前に平均2.5 時間であった出銑時間が、本発明適用後には平均5時間まで延長でき、また、出銑毎の出銑時間のばらつきも大幅に低減した。
【0047】
さらに、いずれの出銑においても出銑中の炉内残銑滓量の増加に伴う送風圧力の増大などの影響は皆無であった。
以上述べた実施例に示されるように、本発明によれば、下記の優れた効果が得られることが分かった。
(1) 出銑終了時刻の予測を精度良く行える。
【0048】
(2) 個々の高炉およびその操業条件に対応したマッド材の損耗性の評価を行うことができ、マッド材質の適正化が行える。
(3) マッド材質に対応した最大の出銑時間を得ることができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、出銑終了時刻を的確に予測することが可能となった。
さらに、本発明によれば、個々の高炉およびその操業条件に対応したマッド材の損耗性の評価を行うことができ、マッド材質の適正化および適切な開口条件の選択によって、出銑時間の延長を図ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】出銑中の溶銑流出速度、溶滓流出速度、全流出速度の経時変化の1例を示すグラフである。
【図2】出銑中の全流出速度の経時変化の1例を示すグラフである。
【図3】全流出速度の時間変化率:W値と出銑終了直前の全流出速度との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の方法で予測した予測出銑時間と実績の出銑時間との関係を示すグラフである。
【図5】本発明適用前後の出銑時間の推移を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 高炉の出銑時に、出銑口から排出される溶銑と溶滓の合計流出体積速度である全流出速度を測定し、得られた全流出速度の時間変化率に基づき出銑口のマッド材の損耗性を評価することを特徴とする高炉出銑口のマッド材の評価方法。
  2. 高炉の出銑時に、出銑口から排出される溶銑と溶滓の合計流出体積速度である全流出速度を測定し、得られた全流出速度の時間変化率と、操業条件から求められる造銑滓量に基づき、当該出銑の終了時刻を下記の式により予測することを特徴とする高炉の出銑終了時刻の予測方法。
    T=T 0 +t 1 +t
    2 +〔(Wt/2)+a〕t=V R +(t 1 +t)V 1
    ここで
    T :出銑終了時刻
    0 :出銑開始時刻
    1 :出銑開始後全流出速度が増加し始めるまでの時間 (min)
    t :出銑開始後全流出速度が増加し始めてから出銑が終了しガス吹きするまでの時間 (min)
    1 :出銑中の造銑滓量 (m 3 /min)
    2 :出銑開始後全流出速度が増加し始めるまでの溶銑滓流出量 (m 3 )
    W :全流出速度の時間変化率 (m 3 /min/min)
    a :出銑開始後全流出速度が増加し始めた時点の全流出速度 (m 3 /min)
    R :出銑開始時の高炉内の残銑滓量 (m 3 )
  3. 高炉の出銑時に、使用するマッド材に対して出銑口から排出される溶銑と溶滓の合計流出体積速度である全流出速度を測定し、得られた全流出速度の時間変化率と、操業条件から求められる造銑滓量に基づき、出銑中の炉内残銑滓量が一定限度値を超えない範囲内での出銑口開口、得られた出銑口開口に基づき出銑口の開口を行うことを特徴とする高炉の出銑口開口方法。
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