JPH07138623A - 高炉の操業方法 - Google Patents

高炉の操業方法

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JPH07138623A
JPH07138623A JP29033293A JP29033293A JPH07138623A JP H07138623 A JPH07138623 A JP H07138623A JP 29033293 A JP29033293 A JP 29033293A JP 29033293 A JP29033293 A JP 29033293A JP H07138623 A JPH07138623 A JP H07138623A
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coke
furnace
raw material
iron source
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JP29033293A
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English (en)
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Takanobu Inada
隆信 稲田
Kohei Sunahara
公平 砂原
Shinji Kamishiro
親司 上城
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】炉芯コークスの昇温を促進し、炉芯の通気性、
通液性の悪化を防ぎ、高炉操業の安定化と炉況不調の早
期回復を図る。 【構成】下記のからまでを特徴とする高炉の操業方
法。 一つの層を形成する鉄源原料を2回以上(例えば、図
のO1,2 )に分割して装入すること、 コークスの一部(図のCc )を上記の分割されたいず
れかの鉄源原料の装入に先立って炉中心部に装入するこ
と、 上記の分割された鉄源原料とは別の鉄源原料と高反応
性のコークスとを混合した混合物(図のM) を上記の分
割されたいずれかの鉄源原料の装入に先立って炉中心部
に装入すること。混合物に配合するコークスは、例え
ば、反応後強度指数が50%以下で粒径がおよそ30mm以下
のコークスである。混合原料およびコークスの炉中心部
への装入は通常の炉頂装入装置とは別ルートの装入装置
から行うのが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高炉の操業方法に係
わり、特に、操業中、高炉の下部を健全な状態に維持す
ることにより、高炉の安定操業を確保するために炉頂部
における原料の炉半径方向分布を制御することを特徴と
する高炉操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高炉操業においては、鉄源原料を円滑に
還元・溶解し、課せられた量の銑鉄を経時的に安定して
製造することが重要である。
【0003】ところで、高炉内部は鉄源原料が昇温によ
り軟化溶解する領域(以下、「融着帯」と記す)を境に
して、それより上部と下部(以下、「炉上部」、「炉下
部」と記す)とではその状態が大きく異なっている。す
なわち、炉上部においては、鉄源原料はコークスととも
に固体状態で存在し、下方に降下しつつその空隙を通っ
て上昇してくるガスによって還元・昇温される。一方、
炉下部においては、鉄源原料の還元・溶解によって生成
した溶銑および溶滓は、コークス充填層の空隙を通って
下方に滴下し、羽口から吹き込まれたガスは、コークス
充填層の空隙を通って炉中心方向に広がりつつ上昇して
いる。
【0004】炉下部のコークスはその大部分が羽口部燃
焼帯に向かって移動し消失するが、その一部は物流の極
めて緩慢な炉中心部に滞留していわゆる「炉芯コーク
ス」となる。この炉芯コークスは、高炉内の物流場にお
いて「死領域 (dead zone)」に相当する部分であり、燃
焼による熱の供給や還元ガスの生成には関係しないので
銑鉄の生成過程に直接寄与するものではないが、高炉の
安定操業には重要な意味を持っている。
【0005】即ち、炉芯コークスは羽口から炉内を見た
とき羽口前方の燃焼帯(以下、「レースウェイ」と称
す)の奥に存在することから、炉芯コークスの通気性が
悪化すればレースウェイで発生したガスの流路が狭ま
り、送風圧が上昇する。このことは、炉下部のコークス
の降下不順や甚だしい場合は吹き抜けを引き起こし、安
定操業の阻害要因になる。このため、多くの高炉におい
ては休風時にコークスサンプリングを行って炉芯コーク
スの状態を定期的に監視することが行われている。
【0006】採取コークスの黒鉛化度測定で検出される
コークス温度は、炉芯コークスの状態を評価するもっと
も重要な指標であり、これが低下すると炉況不調につな
がることが経験的に知られている。すなわち、炉芯コー
クス温度が約1400℃以上に保たれていれば、融着帯から
滴下してきた溶銑滓は、炉芯コークスの中を通過できる
が、温度がこれより著しく低下すると、溶銑滓は、その
流動性が悪化して炉芯コークスの空隙に滞留するので、
炉芯コークスの通気性が阻害される。このような炉芯コ
ークス温度の低下要因としては、次のようなことが考え
られる。
【0007】炉内荷下り時における装入コークスの強
度低下による粉化やレースウェイでの粉化で発生したコ
ークス粉が炉芯コークスの周辺部に蓄積して、レースウ
ェイ発生ガスから炉芯コークスへの熱供給が阻害され
る。
【0008】スリップ等により低温の未還元物が炉芯
コークス内に浸入して、吸熱反応である直接還元量が急
上昇し、炉下部を滴下する溶銑滓の温度が低下する。
【0009】上述のように、高炉操業において炉芯コー
クス温度は重要な管理項目となっており、従来から炉芯
コークス温度の低下を抑止するため種々の方法がとられ
ている。
【0010】例えば、 CO2ガスとの反応によるコークス
強度の劣化を抑止して粉発生量を減らしたり、羽口前温
度や羽口風速を適正値に制御してレースウェイでの粉発
生量を減らすこと等により、炉芯コークスの通気性を確
保してガスとの熱交換を促進する方法がとられている。
【0011】特公昭64−9373号公報の発明では、炉芯に
流入するコークスが主に層頂(炉内装入物の最上部の
層)の炉中心軸近傍に装入されたコークスであることに
着目して、専用の装入ルートから炉中心部にコークスを
装入し、炉中心部へのコークス堆積量を増やしてその部
分の鉄源原料とコークスとの重量比(ore/coke、以下、
「O/C比」と記す)を下げることにより、炉芯コーク
スの空隙率を確保して、いわゆる中心流を強める方法が
採られている。しかし、この方法では、炉の中心部は殆
どコークスで占められることになり、通気性が過度に高
まり、その結果、炉頂ガス温度が高くなりすぎて付帯設
備に負担をかけることになる。また、炉中心部には鉱石
が殆どないから、この領域は溶銑の生産に寄与しないこ
とになり、設備効率の面でも不利になる。
【0012】本発明者らは、コークスだけでなく、鉱石
をも専用の装入ルートから炉中心部に供給し炉中心部近
傍のO/C比を自在に調整する方法を特開昭61−227109
号公報によって提案している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】炉中心部の通気性を上
げて、炉芯コークスの温度を高く保つのに、前記特開昭
61−227109号公報に開示される方法等、従来から知られ
る方法はそれぞれ効果がある。しかし、コークスだけを
炉の中心部に重点的に装入する方法には前記のような問
題点があり、また、一旦、炉芯コークスの温度が低下し
た場合、炉芯コークスの動きが極めて緩慢であることか
ら、上述した従来の方法では、炉芯コークスの望ましい
状態を回復するにはかなりの時間が必要であり、その
間、高炉の不安定な操業を余儀なくさせる。
【0014】本発明の目的は、上記の問題を解決し、低
下した炉芯コークスの温度を速やかに上昇させて、短時
間のうちに炉況を回復させることができ、しかも炉の中
心部にコークスだけを堆積させる方法における前記の問
題がない高炉の操業方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、炉頂部
からコークスと鉄源原料とを交互に層状に炉内に装入す
る高炉の操業方法において、下記のからまでを特徴
とする高炉の操業方法にある。
【0016】一つの層を形成する鉄源原料を2回以上
に分割して装入すること、 コークスの一部を上記の分割されたいずれかの鉄源原
料の装入に先立って炉中心部に装入すること、 上記の分割された鉄源原料とは別の鉄源原料と高反応
性のコークスとを混合した混合物を上記の分割されたい
ずれかの鉄源原料の装入に先立って炉中心部に装入する
こと。
【0017】上記の高反応性のコークスとは、通常、
高炉に装入されるコークスのなかでも、特に反応性に富
むコークスを意味し、例えば、後述の実施例で説明する
測定方法による反応後強度指数が50%以下のものであ
る。また、小径のコークスとは粒径がおよそ40mm以下の
コークスである。以下、高反応性で細粒のコークスを単
に「高反応性コークス」と記す。なお、高炉に使用され
る一般的なコークスの反応後強度指数はおよそ50〜65
%、粒径は平均径でおよそ50〜55mm程度である。
【0018】通常、高炉操業では、炉頂部に設けたベル
式装入装置またはベルレス式装入装置を用いる。この通
常装入装置を用いてコークスと鉄源原料を交互に装入
し、炉内に層状に堆積させる。以下、通常装入装置によ
って層状に装入される原料を「通常装入鉄源」あるいは
「通常装入コークス」と記す。
【0019】鉄源原料の主体は、焼結鉱および鉄鉱石で
あるが、本発明方法では、炉に装入すべき全鉄源原料の
一部に高反応性のコークスを混合したコークス混合鉄源
原料(以下、単に「混合原料」と記すことがある)を使
用する。そして、この混合原料を炉の中心部に重点的に
装入するのである。
【0020】上記の混合原料は、炉中心部に堆積させる
必要上、一つの層を構成する鉄源原料を2回以上に分け
て分割装入し、その分割装入のいずれかに先立って、望
ましくは通常装入装置とは別の装入ルートから炉中心部
に装入する。
【0021】本発明方法では、炉中心部へのコークス混
合鉄源原料の装入に加えて、炉中心部のO/C比を小さ
くする対策を併用する。これは、炉の中心部のコークス
層の厚みを厚くすることによって実施できる。具体的に
は、コークスの1チャージ分の一部を、前記2回以上に
分割して装入する鉄源原料のいずれかの装入に先立って
炉中心部へ装入する。この装入も通常の装入装置とは別
ルートの装入装置を用いるのが望ましい。
【0022】図1は、本発明方法によって装入された原
料層の堆積状態の一例を模式的に示す高炉中心部の縦断
面図である。同図において、Co は通常操業時に通常装
入されたコークス層である。O1 およびO2 は2回に分
割されて通常装入された鉄源原料層である。この場合、
1 とO2 とで一つの鉄源原料層を形成することにな
る。特許請求の範囲における一つの層とは、この層をい
う。そして、Mは中心部に重点的に装入された混合原料
層、Cc は同じく中心部に重点的に装入されたコークス
層である。本発明方法では、C0 →Cc →O1 →M→O
2 (図1の(a) )またはC0 →M→O1 →Cc →O
2 (同、(b) )の順に原料層を形成していくのである。
なお、C0 は2回以上に分割して装入してもよい。ま
た、O1 とO2 を更に2回以上に分割装入してもよい。
例えば、O2 を2回以上に分割して装入する場合には、
分割された各装入の前にCc 或いはMの装入を行っても
よい。
【0023】上記のようにして形成させて原料層の上に
は、再度C0 から始まる同じ装入順序の原料層を必要な
だけ積み上げていくのである。
【0024】
【作用】高炉内における炉芯コークスへの熱供給は、レ
ースウェイでコークスの燃焼により発生した高温ガスと
の熱交換によるか、あるいは、滴下溶銑滓との熱交換に
よりなされていると考えられる。そこで、これらの熱供
給要因のどちらがより有効に炉芯コークスの昇温に作用
するかを調べるために高炉の縮小模型を用いて実験的検
討を行った。
【0025】図2に、炉芯コークスの昇温におよぼす熱
供給要因の影響度を検討する模型実験装置の概略断面図
を示す。この実験装置は、羽口より上部の高炉炉内を模
したもので、炉頂から装入物ホッパー8、ベル1および
ムーバブルアーマー2を介して、コークス、擬似鉱石
(通常「金属石鹸」と呼ばれるもの)を装入し、羽口下
の切り出し口から排出装置4を用いて装入物を排出物溜
め6に排出する。このようにして装入物を順次降下させ
る。7は排ガス用配管である。
【0026】一方、羽口3から温風を吹き込んで装入物
を加熱する。これによって擬似鉱石は降下の途中で溶解
し液体となって装置底部に滴下する。即ち、この装置
は、反応を除く高炉炉内の基本現象をシミュレートでき
るようになっている。また、炉内には多数の熱電対測温
点5が設置されており炉内温度の動きがわかるようにな
っている。
【0027】実験は表1に示す条件で行った。まず、炉
内をコークスで充填し、送風を開始した。そして羽口下
からコークスを排出する一方、炉頂からコークスだけを
装入し、一定時間この装入・排出を継続した後、炉頂か
らの装入をコークスと擬似鉱石との交互装入に切り替
え、さらにその状態で実験を続け、羽口レベルの炉中心
部、すなわち炉芯コークスの温度の推移を調査した。
【0028】
【表1】
【0029】図3は、炉芯コークスの昇温におよぼす熱
供給要因の影響度を示す図である。
【0030】図中左半分は、コークス単独装入の時期
で、炉芯コークスの昇温は羽口からのガスとの熱交換だ
けで行われている。これに対し図中右半分は、コークス
と擬似鉱石との交互装入の時期に対応し、ここでは羽口
からのガスと熱交換および溶解して滴下する擬似鉱石と
の熱交換によって炉芯コークスは加熱されている。
【0031】図示のように、装入された擬似鉱石が溶解
を開始した時点から炉芯コークスの昇温速度は急激に上
昇しており、滴下する擬似鉱石の熱により炉芯コークス
の加熱が促進されることが明らかである。すなわち、炉
芯コークスの昇温には滴下溶銑との熱交換の促進が有効
であり、高温の溶銑を多量に炉芯部に滴下させることに
より、速やかに炉芯コークスを加熱することができるの
である。
【0032】本発明は、上述の模型実験で得られた知見
を基にしてなされたものである。以下、実高炉において
本発明方法を実施する態様を説明する。
【0033】実高炉において上述の効果を出すために
は、層状に装入された原料の炉中心部にある程度の量の
鉄源原料を堆積させこれを溶解・滴下させる必要があ
る。通常鉄源原料中のFeは酸化鉄の形で含有されてお
り、これらを溶解・還元して溶銑を製造するには多量の
熱を供給しなければならない。そして、この熱の供給
は、塊状帯ではガスとの熱交換で、滴下帯ではガスおよ
び滴下帯コークスとの熱交換で行われる。しかし、鉄源
原料の塊状帯における降下速度に比べ、溶解後の滴下帯
における降下(滴下)速度は極めて速いことから、滴下
帯での熱交換効率は塊状帯でのそれよりかなり悪いと推
定される。
【0034】従って、鉄源原料溶解以降に還元反応が進
行した場合、すなわち、溶融還元が滴下帯で起こる場合
は熱交換効率が悪いため、溶銑の昇温は不十分となり高
温の溶銑を造るのは容易でない。さらに還元により生成
する CO2、H2O ガスとの反応によりコークスは劣化する
ので、炉芯部に到達したときの強度が低下する。そし
て、炉芯供給コークスの反応劣化が大きくなれば、炉芯
コークスの通気性そのものが悪化し、炉芯部が不活性に
なって炉況不調につながることになる。
【0035】本発明方法では、通常、層状に装入される
鉄源原料の外に、前記の混合原料、即ち、鉄源原料とコ
ークスの混合原料を炉中心部に装入する。この鉄源原料
に混合されるコークスとしては、高反応性のコークスを
用いる。そうすれば、炉中心部には鉄源原料粒子と高反
応性のコークス粒子とが隣接して存在することになる。
従って、鉄源原料の還元により生成する CO2あるいはH2
O は隣接するコークス粒子と高い反応速度でガス化反応
を起こし、いちはやくCO、H2に再生されることになり、
還元の進行を加速させることができる。これにより、鉄
源原料の溶け落ち還元率が高められ、滴下帯での未還元
FeO の溶融還元を抑制できるので、溶銑の温度を高める
ことができる。
【0036】上述の CO2あるいはH2O によるコークスの
ガス化反応は、鉄源原料に混合されたコークスとの間で
優先的に進行する。このため、炉中心部近傍のコークス
層内のコークスは、 CO2、H2O ガスとの反応による劣化
をほとんど受けなくなり、炉芯に供給されるコークスの
強度を高めに維持できる。さらに、小径の高反応性コー
クスは、滴下帯にはいるまでにガス化により還元消滅さ
せることができる。従って、ガス化反応後に細粒化した
低強度のコークスが残ってしまい、これが炉芯に降下し
て炉芯コークスの通気性が阻害されるような事態を回避
することができる。
【0037】上記のとおり、高反応性コークスを鉄源原
料の一部に混合して炉中心部に装入することにより、 C
O2、H2O によるコークスのガス化反応を上記混合コーク
スで選択的に行わせ、炉芯に供給すべき通常装入コーク
スの反応による強度劣化を抑えて炉芯コークスの通気性
を確保すると共に、十分昇温された高温の溶銑を炉芯に
滴下させることができるのである。
【0038】炉中心部に装入される混合原料の鉄源原料
全部に対する比率は1〜4重量%程度とするのがよい。
その理由は次のとおりである。
【0039】前述のコークスサンプリングによる計測か
ら、特に炉の中心軸からの無次元距離(実際の距離を炉
の内径で割って無次元化した量)にして約 0.2より内側
(炉中心側) の領域のコークス温度が炉芯状態評価の重
要な指標になること、および同領域での着熱が容易でな
いことが経験的に知られている。そして、鉄源原料充填
層の炉内縦断面積に対する縦断面積比から、炉中心部に
装入する混合原料の上限量の目安として、約4重量%が
得られる。
【0040】一方、中心装入する混合原料の量が鉄源原
料全部に対して約1重量%よりも少ないと、炉中心部に
おける混合原料の層厚が薄くなる。従って、引き続き鉄
源原料の通常装入が行われると、炉中心部にはコークス
が混合されていない鉄源原料も堆積することになり、本
発明の目的である速やかな炉芯コークス温度の上昇が実
現できない。
【0041】炉中心部への混合原料の装入を、鉄源原料
の通常装入に先立って行うのは、炉中心部を実質的に混
合原料だけにするためである。鉄源原料の通常装入を先
に行うと、これが炉中心部を含めて全体に層状に堆積
し、その上にコークス混合鉄源原料が堆積することにな
り、本発明の効果が十分に得られなくなる。
【0042】混合原料中の鉄源原料と高反応性コークス
の配合比率は、次のようにして決めればよい。例えば、
炉中心部層頂におけるガス組成計測値から、公知(例え
ば、瀬川清「鉄冶金反応工学」214 〜216 頁、参照) の
直接還元率を算出する計算式を用いて炉中心部の直接還
元率 (通常、約35〜40%である) を計算する。この値に
基づいて配合するコークス中の炭素量が炉中心部の直接
還元量に見合う量になるようにし、混合重量比(混合コ
ークス量/鉄源原料量)を定めればよい。おおよその混
合重量比の目安は6〜8%程度である。なお、この鉄源
原料と高反応性コークスの混合は、コンベアーで炉頂の
ホッパーへ搬送する前に行ってもよいし、炉頂ホッパー
内で行ってもよい。要するに、炉内中心部に装入された
ときに、できるだけ均一に混合された状態になっていれ
ばよい。
【0043】上述のように、混合原料中のコークス配合
比を定めることにより、炉中心部に装入された鉄源原料
に還元剤および熱源として必要な炭素量を過不足なしに
供給することができる。そして、高反応性の混合コーク
スは、直接還元で完全に消費されるので、炉芯コークス
内に流入して通気性を阻害することがない。
【0044】本発明方法においては、炉中心部にコーク
スを多めに装入して炉中心部のO/C比を下げる技術を
併用する。すなわち、コークスの1チャージ分の一部
(その量は全鉄源装入量の 1.5〜4重量%程度が望まし
い)を、炉中心部に装入することにより、炉中心部のO
/C比を精度よく制御することができ、炉芯の通気性を
高めて炉中心部の溶銑温度を的確に制御することができ
る。
【0045】上記の通常装入コークスの一部の装入、お
よび前記の混合原料の炉中心部への装入は、図4に示す
ように通常のベル式装入装置またはベルレス式装入装置
の外に別ルートの装入装置を設けて、これによって行う
のがよい。
【0046】本発明方法によれば、操業中に炉芯コーク
スの温度が下がってもこれを速やかに昇温させることが
でき、迅速に炉況を回復させて安定操業を維持すること
ができる。また、炉中心部も鉄源の溶融・還元に与かる
ので、炉の生産性低下のおそれもない。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。実施例で
は、炉容2700m3でベル式装入装置を備えた高炉を用い
た。
【0048】図4は、実施例に用いた高炉の上部の装入
装置を説明する縦断面図である。図示のように、通常の
ベル式装入装置9の外に、炉中心部に装入を行うための
別ルート装入装置14が設けられている。別ルートから装
入される原料は、バケットコンベアー15で上部ホッパー
16に一旦貯蔵され、下部ホッパー19内の排圧が完了した
後、上部シール弁18、続いて上部ゲート17を開操作して
下部ホッパー19に移される。
【0049】次に、上部ゲート17、上部シール弁18を閉
操作した後、下部ホッパー19内を炉内圧に均圧して炉内
装入準備が完了する。そして、炉中心部への装入タイミ
ングが来たところで下部シール弁21、続いて下部ゲート
20を開操作して原料を装入シュート23を介して炉中心部
に落下させ、24のように堆積させる。25は通常の装入ル
ートから装入された原料で、図示のように中央部が窪ん
だ層状に堆積させるのが普通である。
【0050】表2に実施例の主な操業諸元を示す。ここ
で原料装入は次のように実施した。
【0051】(a)コークスの装入 1チャージ分 (16トン) の内、14.8トンを2等分し、2
回に分けて通常ルートで炉頂から装入し、残り 1.2トン
を別ルート装入装置14から炉中心部へ装入。
【0052】(b)鉄源原料の装入 鉄源原料(焼結鉱および鉄鉱石)の1チャージ分 (63ト
ン) を2等分して、2回に分けて通常ルートで炉頂から
装入することとし、その1回分の中から1050kgを混合原
料用として使用した。この鉄源原料に表3に示す平均粒
径と反応後強度指数のコークスを配合して混合原料とし
た。混合重量比も表3に示した。この混合原料は別ルー
ト装入装置14から炉中心部へ装入した。
【0053】なお、コークスの反応後強度指数は下記の
試験方法(詳しくは、第3版「鉄鋼便覧II」202 頁参
照) で測定した。即ち、反応管 (内径87.1mm、長さ250m
m)の中に、粒径を20±1mmに整粒したコークス試料200g
r を装入し、温度1100℃、 CO2流量5リットル/分の条
件下で 120分間反応させ、反応後の試料をI型ドラム試
験機(管径 130mm、管長 700mm、回転速度20rpm 、総回
転数 600回転) で摩耗粉化させる。試験後のコークス試
料を篩分けして10mm以上の粒径を有する部分の重量%を
反応後強度指数とする。コークスがCO2 と反応しやすい
ほど強度劣化が多くなるので、この反応後強度指数が低
いコークスは、 CO2をCOに変成しやすい高反応性と評価
される。
【0054】(c)装入の順序 (図1 (a)の態様。但
し、C0 を下記のように2回に分けた) 1.コークス (1回目) 2.コークス (2回目) 3.別ルートからのコークスの中心装入 4.鉄源原料 (1回目) 5.別ルートからのコークス混合鉄源原料の中心装入 6.鉄源原料 (2回目) とし、これを1サイクルとして繰り返した。
【0055】表3に示すように、別ルートから中心装入
する混合原料については、混合するコークスの反応後強
度指数と粒径、および鉄源原料に対する混合コークスの
混合重量比を変えて操業を行った。
【0056】なお、表3でコークスの混合重量比が0.26
の条件は、本発明適用前の炉中心部の直接還元率(40
%)に基づいて直接還元量に見合うコークス量を混合し
た場合である。
【0057】実施例および比較例の操業は、本発明方法
を用いない通常装入操業(図4の従来例)の間にはさん
で実施し、各操業期間を約3週間とした。そして、各操
業期間終了後の休風時に羽口から炉芯コークスのサンプ
リングを行った。
【0058】操業中における炉芯コークスの粉化状態お
よび昇温状態を評価するため、羽口レベルの炉中心近傍
で採取された炉芯コークスの平均粒径と黒鉛化度の測定
データから推定される炉芯コークスの履歴温度(最高到
達温度)を調査した。
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】図5は、表3のケース1〜8の炉芯コーク
スの粉化および昇温状態を、原料の通常装入のみを行っ
た従来例と比較して示す図で、(a)図は炉芯コークス
平均粒径、(b)図は炉芯コークス履歴温度 (最高到達
温度) を示す。
【0062】図示のように、ケース1およびケース2で
は、炉芯コークスの平均粒径および履歴温度が通常装入
を行った従来例より高くなっており、炉芯コークスの通
気性の改善と炉芯コークスの温度上昇が見られる。これ
に対し、中心装入した混合原料中のコークスを反応後強
度指数が55%の低反応性コークスにしたケース3、ある
いは、粒径を50mmのものにしたケース4では、炉芯コー
クスの平均粒径および履歴温度は、従来例と大差がな
く、改善はわずかである。
【0063】混合原料のコークス混合重量比を炉中心部
の直接還元量に見合う量より高くしたケース5、炉中心
部への混合原料装入量が少なく、炉中心部への鉱石流入
を充分阻止できず炉中心部O/Cの上昇したケース6、
炉中心部への混合原料装入量が多く、過剰に堆積した混
合原料が炉中心部で山を作り、次に装入されるコークス
の炉中心部堆積を阻むため、炉中心部のコークス層厚が
薄くなったケース7では、炉芯コークスの平均粒径およ
び履歴温度の改善効果は小さい。従って、本発明の適用
に当たっては、炉中心部での還元状況の変化に応じて最
適な混合コークスの混合重量比を選択するとともに、通
常ルートから装入される鉄源原料が炉中心部に堆積する
層厚の変化に応じて、炉中心部の鉄源原料堆積層を中心
装入されるコークス混合鉄源原料の堆積層で過不足なし
に置換できる装入鉄源原料の量を選択する必要がある。
【0064】
【発明の効果】本発明方法によれば、炉芯コークスと高
温溶銑およびレースウェイ発生ガスとの熱交換を促進す
ることができ、操業中の炉芯コークス温度を高めに維持
できる。また、炉芯コークスの冷え込みが発生した時に
も炉芯コークスの昇温が速やかに行われ、炉況をすばや
く正常に回復させることができる。従って、高炉の安定
操業維持が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法による原料堆積状態を模式的に示す
高炉中心部の縦断面図である。
【図2】炉芯コークスの昇温におよぼす熱供給要因の影
響度を検討する模型実験装置の概略断面図である。
【図3】炉芯コークスの昇温におよぼす熱供給要因の影
響度を示す図である。
【図4】本発明の実施に用いた炉中心部への別ルート装
入装置を有する高炉上部の概略断面図である。
【図5】実施例で確認した炉芯コークスの粉化・昇温状
態を対比して示す図で、(a)図は炉芯コークス平均粒
径、(b)図は炉芯コークス履歴温度を示す図である。
【符号の説明】
1:ベル、 2:ムーバブルアーマ、3:
羽口、4:装入物排出装置、 5:熱電対測温点、
6:排出物溜め、7:排ガス配管、 8:装入
物ホッパー、9:ベル式装入装置、 10:小ベル、
11:大ベル、12:ムーバブルアーマ、 13:高
炉炉内、 14:別ルート装入装置、15:バケット
コンベアー、16:上部ホッパー、 17:上部ゲート、
18:上部シール弁、 19:下部ホッパー、 20:
下部ゲート、21:下部シール弁、 22:均圧管、
23:装入シュート、24:別ルート装入原料、
25:通常ルート装入原料。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年9月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】上述の CO2あるいはH2O によるコークスの
ガス化反応は、鉄源原料に混合されたコークスとの間で
優先的に進行する。このため、炉中心部近傍のコークス
層内のコークスは、 CO2、H2O ガスとの反応による劣化
をほとんど受けなくなり、炉芯に供給されるコークスの
強度を高めに維持できる。さらに、小径の高反応性コー
クスは、滴下帯にはいるまでにガス化により完全消滅さ
せることができる。従って、ガス化反応後に細粒化した
低強度のコークスが残ってしまい、これが炉芯に降下し
て炉芯コークスの通気性が阻害されるような事態を回避
することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】前述のコークスサンプリングによる計測か
ら、特に炉の中心軸からの無次元距離(実際の距離を
口半径で割って無次元化した量)にして約 0.2より内側
(炉中心側) の領域のコークス温度が炉芯状態評価の重
要な指標になること、および同領域での着熱が容易でな
いことが経験的に知られている。そして、鉄源原料充填
層の炉内縦断面積に対する縦断面積比から、炉中心部に
装入する混合原料の上限量の目安として、約4重量%が
得られる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】混合原料中の鉄源原料と高反応性コークス
の配合比率は、次のようにして決めればよい。例えば、
炉中心部層頂におけるガス組成計測値から、公知(例え
ば、瀬川清「鉄冶金反応工学」214 〜216 頁、参照) の
直接還元率を算出する計算式を用いて炉中心部の直接還
元率 (通常、約35〜40%である) を計算する。この値に
基づいて配合するコークス中の炭素量が炉中心部の直接
還元量に見合う量になるようにし、混合重量比(混合コ
ークス量/鉄源原料量)を定めればよい。おおよその混
合重量比の目安は0.06〜0.09程度である。なお、この鉄
源原料と高反応性コークスの混合は、コンベアーで炉頂
のホッパーへ搬送する前に行ってもよいし、炉頂ホッパ
ー内で行ってもよい。要するに、炉内中心部に装入され
たときに、できるだけ均一に混合された状態になってい
ればよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】なお、表3でコークスの混合重量比が0.08
〜0.09の条件は、本発明適用前の炉中心部の直接還元率
(40%)に基づいて直接還元量に見合うコークス量を混
合した場合である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】実施例の操業は、本発明方法を用いない通
常装入操業(図4の中心装入装置を使用しない従来例)
の間にはさんで実施し、各操業期間を約3週間とした。
そして、各操業期間終了後の休風時に羽口から炉芯コー
クスのサンプリングを行った。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正内容】
【0060】
【表3】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炉頂部からコークスと鉄源原料とを交互に
    層状に炉内に装入する高炉の操業方法において、一つの
    層を形成する鉄源原料を2回以上に分割して装入するこ
    と、コークスの一部を上記の分割されたいずれかの鉄源
    原料の装入に先立って炉中心部に装入すること、および
    上記の分割された鉄源原料とは別の鉄源原料と高反応性
    のコークスとを混合した混合物を上記の分割されたいず
    れかの鉄源原料の装入に先立って炉中心部に装入するこ
    と、を特徴とする高炉の装入方法。
JP29033293A 1993-11-19 1993-11-19 高炉の操業方法 Pending JPH07138623A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015178660A (ja) * 2014-03-19 2015-10-08 株式会社神戸製鋼所 高炉の原料装入方法

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