JP3793714B2 - 抗アレルギー剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗アレルギー作用及び抗炎症作用に優れた抗アレルギー剤及び抗炎症剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、抗アレルギー剤及び抗炎症剤としては、グルココルチコイド型の副腎皮質ホルモン剤や、インドメサシン、イブプロフェン等の非ステロイド性抗炎症剤等が用いられている。
しかしながら、ステロイドホルモン剤は抗アレルギー作用及び抗炎症作用を有するものの副作用が強いという問題があり、また、インドメサシン、イブプロフェン等は抗炎症作用のみ有するため抗アレルギー剤としては有用でなかった。
【0003】
従って、副作用が少なく、優れた抗アレルギー作用及び抗炎症作用を有する経口投与可能な薬剤が望まれていた。
【0004】
一方、延胡索は鎮痛、鎮痙作用を有することが知られており、古くから漢方胃腸薬などに配合して使用されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、延胡索の成分であるd−コリダリン及び/又はデヒドロコリダリンを用いれば、副作用が少なく、抗アレルギー作用と抗炎症作用に優れた経口投与可能な抗アレルギー剤及び抗炎症剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、d−コリダリン及び/又はデヒドロコリダリンからなる抗アレルギー剤を提供するものである。
【0007】
本発明のd−コリダリン及びデヒドロコリダリンは、延胡索の極性溶媒抽出物より得ることができる。
本発明で用いられる延胡索(Corydalis turtschaninovii forma yanhusuo)は、中国東部に自生する多年草であり、この塊茎等を使用することができる。
これらの延胡索から有効成分を抽出するための極性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール、水、エーテル、クロロホルムなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を組合わせて用い、通常の方法により単回又は複数回抽出することにより、抽出物を得ることができる。
【0008】
このようにして得られる延胡索の極性溶媒抽出物としては、例えば以下のものが挙げられる。
(1)延胡索のアルコール抽出物
(2)アルコール抽出物の水抽出物
(3)(2)のエーテル抽出物(この抽出物には3級アルカロイド画分が含まれている)
(4)(3)の水抽出物(この抽出物には3級フェノール性アルカロイド画分が含まれている)
(5)(3)から(4)を抽出した後の抽出物(この抽出物には3級非フェノール性アルカロイド画分が含まれている)
(6)(2)のクロロホルム抽出物(この抽出物には4級アルカロイド画分が含まれている)
【0009】
また、(4)〜(6)のアルカロイド画分から、更にアルカロイド成分を単離することができ、これらの成分を単独又は組合わせて使用することもできる。
例えば(4)の抽出物を、クロロホルム、エタノール及びエーテルを用いて再結晶を行うことにより、l−テトラヒドロコルンバミンを単離することができる。また、(5)の抽出物からは、カラムクロマトグラフィー及び再結晶法を組合わせて行うことにより、d−コリダリン、d−グラウシン、プロトピン、l−テトラヒドロコプチシン及びdl−テトラヒドロパルマチンをそれぞれ単離することができる。更に、(6)の抽出物からは、カラムクロマトグラフィー及びメタノール再結晶により、デヒドロコリダリンを単離することができる。
【0010】
このようにして得られる本発明のd−コリダリン及びデヒドロコリダリンは、後記実施例に示すように優れた抗アレルギー作用及び抗炎症作用を有し、しかも安全性も高いため、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、湿疹皮膚炎、じん麻疹、急性又は慢性結膜炎、気管支喘息、慢性関節リウマチ等の治療剤として有用である。
なお、安全性については、延胡索抽出物について、モルモットを用いた能動的全身性アナフィラキシー(ASA)、感作モルモット分離血清によるモルモットを用いた受身皮膚アナフィラキシー(PCA)により抗原性の有無を検討した結果、延胡索エキスには抗原性はないことが確認された。
【0011】
かかる延胡索抽出物は、そのままあるいは種々の投与形態で投与することができる。本発明の抗アレルギー剤及び抗炎症剤の投与形態については特に制限はなく、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤等の経口剤や、注射剤、外用剤、坐剤、吸入剤、点鼻剤、点眼剤等の非経口剤のいずれによっても投与することができる。
【0012】
経口用固形担体の例としては、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩等が挙げられ、必要により、更に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用することができる。より具体的には、結合剤としてのデンプン、デキストリン、アラビアゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等;崩壊剤としてのデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等;界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80等;滑沢剤としてのタルク、ロウ類、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコール等;流動性促進剤としての軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が使用できる。
【0013】
また経口用の液剤としては、懸濁液、エマルション剤、シロップ剤、エリキシル剤等の剤型を挙げることができ、これらの各種剤型には、矯味剤、矯香剤、着色剤を配合することもできる。
【0014】
更に、非経口用液剤担体としては、注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、ゴマ油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が用いられ、更に必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤等を加えることもできる。
【0015】
本発明において、有効成分の投与量は、投与経路、その他の要因によって左右されるが、一日当り約0.1〜1mg/kgであるのが好ましい。また、これらの一日量は所望により2〜3回に分割して投与することもできる。
【0016】
【発明の効果】
本発明の抗アレルギー剤及び抗炎症剤は、副作用が少なく、しかも抗アレルギー作用及び抗炎症作用に優れたものである。
【0017】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明する。
【0018】
実施例1 延胡索の抗炎症作用:
(1)延胡索のメタノール抽出物の調製
中国産延胡索(Corydalis turtschaninovii forma yanhusuo;日本粉末薬品社製)の塊茎を細切した後、10倍量のメタノールで2時間、2回抽出し、熱時濾過した。減圧下でメタノールを留去した後、メタノール抽出エキスを得た。得られた延胡索メタノール抽出エキス(以下、CT−extと略記)の収率は2.95%であった。
なお、以下の実施例においては、得られたCT−extを必要に応じて適当な濃度に溶解したものを使用した。
【0019】
(2)カラゲニン浮腫に及ぼす影響
Wistar系雄性ラットに1%λ−カラゲニン生理食塩水溶液0.1ml/ラットを右後肢足蹠皮下に注射し、発生する浮腫を15、30、45分、2、3時間後に測定し、浮腫率を算出した。被検体(0.5% カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下、CMC・Naと略記)に懸濁)はカラゲニン生理食塩水溶液注射1時間前に1回経口投与した(表1)。
【0020】
【表1】
【0021】
表1の結果から明らかなように、CT−ext500mg/kg投与群には初期の浮腫形成に対して抑制傾向を示し、カラゲニン投与2、3時間後の浮腫を有意に抑制する作用が認められた。
【0022】
(3)コンパウンド48/80浮腫に及ぼす影響
Wistar系雄性ラットに0.01%コンパウンド48/80生理食塩水溶液0.1ml/ラットを右後肢足蹠皮下に注射し、発生する浮腫を15、30分後に測定し、浮腫率を算出した。被検体(0.5%CMC・Naに懸濁)はコンパウンド48/80投与1時間前に1回経口投与した(表2)。
【0023】
【表2】
【0024】
表2の結果から明らかなように、コンパウンド48/80をラットの右後肢足蹠に皮下注射すると、15、30分後に著しい浮腫が観察されたが、CT−ext投与群にはコンパウンド48/80誘発急性浮腫を有意に抑制する作用が認められた。
【0025】
(4)毛細血管透過性に及ぼす影響
ddY系雄性マウスに被検体(0.5%CMC・Naに懸濁)を経口投与1時間後に4%ポンタミンスカイブルー生理食塩水溶液10ml/kgを静脈内注射し、15分後に1%酢酸生理食塩水溶液10ml/kgを腹腔内注射した。更に、20分後にマウスを断頭致死させ、腹腔内に滲出した色素を生理食塩水で洗い集め、全量10mlとした後、1N水酸化ナトリウム溶液0.1mlを添加し、590nmで吸光度を測定した(表3)。
【0026】
【表3】
【0027】
表3の結果から明らかなように、CT−ext投与群には酢酸誘発毛細血管透過性亢進を有意に抑制する作用が認められた。
【0028】
(5)ヒスタミンによるモルモット摘出回腸収縮に及ぼす影響
マグヌス法に準じて、24時間絶食したHartley系雄性モルモットを打撲放血後、摘出した回腸約1.5cmをマグヌス装置のorgan bath内に懸垂した。organ bath内にはTyrode液(NaCl 8g、KCl 0.2g、CaCl2 0.2g、MgCl2 0.1gを水1lに溶解後、NaH2PO4 0.05g、NaHCO3 1g、グルコース1gを加え溶解したもの)を満たし、温度を37±1℃に保って絶えず空気を通じた。ヒスタミン10-9−10-4mmol/mlにより、標本が濃度依存的な収縮高を示した。その後、被検体としてCT−ext処置2分後にヒスタミンを注入し、それらの濃度−作用曲線を求めた。なお、検定間の標本の休憩時間を10分とした(図1)。
【0029】
図1の結果から明らかなように、ヒスタミン10-9−10-4mmol/mlには濃度依存的に収縮率を増大させる作用が認められ、その回腸収縮作用はCT−extの前処置によってヒスタミンの収縮作用に対して拮抗的に作用した。
【0030】
(6)アジュバント関節炎に及ぼす影響
(i)アジュバント関節炎の誘導及び被検体の投与法:
乾燥結核死菌体(Mycobacterium butyricum,Difco社製)をメノウ乳鉢で摩砕した後、鉱物油(Bayol F)を加えて1%の懸濁液を調製した。これをオートクレーブにて滅菌し、アジュバントとして使用した。このアジュバント0.05mlをSD系雌性ラットの右後肢足蹠及び尾根から約3cm離れた尾部に皮内注射してアジュバント関節炎を誘導した。被検体(0.5%CMC・Naに懸濁)はアジュバント注射直後から1日1回連日21日間経口投与した。なお、体重は経日的に測定した。
(ii)関節炎症状の観察:
関節炎症状は右後肢足容積を経日的に21日間測定して算定した浮腫率から求めた(表4)。
【0031】
【表4】
【0032】
表4に示したように、アジュバントを注射すると、右後肢は1日後から著しい浮腫が認められ、その浮腫は5日後に最大になり、9日後まで若干消腫したが、11日後から再び浮腫が増大した。アジュバント注射直後から被検体を1日1回連日経口投与すると、CT−ext500mg/kgは右後肢の浮腫に対して抑制傾向を示し、アジュバント注射3、5、9、13、15日後の右後肢浮腫を有意に抑制した。なお、500mg/kgのCT−extを21日間投与してもアジュバント関節炎を誘発したラットの体重変動には影響を及ぼさなかった。
【0033】
実施例2 延胡索抽出物の抗アレルギー作用:
(1)ヒスタミン遊離に及ぼす影響
(i)感作ラット腹腔肥満細胞浮遊液の調製:
Wistar系雄性ラットに2倍希釈した抗卵白アルブミン(以下、EWAと略記)ラット血清0.5mlを腹腔内投与して感作した。24時間後に断頭瀉血後、Uvnas&Thonの方法(B.Uvnas and I.L.Thon,Exp.Cell.Res.,18,512(1959))に従って肥満細胞浮遊液を調製した。すなわち、断頭瀉血後ただちにハンクス液(10μg/mlのヘパリン含有)10mlを腹腔内に注入し、約90秒間腹部を静かにマッサージ後、腹腔内液を採取し、40%フィコール溶液2mlに静かに重層し、室温で30分間放置後、5℃、1,200rpm、10分間遠心分離を行い、フィコール層上の肥満細胞を集めた。この肥満細胞はリン酸緩衝液(以下、PBSと略記)(pH7.0)に浮遊させ、遠心分離による洗浄を3回繰り返し、再びPBSに浮遊(肥満細胞数2.9×106個/ml)させた。この浮遊液中の肥満細胞含有率は85−90%で、生残率はトルイジンブルー(0.1%、50%エタノール溶液)染色法で90%以上であることを確認した。
【0034】
(ii)ヒスタミン遊離反応試験:
(i)で得られた肥満細胞浮遊液1.8mlを37℃、10分間プレインキュベートした後、被検液(10%ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記)/PBSに溶解)を0.1ml添加し、10分間インキュベートし、更にEWAとホスファチジル−L−セリンを混合したもの(最終濃度:EWA2mg/ml、ホスファチジル−L−セリン100μg/ml)0.1mlを加えて15分間インキュベートした。氷冷により反応を停止し、5℃、1,200rpm、5分間遠心分離を行い、上清中のヒスタミン量を測定した。すなわち、上清0.7mlに水1.4ml、1N−NaOH 0.4ml、1% o−フタルジアルデヒド/メタノール溶液0.1mlを加えて4分間放置後、3N−HCl溶液0.2mlにより反応を停止させた。反応終了10分後に5℃、3,000rpm、5分間遠心分離し、上清及び沈渣を得た。上清の蛍光は励起波長360nm、蛍光波長450nmで測定(Hitachi Fluorescence Spectrophotometer 650−10S)し、既知濃度のヒスタミン検量線から上清中のヒスタミン量を求めた。また、肥満細胞に残存するヒスタミン量は沈渣にPBS2mlを加えて超音波処理、更に凍結融解法で肥満細胞からヒスタミンを遊離させ、上記と同様の方法で測定し、ヒスタミン遊離率を求めた(表5)。
【0035】
【表5】
【0036】
表5の結果から明らかなように、CT−extは抗原抗体反応による肥満細胞からのヒスタミン遊離を有意に抑制した。
【0037】
(2)塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎(以下、PC−CDと略記)に及ぼす影響
(a)PC−CD(炎症過程)に及ぼす影響
前日剪毛したICR系雌性マウス(体重30−32g)の腹部に7%塩化ピクリルエタノール溶液0.1mlを塗布して感作した。その6日後に1%塩化ピクリル−オリーブ油溶液0.02mlを片耳に塗布して接触性皮膚炎を誘発した。被検体は感作日2日前から7日間経口投与した。誘発24時間後の耳の厚さをdial thickness gauge(Ozaki MFG.Co.Ltd.)で測定し、腫脹率を求めた(表6)。
【0038】
【表6】
【0039】
表6から明らかなように、CT−ext投与群には、PC−CDにより誘発された腫脹の有意な抑制が認められた。
【0040】
(b)PC−CD(誘発腫張の成立過程)に及ぼす影響
(a)の方法で1回感作、誘発した24時間後に充分な腫脹が得られたマウスを選別し、3日後から再度感作、誘発を繰り返し、誘発前及び誘発24時間後の耳の厚さをdial thickness gauge(Ozaki MFG.Co.Ltd.)で測定し、腫脹率を求めた。被験体は誘発直前及び誘発16時間後の2回経口投与した(表7)。
【0041】
【表7】
【0042】
表7から明らかなように、CT−ext投与群には、PC−CDにより誘発された腫脹の有意な抑制が認められた。
【0043】
(c)PC−CDに対する治療作用
誘発24時間後に被検体を1回経口投与し、投与2時間後から2時間間隔で5回腫脹率を測定した。PC−CDを惹起させ、その腫脹が最大となる24時間後に被検体を1回経口投与した(表8)。
【0044】
【表8】
【0045】
表8から明らかなように、CT−ext投与群には経口投与6から10時間後においてPC−CDによる誘発腫脹を有意に消退させる作用が認められた。
【0046】
(3)ラットの受け身皮膚アナフィラキシー(以下、PCAと略記)反応に及ぼす影響
(i)抗EWAラット血清の調整:
1mgのEWAを水酸化アルミニウムゲル20mg及び百日咳ジフテリア破傷風混合ワクチン0.5mlと混合し、Wistar系雄性ラットの足蹠皮内に4分割して投与した。14日後、頸動脈から採血して抗EWA血清を得た。
(ii)PCA反応試験:
Wistar系雄性ラットの背部を剪毛し、皮内に抗EWA血清を8倍もしくは16倍に希釈したものを0.05ml/匹の割合で、それぞれ2点ずつ合計4点に注射した。48時間後、EWA2mgを含む1%エバンスブルー生理食塩水溶液0.5mlを尾静脈から注入し、30分後に放血致死させ、8倍希釈の血清により生じた青斑の面積を測定した。更に、この青斑を切り出し、1N−KOH溶液で溶解し、リン酸−アセトン混液で抽出し、その色素量を予め作製したエバンスブルーの検量線より求めた。被検体はPCA誘発1時間前に経口投与した(表9)。
【0047】
【表9】
【0048】
表9の結果から明らかなように、CT−ext投与群では有意なPCA反応抑制が認められた。
【0049】
(4)IgE抗体産生に及ぼす影響
(i)IgE抗体産生:
1mgEWAと1.5mg水酸化アルミニウムゲルの混合液0.2mlをBALB/c系雌性マウスに腹腔内投与した。免疫後7、14日目に眼底静脈洞から採血し、常法により得た血清をIgE抗体価の測定に使用した。被検体は(0.5%CMC・Naに懸濁)免疫日から1日1回連日経口投与した。
(ii)IgE抗体価の測定:
ラット48時間ホモロガスPCA反応により測定した。すなわち、Wistar系雄性ラットの背部を剪毛し、皮内に各血清を生理食塩水で倍々希釈系で希釈したものを0.1mlずつ注射した。48時間後、EWA2mgを含む1%エバンスブルー生理食塩水溶液0.5mlを尾静脈から注入し、30分後に放血致死させ、背部の皮を剥ぎ、血清により生じた直径5mm以上の青斑をプラスとして判定し、IgE抗体価とした(表10)。
【0050】
【表10】
【0051】
表10の結果のように、CT−ext500mg/kg投与群においては、抗原感作1週間後及び2週間後で有意なIgE抗体産生抑制が認められた。また、CT−ext50、200mg/kgの各投与群においては、1週間後でのみ有意な抑制が認められた。
【0052】
実施例3
(1)延胡索のアルカロイド画分の調製
中国産延胡索(Corydalis turtschaninovii forma yanhusuo)の塊茎5kgを細切後、10倍量の100%メタノールにて2時間、2回還流抽出し、熱時濾過した。減圧下でメタノールを留去後、メタノール抽出エキス(収率:2.95%)を得た。得られたエキスを10%酢酸溶液4,000mlとエーテル600mlに溶解後、分液ロートに移し、振盪して脱脂した(エーテル層)。10%酢酸層は濾過し(不溶解物を除去)、氷冷下にて濾液にアンモニアガスを飽和し、液性をpH8.6から9.0(pH試験紙にて)に調整した。析出する沈澱を考慮せずにエーテル1,000mlにて20回振盪抽出した。このエーテル抽出液(3級アルカロイド画分)を1/5に濃縮し、10%水酸化ナトリウム溶液1,000mlにて10回振盪抽出した。エーテル層は炭酸カルシウムで乾燥し、濾過後、減圧下で溶媒を留去して3級フェノール性アルカロイド画分(収率:0.162%)を得た。10%水酸化ナトリウム層は塩化アンモニウムで飽和し、濾過後、エーテルにて抽出した。この抽出液を炭酸カルシウムで乾燥後、濾過し、減圧下で溶媒を留去して3級非フェノール性アルカロイド画分(収率:0.0196%)を得た。また、3級アルカロイドを除去した水層は塩酸にて液性をpH6.6から7.0(pH試験紙にて)とした後、クロロホルム1,000mlにて20回振盪抽出し、硫酸ナトリウムにて脱水後、減圧下にてクロロホルムを留去し、4級アルカロイド画分(収率:0.154%)を得た。
【0053】
(2)3級非フェノール性アルカロイド画分からのアルカイド成分の単離
3級非フェノール性アルカロイド画分(以下、CT−1と略記)を塩基性アルミナ(230−400メッシュ ASTM、MERCK社製)を用いたカラムクロマトグラフィーに付し、エーテル、エーテル/クロロホルム(5:1)及びクロロホルムで展開溶出し、薄層クロマトグラフィー〔薄層プレート;シリカゲル60F254 (MERCK社製)、展開溶媒;シクロヘキサン:酢酸エチル:ジエチルアミン=80:15:5又はクロロホルム、発色試液;ドラーゲンドルフ試液〕をモニターとして、l−テトラヒドロコプチシン含有画分、d−コリダリン含有画分、d−コリダリン、dl−テトラヒドロパルマチン及びプロトピン含有画分、dl−テトラヒドロパルマチン含有画分、l−グラウシン含有画分を得た。l−テトラヒドロコプチシン、d−コリダリンはそれらが主に含まれる画分からクロロホルム、エタノール、エーテルを用いて再結晶法により得た。d−コリダリン、dl−テトラヒドロパルマチン及びプロトピン含有画分はシリカゲル(230−400メッシュ ASTM、MERCK社製)を用いたカラムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン/酢酸エチル(1:1)、(1:3)、(1:5)で順次展開溶出し、上記の薄層クロマトグラフィーをモニターとして、各画分からクロロホルム、エタノール、エーテルを用いて再結晶法により、d−コリダリン、dl−テトラヒドロパルマチン、プロトピンを得た。また、d−グラウシン含有画分はシリカゲル(230−400メッシュ ASTM、MERCK社製)を用いたカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム、5%クロロホルム/メタノール、10%クロロホルム/メタノールで順次溶出し、エタノール、n−ヘキサンを用いて再結晶法により、d−グラウシンを得た。また、それぞれの母液をシリカゲルクロマトグラフィー及び再結晶法を繰り返し、上記のアルカロイド成分を単離した。なお、それぞれの成分の収率はd−コリダリンが0.0511%、d−グラウシンが0.0243%、プロトピンが0.0104%、l−テトラヒドロコプチシンが0.00648%、dl−テトラヒドロパルマチンが0.0162%であった。
【0054】
(3)3級フェノール性アルカロイド画分からのアルカイド成分の単離
3級フェノール性アルカロイド画分(以下、CT−2と略記)をクロロホルム、エタノール、エーテルを用いて再結晶法によりl−テトラヒドロコルンバミンを単離した。その収率は0.0100%であった。
【0055】
(4)4級アルカロイド画分からのアルカロイド成分の単離
4級アルカロイド画分(以下、CT−3と略記)をシリカゲル(230−400メッシュASTM、MERCK社製)を用いたカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで展開溶出し、上記の薄層クロマトグラフィーをモニターとして、デヒドロコリダリン含有画分を得た。この画分からメタノールを用いて再結晶法によりデヒドロコリダリンを得た。収率は0.0531%であった。
【0056】
(5)各画分のヒスタミン遊離に及ぼす影響
(1)〜(4)で得られたCT−1、CT−2、CT−3画分、及び各アルカロイド成分について、実施例2(1)と同様にしてラット腹腔肥満細胞浮遊液を調製し、ヒスタミン遊離剤としてコンパウンド48/80(最終濃度10μg/ml)を用い、実施例2(1)と同様にしてヒスタミン遊離反応試験を行った。(表11、表12)。
【0057】
【表11】
【0058】
【表12】
【0059】
表11の結果より、CT−1及びCT−3画分にヒスタミン遊離抑制作用が認められた。また表12の結果より、デヒドロコリダリンに最も強いヒスタミン遊離抑制が認められ、次いでd−コリダリン、d−グラウシン、l−テトラヒドロコプチシン、プロトピンにも抑制が認められた。
【0060】
実施例4 点眼剤:
CT−extの0.5%水溶液を調製し、充血眼(赤眼)、カユミの症状を有する健常成人男子50名に、1日数回(2〜3滴/回)点眼した。
点眼開始7日後に判定したところ、充血眼に対しては50名中42名(84%)に有効であり、カユミに対しては50名中45名(90%)に有効であった。また、副作用は認められなかった。
【0061】
実施例5 点眼液:
下記の(1)原液30mlと(2)原液0.3mlを混合し、これに最終濃度が0.5%になるようにCT−extを添加した。pHが6.8になるよう(1)原液、(2)原液で調整し、得られた液を遠心し(10,000rpm,4℃,10分)、上清を取り、0.22μmのフィルターで濾過した。濾液を滅菌した容器に入れ、点眼液を得た。
(表13)
緩衝液
(1)酸性原液
ほう酸 12.4g
塩化カリウム 7.4g
滅菌精製水 全量1000.0ml
(2)アルカリ原液
炭酸ナトリウム 21.2g
滅菌精製水 全量1000.0ml
【0062】
実施例6 点眼液:
(表14)
CT−ext 0.5g
濃グリセリン 1.5g
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0g
塩化ベンザルコニウム 0.005g
エデト酸ナトリウム 0.01g
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 全量100ml
【0063】
実施例7 点眼液:
(表15)
CT−ext 1.0g
濃グリセリン 1.25g
ポリソルベート80 2.0g
パラオキシ安息香酸メチル 0.026g
パラオキシ安息香酸プロピル 0.014g
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
滅菌精製水 全量100ml
【0064】
実施例8 眼軟膏:
(表16)
CT−ext 1.0g
流動パラフィン 10g
白色ワセリン 89g
【0065】
実施例9 眼軟膏:
(表17)
CT−ext 2.0g
流動パラフィン 10g
白色ワセリン 88g
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1(5)における、ヒスタミンによるモルモット摘出回腸収縮に及ぼす影響を示す図である。
Claims (1)
- d−コリダリン及び/又はデヒドロコリダリンからなる抗アレルギー剤。
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