JP3295165B2 - 抗アレルギー剤 - Google Patents

抗アレルギー剤

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JP3295165B2
JP3295165B2 JP04934893A JP4934893A JP3295165B2 JP 3295165 B2 JP3295165 B2 JP 3295165B2 JP 04934893 A JP04934893 A JP 04934893A JP 4934893 A JP4934893 A JP 4934893A JP 3295165 B2 JP3295165 B2 JP 3295165B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗アレルギー作用に優
れた抗アレルギー剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
抗アレルギー剤及び抗炎症剤としては、グルココルチコ
イド型の副腎皮質ホルモン剤や、インドメサシン、イブ
プロフェン等の非ステロイド性抗炎症剤等が用いられて
いる。しかしながら、ステロイドホルモン剤は抗アレル
ギー作用及び抗炎症作用を有するものの副作用が強いと
いう問題があり、また、インドメサシン、イブプロフェ
ン等は抗炎症作用のみ有するため抗アレルギー剤として
は有用でなかった。
【0003】従って、副作用が少なく、優れた抗アレル
ギー作用及び抗炎症作用を有する経口投与可能な薬剤が
望まれていた。
【0004】一方、延胡索は鎮痛、鎮痙作用を有するこ
とが知られており、古くから漢方胃腸薬などに配合して
使用されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは、鋭意研究を行った結果、延胡索の極性溶媒
抽出物を用いれば、副作用が少なく、抗アレルギー作用
に優れた経口投与可能な抗アレルギー剤が得られること
を見出し、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、延胡索の4級アルカ
ロイド画分を含有する抗アレルギー剤を提供するもので
ある。
【0007】本発明で用いられる延胡索(Coryda
lis turtschaninovii forma
yanhusuo)は、中国東部に自生する多年草で
あり、この塊茎等を使用することができる。これらの延
胡索から有効成分を抽出するための極性溶媒としては、
例えばメタノール、エタノール等のアルコール、水、エ
ーテル、クロロホルムなどが挙げられ、これらの1種又
は2種以上を組合わせて用い、通常の方法により単回又
は複数回抽出することにより、抽出物を得ることができ
る。
【0008】このようにして得られる延胡索の極性溶媒
抽出物としては、例えば以下のものが挙げられる。 (1)延胡索のアルコール抽出物 (2)アルコール抽出物の水抽出物 (3)(2)のエーテル抽出物(この抽出物には3級ア
ルカロイド画分が含まれている) (4)(3)の水抽出物(この抽出物には3級フェノー
ル性アルカロイド画分が含まれている) (5)(3)から(4)を抽出した後の抽出物(この抽
出物には3級非フェノール性アルカロイド画分が含まれ
ている) (6)(2)のクロロホルム抽出物(この抽出物には4
級アルカロイド画分が含まれている)
【0009】また、(4)〜(6)のアルカロイド画分
から、更にアルカロイド成分を単離することができ、こ
れらの成分を単独又は組合わせて使用することもでき
る。例えば(4)の抽出物を、クロロホルム、エタノー
ル及びエーテルを用いて再結晶を行うことにより、l−
テトラヒドロコルンバミンを単離することができる。ま
た、(5)の抽出物からは、カラムクロマトグラフィー
及び再結晶法を組合わせて行うことにより、d−コリダ
リン、d−グラウシン、プロトピン、l−テトラヒドロ
コプチシン及びdl−テトラヒドロパルマチンをそれぞ
れ単離することができる。更に、(6)の抽出物から
は、カラムクロマトグラフィー及びメタノール再結晶に
より、デヒドロコリダリンを単離することができる。
【0010】このようにして得られる延胡索の抽出物
は、後記実施例に示すように優れた抗アレルギー作用及
び抗炎症作用を有し、しかも安全性も高いため、アレル
ギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、湿疹皮膚炎、じん麻
疹、急性又は慢性結膜炎、気管支喘息、慢性関節リウマ
チ等の治療剤として有用である。なお、安全性について
は、延胡索抽出物について、モルモットを用いた能動的
全身性アナフィラキシー(ASA)、感作モルモット分
離血清によるモルモットを用いた受身皮膚アナフィラキ
シー(PCA)により抗原性の有無を検討した結果、延
胡索エキスには抗原性はないことが確認された。
【0011】かかる延胡索抽出物は、そのままあるいは
種々の投与形態で投与することができる。本発明の抗ア
レルギー剤の投与形態については特に制限はなく、錠
剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤等の経口
剤や、注射剤、外用剤、坐剤、吸入剤、点鼻剤、点眼剤
等の非経口剤のいずれによっても投与することができ
る。
【0012】経口用固形担体の例としては、デンプン、
乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロー
ス、コーンスターチ、無機塩等が挙げられ、必要によ
り、更に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動
性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用することがで
きる。より具体的には、結合剤としてのデンプン、デキ
ストリン、アラビアゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロ
ピルスターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、
結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリ
ドン、マクロゴール等;崩壊剤としてのデンプン、ヒド
ロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロース
ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、
カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピ
ルセルロース等;界面活性剤としてのラウリル硫酸ナト
リウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソ
ルベート80等;滑沢剤としてのタルク、ロウ類、水素
添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸アル
ミニウム、ポリエチレングリコール等;流動性促進剤と
しての軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、
合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が使用
できる。
【0013】また経口用の液剤としては、懸濁液、エマ
ルション剤、シロップ剤、エリキシル剤等の剤型を挙げ
ることができ、これらの各種剤型には、矯味剤、矯香
剤、着色剤を配合することもできる。
【0014】更に、非経口用液剤担体としては、注射用
蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、
ゴマ油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、プロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコール等が用いられ、
更に必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤、等張化
剤、無痛化剤等を加えることもできる。
【0015】本発明において、有効成分の投与量は抽出
物等の性状、投与経路、その他の要因によって左右され
るが、延胡索のアルコール抽出物の場合は、一日当り約
1〜10mg/kg;アルカロイド画分の場合、一日当り約
0.2〜2mg/kg;アルカロイド成分の場合、一日当り
約0.1〜1mg/kgであるのが好ましい。また、これら
の一日量は所望により2〜3回に分割して投与すること
もできる。
【0016】
【発明の効果】本発明の抗アレルギー剤は、副作用が少
なく、しかも抗アレルギー作用に優れたものである。
【0017】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に説明す
る。
【0018】実施例1 延胡索の抗炎症作用: (1)延胡索のメタノール抽出物の調製 中国産延胡索(Corydalis turtscha
ninovii forma yanhusuo;日本
粉末薬品社製)の塊茎を細切した後、10倍量のメタノ
ールで2時間、2回抽出し、熱時濾過した。減圧下でメ
タノールを留去した後、メタノール抽出エキスを得た。
得られた延胡索メタノール抽出エキス(以下、CT−e
xtと略記)の収率は2.95%であった。なお、以下
の実施例においては、得られたCT−extを必要に応
じて適当な濃度に溶解したものを使用した。
【0019】(2)カラゲニン浮腫に及ぼす影響 Wistar系雄性ラットに1%λ−カラゲニン生理食
塩水溶液0.1ml/ラットを右後肢足蹠皮下に注射し、
発生する浮腫を15、30、45分、2、3時間後に測
定し、浮腫率を算出した。被検体(0.5% カルボキ
シメチルセルロースナトリウム(以下、CMC・Naと
略記)に懸濁)はカラゲニン生理食塩水溶液注射1時間
前に1回経口投与した(表1)。
【0020】
【表1】
【0021】表1の結果から明らかなように、CT−e
xt500mg/kg投与群には初期の浮腫形成に対して抑
制傾向を示し、カラゲニン投与2、3時間後の浮腫を有
意に抑制する作用が認められた。
【0022】(3)コンパウンド48/80浮腫に及ぼ
す影響 Wistar系雄性ラットに0.01%コンパウンド4
8/80生理食塩水溶液0.1ml/ラットを右後肢足蹠
皮下に注射し、発生する浮腫を15、30分後に測定
し、浮腫率を算出した。被検体(0.5%CMC・Na
に懸濁)はコンパウンド48/80投与1時間前に1回
経口投与した(表2)。
【0023】
【表2】
【0024】表2の結果から明らかなように、コンパウ
ンド48/80をラットの右後肢足蹠に皮下注射する
と、15、30分後に著しい浮腫が観察されたが、CT
−ext投与群にはコンパウンド48/80誘発急性浮
腫を有意に抑制する作用が認められた。
【0025】(4)毛細血管透過性に及ぼす影響 ddY系雄性マウスに被検体(0.5%CMC・Naに
懸濁)を経口投与1時間後に4%ポンタミンスカイブル
ー生理食塩水溶液10ml/kgを静脈内注射し、15分後
に1%酢酸生理食塩水溶液10ml/kgを腹腔内注射し
た。更に、20分後にマウスを断頭致死させ、腹腔内に
滲出した色素を生理食塩水で洗い集め、全量10mlとし
た後、1N水酸化ナトリウム溶液0.1mlを添加し、5
90nmで吸光度を測定した(表3)。
【0026】
【表3】
【0027】表3の結果から明らかなように、CT−e
xt投与群には酢酸誘発毛細血管透過性亢進を有意に抑
制する作用が認められた。
【0028】(5)ヒスタミンによるモルモット摘出回
腸収縮に及ぼす影響 マグヌス法に準じて、24時間絶食したHartley
系雄性モルモットを打撲放血後、摘出した回腸約1.5
cmをマグヌス装置のorgan bath内に懸垂し
た。organ bath内にはTyrode液(Na
Cl 8g、KCl 0.2g、CaCl2 0.2
g、MgCl2 0.1gを水1lに溶解後、NaH2
4 0.05g、NaHCO3 1g、グルコース1g
を加え溶解したもの)を満たし、温度を37±1℃に保
って絶えず空気を通じた。ヒスタミン10-9−10-4mm
ol/mlにより、標本が濃度依存的な収縮高を示した。そ
の後、被検体としてCT−ext処置2分後にヒスタミ
ンを注入し、それらの濃度−作用曲線を求めた。なお、
検定間の標本の休憩時間を10分とした(図1)。
【0029】図1の結果から明らかなように、ヒスタミ
ン10-9−10-4mmol/mlには濃度依存的に収縮率を増
大させる作用が認められ、その回腸収縮作用はCT−e
xtの前処置によってヒスタミンの収縮作用に対して拮
抗的に作用した。
【0030】(6)アジュバント関節炎に及ぼす影響 (i)アジュバント関節炎の誘導及び被検体の投与法:
乾燥結核死菌体(Mycobacterium but
yricum,Difco社製)をメノウ乳鉢で摩砕し
た後、鉱物油(Bayol F)を加えて1%の懸濁液
を調製した。これをオートクレーブにて滅菌し、アジュ
バントとして使用した。このアジュバント0.05mlを
SD系雌性ラットの右後肢足蹠及び尾根から約3cm離れ
た尾部に皮内注射してアジュバント関節炎を誘導した。
被検体(0.5%CMC・Naに懸濁)はアジュバント
注射直後から1日1回連日21日間経口投与した。な
お、体重は経日的に測定した。 (ii)関節炎症状の観察:関節炎症状は右後肢足容積を
経日的に21日間測定して算定した浮腫率から求めた
(表4)。
【0031】
【表4】
【0032】表4に示したように、アジュバントを注射
すると、右後肢は1日後から著しい浮腫が認められ、そ
の浮腫は5日後に最大になり、9日後まで若干消腫した
が、11日後から再び浮腫が増大した。アジュバント注
射直後から被検体を1日1回連日経口投与すると、CT
−ext500mg/kgは右後肢の浮腫に対して抑制傾向
を示し、アジュバント注射3、5、9、13、15日後
の右後肢浮腫を有意に抑制した。なお、500mg/kgの
CT−extを21日間投与してもアジュバント関節炎
を誘発したラットの体重変動には影響を及ぼさなかっ
た。
【0033】実施例2 延胡索抽出物の抗アレルギー作
用: (1)ヒスタミン遊離に及ぼす影響 (i)感作ラット腹腔肥満細胞浮遊液の調製:Wist
ar系雄性ラットに2倍希釈した抗卵白アルブミン(以
下、EWAと略記)ラット血清0.5mlを腹腔内投与し
て感作した。24時間後に断頭瀉血後、Uvnas&T
honの方法(B.Uvnas and I.L.Th
on,Exp.Cell.Res.,18,512(1
959))に従って肥満細胞浮遊液を調製した。すなわ
ち、断頭瀉血後ただちにハンクス液(10μg/mlのヘ
パリン含有)10mlを腹腔内に注入し、約90秒間腹部
を静かにマッサージ後、腹腔内液を採取し、40%フィ
コール溶液2mlに静かに重層し、室温で30分間放置
後、5℃、1,200rpm、10分間遠心分離を行い、
フィコール層上の肥満細胞を集めた。この肥満細胞はリ
ン酸緩衝液(以下、PBSと略記)(pH7.0)に浮遊
させ、遠心分離による洗浄を3回繰り返し、再びPBS
に浮遊(肥満細胞数2.9×106個/ml)させた。こ
の浮遊液中の肥満細胞含有率は85−90%で、生残率
はトルイジンブルー(0.1%、50%エタノール溶
液)染色法で90%以上であることを確認した。
【0034】(ii)ヒスタミン遊離反応試験:(i)で
得られた肥満細胞浮遊液1.8mlを37℃、10分間プ
レインキュベートした後、被検液(10%ジメチルスル
ホキシド(以下、DMSOと略記)/PBSに溶解〕を
0.1ml添加し、10分間インキュベートし、更にEW
Aとホスファチジル−L−セリンを混合したもの(最終
濃度:EWA2mg/ml、ホスファチジル−L−セリン1
00μg/ml)0.1mlを加えて15分間インキュベー
トした。氷冷により反応を停止し、5℃、1,200rp
m、5分間遠心分離を行い、上清中のヒスタミン量を測
定した。すなわち、上清0.7mlに水1.4ml、1N−
NaOH 0.4ml、1% o−フタルジアルデヒド/
メタノール溶液0.1mlを加えて4分間放置後、3N−
HCl溶液0.2mlにより反応を停止させた。反応終了
10分後に5℃、3,000rpm、5分間遠心分離し、
上清及び沈渣を得た。上清の蛍光は励起波長360nm、
蛍光波長450nmで測定(Hitachi Fluor
escence Spectrophotometer
650−10S)し、既知濃度のヒスタミン検量線か
ら上清中のヒスタミン量を求めた。また、肥満細胞に残
存するヒスタミン量は沈渣にPBS2mlを加えて超音波
処理、更に凍結融解法で肥満細胞からヒスタミンを遊離
させ、上記と同様の方法で測定し、ヒスタミン遊離率を
求めた(表5)。
【0035】
【表5】
【0036】表5の結果から明らかなように、CT−e
xtは抗原抗体反応による肥満細胞からのヒスタミン遊
離を有意に抑制した。
【0037】(2)塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎(以
下、PC−CDと略記)に及ぼす影響 (a)PC−CD(炎症過程)に及ぼす影響 前日剪毛したICR系雌性マウス(体重30−32g)
の腹部に7%塩化ピクリルエタノール溶液0.1mlを塗
布して感作した。その6日後に1%塩化ピクリル−オリ
ーブ油溶液0.02mlを片耳に塗布して接触性皮膚炎を
誘発した。被検体は感作日2日前から7日間経口投与し
た。誘発24時間後の耳の厚さをdial thick
ness gauge(Ozaki MFG.Co.L
td.)で測定し、腫脹率を求めた(表6)。
【0038】
【表6】
【0039】表6から明らかなように、CT−ext投
与群には、PC−CDにより誘発された腫脹の有意な抑
制が認められた。
【0040】(b)PC−CD(誘発腫張の成立過程)
に及ぼす影響 (a)の方法で1回感作、誘発した24時間後に充分な
腫脹が得られたマウスを選別し、3日後から再度感作、
誘発を繰り返し、誘発前及び誘発24時間後の耳の厚さ
をdial thickness gauge(Oza
ki MFG.Co.Ltd.)で測定し、腫脹率を求
めた。被験体は誘発直前及び誘発16時間後の2回経口
投与した(表7)。
【0041】
【表7】
【0042】表7から明らかなように、CT−ext投
与群には、PC−CDにより誘発された腫脹の有意な抑
制が認められた。
【0043】(c)PC−CDに対する治療作用 誘発24時間後に被検体を1回経口投与し、投与2時間
後から2時間間隔で5回腫脹率を測定した。PC−CD
を惹起させ、その腫脹が最大となる24時間後に被検体
を1回経口投与した(表8)。
【0044】
【表8】
【0045】表8から明らかなように、CT−ext投
与群には経口投与6から10時間後においてPC−CD
による誘発腫脹を有意に消退させる作用が認められた。
【0046】(3)ラットの受け身皮膚アナフィラキシ
ー(以下、PCAと略記)反応に及ぼす影響 (i)抗EWAラット血清の調整:1mgのEWAを水酸
化アルミニウムゲル20mg及び百日咳ジフテリア破傷風
混合ワクチン0.5mlと混合し、Wistar系雄性ラ
ットの足蹠皮内に4分割して投与した。14日後、頸動
脈から採血して抗EWA血清を得た。 (ii)PCA反応試験:Wistar系雄性ラットの背
部を剪毛し、皮内に抗EWA血清を8倍もしくは16倍
に希釈したものを0.05ml/匹の割合で、それぞれ2
点ずつ合計4点に注射した。48時間後、EWA2mgを
含む1%エバンスブルー生理食塩水溶液0.5mlを尾静
脈から注入し、30分後に放血致死させ、8倍希釈の血
清により生じた青斑の面積を測定した。更に、この青斑
を切り出し、1N−KOH溶液で溶解し、リン酸−アセ
トン混液で抽出し、その色素量を予め作製したエバンス
ブルーの検量線より求めた。被検体はPCA誘発1時間
前に経口投与した(表9)。
【0047】
【表9】
【0048】表9の結果から明らかなように、CT−e
xt投与群では有意なPCA反応抑制が認められた。
【0049】(4)IgE抗体産生に及ぼす影響 (i)IgE抗体産生:1mgEWAと1.5mg水酸化ア
ルミニウムゲルの混合液0.2mlをBALB/c系雌性
マウスに腹腔内投与した。免疫後7、14日目に眼底静
脈洞から採血し、常法により得た血清をIgE抗体価の
測定に使用した。被検体は(0.5%CMC・Naに懸
濁)免疫日から1日1回連日経口投与した。 (ii)IgE抗体価の測定:ラット48時間ホモロガス
PCA反応により測定した。すなわち、Wistar系
雄性ラットの背部を剪毛し、皮内に各血清を生理食塩水
で倍々希釈系で希釈したものを0.1mlずつ注射した。
48時間後、EWA2mgを含む1%エバンスブルー生理
食塩水溶液0.5mlを尾静脈から注入し、30分後に放
血致死させ、背部の皮を剥ぎ、血清により生じた直径5
mm以上の青斑をプラスとして判定し、IgE抗体価とし
た(表10)。
【0050】
【表10】
【0051】表10の結果のように、CT−ext50
0mg/kg投与群においては、抗原感作1週間後及び2週
間後で有意なIgE抗体産生抑制が認められた。また、
CT−ext50、200mg/kgの各投与群において
は、1週間後でのみ有意な抑制が認められた。
【0052】実施例3 (1)延胡索のアルカロイド画分の調製 中国産延胡索(Corydalis turtscha
ninovii forma yanhusuo)の塊
茎5kgを細切後、10倍量の100%メタノールにて2
時間、2回還流抽出し、熱時濾過した。減圧下でメタノ
ールを留去後、メタノール抽出エキス(収率:2.95
%)を得た。得られたエキスを10%酢酸溶液4,00
0mlとエーテル600mlに溶解後、分液ロートに移し、
振盪して脱脂した(エーテル層)。10%酢酸層は濾過
し(不溶解物を除去)、氷冷下にて濾液にアンモニアガ
スを飽和し、液性をpH8.6から9.0(pH試験紙に
て)に調整した。析出する沈澱を考慮せずにエーテル
1,000mlにて20回振盪抽出した。このエーテル抽
出液(3級アルカロイド画分)を1/5に濃縮し、10
%水酸化ナトリウム溶液1,000mlにて10回振盪抽
出した。エーテル層は炭酸カルシウムで乾燥し、濾過
後、減圧下で溶媒を留去して3級フェノール性アルカロ
イド画分(収率:0.162%)を得た。10%水酸化
ナトリウム層は塩化アンモニウムで飽和し、濾過後、エ
ーテルにて抽出した。この抽出液を炭酸カルシウムで乾
燥後、濾過し、減圧下で溶媒を留去して3級非フェノー
ル性アルカロイド画分(収率:0.0196%)を得
た。また、3級アルカロイドを除去した水層は塩酸にて
液性をpH6.6から7.0(pH試験紙にて)とした後、
クロロホルム1,000mlにて20回振盪抽出し、硫酸
ナトリウムにて脱水後、減圧下にてクロロホルムを留去
し、4級アルカロイド画分(収率:0.154%)を得
た。
【0053】(2)3級非フェノール性アルカロイド画
分からのアルカイド成分の単離 3級非フェノール性アルカロイド画分(以下、CT−1
と略記)を塩基性アルミナ(230−400メッシュ
ASTM、MERCK社製)を用いたカラムクロマトグ
ラフィーに付し、エーテル、エーテル/クロロホルム
(5:1)及びクロロホルムで展開溶出し、薄層クロマ
トグラフィー〔薄層プレート;シリカゲル60F
254(MERCK社製)、展開溶媒;シクロヘキサン:
酢酸エチル:ジエチルアミン=80:15:5又はクロ
ロホルム、発色試液;ドラーゲンドルフ試液〕をモニタ
ーとして、l−テトラヒドロコプチシン含有画分、d−
コリダリン含有画分、d−コリダリン、dl−テトラヒ
ドロパルマチン及びプロトピン含有画分、dl−テトラ
ヒドロパルマチン含有画分、l−グラウシン含有画分を
得た。l−テトラヒドロコプチシン、d−コリダリンは
それらが主に含まれる画分からクロロホルム、エタノー
ル、エーテルを用いて再結晶法により得た。d−コリダ
リン、dl−テトラヒドロパルマチン及びプロトピン含
有画分はシリカゲル(230−400メッシュ AST
M、MERCK社製)を用いたカラムクロマトグラフィ
ーに付し、n−ヘキサン/酢酸エチル(1:1)、
(1:3)、(1:5)で順次展開溶出し、上記の薄層
クロマトグラフィーをモニターとして、各画分からクロ
ロホルム、エタノール、エーテルを用いて再結晶法によ
り、d−コリダリン、dl−テトラヒドロパルマチン、
プロトピンを得た。また、d−グラウシン含有画分はシ
リカゲル(230−400メッシュ ASTM、MER
CK社製)を用いたカラムクロマトグラフィーに付し、
クロロホルム、5%クロロホルム/メタノール、10%
クロロホルム/メタノールで順次溶出し、エタノール、
n−ヘキサンを用いて再結晶法により、d−グラウシン
を得た。また、それぞれの母液をシリカゲルクロマトグ
ラフィー及び再結晶法を繰り返し、上記のアルカロイド
成分を単離した。なお、それぞれの成分の収率はd−コ
リダリンが0.0511%、d−グラウシンが0.02
43%、プロトピンが0.0104%、l−テトラヒド
ロコプチシンが0.00648%、dl−テトラヒドロ
パルマチンが0.0162%であった。
【0054】(3)3級フェノール性アルカロイド画分
からのアルカイド成分の単離 3級フェノール性アルカロイド画分(以下、CT−2と
略記)をクロロホルム、エタノール、エーテルを用いて
再結晶法によりl−テトラヒドロコルンバミンを単離し
た。その収率は0.0100%であった。
【0055】(4)4級アルカロイド画分からのアルカ
ロイド成分の単離 4級アルカロイド画分(以下、CT−3と略記)をシリ
カゲル(230−400メッシュASTM、MERCK
社製)を用いたカラムクロマトグラフィーに付し、クロ
ロホルムで展開溶出し、上記の薄層クロマトグラフィー
をモニターとして、デヒドロコリダリン含有画分を得
た。この画分からメタノールを用いて再結晶法によりデ
ヒドロコリダリンを得た。収率は0.0531%であっ
た。
【0056】(5)各画分のヒスタミン遊離に及ぼす影
響 (1)〜(4)で得られたCT−1、CT−2、CT−
3画分、及び各アルカロイド成分について、実施例2
(1)と同様にしてラット腹腔肥満細胞浮遊液を調製
し、ヒスタミン遊離剤としてコンパウンド48/80
(最終濃度10μg/ml)を用い、実施例2(1)と同
様にしてヒスタミン遊離反応試験を行った。(表11、
表12)。
【0057】
【表11】
【0058】
【表12】
【0059】表11の結果より、CT−1及びCT−3
画分にヒスタミン遊離抑制作用が認められた。また表1
2の結果より、デヒドロコリダリンに最も強いヒスタミ
ン遊離抑制が認められ、次いでd−コリダリン、d−グ
ラウシン、l−テトラヒドロコプチシン、プロトピンに
も抑制が認められた。
【0060】実施例4 点眼剤: CT−extの0.5%水溶液を調製し、充血眼(赤
眼)、カユミの症状を有する健常成人男子50名に、1
日数回(2〜3滴/回)点眼した。点眼開始7日後に判
定したところ、充血眼に対しては50名中42名(84
%)に有効であり、カユミに対しては50名中45名
(90%)に有効であった。また、副作用は認められな
かった。
【0061】実施例5 点眼液: 下記の(1)原液30mlと(2)原液0.3mlを混合
し、これに最終濃度が0.5%になるようにCT−ex
tを添加した。pHが6.8になるよう(1)原液、
(2)原液で調整し、得られた液を遠心し(10,00
0rpm ,4℃,10分)、上清を取り、0.22μm の
フィルターで濾過した。濾液を滅菌した容器に入れ、点
眼液を得た。
【表13】 緩衝液 (1)酸性原液 ほう酸 12.4g 塩化カリウム 7.4g 滅菌精製水 全量1000.0ml (2)アルカリ原液 炭酸ナトリウム 21.2g 滅菌精製水 全量1000.0ml
【0062】実施例6 点眼液:
【表14】 CT−ext 0.5g 濃グリセリン 1.5g ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0g 塩化ベンザルコニウム 0.005g エデト酸ナトリウム 0.01g 希塩酸 適量 水酸化ナトリウム 適量 滅菌精製水 全量100ml
【0063】実施例7 点眼液:
【表15】 CT−ext 1.0g 濃グリセリン 1.25g ポリソルベート80 2.0g パラオキシ安息香酸メチル 0.026g パラオキシ安息香酸プロピル 0.014g 希塩酸 適量 水酸化ナトリウム 適量 滅菌精製水 全量100ml
【0064】実施例8 眼軟膏:
【表16】 CT−ext 1.0g 流動パラフィン 10g 白色ワセリン 89g
【0065】実施例9 眼軟膏:
【表17】 CT−ext 2.0g 流動パラフィン 10g 白色ワセリン 88g
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1(5)における、ヒスタミンによるモ
ルモット摘出回腸収縮に及ぼす影響を示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−148539(JP,A) THERAPIE,1973,VOL. 28,NO.4,pp.767−774 J.NATURAL PRODUCT S,1988,VOL.51,NO.5,p p.1021−1022 CHEMICAL ABSTRACT S,1981,VOL.95,NO.16,p. 371,no.95:138479f J.CHROMATOGR.,1990, VOL.518,NO.1,pp.273− 276 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 35/78 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) MEDLINE(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 延胡索の4級アルカロイド画分を含有す
    る抗アレルギー剤。
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