JP3793296B2 - 高温炉用低ＮＯｘバーナ - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属加熱炉等の高温炉に使用する低ＮＯｘバーナに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
図４は従来より金属加熱炉に使用されている空気二段燃焼方式の低ＮＯｘバーナを示したもので、炉壁９の内側面に開口した燃焼筒１の中心部にガスノズル２を設け、この燃焼筒１の基端部に一次空気を供給すると共に、燃焼筒１の周囲に若干の距離をおいて二次空気供給路１０を配設して、一次空気と二次空気を併せて理論燃焼空気量としたものである。この構成によれば、燃焼筒から噴出する一次火炎は一次空気の供給量が理論燃焼空気量より少ないので燃焼温度が低く、また二次燃焼は二次空気が周囲の排ガスと混合したのちに一次火炎と接触して行われるので、燃焼が緩慢になって燃焼温度を低く保つことができ、それによってＮＯｘの発生を抑制するものである。また燃料ガスを二段に供給することによって緩慢な燃焼を行わせる燃料二段燃焼方式もある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような空気二段燃焼式あるいは燃料二段燃焼式は、二次空気供給路１０あるいは二次燃料供給路が燃焼筒１から若干距離をおいて設けられるので、炉温が１０００℃以上の高温炉の場合、キャスタブル耐火煉瓦等よりなるバーナタイル１１が大型になって、その重量がきわめて大きくなり、従って図３に示すように、バーナ本体１２も大型化するという問題があった。
【０００４】
図５は、従来よりボイラ加熱に使用されている分割火炎型の低ＮＯｘバーナの構造を示したもので、金属製燃焼筒１の中央にガスノズル２を設け、ガスノズル２の先端部近くの外周に歯車形の金属製空気分割板３を取り付けたものであり、火炎が細分化されているために、窒素ガスが高温に曝される時間を短くすることができ、低ＮＯｘ化が図られるものである。この方式はバーナタイルを使用しないので、軽量で安価ではあるが、これを金属加熱炉のような高温炉に使用しようとすると、金属製の燃焼筒１や空気分散板３が熱によって短期間に損耗してしまうという問題があった。
本発明は上述のような問題点に鑑み、金属製の分割火炎型バーナの耐熱性を向上することによって、安価で軽量な高温加熱炉用低ＮＯｘバーナを実現することを目的とするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明による工業用ガスバーナは、図１に示すように、金属製燃焼筒１の中央にガスノズル２を設け、ガスノズル２の先端部近くの外周に歯車形の空気分割板３を取り付けると共に、空気分割板３の後面に上記歯車の谷部よりも大きい径を有する第一の円板４を密着させ、更に第一の円板４の後面に、第一の円板４よりも大きく上記歯車の外径よりも小さい径を有する第二の円板５を密着させたものであって、この構成によって従来ボイラ用に使用されていた金属製の低ＮＯｘバーナの分割火炎方式を高温加熱炉にも適用できるようにし、軽量でしかも耐熱性を有する低ＮＯｘバーナを実現し得たものである。
【０００６】
【作用】
図５の分割火炎方式を高温（炉温１０００℃以上）の加熱炉に使用した場合、ガスノズル２から噴出する火炎の高温部が燃焼筒１及び空気分割板３に近いために、燃焼筒１や空気分割板３が過熱され、損耗が激しかったのであるが、本発明の構成によれば、図５の空気分割板３に比し歯車の谷部が深いことと、歯車の歯の部分と第二の円板５との間の凹部６による攪拌効果のために、火炎の根元部分が絞られ、図１（ａ）に示すようにその形状が細長くなって、火炎の高温部分がバーナトップから遠ざかるために、耐熱性を向上することができたものである。
【０００７】
図１の本発明構成を図５の火炎分割型と比較すると、まず空気分割板３の歯車の谷部が深くなっているが、単に谷部を深くするだけでは、空気の噴出速度が低下して火炎の分割に支障が生じる。また谷部を深くしてその幅を狭くすると、火炎の分割が悪くなる上に、火炎と空気との接触面積が増すために、ＮＯｘが増加してしまう。そこで本発明では、第二の円板５によって通過空気量を規定し、第一の円板４をスペーサとして空気分割板３と第二の円板５との間に乱流を発生させるための凹部６を形成して、深い谷部と乱流とによって火炎の根元部を絞り込み、細長い火炎を実現し得たものである。
【０００８】
【発明の実施の形態】
図１は本発明の一実施例を示したもので、金属製の燃焼筒１の基端部にはブロアで加圧された燃焼用空気が供給され、燃焼筒１の中央に設けられたガスノズル２には都市ガスが供給されている。ガスノズル２の先端部近くの外周に歯車形の空気分割板３が取り付けられて、この空気分割板３によって燃焼用空気が８分割されて噴出するようになっており、ガスノズル２の先端には８個の主炎孔７が各歯の斜め前方に向けて形成されている。なお８は、保炎効果を増すために、歯車の各谷部の前方で空気分割板３と平行に少量の燃料ガスを噴出するように設けられた補助炎孔である。また空気分割板３の後面には、空気分割板３の歯車の谷部よりも大きい径を有する第一の円板４が密着して取り付けられており、更に第一の円板４の後面に、第一の円板４よりも大きく歯車の外径よりも小さい径を有する第二の円板５が密着して取り付けられている。
【０００９】
【実施例】
図２は本発明方式、図３は従来のバーナタイル方式の全体図を示したもので、図示の各部の寸法及び重量を下記に示した。
両者を比較すると、本発明により燃焼筒及び本体の外形寸法が著しく小型化された結果、重量を約１／５に低減することができた。
【００１０】
【発明の効果】
本発明によれば上述のように、従来ボイラ用に使用されていた金属製の分割火炎型低ＮＯｘバーナの耐熱性を向上して、これを高温炉に適用することにより、炉温が１０００℃以上の金属加熱炉用として、バーナタイルを使用しない小型軽量の低ＮＯｘバーナを実現し得るという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例を示すもので、（ａ）は縦断面図、（ｂ）は正面図。
【図２】同上の外形寸法図で、（ａ）は側面図、（ｂ）は正面図。
【図３】従来のバーナタイル型の外形寸法図で、（ａ）は側面図、（ｂ）は正面図。
【図４】同上の構造例を示すもので、（ａ）は縦断面図、（ｂ）は正面図。
【図５】従来の火炎分割型バーナを示すもので、（ａ）は縦断面図、（ｂ）は正面図。
【符号の説明】
１ 燃焼筒
２ ガスノズル
３ 空気分割板
４ 第一の円板
５ 第二の円板
６ 凹部
７ 主炎孔
８ 補助炎孔
９ 炉壁
１０ 二次空気供給路
１１ バーナタイル
１２ バーナ本体
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属加熱炉等の高温炉に使用する低ＮＯｘバーナに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
図４は従来より金属加熱炉に使用されている空気二段燃焼方式の低ＮＯｘバーナを示したもので、炉壁９の内側面に開口した燃焼筒１の中心部にガスノズル２を設け、この燃焼筒１の基端部に一次空気を供給すると共に、燃焼筒１の周囲に若干の距離をおいて二次空気供給路１０を配設して、一次空気と二次空気を併せて理論燃焼空気量としたものである。この構成によれば、燃焼筒から噴出する一次火炎は一次空気の供給量が理論燃焼空気量より少ないので燃焼温度が低く、また二次燃焼は二次空気が周囲の排ガスと混合したのちに一次火炎と接触して行われるので、燃焼が緩慢になって燃焼温度を低く保つことができ、それによってＮＯｘの発生を抑制するものである。また燃料ガスを二段に供給することによって緩慢な燃焼を行わせる燃料二段燃焼方式もある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような空気二段燃焼式あるいは燃料二段燃焼式は、二次空気供給路１０あるいは二次燃料供給路が燃焼筒１から若干距離をおいて設けられるので、炉温が１０００℃以上の高温炉の場合、キャスタブル耐火煉瓦等よりなるバーナタイル１１が大型になって、その重量がきわめて大きくなり、従って図３に示すように、バーナ本体１２も大型化するという問題があった。
【０００４】
図５は、従来よりボイラ加熱に使用されている分割火炎型の低ＮＯｘバーナの構造を示したもので、金属製燃焼筒１の中央にガスノズル２を設け、ガスノズル２の先端部近くの外周に歯車形の金属製空気分割板３を取り付けたものであり、火炎が細分化されているために、窒素ガスが高温に曝される時間を短くすることができ、低ＮＯｘ化が図られるものである。この方式はバーナタイルを使用しないので、軽量で安価ではあるが、これを金属加熱炉のような高温炉に使用しようとすると、金属製の燃焼筒１や空気分散板３が熱によって短期間に損耗してしまうという問題があった。
本発明は上述のような問題点に鑑み、金属製の分割火炎型バーナの耐熱性を向上することによって、安価で軽量な高温加熱炉用低ＮＯｘバーナを実現することを目的とするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明による工業用ガスバーナは、図１に示すように、金属製燃焼筒１の中央にガスノズル２を設け、ガスノズル２の先端部近くの外周に歯車形の空気分割板３を取り付けると共に、空気分割板３の後面に上記歯車の谷部よりも大きい径を有する第一の円板４を密着させ、更に第一の円板４の後面に、第一の円板４よりも大きく上記歯車の外径よりも小さい径を有する第二の円板５を密着させたものであって、この構成によって従来ボイラ用に使用されていた金属製の低ＮＯｘバーナの分割火炎方式を高温加熱炉にも適用できるようにし、軽量でしかも耐熱性を有する低ＮＯｘバーナを実現し得たものである。
【０００６】
【作用】
図５の分割火炎方式を高温（炉温１０００℃以上）の加熱炉に使用した場合、ガスノズル２から噴出する火炎の高温部が燃焼筒１及び空気分割板３に近いために、燃焼筒１や空気分割板３が過熱され、損耗が激しかったのであるが、本発明の構成によれば、図５の空気分割板３に比し歯車の谷部が深いことと、歯車の歯の部分と第二の円板５との間の凹部６による攪拌効果のために、火炎の根元部分が絞られ、図１（ａ）に示すようにその形状が細長くなって、火炎の高温部分がバーナトップから遠ざかるために、耐熱性を向上することができたものである。
【０００７】
図１の本発明構成を図５の火炎分割型と比較すると、まず空気分割板３の歯車の谷部が深くなっているが、単に谷部を深くするだけでは、空気の噴出速度が低下して火炎の分割に支障が生じる。また谷部を深くしてその幅を狭くすると、火炎の分割が悪くなる上に、火炎と空気との接触面積が増すために、ＮＯｘが増加してしまう。そこで本発明では、第二の円板５によって通過空気量を規定し、第一の円板４をスペーサとして空気分割板３と第二の円板５との間に乱流を発生させるための凹部６を形成して、深い谷部と乱流とによって火炎の根元部を絞り込み、細長い火炎を実現し得たものである。
【０００８】
【発明の実施の形態】
図１は本発明の一実施例を示したもので、金属製の燃焼筒１の基端部にはブロアで加圧された燃焼用空気が供給され、燃焼筒１の中央に設けられたガスノズル２には都市ガスが供給されている。ガスノズル２の先端部近くの外周に歯車形の空気分割板３が取り付けられて、この空気分割板３によって燃焼用空気が８分割されて噴出するようになっており、ガスノズル２の先端には８個の主炎孔７が各歯の斜め前方に向けて形成されている。なお８は、保炎効果を増すために、歯車の各谷部の前方で空気分割板３と平行に少量の燃料ガスを噴出するように設けられた補助炎孔である。また空気分割板３の後面には、空気分割板３の歯車の谷部よりも大きい径を有する第一の円板４が密着して取り付けられており、更に第一の円板４の後面に、第一の円板４よりも大きく歯車の外径よりも小さい径を有する第二の円板５が密着して取り付けられている。
【０００９】
【実施例】
図２は本発明方式、図３は従来のバーナタイル方式の全体図を示したもので、図示の各部の寸法及び重量を下記に示した。
【００１０】
【発明の効果】
本発明によれば上述のように、従来ボイラ用に使用されていた金属製の分割火炎型低ＮＯｘバーナの耐熱性を向上して、これを高温炉に適用することにより、炉温が１０００℃以上の金属加熱炉用として、バーナタイルを使用しない小型軽量の低ＮＯｘバーナを実現し得るという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例を示すもので、（ａ）は縦断面図、（ｂ）は正面図。
【図２】同上の外形寸法図で、（ａ）は側面図、（ｂ）は正面図。
【図３】従来のバーナタイル型の外形寸法図で、（ａ）は側面図、（ｂ）は正面図。
【図４】同上の構造例を示すもので、（ａ）は縦断面図、（ｂ）は正面図。
【図５】従来の火炎分割型バーナを示すもので、（ａ）は縦断面図、（ｂ）は正面図。
【符号の説明】
１ 燃焼筒
２ ガスノズル
３ 空気分割板
４ 第一の円板
５ 第二の円板
６ 凹部
７ 主炎孔
８ 補助炎孔
９ 炉壁
１０ 二次空気供給路
１１ バーナタイル
１２ バーナ本体
Claims (1)
- 金属製燃焼筒の中央にガスノズルを設け、ガスノズルの先端部近くの外周に歯車形の空気分割板を取り付けると共に、空気分割板の後面に上記歯車の谷部よりも大きい径を有する第一の円板を密着させ、更に第一の円板の後面に、第一の円板よりも大きく上記歯車の外径よりも小さい径を有する第二の円板を密着させて成る高温炉用低ＮＯｘバーナ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP29716496A JP3793296B2 (ja) | 1996-10-21 | 1996-10-21 | 高温炉用低ＮＯｘバーナ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP29716496A JP3793296B2 (ja) | 1996-10-21 | 1996-10-21 | 高温炉用低ＮＯｘバーナ |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10122521A JPH10122521A (ja) | 1998-05-15 |
| JP3793296B2 true JP3793296B2 (ja) | 2006-07-05 |
Family
ID=17843024
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP29716496A Expired - Lifetime JP3793296B2 (ja) | 1996-10-21 | 1996-10-21 | 高温炉用低ＮＯｘバーナ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3793296B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR101160290B1 (ko) * | 2008-12-23 | 2012-06-28 | 주식회사 경원테크 | 연료에 주기적인 유량변동을 주는 맥동 연소버너 |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2001116210A (ja) * | 1999-10-15 | 2001-04-27 | Tokyo Gas Co Ltd | 低ＮＯｘラジアントチューブバーナ |
-
1996
- 1996-10-21 JP JP29716496A patent/JP3793296B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR101160290B1 (ko) * | 2008-12-23 | 2012-06-28 | 주식회사 경원테크 | 연료에 주기적인 유량변동을 주는 맥동 연소버너 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH10122521A (ja) | 1998-05-15 |
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Legal Events
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