JP3792992B2 - 光学ローパスフィルタ及びそれを用いた光学機器 - Google Patents

光学ローパスフィルタ及びそれを用いた光学機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学ローパスフィルタ及びそれを用いた光学機器(撮影装置)に関し、例えばCCD等の固体撮影素子を使用する電子写真カメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ等に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
CCD、MOS等の2次元の固体撮像素子を使用するデジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置においては、被写体像を画素ピッチ毎にサンプリングするために、空間周波数の高い成分を持った被写体の撮影時には、高周波数成分の折り返し像が低周波数成分として出力される偽解像信号が発生し、被写体像の解像度を低下させる要因となっている。また、単板式のカラー固体撮像素子を使用する撮像装置においても同様に、空間周波数の高い成分を持った被写体の撮影時には、各画素の前方に配置されるカラーフィルターの配列によって決まる偽色信号が発生し、被写体像の色再現性を低下させる要因となっている。
【0003】
従来より撮影系の光路中に設けてこのような被写体像の高周波数成分による偽解像信号や偽色信号を低減させる手段として光学ローパスフィルタがあり、種々と提案されている。その中で最も代表的な光学ローパスフィルタとして、水晶の単結晶の平行平板より成る光学ローパスフィルタがある。一般に入射面の法線と結晶の光学軸(Z軸)を所定角度だけ傾けて配置すると、一軸性結晶である水晶の平行平板に入射した光線は、Z軸の方向に異方性を示し常光線と異常光線に分離して、分離した光線が平行に平行平板から射出する。このとき常光線と異常光線の分離巾は、平行平板の入射面の法線と結晶のZ軸のなす角及び平行平板の厚さによって決定される。
【0004】
このような水晶の光学作用を利用した光学ローパスフィルタが、例えば実公昭47−18688号公報、実公昭47−18689号公報、特開昭59−75222号公報、特開昭60−164719号公報等で提案されている。
【0005】
実公昭47−18688号公報、実公昭47−18689号公報では、カラーフィルタとしてストライプ状のフィルタを想定し、被写体の空間周波数がこのカラーフィルタと同期性を持ったときに発生する偽色信号を低減させるため、水晶等の複屈折性を有する平行平板によって光線を常光線と異常光線に分離して撮像面上に結像させる構成を開示している。特に実公昭47−18689号公報においては、水晶の単結晶をその光学軸(Z軸)が平行平板の入出射面に対して略45°の角度をなすように切り出して使用する構成を開示している。
【0006】
また、特開昭59−75222号公報、特開昭60−164719号公報においては、カラーフィルタとして例えば図4に示すようなベイヤー配列のフィルタを想定し、複数枚の複屈折板を組み合わせることによって光線を常光線と異常光線に分離して被写体像を所定ピッチだけずれた複数の像に分離させて結像させ、被写体の高周波数成分によって発生する偽解像信号や偽色信号の発生を効果的に低減させる構成を開示している。
【0007】
また、複屈折板として水晶以外の単結晶板を使用する例が、特開平9−211222号公報、特開平11−218612号公報等に開示されている。特開平9−211222号公報、特開平11−218612号公報では、複数枚の複屈折板を使用し、その中の少なくとも1枚にニオブ酸リチウムを用いた光学ローパスフィルタを提案している。ニオブ酸リチウムの単結晶は水晶の単結晶と同様に一軸性の結晶であるが、常光線の屈折率と異常光線の屈折率の差が水晶よりも大きいため、所定の光線の分離巾を得るために必要な複屈折板の厚さを薄くすることができるという特徴がある。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】
水晶の複屈折板を1枚または複数枚組合せて光学ローパスフィルタとして使用する従来例では、常光線と異常光線の屈折率差が小さいため、光線の分離巾を所定量確保するためには、複屈折板の厚さをある程度以上厚くする必要があった。
【0009】
一般に、一軸性結晶の平行平板をその入射面の法線と光学軸(Z軸)のなす角がθとなるように作成したとき、円偏光の光が垂直に入射する場合、平行平板中での常光線の進行方向と異常光線の進行方向のなす角φは、次式によって表わされる。
【0010】
tanφ=(no 2−ne 2)sinθcosθ/(ne 2cos2θ+n。2sin2θ))・・(a)
a式は、複屈折板の単位厚さあたりの常光線と異常光線の分離巾を表わしており、θ=45°のときこの値は最大となる。
【0011】
水晶の単結晶では、D線に対して、常光線の屈折率no=1.544、異常光線の屈折率ne=1.533、とすれば、θ=45°のときtanφ≒−0.0058となる。したがって、例えば固体撮像素子の長辺方向の画素ピッチPhが10μmであったとして、この方向に発生する偽解像信号を除去するために水晶の複屈折板によって異常光線をこの方向に10μmずらすように構成するとき、水晶の複屈折板の厚さdは、少なくとも約1.7mmとすることが必要となる。このように、常光線と異常光線の屈折率の差が小さい水晶を複屈折板として用いると光学ローパスフィルタが厚くなり、スペース上の問題が発生する。
【0012】
更に、撮影光学系の光路中に平行平板が存在する場合には、スペース的な問題の他にも以下に説明するような問題も含んでいる。
【0013】
理想レンズによって結像され平行平板を通過する光線は、平行平板への入射角αに応じて周知のスネルの屈折則に従った屈折角で屈折して入射光線と平行に射出する。理想レンズの予定焦点面は、平行平板中の光路長をsinα≒αの近似を使用する近軸理論によって決定され、平行平板の板厚dと屈折率Nを用いて表わされる空気換算光路長d/Nによって置換した分だけ光軸方向にずらした位置に設定される。しかしながら、平行平板へ入射する光線の入射角が大きくなってsin α≒αとする近似が実状と合わなくなると、理想レンズから射出する光線は予定結像面上では結像しなくなる。具体的には、光軸上では球面収差がオーバーとなり、軸外ではサジタル像面に対してメリディオナル像面がよりオーバーとなる非点収差が発生する。
【0014】
図9はこのような現象を説明するための説明図であり、理想像面から50mm離れた位置にF2.0の射出瞳を持つ理想レンズを配置し、理想像面との間に光軸と垂直な入出射面を持った厚さ5mmの平行平板より成る水晶の複屈折板を配置した場合の複屈折板で発生する光線収差を示した図である。図9(a)において、41は焦点距離50mmの理想レンズ、42は厚さ5mmの水晶の複屈折板、43は近軸計算上の予定焦点面である。また、44は像高0mmの像面近傍、45は像高20mmの像面近傍を表わしている。
【0015】
理想レンズ41によって結像され平行平板42を通過した光線は、図9(a)に示されるように予定焦点面43の近傍に結像するべく進行する。しかしながらその像面近傍44及び45を拡大すると、それぞれ図9(b)及び図9(c)に示されるようになる。すなわち像高0mmにおける最良像面位置は46、像高20mmにおける最良像面位置は47に示される位置となって、画面中央では球面収差がオーバーとなり、また画面周辺では特にメリディオナル像面でオーバーとなる非点収差が発生する。
【0016】
このように、撮影光学系とその予定焦点面の間に平行平板を挿入すると、上述したような光線収差が発生するという性質がある。そこで、水晶の複屈折板等の平行平板を配置することを前提とした撮影光学系では、この平行平板で発生する収差を加味した上で撮影光学系を設計することが一般に行われている。しかしながら、撮影光学系として種々の交換レンズ、特に銀塩カメラ用に完備された交換レンズシステムを撮影光学系として活用できるように、撮影光学系を交換可能に構成した撮像装置(例えば一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラ等)においては、もちろんこのような対応はできない。
【0017】
ところで、水晶と同様の一軸性結晶であるニオブ酸リチウムの単結晶において、d線に対する常光線の屈折率n。=2.300、異常光線の屈折率ne=2.215とすれば、θ=45°のときtanφ≒0.0376となる。
【0018】
ここで、水晶の場合と同様、固体撮像素子の長辺方向の画素ピッチPhが10μmであるとして、この方向に発生する偽解像信号を除去するためにニオブ酸リチウムの複屈折板によって異常光線をこの方向に10μmずらすように構成することを想定すると、ニオブ酸リチウム単結晶はtanφ≒0.0376であるから、複屈折板の厚さdは約0.27mmで良いことが分かる。前述の水晶の単結晶を用いた場合と比較すれば、複屈折板の厚さを約0.16倍に薄くすることができ、ニオブ酸リチウムの複屈折板を光学ローパスフィルタとして撮像系に適用すれば、スペース上の問題を解決してより小型の撮像系を実現すると共に、平行平板によって発生する光線収差の問題を低減させることも可能となる。
【0019】
前述の特開平9−211222号公報、特開平11−218612号公報は、ニオブ酸リチウムの単結晶のこのような性質に着目したものである。
【0020】
ここで、画素ピッチ10μ、アスペクト比が2:3で、250万画素程度の有効画素数を持った2次元固体撮像素子を用いる撮像装置を想定すると、水平方向の画素数は1950画素程度、垂直方向の画素数は1300画素程度となり、固体撮像素子の有効画素の占める大きさは、水平方向で19.5mm程度、垂直方向で13.0mm程度となる。このような固体撮像素子の前方(被写体側)に平行平板より成る光学ローパスフィルタを比較的近接させて配置することを考えると、平行平板の大きさは、固体撮像素子に入射する光線の立体角を考慮した光線有効領域とこの平行平板そのものの保持のための領域を加算して、少なくとも水平方向に21.0mm程度、垂直方向に14.5mm程度とすることが必要となる。
【0021】
一方、水平方向に画素ピッチ10μだけ異常光線を分離させたい場合に、ニオブ酸リチウムの単結晶の光学軸(Z軸)と平行平板の入射面の法線のなす角θが45°となるように構成すると、前述したように平行平板の厚さは約0.27mmとなる。また、実公昭47−18688号公報に開示されるように、画素ピッチの1/2の周波数成分による偽信号の影響を除去することを考慮して画面の水平線に対して約45°の角度をなす方向に異常光線を分離させる平行平板を併用しようとすると、この平行平板の厚さは約0.19mmとなる。このような平行平板の厚さは、上述の外形寸法で決定される対角長と比較すると、およそ1%程度かそれ以下となって機械強度が不足してくるために非常に割れやすくなる。
【0022】
前述の特開平9−211222号公報、特開平11−218612号公報では、ニオブ酸リチウムと水晶を接合した光学ローパスフィルタの構成を提案している。これらの従来例は、全てを水晶で構成した光学ローパスフィルタに比べて薄くすることが可能であるが、上述のスペース上の問題と撮影光学系の光学性能上の問題の解決には、未だ不十分であった。
【0023】
本発明は、固体撮像素子の周期的なサンプリングに基づく偽の信号の発生を低減するために好適な光学ローパスフィルタ及びそれを用いた光学機器を提案することを目的とするものであり、特に、銀塩フィルムを使用する一眼レフレックスカメラに装着するものとして用意された種々の交換レンズを有効に活用できる一眼レフレックスタイプのデジタルカメラを構成する際に好適なものである。
【0024】
本発明の目的の1つは一眼レフレックスタイプのデジタルカメラの本体内に具備できるように十分に薄い構成とすること、そして、交換レンズの持つ解像力を必要以上に低下させることのないこと、また、撮影系中に用いたときゴーストやフレアーの原因とならない光学ローパスフィルタを得ることにある。
【0025】
銀塩フィルムを使用する一眼レフレックスカメラの交換レンズは、最も像側のレンズ面から焦点面までの距離(バックフォーカス)を十分に長く維持し、パララックスのないTTLファインダーを実現するための回動ミラーのためのスペースやフオーカルプレーンシャッターのためのスペースを確保するべく設計されている。
【0026】
銀塩フィルムの代わりに固体撮像素子を使用する一眼レフタイプのデジタルカメラを実現するためには銀塩フィルムの位置と透過な位置に固体撮像素子の撮像面を配置すれば良いのであるが、前述の第1の従来例に開示されるように水晶の複屈折板を複数枚使用する光学ローパスフィルタをカメラ内に配置しようとすると、回動ミラーやフオーカルプレーンシャッターと干渉してしまうという問題が発生する。
【0027】
一方、銀塩フィルムを使用する一眼レフレックスカメラの交換レンズでは、最も像側のレンズ面から焦点面までの間には、反射する部材が存在することは想定されていないのが一般的である。即ち、撮影光学系とその焦点面の間に可視波長域に対して所定以上の反射率を持った光学部材が配置されると面反射ゴーストやフレアースポットといった被写体像のコントラストを低下させる有害光の発生原因となり易いという問題がある。そこで光学ローパスフィルタの可視波長域の反射率は十分に低いものとすることが必要となる。
【0028】
本発明の他の目的は、これらの緒問題を克服して、主として銀塩カメラ用に用意された交換レンズを使用する一眼レフデジタルカメラに具備するのに好適となる光学ローパスフィルタを実現することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の光学ローパスフィルタは複数枚の複屈折板を接合して平行平板状に構成した光学ローパスフィルタであって、複数枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板を有し、該複数枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板の光学軸は、互いに異なる方向を向くように組み合わされると共に、前記ニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板の光学軸と前記平行平板の入射面、あるいは射出面の法線とのなす角をθoとするとき、少なくとも1枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板においては、
10°<θo<27°
61°<θo<80°
のいずれかの条件式を満足することを特徴としている。
【0030】
請求項2の発明は請求項1の発明において前記複数枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板のうち少なくとも2つはそれらの光学軸の平行平板の入射面又は射光面への正射影が互いに45度の角度をなすように設定されていることを特徴としている。
【0031】
請求項3の発明は請求項1又は2の発明において接合した前記複数枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板の表面に、接着剤と複屈折板の界面における可視波長域の光線の反射防止作用を有する誘電体薄膜を付加したことを特徴としている。
【0032】
請求項4の発明は請求項1〜3のいずれか1項の発明において前記光学ローパスフィルタは、3枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板を接合して平行平板状に構成した光学ローパスフィルタであり、該3枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板は、その光学軸の該平行平板の入射面、あるいは射出面への正射影が、互いに45度の角度をなすように設定されていることを特徴としている。
【0033】
請求項5の発明は請求項1〜3のいずれか1項の発明において前記3枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板を出入射側より順に第1、第2、第3の複屈折板とし、該第1の複屈折板、第2の複屈折板、第3の複屈折板の各々の射出面における常光線と異常光線の分離幅を各々D1,D2,D3とするとき、
D1≒D3>D2
の条件式を満足することを特徴としている。
【0034】
請求項6の発明の光学機器は請求項1〜5のいずれか1項の光学ローパスフィルタと、該光学ローパスフィルタを介した光が入射する固体撮影素子とを有することを特徴としている。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明の光学ローパスフィルタは、撮影光学系1と撮像素子3との間の光路中に配置され、複数枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板を該複屈折板の光学軸が互いに異なる方向を向くように組み合わせて接合して平行平板状に構成している。
【0043】
本発明ではこのように、光学ローパスフィルタの被写体像の所定方向への分離作用を持つ複屈折板の各々をすべてニオブ酸リチウムの単結晶より構成することによって、加工可能な範囲内で十分に薄い平行平板とし、一眼レフデジタルカメラの本体内に具備することを可能とし、かつ銀塩カメラ用に用意された交換レンズの光学性能を損ねることなく使用可能としている。
【0044】
また、本発明の光学ローパスフィルタはさらに、撮影素子を有した光学機器に適用したときは前記複数枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板の光学軸の前記平行平板の入射面、あるいは射出面への正射影は互いに略45°の角度をなすように構成され、そのうちの少なくとも1つの正射影は撮像素子の長辺方向と略45°の角度をなすように構成している。
【0045】
CCD等の固体撮像素子は、個々の画素が、水平方向、及び垂直方向に2次元に規則的配列されているのが一般的となっており、そのためにサンプリングに伴なって発生する偽の信号はこの配列方向に顕著に現れる。同時に個々の画素の水平方向のピッチと垂直方向のピッチが略等しい場合には、この2方向に対して略45°の角度をなす方向にも明らかな画素の周期性が見られ、この方向に対しても所定の周波数の解像力を低下させることが必要となる。
【0046】
もちろん個々の画素の水平、及び垂直方向のピッチが大きく異なる特殊な場合には斜め方向の周期性の発生する角度は異なるものとなる。そこで一般的な固体撮像素子を使用する際に撮影画面内の各方向に周期性を持った被写体が存在するときに発生する偽の信号を効率的に低減させるために、光学ローパスフィルタの構成を上記のようにしている。
【0047】
また、このような構成とすると、1枚の複屈折板によって分離される常光線と異常光線の強度の比が1:1となり、複屈折板を複数枚重ねて使用するときの光学ローパスフィルタとしての効果が全画面で均一となり好ましいものを実現し易くなる。
【0048】
そしてこのような一般的な固体撮像素子を使用することを想定し、本発明の光学ローパスフィルターは、3枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板を接合して平行平板状に構成している。そして光学機器に適用したときは、撮影光学系と撮像素子の間の光路中に配置され、前記ニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板は、その光学軸の前記平行平板の入射面、あるいは射出面への正射影が、前記撮像素子の長辺方向と略45°の角度をなす第1の複屈折板と、該第1の複屈折板の正射影と略45°の角度をなす第2の複屈折板と、前記第1の複屈折板の正射影と略90°の角度をなす第3の複屈折板とをこの順に組み合わせて構成している。
【0049】
また、本発明では、前記第1の複屈折板、第2の複屈折板、第3の複屈折板の各々の射出面における常光線と異常光線の分離幅を各々D1、D2、D3とするとき、以下の条件式(1)を満足するように構成して薄型の光学ローパスフィルタを実現し、信号処理上のローパスフィルタと併せて偽の信号を低減させる撮像装置を構成している。
【0050】
D1≒ D3 > D2・・・・・・(1)
条件式(1)は、撮像素子の長辺方向に対して45°をなす2つの方向の被写体像の分離幅を略等しくしつつ、(±20%の範囲内)長辺方向の分離幅に対して大きく設定する構成を開示する条件式である。前述したように、図4に示されるような一般的なカラーフィルタの配列を持った単板式の固体撮像素子においては、撮像素子の長辺方向、及び短辺方向では、その画素ピッチに相当する空間周波数において顕著な偽の輝度信号、及び色信号が発生し、斜め方向では、その画素ピッチの
【0051】
【数1】
Figure 0003792992
【0052】
に相当する空間周波数において顕著な偽の色信号が発生する。
【0053】
条件式(1)を満足する構成の光学ローパスフィルタでは、これらの偽の信号のうち、斜め方向に発生する偽の色信号を低減させるべく構成するものであって、撮像素子の水平方向、及び垂直方向の特定の空間周波数において発生する偽の色信号については信号処理上のローパスフィルタによって低減することを想定したものである。この際、撮像素子の長辺方向、及び短辺方向の特定の空間周波数において発生する偽の輝度信号については低減することはやや困難となるものの、撮影光学系の解像力性能を十分に引き出した被写体像の撮影が可能となる。このとき、撮像素子の長辺方向に常光線と異常光線を分離させる第2の複屈折板は、実質的にはこの複屈折板から射出する光線の位相を回転させる位相板として作用するものであって、第3の複屈折板による常光線と異常光線の分離を実現させるものとして作用する。
【0054】
なお、このとき、第1の複屈折板、及び第3の複屈折板による常光線と異常光線の分離幅D1、及びD3は、画素ピッチをPとするとき、
【0055】
【数2】
Figure 0003792992
【0056】
とすることが望ましく、第2の複屈折板による常光線と異常光線の分離幅D2は
D2≦P/2
とすることが望ましい。尚ここで略等しいとは±20%以内のことを意味する。
【0057】
ただし、現実には分離幅D1、及びD3は撮影画像の解像力の低下と偽信号の低減効果の相対比較から上記の
【0058】
【数3】
Figure 0003792992
【0059】
よりやや少なくするのが一般的であり、またD2は機械加工の難易度等を考えて設定すべきと考えられる。
【0060】
また前記複数枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板を互いに接合する際、該複屈折板の表面には、接着剤と複屈折板の界面における可視波長域の光線の反射防止作用を有する誘電体薄膜を付加すると、ゴーストやフレアーの発生を低減させるという点で良好な実施形態を実現することができる。
【0061】
ニオブ酸リチウム単結晶の常光線のd線に対する屈折率は、n。=2.300程度と水晶や光学ガラスと比べて高くなっており、そのために界面における反射率も高い傾向にある。例えば、屈折率1.6程度の光学ガラスでは空気との界面の反射率は約5.3%であり、また屈折率が1.5程度の接着剤との界面の反射率は約1.0%となる。これに対してニオブ酸リチウム単結晶では、空気との界面の反射率は約15.5%、屈折率が1.5程度の接着剤との界面の反射率は約4.4%となる。
【0062】
このようにニオブ酸リチウム単結晶では可視波長域の光線の反射率が高いため、誘電体薄膜等による反射防止膜を付加せずに光路中に配置すると、ゴーストやフレアーを発生させて撮影画像のコントラストを低下させることになるので、少なくともその空気との界面に反射防止のための処理をすることが良い。
【0063】
さらにニオブ酸リチウム単結晶同士を接合する場合にも、接着剤の屈折率をニオブ酸リチウム単結晶と同程度とすれば、接着剤との界面での反射率を低くすることができるわけだが、このように高い屈折率で透明な良好な接着剤は存在しないのが実状である。
【0064】
そこでニオブ酸リチウム単結晶を使用する光学ローパスフィルタにおいては、その良好な実施形態としては、複数の複屈折板を接合する際に接着剤との界面に反射防止膜を付加することが良い。この場合の反射防止膜は、ニオブ酸リチウム単結晶の屈折率と接着剤の屈折率の中間的な屈折率を持った誘電体をその光学的膜厚が可視の中心波長の1/4とすれば良いし、また適切な屈折率の誘電体薄膜材料がない場合には、個々の光学的膜厚を適切に設定した多層の反射防止膜を付加することが良い。
【0065】
又、本発明の光学ローパスフィルタでは前記複数枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板の光学軸と前記平行平板の入射面、あるいは射出面の法線とのなす角をθoとするとき、少なくとも1枚の複屈折板においては、
10°<θo<27°・・・・・・(2)
61°<θo<80°・・・・・・(3)
のいずれかの条件式を満足することが良い。
【0066】
これによれば、
また本発明の光学ローパスフィルタではさらに、前記第2の複屈折板の光学軸と前記平行平板の入射面、あるいは射出面の法線とのなす角をθ2とするとき、以下のいずれかの条件式(4)、(5)を満足するように構成するのが良い。
【0067】
10°<θ2<27°・・・・・・(4)
61°<θ2<80°・・・・・・(5)
条件式(2)、(3)及び条件式(4)、(5)は、ニオブ酸リチウムの複屈折板が薄く製造し難いものとならないようにするための構成の特徴を数値化したものであり、一軸性単結晶のZ軸と複屈折板の入射面、あるいは射出面の法線とのなす角θ0、又はθ2の適切な設定範囲を表わす式である。条件式(2)、(4)、または(3)、(5)で特定される範囲は、複屈折板の単位厚さあたりの常光線と異常光線の分離巾を表わす前述の式(a)の関係を示した図8斜線部で表される領域であり、条件式(2)、(4)または(3)、(5)を満足するような角度に設定すると、θ0又はθ2=45°に設定したときと比べて複屈折板を1.2倍から3倍厚くすることができる。
【0068】
条件式(2)、(4)の上限値を超えるか、あるいは条件式(3)、(5)の下限値を超えてθ2の値が45°に近づくと、θ0又は、θ2=45°に設定したものとの実質的な差が小さくなり、複屈折板が薄くなって機械強度が不足してしまう。逆に、条件式(2)、(4)の下限値を超えてθ0、θ2の値が0°に近づくか、あるいは条件式(3)、(5)の上限値を超えてθ0又は、θ2の値が180°に近づくと、単結晶のZ軸と平行平板の入射面の法線とのなす角の変化に対する光線の分離巾の変化が大きくなって、所望の分離巾を得ることのできる複屈折板としての平行平板の安定的な加工が困難となる。尚、図8はニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板の厚さに対する常光線と異常光線の分離幅の関係を示している。
【0069】
本発明の条件式(2)、(4)、または(3)、(5)で規定する範囲は、図8の斜線部の範囲であって、これらの条件式を満足するように構成したとき、複屈折板の入出射面の法線と単結晶の光学軸のなす角を45°とした場合と比べて複屈折板の厚さを十分に厚く設定できるようになる。
【0070】
θ0又は、θ2の値が条件式(2)、(4)、または(3)、(5)で規定した範囲を満足する角度になるよう、ニオブ酸リチウムで平行平板を形成したときには、例えばθ2=70°となるように設定したときには、この平行平板による常光線と異常光線の分離巾は、平行平板1mmあたり0.0235mmとなる。したがって、10μmの分離巾を得るために必要な平行平板の厚さは約0.43mmとなる。これはθ2=45°の場合と比較して約1.6倍厚くなることになり、機械強度上、そして機械加工上の問題点を解決することが可能となる。またθ2=45°の水晶を用いた場合と比較しても、平行平板の厚さは約0.25倍で十分に薄くなっているので、光学ローパスフィルタを光路中に挿入したことによる光学性能への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0071】
第2の複屈折板は上述したように条件式(1)を満足するように、第1の複屈折板、及び第3の複屈折板に対してその分離幅を小さくし、実質的に位相板として作用するものであるため、製造可能な厚さであって、偏光方向を変換する作用をもつものであれば良い。
【0072】
また本発明の光学ローパスフィルタは、ニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板を複数枚接合して構成するものだが、複屈折板の各々のZ軸の入射面への正射影が互いに異なる方向に向くように接合すると次のような強度上の効果もある。
【0073】
ニオブ酸リチウム等の単結晶より成る平行平板は、その単結晶の性質から所定方向にへき開を起こしやすいという欠点がある。そこで本発明のように単結晶のZ軸の入射面への正射影が互いに異なる方向に向くように複数枚の複屈折板を接合すれば、割れ難くなり取り扱いが容易となる。
【0074】
このように、CCM、MOS等の2次元の固体撮像素子を使用する撮像装置において、被写体像の高周波数成分による偽解像信号や偽色信号を低減させる目的で撮像光学系と固体撮像素子の間に配置する光学ローパスフィルタを、適切な厚さを持ったニオブ酸リチウムの単結晶の複屈折板を互いに接合して構成することによって好適な光学ローパスフィルタを実現し、特に、銀塩カメラ用の交換レンズシステムをそのまま良好に利用することのできる一眼レフレックス方式のデジタルスチルカメラを実現している。
【0075】
次に本発明の光学ローパスフィルタを適用した撮影装置の具体的な実施形態について説明する。
図1は本発明の光学ローパスフィルタを有した光学機器の実施形態第1の要部概略図である。
【0076】
本実施形態は光学ローパスフィルタを一眼レフレックス方式のデジタルスチルカメラに搭載した例を示している。図1において、1は交換可能に構成された撮影レンズ(撮影光学系)であり、銀塩カメラ用の交換レンズも利用できるようマウントが共通化されている。2はニオブ酸リチウムの単結晶の複屈折板を複数、本実施形態では3枚(図示21、22、23)接合した平行平板より構成した光学ローパスフィルタ、3は固体撮像素子を示している。本実施形態のカメラでは、光学ローパスフィルタ2を固体撮像素子3の光入射側の直前に配置し、3枚の複屈折板21、22、23の作用により被写体像を8つの像に分離して撮像している。
【0077】
図2は図1に示した光学ローパスフィルタ2を構成するニオブ酸リチウムの単結晶の3つの複屈折板21、22、23の説明図である。本実施形態の光学ローパスフィルタ2は、ニオブ酸リチウムの単結晶の複屈折板21、22、23を3枚貼り合わせて構成している。図2(a)は、光学ローパスフィルタ
2を撮影レンズ1の光軸方向から見た図であって、Z1a、Z2a、Z3aは、それぞれ複屈折板21、22、23の光学軸(Z軸)の平行平板の入射面又は出射面への正射影を表わしている。
【0078】
図2(a)に示されるように、本実施形態では複屈折板21のZ軸の正射影z1aは光学ローパスフィルタ2の長辺と角度φ1をなす方向を向いており、複屈折板22のZ軸の正射影z2aは光学ローパスフィルタ2の長辺の方向を向いており(長辺に平行)、複屈折板23のZ軸の正射影Z3aは光学ローパスフィルタ2の長辺と角度φ3をなす方向を向いている。なお本実施例では、φ1=+45°、φ3=−45°としている。
【0079】
光学ローパスフィルタ2の大きさは、撮像素子3の有効画素領域の大きさに加えて、撮影レンズ1から入射する光線の立体角と光学ローパスフィルタ2そのものの保持を考慮して決定されるが、本実施形態では、撮像素子3の有効画素領域より一回り大きくなっている。なお当然ではあるが、光学ローパスフィルタ2の長辺の方向は、撮像素子の長辺方向とほぼ一致するように配置されている。
【0080】
本実施形態の光学ローパスフィルタ2を、図2(a)のA視方向から見た図を図2(b)に、その一部拡大図を図2(c)に示す。図2(b)及び図2(c)においてz1は複屈折板21のZ軸を表わしており、図2(c)に示されるように、複屈折板21のZ軸z1と光学ローパスフィルタ2の入出射面の法線PLは、角度θ1をなすように構成されている。
【0081】
本実施形態ではθ1=45°としている。また本実施形態の光学ローパスフィルタ2を図2(a)のB視方向から見た図を図2(d)に、その一部拡大図を図2(e)に示す。図2(d)及び図2(e)においてz2は複屈折板22のZ軸を表わしており、図2(e)に示されるように、複屈折板22のZ軸z2と光学ローパスフィルタ2の入出射面の法線PLは角度θ2をなすように構成されている。本実施形態ではθ2=65°としている。
【0082】
また本実施形態の光学ローパスフィルタ2を図2(a)のC視方向から見た図を図2(f)に、その一部拡大図を図2(g)に示す。図2(f)及び図2(g)においてz3は複屈折板23のZ軸を表わしており、図2(g)に示されるように、複屈折板23のZ軸z3と光学ローパスフィルタ2の入出射面の法線PLは角度θ3をなすように構成されている。本実施形態ではθ3=45°としている。更に複屈折板21、22、23のそれぞれの厚さd1、d2、d3については、複屈折板21はd1=0.19、複屈折板22はd2=0・19、複屈折板23はd3=0.19とし、加工可能な範囲で十分に薄いものとしている。
【0083】
本実施形態では複屈折板21、22、及び23をこのように構成することによつて、常光線に対して異常光線を各々水平に対して上斜め45°方向に約7.2μm、水平方向(長辺方向)に約5.4μm、及び水平に対して下斜め45°方向に約7.2μmずらして結像させ、合計で被写体像を8つに分離させている。第3図にこの被写体像の分離状況を示す。
【0084】
図3では入射光束Lを第1複屈折板21で光束L1と光束L11に分離している。第2複屈折板22で、光束L1を光束L1と光束L12、光束L11を
光束L11と光束L112に分離している。
【0085】
第3複屈折板23で光束L1を光束L1と光束L13、光束L2を光束L12と光束L123、光束L11を光束L11と光束L113、光束L112を
光束L112と光束L1123に移動している。
【0086】
これによって全体として1つの光束Lを8つの光束に分離している。
【0087】
ところで、本実施形態で用いる撮像素子3は10μm四方の正方形を1画素とし、2次元に複数配列した形状の固体撮像素子であり、各画素の前方に前出の図4に示すような繰り返しパターンよりなるカラーフィルタの配列を備え、水平方向に1950画素、垂直方向に1300画素を使用するようにしている。これにより、有効画素数250万画素余りの2次元のカラー固体撮像素子を構成している。図4において、Gは緑色光、Bは青色光、Rは赤色光をそれぞれ透過させるカラーフィルタである。
【0088】
図4に示されるようなカラーフィルタを具備した正方形の画素を2次元に設けた固体撮像素子では、Pを画素のサンプリングピッチnを整数としたとき、画素の配列方向、即ち水平方向、及び垂直方向について、空間周波数n/pの被写体像においてモアレが発生し、空間周波数(2n−1)/2pの被写体像において偽色信号が発生することが周知となっている。また斜め45°方向についても画素の周期性があるため、空間周波数
【0089】
【数4】
Figure 0003792992
【0090】
の被写体像において偽色信号が発生することが周知となっている。そのためこれらの空間周波数におけるMTF値を低く抑制するような何らかのローパスフィルタが必要となっている。
【0091】
本実施形態の光学ローパスフィルタは、図4に示されるようなカラーフィルターの配列と、画素のサンプリングピッチpに基づいて発生する偽解像信号や偽色信号を効率的に低減させるため、図3に示すように第1の複屈折板21によって水平方向に対して上斜め45°方向に異常光線を略
【0092】
【数5】
Figure 0003792992
【0093】
だけ分離させ、第2の複屈折板22によって水平方向に異常光線をp/2程度分離させ、さらに第3の複屈折板23によって水平方向に対して下斜め45°方向に異常光線を略
【0094】
【数6】
Figure 0003792992
【0095】
だけ分離させるように構成し、全体として被写体像を8つに分離させている。本実施形態においては、画素ピッチ10μmの撮像素子を想定しているため、第1の複屈折板21は水平方向に対して上斜め45°方向に約7.2μm、即ちこの方向の画素ピッチ
【0096】
【数7】
Figure 0003792992
【0097】
の略半分の距離の像の分離を行なうことによって主として前述の偽色信号を低減させ、第2複屈折板22は水平方向に約5.2μm、即ち画素ピッチ10μmの半分程度の距離の像の分離を行ないつつ、各々の点像の位相を回転させるように作用し、第3複屈折板23は水平方向に対して下斜め45°方向に約7.2μm、即ちこの方向の画素ピッチ
【0098】
【数8】
Figure 0003792992
【0099】
の略半分の距離の像の分離を行なうことによって主として前述の偽色信号を低減させている。
【0100】
本実施形態の光学ローパスフィルタでは、このように複屈折板21、22、23の3枚の複屈折板を用いることによって、画素ピッチpによって決定され、撮影画面の水平方向に対して略45°の角度を持って配列された高周波数成分を持った被写体の撮影時に発生する偽色信号を低減させるべく、空間周波数
【0101】
【数9】
Figure 0003792992
【0102】
以上の高い空間周波数のMTF値を低く抑制するように構成している。なお、偽色信号は画素の配列方向、即ち水平方向と垂直方向に画素ピッチpによって決定される空間周波数1/pにおいてマゼンタ色の偽信号を発生させるが、これらの方向に発生する偽色信号を光学ローパスフィルタによって除去しようとすると、高周波数成分のコントラストを低下させることが不可避となって撮影画像の解像力不足をいった弊害が露呈してくるため、本実施形態ではこれらの方向に発生する偽色信号については、撮影画像の色情報と空間周波数情報を用いて信号処理上のローパスフィルタを付加して偽信号のMTF値のみが低くなるように処理することとしている。
【0103】
本実施形態の光学ローパスフィルタの空間周波数特性を図5に示す。図5(a)は水平方向(撮像素子の長辺方向)、図5(b)は垂直方向(撮像素子の短辺方向)、図5(c)は斜め45°方向を表わしている。
【0104】
また本実施形態の光学ローパスフィルタでは、ローパスフィルタとしてだけではなく、固体撮像素子の分光感度を視感度と略々一致させるべく誘電体薄膜を付加して赤外カットフィルタとしての機能も併用している。
【0105】
また、上述のようにニオブ酸リチウムではその常光線に対する屈折率が高いため、ニオブ酸リチウムの表面における反射率は、空気との界面ばかりでなく、一般的に用いられる接着剤との界面においてもかなり高いものとなっている。そこで、本実施形態においては、各複屈折板21、22、23を互いに接合する際、各々の複屈折板の接着面側に接着剤との界面における可視波長域の反射率を低減させるべく、誘電体薄膜を付加した構成としている。
【0106】
図6(a)に本実施形態の光学ローパスフィルタ全体の分光透過率特性を示す。このような分光透過率特性とするべく、本実施例の光学ローパスフィルタにおいては、各々の複屈折板と接着剤との界面に接着後の分光反射率特性が図6(b)に示されるような誘電体薄膜による反射防止コーティングを付加している。
【0107】
本実施形態の反射防止コーティングは、光学的膜厚の薄い2層の誘電体を使用して図6(b)のような特性を実現しているが、接着剤の屈折率と誘電体薄膜材料の屈折率を適切に選択すれば、もちろん光学的膜厚が反射防止の中心波長の1/4となる通常の単層膜とすることもできる。
【0108】
なお、ここでは接着剤は、屈折率が1.56程度のUV硬化型の接着剤を想定している。図6(c)に接着剤との界面に反射防止コーティングを付加しない場合のこの界面の接着後の分光反射率特性を示す。
【0109】
図6(c)に示されるように可視波長域においてニオブ酸リチウムの複屈折板の接着面の1面あたりにつき4%程度の光が反射するような構成では、接着面が4面ある本実施形態の光学ローパスフィルタでは、図6(a)に示されるように可視波長域の透過率が90%以上程度となる分光透過率特性を得ることはできない。
【0110】
以上説明したように本実施形態によれば、厚さが0.19mmという加工可能な範囲内で十分に薄い3枚の複屈折板をその光学軸が互いに異なる方位を向くように接合するとともに接合面を含む各界面に誘電体薄膜を付加することによって、撮影画像に悪影響を及ぼす偽信号を効果的に低減しつつ、視感度補正の機能を兼ね備え、かつゴーストやフレアーの原因となる有害な光線の発生を低減することができ、主として銀塩カメラ用に用意された交換レンズを使用する一眼レフデジタルカメラに具備するのに好適となる光学ローパスフィルタを実現している。
【0111】
図7は本発明の光学ローパスフィルタ4の実施形態への要部概略図である。
【0112】
本発明の光学ローパスフィルタ2は実施形態1と同様、3枚のニオブ酸リチウムの単結晶の複屈折板121、122、123より成っている。本実施形態の光学ローパスフィルタ2は、図122に示した撮像系と同様に撮影レンズ1と固体撮像素子3の間の光路中に配置して使用され、実施形態の光学ローパスフィルタ2と機能的には等価なものである。実施形態1の光学ローパスフィルタ2と異なる点を中心に以下に説明する。
【0113】
図7(a)は、光学ローパスフィルタ2を撮影レンズ1の光軸方向から見た図であって、z1a、z2a、z3aは、それぞれ複屈折板21、22、23の光学軸(Z軸)の正射影を表わしている。図7(a)に示されるように、本実施形態では複屈折板21のZ軸の平行平板の入射面又は出射面への正射影z1aは光学ローパスフィルタ2の長辺と角度φ1をなす方向を向いており、複屈折板22のZ軸の正射影z2aは光学ローパスフィルタ2の長辺の方向を向いており(長辺に平行)、複屈折板23のZ軸の正射影z3aは光学ローパスフィルタ2の長辺と角度φ3をなす方向を向いている。なお本実施形態では、φ1=+45°、φ3=−45°としている。
【0114】
本実施形態の光学ローパスフィルタ2の大きさは、実施形態1の光学ローパスフィルタ2と同様に、撮像素子3の有効画素領域より一回り大きく構成されている。なお、やはり光学ローパスフィルタ2の長辺の方向は、撮像素子3の長辺方向とほぼ一致するように構成されている。
【0115】
本実施例の光学ローパスフィルタ2を、図7(a)のA視方向から見た図を図7(b)に、その一部拡大図を図7(c)に示す。図7(b)及び図7(c)においてz1は複屈折板21のZ軸を表わしており、図7(c)に示されるように、複屈折板21のZ軸zlと光学ローパスフィルタ2の入出射面の法線は角度θ1をなすように構成されている。また本実施形態の光学ローパスフィルタ2を図7(a)のB視方向から見た図を図7(d)に、その一部拡大図を図7(e)に示す。図7(d)及び図7(e)においてz2は複屈折板22のZ軸を表わしており、図7(e)に示されるように、複屈折板22のZ軸z2と光学ローパスフィルタ2の入出射面の法線は角度θ2をなすように構成されている。また本実施形態の光学ローパスフィルタ2を図7(a)のC視方向から見た図を図7(f)に、その一部拡大図を図7(g)に示す。図7(f)及び図7(g)においてz3は複屈折板23のZ軸を表わしており、図7(g)に示されるように、複屈折板23のZ軸z3と光学ローパスフィルタ2の入出射面の法線は角度θ3をなすように構成されている。本実施形態はθ1=θ2=θ3=45°として各々の複屈折板の厚さが最小となるようにしている。本実施形態では、複屈折板21の厚さd1=0.19、複屈折板22の厚さd2=0.14、複屈折板23の厚さd3=0.19となっている。
【0116】
本実施形態の光学ローパスフィルタ2は、複屈折板21、22、23をこのように構成することによって、実施形態1と同様に、常光線に対して異常光線を各々水平に対して上斜め45°方向に約7.2μm、水平方向(長辺方向)に約5.3μm、及び水平に対して下斜め45°方向に約7.2μmずらして結像させ、合計で被写体像を8つに分離させている。
【0117】
本実施形態は、複屈折板を構成するニオブ酸リチウムを十分に薄く加工することが可能であるという想定の下における実施形態であるが、もちろん薄板の加工の難易度を考慮して各々の複屈折板の厚さをより厚く設定することも当然のことながら考えられる。例えば各々の複屈折板を低コストで高精度の薄板に加工するために複屈折板の板厚として0.25mmが必要だとすれば、各々の複屈折板のZ軸と光学ローパスフィルタの入出射面の法線とのなす角θ1、θ2、θ3を各々およそθ1=θ3=64°、θ2=72°、あるいはおよそθ1=θ3=24°、θ2=17°とすることによっても同様の光学ローパスフィルタを実現することができる。
【0118】
このように各々の複屈折板の光学軸の角度を適切に設定することによって加工の難易度に応じて複屈折板の厚さを制御することは可能となるが、いずれの場合においても水晶等を使用する従来の光学ローパスフィルタと比較して十分に薄いものとすることができる。特に画素ピッチの小さい撮像素子を使用する場合であって、複屈折板の加工が難しくなった場合には、本発明の条件式(4)、または(5)を満足するように複屈折板の光学軸の角度を適切に設定することによって複屈折板の厚さをやや厚めにすることが効果的となる。また、いずれの場合においても上述の本発明の実施形態1において説明したようにニオブ酸リチウムの複屈折板の表面に誘電体薄膜を付加して可視波長域の反射防止をすることはゴーストやフレアーを低減させるという点で有効である。
【0119】
以上説明した本発明の各実施形態において、各々の複屈折板による常光線と異常光線の分離方向は必ずしも上述のものとしなければならないとは限らない。本発明の各実施形態のように光学ローパスフィルタとして斜め45°方向に発生する偽色信号を低減させる目的であれば、例えば、第1の複屈折板のZ軸の正射影を光学ローパスフィルタの長辺と角度+45°をなす方向を向くようにし、第2の複屈折板のZ軸の正射影を光学ローパスフィルタの長辺と角度+90°をなす方向を向くようにし、第3の複屈折板のZ軸の正射影を光学ローパスフィルタの長辺と角度+135°をなす方向を向くように設定することも可能である。
【0120】
なお、実施形態1、2等において、複数枚の複屈折板の各Z軸を異なる方向に向けた上で貼り合わせているのは、前述のように高い周波数成分のMTF値を低減させる作用の他に、所定方向にへき開しやすいというニオブ酸リチウム単結晶の欠点を克服するという効果を得るためのものでもある。
【0121】
以上説明したように本実施形態によれば、CCD、MOS等の2次元の固体撮像素子を使用する撮像装置において、被写体像の高周波数成分による偽解像信号や偽色信号を低減させる目的で撮像光学系と個体撮像素子の間に配置する光学ローパスフィルタを、適切な厚さを持ったニオブ酸リチウムの単結晶の複屈折板を互いに接合して構成することによって好適な光学ローパスフィルタを実現でき、特に、銀塩カメラ用の交換レンズシステムをそのまま良好に利用することのできる一眼レフレックス方式のデジタルスチルカメラを実現することができる。
【0122】
【発明の効果】
本発明によれば厚さが薄く、しかも良好なるローパス効果が効果的に得られ高い光学性能が容易に得られる。
【0123】
光学ローパスフィルタ及びそれを用いた光学機器を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学ローパスフィルタを一眼レフレックスカメラに搭載した際の撮像系の実施形態1の概略断面図。
【図2】本発明の光学ローパスフィルタの実施形態1の説明図。
【図3】本発明の光学ローパスフィルタの実施形態1によって分離される被写体像の様子の説明図。
【図4】本発明に用いられる撮像素子上に構成したカラーフィルタの配列の説明図。
【図5】本発明の光学ローパスフィルタの空間周波数特性の説明図。
【図6】本発明の光学ローパスフィルタの分光特性の説明図。
【図7】本発明の光学ローパスフィルタの実施形態2の説明図。
【図8】一軸性単結晶の光学軸と平行平板の入出射面の法線のなす角と、常光線と異常光線の分離巾の関係の説明図。
【図9】平行平板で発生する光線収差の説明図。
【符号の説明】
1、撮影レンズ
2、光学ローパスフィルタ
3、撮像素子
21、22、23、ニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板

Claims (6)

  1. 複数枚の複屈折板を接合して平行平板状に構成した光学ローパスフィルタであって、複数枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板を有し、該複数枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板の光学軸は、互いに異なる方向を向くように組み合わされると共に、前記ニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板の光学軸と前記平行平板の入射面、あるいは射出面の法線とのなす角をθoとするとき、少なくとも1枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板においては、
    10°<θo<27°
    61°<θo<80°
    のいずれかの条件式を満足することを特徴とする光学ローパスフィルタ。
  2. 前記複数枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板のうち少なくとも2つはそれらの光学軸の平行平板の入射面又は射光面への正射影が互いに45度の角度をなすように設定されていることを特徴とする請求項1の光学ローパスフィルタ。
  3. 接合した前記複数枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板の表面に、接着剤と複屈折板の界面における可視波長域の光線の反射防止作用を有する誘電体薄膜を付加したことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学ローパスフィルタ。
  4. 前記光学ローパスフィルタは、3枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板を接合して平行平板状に構成した光学ローパスフィルタであり、該3枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板は、その光学軸の該平行平板の入射面、あるいは射出面への正射影が、互いに45度の角度をなすように設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項の光学ローパスフィルタ。
  5. 前記3枚のニオブ酸リチウム単結晶の複屈折板を出入射側より順に第1、第2、第3の複屈折板とし、該第1の複屈折板、第2の複屈折板、第3の複屈折板の各々の射出面における常光線と異常光線の分離幅を各々D1,D2,D3とするとき、
    D1≒D3>D2
    の条件式を満足することを特徴とする請求項4の光学ローパスフィルタ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項の光学ローパスフィルタと、該光学ローパスフィルタを介した光が入射する固体撮影素子とを有することを特徴とする光学機器。
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