JP3792975B2 - 水晶振動子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水晶片の両主面に溝を設けた水晶振動子を産業上の技術分野とし、特に振動特性を良好にした水晶振動子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
(発明の背景)水晶振動子は周波数安定度に優れることから、各種の通信機器を含む電子機器に周波数及び時間の基準源として広く使用されている。これらの中でも、典型的なものとしていわゆるATカットの水晶振動子が知られている。近年では、ATカットとした水晶片(水晶振動子)の中央部に溝を設けて振動部を薄くし、高周波数化(例えば100MHz以上)に対応したものが考えられている(参照:特開昭61−3514号公報)。
【0003】
(従来技術の説明)第5図乃至第7図はこのような技術を説明する図で、第5図は切断方位を示す図、第6図はエッチングによる水晶片の断面図、第7図は電極を設けた水晶片の断面図である。
水晶振動子は結晶軸(XYZ)のX軸を中心として、主面に対する法線がY軸からZ軸方向に約35゜15’傾斜したATカットの水晶片1からなる。なお、回転した新たな軸をY’軸及びZ’軸と称している。水晶片1は平面形状を例えばZ’軸方向に長い矩形状とし、一方の主面に第1の溝2aが、他方の主面に第2の溝2bがエッチングによりそれぞれ中央部に設けられる。
【0004】
エッチングは水晶片1の外周部を両主面間で対象なマスク3によって遮蔽し、水晶片1を例えばフッ酸液中に投入して行われる。溝2(ab)は例えば水晶片1の外形と同様にZ’方向に長い矩形状とする。そして、溝2(ab)における底面の一部にそれぞれ励振電極4を形成し、Z’軸方向となる外周枠壁の上面に引出電極5を延出する。励振電極4及び引出電極5は蒸着により同時に形成される。
【0005】
そして、水晶片1の外周枠壁の両端部を例えばセラミック容器の底面に導電性接着剤により固着して構成する(未図示)。このようなものでは、外周枠壁を保持部とするので、溝2(ab)による振動領域部を極力薄くでき、例えば100MHz以上の高周波数化に適する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
(従来技術の問題点)ところで、水晶は、周知のごとく、結晶軸ごとにエッチングされる速度が異なる特性をもつ。エッチングのされ易さは、Z≧+X>−X>Yである。したがって、上記構成の水晶振動子では、概ねY’軸方向には一定な速度としてZ’軸方向に進行する。すなわち、Z軸(Z’軸からθ度ずれた軸)方向に優位にエッチングされ、Z軸に直交するZ面を露出して進行する。
【0007】
したがって、この場合は、前第6図に示したように、Z’軸に交差する両壁面がY’軸からθ度(35度15分)傾斜した面となる。これらから、一方の壁面と水晶片の主面とが成す角が鈍角αとなり、他方の壁面と同主面とが成す角が鋭角βとなる。そして、鈍角及び鋭角は両主面間で斜対称の位置関係になる。
【0008】
このようなエッチング異方性及び第6図で説明したようにマスク3を両主面で対称に配置してエッチングを実施していたことから、両主面側からエッチングが進行すると、溝底面のZ’軸方向の両辺は両主面間で到達位置が異なり、結果として両主面間の溝底面がZ’方向で位置ズレを生ずる。したがって、溝底面の対向面積が減少して実質的な振動領域(厚みが一定な部分)Sも小さくなる。
【0009】
一方、水晶振動子は振動領域S(板面面積)が大きいほど、例えばクリスタルインピーダンス(CIとする)を小さくできて振動特性を良好にする。しかし、上述の従来例の場合には、振動領域Sが小さくなるので、振動特性が低下する。また、振動領域Sが小さくなるとこれに比例する等価回路の直列容量C1も小さくなる。したがって、容量比γ(C0/C1)が大きくなって周波数可変幅が少なくなり、発振回路の設計幅を狭くする。なお、C0は一対の励振電極4の電極間容量である。
【0010】
また、水晶片1の両主面における溝底面の縁の位置が両主面で異なった場合、水晶片の両主面での振動に関する境界条件が異なることになるため、不要な副振動を生じさせる虞もある。上述した各不具合は、水晶振動子が小型になればなるほど顕著になるので、解決策が望まれる。
【0011】
(発明の目的)本発明は、振動特性を良好にした両主面に溝を有する水晶振動子及びその製造方法を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水晶片の一方の主面に設けた第1の溝底面の輪郭のうちZ’軸上で両端に位置する輪郭点が水晶片の他方の主面に設けた第2の溝底面の輪郭のうちZ’軸上で両端に位置する輪郭点に一致する方向に、第1及び第2の溝開口面の中心が互いに反対方向のZ’軸方向にずれて異なることを第1の解決手段とする(請求項1)。また、水晶片の両主面に設けたマスクによる非遮蔽部の中心を互いに反対方向のZ’軸方向にずらしてエッチングした製造方法を第2の解決手段とする(請求項2)。
【0013】
【作用】
本発明では第1及び第2の溝開口面の中心を互いに反対方向のZ’軸方向にずらして溝底面におけるZ’軸方向の両端での輪郭点を一致させるので、振動領域を損うことを防止する。また、水晶片の両主面に設けたマスクによる非遮蔽部の中心を互いに反対方向のZ’軸方向にずらしたので、両主面間におけるZ’軸方向の溝の輪郭点を一致させられる。以下、本発明の一実施例を説明する。
【0014】
【実施例】
第1図乃至第3図は本発明の一実施例を説明する図であり、第1図はマスクをかけた水晶片の断面図、第2図は同平面図、第3図はエッチング後の同断面図である。なお、前従来例図と同一部分には同番号を付与してその説明は簡略又は省略する。
水晶振動子は、前述したように水晶片1を例えばZ’軸方向に長い矩形状に形成し、エッチングにより両主面側から中央部に第1及び第2の溝2(ab)を設けて形成される。そして、この例では、水晶片1の両主面間でマスクをずらして形成する。すなわち、水晶片の両主面に設けたマスクによる非遮蔽部の中心Pを互いに反対方向のZ’軸方向にずらして形成する。換言すると、各主面における鈍角面を形成する一端部での端部からのマスクの長さaは、鋭角面を形成する他端部での端部からのマスクの長さbより小さくし、両主面間で斜対称とする。
【0015】
また、フォトリソグラフィ技術を用いて1枚のウェハに多数の振動領域を作り込む場合は、上側のマスクと下側のマスクとでの非遮蔽部同士の座標が所定量ずれるようにマスクを設計すればよい。具体的には、上述した両主面間でのずらし量Δdは次式(1)で示される。但し、Tは水晶片1の全体の厚み、tは振動領域の厚み、θはATカットとすると前述の傾斜角で35度15分である。すなわち、ずらし量Δdは、第4図に示したように、傾斜角θによって生ずる水晶片1の両主面間の差d1から、振動領域の両主面間の差d2を減じて得られる。なお、厚みtは振動周波数に反比例して決定される。
Δd=T・tanθ−t・tanθ=(T−t)tanθ・・・(1)
【0016】
このようなものでは、Y’軸からθ度傾斜して、水晶片1の両主面側からZ面を露出してエッチングが進む。そして、ここでは、両主面のマスク3は式(1)で設定されるずらし量Δdをもって形成されるので、エッチングの終了時にはZ’軸方向における溝両端の輪郭点は両主面間で一致する。すなわち、エッチング後に生ずる溝開口面の中心(非遮蔽部の中心P)を互いに反対方向のZ’軸方向にずらして異ならせたので、両主面間における溝両端の輪郭点は両主面間で一致する。
【0017】
したがって、水晶片1における両主面の溝底面は従来のようにずれることなく両端部も一致するので、振動領域Sを大きくする。これにより、CIを小さくして振動特性を良好にする。また、等価回路の直列容量C1も小さくなって、周波数可変幅が少なくなり、発振回路の設計幅を広くする。さらには、両主面間で境界条件を同じにして副振動の発生を防止する。これらの効果は水晶片が小さくなるほど顕著になる。そして、水晶片における保持部(溝を形成してない外周部分)の厚みが大きいほど、また保持部と振動領域との厚みが大きいほど、本発明の効果は顕著になる。
【0018】
【他の事項】
上記実施例では水晶片1の溝2(ab)は矩形状としたが、例えば円や楕円状であってもよい。これらの場合であっても、両主面の溝開口面の中心PをZ’方向にずらして異ならせ、結果として溝底面におけるZ’軸方向の両端となる輪郭点が両主面間で一致するようにすればよい。また、水晶片1はZ’軸方向に長くしたが、X軸方向に長くてもよく、この場合でもZ’軸方向に溝開口面の中心をずらせばよい。
【0019】
また、水晶片1は主面に対する法線がY軸からZ’軸方向(反時計回り)に35度15分傾斜したATカットとしたが、これに限らず例えば同法線がY軸からATカットとは逆の時計回りに49度傾斜したBTカットでも適用できる。但し、この場合には溝2の壁面はATカットとは逆向きになり、Y’軸から49度の傾斜角θになる。要するに、いずれの切断角度であっても、壁面となるZ面がY’軸に対して切断角度であるθ度傾斜してエッチングされる水晶振動子に適用できる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、水晶片の一方の主面に設けた第1の溝底面の輪郭のうちZ’軸上で両端に位置する輪郭点が水晶片の他方の主面に設けた第2の溝底面の輪郭のうちZ’軸上で両端に位置する輪郭点に一致する方向に、第1及び第2の溝開口面の中心が互いに反対方向のZ’軸方向にずれて異なるので、振動領域の損失を防止して振動特性を良好にした水晶振動子を提供できる。また、水晶片の両主面に設けたマスクによる非遮蔽部の中心を互いに反対方向のZ’軸方向にずらしてエッチングしたので、Z’軸方向における溝底面の両端の輪郭点を一致できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明するマスクをかけた水晶片の断面図である。
【図2】本発明の一実施例を説明するマスクをかけた水晶片の平面図である。
【図3】本発明の一実施例を説明するエッチング後における水晶片の断図図である。
【図4】本発明の一実施例を説明する水晶片の一部断面図である。
【図5】従来例を説明する水晶振動子の切断方位図である。
【図6】従来例を説明するエッチングによる水晶片の断面図。
【図7】従来例を説明する電極を設けた水晶片の断面図である。
【符号の説明】
1 水晶片、2 溝、3 マスク、4 励振電極、5 引出電極.
Claims (2)
- 結晶軸(XY’Z’)のY’軸を深さとした第1及び第2の溝を水晶片の両主面に備え前記第1及び第2の溝底面間を振動領域とし、前記第1及び第2の溝の少なくともZ面に相当する壁面が前記Y’軸からθ度傾斜した水晶振動子において、前記第1の溝底面の輪郭のうちZ’軸上の両端に位置する輪郭点が前記第2の溝底面の輪郭のうちZ’軸上の両端に位置する輪郭点に一致する方向に、前記第1及び第2の溝開口面の中心が互いに反対方向のZ’軸方向にずれて異なることを特徴とする水晶振動子。
- 水晶片の両主面にマスクを設けて結晶軸(XY’Z’)のY’軸を深さとした第1の溝を一方の主面に第2の溝を他方の主面にエッチングによって形成して前記第1及び第2の溝底面間を振動領域とし、前記第1及び第2の溝の少なくともZ面に相当する壁面が前記Y’軸からθ度傾斜した水晶振動子の製造方法において、前記第1の溝底面の輪郭のうちZ’軸上の両端に位置する輪郭点が前記第2の溝底面の輪郭のうちZ’軸上の両端に位置する輪郭点に一致する方向に、前記両主面のマスクによる非遮蔽部の中心を互いに反対方向のZ’軸方向にずらしたことを特徴とする水晶振動子の製造方法。
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