JP3791918B2 - 揮発性物品の減容包装方法および減容包装体 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、揮発性物品を収容しあるいは一括して収容する包装体を製造する際、包装体内及び外部の気体を制御することにより包装をおこなう技術に関する。具体的には、調理用や着火剤用等に使用される携帯燃料等の揮発性物品の減容包装方法と、それによって得られる減容包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
固形状、ペースト状あるいは液体状のアルコール類などの揮発性燃料等は、使用しやすいようにその一定量が包袋などに包装されて販売されている。これらの揮発性燃料はその揮発性ゆえに、不十分な包装では保存安定性上の不都合があり、また運送上、安全性を考慮して、ブリキ製などの堅牢な缶で収容保持したり、穿孔を開けるなどした柔軟質フィルム材で包装したものを集合させて段ボールケース詰めしたものなどが流通している。
【0003】
ブリキ製等の缶の場合は堅牢な為、揮発性燃料の蒸気圧による膨れは考慮しなくてもよいが、コストが高く、廃棄乃至回収もしにくいという不都合を抱えてきた。
【0004】
また、柔軟質フィルム材を使用し、真空包装装置を用いて、気体をほぼ完全に脱気して包装することも可能であるが、その加工のためには特別な設備が必要となり、また一般にその加工速度が劣り生産性が低くなってしまう不都合があった。
【0005】
上記の不都合を解決するため、「実開平5−75174号」公報は、微細な穿孔を設ける事を特徴とし、その包装体の膨れを回避すると共に揮発蒸散成分の減少も抑制するものである。また、一般の包装装置を用いて高速で製造することが可能となり、割安で廃棄も容易な燃料包装体が実現できた。
【0006】
しかしながら、柔軟質フィルム材の包装体に穿孔を設ける場合、穿孔からの揮発成分の蒸散をある程度防ぐことはできても、完全には防げないという不都合、また、穿孔をあける治具の磨耗や破損などにより穿孔の大きさが一定せず、品質がばらつくという不都合があった。
【0007】
密封包装した柔軟質フィルム材に穿孔を設けない場合、包装体が過大に膨れる不都合があった。包装体が膨れる原因として、第一に燃料中の揮発成分が空隙部に時間経過とともに蒸発し、最終的には蒸気圧分の割合だけ空間容積が増えるため包装体が膨れる。このふくらみ程度は揮発成分の蒸気圧に応じるので、温度により変動がある。第二に、ガス透過性が比較的大きいフィルム材では燃料中の揮発成分により、蒸気圧に相当するガス分圧が発生し、相対的に包装体内部の酸素、窒素ガス分圧が低下する。そうすると包装体内外の各ガス分圧の差が発生して、結果的に外気の酸素、窒素ガスが容器内に透過して時間経過とともに容器が膨れていくと考えられる。
【0008】
このような包装体は能率的な搬送と取扱いを可能とするために、その多数を積み重ねた状態で、段ボールケース内に収容されることが多い。この場合において、上記した各包装体に前記した膨張が生じると、その段ボールケースを変形させたり、膨れがひどいときには破袋に到ったりする弊害も懸念される。
【0009】
密封包装した柔軟質フィルム材に穿孔を設けない場合の膨れを防止する手段は、「特開平8−175573号」に開示されている。この密封包装体では、揮発性燃料と共に脱酸素剤を入れることを特徴とし、包装体内の酸素ガスを吸収させ、容積を減少させることで、燃料揮発成分の蒸気圧による包装体の膨れを防止することを可能とした。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上に述べた揮発性物品を収容する柔軟質材による包装体においては種々の不都合があった、すなわち、特開平8−175573号に開示されている手段では、燃料の揮発成分の蒸気圧による膨れを防止するために、脱酸素剤等の気体吸収材を使用している。そのため資材コストが高くついた。また脱酸素剤を投入するための特別の設備を要した。また、穿孔を設ける構成における、穿孔の大きさのコントロールが困難であった。また、揮発性成分の蒸散の防止が不十分であった。
【0011】
本発明では、このような従来の構成が有していた課題を解決しようとするものであり、揮発性物品の柔軟質材による密封包装体において、揮発成分の蒸散を十分に防止し、かつ包装体の膨れも抑制できる揮発性燃料の減容包装方法と、それによって得られる減容包装体を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、柔軟質材からなる包材による揮発性物品の密封包装において、酸素ガス、窒素ガスのガス透過度が1000ml/ m2 ・日・atm (測定条件;25℃、50%RH)以下の柔軟質材を用い、包装体内の空隙部容積及び揮発性物品の蒸気圧に相当する容積増加分の一部または全部を、揮発性物品に吸収されやすい気体に一部または全部置換し、包装体の空隙部容積を包装後、時間経過とともに減少させて減容包装することを特徴とする。
【0015】
また、揮発性物品に吸収されやすい気体として、炭酸ガス(二酸化炭素)を使用することで容易に目的を達成することができる。
【0016】
揮発性物品の揮発成分としては、アルコールを使用することができる。
【0017】
また、置換する気体として炭酸ガス等の酸性の気体を用いる場合、揮発性物品が、アルカリ性を示す構成を使用することができる。
【0018】
また、柔軟質材からなる包材により揮発性物品を包装する際、密封前に揮発性物品に吸収されやすい気体をフラッシュすることで包装体内の空気と置換させることができる。
【0019】
揮発性物品としては、固形状、ペースト状、液体状等の携帯燃料を用いることができる。
【0020】
【発明の作用】
本発明においては、次の作用が生じる。すなわち、柔軟質材からなる包材による揮発性物品の密封包装において、酸素ガス、窒素ガスのガス透過度が1000ml/m2・日・atm(測定条件;25℃、50%RH)以下の柔軟質材を用いることにより、内部からの揮発性ガスの蒸散を防ぐのみならず、包装体の過大な膨張を抑制できることがわかった。この柔軟質材の酸素、窒素ガス透過度については、1000ml/m2・日・atm以上だと、十分に効果が発揮されない。より好ましくはガス透過度が100 ml/m2・日・atm以下であることが、より完全な効果を発揮させる点で好ましい。そのような酸素・窒素ガスのバリアー材としては、エチレンビニルアルコール共重合体(略称EVOH)、ポリエステル(略称PET)、ポリ塩化ビニリデン及びそのコートフィルム(基材はポリプロピレン(略称PP)やナイロン)、ナイロン、ポリビニルアルコール、アルミニウム箔、シリカ・アルミナ蒸着フィルム(基材は主にPETフィルム)、アルミ蒸着フィルム(基材は主にPPフィルム)から1つ以上と、ポリプロピレンやポリエチレン(略称PE)等のヒートシール材とを貼り合わせた積層フィルムを使用することができる。とくに揮発性物質がメタノールの場合、フィルムを透過し蒸散する問題があるので、フィルム透過性が低いアルミニウム箔、シリカ・アルミナ蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルムの少なくともいずれか1つ以上を積層させたフィルムを使用するのが好ましい。
【0021】
この作用について考察するに、揮発性物品中の揮発成分が気化すると、包袋内の窒素、酸素ガスの分圧が相対的に低下し、包袋内外のガス分圧差が生じる。ガス透過性の比較的大きい柔軟質材を使用している場合、この分圧差により、包袋の外から内側へ窒素、酸素ガスが透過する方向に動くため、包装体の空隙部が増える(膨れる)事になる。ガス透過性の小さい柔軟質材を使用し密封包装すれば、外部からのガス透過を防ぐことができ、その結果、包装体の過大な膨れを防止することができる。
【0022】
また、包装体内の空隙部容積及び揮発性物品の蒸気圧に相当する容積増加分の一部又は全部を予め又は/及び時間経過とともに減容させることにより、さらに効果的に包装体の膨張を抑制し、嵩張らない形状を保持することができる。予め減容する手段としては、機械包装時に密封する前に袋部分を押圧して気体を抜く方法、真空吸引して抜く方法等一般的な手段を用いれば良い。また、密封後、時間経過とともに減容させる手段を用いることができる。
【0023】
密封包装体内の気体を揮発性物品に吸収されやすい気体に一部または全部置換し、包装体の空隙部容積を包装後、時間経過とともに減少させる手段を用いることができる。その方法により、特別な装置を用いなくても、生産性を落とさず容易に包装体を減容させることができるのである。
【0024】
揮発性物品に吸収されやすい気体としては一般的な気体が使用可能だが、とくに、不燃性、低毒性で安全性が高い炭酸ガス(二酸化炭素)を用いれば、低コストで容易に目的を達成することができる。
【0025】
揮発性物品としては、アルコール、エーテル、グリコールエーテル、エステル、ケトン、ガソリン・灯油などパラフィン系炭化水素、芳香族炭化水素など、一般的な揮発性溶剤が用いられるが、とくに、アルコールを含有する溶剤類を用いられる場合、気温の変化による蒸気圧の変動が激しく密封包装した場合の包装体内の容積変化が大きいのでとくに効果的である。また一般にアルコールは炭酸ガス等を吸収しやすいので効果的である。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールが上げられるが、なかでも、低沸点の一価アルコール、とくにメタノール、エタノール、イソプロパノールを含有する揮発性物品に好適に利用できる。例えば、メタノール、エタノールを主成分とする物品について例示すると、炭酸ガス(二酸化炭素)のメタノールへの溶解度は3.8ml/ml(25℃)、エタノールでは2.7ml/ml(25℃)であり、揮発性成分自身の2倍以上の炭酸ガスを溶解吸収できる。大気中に数百ppm存在する二酸化炭素の分圧は小さいので、製造後の物品に溶解している炭酸ガスの量は、その分圧に比例して少ない。そこで、密封包装体内の気体の一部を炭酸ガスに置換すれば、封入された炭酸ガスは揮発性物品に溶解し、溶解した分の炭酸ガス気体の容積分を減少させることができる。
【0026】
パラフィン系炭化水素類、灯油など比較的炭酸ガス等の気体を溶解しにくい溶剤を主成分とする揮発性物品では、メタノール、エタノール等のアルコールを一部配合することにより、炭酸ガス等の溶解吸収能を増大させることができる。
【0027】
また揮発性物品が、アルカリ性を示す構成にすれば、揮発性物品中の溶剤成分だけでは炭酸ガスなどの酸性ガスを十分吸収されない場合でも、容易に吸収できるようになる。アルカリ性を示す構成としてはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、モルホリン、トリエチルアミン等のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のカセイアルカリ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩、オルソケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、リン酸塩、などの無機アルカリ剤を含む構成を挙げることができるが、これらに限らず、アルカリ性のものであれば良い。
【0028】
包装体内の気体の置換については、横ピロー包装機等一般的な包装設備を使用できる。ロール状のフィルムを製袋しながら揮発性物品を充填、シールする間の常時またはシールする直前に置換ガスをフラッシュすることにより袋(チューブ)内の空気と置換させる方法が適用できる。気体の置換率の設定には、2種類以上の気体の流量を調整し混合する事で可能である。例えばアルコールを主成分とする固形燃料の包装においては、一つを燃料成分に易吸収性の炭酸ガス、もう一方を窒素や空気など燃料成分に溶けにくい気体を用いるようにすればよい。
【0029】
この包装体内に封入すべき揮発性物品としては、固形燃料の他、ペースト状燃料、液体燃料等の携帯燃料を適用すれば、製品製造後の品質の安定化をはかることができる。この携帯燃料の成分としては、アルコール類、灯油、ガソリン及びこれらの混合物が例示できる。より具体的には、アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等が好適に使用できる。
【0030】
さらに、本発明における作用を考察すると、柔軟質フィルムに揮発性物品を入れて、空隙部の一部を揮発性物品に易吸収性の気体を置換して封入すると、包袋体内の易吸収性気体は揮発性物品に溶解吸収され、空隙部容積が減少する。その空隙部の減少率は、易吸収性気体の置換率に依存するので、置換する気体中の易吸収性気体の割合を設定すれば、空隙部の容積を任意に調節する事ができる。100%易吸収性気体で置換して密封包装すれば、空隙部がほとんどない真空包装のような包装体も可能である。
【0031】
揮発性成分の蒸気圧により膨れる量は、それ以外の気体の容積と揮発成分の蒸気圧の分圧を乗じたものとなる。従って、上記の100%易吸収性気体による置換が行われて一定時間後に空隙部がゼロになれば、揮発成分の蒸気圧による膨れはない事になる。
【0032】
燃料中の揮発性成分がメタノールの場合、その蒸気圧は130mmHg(25℃)、200mmHg(35℃)、400mmHg(50℃)、760mmHg(64.5℃)である。25gの固形燃料1個を密封包装した場合、空隙部が40mlとすると、燃料揮発成分による膨れは最大で40×130/760=6.8ml(25℃)、40×400/760=21.1ml(50℃)となり、温度が高くなるに従い空隙部の容積が増え包装体は膨れる。燃料数十個を整列させ包装した包装体を積重ねてケースに収容した場合、ケースが膨れたり、ケースを積重ねている状態では包装体内の圧力が高まり破裂する可能性もある。揮発成分の蒸気圧による膨張量は計算でき、その膨張量を上回るように易吸収性気体の置換を行い、空隙部の容積を減少させれば、温度が上昇しても包装体として支障がない程度に膨れを抑えられる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態として実施例を図1に基づいて説明する。図1に示した包装体1は、OPP20/AL7/LDPE40のラミネートフィルム材(OPP20;延伸ポリプロピレン20μ厚、AL7;アルミニウム箔7μ厚、LDPE40;低密度ポリエチレン40μ厚)からなる包袋2内に5個の固形燃料3を1列に配して、密封包装したものである。なお、センターシール4及びエンドシール5はこの包袋2の封止部である。固形燃料の入り数、フィルム材の構成・大きさが異なる実施例ではその都度説明を記載する。
【0034】
また、この包装体に入れる固形燃料3は、メタノールを90重量%、石鹸基材中に含有せしめてなる燃料本体の周面を簡易的にポリプロピレンフィルム(12μ厚)6によりシュリンク包装し、さらにその下部の周面部分にアルミニウム箔7を器状にして被着せしめたものである。
【0035】
【実施例】
(実施例1)前記した包装体について、次に示す条件でガス置換装置付きの横ピロー包装機により、炭酸ガスと窒素ガスを一定割合で混合したものをフラッシュしながら密封包装を行い、炭酸ガス置換率別の試験結果を表1に示した。常温(25℃)下においた包装体の容積を、包装直後と1時間後に測定し、容積変化を測定した。測定した包装体の容積から、固形燃料5個分の150mlを差し引き、空隙部の容積を計算した。炭酸ガスの置換率は、窒素ガスとの混合により調整設定した。包装体内の気体の置換がうまくできているかの確認は、包装直後に包装体内の酸素濃度を測定し、検出限界の0.001%以下となるようにした。
【表1】
【0036】
実施No.1〜3では炭酸ガス置換率に応じた空隙部の変化が得られ、炭酸ガスは溶解吸収された事が確認できた。これにより安全上問題となる膨れや破袋が防止できる。実施No.4の膨張量計算は、(初期空隙部)112ml×(25℃蒸気分圧)130mg/760mg=19mlとなり、試験結果の膨張量+20mlに近いデータが得られた。これを図で表すと、いずれも包装直後は図2のように膨張はないが、実施No.4は揮発成分が気化すると図3のように膨張する。
【0037】
(実施例2)図4に示したように、25gの固形燃料1個を密封包装し、常温に1ヵ月保管して容積及び重量変化を測定した。包装フィルムの構成、穿孔の有無等の包装条件を表2に、その結果を表3に示した。包装後の容積は、密封後1時間以上経過してから測定した。
【表2】
【表3】
【0038】
実施No.5〜7では、ガス透過性が小さいフィルムにより密封包装すれば、時間経過とともに包袋内へのガス透過はほとんどなく、容積変化は少ない。又、燃料中の揮発成分の蒸散による重量減少もほとんどない事が確認できた。比較No.1では、ガス透過が大きいフィルムのため、破袋にいたるほど膨張し、かつ燃料中の揮発成分が蒸散した事による重量減少も大きい。比較No.2では、穿孔を設けた事により膨張はないが、穿孔からの揮発成分の蒸散が大きい。温度が上がれば、容積及び重量変化が比例して大きく(早く)なるので、比較No.1,2においては、短期間に固形燃料の商品としての価値が下がるのに対して、実施No.5〜7では、長期にわたり商品価値を維持できる。
【0039】
(実施例3)図5に示す包装体を、図6に示すように段ボールケースに8段重ねで2並列の満杯状態で収納した。なお、このケースの蓋部を閉じた状態で粘着テープ9を用いて固定し、25℃と40℃恒温槽で1日保存した。その結果を表4に示した。なお、図5は、固形燃料25gを20個収容し、フィルム材は実施例1と同じもの(OPP20/AL7/LDPE40)を用いた。
【表4】
【0040】
比較No.3では、炭酸ガス置換をせず密封包装した後、図6のように段ボールケースに16袋収容した。25℃保管でケース上面が少し膨らみ、40℃保管では上面の粘着テープがはがれるほど包装体が膨張した。多少でもケースが膨らむと、包袋内の空気で上からの荷重を支えている事になるので、包袋に負荷がかかり、特に包袋フィルムの溶着が弱い部分から破袋しやすくなる。運搬時の衝撃やケースを数段重ねて保管する場合、さらに破袋しやすくなる。破袋すれば、燃料中の揮発成分が多量に蒸散し、安全性が低下し、商品としての価値もなくなる。
【0041】
実施No.8では、50%の炭酸ガス置換を行い密封包装し、図6のように段ボールケースに16袋収容した。常温(25℃)、40℃で保管したがケースの外観は変化がなかった。包装体が膨らまないので、運搬や保管での不都合が発生する可能性を小さくできる。
【0042】
【発明の効果】
上述したように本発明は構成されることから、次のような効果が発揮される。柔軟質材からなる包材により揮発性物品を密封包装する構成において、酸素ガス、窒素ガスのガス透過度が1000ml/m2・日・atm(測定条件;25℃、50%RH)以下の柔軟質材を用いる構成を用いることにより、内部からの揮発性ガスの蒸散を防ぐのみならず、外部からの窒素、酸素などの大気の浸入を防ぎ、包装体の過大な膨張を抑制できる。
【0043】
また、包装体内の空隙部容積及び揮発性物品の蒸気圧に相当する容積増加分の一部又は全部を予め又は/及び包装後、時間経過とともに減容させることにより、さらに効果的に、嵩張らない形状を保持することができる。
【0044】
密封包装体内の気体を揮発性物品に吸収されやすい気体に置換しておくと、包装体の空隙部容積を包装後、時間経過とともに減少させることができる。その方法により、特別な装置を用いなくても、生産性を落とさず容易に包装体を減容させることができるのである。
【0045】
揮発性物品に吸収されやすい気体として、とくに、炭酸ガスを用いれば、安全かつ低コストで容易に目的を達成することができる。
【0046】
揮発性物品として、アルコールを用いた場合、蒸気圧の変動による包装体内の容積変化が大きいのでとくに効果的である。また、一般にアルコールは炭酸ガス等を吸収しやすいので実用的である。
【0047】
また、灯油など炭酸ガス等の気体を溶解しにくい揮発性物品では、アルコールを一部配合することによって、炭酸ガス等の溶解吸収能を増大させることができる。
【0048】
また揮発性物品が、アルカリ性を示す構成にすれば、揮発性物質そのものでは吸収しにくい場合でも、容易に炭酸ガスなどの酸性ガスを吸収できるようになる。
【0049】
ガス置換の方法として、横ピロー包装機等一般的な包装設備をそのまま使用できる。ロール状のフィルムを製袋しながら揮発性物品を充填、シールする間の常時またはシールする直前に置換ガスをフラッシュすることで袋(チューブ)内の空気と置換させる方法が適用できる。この方法によって、密封した揮発性燃料包装体内の空隙部容積を任意に減少させることができる。
【0050】
また、この包装体内に封入すべき揮発性物品として、携帯燃料を適用すれば、包装体は長期間に亘って、膨張状態にならず、燃料の重量も変化せずに保管することができる。
【0051】
従って、この包装体の多数が積重ね状態で段ボールケース内に満杯状態で収容される場合でも、そのケースが膨張・変形するような弊害は生じない。
【0052】
従来、穿孔を設けて対応していた事に対しては、穿孔をなくせることにより、保管時の品質低下を防ぐことができる。
【0053】
また、従来脱酸素剤を使用して対応していた事に対しては、脱酸素剤が不要になり、生産スピードアップも見込め、より経済的に製品を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る包装体(固形燃料5個入り)の破断面斜視図
【図2】同の断面図(包装直後など)
【図3】同の断面図(膨張少し)
【図4】本発明に係る包装体(固形燃料1個入り)の斜視図
【図5】本発明に係る包装体(固形燃料20個入り)の破断面斜視図
【図6】同の収容状態を説明する破断面図
【符号の説明】
1 包装体
2 包袋
3 固形燃料
4 センターシール
5 エンドシール
6 ポリプロピレンフィルム
7 アルミニウム箔
8 段ボールケース
9 粘着テープ
Claims (6)
- 柔軟質材からなる包材による揮発性物品の密封包装において、酸素ガス、窒素ガスのガス透過度が1000ml/ m2 ・日・atm (測定条件;25℃、50%RH)以下の柔軟質材を用い、
包装体内の空隙部容積及び揮発性物品の蒸気圧に相当する容積増加分の一部または全部を、揮発性物品に吸収されやすい気体に一部または全部置換し、包装体の空隙部容積を包装後、時間経過とともに減少させて減容包装することを特徴とする揮発性物品の減容包装方法。 - 吸収されやすい気体が炭酸ガス ( 二酸化炭素 ) であることを特徴とする請求項1に記載の揮発性物品の減容包装方法。
- 揮発性物品が、アルコールを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の揮発性物品の減容包装方法。
- 揮発性物品が、アルカリ性を示すことを特徴とする請求項1 , 2または3に記載の揮発性物品の減容包装方法。
- 揮発性物品が携帯燃料であることを特徴とする請求項1 , 2 , 3または4に記載の揮発性物品の減容包装方法。
- 請求項1ないし5の何れか1記載の減容包装方法によって得られることを特徴とする揮発性物品の減容包装体。
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