JP3791577B2 - インクジェット記録装置用インクカートリッジ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクカートリッジに係り、特にインクジェットプリンタ等の記録ヘッドに装着されて使用されるインクジェット記録装置用インクカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インクジェットプリンタ等の記録ヘッドへのインクの供給は、インクカートリッジによって行われている。このようなインクカートリッジとしては、ブラックだけのインクが充填された単色印刷用のインクカートリッジや、イエロー、マゼンダ、シアンの各異なる色のインクが充填された室を一体的に備えた多色印刷用のインクカートリッジ等がある。そして通常、インクジェットプリンタの記録ヘッドには、単色印刷用と多色印刷用の2つのインクカートリッジが装着されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術では、インクを使い切ってインクカートリッジを新しいものに交換する際などに、使用済みインクカートリッジのインク供給口に付着したインクで、プリンタ台や机の表面を汚してしまうという欠点がある。すなわち、使用済みインクカートリッジを記録ヘッドから取り外したときに、インク供給口が上を向くようにして使用済みインクカートリッジをプリンタ台や机の上に置けば汚れることはないが、インクカートリッジはそのインク供給口が下を向いて記録ヘッドに装着されているので、取り外したときにインク供給口を下に向けて置いてしまうことが多い。
【0004】
本発明の課題は、インク供給口を下に向けて置いても、プリンタ台や机の表面が汚れることのないインクジェット記録装置用インクカートリッジを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、内部にインクが充填され、記録ヘッドに装着されてインク供給口から該記録ヘッドにインクを供給するインクジェット記録装置用インクカートリッジであって、前記記録ヘッドから取り外して前記インク供給口を下に向けて置いても、その置かれた箇所に前記インク供給口が直接接触するのを防ぐ手段が設けられ、前記手段は、前記インク供給口の開口部近傍に互いに間隔をあけて立設された板状の突条であり、前記立設突条とその被立設面との交差する部分は、該突条の全周にわたって、被立設面の周縁より内側に位置していることを特徴とするものである。
【0006】
本発明によれば、インク供給口を下に向けて置いたときは、その置かれた箇所には気を曲板状の突条が接触するため、インク供給口が直接接触することはない。また、インク供給口の開口端面には、インクカートリッジの未使用時に内部のインクの乾燥を防止するためのシール膜が被設されるが、前記の如く各突条は間隔をあけて設けられているため、その間隔をあけた部分にシール膜の一部を貼設できる。従って、該シール膜をインク供給口の前記開口端面にしっかりと被設することができる。
【0007】
また、本願請求項2に記載の発明は、内部にインクが充填され、記録ヘッドに装着されてインク供給口から該記録ヘッドにインクを供給するインクジェット記録装置用インクカートリッジであって、前記記録ヘッドから取り外して前記インク供給口を下に向けて置いても、その置かれた箇所に前記インク供給口が直接接触するのを防ぐ手段が設けられ、前記手段は、前記インク供給口の周辺に進退自在に設けられた複数個のピンであり、該ピンはインクカートリッジ本体を前記記録ヘッドに装着したときは後退し、前記インクカートリッジ本体を前記記録ヘッドから取り外したときは進出する進退構造に形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、インクカートリッジを記録ヘッドから取り外したときはピンが進出し、該ピンはインク供給口の周辺に複数個設けられているので、インク供給口を下に向けてインクカートリッジを置いても、その置かれた箇所にインク供給口が直接接触することがない。インクカートリッジを記録ヘッドに装着する際は、前記ピンは記録ヘッドの対向面に当接して押し込まれる(退出)ので、当該ピンを新たに設けても記録ヘッド側の設計変更を要しないで済ませることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1によるインクカートリッジの要部縦断面図、図2は図1に示したインク供給口付近の拡大斜視図である。
【0017】
インクカートリッジは、図1に示すように、ポリプロピレンもしくはポリスチレンなどの合成樹脂材料を成形加工してなるケース2を備え、そのケース2の内部にはインク室3が設けられている。ケース2の底部にはインク供給口4が設けられ、このインク供給口4にはシールゴム5が嵌合されている。インク供給口の開口端面及びシールゴム5の外表面は、薄いシール膜6を熱溶着させて覆われており、インクカートリッジの未使用時に内部のインクが蒸発しない(乾燥しない)ようになっている。
【0018】
上記構成のインクカートリッジにおいて、本実施の形態では、図1及び図2に示すように、インク供給口4の開口部近傍の2箇所に進退自在なピン7が設けられている。すなわち、インク供給口4の開口部端面の隅部には長尺空間部21が形成され、この長尺空間部21と外部を連通する貫通孔22を介してピン7の基部が長尺空間部21内に挿通されている。該ピン7の中間部には、貫通孔22よりも径の大きな鍔部20aが設けられ、長尺空間部21奥の底面と鍔部20aとの間にコイルスプリング23が介在されている。このコイルスプリング23によって、ピン7は常に外側(図の下側)へ付勢されている。また、インクカートリッジを記録ヘッド(図示せず)に装着したとき、ピン7は記録ヘッドの対向面に当接し、長尺空間部21内にほぼ全体が入り込む(退出する)ようになっている。
【0019】
上記構成によれば、インクカートリッジを記録ヘッドから取り外すと、コイルスプリング23の付勢力によって2つのピン7が外部に進出し、これらピン7の先端がインク供給口4よりも突出する。このため、インク供給口4を下に向けてインクカートリッジをプリンタ台や机などに置いたときは、ピン7によってインクカートリッジが支持され、インク供給口4のシール膜6に開いた穴(図示せず)に付着しているインクがプリンタ台や机に接触するのを防ぐことができる。
【0020】
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2に係るインクカートリッジのインク供給口付近の示す図であり、(A)は底面図、(B)は斜視図である。また、図4はその変形例に係るインク供給口付近の図であり、(A)は底面図、(B)は斜視図である。インク供給口4の開口部近傍に曲板状の突条8間隔をあけて4個が対称的に設けられている。該突条8は、インク供給口4と共にケース2に一体的に形成されている。該突条8の先端は、インク供給口4の開口端面よりも突出するように形成されている。インク供給口4の開口端面及びシールゴム5の外表面は、薄いシール膜6を熱溶着させて覆われているが、本実施の形態では前記突条8の間隔をあけた部分も利用してしっかりと被設されている。
【0021】
上記構成のインクカートリッジを使い切って記録ヘッドから取り外す場合、インク供給口4を下に向けてインクカートリッジをプリンタ台や机上に置いても、プリンタ台や机には突条8の先端が当接するので、インク供給口4のシール膜6がプリンタ台や机に接触することがない。シール膜6の開口部(図示せず)は、インクで汚れていることが多いが、本実施の形態によれば、シール膜6がプリンタ台や机に接触することがないので、万一、プリンタ台や机に書類などが置いてあっても、その書類をインクで汚してしまうのを防ぐことができる。
【0022】
なお、図3では突条8は、途中が分断された曲板状の突条8であるが、図4に示したように、インク供給口4の開口部近傍に平板状の突条9を設けたもので同様の作用効果が得られる。
【0023】
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3に係るインクカートリッジを示しており、インク供給口付近の拡大斜視図である。
【0024】
本実施の形態では、インク供給口4のシール膜6がプリンタ台や机に直接接触するのを防ぐための突条が、インク供給口4の開口部近傍ではなく、インクカートリッジ本体の外表面のうちインク供給口4が設けられた側の外表面に設けられている。すなわち、図5に示すように、インクカートリッジの外表面のうちインク供給口4が設けられた面(図5では下面)の、インク供給口4に近い側の端部に突条10が延設されている。
【0025】
このように構成した場合も、インク供給口4を下に向けてインクカートリッジをプリンタ台や机上に置いたとき、突条10がプリンタ台や机に当接するので、インク供給口4のシール膜6がプリンタ台や机に接触することはなく、プリンタ台や机またはそれらの上の書類などをインクで汚してしまうのを防ぐことができる。また、本実施の形態では、インク供給口4の部分には全く設計変更を要しないため、製造が容易で且つ低コストで実現することができる。
【0026】
(実施の形態4)
図6は本発明の実施の形態4によるインクカートリッジを示しており、インク供給口付近の拡大斜視図である。
【0027】
本実施の形態では、図2に示した実施の形態の変形例に相当するが、インク供給口4の開口部近傍ではなく、本体ケース2のコーナー部の2箇所に進退自在なピン20が設けられている。このピン20の配設構造は、基本的に図1に示したものと同様なので説明は省略する。コイルスプリングによって、ピン20は常に外側(図の下側)へ付勢されており、また、インクカートリッジを記録ヘッドに装着したとき、ピン20は記録ヘッドの対向面に当接し、内部にほぼ全体が入り込むようになっている。
【0028】
上記構成によれば、インクカートリッジを記録ヘッドから取り外すと、コイルスプリングの付勢力によって2つのピン20が進出し、これらピン20の先端がインク供給口4よりも突出する。このため、インク供給口4を下に向けてインクカートリッジをプリンタ台や机などに置いたときは、ピン20によってインクカートリッジが支持され、インク供給口4のシール膜6がプリンタ台や机に接触するのを防ぐことができる。
【0029】
(実施の形態5)
図7は本発明の実施の形態5に係るインクカートリッジのインク供給口付近の断面図である。本実施の形態では、インク供給口4が周辺部よりも一段下がった位置に設けられている。また、インク供給口4の周囲には溝30が形成されている。インク供給口4の構成は、上述の実施の形態と同様、シールゴム5が嵌合され、このシールゴム5の外表面は薄いシール膜6で覆われており、インクカートリッジの未使用時に内部のインクが蒸発しないようになっている。
【0030】
このように構成した場合も、インク供給口4を下に向けてインクカートリッジをプリンタ台や机上に置いたときに、インク供給口4のシール膜6がプリンタ台や机に接触することはなく、万一、プリンタ台や机に書類などが置いてあっても、その書類をインクで汚してしまうのを防ぐことができる。
【0031】
また、インクジェットプリンタでは超浸透インクが使用されているものがあるが、このインクは毛細管現象でしみ出しやすい特質を有しているため、インク供給口4の開口部から外部にインクがしみ出す虞れがある。本実施の形態によれば、インク供給口4の周辺に溝30が形成されているので、前記開口部からしみ出したインクが溝30に溜まり、該溝30がインク溜まりとしての機能を発揮する。従って、この溝30によってしみ出して来たインクを一旦貯留できる分だけカートリッジ本体の前記一つの面にまでインクがしみ出す時間を長引かせることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インクカートリッジの交換時などに、使用済みインクカートリッジをそのインク供給口を下に向けて置いても、その置かれた箇所にインク供給口が直接接触することがないので、プリンタ台や机の表面またはプリンタ台や机の上に置かれた書類等がインクで汚されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るインクカートリッジの要部縦断面図である。
【図2】図1に示したインク供給口付近の拡大斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係るインクカートリッジのインク供給口付近の示す図であり、(A)は底面図、(B)は斜視図である。
【図4】実施の形態2の変形例に係るインク供給口付近の図であり、(A)は底面図、(B)は斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係るインク供給口付近の拡大斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係るインク供給口付近の拡大斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態5に係るインク供給口付近の縦断面図である。
【符号の説明】
2 ケース
3 インク室
4 インク供給口
5 シールゴム
6 シール膜
7 ピン
8,9,10 突条
20 ピン
21 長尺空間部
22 貫通孔
23 コイルスプリング
30 溝

Claims (2)

  1. 内部にインクが充填され、記録ヘッドに装着されてインク供給口から該記録ヘッドにインクを供給するインクジェット記録装置用インクカートリッジであって、
    前記記録ヘッドから取り外して前記インク供給口を下に向けて置いても、その置かれた箇所に前記インク供給口が直接接触するのを防ぐ手段が設けられ、
    前記手段は、前記インク供給口の開口部近傍に互いに間隔をあけて立設された板状の突条であり、前記立設突条とその被立設面との交差する部分は、該突条の全周にわたって、被立設面の周縁より内側に位置していることを特徴とするインクジェット記録装置用インクカートリッジ。
  2. 内部にインクが充填され、記録ヘッドに装着されてインク供給口から該記録ヘッドにインクを供給するインクジェット記録装置用インクカートリッジであって、
    前記記録ヘッドから取り外して前記インク供給口を下に向けて置いても、その置かれた箇所に前記インク供給口が直接接触するのを防ぐ手段が設けられ、前記手段は、前記インク供給口の周辺に進退自在に設けられた複数個のピンであり、該ピンはインクカートリッジ本体を前記記録ヘッドに装着したときは後退し、前記インクカートリッジ本体を前記記録ヘッドから取り外したときは進出する進退構造に形成されていることを特徴とするインクジェット記録装置用インクカートリッジ。
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