JP3791339B2 - 回転機及び回転機の異常検出方法 - Google Patents

回転機及び回転機の異常検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回転機及び回転機の異常検出方法に係り、例えば水素ガス冷却タービン発電機の如く、回転子と固定子を水素ガスで冷却し固定子コイルを冷却水で冷却するものに好適な回転機及び回転機の異常検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タービン発電機等の回転機は、磁束を介して回転子を固定子と対向して回転させている。回転機においては、容量が大きくなるほど磁束が大きくなり、鉄損或いは銅損などによる発熱量が大きくなる。性能確保或いは小型化のためには、効率的な冷却が必要となってくる。そのため、一般には、水素ガス等の気体媒体に圧力を掛けて回転機内に充満させ、この気体媒体を冷却及び循環させることによって、回転機内を冷却している。さらに、固定子コイル等の部材は発熱が大きく冷却が不充分となりやすいので、純水等の液体冷却媒体を循環させている。これによって、固定子コイル等の発熱部材を集中的に冷却している
【0003】
ところで、純水等の液体冷却媒体が循環する液体冷却通路は、経年変化等により劣化する。特に、固定子コイルの絶縁を維持するための絶縁ホースと呼ばれる部分は、劣化が心配される部材である。一般に、水素等の気体冷却媒体と純水等の液体冷却媒体と比較すると、気体冷却媒体の圧力が高くなるように維持しているので、若干の亀裂が発生しても、圧力差の関係上、液体冷却媒体が噴出することは無い。したがって、劣化が進み亀裂等が大きくなると、重症の部類に至ることとなり、この状態にまで放置されると危険な状態となることが多い。また、大掛かりな補修が必要となり、回転機の停止が必要となる。
【0004】
そこで、液体冷却媒体の循環系統の途中に断面積の大きな容器を配置し、そこで冷却水の流速を減速し、さらに、バッフルの拡散作用によって、冷却水に混入した水素ガスを分離し、その分離された水素ガス量を検出することが、例えば、特開昭51−98079号公報に記載のように、知られている。すなわち、もし、循環系統のどこかに亀裂等が発生すれば、純水に水素が多く混入すると考えたのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術では、混入した水素を分離して水素濃度を検出しているので、水素が液体媒体中に気泡として生成するまでは、検知できない。液体冷却媒体が循環している循環系統等に亀裂等が生じ、気体冷却媒体が液体冷却媒体中に溶けこむと、初期段階では、気泡は生じない。すなわち、飽和量に達するまでは、外見上、何の変化も生じない。また、例え、気泡が発生する段階まで進んだとしても、一般的には気泡が所定の量に達するまでは検出することができない。すなわち、上記の従来技術では、液体媒体に混入した気泡がかなりの量に達するまでは、異常と検知することができない。すなわち、上記の従来技術では、亀裂等がかなり進行した段階となるまで、異常と判断することはできない。
【0006】
本発明の目的は、上記の問題点を克服して、液体冷却媒体の通路における異常を早期の段階で検出することが可能な回転機及び回転機の異常検出方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の回転機は、固定子の固定子コイルに冷却水を供給する配管の途中に、前記冷却水の溶存水素濃度が所定値以上かを検出する溶存水素濃度検出器と、前記冷却水の溶存酸素濃度が所定値以下かを検出する溶存酸素濃度検出器とが設けられ、かつ、前記溶存水素濃度検出器で前記冷却水の溶存水素濃度が所定値以上であること、及び前記溶存酸素濃度検出器で前記冷却水の溶存酸素濃度が所定値以下であることに基づいて異常であることを検出する異常検出手段を備えていることを特徴とする
【0008】
又、上記目的を達成するために本発明の回転機の異常検出方法は、枠体に固定された固定子の固定子コイルに冷却水を供給して冷却すると共に、前記固定子及び該固定子と対向して回転する回転子を収納する前記枠体内に水素を供給して冷却する回転機の異常を検出する際に、前記冷却水の溶存水素濃度が所定値以上であること、及び前記冷却水の溶存酸素濃度が所定値以下であることに基づいて異常であることを検出することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面を用いて説明する。図2は本発明に係る水素ガス冷却タービン発電機本体の全体斜視図であり、発電機1の機内16には、固定子2と回転子3が対向配置され、固定子2には固定子コイル6が巻き回されている。そして、回転子3に機外から回転力が与えられ、磁束を介して固定子2と対向して回転子3が回転することで発電する。
【0013】
図3は図2の水素ガス冷却タービン発電機本体の断面図である。該図において、発電機1の機内16は水素ガスが加圧充満され機内16冷却される。水素ガスは後述する冷却水よりも十分に高い圧力に維持されている。固定子2の固定子コイル6は他部材と比較して発熱が大きい。そのため、冷却配管系統10(入口側)より、絶縁ホース11(入口側)を介して、冷却水を固定子2の固定子コイル6に供給し冷却している。なお、固定子コイル6を冷却し終えた冷却水9は、絶縁ホース11(出口側)及び冷却配管系統10(出口側)より排出される。
【0014】
図1に、図2及び図3に示した水素ガス冷却タービン発電機本体における冷却系統図を示す。上述の通り、回転子3または固定子2を冷却する媒体は2種類あり、それぞれの詳細を順を追って説明する。まず、2種類のうち1つは、機内16における固定子2と回転子3を冷却する水素ガスである。冷却用の水素ガスは、水素ガスボンベ18から水素ガス配管4にて機内16に供給され循環される。
【0015】
もう1つは冷却水で、この冷却水9が固定子コイル6と水配管等で連結された冷却器7や循環ポンプ8を介して、固定子コイル6の中空素線内循環して発熱した固定子コイル6を冷却している
【0016】
固定子コイル6の冷却配管系統10には、電気的絶縁要求される絶縁ホース11があり、また、固定子コイル6の端部には冷却配管系統10と接続する冷却水室があり、接続には金属接合方式が採用されている
【0017】
この金属接合方式は、固定子コイル6の構成部材の銅系ろう材で接合されることが多く、この接合部が永年運転により冷却水にて腐食作用を受けて、水冷却配管系統10と機内16との間に管通孔部が発生する可能性がある。管通孔部が発生すると、機内16を冷却する水素ガスの方の加圧力が高いため、この貫通孔部を介して水冷却配管系統10内に水素が侵入して冷却水中に溶解してしまい、冷却水9中の溶存水素濃度(DH)を大きくする。また、冷却水中への空気の混入による溶存酸素濃度(DO)も、溶存水素濃度(DH)と対比して変化する。これらの溶存水素濃度(DH)や溶存酸素濃度(DO)を検出する溶存水素濃度検出器14及び溶存酸素濃度検出器15は、水冷却配管系統10内に設置されている
【0018】
水冷却配管系統10内には貯水槽12に連結された大気開放管13があり、この大気開放管13で水冷却配管系統10内に侵入した余剰気体(冷却水素ガスや空気など)を発電機1の機外に排出している冷却配管系統10内への侵入による冷却水への飽和溶解度以上の水素ガスは、貯水槽12に連結された大気開放管13から排出される。大気開放管13の途中には、大気に放出される余剰気体に含まれる水素及び酸素を検出するため、水素ガス検出器19及び酸素ガス検出器20が設けられている。
【0019】
貯水槽12の大気17には含有酸素気体が充満される(以下、通気方式と略称する)。含有酸素気体の充満は以下の方法で行われる。負荷変動のある運転においては負荷の大きさによって冷却水温度が変化し、このために貯水槽12内の大気17もこの熱影響を受けて膨張と収縮を繰り返す。膨張時には大気17の一部が大気開放管13から機外に排出される。収縮時には反対に、機外の大気(空気)がこの貯水槽12内に大気開放管13を介して吸入されて、貯水槽12内の大気17の成分となる。この負荷変動が大きいほど貯水槽12内の大気17には、機外の空気がより多く混入されて空気成分が増加して主成分となる。負荷変動が少ない場合には、この大気17中に含有酸素気体の充満を図るために、強制的に貯水槽12内の大気17内に直接、あるいは冷却水中に酸素又は空気等の含有酸素気体を注入する方法が採られる。
【0020】
図4に、溶存水素濃度検出器(DH)14,溶存酸素濃度検出器(DO)15の詳細を示す。冷却水は枠体22の内部に導かれる。枠体22の内部に導かれた冷却水において、冷却水中に溶存する水素はテフロン膜23を通過する。テフロン膜23を通過すると、そこは、電解液24が満たされている。テフロン膜23を通過した水素(H2)は、白金(Pt)製アノード25の表面で酸化され電子を放出する(H2→2H++2e-)。水素濃度に比例した電流がカソード26(Ag/AgCl)に流れ、塩化銀(AgCl)が還元される(2AgCl+2e-→2Ag+2Cl-)。電解液24によって、塩化水素が生成される(2H++2Cl-→2HCl)。アノード25とカソード26の間の電流値が計測され、水素の溶存濃度が測定される。なお、この例では、溶存水素の量の測定を説明したが、溶存酸素の量の測定も同様である。詳細は省略する。
【0021】
上述の通り、水冷却配管系統10と機内16との間に貫通孔部が発生すると、水冷却配管系統10内に水素が侵入して冷却水中に溶解し、異常状態となるが、この異常状態の検出について、図5を用いて説明する。まず、ステップ101で、溶存水素濃度検出器14の出力より、冷却水の溶存水素濃度が1400ppb (飽和溶解度)以上であるか判断する。1400ppb 以下であれば、異常なしと判断し、フローを終了する。冷却水の溶存水素濃度(DH)が1400ppb 以上であれば、さらに、ステップ102で、冷却水の溶存酸素濃度(DO)が50ppb以下であるか判断する。冷却水の溶存酸素濃度(DO)が50ppb 以上であれば、異常なしと判断し、フローを終了する。一方、冷却水の溶存酸素濃度(DO)が50ppb 以下であれば、異常と判断し、ステップ103で、異常を示すランプを点灯させる。このフローは、所定間隔毎(例えば、100ミリ秒毎)に制御コンピュータが実行する。なお、判断に用いた溶存水素及び溶存酸素の数値は、冷却水温度がほぼ43℃〜44℃での場合である。冷却水温度が高かった場合或いは低かった場合は、当然、その温度の飽和量相当の値となる。
【0022】
なお、本実施例では、これらの数値はリレーの警報値の絶対値として設定するには分圧,温度,機器の配管等のパッキング等からの空気の漏れ浸入などをを考慮すると、一時的に、理論とおりに決められない。そこで通気方式,非通気方式ではその機器の運転状態からみてDO,DHの警報値をその機器ごとに、その癖を把握して決める。ここでの警報設定値はそのように数値は一応の目安値である。
【0023】
そこで、例えば、所定値を例えば1分以上継続した場合に、次のステップに進むとしても良い。さらには、所定値と比較する代わりに、各ステップにおいて、勾配或いは増減量を所定の値と比較して、異常を判断しても良い。
【0024】
図5に示した異常判断の具体例を図6を用いて説明する。水冷却配管系統10内の接続部で異常が発生して、水素ガス5が水冷却配管系統10内に侵入した場合の水素ガス漏洩前後の溶存水素濃度(DH)及び溶存酸素濃度(DO)の変化状況を示す。溶存水素濃度(DH)や溶存酸素濃度(DO)はコイル入り口側での測定値である。溶存水素濃度(DH)や溶存酸素濃度(DO)はその時の冷却水温度によって測定値が異なるので各実施例ともほぼ同一温度の場合を示している。
【0025】
水素ガスの漏洩が無く正常な状態では、溶存酸素濃度(DO)はほぼ飽和溶解度(5000ppb )となっている。逆に、溶存水素濃度(DH)は非常に低い値(50ppb )となっている。すなわち、水素ガス漏洩が発生する前には、溶存水素濃度(DH)や溶存酸素濃度(DO)の検出値や、大気開放管13に並列系統で接続した水素ガス検出器19,酸素ガス検出器20での水素ガス、または酸素ガス検出値は一定である。
【0026】
しかし、水素ガス5が水冷却配管系統10内に侵入した時点から、溶存水素濃度(DH)が急増加し、溶存酸素濃度(DO)が急減少する。溶存酸素濃度(DH)は非常に低い値(50PPB)まで減少し、逆に、溶存水素濃度(DO)はほぼ飽和溶解度(1400PPB)まで上昇する。
【0027】
さらに、漏洩が継続すると、大気開放管13に並列系統で接続した水素ガス検出器19,酸素ガス検出器20での水素ガス検出値が急増化し、酸素ガス検出値が急減少する。
【0028】
このことから水冷却配管系統10内の接続部での水素ガス漏洩現象は、冷却水中の溶存水素濃度(DH)や溶存酸素濃度(DO)の検出値の絶対値の傾向管理や大気開放管13からの排気ガス中の水素ガス、または酸素ガス検出値の傾向管理によって明確に判断できる事がわかる。
【0029】
以上のことから、水素ガス5の水冷却配管系統10内への漏洩侵入は、水冷却配管系統10内への溶存水素濃度検出器14の設置並びに溶存酸素濃度検出器15の併設にて、水素ガス漏洩監視することにより、高信頼保全性を確保できる。
【0030】
[第2の実施例]
次に、第2の実施例を説明する。第2の実施例では、貯水槽12における大気17の充満する気体が異なっている。その他の構成は同様である。冷却水中の溶存水素濃度(DH)や溶存酸素濃度(DO)は、貯水槽12内における大気17の組成成分の分圧にしたがってその値が左右される。この気体17を構成する成分の違いによって発電機の運転携帯が2つに分類される。第1の実施例は、いわゆる、通気方式である
【0031】
これに対して、第2の実施例は、いわゆる非通気方式であり、運転中に大気17中に含有する酸素気体を極力少なくする方式である。ここでは非通気方式と略称する。水素ガス冷却タービン発電機の場合、絶縁ホース11を透過した水素ガスが冷却水中に溶解する。特に、負荷変動無い場合、長時間運転されるとこの溶解した水素ガスは、過飽和分が貯水槽12内の大気17中に放出され、貯水槽12内の大気17は、水素ガスが主成分となって構成されるようになる。貯水槽12内の大気17内に酸素ガスが多く混在するようであれば、貯水槽12内の大気17中に酸素不純物の無い水素ガスや窒素ガスなどを強制的に直接、あるいは冷却水を介して注入する方法が採られる。
【0032】
異常検出を図7を用いて説明する。まず、ステップ110で、溶存酸素濃度検出器15の出力より、冷却水の溶存酸素濃度が10PPB以下であるか判断する。冷却水の溶存酸素濃度が10PPB以上であれば異常なしと判断し、フローを終了する。冷却水の溶存酸素濃度が10PPB以下であれば、さらに、ステップ111で、冷却水の溶存水素濃度が1420PPB以上であるか判断する。冷却水の溶存水素濃度が1420PPB以下であれば異常なしと判断し、フローを終了する。一方、冷却水の溶存水素濃度が1420PPB以上であれば異常と判断し、ステップ112で、異常を示すランプを点灯させる。このフローは、所定間隔毎(例えば、100ミリ秒毎)に制御コンピュータが実行する。なお、判断に用いた溶存水素及び溶存酸素の数値は、冷却水温度がほぼ43℃〜44℃での場合である。冷却水温度が高かった場合或いは低かった場合は、当然、その温度の飽和溶解度相当の値となる。
【0033】
具体的な例について、図8を用いて説明する。機内16が正常であると、溶存水素濃度は1400〜1430ppb に維持されている。また、溶存酸素濃度は50ppb に維持される。ここで、水素ガスの漏洩が起こると、溶存水素濃度は上昇し、溶存酸素濃度は下降する。溶存水素濃度が1420PPB〜1450ppb に達し、且つ、溶存酸素濃度が10ppb を下回る。
【0035】
ところで、第1の実施例と同様に、これらの数値はリレーの警報値の絶対値として設定するには分圧,温度,機器の配管等のパッキング等からの空気の漏れ浸入などをを考慮すると、一時的に、理論とおりに決められない。そこで通気方式,非通気方式ではその機器の運転状態からみてDO,DHの警報値をその機器ごとに、その癖を把握して決める。ここでの警報設定値はそのように数値は一応の目安値である。
【0036】
そこで、例えば、所定値を例えば1分以上継続した場合に、次のステップの進むとしても良い。さらには、所定値と比較する代わりに、各ステップにおいて、勾配或いは増減量を所定の値と比較して、異常を判断しても良い。
[第3の実施例]
次に、図9及び図10を用いて、第3の実施例を説明する。第1の実施例及び第2の実施例では、溶存水素濃度検出器14及び溶存酸素濃度検出器15を用いたが、第3の実施例では、腐食電位を用いて、水素ガス漏洩を検出する。その他の部分は同様である。
【0037】
この異常検出については、上述の非通気方式で特に効果が大きい(もちろん通気方式でも可能であることは言うまでも無い)。いわゆる非通気方式では水素ガス5漏洩が発生する前の溶存水素濃度(DH)や溶存酸素濃度(DO)の検出値を、水素ガス5漏洩後の場合と比較すると、図6の場合に比べてそれらの絶対値に大きな差とならない。このように検出値の絶対値の傾向管理だけでは水素ガス5漏洩の有無の明確な判断が難しい事がある。このような場合には、強制的に貯水槽12内の大気17内に直接、あるいは冷却水中に窒素ガス等の非酸素含有ガスを注入し、図9に示すような腐食電位計21を水冷却配管系統10に設置して、腐食電位を測定することにより、冷却水中の水素濃度を検出する。
【0038】
腐食電位については図2に示す溶存水素濃度検出器14と溶存酸素濃度検出器15と同様に、冷却配管と並行に標準電極27を設置したバイパス管と繋げて測定する。図9に示すように、標準電極27を取り付けて、腐食電位測定用金属28の腐食電位を測定した。この場合、溶存水素濃度(DH)を増加させながら、この時の腐食電位(SHE;標準水素電極)を測定した。この値を、図10に示される対象に基づいて水素濃度を求める。
【0039】
これは溶液中に水素が侵入し、水素濃度が変化するに連れ、腐食電位も図10に示すように変化することを利用する方法である。これにより水素ガス5が水冷却配管系統10内に侵入した時点から腐食電位が変化して、水素ガスの漏洩を感度良く検出できる。
【0040】
同様に、腐食電位計を水冷却配管系統10に設置して、腐食電位を測定評価することにより、水素ガス漏洩監視法を補強することができる。
【0041】
溶存水素濃度が1400PPB以上となったとき(通気方式)、或いは、溶存水素濃度が10PPB以下となったとき(非通気方式)、異常と判断できる。同様に、異なる腐食電位計を用いて、溶存酸素濃度を検出し、図5或いは図7に示されるフローを用いて異常検出を行っても良い。
[第4の実施例]
次に、表1に基づいて、第4の実施例を説明する。第1の実施例及び第2の実施例では、溶存水素濃度検出器14及び溶存酸素濃度検出器15を用いたが、第4の実施例では、大気開放管13の気体成分(分圧)を測定することによって、溶存水素濃度及び溶存酸素濃度を測定するのである。その他の部分は同様である。
【0042】
すなわち、大気開放管13に並列系統で水素ガス検出器19及び酸素ガス検出器20が設置されているので、それらのガス成分濃度にて冷却水中の溶存水素濃度(DH)や溶存酸素濃度(DO)の検出と同様に水素ガスの侵入の有無が判断できる。さらに、固定子巻線コイルの冷却配管系統内の貯水槽に連結した大気開放管に水素ガス並びに酸素ガス検出器を設定して、これらのガス濃度分布を測定評価することにより、水素ガス漏洩監視法を補強することができる。
【0043】
まず、大気開放管13の気相中の水素濃度及び酸素濃度を測定する。そして、これらの濃度より分圧を求める。表1に基づき、温度に対する溶解する気体のグラム数を換算する。分圧値及び溶解グラム数を乗じて、冷却水中の溶存水素濃度及び溶存酸素濃度を求める。
【0044】
【表1】
Figure 0003791339
【0045】
表2を例に具体的な例を説明する。温度を20度(摂氏)と仮定する。このときに、表1より、100グラムの水に溶解する水素は0.00016グラムであり、溶解する酸素は0.004339グラムである。一方、大気開放管13の水素及び酸素が、それぞれ、1%及び19%であれば(窒素79%)、分圧は、それぞれ、0.2及び0.01である。したがって、冷却水中の溶存濃度はそれぞれ、溶存水素濃度は0.1603PPMであり、溶存酸素濃度は8.678PPMである。
【0046】
【表2】
Figure 0003791339
【0047】
以上の実施例1〜4によれば、固定子コイルの冷却媒体として純水を使用し、かつ、固定子並びに回転子等の発熱構造材料の冷却媒体として、水素ガスを使用した水素ガス冷却タービン発電機において、固定子コイルの冷却配管系統内への水素ガス漏洩監視用に、固定子コイルの冷却媒体である冷却水中の溶存水素濃度検出器を冷却配管系統内に設置、あるいは溶存酸素濃度検出器を併設設置、さらには冷却配管系統内の貯水槽に連結した大気開放管に水素ガス並びに酸素ガス検出器を設置することにより、高信頼保全性を確保した水素ガス冷却タービン発電機の水素ガス漏洩監視法を提供することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明のとおり、本発明によれば、液体冷却媒体の通路における異常を、早期の段階で検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の回転機の一実施例である水素ガス冷却タービン発電機の水冷却系統図である。
【図2】 本発明の回転機の一実施例である水素ガス冷却タービン発電機本体斜視図である。
【図3】 本発明の回転機の一実施例である水素ガス冷却タービン発電機本体断面図である。
【図4】 本発明の回転機の一実施例である水素ガス冷却タービン発電機に採用される溶存水素濃度検出器を示す図である。
【図5】 本発明の回転機の一実施例である水素ガス冷却タービン発電機の異常検出するフローチャートを示す図である。
【図6】 図5に示した異常検出の具体例を示す特性図である。
【図7】 本発明の回転機の一実施例である水素ガス冷却タービン発電機の異常を検出する第2の実施例におけるフローチャートを示す図である。
【図8】 図7に示した異常検出の具体例を示す特性図である。
【図9】 本発明における水素ガス漏洩を検出する他の検出器の例を示す図である。
【図10】 図9に示した検出器における出力を示す特性図である。
【符号の説明】
1…発電機、2…固定子、3…回転子、4…水素ガス配管、6…固定子コイル、7…冷却器、8…循環ポンプ、9…冷却水、10…水冷却配管系統、11…絶縁ホース、12…貯水槽、13…大気開放管、14…溶存水素濃度検出器、15…溶存酸素濃度検出器、16…機内、17…大気、18…水素ガスボンベ、19…水素ガス検出器、20…酸素ガス検出器、21…腐食電位計、22…枠体、23…テフロン膜、24…電解液25…アノード、26…カソード、27…標準電極、28…腐食電位測定用金属

Claims (2)

  1. 枠体に固定された固定子と、前記枠体内で前記固定子と対向して回転する回転子と、前記固定子の固定子コイルに冷却水を供給する配管と、前記枠体内に冷却用の水素を供給する水素供給手段とを備えた回転機において、前記配管の途中に、前記冷却水の溶存水素濃度が所定値以上かを検出する溶存水素濃度検出器と、前記冷却水の溶存酸素濃度が所定値以下かを検出する溶存酸素濃度検出器とが設けられ、かつ、前記溶存水素濃度検出器で前記冷却水の溶存水素濃度が所定値以上であること、及び前記溶存酸素濃度検出器で前記冷却水の溶存酸素濃度が所定値以下であることに基づいて異常であることを検出する異常検出手段を備えていることを特徴とする回転機
  2. 枠体に固定された固定子の固定子コイルに冷却水を供給して冷却すると共に、前記固定子及び該固定子と対向して回転する回転子を収納する前記枠体内に水素を供給して冷却する回転機の異常を検出する際に、前記冷却水の溶存水素濃度が所定値以上であること、及び前記冷却水の溶存酸素濃度が所定値以下であることに基づいて異常であることを検出することを特徴とする回転機の異常検出方法。
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