JP3791107B2 - 酸化物単結晶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は酸化物単結晶に関し、特に、Ca3 Ga2 Ge4 O14結晶構造を有する酸化物結晶が有する圧電諸特性を利用した圧電応用デバイス用材料および固体レーザー用ホスト材料に用いられる、酸化物単結晶に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビー・ブイ・ミル(B.V.Mill)らによってCa3 Ga2 Ge4 O14化合物が発見され(参考文献:Belokoneva E.L.,SimonovM.A.,Butashin A.V.,Mill B.V.,“Crystal structure of calsium gallogermanate Ca3 Ga2 Ge4 O14=Ca3 Ge(Ga2 Ge)Ge2 O14 andits analog Ba3 Fe2 Ge4 O14=Ba3 Fe(FeGe2 )Ge2 O14 Doklady Akademii Bauk SSSR,vol.255,no.4−6,pp.1099−1104,Dec.,1980)、同結晶構造中の各種陽イオン置換実験の結果、CaサイトをLaに置換し、GeサイトをGaおよびSi、GaおよびNb、GaおよびTa、あるいは、GaおよびZrに置換することにより、La3 Ga5 SiO14、La3 Ga5.5 Nb0.5 O14、La3 Ga5.5 Ta0.5 O14、La3 Ga5 ZrO14をはじめとする、同構造を有する多くの化合物が発見され、これらが圧電性を有することが見いだされている。このうち、特に、La3 Ga5 SiO14(以下「LGS」と略す。)に関しては、チョクラルスキー(Czochralski)法による単結晶化が容易で、現在では直径3インチまでのインゴットの作製が可能となっている。LGSは、水晶に比較して約2倍程度大きい電気機械結合定数を有し、かつ、温度係数が0に近いの結晶方位を有することが判り、さらに小型化が予想される次世代のデジタル移動体通信用圧電デバイスのより小型化を達成するための重要な材料として有望視されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、LGSに関しては、構成元素としてGaを多量に含むため、結晶の融点(約1470℃)においてGa2 O3 からGaOへの分解が始まるために、結晶中のGaの欠損や、このときの酸化還元反応による貴金属るつぼ材の結晶内への混入を招き、圧電特性の劣化を招くことが問題となっている。
【0004】
さらに、LGSに関しては、大きな問題点として、材料の圧電特性等の優位性にも関わらず結晶自体の材料コスト特にGa2 O3 のコストが大幅に高いことが挙げられる。なお、表1に、LGSを構成している原料のコストの一例を示す。
【0005】
【表1】
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、良好な圧電特性を示し、安価な酸化物単結晶を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる酸化物単結晶は、Ca 3 Ga 2 Ge 4 O 14 結晶構造を有する酸化物結晶La 3 Ga 5 SiO 14 において、Gaの一部がAlによって置換された酸化物単結晶であって、一般式La3(Ga5-xAlx)SiO14(ただし、0<x≦0.25)で表される酸化物単結晶である。
課題を解決するためには、結晶を構成するGa元素をより安価な元素に置き換えることが考えられる。具体的には、酸素6配位あるいは4配位のサイトを占有しているGa3+について考えると、Al3+による置換が挙げられる。すなわち、原料となるAl2O3の市販価格が1gあたりの単価でGa2O3の約1/10以下であり、Alの場合Gaと同族の元素であるため、お互いに置換されやすい元素であると考えられる。
【0008】
そこで、まず、LGS結晶を構成しているGa3+をAl3+により完全に置換し、La3 Al5 SiO14結晶の作製を試みた。しかしながら、この構成では主としてLa系のペロブスカイト相主体の多相混合物となり、目的の化合物を得ることはできなかった。
【0009】
そこで、La3 (Ga5-x Alx )SiO14の系においてxをパラメータとし、LGS結晶構造中にAl3+の部分置換を試みることにした。まず、Al3+のLGS結晶構造中の固溶限界量を確認する目的で、1400℃≦T≦1475℃の範囲内にて固相反応を行った。その結果、xが0.0≦x≦3.5の範囲においてランガサイト相が得られた。これらについてAl3+置換量に対する格子定数の変化を調べたところ、図1に示すように、Al3+が置換されることによって格子定数a,cともに低下することが確認され、さらに、x=2.0付近において格子定数a,cともに一定値を示すようになったため、LGS構造中へのAl3+の固溶限界量がx=2.0であることがわかった。
【0010】
つぎに、さらに溶融するまで反応温度を上昇させ生成相を検討したところ、図2のように0.0≦x≦2.0においてLGSよりも融点の高いランガサイト均一相が得られることがわかった。また、これらの結果から0.5≦x≦2.0の範囲内において、液相線がなだらかな頂点を有していることが推察された。
【0011】
そして、La3 (Ga5-x Alx )SiO14の系において、0.0≦x≦3.0についてチョクラルスキー(Czochralski)法により単結晶作製実験を行い、0.0≦x≦2.0の範囲内で単結晶が得られ、良好な圧電特性を示すことを見いだした。以下に、実際の例を参考に説明する。
【0012】
La3 (Ga5-x Alx )SiO14結晶を得るためにxに応じ、出発原料としてLa2 O3 、Ga2 O3 、Al2 O3 およびSiO2 を秤量した後、十分乾式混合を行った。混合物をプレス成形後、外径50mm、高さ50mmのPtるつぼに310g充填し、チョクラルスキー(Czochralski)法により、<001>方位に結晶引き上げ実験を行った。育成したインゴットは、すべて220gであった。表2に育成した結晶のx値と得られた結果を示す。
【0013】
【表2】
【0014】
このように、LGS結晶構造中のGa3+の一部をAl3+に置換することにより、0.0≦x≦2.0の範囲内において単結晶を作製することが可能であることがわかり、この結果、x=2.0結晶の場合、従来のLGSの原料コストに対して、最大30%程度の低減が実現できることがわかった。
【0015】
【作用】
上記の原因について本発明者は以下のように考察している。La3 Ga5 SiO14単結晶は、1化学式中に酸素8配位のサイト3個(La3+が占有)、酸素6配位のサイト1個(Ga3+が占有)、酸素4配位のサイト5個(Ga3+4個、Si4+1個が占有)から構成される。このうちGa3+の占有しているサイトをAl3+により置換すると、Ga3+ガーネット結晶のAl3+置換においても観察されるように、まず、Al3+は酸素6配位のサイトを占有すると考えられる。Al3+置換量xが1.0を越えた場合は、Al3+イオンは、Ga3+が占有している酸素4配位のサイト4個のうちの1個を占有するようになると考えられる。このことは、図2の液相温度がx=1の近傍で最大値をもつことからも推察される。
【0016】
【発明の効果】
この発明によれば、La3 Ga5 SiO14(ランガサイト)について、すなわち、通常デバイスの仕様温度範囲における温度特性の調整が可能となり、従来のLa3 Ga5 SiO14を構成しているGa3+サイトをAl3+に置き換えることにより、結晶自体の材料コストを最大30%程度下げることが可能となる。
【0017】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0018】
【発明の実施の形態】
Ca3 Ga2 Ge4 O14結晶構造を有する化合物La3 Ga5 SiO14についてAlにより置換したLa3 Ga4.5 Al0.5 SiO14単結晶を、以下の実施例のように作製した。
【0019】
(実施例)
出発原料としてLa2 O3 、Ga2 O3 、Al2 O3 およびSiO2 をそれぞれ1570.1g、1355.0g、81.9gおよび193.0gを秤量した後、十分乾式混合した。混合物をプレス成形後、外径100mm、高さ100mmのIrるつぼに充填し、チョクラルスキー(Czochralski)法により<001>方位に結晶引き上げを実施して、結晶を得た。
【0020】
得られた結晶は、La3 Ga5 SiO14に比較して30℃程度融点が高くなったものの、クラックのない高品質のものが得られた。
【0021】
得られた結晶について、電気機械結合定数等を測定した結果、表3に示すように、従来から報告されているLGS結晶の値(参考文献:Kaminski,A.A.,et.al.,Physica Status Solidi a,80.607−620,1983)と比較するとk26およびkt において大きい値を示した。
【0022】
【表3】
【0023】
さらに、この結晶についてSAWフィルターを作製し、同一の伝搬方位にて比較したところ、−20℃から50℃における温度特性は、1ppm/℃以下と良好な値を示した。
【0024】
また、このときの原材料コストとしては、La3 Ga5 SiO14結晶の原材料コストに比較して約7%減少することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】La3 (Ga5-x Alx )SiO14におけるAl置換量xと格子定数a,cとの関係を示すグラフである。
【図2】La3 (Ga5-x Alx )SiO14におけるAl置換量x、焼成温度および生成相等の関係を示すグラフである。
Claims (2)
- Ca 3 Ga 2 Ge 4 O 14 結晶構造を有する酸化物結晶La 3 Ga 5 SiO 14 において、Gaの一部がAlによって置換された酸化物単結晶であって、一般式La3(Ga5-xAlx)SiO14(ただし、0<x≦0.25)で表される、酸化物単結晶。
- 一般式La3(Ga4.75Al0.25)SiO14で表される、請求項1に記載の酸化物単結晶。
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JP09491597A JP3791107B2 (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | 酸化物単結晶 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP09491597A JP3791107B2 (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | 酸化物単結晶 |
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JPH10273398A JPH10273398A (ja) | 1998-10-13 |
JP3791107B2 true JP3791107B2 (ja) | 2006-06-28 |
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JP09491597A Expired - Lifetime JP3791107B2 (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | 酸化物単結晶 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100382160B1 (ko) * | 1999-10-20 | 2003-05-01 | 신건철 | 란가사이트 분말과 그 제조방법 |
JP5174456B2 (ja) * | 2005-03-30 | 2013-04-03 | 株式会社福田結晶技術研究所 | ガレート単結晶及びその作成方法 |
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1997
- 1997-03-27 JP JP09491597A patent/JP3791107B2/ja not_active Expired - Lifetime
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