JP3309479B2 - 圧電磁器 - Google Patents
圧電磁器Info
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Description
セラミックフィルタ、セラミックディスクリミネータな
どの圧電素子、特に、耐熱性が要求される表面実装型の
圧電部品に使用される圧電磁器に関する。
電磁器(圧電磁器組成物)として、従来より、チタン酸
ジルコン酸鉛(Pb(TiXZr1-X)O3)を主成分と
する圧電磁器が広く用いられており、その圧電特性を改
善するために種々の微量添加物を添加した圧電磁器が用
いられている。
に、群遅延時間(GDT)特性が平坦で、位相歪が小さ
いセラミックフィルタ(圧電フィルタ)用の圧電磁器に
は、機械的品質係数Qm値の小さいことが要求される。
さい圧電磁器としては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb
(TiXZr1-X)O3)に添加物として、酸化ニオブ、
酸化アンチモン、酸化タンタルなどを添加した圧電磁器
や、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(TiXZr1-X)
O3)のPb原子の一部をLaなどの希土類元素で置換
した圧電磁器などが知られている。
に微量成分を拡散させた材料として、チタン酸ジルコン
酸鉛にMnを拡散させた材料が報告されている(M.Taka
hashi and S.takahashi ; Japan. J. Appl. phys. Vol.
9, No8, pp.1006 (1970) )。
械的品質係数Qm値の小さい圧電磁器は、アクチュエー
タ用として圧電d定数を増大させたものや、広帯域フィ
ルタ用として電気機械結合係数Kを増大させることを主
たる目的とするものが多く、キュリー温度が低く、耐熱
性が不十分なものが多い。
小さい圧電磁器は、キュリー温度が高いものであって
も、半田付け工程などで温度上昇を伴う場合において
は、圧電磁器の両端に形成した電極間を短絡させたとき
はよいが、開放したときには、電気機械結合係数Kが低
下し、共振・反共振周波数が大きくずれてしまうという
問題点がある。
磁器は、表面実装型のフィルタ素子として使用した場
合、リフロー半田付けの工程で高温(約250℃)にさ
らされると、フィルタ特性が大きく劣化するという問題
点がある。
させた材料(M.Takahashi and S.takahashi ; Japan.
J. Appl. phys. Vol.9, No8, pp.1006 (1970) )では、
共振・反共振周波数の温度特性が悪いという問題点があ
り、フィルタ素子用の材料として用いるには不適当であ
る。
であり、機械的品質係数Qm値が小さく、かつ、耐熱性
に優れた圧電磁器であって、特に、群遅延時間特性が平
坦で位相歪が小さく、かつ、表面実装に対応することが
可能なフィルタ素子用の圧電磁器を提供することを目的
とする。
めに、この発明の圧電磁器は、一般式: Pb{(Ni1/3Nb2/3)XZrYTi1-X-Y}O3 但し、 0≦X≦0.15 0.20≦Y≦0.65 で表される基本組成物のPb原子の8モル%までを、C
a,Sr,及びBaからなる群より選ばれる少なくとも
1種で置換し、さらに、Cr,Sb,W,Fe,及びT
aからなる群より選ばれる少なくとも1種を、それぞれ
Cr2O3,Sb2O3,WO3,Fe2O3,及びTa2O5
に換算して0.10〜1.00重量%添加した組成を有
する圧電磁器に対してMnを熱拡散させたことを特徴と
する。
が、圧電磁器の粒内部より、粒界層に高濃度で存在して
いることを特徴とする。
械的品質係数Qm値が小さく、キュリー温度が高い圧電
磁器に対してMnを含有させることにより、抵抗率を低
下させることを特徴とするものであり、特に、Mnを圧
電磁器中に熱拡散させ、Mnを粒内部よりも粒界層で高
濃度になるように偏在させることにより、その抵抗率を
低下させるようにしたものである。
れを室温に戻したときには焦電電荷が発生する。この焦
電電荷による電場は、圧電磁器の分極方向と反対方向に
発生し、圧電磁器の分極の大きさを減少させる。
せ、圧電磁器の分極の大きさが低下することを防止する
ために、圧電磁器にMnを含有させるものであり、特
に、Mnを、例えば900〜1000℃の温度で熱拡散
させて含有させることにより、圧電磁器の抵抗率を低下
させ、焦電電荷を速やかに内部放電させ、分極方向と反
対方向の電場が長時間印加されることを防止するもので
ある。そして、これにより、残留分極の大きさが減少す
ることを抑制し、共振・反共振周波数の変化量を減少さ
せることができる。
らに具体的に説明する。まず、圧電磁器の構成材料であ
るPbO,SrCO3,BaCO3,CaCO3,Ti
O2,ZrO2,Nb2O5,NiO,Cr2O3,Sb
2O3,WO3,Fe2O3,及びTa 2O5の各原料を表1
に示すような組成となるように秤取し、これに水を加
え、ボールミルを用いて湿式混合する。そして、湿式混
合により得られた混合物を乾燥した後、800〜900
℃で2時間仮焼し、この仮焼材料をボールミルを用いて
湿式粉砕することにより調整粉末を得た。
ルアルコールなどの粘結材を添加し、プレス成形を行な
った後、1150〜1250℃の温度で2時間焼成を行
ない、直径10mm、厚さ1mmの円板状の磁器を得た。こ
の磁器の表面に、MnCO3をワニスで練って作製した
ペーストを筆で塗布し、乾燥させた後、これを900〜
1000℃の温度で2時間加熱して熱拡散処理を施し
た。その後、この磁器を厚さ0.5mmに研磨し、両端面
(両主面)に銀電極を焼き付けした後、80℃の絶縁オ
イル中において2〜3kV/mmの電界で分極処理を行な
い圧電磁器(振動子試料)を得た。なお、比較のため、
上記実施例と同様の方法でこの発明の範囲外の圧電磁器
(振動子試料)を作製した。
ρ,径方向の振動における電気機械結合係数Kp,機械
的品質係数Qmpを測定した。その結果を表1に示す。
3分間入れて加熱処理を施し、両端電極間を開放させた
まま取り出した後、約1時間放置し、共振周波数Fr及
び反共振周波数Faの変化量ΔFr,ΔFaを測定し
た。その結果を表1に示す。
X,Yは、それぞれ下記の式(1): Pb1-VAV{(Ni1/3Nb2/3)XZrYTi1-X-Y}O3+α(wt%)B …(1) における各成分とその添加割合を示している。すなわ
ち、AはPbと置換したCa,Sr,及びBaの少なく
とも1種、Vはその割合(モル比)、BはCr2O3,S
b2O3,WO3,Fe2O3,Ta2O5の少なくとも1
種、αはその割合(重量%)、Xは(Ni1/3Nb2/3)
の割合(モル比)、YはZrの割合(モル比)を示して
いる。
はこの発明の範囲外の圧電磁器(比較例)を示してい
る。
も含めて検討した結果、A(Ca,Sr,Ba)の置換
量Vが合計0.08(すなわち、8モル%)を越えると
キュリー温度が低下するとともに、加熱後の共振・反共
振周波数の変化量ΔFr,ΔFaが大きくなり、耐熱性
が悪化することがわかった。したがって、A(Ca,S
r,Ba)の置換量Vは0.08(8モル%)以内であ
ることが好ましい。
Fe2O3,Ta2O5)の添加量αが0.10重量%未満
の場合、Frの温度変化率Fr−TCが大きくなるなど
の問題があり、また、添加量αが1.00重量%を越え
るとキュリー温度が低下し、耐熱性が悪化することが確
認された。したがって、B(Cr2O3,Sb2O3,WO
3,Fe2O3,Ta2O5)の添加量αは、0.10〜
1.00重量%の範囲にあることが好ましい。
内の試料は、電気機械結合係数Kpが50以上と大き
く、また、耐熱性についても、Fr変化量で0.98k
Hz以内、Fa変化量で−2.10kHz以内と優れて
いる。
試料No.1のようにZr量Yが少ない場合や、試料No.1
3のように、Fe2O3の添加量αが少ない場合には、耐
熱性は良好であるが、電気機械結合係数Kpが大きく低
下する。また、試料No.12のようにZr量Yが多い場
合や、試料No.14のようにFe2O3の添加量αが多い
場合には、キュリー温度が低下するため、耐熱性が悪化
する。さらに、試料No.15のようにPbのSrによる
置換量Vが多い場合にも、キュリー温度が低くなり、耐
熱性が悪化する。また、試料No.2のように、Mn拡散
を行わない場合は、磁器の抵抗が大きく、熱処理時に生
じる焦電電荷を速やかに内部放電できないため、耐熱性
が悪化する。
料)について、透過型電子顕微鏡を用いて粒内部と粒界
層に存在する元素を特性X線のスペクトルにより分析し
たところ、熱拡散により含有させたMnは、圧電磁器
(セラミックス)の粒内部よりも粒界層において高濃度
で分布していることが確認された。このことから、Mn
が圧電磁器の粒界層に偏在することにより、圧電磁器の
比抵抗(抵抗率)ρが低下したものと考えられる。
示すように、加熱後の共振周波数及び反共振周波数の周
波数変化量ΔFr,ΔFaが小さくなっている。しかも
この場合、機械的品質係数QmpはMnを含有しない比
較例の試料(例えば試料No.1)とほとんど変らず、K
pの値は、試料No.1よりもかなり大きくなっており、
この点においても、実施例の圧電磁器はその特性が向上
していることがわかる。
て0.005重量%未満の場合、比抵抗(抵抗率)ρや
周波数変化量ΔFr,ΔFaなどの特性改善の効果が不
十分であり、また、0.900重量%を越えると機械的
品質係数Qmpが大きくなったり、周波数変化量ΔF
r,ΔFaが大きくなったりする傾向があるため、Mn
の熱拡散量は、MnO2に換算して0.005〜0.9
00重量%の範囲にあることが好ましい。
一般式:Pb{(Ni1/3Nb2/3)XZrYTi1-X-Y}
O3(但し、0≦X≦0.15 , 0.20≦Y≦0.
65)で表される基本組成物の、Pb原子の8モル%ま
でを、Ca,Sr,及びBaからなる群より選ばれる少
なくとも1種で置換し、さらに、Cr,Sb,W,F
e,及びTaからなる群より選ばれる少なくとも1種
を、それぞれCr2O3,Sb 2O3,WO3,Fe2O3,
Ta2O5に換算して0.10〜1.00重量%添加した
組成を有する圧電磁器に対してMnを熱拡散させている
ので、電気機械結合係数Kが大きく、かつ、共振周波数
及び反共振周波数の温度変化率、及び機械的品質係数Q
mの値が小さい圧電磁器を得ることができる。
フィルタ(圧電フィルタ)素子に用いた場合、広い周波
数帯域において、群遅延時間(GDT)特性が平坦で、
しかも位相歪が小さいという優れた特性を発揮させるこ
とが可能になり、デジタル信号に対してビット誤りを生
じにくくすることが可能になる。したがって、この発明
の圧電磁器は、デジタル対応の圧電フィルタ素子用の材
料として特に有意義である。
熱後の冷却に対する共振周波数及び反共振周波数の変化
量が小さいという特徴を有している。
は、リフロー半田などにより表面実装されるフィルタ素
子材料として用いられた場合にも、高温(〜250℃)
による特性劣化、特にフィルタの通過帯域のずれ、及び
通過帯域幅の減少割合が小さく、表面実装に十分に対応
することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 一般式: Pb{(Ni1/3Nb2/3)XZrYTi1-X-Y}O3 但し、 0≦X≦0.15 0.20≦Y≦0.65 で表される基本組成物のPb原子の8モル%までを、C
a,Sr,及びBaからなる群より選ばれる少なくとも
1種で置換し、さらに、Cr,Sb,W,Fe,及びT
aからなる群より選ばれる少なくとも1種を、それぞれ
Cr2O3,Sb2O3,WO3,Fe2O3,及びTa2O5
に換算して0.10〜1.00重量%添加した組成を有
する圧電磁器に対してMnを熱拡散させたことを特徴と
する圧電磁器。 - 【請求項2】 前記Mnが、圧電磁器の粒内部より、粒
界層に高濃度で存在していることを特徴とする請求項1
記載の圧電磁器。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP06279793A JP3309479B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 圧電磁器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06279793A JP3309479B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 圧電磁器 |
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JPH06252468A JPH06252468A (ja) | 1994-09-09 |
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Family Applications (1)
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JP06279793A Expired - Fee Related JP3309479B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 圧電磁器 |
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---|---|---|---|---|
JP3791361B2 (ja) * | 2000-08-31 | 2006-06-28 | 株式会社村田製作所 | 弾性表面波素子及び弾性表面波フィルタ |
CN101437777B (zh) | 2006-04-28 | 2013-09-11 | 株式会社村田制作所 | 热电性陶瓷组合物、热电元件以及红外线检测器 |
JP5018649B2 (ja) * | 2008-05-29 | 2012-09-05 | Tdk株式会社 | 圧電磁器、圧電素子及び積層型圧電素子 |
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1993
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