JP3790921B2 - 療養寝衣 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一点を中心に上部、下部が独立して開き、下前身頃が左右のどちらでも上前可能に設定できる療養寝衣に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来病院、施設、または家庭において手術、ギプス、導尿カテーテル、おむつ使用などの療養時に多用されているのは和式寝衣である。
【０００３】
上記の和式寝衣は、前身頃において左右に一枚ずつ大きく打ち合わせ式であるために、おむつ交換等の処理、寝返り、或いは歩行等の下半身の動作によって着崩れる。
【０００４】
止着具を用いず、単に打ち合わせているだけの胸元は、開きやすく不安定であり、直線断ちの和式に特有の身八つ口、広い袖口など開口部が多く保温には不適切であり、また寝衣において袂は不要である。
【０００５】
和式寝衣の場合、常に左前身頃を上に打ち合わせて着用、すなわち左前には着用しない事が慣例であるため、導尿バッグを提げての移動、歩行の際は必然的に着用者の右手側でバッグを維持しなければ、導尿カテーテルによって、打ち合わせが腰紐より下において、大きくはだけてしまう事になる。
【０００６】
さらに、腰紐により打ち合わせを固定することにより、腹部を圧迫し、下半身を巻き込む形状は脚部の動きを妨げ、腰紐、背縫いは蓐瘡の誘引になる。
【０００７】
和式という確立したデザインであるがゆえに、季節、年齢、性別、趣味における選択肢がなく、更衣による気分転換は得られない。
【０００８】
そこで、和式検査着については、胸部検査に必要な上部だけを露出させるという本発明とは課題も異なるが、既存の検査着をウエスト部付近で横方向に２分割したものが提案されているが（特開平１１−２７９８１５）これは上前身頃も打ち合わせ式であり、下前身頃においては左右の連続性がないため、腹部に止着具をもうけて前開きを拘束した上に、上前身頃の下端部が止着に必要な幅のみで上から下へと止着する構造であり、上部下部が一点を中心に独立して開く作用効果は言うに及ばす、下前身頃が左右のどちらにでも上前になる、作用効果も無い。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決して、上部下部が一点を中心に独立して開き、下前身頃が左右のどちらでも上前可能に設定できる療養寝衣を提供する。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、後ろ身頃は一枚からなり、前身頃を腹部と中心で上下左右に４分割し、前全開の上部身頃に打ち合わせ式の下部上端部を重ね合わせ、縫製及び中心部一点に配したボタンと止着具が４枚の身頃を結束、下部は左右のどちらでもが上前になるよう止着具を配し、脇線において前身頃と一体化させたワンピース型とする。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【００１２】
図１は療養寝衣の全体構造を示す正面図、図２は前開にした状態の正面図であり、１は療養寝衣、２は右上前身頃、３は左上前身頃、４は右下前身頃、５は左下前身頃、６は後ろ身頃、７は右袖、８は左袖であり、これらの図では療養寝衣を示す。
【００１３】
この図１、図２では上前身頃を右前で説明しているが、上前身頃を左前にした場合でも全体の構成は同様であり、以下図、および説明については、右前に統一して説明する事とする。
【００１４】
本療養寝衣の右上前身頃２、左上前身頃３は前中心に適宜に配置された止着具１３ａ、１３ａと対となる止着具１３ｂにより着脱自在に結合、止着具には面ファスナー、或いはボタン、スナップ等を用いるため、あらかじめ左前（男性用）右前（女性用）に决定しておく必要があるが、右下前身頃４、左下前身頃５の打ち合わせにおいては、左下前身頃５の止着具、面ファスナー１０ａは右上前身頃２の１０ａと対となる止着具１０ｃまたは右下前身頃４の１０ａと対となる止着具１０ｂのどちらでも止着可能である。
【００１５】
同様に右下前身頃４の止着具、面ファスナー１１ａも左上前身頃３の１１ａと対となる止着具１１ｃまたは左下前身頃５の１１ａと対となる止着具１１ｂのどちらにでも止着可能である。
【００１６】
これによって下前身頃の打ち合わせを、左右自在に上前とすることができる。
【００１７】
この実施の形態では、止着具１０並びに止着具１１は、面ファスナーを使用しているが、止着具１３同様ボタン、スナップ、その他これらに類するものを使用することもできる。
【００１８】
腹部においては、右上前身頃２に右下前身頃４を、同様に左上前身頃３に左下前身頃５を重ね合わせ、それぞれ縫い止まり９まで脇線より縫製されている事を示す。
【００１９】
右上前身頃２に取り付けられたボタン１２は、右下前身頃ボタンホール１４、左下前身頃ボタンホール１５に対のものであり、ボタン１２を右下前身頃ボタンホール１４、左下前身頃ボタンホール１５にかけている事により歩行時等、動作によって、仮に右下前身頃４の止着具１１ａ、左下前身頃５の止着具１０ａが対になっているそれぞれの止着具と剥離した場合においても不用意な露出を防ぐ事ができる。
【００２０】
尚、おむつ交換等の処置においては、通常ボタン１２を外す事なく可能である。
【００２１】
次に他の実施の形態を示す。
図３、図４、図５は本発明をデザイン展開した一例であり、図３はシャツカラーにした一例を示す。
【００２２】
図４は襟、袖口にニットファブリックを用いた一例を示しており、図３、図４のデザインは年齢、性別を問わず幅広く着用できる。
【００２３】
図５は特に女性用にデザイン展開した一例を示しており、この他、襟、袖、身頃等において、タック、ギャザー、フリル、テープ等を用いて多様なデザインの展開を可能とし、また素材、色、柄においても変化を持たせる事により、性別を問わず、また幅広い年齢層に合わせた療養寝衣を提供できる。
【００２４】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ボタン一点を中心に上部下部が独立して前全開するワンピース型の構成にしたことにより、上部下部を別々に開くことができ、着脱が容易であり、おむつ交換がしやすく、介助のあるなしに関わらず、トイレ使用の動作も楽に行える。また、導尿カテーテルを左右のどちら側に導いても、寝衣の裾が乱れる事なく、身体の障害、ベッドの位置、および利き手に合わせて柔軟な対応ができる。多様なデザイン展開が可能であり、回復に必要な精神的満足を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の実施の形態の一例を示す正面図である。
【図２】 図１を開いた状態の正面図である。
【図３】 本発明の別の形態を示す一例である。
【図４】 本発明の別の形態を示す一例である。
【図５】 本発明の別の形態を示す一例である。
【符号の説明】
１ 療養寝衣
２ 右上前身頃
３ 左上前身頃
４ 右下前身頃
５ 左下前身頃
６ 後ろ身頃
７ 右袖
８ 左袖
９ 縫い止まり
１０ａ、ｂ、ｃ止着具
１１ａ、ｂ、ｃ止着具
１２ ボタン
１３ａ、ｂ 止着具
１４ 右下前身頃ボタンホール
１５ 左下前身頃ボタンホール
１６から２１ 削除

Claims (1)

1. 前身頃が腹部と中心で上下左右に４枚からなり、上前身頃の左右は止着具により着脱自在に全開とし、打ち合わせ式の下部を上部の腹部で重なりを持たせ、一部を縫製し中心部に配したボタンと止着具により４枚の身頃を結束、上部下部が一点を中心に独立して開き下部は左右のどちらでもが上前可能になるよう止着具を配し、後ろ身頃と上下前身頃を脇線で縫製して一体化成る事を特徴とする療養寝衣。

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