JP3790004B2 - 液体封入式マウント - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧ショベル等の建設機械のキャブを車体上に防振マウントする技術に係り、特に、キャブの横剛性をアップする液体封入式マウントに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、建設機械は走行のスピードアップが図られているが、一方で建設機械のキャブの快適な居住性、操作性が要求され、走行中のキャブの振動を改善するための高性能なコストの安いキャブマウントが必要になっている。
【0003】
従来からキャブマウントとして、弾性体と減衰液とを使用した液体封入式マウント装置が知られている。
例えば、実開平5−50199号公報によれば、軸線方向が上下方向の小径筒部の下端に、底のある大径筒部を有する形状にケーシング金具を形成し、このケーシング金具内に筒状弾性体を介してスタッドを取り付け、スタッドの下端に減衰板を取り付けるとともに、減衰板を囲む位置のケーシング金具内に減衰液を充填した液体封入式マウントにおいて、減衰板の上面側に弾性材のストッパを取り付けるとともに、そのストッパの位置を規制する鍔材を大径筒部に取り付け、減衰板の下面側にスポンジ状弾性体を取付けた技術が記載されている。
【0004】
また、本特許出願人は、先に特開平6−257638号を出願しており、同公報によれば、それぞれ独立した一方の部材と他方の部材とを、円筒形のマウント用のゴムを介して連結し、前記一方の部材に固着された液体封入室に、減衰液と、前記他方の部材に固着されたダンパプレートとを内蔵する液体封入形防振マウントにおいて、前記円筒形のマウント用ゴムが、内部に挟着して積層状を成す円筒形のプレートを具備する技術が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の実開平5−50199号公報においては、上下方向の変位に対しては減衰板の直径の面積に対して減衰力が働くため、大きな減衰力が得られるが、横方向の変位に対してはストッパゴムの厚さの投影面積にしか減衰力が働かないので横揺れが生じる。
【0006】
また、前記の特開平6−257638号公報においては、マウント用ゴムの内部に円筒形のプレートを積層状に挟着しているため、水平方向のバネ定数が大きくなり横揺れは低減できるが、円筒形のプレートを多重積層して、ゴムマウントとしての性能を維持するためには、円筒形のプレート間寸法の均一化を図る必要がある。このため製作時に治具が必要となり、しかもその治具のセット工数が多くなり、多重積層化による部品費の増大と相まってコストが高くなるという問題がある。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に着目し、マウント用弾性体に、単層の円筒スリーブと円板状のプレート、または、鍔付円筒スリーブを内包して一体的に形成する、あるいはマウント用弾性体に高硬度の弾性体を用いて、バネ定数を高くし、キャブの横剛性をアップすると共に、構造が簡単で製作コストの安価な液体封入式マウントを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用効果】
上記目的を達成するために、本発明に係る液体封入式マウントの第1発明は、運転室の下面に取着されたスタッドと、スタッドの外径に固設された弾性体と、上方端部がスタッドに対して垂直な水平面を有し、かつ、弾性体を収納する小径筒部と、スタッドの下端部に固着する減衰板と、減衰板とともに減衰液を収納し、かつ、小径筒部を内方に収納するとともに、小径筒部の水平面と一体的に結合されて車体に取着される大径筒部とからなる液体封入式マウントにおいて、前記弾性体2内で、かつ、スタッド5と小径筒部4との間に配設された円筒スリーブ7と、円筒スリーブ7の外方で、かつ、小径筒部4の水平面の上方でスタッド5に対して垂直方向に弾性体2内に配設された円板状のプレート8とからなる構成としたものである。
上記構成によれば、弾性体2に内包して一体的に形成する円筒スリーブ7と円板状のプレート8とを設けたので、円筒スリーブ7により水平方向のバネ定数は大きくなる。また、円板状のプレート8により上部ストッパ部の垂直方向のバネ定数は大きくなる。
このため、水平方向の荷重が作用したときは図6に示すように、先ずA負荷点については円筒スリーブ7が有効に働き、次いでB負荷点については円板状のプレート8が有効に働く。
このように、水平方向の荷重を円筒スリーブ7の内外部の弾性体2で受け持ち、次いで、キャブが傾斜して垂直方向の荷重が作用したときは円板状のプレート8の上下部の弾性体2で荷重を受け持ち、キャブの横揺れを防止することができる。
したがって、キャブの横剛性をアップすることができると共に、従来の多重積層スリーブタイプに対して構造が簡素化できるのでコストが安価となる。
【0009】
第2発明は、第1発明の構成において、前記弾性体2の上端部にストッパ部2bを一体的に形成した構成としたものである。
上記構成によれば、弾性体2の上端部のストッパ部2bのバネ定数が大きくなり、更にキャブの横揺れを防止することができる。
したがって、キャブの横剛性を更にアップすることができると共に、従来の多重積層スリーブタイプに対して構造が簡素化できるのでコストが安価となる。
【0010】
第3発明は、運転室の下面に取着されたスタッドと、スタッドの外径に固設された弾性体と、上方端部がスタッドに対して垂直な水平面を有し、かつ、弾性体を収納する小径筒部と、スタッドの下端部に固着する減衰板と、減衰板とともに減衰液を収納し、かつ、小径筒部を内方に収納するとともに、小径筒部の水平面と一体的に結合されて車体に取着される大径筒部とからなる液体封入式マウントにおいて、弾性体15は、スタッド5を包む第1弾性体15aと、この第1弾性体15aの外側に配設する第2弾性体15bとからなり、第1弾性体15a内で、かつ、スタッド5と小径筒部4との間に配設された円筒スリーブ7を備え、前記第2弾性体15bは、円筒スリーブ7の外方で、かつ、小径筒部4の水平面の上方に配設され、前記第1弾性体15aの硬度をHs45°〜60°とし、前記第2弾性体15bの硬度をHs55°〜70°としたものである。上記構成によれば、円筒スリーブ7により水平方向のバネ定数は大きくなる。また、第2弾性体15bにより垂直方向のバネ定数は大きくなる。このように、水平方向の荷重を円筒スリーブ7の内外部の弾性体15,15aで受け持ち、キャブが傾斜して垂直方向の荷重が作用したときは第2弾性体15bで荷重を受け持ちキャブの横揺れを防止することができる。したがって、キャブの横剛性をアップすることができると共に、従来の多重積層スリーブタイプに対して構造が簡素化できるのでコストが安価となる。また、前記弾性体の硬度を上記の範囲内で選ぶことにより、建設機械のキャブの大きさに応じて最適なものにすることができる。
【0011】
第4発明は、第3発明の構成において、前記第2弾性体15bの上端部にストッパ部15cを形成した構成としたものである。
上記構成によれば、弾性体15bの上端部のストッパ部15cのバネ定数が大きくなり、更にキャブの横揺れを防止することができる。
したがって、キャブの横剛性を更にアップすることができると共に、従来の多重積層スリーブタイプに対して構造が簡素化できるのでコストが安価となる。
【0012】
第5発明は、運転室の下面に取着されたスタッドと、スタッドの外径に固設された弾性体と、上方端部がスタッドに対して垂直な水平面を有し、かつ、弾性体を収納する小径筒部と、スタッドの下端部に固着する減衰板と、減衰板とともに減衰液を収納し、かつ、小径筒部を内方に収納するとともに、小径筒部の水平面と一体的に結合されて車体に取着される大径筒部とからなる液体封入式マウントにおいて、前記弾性体16内で、かつ、スタッド5と小径筒部4との間に配設された円筒スリーブ7と、円筒スリーブ7の外方で、かつ、小径筒部4の水平面の上方でスタッド5と同心に弾性体16内に配設された鍔付円筒スリーブ8aとからなる構成としたものである。
上記構成によれば、弾性体16に内包して一体的に形成する円筒スリーブ7と鍔付円筒スリーブ8aとを設けたので、円筒スリーブ7と鍔付円筒スリーブ8aの円筒部8dにより水平方向のバネ定数は大きくなる。また、鍔付円筒スリーブ8aの鍔部8bにより上部ストッパ部の垂直方向のバネ定数は大きくなる。
このため、水平方向に大きな荷重が作用したときは図12に示すように、先ずE負荷点では、円筒スリーブ7と鍔付円筒スリーブ8aの円筒部8dが有効に働き、次いでF負荷点では、鍔付円筒スリーブ8aの鍔部8bが有効に働く。
このように、水平方向の荷重を円筒スリーブ7と鍔付円筒スリーブ8aの円筒部8dの内外部の弾性体16で受け持ち、次いで、キャブが傾斜して垂直方向の荷重が作用したときは鍔部8bの上下部の弾性体16で荷重を受け持ち、キャブの横揺れを防止することができる。
したがって、キャブの横剛性をアップすることができると共に、従来の多重積層スリーブタイプに対して構造が簡素化できるのでコストが安価となる。
【0013】
第6発明は、第5発明の構成において、前記弾性体16の上端部にストッパ部16cを形成した構成としたものである。
上記構成によれば、弾性体16の上端部のストッパ部16cのバネ定数が大きくなり、更にキャブの横揺れを防止することができる。
したがって、キャブの横剛性を更にアップすることができると共に、従来の多重積層スリーブタイプに対して構造が簡素化できるのでコストが安価となる。
【0014】
第7発明は、第5発明の構成において、前記鍔付円筒スリーブ8aは、円筒部8dから延在する鍔部8bを間欠的に複数配設し、かつ、隣合う鍔部8bの間に切欠部8cを有する構成としたものである。
上記構成によれば、鍔部8bの上下で弾性体16が連通しているので、垂直方向のバネ定数が小さくなり、通常の垂直方向の荷重に対して弾性体16が有効に働き、乗り心地を向上させることができる。
したがって、キャブの横剛性をアップさせながら、縦剛性をダウンさせることができると共に、従来の多重積層スリーブタイプに対して構造が簡素化できる。
また、図9,図10に示す如く、弾性体16の成形時に鍔部8bの切欠部8cを通じて弾性体16のゴム素材のストッパ部16cへの廻り込みが容易であり、製造が簡単でコストが安価となる。
【0015】
第8発明は、第5発明の構成において、前記鍔付円筒スリーブ8aの鍔部8bの外径D1 は前記小径筒部4の水平面の上部に形成される弾性体16の外径Dと同一に形成した構成としたものである。
上記構成によれば、図10に示す如く、鍔付円筒スリーブ8aの位置決めに下型17の弾性体16の外径Dを利用できるので、別の位置決め手段を用いる必要がない。
したがって、従来の多重積層スリーブタイプに対して製造が簡単でコストが安価となる。
【0016】
第9発明は、第5発明の構成において、前記スタッド5と前記円筒スリーブ7の間に配設される第3弾性体16aの硬度をHs45°〜60°とし、かつ、前記円筒スリーブ7の外側に配設される第4弾性体16bの硬度をHs55°〜70°とした構成としたものである。
上記構成によれば、弾性体16は第3弾性体16a、第4弾性体16bにより円筒スリーブ7と鍔付円筒スリーブ8aを内包して一体的に形成しているので、水平方向のバネ定数は第1発明よりも大きくしてある。
また、鍔付円筒スリーブ8aの鍔部8bと硬度の高い第4弾性体16bにより上部ストッパ部16cの垂直方向のバネ定数も第1発明よりも大きくしてある。
また、スタッド5と円筒スリーブ7の間の硬度の低い第3弾性体16aと鍔付円筒スリーブ8aの鍔部8bの切欠部8cにより連通した第4弾性体16bとにより、通常時の垂直方向のバネ定数は第1発明よりも小さくしてある。
したがって、第3弾性体16a、第4弾性体16bのゴム硬度を上記の範囲内で選び、組み合わせることにより建設機械のキャブの大きさに応じた最適な水平方向、垂直方向およびストッパ部のバネ定数を得ることができるので、キャブの横剛性をアップさせながら、縦剛性をダウンさせ、キャブの横揺れを防止し、しかも乗り心地を良くすることができる。
しかも、従来の多重積層スリーブタイプに対して製造が簡単でコストが安価となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る液体封入式マウントの第1実施例を図1乃至図6を参照して説明する。
図1は第1実施例に係る液体封入式マウント10の断面図である。図2は図1のZ視図である。図3はケース1の斜視図である。図4は小径筒部の斜視図である。図5はスタッド5、小径筒部4、円筒スリーブ7、円板状のプレート8を内包して一体的に形成する弾性体2の断面図である。図6は水平荷重が作用した時の弾性体2の変形状態図である。
【0018】
先ず、図1に示す、大径筒部1は図3に示すように、カップ部1aは複数の取付孔1bおよび固定爪1cを有する取付板1dとから構成されている。
図4に示す小径筒部4の取付板4cは図1に示す大径筒部1の取付板1dに当接して取付板4cの取付孔4bと取付板1dの取付孔1を整合させて、図示しないボルトで図1に示すように車体30に固着している。
また、図1の大径筒部1の底部には減衰液12を入れるための注入口1eが設けられ、シールベット11で閉じられている。
図1,図5に示すスタッド5は軸方向に、上部にネジ孔5a、下部に減衰板3を取着する凸部5bを有している。
【0019】
図1に示す減衰板3は中心部に取付孔3aが設けられている。この取付孔3aに図5に示す上記スタッド5の凸部5bが挿入され、カシメ等の手段により一体的に固着している。
小径筒部4は図4に示すように、円筒部4aと複数の取付孔4bを有する取付板4cとから構成されている。
【0020】
図1,図5に示す弾性体2は、スタッド5、筒状ケース4、円筒スリーブ7および円板状のプレート8を内包して一体的に形成されている。
図5に示す弾性体2の外周面にはテーパ2aが設けられている。この弾性体2は、図3に示す大径筒部1のカップ部1aの内周面1fに密着している。
また、図1に示すキャブ20が上下に振動中は、弾性体2のストッパ部2bがキャブ20に当接し、弾性体2の下面部が減衰板3に当接するようになっている。
【0021】
図1に示すボルト6の一端にはネジ6bが設けられ、このネジ6bはスタッド5のネジ孔5aに取着している。このボルト6の他端にはネジ6aが設けられており、このネジ6aを用いてキャブ20を固着している。
回り止めピン9の一端はスタッド5の上側に取り付けられ、他端はキャブ20の孔に嵌合している。
【0022】
次に上記構成の液体封入マウントの製作およびキャブとの取付について図1乃至図5により説明する。
(1)弾性体2はスタッド5、小径筒部4、円筒スリーブ7および円板状のプレート8を内包して一体的に形成する。
(2)スタッド5の下端の凸部5bに減衰板3を挿入し一体的に固着している。
(3)一体化した弾性体2を大径筒部1のカップ部1aの内面に挿入し、弾性体2の外周面のテーパ2aをカップ部1aの内周面1fに密着させる。
(4)大径筒部1の取付孔1bと小径筒部4の取付孔4bとを整合して大径筒部1の固定爪1cを小径筒部4の取付板4cの側面を包み込むように折り曲げて、カシメることにより、大径筒部1と小径筒部4を一体化する。
(5)スタッド5のネジ孔5aにボルト6の一端6bをネジ込み固着する。
(6)大径筒部1の注入口1eから減衰液12を入れて、シールベット11で閉じる。
(7)ボルト6の他端6aに図示しないナットでキャブ20を取着している。
この大径筒部1の取付板1bと小径筒部4の取付板4bを図示しないボル
トとナットで車体30に共締めして取着している。
【0023】
次に、第1実施例の図1乃至図5の作動について説明する。
弾性体2は円筒スリーブ7と円板状のプレート8を内包して一体的に形成しているので、円筒スリーブ7により水平方向のバネ定数は大きくなる。
また、円板状のプレート8により上部ストッパ部2bの垂直方向のバネ定数は大きくなる。水平方向の荷重が作用したときは図6に示すように、先ずA負荷点については円筒スリーブ7が有効に働き、次いでB負荷点については円板状のプレート8が有効に働く。従って、水平方向の荷重を円筒スリーブ7の内外の弾性体2で受け持ち、更に水平荷重が作用し、キャブが傾斜して垂直方向の荷重か作用したときは円板状のプレート8の上下部の弾性体2,2bで荷重を受け持つことができる。
したがって、横揺れの発生を防止することができると共に、構造が簡素化してコストが安価となる。
【0024】
次に本発明に係る液体封入式マウントの第2実施例を図7を参照して説明する。尚、図1乃至図5と同一符号を付したものは同一であり、構成および作動説明は省略する。
図7は第2実施例に係る液体封入式マウント10Aの断面図である。
図7は図1で説明した弾性体2の内部分と上部分とでゴムの性質を変えて、一体的に形成し、第1実施例の円板状のプレート8を削除したものである。
すなわち、弾性体15の内部分15aのゴム硬度をHs45°〜60°とし、上部分15bのゴム硬度をHs55°〜70°としている。
【0025】
次に、第2実施例の図7の作動について説明する。
第1実施例に示す円板状のプレート8の上下部で受け持っていた荷重を、第2実施例においては、硬度の高いゴム15bで受け持つことができる。
したがって、第1実施例よりも更に簡単な構造で、キャブの横揺れの発生を防止することができる。
ゴムの硬度を上記の範囲内で選ぶことにより、建設機械のキャブの大きさに応じて最適なものにすることができる。
【0026】
次に、本発明に係る液体封入式マウントの第3実施例を図8乃至図12を参照して説明する。尚、図1乃至図5と同一符号を付したものは同一であり、構成および作動説明は省略する。
図8は第3実施例に係る液体封入式マウント10Bの断面図である。図9は鍔付円筒スリーブ8aの斜視図である。図10は弾性体16の製作型図である。図11は弾性体16の荷重−タワミ特性図である。図12は水平荷重が作用した時の弾性体16の変形状態図である。
図8に示す、弾性体16は、第1実施例の図1に示す弾性体2を改良したものである。この弾性体16は、内側に第3弾性体16aと、外側に第4弾性体16bを有している。この第3弾性体16aと第4弾性体16bは、それぞれゴムの硬度を変えている。
この第3弾性体16aのゴム硬度はHs45°〜60°とし、第4弾性体16bのゴム硬度はHs55°〜70°としている。
また、第1実施例の図1に示す、円板状のプレート8の代わりに、第3実施例では鍔付円筒スリーブ8aを内包して一体的に形成している。
さらに、大径筒部1の内周面1fの内部には、第4弾性体16bの下部に当接する減衰リング1gを配設している。
また、減衰板3の下面に防振スポンジ3bを設けている。これにより、図8に示すキャブ20が上下に振動中は、ストッパ部16cがキャブ20に当接し、第4弾性体16bの下面部が減衰リング1gを介して減衰板3に当接するようになっている。図8,図9に示す、鍔付円筒スリーブ8aは、円筒部8dから延在する鍔部8bを間欠的に複数配設している。この隣合う鍔部8bの間に切欠部8cを有している。
【0027】
次に、弾性体16の製作について図10により説明する。
下型17、中型18、上型19にスタッド5、小径筒部4、円筒スリーブ7および鍔付円筒スリーブ8aをセットし、上型19の注入口19aから第3弾性体16aのゴム素材を注入し、注入口19bから第4弾性体16bのゴム素材を注入する。鍔付円筒スリーブ8aを下型17にセットするとき、鍔付円筒スリーブ8aの外径D1 が第4弾性体16bの外径Dと同一のため、下型17における第4弾性体16bの外径を利用できるので、別の位置決め手段を用いる必要がない。また、鍔付円筒スリーブ8aは、円筒部8dから延在する鍔部8bを間欠的に複数配設し、かつ、隣合う鍔部8bの間に切欠部8cを有しているので、この切欠部8cを通じて第4弾性体16bのゴム素材のストッパ部16cへの廻り込みが容易になっている。
【0028】
次に、第3実施例の図8乃至図10の作動について図11,図12を参照して説明する。
第3実施例の弾性体16は、第3弾性体16aと第4弾性体16bを有して、円筒スリーブ7と鍔付円筒スリーブ8aを内包して一体的に形成している。
このため、第3実施例は、水平方向のバネ定数は図11に示す如く、第1実施例よりも大きくしてある。
また、第3実施例は、鍔付円筒スリーブ8aの鍔部8bと硬度の高い第4弾性体16bを設けたことにより、上部ストッパ部16cの垂直方向のバネ定数は図11に示す如く、第1実施例よりも大きくしてある。
これにより、水平方向の荷重が作用したときは、図12に示すように、先ずE負荷点では、円筒スリーブ7と鍔付円筒スリーブ8aの円筒部8dと硬度の高い第4弾性体16bが有効に働き、次いでF負荷点では、鍔付円筒スリーブ8aの鍔部8bと硬度の高い第4弾性体16bが有効に働く。
したがって、水平方向の荷重を円筒スリーブ7および鍔付円筒スリーブ8aの内外の第3弾性体16a、第4弾性体16bで受持ち、更に水平方向の荷重が作用してキャビンが傾斜し、垂直方向の荷重が作用したときは鍔付円筒スリーブ8aの鍔部8bの上下部の第4弾性体16bおよびストッパ部16cで受け持つことができる。
また、第3実施例はスタッド5と円筒スリーブ7の間には硬度の低い第3弾性体16aが配設され、かつ、鍔付円筒スリーブ8aの鍔部8bの切欠部8cによりストッパ部16cと第4弾性体16bが連通しているので、通常時の垂直荷重に対すバネ定数は図11に示す如く、第1実施例よりも小さくしてある。
したがって、通常の走行時あるいは作業時の垂直荷重に対しては柔軟に応答し、乗り心地がよい。また減衰リング1g、防振スポンジ3bの作用により振動が除去され、更に乗り心地がよくなる。
このように、第3実施例は、さらに横揺れの発生を防止し、しかも乗り心地を良くすることができると共に、構造が簡素化してコストが安価となる。
前記第3弾性体16a、第4弾性体16bのゴムの硬度を上記の範囲内で選び、組み合わせることにより、建設機械のキャブの大きさに応じて最適なマウントにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る液体封入式マウントの断面図である。
【図2】同、図1のZ視図である。
【図3】同、大径筒部の斜視図である。
【図4】同、小径筒部の斜視図である。
【図5】同、スタッド、小径筒部、円筒スリーブ、円板状のプレートを内包して一体的に形成された弾性体2の断面図である。
【図6】同、弾性体に水平荷重が作用した時の変形状態説明図である。
【図7】本発明の第2実施例に係る液体封入式マウントの断面図である。
【図8】本発明の第3実施例に係る液体封入式マウントの断面図である。
【図9】同、鍔付円筒スリーブの斜視図である。
【図10】同、弾性体の製作型図である。
【図11】同、弾性体の荷重−タワミ特性図である。
【図12】同、弾性体に水平荷重が作用した時の変形状態説明図である。
【符号の説明】
1 大径筒部
1g 減衰リング
2,15,15a,15b,16,16a,16b 弾性体
2b,15c,16c ストッパ
3 減衰板
3b 防振スポンジ
4 小径筒部
5 スタッド
6 ボルト
7 円筒スリーブ
8 円板状のプレート
8a 鍔付円筒スリーブ
9 回り止めピン
10,10A,10B 液体封入式マウント
11 シールベット
12 減衰液
20 キャブ
30 車体
Claims (9)
- 運転室の下面に取着されたスタッドと、スタッドの外径に固設された弾性体と、上方端部がスタッドに対して垂直な水平面を有し、かつ、弾性体を収納する小径筒部と、スタッドの下端部に固着する減衰板と、減衰板とともに減衰液を収納し、かつ、小径筒部を内方に収納するとともに、小径筒部の水平面と一体的に結合されて車体に取着される大径筒部とからなる液体封入式マウントにおいて、
前記弾性体(2) 内で、かつ、スタッド(5) と小径筒部(4) との間に配設された円筒スリーブ(7) と、円筒スリーブ(7) の外方で、かつ、小径筒部(4) の水平面の上方でスタッド(5) に対して垂直方向に弾性体(2) 内に配設された円板状のプレート(8) とからなることを特徴とする液体封入式マウント。 - 請求項1記載の液体封入式マウントにおいて、前記弾性体(2) の上端部にストッパ部(2b)を形成したことを特徴とする液体封入式マウント。
- 運転室の下面に取着されたスタッドと、スタッドの外径に固設された弾性体と、上方端部がスタッドに対して垂直な水平面を有し、かつ、弾性体を収納する小径筒部と、スタッドの下端部に固着する減衰板と、減衰板とともに減衰液を収納し、かつ、小径筒部を内方に収納するとともに、小径筒部の水平面と一体的に結合されて車体に取着される大径筒部とからなる液体封入式マウントにおいて、
前記弾性体 (15) は、前記スタッド (5) を包む第1弾性体 (15a) と、この第1弾性体 (15a) の外側に配設する第2弾性体 (15b) とからなり、前記第1弾性体 (15a) 内で、かつ、スタッド (5) と小径筒部 (4) との間に配設された円筒スリーブ (7) を備え、前記第2弾性体 (15b) は、円筒スリーブ (7) の外方で、かつ、小径筒部 (4) の水平面の上方に配設され、前記第1弾性体(15a) の硬度をHs45°〜60°とし、前記第2弾性体(15b) の硬度をHs55°〜70°とすることを特徴とする液体封入式マウント。 - 請求項3記載の液体封入式マウントにおいて、前記第2弾性体(15b) の上端部にストッパ部(15c) を形成したことを特徴とする液体封入式マウント。
- 運転室の下面に取着されたスタッドと、スタッドの外径に固設された弾性体と、上方端部がスタッドに対して垂直な水平面を有し、かつ、弾性体を収納する小径筒部と、スタッドの下端部に固着する減衰板と、減衰板とともに減衰液を収納し、かつ、小径筒部を内方に収納するとともに、小径筒部の水平面と一体的に結合されて車体に取着される大径筒部とからなる液体封入式マウントにおいて、
前記弾性体(16)内で、かつ、スタッド(5) と小径筒部(4) との間に配設された円筒スリーブ(7) と、円筒スリーブ(7) の外方で、かつ、小径筒部(4) の水平面の上方でスタッド(5) と同心に弾性体(16)内に配設された鍔付円筒スリーブ(8a)とからなることを特徴とする液体封入式マウント。 - 請求項5記載の液体封入式マウントにおいて、前記弾性体(16)は、上端部にストッパ部(16c) を形成したことを特徴とする液体封入式マウント。
- 請求項5記載の液体封入式マウントにおいて、前記鍔付円筒スリーブ(8a)は、円筒部(8d)から延在する鍔部(8b)を間欠的に複数配設し、かつ、隣合う鍔部(8b)の間に切欠部(8c)を有することを特徴とする液体封入式マウント。
- 請求項5記載の液体封入式マウントにおいて、前記鍔付円筒スリーブ(8a)の鍔部(8b)の外径(D1)は前記小径筒部(4) の水平面の上部に形成される弾性体(16)の外径(D) と同一に形成したことを特徴とする液体封入式マウント。
- 請求項5記載の液体封入式マウントにおいて、前記スタッド(5) と前記円筒スリーブ(7) の間に配設される第3弾性体(16a) の硬度をHs45°〜60°とし、かつ、前記円筒スリーブ(7) の外側に配設される第4弾性体(16b) の硬度をHs55°〜70°としたことを特徴とする液体封入式マウント。
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