JP4993994B2 - 液体封入式マウント - Google Patents

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Description

本発明は重量物を支持するための液体封入式マウントに関し、例えば、油圧ショベル等の作業用車両におけるキャブと車体との間に装着してキャブを支持するために使用することができる液体封入式マウントに関する。
油圧ショベル等の作業用車両には、作業時や走行時に車体に発生する振動や衝撃が運転席つまりキャブに伝達されるのを防止するために、キャブは液体封入式マウントを介して車体に装着されているものがある。液体封入式マウントは、相対的に微小移動自在となったキャブと車体の一方に固定されるスタッドと、他方に固定されるケースとを有している。ケースの開口端部にはスタッドが組み込まれたゴム材料からなる弾性体が装着されており、ケース内にはシリコーンオイル等の高粘度の減衰液が封入され、スタッドには減衰液に浸される減衰部材が装着されている。
このようにケース内に減衰液が充填された液体封入式マウントには、特許文献1に記載されるように、スタッドが弾性体に固定されて組み込まれたタイプがあり、このタイプの液体封入式マウントは、スタッドに軸方向に加わる荷重と径方向に加わる荷重とが弾性体により支持されることになる。特許文献2には、弾性体に固定されたスリーブに軸方向に移動自在となってスタッドが組み込まれたタイプの液体封入式マウントが記載されており、このタイプの液体封入式マウントはスタッドに軸方向に加わる荷重を支持するためにコイルスプリングがケース内に設けられ、弾性体はスタッドの径方向の荷重を支持することになる。
さらに、液体封入式マウントには、スタッドを弾性体に固定して組み込むとともにケース内にコイルスプリングを設けることにより、スタッドの軸方向の荷重を弾性体とコイルスプリングとにより支持するようにしたタイプがある。このタイプの液体封入式マウントは、弾性体とコイルスプリングとによりスタッドの軸方向の荷重を支持するので、特許文献1に記載されるようにコイルスプリングを設けない場合よりも、軸方向のストロークを大きく取れるとともに、摺動シールを使用しないので密閉性が高い液体封入式マウントとすることができる。
これらの液体封入式マウントはケース内に減衰液が封入されているが、ケース内の圧力を調整しようとするものとして、特許文献3として、ケース内に減衰液つまり粘性液体を満充填した液体封入式防振マウントがある。この液体封入式防振マウントは、荷重を受苛したときに液室を変形させようとする外力によって上昇する内圧について、減衰液を外部へ排出することで内圧の上昇を抑え、荷重が除苛され液室が膨張するときには、不足する減衰液を外部から補充して満充填を維持せんとするものである。
特開平7−224883号公報 特開2002−357238号公報 特開2002−21915号公報
このような液体封入式マウントは、第1の構造体としての車体とその上に配置される第2の構造体としてのキャブとの間に装着され、キャブは車両に対して相対的に微小移動し得るように支持される。これにより、車体よりも上側となるキャブの荷重は弾性体やスプリングにより支持され、弾性体はスタッドの径方向の振動を吸収するとともにその剛性により径方向の変位量を抑制することになる。また、スタッドには減衰部材が装着されており、車体が振動すると減衰部材が減衰液の中を移動して減衰部材に剪断抵抗が発生し、車体からキャブに伝達される振動そのものが吸収、消散され、この減衰特性によりキャブの振動を抑制することができる。
この減衰特性は減衰部材が浸される減衰液の圧力により大きく依存しているということが、発明者の実験研究により解明され、減衰液の圧力によって液体封入式マウントの動的ばね定数も変化することが解明され、液体封入式マウントを製造するにはケース内に封入される減衰液の圧力を最適値に設定して減衰特性と動的ばね定数とにより定まる防振機能を設定する必要があることが判明した。
しかしながら、例えば油圧ショベルにおいては、アームの先端に設けられたバケットを操作して土木作業を行っているときは、作業を行わずに車両を走行させているときと比較すると、車体に加わる振動周波数は低いが車体に大きな荷重が加わることになるので、動的ばね定数と減衰特性とが作業時に最適となるように減衰液の圧力を設定すると、車両走行時のばね定数と減衰特性が最適値とならずに走行時の乗り心地が良くなくなる。逆に、これらの値が走行時に最適となるように減衰液の圧力を設定すると、作業時の防振機能が低下することになる。
本発明の目的は、減衰特性および動的ばね定数を変化させることができる液体封入式マウントを提供することにある。
本発明の液体封入式マウントは、一端に閉塞壁を有し他端に開口端を有するケースと、前記ケースの開口端に固定され、前記ケース内に非圧縮性の減衰液と圧縮性の気体とが封入される密閉室を形成する弾性体と、前記ケースの径方向中央部に位置させて前記弾性体を貫通して組み込まれるスタッドと、前記スタッドの端部に取り付けられる円板部を備え、前記減衰液に浸される減衰部材と、前記減衰部材の前記円板部と前記ケースの前記閉塞壁との間に、一端が前記円板部に接触し他端が前記ケースの前記閉塞壁に接触して配置される荷重支持用のスプリングと、前記ケースに設けられ、前記密閉室内に占める前記気体の容積を変化させる容積変化手段とを有し、前記容積変化手段は、前記スプリングの内側に位置させて前記ケースの内部に配置される円筒部材、または前記スプリングの内側に位置させるとともに少なくとも一部を前記ケースの外部に突出させて前記ケースに配置される円筒部材と、当該円筒部材内に軸方向に往復動自在に組み込まれ前記密閉室に連通する容積調整室を形成するピストンとにより形成され、前記ピストンを軸方向に駆動することにより前記気体の容積を変化させることを特徴とする。
本発明の液体封入式マウントは、前記容積変化手段は、前記円筒部を前記ピストンによって区画された加圧室をさらに備え、前記加圧室に供給され加圧媒体により前記ピストンを駆動して前記気体の容積を変化させることを特徴とする。
本発明の液体封入式マウントは、一端に閉塞壁を有し他端に開口端を有するケースと、前記ケースの開口端に固定され、前記ケース内に非圧縮性の減衰液と圧縮性の気体とが封入される密閉室を形成する弾性体と、前記ケースの径方向中央部に位置させて前記弾性体を貫通して組み込まれるスタッドと、前記スタッドの端部に取り付けられる円板部を備え、前記減衰液に浸される減衰部材と、前記減衰部材の前記円板部と前記ケースの前記閉塞壁との間に、一端が前記円板部に接触し他端が前記ケースの前記閉塞壁に接触して配置される荷重支持用のスプリングと、前記ケースに組み込まれ、前記密閉室内に占める前記気体の容積を変化させる容積変化手段とを有し、前記容積変化手段は、内部に加圧室を内蔵する膨張収縮部材により形成され、前記加圧室に供給された加圧媒体により、前記気体の容積を変化させることを特徴とする。
本発明の液体封入式マウントは、前記膨張収縮部材の少なくとも一部を前記スプリングの内部スペースに設けることを特徴とする。
本発明の液体封入式マウントは、前記容積変化手段は、前記気体の容積を変化させることにより、動的ばね定数を変化させることを特徴とする。
本発明の液体封入式マウントは、前記容積変化手段は、前記スプリングを弾性変形させることなく、前記気体の容積を変化させることを特徴とする。本発明の液体封入式マウントは、前記減衰部材は、前記スタッドに取り付けられる円板部に接続された円筒部を有することを特徴とする。
本発明によれば、ケース内の密閉室に非圧縮性の減衰液と圧縮性の気体とを封入し、気体の容積を変化させるようにしたので、気体の容積を変化させることにより密閉室内における減衰液と気体とからなる流体の圧力を変化させることができる。流体の圧力を変化させると、減衰部材に作用する減衰力と液体封入式マウントの動的ばね定数が変化するので、スタッドとケースとに加わる荷重と振動周波数等に応じて液体封入式マウントの減衰特性と動的ばね定数を変化させることができる。これにより、例えば、液体封入式マウントを油圧ショベル等の作業用車両に搭載すると、作業時と走行時とで相互に減衰特性と動的ばね常数により定まる防振特性を調整することができるので、作業時には動的ばね定数と減衰力を高めて快適な作業を行うことができるとともに、走行時には動的ばね定数を低下させることにより車両の乗り心地を良好にすることができる。
密閉室内の流体の圧力は、自動的に調整するようにしても良く、手動操作で調整するようにしてもよい。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例である液体封入式マウントを示す平面図であり、図2は図1における2−2線拡大断面図である。この液体封入式マウント10aは図2に示すようにケース11を有し、ケース11は円筒部11aとこれの一端に円筒部11aと一体となった閉塞壁11bとを備えている。ケース11の他端は開口端となっており、開口端にはフランジ部11cが一体に設けられている。フランジ部11cは円筒部11aにこれの径方向外方に向けて延びており、図1に示されるようにフランジ部11cの外形はほぼ四角形となっている。
ケース11のフランジ部11cには支持板12が突き当てられており、支持板12は外形がフランジ部11cに対応してほぼ四角形であり、支持板12にはケース11の内部に向けて突出するように円筒部13が一体に形成されている。この支持板12にはケース11の開口端側に挿入されるゴム製の環状ストッパ14が加硫接着され、環状ストッパ14は支持板12に固定支持されている。
支持板12を介してフランジ部11cには取付板15が突き当てられており、取付板15は外形がフランジ部11cおよび支持板12に対応してほぼ四角形であり、取付板15にはケース11の外部に向けて突出するように円筒部16が一体に形成されている。この取付板15にはゴム製の弾性体17が加硫接着されており、弾性体17はその外周部で取付板15に固定支持されている。弾性体17の内面には凹部18が形成され、この凹部18により環状ストッパ14の外面との間にスペースが形成されている。
弾性体17の中央部分にはスタッド21が弾性体17を貫通して組み込まれ、環状ストッパ14とスタッド21との間には隙間22が形成されている。スタッド21は弾性体17に加硫接着により固定されており、スタッド21の外方端面は外部に露出し、外方端面に開口するねじ孔23がスタッド21に形成されている。
支持板12と取付板15とをフランジ部11cに突き当てた状態のもとで、フランジ部11cに設けられた固定爪11dを折り曲げ加工することにより、支持板12と取付板15はフランジ部11cに固定される。それぞれほぼ四角形のフランジ部11c、支持板12、および取付板15の四隅には貫通孔が形成されており、支持板12と取付板15をフランジ部11cに固定すると、それぞれの貫通孔が一致して、図1に示すように、フランジ部11c等からなる積層板の四隅には取付孔24が形成される。支持板12と取付板15をフランジ部11cに固定すると、ケース11の内部はスタッド21が組み込まれた弾性体17により閉塞されてケース11の内部には密閉室25が形成されることになる。この密閉室25は隙間22を介して連通される図2における上側部分と下側部分とを有している。
液体封入式マウント10aが車体とこれの上に配置されるキャブとを有する作業用車両に搭載されるときには、フランジ部11cの取付孔24に取り付けられるボルトによりケース11が車体に固定され、ねじ孔23にねじ結合されるボルトによりスタッド21がキャブに固定される。ただし、車体にスタッド21を固定するようにし、キャブにケース11を固定するようにして液体封入式マウント10aを作業用車両に搭載するようにしても良い。
ケース11の密閉室25内には、シリコーンオイル等からなる非圧縮性の高粘度の減衰液Lが封入されるとともに、圧縮性の空気が気体Gとして封入されるようになっている。
上記減衰液Lは、油圧ショベルなどの作業用車両や大型自動車などのキャブの防振に使用する場合においては、粘度5,000〜300,000mm/s(5,000〜300,000cSt)の範囲の減衰液を適宜使用することが望ましい。
図2に示すように、液体封入式マウント10aをスタッド21がケース11よりも上側となるように車体に搭載すると、減衰液Lよりも比重の軽い気体Gが密閉室25の上側に向かうので、気体Gと減衰液Lとの境界である液面Sは、環状ストッパ14の上側となって弾性体17側に位置することになる。逆に、液体封入式マウント10aをケース11がスタッド21よりも上側になるようにすると、液面Sは閉塞壁11b側に位置することになる。
スタッド21の内方端部は減衰液L内に浸されており、この内方端部には図2に示すように減衰部材26が固定されている。減衰部材26は円筒部26aとこれと一体となった円板部26bとを有し断面がカップ形状となっており、円板部26bはスタッド21に対して径方向に延び、円板部26bには減衰液Lが通過する貫通孔27が形成されている。減衰部材26は、スタッド21の先端部に形成された円筒形状のカシメ部28を円板部26bに形成された取付孔に嵌合された状態のもとでカシメ部28を図2に示すように折り曲げ加工することによりスタッド21に固定される。
減衰部材26とケース11の閉塞壁11bとの間には、図2に示されるように、一端が円板部26bに接触し、他端が閉塞壁11bに接触して圧縮コイルスプリング29がスタッド21に対してほぼ同軸状に装着されている。このコイルスプリング29と弾性体17とによりスタッド21に軸方向に加わる荷重が支持されるので、車体よりも上側のキャブの荷重が支持され、弾性体17によりスタッドの径方向の振動が吸収されるとともにその剛性により径方向の変位量が抑制される。車体が振動すると減衰部材26が減衰液Lの中を移動することになり、減衰部材26に剪断抵抗が加わって車体からキャブに伝達される振動そのものが減衰される。
ケース11の閉塞壁11bの内面にはコイルスプリング29の内側に位置させてシリンダつまり円筒部材31が固定されており、円筒部材31の内部には内周面に沿って軸方向に摺動自在にピストン32が容積変化手段として組み込まれ、ピストン32の先端面と円筒部材31の連通端部とにより密閉室25に連通する容積調整室33が区画形成されている。ピストン32には閉塞壁11bにねじ結合されるねじ部材34が駆動手段として設けられており、ねじ部材34を回転させることにより、ピストン32は軸方向に駆動される。ねじ部材34によりピストン32の軸方向位置を変化させると、容積調整室33の容積が変化する。
ねじ部材34をピストン32に固定させると、ねじ部材34の回転時にはピストン32も回転することになり、ねじ部材34をピストン32に回転自在にその内方端の部分で連結すると、ねじ部材34の回転時にはピストン32は回転することなく軸方向に移動することになる。ねじ部材34の突出端部には六角穴等からなる係合穴35が形成されており、係合穴35に工具を係合させて手動によりねじ部材34を回転駆動させることができるとともに、電動モータ等により回転駆動される回転軸を係合穴35に係合させることによってねじ部材34を自動的に回転駆動させることができる。
ピストン32はスタッド21に向けて最も接近する前進限位置と、スタッド21から最も離反する後退限位置との間を軸方向に移動することができる。ピストン32を前進移動させると、容積調整室33が収縮して密閉室25に占める気体Gの容積が収縮し、圧縮性の気体Gと非圧縮性の減衰液Lとからなる密閉室25内の流体の圧力が高くなる。これに対し、ピストン32を後退移動させて容積調整室33を膨張させると密閉室25に占める気体Gの容積が膨張し、密閉室25内の流体の圧力が低くなる。
建設機械などの作業用車両に使用する場合には、液体封入式マウント10aを組み立てるときに、気体Gの圧力は大気圧かそれに近い圧力に設定することが望ましい。これは、作業用車両に組み付け時に、キャブの自重により気体Gは若干の圧縮状態となるためである。液体封入式マウント10aを組み立て時から過度に高圧に設定した場合には、作業用車両の作動時の衝撃的荷重によって、液室内は更に高圧になり、弾性体17などに負荷がかかることになるので、寿命が短くなり易い。
このように、ピストン32は密閉室25に占める気体Gの容積を変させる容積変化手段を構成しており、気体Gの容積変化により密閉室25内の圧力を任意に変化させることができる。
なお、減衰液Lも圧力が高くなると収縮する性質を有しているが、空気等の圧縮性の気体Gと比較すると、減衰液Lの収縮率は僅かであり、減衰液Lは実質的には非圧縮性とみなされる。圧縮性を有する気体Gの容積を変化させて密閉室25内の流体の圧力を調整することにより容積に応じて高い精度で流体の圧力を調整することができる。
密閉室25内の流体の圧力が変化すると、コイルスプリング29のばね力を変化させることなく、弾性体17とコイルスプリング29と密閉室25内の流体を含めた液体封入式マウント10a全体の動的ばね定数が変化するとともに減衰特性が変化することになる。
図3はピストン32の位置を変化させて密閉室25の圧力を変化させた場合における図2に示す液体封入式マウント10aの動的ばね定数を示す特性線図であり、図4は同様に密閉室25の圧力を変化させた場合における液体封入式マウント10aの減衰特性を示す特性線図である。
図3および図4に示すように、ピストン32の軸方向位置を変化させることにより密閉室25の圧力を符号Aで示す最も高い圧力から、符号Fで示す最も低い圧力まで6段階に変化させて、液体封入式マウント10aに±1mmの振幅で振動を加えて液体封入式マウント10aの特性を測定した。その結果、図3に示すように、密閉室25の圧力を高めると液体封入式マウント10aの動的ばね定数が大きくなり、圧力を低くすると動的ばね定数が小さくなった。また、減衰力は減衰部材26の横方向の受圧面積と密閉室25内の流体の圧力との積に比例しており、図4に示すように、減衰特性を示すtanδは、密閉室25の圧力を高めると大きくなり、圧力を低くすると小さくなった。
したがって、液体封入式マウント10aが搭載された作業用車両においては、作業時には油圧ショベルからの大きな衝撃的荷重により、車体に振幅が大きく数Hz程度のごく低い周波数(一般に1〜5Hz程度)の振動が発生することになるが、密閉室25の圧力を高くすると、この数Hz程度の低い振動数における動的ばね定数はあまり変化がないのに対して、tanδは著しく大きくなり、車体に加わる振動に起因したキャブの振動を抑制することができるとともにキャブの振動を迅速に減衰することができる。これに対して、作業用車両が路面等を走行する際には、車体には作業時よりも小さな荷重が加わり、小さな荷重により振幅が小さく数十Hz程度の周波数(一般に10〜20Hz程度)の振動が発生することになるので、密閉室25の圧力を高い状態のままとすると、車両走行時の振動が抑制されずにキャブに伝達されることから、乗員の乗り心地が低下することになる。しかし、走行時には密閉室25の圧力を低下させると、液体封入式マウント10aの動的ばね定数が小さくなるので、走行時の乗り心地を向上させることができる。
さらに、作業車両がエンジン稼動状態で、停車時し作業もしない状態においては、通常エンジン振動やエンジン振動に起因する騒音などの高周波数の振動(一般に20Hz以上)が加わることになるが、密閉室25の圧力をより低下させることで、動的ばね定数を低くすることができるので、エンジン振動や騒音がキャブへ伝播することを抑制することができる。
液体封入式マウント10aが作業用車両に搭載される場合には、ねじ部材34をモータ等により駆動することにより、作業者がキャブに設けられたスイッチを操作して作業時と走行時とに応じて密閉室25内の流体の圧力を調整し、動的ばね定数と減衰特性とからなる防振特性を調整することができる。また、作業用車両の場合には作業時と走行時では車体に加わる荷重が相違して車体の変位量が相違するので、変位センサを車体に設けることによって、車体の変位量に応じて密閉室25内の圧力を自動的に調整することができる。また、加速度センサや密閉室25内に圧力センサ等を設けて、各センサ等の信号から負荷状況を判断して自動的に調整するようにすることもできる。
ただし、ねじ部材34の手動操作によって密閉室25内の圧力を調整するようにしても良い。ねじ部材34の手動操作により減衰特性等を調整するようにする場合には、同種の液体封入式マウント10aをねじ部材34の調整によって防振特性が相違する複数種類の作業用車両に搭載することができるので、液体封入式マウント10aの製造コストを低減することができる。
図2に示す液体封入式マウント10aにおいてはケース11内に配置される円筒部材31と、減衰部材26の円筒部26aとを接近させてこれらの間に隙間を形成することにより、その隙間を介して振動時に減衰液Lが円筒部26aの内側と外側とを移動することになるので、隙間をオリフィスとして機能させて減衰特性を高めることができる。さらに、コイルスプリング29を取り外して、別手段にて軸方向荷重を支持する構造とすれば、円筒部材31と円筒部26aをより接近させて配置することができ、より狭い間隙とすることができるので、減衰特性をより高めることができる。
図5は本発明の他の実施の形態である液体封入式マウント10bを示す断面図である。この液体封入式マウント10bにおいては、ケース11内には図2に示したコイルスプリング29および環状ストッパ14が装着されておらず、弾性体17によりスタッド21に加わる軸方向の荷重を支持するようにしている。弾性体17は、取付板15にケース11の内部に向けて突出した円筒部16を囲むように加硫接着されており、図2に示した弾性体17よりも軸方向の厚み寸法が大きく設定され、ケース11の円筒部11a内に嵌合されている。スタッド21の内方端に固定される減衰部材26は円板により形成されている。
ケース11の閉塞壁11bには円筒部材31がケース11の外部に突出して取り付けられており、円筒部材31の外方端には端壁部36が円筒部材31に一体に設けられ、他端の開放端は密閉室25に連通している。円筒部材31の内部にはこれの内周面に沿って軸方向に摺動自在にピストン32が組み込まれ、ピストン32の先端面と円筒部材31の開口端部とにより密閉室25に連通する容積調整室33が区画形成されている。ピストン32には端壁部36にねじ結合されるねじ部材34が駆動手段として設けられており、ねじ部材34を回転させることにより、ピストン32は軸方向に駆動される。ねじ部材34によりピストン32の軸方向位置を変化させると、容積調整室33の容積が変化する。したがって、上述した液体封入式マウント10aと同様に、容積調整室33の容積を変化させて圧縮性の気体Gと非圧縮性の減衰液Lとからなる密閉室25内の流体の圧力を変化させることにより、液体封入式マウント10bの動的ばね定数および減衰特性からなる防振特性を変化させることができる。
図6は本発明の他の実施の形態である液体封入式マウント10cを示す断面図である。この液体封入式マウント10cは液体封入式マウント10aと同様にケース11内にはコイルスプリング29が装着されており、弾性体17とコイルスプリング29とによりスタッド21の軸方向の荷重を支持するようにしている。ピストン32が軸方向に摺動自在に装着された円筒部材31は、図2に示す場合と同様に、コイルスプリング29の内側のスペースを利用してケース11内に配置されている。図6に示すように、ピストン32によって円筒部材31は、密閉室25に連通する容積調整室33と、端壁部36側の加圧室37とに区画されている。端壁部36には加圧室37内に加圧流体を供給するための配管38が接続されており、配管38を介して加圧室37に供給される作動油等からなる加圧媒体Mの圧力を調整することによりピストン32の軸方向位置を変化させることができる。ピストン32のスタッド21に向かう方向の軸方向位置は、円筒部材31の内方端に設けられたストップリング39により規制されるようになっている。
このように、ピストン32を加圧室37内に供給される加圧媒体Mを駆動手段としてこれにより駆動する場合には、油圧ピストンや油圧ポンプにより自動的にピストン32の位置を調整移動させることができる。この加圧媒体Mとしては、減衰液Lに対して粘度が低い作動油やエアを使用することによって、ピストン32をすばやく駆動することが可能である。したがって、上述したように、変位センサ等からの信号により自動的に密閉室25内の圧力を調整して防振特性を変化させるようにしたり、作業者のスイッチ操作により防振特性を変化させることができる。
図7および図8は本発明の他の実施の形態である液体封入式マウント10dを示す断面図である。この液体封入式マウント10dは液体封入式マウント10aと同様にケース11内にはコイルスプリング29が装着されている。ケース11内には膨張収縮部材であるベローズ41が容積変化手段としてコイルスプリング29の内側に組み込まれており、ベローズ41の内部には加圧室37が形成されている。ケース11には加圧室37に連通する配管38が接続されており、この配管38から加圧室37内に供給される加圧媒体Mの圧力を調整することにより、密閉室25内に占める気体Gの容積を変化させて密閉室25内の圧力を変化させることができる。図7は加圧室37内の加圧媒体Mの圧力を低くした状態を示し、図8は加圧室37内の加圧媒体Mの圧力を高くした状態を示しており、加圧媒体Mの圧力を高めるとベローズ41が膨張して気体Gの占める容積は、加圧媒体Mの圧力を高める前よりも収縮して密閉室25内の流体の圧力が高められる。これにより、液体封入式マウント10dの防振特性を上述した液体封入式マウント10a〜10cと同様に変化させることができる。
なお、図5に示すようにコイルスプリング29を用いない場合においても、図7および図8に示すようにベローズ41等の膨張収縮部材をケース11内に設けて密閉室25内の圧力を変化させるようにしても良い。
図示するそれぞれの実施の形態においては、スタッド21が弾性体17に加硫接着により固定されて組み込まれているが、特許文献2に記載されるように、弾性体17にスリーブを加硫接着により固定し、スリーブ内にスタッド21を軸方向に移動自在に組み込むようにしても良い。その場合には、スタッド21に加わる軸方向の荷重は減衰部材26とケース11の閉塞壁11bとの間に装着されるコイルスプリング29により支持されることになり、弾性体17はスタッド21の径方向の荷重を支持することになる。
本発明は実施の形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、それぞれの液体封入式マウント10a〜10dは、油圧ショベル等の作業用車両に搭載する場合に限られず、相互に微小移動する2つの構造体における振動の伝達を防止するためであればどのようなものにも適用することができる。また、それぞれの液体封入式マウントにおいては、密閉室25内に減衰液Lと気体Gとを注入することによりケース11内にこれらを封入するようにしているが、ゴム等の弾性変形自在の材料からなり予め気体が封入された多数の袋体を減衰液Lとともにケース11内に供給することにより、多数の袋体内部の気体の容積を変化させるようにして密閉室25の圧力を調整するようにしても良い。
また、上記実施例においては、ケース11を固定爪11dによって取付板15に固定した形態を説明したが、溶接や接着などによって固着しても良いことはもちろんである。また、減衰部材26をスタッド21にカシメ部28によって固定した形態を説明したが、ボルトや溶接などによって固着してもよいことはもちろんである。
本発明の一実施例である液体封入式マウントを示す平面図である。 図1における2−2線拡大断面図である。 図1および図2に示す液体封入式マウントの動的ばね定数を示す特性線図である。 液体封入式マウントの減衰特性を示す特性線図である。 本発明の他の実施の形態である液体封入式マウントを示す断面図である。 本発明の他の実施の形態である液体封入式マウントを示す断面図である。 本発明の他の実施の形態である液体封入式マウントを示す断面図である。 密閉室内の圧力を高めた状態における図7に示す液体封入式マウントの断面図である。
符号の説明
10a〜10d 液体封入式マウント
11 ケース
11a 円筒部
11b 閉塞壁
15 取付板
17 弾性体
21 スタッド
25 密閉室
26 減衰部材
26a 円筒部
26b 円板部
29 コイルスプリング
31 円筒部材(容積変化手段)
32 ピストン(容積変化手段)
33 容積調整室
34 ねじ部材
37 加圧室
41 ベローズ(容積変化手段)
G 気体
L 減衰液
M 加圧媒体
S 液面

Claims (7)

  1. 一端に閉塞壁を有し他端に開口端を有するケースと、
    前記ケースの開口端に固定され、前記ケース内に非圧縮性の減衰液と圧縮性の気体とが封入される密閉室を形成する弾性体と、
    前記ケースの径方向中央部に位置させて前記弾性体を貫通して組み込まれるスタッドと、
    前記スタッドの端部に取り付けられる円板部を備え、前記減衰液に浸される減衰部材と、
    前記減衰部材の前記円板部と前記ケースの前記閉塞壁との間に、一端が前記円板部に接触し他端が前記ケースの前記閉塞壁に接触して配置される荷重支持用のスプリングと、
    前記ケースに設けられ、前記密閉室内に占める前記気体の容積を変化させる容積変化手段とを有し、
    前記容積変化手段は、前記スプリングの内側に位置させて前記ケースの内部に配置される円筒部材、または前記スプリングの内側に位置させるとともに少なくとも一部を前記ケースの外部に突出させて前記ケースに配置される円筒部材と、当該円筒部材内に軸方向に往復動自在に組み込まれ前記密閉室に連通する容積調整室を形成するピストンとにより形成され、前記ピストンを軸方向に駆動することにより前記気体の容積を変化させることを特徴とする液体封入式マウント。
  2. 請求項1記載の液体封入式マウントにおいて、前記容積変化手段は、前記円筒部を前記ピストンによって区画された加圧室をさらに備え、前記加圧室に供給され加圧媒体により前記ピストンを駆動して前記気体の容積を変化させることを特徴とする液体封入式マウント。
  3. 一端に閉塞壁を有し他端に開口端を有するケースと、
    前記ケースの開口端に固定され、前記ケース内に非圧縮性の減衰液と圧縮性の気体とが封入される密閉室を形成する弾性体と、
    前記ケースの径方向中央部に位置させて前記弾性体を貫通して組み込まれるスタッドと、
    前記スタッドの端部に取り付けられる円板部を備え、前記減衰液に浸される減衰部材と、
    前記減衰部材の前記円板部と前記ケースの前記閉塞壁との間に、一端が前記円板部に接触し他端が前記ケースの前記閉塞壁に接触して配置される荷重支持用のスプリングと、
    前記ケースに組み込まれ、前記密閉室内に占める前記気体の容積を変化させる容積変化手段とを有し、
    前記容積変化手段は、内部に加圧室を内蔵する膨張収縮部材により形成され、前記加圧室に供給された加圧媒体により、前記気体の容積を変化させることを特徴とする液体封入式マウント。
  4. 請求項3項記載の液体封入式マウントにおいて、前記膨張収縮部材の少なくとも一部を前記スプリングの内部スペースに設けることを特徴とする液体封入式マウント。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体封入式マウントにおいて、前記容積変化手段は、前記気体の容積を変化させることにより、動的ばね定数を変化させることを特徴とする液体封入式マウント。
  6. 請求項5記載の液体封入式マウントにおいて、前記容積変化手段は、前記スプリングを弾性変形させることなく、前記気体の容積を変化させることを特徴とする液体封入式マウント。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体封入式マウントにおいて、前記減衰部材は、前記スタッドに取り付けられる円板部に接続された円筒部を有することを特徴とする液体封入式マウント。
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