JP3789961B2 - 負荷遮断時にガスタービンの回転数を制御する方法及び該方法を実施するための装置 - Google Patents

負荷遮断時にガスタービンの回転数を制御する方法及び該方法を実施するための装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービンの燃焼室への燃料導管が制御弁及びバーナ制御弁を介して制御可能であり、該燃焼室が前混合バーナで運転されている形式のガスタービンにおいて、負荷遮断時にガスタービンの回転数を制御する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の方法は公知である。制御装置内の欠陥、ボイラ水供給に伴う問題、消費機の突然の遮断といったガスタービン運転の故障の場合には、ガスタービンを直ちに電流網から切り離して発電機の遮断機を開放しなければならない。この負荷遮断という上述の作業により、タービンの回転数が負荷の欠落によって上昇する。ガスタービンの回転数を制御下におくことができるようにするため、燃料の供給は制御弁によって絞られるけれども、燃焼室内の火炎を完全に消火させてはならない。ガスタービンに生ずる応力を低下させかつ故障復旧後に装置を迅速に電力網につなぐことができるようにするためには、ガスタービンを公称回転数に保持するのが有利である。
【0003】
従来使用されてきた拡散形バーナの場合には、その火炎が燃料と空気との間の広範な混合特性に亘って安定しているので、燃料供給の制御ひいては回転数の制御は制御弁を介して行われて、問題は全く発生していない。しかし有害排出物、とりわけ窒素酸化の排出を低下させるため、拡散形バーナは既存の装置内で前混合バーナによって取り替えられるようになった。この前混合バーナは空気割合の非常に高い油の貧化した状態で運転されるので、窒素酸化物の排出量は極めて僅かである。しかしその火炎は燃料と空気との間の狭い混合割合の場合にだけ安定しているため、負荷遮断の場合には制御弁に高度な要求が課せられる。装置内の既存の制御弁は、通常は充分正確に制御することができず、従ってこのような要求に耐えうるように設計されていない。つまり制御弁を取り換える必要があるが、これには長い時間がかかりひいては大変なコスト高になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式の方法において、長い時間が必要でコストの嵩む既存の制御弁の取替えを行わなくて宜いようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前混合バーナの1部分を空運転前混合バーナとして使用しかつ残りの部分を主バーナとしてだけ運転し、負荷遮断時には、主バーナをバーナ制御弁を用いて遮断し、かつ空運転前混合バーナに制御されたバイパス導管を介して燃料を供給することによって、上記課題を解決することができた。
【0006】
【発明の効果】
本発明の主要な利点は、バイパス導管を組み込むことによって、ガスタービンの平常運転のための既存の制御弁を更に利用することができて、該弁を取り替える必要がないという点にある。既存の制御弁が不都合な制御特性を有していても、無負荷運転の場合にはバイパス導管とバイパス弁とによってガスタービンを公称回転数に保持することができる。その場合、夫々の制御弁の特性に対応して、一方は迅速に開放し他方は緩慢に閉じる、2つの異なった型式のバイパス弁が使用されていると有利である。更に燃料の質量流れをバイパス導管によって所要の質量に調節する貫流制限部、所謂絞りを有している場合は特に有利である。
【0007】
更にコスト及び時間を節約するのに特に有利なのは、バイパス導管を燃料導管の既存のフランジに固定することである。これらのフランジは、測定や観察を行う目的でいずれにしろ燃料導管に取り付けられているものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
図面には本発明の実施例が、ガスタービンと概略の燃料導管と燃焼室の部分縦断面との概略図に基いて図示されている。
【0009】
図面には、本発明の理解のために重要な部材だけが図示されている。発電機やガスタービン装置のその他の部材は図示されていない。
【0010】
ガスタービン装置は主として、圧縮機30と、図示されていない軸を介して結合されているガスタービン31と、燃焼室10とから成っている。概略図示された圧縮機30は空気32を吸引してこれを圧縮し、圧縮された空気9は、この例で使用されているサイロ燃焼室10の高圧室13に導かれる。高圧室13から圧縮された空気9は、空気と燃料とが供給されている前混合バーナ11を介して燃焼室14内に入り、該燃焼室14内で燃料と空気との混合体が燃焼させられる。発生した熱風15がガスタービン31内に導かれ、その位置で放圧されて、熱風のエネルギの1部分が回転エネルギに変換される。発生した廃ガス33は図示されていない煙突を介して排出される。
【0011】
概略的に図示された前混合バーナ11は、例えばヨーロッパ特許第0321809号明細書で公知のバーナと同一の、所謂複円錐形バーナである。複円錐形バーナは主として中空円錐状の2つの部分部体から成り、該部分部体は流れ方向でみて相互に入り混ってはめ込まれている。その際両部分部体の夫々の中心軸線は相互にずらされている。両部分部体の隣接する壁部は、その長手方向でみて接線状の、圧縮空気9のためのスリット16を形成し、該スリット16はこのような型式でバーナ内部に到達している。この位置に液体燃料のための第1燃料ノズルが配置されている。燃料は鋭角を成して中空円錐体内に噴射される。発生した円錐形の燃料輪郭は接線状に流入する空気9によって取り囲まれる。軸方向でみて燃料の濃度は、圧縮空気との前混合に基いて連続的に減少する。このためバーナがガス状の燃料で運転される場合には、両部分部体の壁部内の接線状のスリット16の領域内に、長手方向に分配されたガス流入開口が設けられている。従ってガス運転の場合には、燃焼空気との混合気の形成が入口スリット16のゾーン内で既に開始される。このような形式で2種類の燃料を用いた混合運転を行いうることが判るであろう。燃料出口12では燃料の負荷された円形リング状の横断面に亘って、可能な限り均一な燃料濃度が達成される。また燃料出口12には規定された球面状の逆流ゾーンが発生し、その先端部において点火が行われる。
【0012】
図面には燃料導管が概略的に図示されている。1つの燃料導管8が緊急遮断のために使用される緊急遮断弁7を介して制御弁5に案内されている。その位置から燃料導管は、分岐部23に導かれ、該分岐部23から無負荷運転前混合バーナ11aに、またバーナ制御弁6を介してその他の前混合バーナ11に夫々開口している。
【0013】
制御弁5は、フランジ21及び22に取り付けられたバイパス導管3によってバイパスされている。バイパス導管3内には第1バイパス弁1、第2バイパス弁2及び所謂絞りである貫流制限部4が設けられている。
【0014】
ガスタービンの通常運転時には、第2バイパス弁2が閉じられていて、第1バイパス弁1、バーナ制御弁6及び緊急遮断弁7が開放されている。燃料の質量流れひいてはガスタービンの回転数は、制御弁5を介して制御される。制御弁5が絞られると燃料の質量流れが減少してバーナ出力が低下し、そのためにガスタービンの回転数が低下する。
【0015】
負荷遮断が発生すると、出力が搬出されないのでガスタービンの回転数が上昇する。バーナ制御弁6が直ちに閉じられて無負荷前混合バーナ11aだけが運転されるようになる。同時に制御弁5は回転数を公称回転数に低下させようとして閉鎖する。無負荷運転前混合バーナ前方の燃料圧力が所要圧力以下に低下して火炎が消火しないようにするために、第2のバイパス弁2が瞬時に開放される。今度はバイパス導管3が無負荷運転前混合バーナに燃料を供給し、その際絞り4を介して運転に必要な燃料量に調節される。数秒の後ガスタービンの回転数が公称回転数で安定したならば直ちに、第1バイパス弁1がゆっくりと閉じて制御弁5が後から制御されるようになる。第1バイパス弁1が完全に閉じられた場合に、制御弁5が再びガスタービンの運転の制御を受持つようになる。
【0016】
その後第2バイパス弁2が閉じて第1バイパス弁1が開放される。このようにしてガスタービンは再び通常運転のために、また次の負荷遮断のために準備される。
【0017】
勿論本発明は図示されて説明された方法に限定されるものではない。バイパス導管の構成、燃料導管における固定部並びにバイパス弁の数は任意である。前提条件は、制御弁がバイパスされており、またバイパス導管が迅速に開放でき、それに対応して制御弁を閉じることができるようになっているということである。バーナの制御のためには複数の制御弁及び燃料制御弁を使用することができるが、その場合はバイパス導管の数が、要求に適合していなければならない。
【0018】
勿論本発明の方法は、リングバーナ室やサイロバーナ室のような夫々の可能性のある燃焼室型式に対してもこれを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の概略図である。
【符号の説明】
1 第1バイパス弁
2 第2バイパス弁
3 バイパス導管
4 流れ制限部/絞り
5 制御弁
6 バーナ制御弁
7 緊急遮断弁
8 燃料導管
9 圧縮空気
10 燃焼室
11 前混合バーナ
12 バーナ出口
13 高圧室
14 燃焼室
15 熱風
16 接線状スリット
21,22 フランジ
23 分岐部
30 圧縮機
31 ガスタービン
32 空気入口
33 廃ガス

Claims (2)

  1. ガスタービンの燃焼室(10)への燃料導管(8)が制御弁(5)及びバーナ制御弁(6)を介して制御可能であり、該燃焼室(10)が前混合バーナ(11)で運転されているガスタービン、負荷遮断時にガスタービンの回転数を制御する方法において、前記前混合バーナ(11)の1部分を空運転前混合バーナ(11a)として使用しかつ前記前混合バーナ(11)の残りの部分を主バーナとしてだけ運転し、負荷遮断時には、主バーナを前記バーナ制御弁(6)を用いて遮断し、前記空運転前混合バーナ(11a)に、前記制御弁(5)をバイパスする制御されたバイパス導管(3)を介して燃料を供給し、負荷遮断時に前記燃料導管(8)内の前記制御弁(5)を閉鎖し、前記バイパス導管(8)内の第 1 のバイパス弁(1)を完全に開放したままにしておき、該バイパス導管(3)内の第2のバイパス弁を急激に開放することを特徴とする、負荷遮断時にガスタービンの回転数を制御する方法。
  2. 請求項1に記載の方法を実施するための装置であって、燃料導管(8)に接続されている燃焼室(10)を有し、前記燃料導管(8)に制御弁(5)が配置されている形式のガスタービンにおいて前記制御弁(5)をバイパスする制御されたバイパス導管(3)が設けられており、該バイパス導管(3)内に2つのバイパス弁(1,2)が、該バイパス弁(1,2)の間にあって、空運転燃料量を調節するために役立っている絞り(4)と共に配置されていることを特徴とする、負荷遮断時にガスタービンの回転数を制御する装置。
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