JP3789859B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌等に搭載される自動変速機の油圧制御装置に係り、詳しくは、正常時に同時に係合することがない複数の摩擦係合要素の油圧サーボに供給される油圧を同時に入力した際、故障時位置に切替えられる故障時切替えバルブを備えた油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動変速機においては、所定の3つの摩擦係合要素(例えばクラッチC1、クラッチC2、及びブレーキB1)が同時に係合することを、通常の変速状態で行わないものがある(例えば入力回転が2つのクラッチより入力される状態、いわゆる直結回転状態でブレーキを作用させることがないため)。このような自動変速機の油圧制御装置においては、故障(以下、「フェール」とする。)時に上述した3つの摩擦係合要素が同時に係合する状態となると、そのうちの1つの摩擦係合要素(例えばブレーキB1)の供給油圧を遮断するように切替えられて、つまり3つの摩擦係合要素が同時に係合することを防止するフェールセーフ用のバルブが設けられているものがある。
【0003】
従来、このようなフェールセーフ用のバルブにおいては、正常時に遮断されている1つのポートに、例えば走行中に常時発生する油圧(ライン圧、或いはレンジ圧など)が入力されており、故障時に切替えられると該ポートが他のポートと連通して上記油圧を故障時用信号圧として出力し、該故障時用信号圧により他の切替えバルブを切替えるなどによって上記1つの摩擦係合要素(例えばブレーキB1)の供給油圧を遮断するようにすることで、その摩擦係合要素(例えばブレーキB1)を解放(係合しないように)することでフェールセーフを行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記フェールセーフ用のバルブは、一方からライン圧が作用するように入力し、かつ他方から上記3つの摩擦係合要素の油圧サーボに供給される油圧が対向作用するように入力し、上述したように3つの摩擦係合要素が同時に係合する状態、つまり3つの油圧サーボに油圧が供給されると、入力されているライン圧に対向作用する形で切替えられる。この同時に係合する状態では、摩擦係合要素の摩擦板に負担が生じるなどの虞があるため、それら3つの油圧を同時に入力した際は、最小限の油圧で(即ち、敏感に)切替えられる必要がある。
【0005】
しかしながら、該フェールセーフ用のバルブは、上述のように最小限の油で切替えられるように設けると、正常時であって、2つの摩擦係合要素が同時に係合している状態であっても、ライン圧と2つの摩擦係合要素の油圧サーボの油圧との油圧変化の応答性の違いによって(つまり2つの油圧サーボの油圧がライン圧より一時的に上回って)切替えられてしまう虞があり、該フェールセーフ用のバルブは、誤って上述した故障時用信号圧を出力してしまう虞があった。また、特に該フェールセーフ用のバルブが切替えられた際に、いわゆるハンチングを起こさないため、解放される摩擦係合要素の油圧サーボの油圧の代わりにライン圧を入力して故障時位置に保持されるようなものであると、上記2つの摩擦係合要素の油圧サーボの油圧のどちらかが排出されるまで故障時用信号圧を出力し続け、上記1つの摩擦係合要素の係合が必要な変速が行えない虞もあった。
【0006】
そこで本発明は、故障時切替えバルブが、所定状態で、かつ故障時位置に切替えられた際に、故障時用信号圧を出力するように構成し、もって上記課題を解決した自動変速機の油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は、正常時に同時に係合することがない複数の摩擦係合要素(C−1,B−1,C−2)の油圧サーボ(6,7,8)に供給される油圧を同時に入力した際、故障時位置に切替えられる故障時切替えバルブ(5)を備えた自動変速機の油圧制御装置(1)において、
所定状態で信号圧(Psr)を出力するソレノイドバルブ(SR)と、
前記複数の摩擦係合要素(C−1,B−1,C−2)のうちの1つの摩擦係合要素(B−1)の油圧サーボ(7)に油圧を供給する油路(g1,k1,k2,k3)に介在し、前記ソレノイドバルブ(SR)の信号圧(Psr)を入力した際に該油路(g1,k1,k2,k3)を連通させる切替えバルブ(3)と、を備え、
前記故障時切替えバルブ(5)は、前記ソレノイドバルブ(SR)の信号圧(Psr)を入力する入力ポート(5b)と、前記故障時位置に切替えられた際に前記入力ポート(5b)に連通する出力ポート(5c)と、を有し、
前記故障時切替えバルブ(5)は、前記所定状態で、かつ前記故障時位置に切替えられた際に、前記出力ポート(5c)より前記ソレノイドバルブ(SR)の信号圧(Psr)故障時用信号圧(Pf)として出力し、
前記切替えバルブ(3)は、前記故障時用信号圧(Pf)を入力した際に前記油路(g1とk1との間)を遮断する、
ことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
【0008】
請求項2に係る本発明は、前記故障時切替えバルブ(5)は、前記故障時位置に切替えられた際に、前記ソレノイドバルブの信号圧(Psr)を入力して前記故障時位置を保持する油室(5f)を有してなる、
請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記所定状態は、前記1つの摩擦係合要素(B−1)を係合、あるいは係合しようとする状態である、
請求項1または2記載の自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
【0010】
請求項4に係る本発明は、前記所定状態は、前記1つの摩擦係合要素(B−1)を係合すると共に、前記複数の摩擦係合要素のうちの他の1つの摩擦係合要素(C−1)を解放した状態である、
請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
【0011】
請求項5に係る本発明は、前記所定状態は、前記1つの摩擦係合要素(B−1)と、前記複数の摩擦係合要素のうちの他の1つの摩擦係合要素(C−1)と、の掴み替えを行う状態である、
請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
【0012】
請求項6に係る本発明は、第1の制御圧(PSL1)を調圧自在な第1のリニアソレノイドバルブ(SL1)と、
前記第1のリニアソレノイドバルブ(SL1)の第1の制御圧(PSL1)に基づき前記他の1つの摩擦係合要素(C−1)の油圧サーボ(6)に供給される油圧を調圧自在な第1のコントロールバルブ(4)と、を備えてなる、
請求項4または5記載の自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
【0013】
請求項7に係る本発明は、第2の制御圧(PSL2)を調圧自在な第2のリニアソレノイドバルブ(SL2)と、
前記第2のリニアソレノイドバルブ(SL2)の第2の制御圧(PSL2)に基づき前記1つの摩擦係合要素(B−1)の油圧サーボ(7)に供給される油圧を調圧自在な第2のコントロールバルブ(2)と、を備えてなる、
請求項4ないし6のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
【0014】
請求項8に係る本発明は、前記自動変速機は、少なくとも前記複数の摩擦係合要素(C−1,B−1,C−2)の接・断によって伝達経路を変更して複数の変速段(例えば前進5速段後進1速段)を形成する有段自動変速機(30)であり、
前記所定状態は、最高変速段(例えば前進5速段)の状態である、
請求項1ないし7のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
【0015】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0016】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、ソレノイドバルブの信号圧を入力した際に1つの摩擦係合要素の油圧サーボに油圧を供給する油路を連通させる切替えバルブは、故障時切替えバルブによって、所定状態で、かつ故障時位置に切替えられた際に、出力ポートよりソレノイドバルブの信号圧故障時用信号圧として出力されて、該故障時用信号圧が入力された際に該油路を遮断するので、ソレノイドバルブの信号圧が出力されて上記1つの摩擦係合要素を係合させている際、即ち、複数の摩擦係合要素が同時に係合し得る際に、例えばそれら複数の摩擦係合要素が同時に係合する故障が生じても、故障時切替えバルブにより故障時用信号圧を出力して、該1つの摩擦係合要素を解放することができるものでありながら、ソレノイドバルブの信号圧が出力されずに該1つの摩擦係合要素の係合をしていない際、特に他の複数の摩擦係合要素が係合している際であっても、故障時用信号圧を出力しないようにすることができる。
【0017】
請求項2に係る本発明によると、故障時切替えバルブは、故障時位置に切替えられた際に、ソレノイドバルブの信号圧を入力して故障時位置を保持する油室を有しているので、所定状態にて複数の摩擦係合要素が同時に係合する状態が発生しそうになった際には、故障時位置に保持され、いわゆるハンチングを防ぐことができるものでありながら、ソレノイドバルブの信号圧に基づき故障時位置に保持されるので、所定状態でなく、該信号圧がソレノイドバルブにより出力されていない際、即ち1つの摩擦係合要素が解放されている際には、故障時位置に保持されないようにすることができる。それにより、例えばその後の変速において、故障時用信号圧が出力されていないため、上記1つの摩擦係合要素の係合が必要な変速を行うことができる。また、ソレノイドバルブの信号圧が出力されている際に故障時切替えバルブが故障時位置に切替えられると、該故障時位置に保持されてしまうが、その後、所定状態でない状態、即ちソレノイドバルブが信号圧を出力しない状態になると、1つの摩擦係合要素が解放されると共に、故障時位置での保持を解除することができる。
【0018】
請求項3に係る本発明によると、前記所定状態は、1つの摩擦係合要素を係合、あるいは係合しようとする状態であるので、複数の摩擦係合要素が同時に係合し得る際に、例えばそれら複数の摩擦係合要素が同時に係合する故障が生じても、故障時切替えバルブにより故障時用信号圧を出力して、該1つの摩擦係合要素を解放することができるものでありながら、該1つの摩擦係合要素の係合をしていない際、特に他の複数の摩擦係合要素が係合している際であっても、故障時用信号圧を出力しないようにすることができる。
【0019】
請求項4に係る本発明によると、所定状態は、1つの摩擦係合要素を係合すると共に、複数の摩擦係合要素のうちの他の1つの摩擦係合要素を解放した状態であるので、複数の摩擦係合要素が同時に係合する状態が生じる可能性があるが、それら複数の摩擦係合要素が同時に係合する状態が生じそうになっても、故障時切替えバルブにより故障時用信号圧を出力して、1つの摩擦係合要素を解放することができ、同時に係合する状態を防ぐことができる。
【0020】
請求項5に係る本発明によると、所定状態は、1つの摩擦係合要素と複数の摩擦係合要素のうちの他の1つの摩擦係合要素との掴み替えを行う状態であるので、複数の摩擦係合要素が同時に係合する状態が生じる可能性があるが、それら複数の摩擦係合要素が同時に係合する状態が生じそうになっても、故障時切替えバルブにより故障時用信号圧を出力して、1つの摩擦係合要素を解放することができ、同時に係合する状態を防ぐことができる。
【0021】
請求項6に係る本発明によると、第1の制御圧を調圧自在な第1のリニアソレノイドバルブと、該第1の制御圧に基づき他の1つの摩擦係合要素の油圧サーボに供給される油圧を調圧自在な第1のコントロールバルブとを備えているので、該他の1つの摩擦係合要素の油圧サーボの油圧を排出するのが遅れることや、第1のリニアソレノイドバルブの故障や第1のコントロールバルブの故障により排出できない状態が比較的生じ易く、複数の摩擦係合要素が同時に係合する状態が生じる可能性があるが、それら複数の摩擦係合要素が同時に係合する状態が生じそうになっても、故障時切替えバルブにより故障時用信号圧を出力して、1つの摩擦係合要素を解放することができ、同時に係合する状態を防ぐことができる。
【0022】
請求項7に係る本発明によると、第2の制御圧を調圧自在な第2のリニアソレノイドバルブと、該第2の制御圧に基づき1つの摩擦係合要素の油圧サーボに供給される油圧を調圧自在な第2のコントロールバルブとを備えているので、該1つの摩擦係合要素の油圧サーボの油圧を排出するのが遅れることや、第2のリニアソレノイドバルブの故障や第2のコントロールバルブにより排出できない状態が比較的生じ易く、複数の摩擦係合要素が同時に係合する状態が生じる可能性があるが、それら複数の摩擦係合要素が同時に係合する状態が生じそうになっても、故障時切替えバルブにより故障時用信号圧を出力して、1つの摩擦係合要素を解放することができ、同時に係合する状態を防ぐことができる。
【0023】
請求項8に係る本発明によると、所定状態は、最高変速段の状態であるので、例えば複数の摩擦係合要素が同時に係合する状態が生じて自動変速機がストール状態になると走行中の車輌に影響が大きいが、それら複数の摩擦係合要素が同時に係合する状態が生じそうになっても、故障時切替えバルブにより故障時用信号圧を出力して、1つの摩擦係合要素を解放することができ、同時に係合する状態を防ぐことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に沿って説明する。図1は本発明を適用し得る自動変速機構を示すスケルトン図、図2は各変速段における摩擦係合要素の係合状態及び各ソレノイドバルブのオン・オフ状態を示す作動表である。
【0025】
例えば車輌等に搭載される自動変速機には、本発明に係る油圧制御装置1と、該油圧制御装置1の油圧制御に基づき複数の摩擦係合要素(例えばクラッチC−1〜C−3、ブレーキB−1〜B−4)の係合状態が制御されることで例えば前進5速段、後進1速段を形成する自動変速機構(有段自動変速機)30とが備えられている。
【0026】
図1に示すように、上記自動変速機構30は、入力軸31及び出力軸35を有しており、それら入力軸31及び出力軸35と同軸上に、サンギヤS1とキャリヤCR1とリングギヤR1とを有するダブルピニオンプラネタリギヤ32、サンギヤS2とキャリヤCR2とリングギヤR2とを有するシンプルプラネタリギヤ33、サンギヤS3とキャリヤCR3とリングギヤR3とを有するシンプルプラネタリギヤ34が配設されている。該自動変速機構30の入力側には、内周側にクラッチC−1が、また、2つのクラッチが並設された形の、いわゆるダブルクラッチとしてのクラッチC−2及びクラッチC−3が、それぞれ配設されている。
【0027】
上記クラッチC−3は上記サンギヤS1に接続されており、該サンギヤS1はブレーキB−3の係止によって係合するワンウェイクラッチF−1により一方向の回転が規制される。該サンギヤS1に噛合するキャリヤCR1は、ワンウェイクラッチF−1により一方向の回転が規制されていると共に、ブレーキB−1により固定自在となっている。該キャリヤCR1に噛合するリングギヤR1は、リングギヤR2に接続されており、該リングギヤR1及び該リングギヤR2はブレーキB−2により固定自在となっている。
【0028】
一方、上記クラッチC−2は、上記リングギヤR2に噛合するキャリヤCR2に接続されると共に、該キャリヤCR2はリングギヤR3に接続されており、該キャリヤCR2及び該リングギヤR3はワンウェイクラッチF−3により一方向の回転が規制されていると共に、ブレーキB−4により固定自在となっている。また、上記クラッチC−1は、上記サンギヤS2及びサンギヤS3に接続されており、該サンギヤS2はキャリヤCR2に、該サンギヤS3はキャリヤCR3にそれぞれ噛合している。そして、該キャリヤCR3は、上記リングギヤR3に噛合すると共に出力軸35に接続されている。
【0029】
ついで、上記自動変速機構30の作動について図1及び図2に沿って説明する。前進1速段(1ST)では、図2に示すように、クラッチC−1を係合し、ワンウェイクラッチF−3を作動する。すると、図1に示すように、クラッチC−1を介して入力軸31の回転がサンギヤS3に入力されると共に、ワンウェイクラッチF−3によってリングギヤR3の回転が一方向に規制され、入力回転のサンギヤS3と回転が規制されたリングギヤR3とによりキャリヤCR3が減速回転になる。それにより、出力軸35より前進1速段としての正転回転が出力されて、つまり該自動変速機構30は前進1速段を形成する。
【0030】
なお、前進1速段のエンジンブレーキ(コースト)時では、図2に示すように、ワンウェイクラッチF−3に代えてブレーキB−4を係止することでリングギヤR3の空転を防止する形でその回転を固定し、上述と同様に前進1速段を形成する。
【0031】
前進2速段(2ND)では、図2に示すように、クラッチC−1を係合すると共にブレーキB−3を係止し、ワンウェイクラッチF−1及びワンウェイクラッチF−2を作動する。すると、図1に示すように、ブレーキB−3の係止により係合するワンウェイクラッチF−2によってサンギヤS1の回転が一方向に規制されると共に、ワンウェイクラッチF−1によってキャリヤCR1の回転が一方向に規制され、リングギヤR1及びリングギヤR2の回転も一方向に規制される。クラッチC−1を介して入力軸31の回転がサンギヤS2に入力されると、入力回転のサンギヤS2と上記回転が規制されたリングギヤR2とによりキャリヤCR2及びリングギヤR3が減速回転となる。更に、クラッチC−1を介して入力軸31の回転がサンギヤS3に入力されると、入力回転のサンギヤS3と減速回転のリングギヤR3とによりキャリヤCR3が上記前進1速段より僅かに大きな減速回転となる。それにより、出力軸35より前進2速段としての正転回転が出力されて、つまり該自動変速機構30は前進2速段を形成する。
【0032】
なお、前進2速段のエンジンブレーキ(コースト)時では、図2に示すように、ワンウェイクラッチF−1及びワンウェイクラッチF−2に代えてブレーキB−2を係止することでリングギヤR1及びリングギヤR2の空転を防止する形でその回転を固定し、上述と同様に前進2速段を形成する。
【0033】
前進3速段(3RD)では、図2に示すように、クラッチC−1を係合すると共にクラッチC−3を係合し、ワンウェイクラッチF−1を作動する。すると、図1に示すように、クラッチC−3の係合によりサンギヤS1に入力回転が入力されると共に、ワンウェイクラッチF−1によってキャリヤCR1の回転が一方向に規制され、入力回転のサンギヤS1と回転が規制されたキャリヤCR1とによりリングギヤR1及びリングギヤR2が減速回転となる。一方、クラッチC−1を介して入力軸31の回転がサンギヤS2に入力されると、入力回転のサンギヤS2と上記減速回転のリングギヤR2とによりキャリヤCR2及びリングギヤR3が比較的大きな減速回転となる。更に、クラッチC−1を介して入力軸31の回転がサンギヤS3に入力されると、入力回転のサンギヤS3と減速回転のリングギヤR3とによりキャリヤCR3が上記前進2速段より僅かに大きな減速回転となる。それにより、出力軸35より前進3速段としての正転回転が出力されて、つまり該自動変速機構30は前進3速段を形成する。
【0034】
なお、前進3速段のエンジンブレーキ(コースト)時では、図2に示すように、ワンウェイクラッチF−1に代えてブレーキB−1を係止することでキャリヤCR1の空転を防止する形でその回転を固定し、上述と同様に前進3速段を形成する。
【0035】
前進4速段(4TH)では、図2に示すように、クラッチC−1を係合すると共にクラッチC−2を係合する。すると、図1に示すように、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2及びリングギヤR3に入力回転が入力されると共に、クラッチC−1を介して入力軸31の回転がサンギヤS3に入力される。すると、入力回転のサンギヤS3と入力回転のリングギヤR3とにより、即ち直結回転となってキャリヤCR3が入力回転となる。それにより、出力軸35より前進4速段としての正転回転が出力されて、つまり該自動変速機構30は前進4速段を形成する。
【0036】
前進5速段(5TH)では、図2に示すように、クラッチC−2を係合すると共にクラッチC−3を係合し、ブレーキB−1を係止する。すると、図1に示すように、クラッチC−3の係合によりサンギヤS1に入力回転が入力されると共に、ブレーキB−1によりキャリヤCR1の回転が固定され、入力回転のサンギヤS1と固定されたキャリヤCR1とによりリングギヤR1及びリングギヤR2が減速回転となる。一方、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2及びリングギヤR3に入力回転が入力され、入力回転のキャリヤCR2と減速回転のリングギヤR2とによりサンギヤS2及びサンギヤS3が増速回転となる。更に、増速回転のサンギヤS3と入力回転のリングギヤR3とによりキャリヤCR3が増速回転となる。それにより、出力軸35より前進5速段としての正転回転が出力されて、つまり該自動変速機構30は前進5速段を形成する。
【0037】
後進1速段(REV)では、図2に示すように、クラッチC−3を係合すると共にブレーキB−4を係止し、ワンウェイクラッチF−1を作動する。すると、図1に示すように、クラッチC−3の係合によりサンギヤS1に入力回転が入力されると共に、ワンウェイクラッチF−1によりキャリヤCR1の回転が一方向に規制され、入力回転のサンギヤS1と回転が規制されたキャリヤCR1とによりリングギヤR1及びリングギヤR2が減速回転となる。一方、ブレーキB−4の係止によりキャリヤCR2及びリングギヤR3の回転が固定される。すると、減速回転のリングギヤR2と固定されたキャリヤCR2とによりサンギヤS2及びサンギヤS3が逆転回転となり、逆転回転のサンギヤS3と固定されたリングギヤR3とによりキャリヤCR3が逆転回転となる。それにより、出力軸35より後進1速段としての逆転回転が出力されて、つまり該自動変速機構30は後進1速段を形成する。
【0038】
なお、後進1速段のエンジンブレーキ(コースト)時では、図2に示すように、ワンウェイクラッチF−1に代えてブレーキB−1を係止することでキャリヤCR1の空転を防止し、上述と同様に後進1速段を形成する。
【0039】
つづいて、本発明の要部となる油圧制御装置1について図3に沿って説明する。図3は本発明に係る油圧制御装置1を示す概略図である。なお、図3に示す油圧制御装置1は、本発明に係る部分を概略的に示したものであり、実際の油圧制御装置1は更に多くのバルブや油路などを有して構成されるものであって、例えば上述した自動変速機構30における複数の摩擦係合要素の係合状態を制御する油圧サーボ、ロックアップクラッチ、潤滑油回路などを油圧制御するものである。
【0040】
図3に示すように、本発明に係る油圧制御装置1には、(第1の)リニアソレノイドバルブSL1(ノーマルオープン)、(第2の)リニアソレノイドバルブSL2(ノーマルオープン)、ソレノイドバルブSR(ノーマルクローズ)、ブレーキコントロールバルブ(第2のコントロールバルブ)2、クラッチアプライコントロールバルブ(切替えバルブ)3、クラッチコントロールバルブ(第1のコントロールバルブ)4、B−1アプライコントロールバルブ(故障時切替えバルブ)5、2−3シフトバルブ9、及びクラッチロックバルブ10が備えられており、更に、クラッチC−1用油圧サーボ6、ブレーキB−1用油圧サーボ7、クラッチC−2用油圧サーボ8、クラッチC−1用アキュムレータ11、及びブレーキB−1用アキュムレータ12が備えられている。
【0041】
リニアソレノイドバルブSL1は、不図示のモジュレータバルブなどによりライン圧PLを調圧したモジュレータ圧Pmodが入力される入力ポートcを有しており、該リニアソレノイドバルブSL1の制御により調圧された(第1の)制御圧PSL1を出力する出力ポートdを有している。該出力ポートdには油路d1が接続されており、該油路d1は、クラッチアプライコントロールバルブ3のポート3fに接続されている。
【0042】
また、リニアソレノイドバルブSL2は、同様に不図示のモジュレータバルブなどによりライン圧PLを調圧したモジュレータ圧Pmodが入力される入力ポートaを有しており、該リニアソレノイドバルブSL2の制御により調圧された(第2の)制御圧PSL2を出力する出力ポートbを有している。該出力ポートbには油路b1が接続されており、該油路b1は、ブレーキコントロールバルブ2の油室2aに接続されている。
【0043】
一方、ソレノイドバルブSRは、ライン圧PLを入力する入力ポートeを有しており、該ソレノイドバルブSRのオン制御により信号圧Psrを出力する出力ポートfを有している。該出力ポートfには油路f1が接続されており、該油路f1は、クラッチアプライコントロールバルブ3の油室3aに接続されている。また、該出力ポートfには、油路f2及び油路f3が接続されており、該油路f2及び該油路f3は、後述するB−1アプライコントロールバルブ5のポート5b(入力ポート)及びポート5dに接続されている。なお、ライン圧PLとは、車輌の走行状態(例えば入力トルク)に基づき制御部(不図示)により演算された信号を受けてリニアソレノイドバルブSLT(不図示)が制御圧を出力し、不図示のオイルポンプからの油圧を、該制御圧に基づき制御されたプライマリレギュレータバルブなどによって調圧された油圧である。
【0044】
上記クラッチアプライコントロールバルブ3は、スプール3pと、上記油路f1を介して油室3aに入力される信号圧Psrに対向して該スプール3pを付勢するスプリング3sと、を有しており、不図示のマニュアルシフトバルブが前進(D)レンジであると該マニュアルシフトバルブ、油路g1,g4などを介して前進レンジ時のライン圧PL(D)が入力されるポート3c及びポート3eを有している。また、該クラッチアプライコントロールバルブ3は、左半位置であると該ポート3cに連通し、右半位置であると図示を省略した3−4シフトバルブの1つのポートに連通するポート3bを有しており、右半位置であると該ポート3cに連通するポート3hを有している。また、該ポート3hは、左半位置であるとドレーンポートEXに連通する。そして、該ポート3bには、油路k1が接続されており、該ポート3hには、油路g2,g3が接続されている。
【0045】
更に、該クラッチアプライコントロールバルブ3は、上記リニアソレノイドバルブSL1のポートdから制御圧PSL1が出力される油路d1が接続されているポート3fを有しており、該クラッチアプライコントロールバルブ3が左半位置であると該ポート3fに連通し、右半位置であると上記ポート3eに連通するポート3iを有している。該ポート3iには、油路h1,h2が接続されている。そして、該クラッチアプライコントロールバルブ3は、詳しくは後述する故障時用信号圧が入力されると上記スプリング3sの付勢方向と同方向に押圧作用する油室3dを有しており、該油室3dは、後述するB−1アプライコントロールバルブ5のポート5c(出力ポート)に接続されている。
【0046】
上記クラッチコントロールバルブ4は、スプール4pと、上記油路h1を介して油室4aに入力される油圧(制御圧PSL1又はライン圧PL(D))に対向して該スプール4pを付勢するスプリング4sと、を有している。また、該クラッチコントロールバルブ4は、上述したものと同様のライン圧PL(D)が入力されるポート4dと、上記油路g2に接続されているポート4eと、を有しており、左半位置であると該ポート4dに連通し、右半位置であると該ポート4eに連通するポート4bを有している。該ポート4bには、油路j2が接続されており、該油路j2は油路j6に連通して、後述するクラッチロックバルブ10が左半位置であると油路j7を介して油室(フィードバック室)4cに接続されてフィードバック圧が供給される。
【0047】
そして、該油路j2は、チェックボール22及び油路j3を介してクラッチC−1(複数の摩擦係合要素、他の1つの摩擦絵記号要素)の油圧サーボ6に接続されており、油路j4を介してクラッチC−1用アキュムレータ11にも接続されている。また、該油路j2には、油路j5が接続されて、後述するB−1アプライコントロールバルブ5のポート5gに接続されている。更に、該油路j2には、油路j1及びチェックボール23を介して上記油路g3に接続されており、また、チェックボール24及び油路g5を介して油路g4にも接続されている。
【0048】
上記クラッチロックバルブ10は、スプール10pと、上述したものと同様のモジュレータ圧Pmodが入力される油室10aと、該油室10aに入力されるモジュレータ圧Pmodに対向して該スプール10pを付勢するスプリング10sと、を有しており、また、上記油路h2が接続されている油室10dを有している。更に、該クラッチロックバルブ10は、上記油路j6に接続されているポート10cを有しており、左半位置であると該ポート10cに連通し、右半位置であるとドレーンポートEXに連通するポート10eを有している。該ポート10eは、油路j7を介して上述したクラッチコントロールバルブ4の油室4cに接続されている。また、該クラッチロックバルブ10は、右半位置であると該ポート10cに連通するポート10bを有しており、該ポート10bには、チェックボール25及び上記油路g5を介して上記油路g4に接続される油路iが接続されている。
【0049】
一方、上記ブレーキコントロールバルブ2は、スプール2pと、上記油路b1を介して油室2aに入力される制御圧PSL2に対向して該スプール2pを付勢するスプリング2sと、を有しており、右半位置であると、上記油路k1に接続されているポート2fに連通するポート2bを有している。該ポート2bには、油路k2が接続されると共に、油室(フィードバック室)2c及び油室(フィードバック室)2dに接続されてフィードバック圧を供給している。
【0050】
上記2−3シフトバルブ9は、スプール9pと、不図示のソレノイドバルブS1から信号圧Ps1が入力される油室9aと、該油室9aに入力される信号圧Ps1に対向して該スプール9pを付勢するスプリング9sと、を有しており、左半位置であると、上記油路k2に接続されているポート9bに連通するポート9cを有している。該ポート9cには、油路k3、チェックボール21などを介して油路k4及び油路k5が接続されており、該油路k3はブレーキB−1(複数の摩擦係合要素、1つの摩擦絵記号要素)の油圧サーボ7に、該油路k4はB−1アプライコントロールバルブ5のポート5iに、油路k5はブレーキB−1用アキュムレータ12に、それぞれ接続されている。
【0051】
そして、B−1アプライコントロールバルブ5は、スプール5pと、ライン圧PLが入力され、該ライン圧に基づき図中矢印B方向にスプール5pを押圧作用する油室5aと、該油室5aに入力されるライン圧PLに対向して該スプール5pを矢印A方向に付勢するスプリング5sと、を有している。
【0052】
B−1アプライコントロールバルブ5のポート5b及びポート5dは、油路f2及び油路f3を介して上記ソレノイドバルブSRの出力ポートfに接続されており、該ポート5bは、該B−1アプライコントロールバルブ5が右半位置であるとポート5cに連通し、油路f5を介して上記クラッチアプライコントロールバルブ3の油室3dに接続される。また、該ポート5dは、該B−1アプライコントロールバルブ5が右半位置であるとポート5eに連通し、油路f4を介して油室5fに接続される。更に、ポート5iには、上記油路k4を介して上記ブレーキB−1の油圧サーボ7が接続されており、該ポート5iは、該B−1アプライコントロールバルブ5が左半位置であると上記ポート5eに連通し、上述と同様に油路f4を介して油室5fに接続される。
【0053】
一方、油室5gには、油路j5を介して上記クラッチC−1の油圧サーボ6が接続されており、また、油室5hには油路lを介して上記クラッチC−2(複数の摩擦係合要素)の油圧サーボ8が接続されている。なお、上記スプール5pは、油室5fの油圧が作用するランド部5p、油室5gの油圧が作用するランド部5p、油室5hの油圧が作用するランド部5p、が順に外径が小さくなるように形成されており、それら油室5f、油室5g、油室5hに油圧が入力された際に、受圧面積の差によって図中矢印A方向に油圧が作用すると共に、上記B−1アプライコントロールバルブ5が右半位置にあっても、該B−1アプライコントロールバルブ5の内周面とそれらランド部5p,5p,5pとの間に隙間を有し、つまりB−1アプライコントロールバルブ5が右半位置にあっても油室5f、油室5g、油室5hが閉じることがない。
【0054】
ついで、上記油圧制御装置1の作用について図2及び図3に沿って説明する。まず、B−1アプライコントロールバルブ5は、正常時において左半位置にある。
【0055】
つづいて、クラッチC−1の係合について説明する。図2に示すように、例えば不図示のマニュアルシフトバルブが前進レンジに選択されると、クラッチC−1の係合を開始する。すると、図3に示すように、上記リニアソレノイドバルブSL1が例えば不図示の制御部などにより制御されて、出力ポートdから制御圧PSL1を出力する(図2中では不図示)。また、ソレノイドバルブSRがオン制御され(図2中では不図示)、信号圧Psrが出力されて、クラッチアプライコントロールバルブ3は左半位置となる。これにより、ポート3fとポート3iとが連通し、油路d1、クラッチアプライコントロールバルブ3、油路h1及び油路h2を介して、制御圧PSL1がクラッチコントロールバルブ4の油室4a及びクラッチロックバルブ10の油室10dに入力される。
【0056】
すると、クラッチコントロールバルブ4は、右半位置から徐々に左半位置に制御(コントロール)され、ポート4dに入力されている前進レンジ時のライン圧PL(D)(以下、符号を付して、単に「ライン圧PL(D)」とする。)を、ポート4bより油路j2,j3,j4を介してクラッチC−1の油圧サーボ6及びクラッチC−1用アキュムレータ11に、該制御圧PSL1に基づくスプール4pの位置に応じて絞り量を変化させる形で出力する。またクラッチロックバルブ10は、制御圧PSL1及びスプリング10sの付勢力より大きいモジュレータ圧によって左半位置となり、ポート10cとポート10eとが連通して、上記ポート4bから出力された油圧を油路j2,j6,j7を介して油室4cに出力し、つまりフィードバック圧としてクラッチコントロールバルブ4の油室4cに入力する。
【0057】
なお、この際、クラッチアプライコントロールバルブ3がソレノイドバルブSRの信号圧Psrに基づき左半位置であるため、ポート3cとポート3bとが連通して油路k1にライン圧PL(D)が供給されるが、リニアソレノイドバルブSL2の制御によりブレーキコントロールバルブ2が左半位置に制御され、ポート2fが遮断されるので、ブレーキB−1の油圧サーボ7に油圧が供給されることはない。
【0058】
その後、上記リニアソレノイドバルブSL1の制御に基づき、クラッチC−1が略々係合状態となると、上記ソレノイドバルブSRがオフ制御され、クラッチアプライコントロールバルブ3が右半位置となる。すると、ポート3eとポート3iとが連通して、ライン圧PL(D)が油路h1を介してクラッチコントロールバルブ4の油室4aに入力され、該クラッチコントロールバルブ4が左半位置となって、ポート4dとポート4bとが連通し、該ポート4dに入力されているライン圧PL(D)が油路j2,j3を介してクラッチC−1の油圧サーボ6に供給される。また、クラッチアプライコントロールバルブ3のポート3cとポート3hとが連通して、ポート3cに入力されているライン圧PL(D)が油路g3、チェックボール23、油路j1,j3を介してクラッチC−1の油圧サーボ6に供給される。
【0059】
また、クラッチアプライコントロールバルブ3のポート3eとポート3iとが連通して、ライン圧PL(D)が油路h2を介してクラッチロックバルブ10の油室10dに入力され、該クラッチロックバルブ10は右半位置となる。すると、ポート10eとドレーンポートEXとが連通して、油路j7を介してクラッチコントロールバルブ4の油室4cの油圧はドレーンされる。また、ポート10cとポート10bとが連通し、油路j3,j6を介してクラッチC−1の油圧サーボ6と油路iとが連通するが、チェックボール25を介して油路gにはライン圧PL(D)が供給されているため、該油圧サーボ6の油圧がドレーンされることはない。同様に、クラッチC−1の油圧サーボ6と油路j1とも連通しているが、チェックボール24を介して油路gにはライン圧PL(D)が供給されているため、該油圧サーボ6の油圧がドレーンされることはない。
【0060】
以降、図2に示すように、前進1速段から前進4速段までの間は、クラッチC−1の油圧サーボ6にライン圧PL(D)が供給される。この間は、油路j5を介して該油圧サーボ6の油圧がB−1アプライコントロールバルブ5の油室5gに入力される。
【0061】
そして、前進4速段から前進5速段の変速(4−5変速)において、クラッチC−1の油圧サーボ6の油圧をドレーンする際は、ソレノイドバルブSRがオン際御され、信号圧Psrが出力されてクラッチアプライコントロールバルブ3が左半位置に切替えられる。すると、ポート3eとポート3iとが遮断されると共に該ポート3iがポート3fと連通し、リニアソレノイドバルブSL1の制御圧PSL1がクラッチコントロールバルブ4の油室4aに入力される。この際、該リニアソレノイドバルブSL1がオン制御されて、制御圧PSL1が略々0にになるように制御され、該クラッチコントロールバルブ4が右半位置となる。これによりポート4bとポート4eとが連通し、また、クラッチアプライコントロールバルブ3のポート3hとドレーンポートEXとが連通して、クラッチC−1の油圧サーボ6の油圧が、油路j3,j2,g2を介してドレーンされる。また、この際、油路j5を介してB−1アプライコントロールバルブ5の油室5gの油圧もドレーンされる。
【0062】
なお、クラッチロックバルブ10の油室10dには、略々0となる制御圧PSL1が入力され、該クラッチロックバルブ10は左半位置となってポート10cとポート10eとが連通するが、クラッチコントロールバルブ4のスプリング4sの付勢力により該クラッチコントロールバルブ4が右半位置となるため、油室4cの油圧が油路j7,j6を介してドレーンされても、該クラッチコントロールバルブ4は右半位置のままである。また、油路g5にはライン圧PL(D)が供給されているが、チェックボール24,25により遮断されており、更に、チェックボール23があるため、油路j1からはドレーンされることはない。
【0063】
その後、前進5速段の間は(正常時において)、リニアソレノイドバルブSL1のオン制御、及びソレノイドバルブSRのオン制御が維持され、クラッチC−1の油圧サーボ6の油圧は、ドレーンされたままの状態となる。
【0064】
また、前進5速段から前進4速段(5−4変速)において、クラッチC−1の油圧サーボ6の油圧を供給する際は、ソレノイドバルブSRのオン際御が維持され、信号圧Psrが出力されてクラッチアプライコントロールバルブ3が左半位置のまま、リニアソレノイドバルブSL1が制御されて、制御圧PSL1が徐々に出力されるように制御され、該クラッチコントロールバルブ4が徐々に左半位置となる。これによりポート4bとポート4dとが連通し、クラッチC−1の油圧サーボ6の油圧が、油路j2,j3を介して供給される。また、この際、油路j5を介してB−1アプライコントロールバルブ5の油室5gにも油圧が供給される。
【0065】
一方、不図示のマニュアルシフトバルブがニュートラル(D−N)に選択されると、油路g5に供給されているライン圧PL(D)が、該マニュアルシフトバルブよりドレーンされ、クラッチC−1の油圧サーボ6の油圧は、油路j3、j1、チェックボール24、油路g5を介してドレーンされる。また、ソレノイドバルブSRは一時的にオン制御され、リニアソレノイドバルブSL1の制御圧PSL1が油路h2を介してクラッチロックバルブ10の油室10dに入力されて、クラッチロックバルブ10のポート10cとポート10bとが連通し、クラッチC−1の油圧サーボ6の油圧は、油路j3,j6,i、チェックボール25、油路g5を介してドレーンされる。
【0066】
なお、上記リニアソレノイドバルブSL1の制御圧PSL1がクラッチコントロールバルブ4の油室4aにも入力され、該クラッチコントロールバルブ4は左半位置となり、ポート4bとポート4dとが連通するが、不図示のチェックボールにより油路j2からドレーンすることはない。
【0067】
ついで、クラッチC−2の係合について説明する。図2に示すように、例えば前進4速段及び前進5速段である際は、図3に示すクラッチC−2の油圧サーボ8に、不図示の1−2シフトバルブ、2−3シフトバルブ9(ポートは図示せず)、不図示の3−4シフトバルブ等を介してライン圧PL(D)が供給され、該クラッチC−2が係合する。なお、該クラッチC−2の係合については、それらのシフトバルブが不図示のソレノイドバルブ等により切替ると該油圧サーボ8に油圧が供給されて係合する公知のものであるので、その説明を省略する。
【0068】
つづいて、ブレーキB−1の係合について説明する。前進1速段から前進3速段の間では、図示を省略した3−4シフトバルブ13よりライン圧PL(D)がポート3gに入力され、また、ソレノイドバルブSRがオフ制御されているため、クラッチアプライコントロールバルブ3が右半位置であって、ポート3gとポート3bとが連通しているため、油路k1にライン圧PL(D)が供給される。しかし、前進1速段及び前進2速段では、不図示のソレノイドバルブS1がオフ制御され、2−3シフトバルブ9が右半位置であるので、ポート9cとポート9bとが遮断されており、例えば(その他のブレーキB−2ないしブレーキB−4の係合のために)リニアソレノイドバルブSL2により制御圧PSL2が出力され、ブレーキコントロールバルブ2が右半位置であっても、油路k3、即ちブレーキB−1の油圧サーボ7にライン圧PL(D)が供給されることはない。
【0069】
また、前進3速段では、リニアソレノイドバルブSL2により制御圧PSL2が略々0に制御され(つまり制御圧PSL2を出力しない状態)、ブレーキコントロールバルブ2が左半位置となってポート2fとポート2bとが遮断され、油路k2に油路k1からのライン圧PL(D)が供給されず、即ちブレーキB−1の油圧サーボ7にライン圧PL(D)が供給されない。
【0070】
また、前進3速段のエンジンブレーキ時には(図2参照)、リニアソレノイドバルブSL2から制御圧PSL2が出力され、ブレーキコントロールバルブ2が左半位置から右半位置に制御される。これにより、ポート2fとポート2bとがスプール2pの位置に応じて徐々に絞り量を変化させる形で連通し、油路k2、2−3シフトバルブ9、油路k3を介してブレーキB−1の油圧サーボ7に、ブレーキコントロールバルブ2によりライン圧PL(D)を調圧したブレーキ用係合圧が供給され、リニアソレノイドバルブSL2の制御圧PSL2が全開に出力されると、該油圧サーボ7に該ブレーキコントロールバルブ2の全開としてのブレーキ用係合圧が供給される。なお、上述のように油室2c及び油室2dには、ポート2bからのフィードバック圧が入力されており、上記ライン圧PL(D)に基づきブレーキコントロールバルブ2がフィードバック制御される。
【0071】
前進4速段では、上記3−4シフトバルブ13からライン圧PL(D)が出力されず、また、ソレノイドバルブSRの信号圧Psrが出力されないため、クラッチアプライコントロールバルブ3は右半位置であり、つまり油路k1にはライン圧PL(D)が供給されない。これにより、ブレーキコントロールバルブ2、2−3シフトバルブ9の切替え位置に拘らず、ブレーキB−1の油圧サーボ7に油圧が供給されることはない。
【0072】
そして、前進4速段から前進5速段の変速(4−5変速)では、上述したようにソレノイドバルブSRがオン制御され、信号圧Psrが出力されるため、クラッチアプライコントロールバルブ3が左半位置となる。すると、ポート3cとポート3bとが連通し、また、リニアソレノイドバルブSL2から制御圧PSL2が出力されて、ブレーキコントロールバルブ2が右半位置となってポート2fとポート2bとが連通し、更に不図示のソレノイドバルブS1がオフ制御され、2−3シフトバルブ9が左半位置となってポート9bとポート9cとが連通する。これにより、油路g1に供給されているライン圧PL(D)が油路k1を介してブレーキコントロールバルブ2のポート2fに供給され、リニアソレノイドバルブSL2の制御圧PSL2に基づきブレーキコントロールバルブ2により該ライン圧PL(D)が調圧される形で、ポート2b、油路k2,k3を介してブレーキB−1の油圧サーボ7に供給される。また、リニアソレノイドバルブSL2の制御圧PSL2が全開に出力されると、該油圧サーボ7に上述と同様、ブレーキコントロールバルブ2の全開としてのブレーキ用係合圧が供給される。なお、上述のように油室2c及び油室2dには、ポート2bからのフィードバック圧が入力されており、上記ライン圧PL(D)に基づきブレーキコントロールバルブ2がフィードバック制御される。この4−5変速においては、上述したクラッチC−1の油圧サーボ6の油圧をリニアソレノイドバルブSL1の制御に基づきドレーンすると共に、ブレーキB−1の油圧サーボ7にリニアソレノイドバルブSL2の制御に基づきブレーキ用係合圧を供給する、いわゆるクラッチtoクラッチの変速が行われる。
【0073】
なお、このブレーキB−1の油圧サーボ7に供給されるブレーキ用係合圧を上流側から下流側として整理していうと、不図示のオイルポンプが発生させる油圧を不図示のプライマリレギュレータバルブによりライン圧PLとして調圧し、不図示のマニュアルシフトバルブを介してライン圧PL(D)として出力されてクラッチアプライコントロールバルブ3に入力され、該クラッチアプライコントロールバルブ3からのライン圧PL(D)をブレーキコントロールバルブ2で調圧してブレーキ用係合圧として油圧サーボ7に供給される。
【0074】
以降、前進5速段では、図2に示すように、前進5速段の間は、ブレーキB−1の油圧サーボ7にブレーキ用係合圧が供給される。この間は、油路k5を介してブレーキB−1用アキュムレータ12にも上記ブレーキ用係合圧が供給され、更に、油路k4、上述したように左半位置であるB−1アプライコントロールバルブ5のポート5i,5e、油路f4を介して油室5fにも上記ブレーキ用係合圧が供給される。
【0075】
また、前進5速段から前進4速段の変速(5−4変速)では、ソレノイドバルブSRのオン制御が維持され、信号圧Psrが出力されるため、クラッチアプライコントロールバルブ3が左半位置のまま、リニアソレノイドバルブSL2の制御圧PSL2が略々0になるように制御され、ブレーキコントロールバルブ2が左半位置となってポート2fとポート2bとが遮断され、また、ポート2bとドレーンポートEXとが連通する。これにより、油路k3,k2を介してブレーキB−1の油圧サーボ7の油圧がドレーンされる。この5−4変速においては、上述したクラッチC−1の油圧サーボ6にリニアソレノイドバルブSL1の制御に基づき油圧を供給すると共に、ブレーキB−1の油圧サーボ7の油圧をリニアソレノイドバルブSL2の制御に基づきドレーンする、上記4−5変速と反対のクラッチtoクラッチの変速が行われる。
【0076】
なお、前進2速段のエンジンブレーキ時には、ソレノイドバルブSRがオン制御され、クラッチアプライコントロールバルブ3が左半位置となって、油路g1に供給されているライン圧PL(D)が、ポート3c,3bを介して油路k1、更にブレーキコントロールバルブ2のポート2f,2bを介して油路k2に供給されるが、ソレノイドバルブS1がオフ制御されて2−3シフトバルブ9が右半位置であるので、ポート9bとポート9cとが遮断されており、ブレーキB−1の油圧サーボ7に油圧が供給されることはない。また、例えば後進レンジ時であって、後進1速段のエンジンブレーキ時である際は、不図示のマニュアルシフトバルブからの後進レンジ時のライン圧PL(R)が、不図示の切替えバルブなどを介してブレーキB−1の油圧サーボ7に供給され、該ブレーキB−1が係合する。
【0077】
以上のように、正常時にはクラッチC−1、クラッチC−2及びブレーキB−1が同時に係合することはない(図2参照)。しかしながら、例えば前進4速段である際に、例えばソレノイドバルブSRの故障(オンフェール)し、かつクラッチアプライコントロールバルブ3がバルブスティックした状態で、リニアソレノイドバルブSL2の故障、又はブレーキコントロールバルブ2のバルブスティック、などが発生すると、ブレーキB−1の油圧サーボ7に油圧が供給される虞がある。
【0078】
また、特に4−5変速、前進5速段の際には、リニアソレノイドバルブSL1の故障(いわゆるソレノイドフェール)やクラッチコントロールバルブ4の故障(バルブスティック)が、例えばシフトバルブの故障やソレノイドバルブの故障に比して、比較的生じ易く、クラッチC−1の油圧サーボ6に油圧が供給される虞がある。更に、5−4変速の際には、リニアソレノイドバルブSL2の故障やブレーキコントロールバルブ2の故障(バルブスティック)が、同様に比較的生じ易く、ブレーキB−1の油圧サーボ7に油圧が供給される虞がある。
【0079】
また、この4−5変速、5−4変速においては、リニアソレノイドバルブSL1及びクラッチコントロールバルブ4によりクラッチC−1の油圧サーボ6の油圧、リニアソレノイドバルブSL2及びブレーキコントロールバルブ2によりブレーキB−1の油圧サーボ7の油圧、がそれぞれ制御されており、クラッチC−1の油圧サーボ6の油圧を排出し終える前にブレーキB−1の油圧サーボ7に油圧が供給されることや、ブレーキB−1の油圧サーボ7の油圧を排出し終える前にクラッチC−1の油圧サーボ6に油圧が供給されることが比較的生じ易い。
【0080】
このように、例えばクラッチC−1、クラッチC−2及びブレーキB−1が同時に係合する状態(故障時)になると、図1に示すように、入力回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS2に、クラッチC−2を介してキャリヤCR2に、それぞれ入力されて、プラネタリギヤ33は、いわゆる直結回転となり、リングギヤR2も直結状態となる。しかし、ブレーキB−1が係合してキャリヤCR1が固定され、また、ブレーキB−3の係合によりワンウェイクラッチF−2が係合してサンギヤS1が固定されると、リングギヤR1が固定され、つまりリングギヤR2を固定してしまう。すると、自動変速機において、いわゆるストール状態になってしまい、不図示のエンジンの回転を固定する、即ちエンジンストップも発生させる虞がある。特に最高変速段の状態である前進5速段で、同時に係合する状態が生じて自動変速機がストール状態になると走行中の車輌に大きな影響を与える虞がある。
【0081】
そこで、本発明に係る油圧制御装置1においては、例えばクラッチC−1、クラッチC−2及びブレーキB−1が同時に係合する状態になると、図3に示すように、クラッチC−1の油圧サーボ6に供給されている油圧(ライン圧PL(D))が油路j5を介してB−1アプライコントロールバルブ5の油室5gに、クラッチC−2の油圧サーボ8に供給されている油圧(ライン圧PL(D))が油路lを介して油室5hに、ブレーキB−1の油圧サーボ7に供給されている油圧(ブレーキ用係合圧)が油路k4、ポート5i,5e、油路f4を介して油室5fに、それぞれ作用し、スプール5pを図中矢印A方向に押圧して、該B−1アプライコントロールバルブ5を右半位置に切替える。
【0082】
すると、ソレノイドバルブSRからの信号圧Psrが、クラッチアプライコントロールバルブ3の油室3aに入力されると共に、右半位置のB−1アプライコントロールバルブ5におけるポート5bとポート5cとの連通によって、クラッチアプライコントロールバルブ3の油室3dに入力され、つまり両油室3a,3dに信号圧Psrが入力される。それにより、該クラッチアプライコントロールバルブ3は、スプリング3sの付勢力に基づいて右半位置となり、ポート3bとポート3cとを遮断することによって油路k1に対するライン圧PL(D)の供給を遮断し、該油路k1、ブレーキコントロールバルブ2のポート2f,2b、油路k2、2−3シフトバルブ9のポート9b,9c、油路k3を介して供給されるブレーキB−1の油圧サーボ7の油圧を遮断する。
【0083】
これにより、上述のようなクラッチC−1、クラッチC−2及びブレーキB−1が同時に係合する状態を防止することができ、例えばエンジンがストールするようなことを防止することができる。なお、このようにクラッチC−1、クラッチC−2及びブレーキB−1が同時に係合する状態には、図2に示すように、前進4速段のソレノイドバルブSRのオンフェールの際、又は前進5速段である際に発生する可能性が大きく、ブレーキB−1の油圧を遮断することは前進4速段になることを意味しているので、特に走行中に上述のような同時係合が発生しても問題なく前進4速段に維持される。
【0084】
また、上記B−1アプライコントロールバルブ5が右半位置になると、ポート5iとポート5eとは遮断されるが、ポート5dと該ポート5eとが連通し、上記ソレノイドバルブSRからの信号圧Psrが、油路f3、ポート5d、ポート5e、及び油路f4を介して油室5fに入力され、つまり、上記遮断されたブレーキB−1の油圧サーボ7からの油圧に代わって、油室5fに信号圧Psrが入力される。それにより、油室5gに作用するクラッチC−1の油圧サーボ6の油圧、油室5hに作用するクラッチC−2の油圧サーボ8の油圧が相俟って、該B−1アプライコントロールバルブ5を右半位置に保持することができる。
【0085】
また、例えば該B−1アプライコントロールバルブ5が右半位置に保持されないと、ブレーキB−1の油圧サーボ7の油圧がポート5iとポート5eとにより遮断された際に、上記油室5aに入力されているライン圧PLの作用によって該B−1アプライコントロールバルブ5が左半位置になり、再びブレーキB−1の油圧サーボ7に油圧が供給されると共に再び油室5fに該油圧が入力されて、該B−1アプライコントロールバルブ5が右半位置になるような状態を繰り返し、つまりハンチングのようになってしまう。そのため、該B−1アプライコントロールバルブ5において異音が発生すると共に、該ブレーキB−1が係合することによって車輌全体にショックが生じる虞がある。しかしながら、上述のように該B−1アプライコントロールバルブ5が保持されるので、そのようなハンチングを防ぐことができ、異音や車輌におけるショックを防止することができる。
【0086】
一方、特に前進4速段の際や前進3速段のエンジンブレーキの際には、B−1アプライコントロールバルブ5に、クラッチC−1,C−2の油圧サーボ6,8に供給されるライン圧PL(D)、又はクラッチC−1、ブレーキB−1の油圧サーボ6,7に供給されるライン圧PL(D)及びライン圧PL(D)に基づくブレーキ用係合圧が、油室5g,5h又は油室5f,5gに作用している状態であり、該B−1アプライコントロールバルブ5の油室5aに作用しているライン圧PLに対向作用している状態である。この状態において、例えばエンジンの出力などに基づき調圧されているライン圧PLが変化すると、油室5aに作用するライン圧PLが変化すると共に、上記油室5g,5h又は油室5f,5gに作用しているライン圧PL(D)も変化するが、例えば不図示のオイルポンプに対して、比較的長い油路や多くのバルブを介してライン圧PL(D)及びライン圧PL(D)に基づくブレーキ用係合圧が供給される油室5f,5g,5hの油圧応答性と、比較的短い油路を介してライン圧PLが供給される油室5aの油圧応答性と、の違いにより、瞬間的に油室5g,5h又は油室5f,5gの油圧が油室5aの油圧に対して上回ってしまう虞があり、つまり瞬間的に右半位置に切替えられてしまう虞がある。
【0087】
例えば従来のように故障時信号圧Pfの元になる油圧が常に供給されるライン圧PLであると(即ち、ポート5bにライン圧PLが入力されていると)、このように瞬間的に切替えられてしまった際にも故障時信号圧Pfを出力してしまう。更に、例えば従来のように切替えられた際に油室5fに作用する油圧が常に供給されるライン圧PLなどであると、例えば前進4速段の際には、クラッチC−1,C−2の油圧サーボ6,8の油圧が油室5g,5hに作用しており、該油室5fに作用するライン圧PLと相俟ってB−1アプライコントロールバルブ5が右半位置に保持されたままとなる。すると、故障時用信号圧Pfがクラッチアプライコントロールバルブ3の油室3dに出力されたままとなって、ブレーキB−1の油圧サーボ7に供給する油圧が遮断されたままであって、つまり前進5速段への変速が行えない状態となる。この状態は、例えば前進3速段となって、クラッチC−2の油圧サーボ8の油圧がドレーンされるまで、即ち油室5hの油圧がドレーンされた状態になるまで続いてしまう。
【0088】
しかしながら、本発明に係る油圧制御装置1においては、前進4速段の際や前進3速段のエンジンブレーキの際には、ソレノイドバルブSRの信号圧Psrが出力されてなく、たとえ瞬間的にB−1アプライコントロールバルブ5が右半位置に切替えられて、ポート5bとポート5cとが連通しても、故障時用信号圧Pfが出力されることはない。また、ポート5dとポート5eも連通し、油路f2,f3,f4を介してソレノイドバルブSRのポートfと油室5fとが連通するが、同様にソレノイドバルブSRの信号圧Psrが出力されてなく、該B−1アプライコントロールバルブ5を右半位置に保持してしまうこともない。
【0089】
なお、例えば4−5変速、前進5速段、5−4変速の際に、上述したようにB−1アプライコントロールバルブ5が切替えられて右半位置に保持されると、不図示の制御部は前進5速段の指令を出力し、ソレノイドバルブSRがオン制御されているのに、前進4速段に維持されている状態であって、この状態は、フェールセーフとしての前進4速段であり、この状態から実際の前進4速段になると、上述したようにソレノイドバルブSRがオフ制御される。すると、油路f2,f3,f4を介して油室5fに入力されている信号圧Psrが作用しなくなり、該B−1アプライコントロールバルブ5には、油室5g,5hの油圧、即ちクラッチC−1の油圧サーボ6の油圧とクラッチC−2の油圧サーボ8の油圧との2つの油圧だけが作用するようになって、該B−1アプライコントロールバルブ5は油室5aに作用しているライン圧PLにより左半位置に切替えられて、つまり正常時の位置に戻る。これにより、前進4速段の状態から直ぐに前進5速段への変速が可能となる。
【0090】
以上のように、本発明に係る自動変速機の油圧制御装置1によると、ソレノイドバルブSRの信号圧Psrに基づきブレーキB−1を係合させている際、即ち、クラッチC−1,C−2、ブレーキB−1が同時に係合し得る際に、例えば同時に係合する故障が生じても、B−1アプライコントロールバルブ5により故障時用信号圧Pfを出力して、該ブレーキB−1を解放することができるものでありながら、ソレノイドバルブSRの信号圧Psrに基づいて該ブレーキB−1の係合をしていない際、特にクラッチC−1,C−2が係合している際であっても、故障時用信号圧Pfを出力しないようにすることができる。
【0091】
また、本来の故障時として、同時に係合する状態が発生しそうになった際には、B−1アプライコントロールバルブ5が右半位置(故障時位置)に保持され、いわゆるハンチングを防ぐことができるものでありながら、ソレノイドバルブSRの信号圧Psrに基づき右半位置に保持されるので、該信号圧PsrがソレノイドバルブSRにより出力されていない際(例えば前進4速段など)には、右半位置に保持しないようにすることができる。それにより、例えばその後の変速において、ブレーキB−1の係合が必要な変速(前進5速段への変速)を行うことができる。また、ソレノイドバルブSRの信号圧Psrが出力されている際(前進5速段)にB−1アプライコントロールバルブ5が右半位置に切替えられた際は、その後、ソレノイドバルブSRが信号圧Psrを出力しない状態、即ちブレーキB−1が解放される状態(例えば前進4速段など)になると共に、右半位置での保持を解除することができる。
【0092】
なお、以上の本発明に係る実施の形態において、故障時に同時に係合する複数の摩擦係合要素として、クラッチC−1、クラッチC−2、ブレーキB−1を一例に説明したが、これに限らず、正常時に同時に係合することがないものであれば、いずれのものであってもよい。
【0093】
また、故障時用信号圧Pfに基づきブレーキB−1の油圧サーボ7の油圧を遮断するものを一例に説明したが、例えばクラッチC−1又はクラッチC−2の油圧サーボ6,7の油圧を遮断するものであっても良く、この際の故障時用信号圧Pfの元になる油圧は、クラッチC−1又はクラッチC−2の係合を行うために出力される信号圧を用いればよい。
【0094】
更に、故障時の際に発生する自動変速機の状態は、例えばストール状態になるものを説明したが、これに限らず、例えば正常時に同時に係合することがない摩擦係合要素が同時に係合することで、自動変速機に何れかの不都合な状態が生じるものであれば、何れのものであっても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用し得る自動変速機構を示すスケルトン図。
【図2】各変速段における摩擦係合要素の係合状態及び各ソレノイドバルブのオン・オフ状態を示す作動表。
【図3】本発明に係る油圧制御装置1を示す概略図。
【符号の説明】
1 油圧制御装置
2 第2のコントロールバルブ(ブレーキコントロールバルブ)
3 切替えバルブ(クラッチアプライコントロールバルブ)
4 第1のコントロールバルブ(クラッチコントロールバルブ)5 故障時切替えバルブ(B−1アプライコントロールバルブ)5b 入力ポート5c 出力ポート5f 油室6 油圧サーボ(クラッチC−1の油圧サーボ)7 油圧サーボ(ブレーキB−1の油圧サーボ)8 油圧サーボ(クラッチC−2の油圧サーボ)30 有段自動変速機B−1 複数の摩擦係合要素、1つの摩擦係合要素(ブレーキ)C−1 複数の摩擦係合要素、他の1つの摩擦係合要素(クラッチ)C−2 複数の摩擦係合要素(クラッチ)PSL1 第1の制御圧PSL2 第2の制御圧Psr 信号圧Pf 故障時用信号圧SL1 第1のリニアソレノイドバルブSL2 第2のリニアソレノイドバルブSR ソレノイドバルブg1 油路k1 油路k2 油路k3 油路

Claims (8)

  1. 正常時に同時に係合することがない複数の摩擦係合要素の油圧サーボに供給される油圧を同時に入力した際、故障時位置に切替えられる故障時切替えバルブを備えた自動変速機の油圧制御装置において、
    所定状態で信号圧を出力するソレノイドバルブと、
    前記複数の摩擦係合要素のうちの1つの摩擦係合要素の油圧サーボに油圧を供給する油路に介在し、前記ソレノイドバルブの信号圧を入力した際に該油路を連通させる切替えバルブと、を備え、
    前記故障時切替えバルブは、前記ソレノイドバルブの信号圧を入力する入力ポートと、前記故障時位置に切替えられた際に前記入力ポートに連通する出力ポートと、を有し、
    前記故障時切替えバルブは、前記所定状態で、かつ前記故障時位置に切替えられた際に、前記出力ポートより前記ソレノイドバルブの信号圧故障時用信号圧として出力し、
    前記切替えバルブは、前記故障時用信号圧を入力した際に前記油路を遮断する、
    ことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
  2. 前記故障時切替えバルブは、前記故障時位置に切替えられた際に、前記ソレノイドバルブの信号圧を入力して前記故障時位置を保持する油室を有してなる、
    請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。
  3. 前記所定状態は、前記1つの摩擦係合要素を係合、あるいは係合しようとする状態である、
    請求項1または2記載の自動変速機の油圧制御装置。
  4. 前記所定状態は、前記1つの摩擦係合要素を係合すると共に、前記複数の摩擦係合要素のうちの他の1つの摩擦係合要素を解放した状態である、
    請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置。
  5. 前記所定状態は、前記1つの摩擦係合要素と、前記複数の摩擦係合要素のうちの他の1つの摩擦係合要素と、の掴み替えを行う状態である、
    請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置。
  6. 第1の制御圧を調圧自在な第1のリニアソレノイドバルブと、
    前記第1のリニアソレノイドバルブの第1の制御圧に基づき前記他の1つの摩擦係合要素の油圧サーボに供給される油圧を調圧自在な第1のコントロールバルブと、を備えてなる、
    請求項4または5記載の自動変速機の油圧制御装置。
  7. 第2の制御圧を調圧自在な第2のリニアソレノイドバルブと、
    前記第2のリニアソレノイドバルブの第2の制御圧に基づき前記1つの摩擦係合要素の油圧サーボに供給される油圧を調圧自在な第2のコントロールバルブと、を備えてなる、
    請求項4ないし6のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置。
  8. 前記自動変速機は、少なくとも前記複数の摩擦係合要素の接・断によって伝達経路を変更して複数の変速段を形成する有段自動変速機であり、
    前記所定状態は、最高変速段の状態である、
    請求項1ないし7のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置。
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