JP3789043B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電印刷法等において形成される静電荷像を現像する画像形成方法、及び該画像形成方法に好適に使用できるイエロートナーの製造方法に関する。更に詳しくは、トランスペアレンシー透過画像を形成した場合において、画像が優れた透明性を有し、且つ、耐久においても定着機が汚染されることのない画像形成方法、及び該画像形成方法に好適に使用できるイエロートナーが容易に得られるトナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルフルカラー複写機やプリンターが実用化され、解像力・階調性はもとより、色ムラのない色再現性に優れた高画質画像が得られるようになってきている。
デジタルフルカラー複写機においては、色画像原稿を、B(ブルー)、G(グリーン)及びR(レッド)の各色フィルターで色分解し、オリジナル画像に対応した20μm〜70μmのドット径からなる潜像を形成した後、該潜像を、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びB(ブラック)の各色現像剤を用いて減色混合作用を利用して現像し、フルカラー画像の形成が行なわれている。しかし、デジタルフルカラー複写機では、白黒複写機と較べて、多量の現像剤を感光体上から転写材へと転写させる必要があること、或いは、将来の更なる高画質化に対応すべく、より微小ドットを再現性よく現像するため、現像剤の微小粒径化の要求が予想される。このため、トナー自体に対する要求としても、帯電性能向上や、それ以外にも種々の要求がなされている。
【0003】
更に、カラートナーでは、フルカラー画像の色調を向上させる観点より、透明性に優れた画像に対する要求がある。これに対し、トナーを構成している着色剤そのものについてのアプローチとして、例えば、トナー中に存在する着色剤の分散性を向上せしめる目的で、特開昭61−117565号公報及び特開昭61−156054号公報に、溶剤に、結着樹脂、着色剤及び荷電制御剤等からなるトナー材料を予め溶解し、その後、溶剤を除去してトナーを得る方法が、又、特開平5−34978号公報には、樹脂と顔料の水性プレスケーキとを混練機に仕込み、加熱混練することによって顔料の樹脂に対する分散性の向上を達成する方法が、夫々開示されている。
【0004】
上記した方法は、なるほど着色剤の分散性の向上という点からは好ましいが、これらのトナーでは、着色剤として顔料が用いられている以上、トナー内部での光散乱は必至であり、市場の更なる要求に応えるようとすると、より製造が困難になる方向にある。これに対して、トナーの着色剤として、分散性や透明性に優れる染料を用いる方法が考えられる。例えば、特開昭50−46333号公報、特開平4−291360号公報及び特開平4−243267号公報に示されているような、染料によって着色した樹脂粒子を用いる方法や、特開昭62−295069号公報に示されているような、油溶性染料を使用することによって透明性を向上する方法等が提案されている。これらの方法は、なるほど、顔料を使用した場合と比べ、着色剤の分散又は溶解が極めて容易であるが、いくつかの課題があることがわかってきている。
【0005】
一つには、染料の隠蔽力は、顔料のそれと比較して極端に小さいため、染料を着色剤として用いたトナーは、オーバーヘッドプロジェクタ用の透明シートを用いた透過光を得るための画像としては充分であるが、反射光によって画像が認識される紙等の転写材上に形成された画像の場合には、転写材による影響を受け易いという欠点がある。即ち、染料を着色剤として用いたトナーを用い、紙等の転写材に画像を形成すると、紙の地色の影響を受けて、下記に挙げるような現象等が生じる。1)紙の質によって画像の色味が変化する。2)ハイライト部等のトナーのり量が少ない画像の場合は、画像と白地との間の境界がはっきりしづらく、貧弱な画像になる。更に、これらの影響は、明度の高いイエロートナーを使用するイエロー画像に顕著に現れる。
【0006】
以上のように、従来のトナーでは、トナー透明性を追求する透過光を必要とする分野と、トナー隠蔽力を求める分野の両方を同時に満足するのには不充分であり、トナーに対して更なる改良が要望されている。
又、デジタルフルカラー複写機やプリンターでは、従来の単色のトナー像と比較して転写材上に乗るトナー量が相対的に多いため、定着時における離型性助剤として定着オイルを用い、定着ローラーやシート等の定着手段表面にこれらのオイルを塗布しながら定着する方法が主流になっている。しかし、染料を含むトナーに対してこの方法を用いると、一般的に、定着オイルに対する染料の親和性は高いため、定着ローラー等への染着が生じ易いという問題がある。このため、連続通紙耐久によって定着ローラー等の寿命が縮まったり、非画像部への染着等を生じ易い。
【0007】
このため、例えば、定着オイルを必要としないトナーの製造方法として、特開平7−56390号公報に記載されているような、乳化ポリエステルに離型剤エマルジョンを混合した後、染着してトナーを得る方法等の提案がある。しかし、染料含有トナーの定着ローラー等に対する染着の防止という点においては未だ不充分であり、更なる改良が必要とされている。
以上述べてきたように、OHP画像等に対する透明性と、反射光が利用される紙等の転写材に形成した画像の場合に必要とされる隠蔽力の両方を実現し、しかも定着ローラー等の定着手段に対する耐久性への悪影響が抑制された、様々な課題に対し全てを満足し得るカラートナーは知られていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上述の如き欠点を解決し、オーバーヘッドプロジェクタ用の透明シートに画像を形成した場合には優れた透明性を発揮し、且つ、紙上に形成した画像についても、ハイライト部においても高品位の優れた画像が得られる画像形成方法、及び該画像形成方法に良好に使用できるイエロートナーの製造方法を提供することにある。
特に、本発明の目的は、少なくとも結着樹脂、離型剤及び黄色染料を含有するイエロートナーにおいて、優れたトランスペアレンシー透過性と、紙上画像での適度な隠蔽性を達成し得る画像形成方法、及び該方法に好適に使用できるイエロートナーの製造方法を提供することにある。
更に、本発明の別の目的は、定着ローラーやシート等の定着手段に染着することのない耐汚染性に優れたイエロートナーを使用する画像形成方法、及び該画像形成方法に良好に使用できるイエロートナーの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、転写材上のトナー像を、離型性オイルを供給しない状態か、或いは離型性オイルを0.04mg/枚(A4)以下の塗布量で塗布した状態の加熱加圧手段を用いて、転写材に定着して画像を形成する画像形成方法において、少なくとも、結着樹脂、離型剤及びイエロー染料を含み、該イエロー染料がSolvent Yellow9、17、24、31、35、58、93、100、102、103、105、112、162、163、Dispers Yellow 3、42、64、82、160、201及び224からなる群より選択され、且つ、分子量分布において、トナー中の結着樹脂に対して分子量が60万以上の成分が0.002〜50重量%含有され、タップ密度が0.53〜0.60となるように調整されたイエロートナーを用いてトナー像の形成を行い、更に、転写材としての紙上に定着されたイエロー単色画像の光沢度が50以下となるように構成して画像形成を行なうことを特徴とする画像形成方法、該方法に好適に使用できるイエロートナーを簡易に製造し得るトナーの製造方法である。
上記における紙上に形成したイエロー単色画像の光沢度は、JIS Z8741の方法2に準拠して下記の画像について測定した値をいう。即ち、光沢度が4〜12の範囲にある80g/m2の紙を転写材とし、該転写材上にイエロー単色トナーを用いて、該トナーののり量が0.5〜0.6mg/cm2になるよう調整して形成された画像についての測定値である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明者は鋭意検討の結果、透明性に優れるイエロー染料を着色剤として用いたトナーに対し、紙上での隠蔽力を付与する方法として、画像ドット上でのトナー粒子のつまり易さに着目し、タップ密度が特定の値を有するトナーで定着画像を形成した場合には、従来のトナーを使用した場合よりもトナー粒子が密に詰まった画像となり易く、更に、形成される画像が低光沢度の画像になるように構成することで、紙上に形成したイエロー画像の見かけ上の隠蔽力を充分な状態に付与できることを見いだして本発明に至った。
【0011】
本発明の画像形成方法の特徴の一つは、イエロー染料を含むトナーにおいて、タップ密度が0.53〜0.60であるトナーを使用することにある。即ち、イエロートナーのタップ密度が0.60を超えると、トナーとして密に詰まり過ぎるため、現像時にトナー塊として現像され易くなり、画質の低下を生じる。一方、トナーのタップ密度が0.53未満であると、画像上のドットが粗になり過ぎるため、本発明の効果が充分に得られず、特に、紙上に形成した画像のハイライト部がぼやけた印象の画像になることが生じる。
【0012】
本発明において使用するイエロートナーのタップ密度は、下記の測定方法により測定した値である。先ず、ホソカワミクロン(株)製のパウダーテスターを用い、該パウダーテスターに付属している容器を使用し、該パウダーテスターの取扱説明書の手順に従って測定した。その際のタップ回数は180回とした。
【0013】
イエロートナーのタップ密度を所望の範囲にする方法としては、トナー同士を従来より密に充填し易くすることが必要であるので、トナー形状や粒度の選択によって最密充填させることが好ましい。具体的には、トナーの形状そのものをコントロールする方法や、微小粒径成分を増やすことでトナー粒度分布を制御する方法、トナー特性付与剤としての外部添加剤の調整等の方法が挙げられる。
【0014】
例えば、トナーの形状そのものをコントロールする方法としては、特公昭50−39688号公報に記載されているような熱球形化する方法、特公昭43−10799号公報、特公昭36−10231号公報に記載されているような水系媒体中で直接トナーを得る方法、特公平6−29989号公報に記載されているような乳化粒子を凝集させてブドウ様のトナーを作る方法、特公平8−20766号公報に記載されているような、トナー形成後に一部に圧力をかけて円盤状のトナーを作る方法等が挙げられる。又、トナー特性付与剤としての外部添加剤の調整としては、特開平2−151872号公報に記載されているような粒径の異なる2種粒子を添加する方法や、特開平2−282268号公報に記載されているようなトナー本体の極性と反対の添加剤を加えることで凝集させる方法等が挙げられ、これらの方法を、単独で、或いは、これらの方法を組み合わせることが考えられる。
【0015】
しかしながら、トナー特性付与剤としての外部添加剤による調整は、実質的にトナーの帯電性や流動性に与える影響が大きいため、製造的な観点及びトナーの特性的な観点から見て、トナーの形状そのものをコントロールする方法を採ることが好ましい。
本発明において使用するイエロートナーの望ましいトナー形状は、ルーゼックスで測定した形状係数SF1が、100≦SF1≦155の範囲内のものである。かかる範囲内にあれば、トナー粒子形状は実質的に球形であり、細密充填し易くなるため、多少のトナー粒度分布の振れによらず、安定したタップ密度が維持される。
【0016】
本発明に用いられる形状係数を示すSF−1とは、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用いトナー像を倍率500倍にして、その中から1000個のトナー粒子を無作為にサンプリングし、それらの画像情報をインターフェースを介してニレコ社製画像解析装置(Luzex3)に導入し解析を行い、下式より算出し得られる値で定義されるものである。
【0017】
【数1】
【0018】
本発明の画像形成方法のもう一つの特徴は、紙上に形成したイエロー単色画像の光沢度が50以下になるように構成することにある。画像の光沢度を調整する手段としては、トナー及び/又は定着手段を調整することが挙げられる。本発明の画像形成方法においては、上記で述べたように、タップ密度が0.53〜0.60の範囲内にあるイエロートナーを用いているので、確かに、紙上に形成された画像のドットとしての隠蔽力が見かけ上は増したようになる。しかし、本発明者が検討した結果、特に、イエロー画像の場合には、ハイライトの画像光沢度が高いと明度が高いため、画像が紙から浮き出すように見える傾向があり、結果として、所望の再現性の高いハイライト部が得られずに貧弱な画像になる。
【0019】
これに対し、本発明者が鋭意検討した結果、主に、トナー表面からの反射光によって画像が認識される紙等の転写材の場合には、イエロー画像の光沢度を抑え、むしろ紙の光沢度に近づけるようにすれば、僅かにハイライト部の「浮き出し」を抑えることができるので、優れた画質を有する画像が得られることを見いだした。
更に、イエロー画像の光沢度を制御することに加えて、先に述べた、タップ密度が特定の範囲内にあるトナーを組み合わせた画像形成によれば、定着ローラやシート等の加熱加圧定着手段の定着部への接触が緩和され、トナー中の染料が定着部に染着することが有効に抑制できることを見いだした。
【0020】
そこで、本発明の画像形成方法においては、紙上に形成したイエロー単色画像の光沢度が50以下となるように構成して画像形成を行なう。イエロー単色画像の光沢度を50以下に抑える方法としては、使用するイエロートナーの構成を制御する方法、及び定着手段の構成を制御する方法の2種がある。具体的には、次に挙げる方法がある。
先ず、イエロートナー自体の構成を調整する方法としては、トナーの分子量を制御することが好ましい。具体的には、トナーの分子量分布において、トナーを構成している結着樹脂中に、分子量が60万以上の成分が0.002〜50重量%含有されるようにすることが好ましい。トナーの分子量分布において、分子量が60万以上の成分が0.002重量%より少ない場合は、トナーの透明性には優れるものの、本発明で規定する光沢度を得ることができず、紙等のような反射光によって画像が認識される転写材においては、形成した画像のハイライト部が特に貧弱な画像になり易い。
一方、トナーの分子量分布において、分子量が60万以上の成分が50重量%を超えると、紙等の転写材に定着した場合には良好であるものの、オーバーヘッドプロジェクタ用の透明シート上にトナー画像を定着させた場合においては、完全にトナーの粒塊が溶融しきれないことが生じ、このトナー粒塊によって光散乱が生じ、画像の透明性が悪化することが生じ易い。
【0021】
本発明において、トナーの分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に、ワックス等の低軟化点物質は溶解するが樹脂は溶解し得ない有機溶剤、例えば、クロロホルム等を加えて充分に洗浄を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液を、ポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過して測定用のサンプルを調製する。次に、該サンプルを、GPCとしてウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成を、昭和電工社製の、A−801、802、803、804、805、806、807を連結して用い、標準ポリスチレン樹脂の検量線で分子量分布を測定した。
【0022】
定着手段によって光沢度を調整する方法としては、定着ローラーや定着シート等の定着手段の加熱部分を低圧にする方法や、転写材の種類によって定着速度又は温度等を変化させる方法等、公知の手段で定着することが挙げられる。
【0023】
本発明の画像形成方法において、定着手段の定着部へのトナー中の染料による染着を抑制する方法としては、上記と同様に、使用するイエロートナーの構成自体を制御する方法、及び定着手段の構成を制御する方法の2種がある。具体的には、次に挙げる方法がある。
イエロートナー自体の構成を調整する方法としては、着色剤に、定着ローラや定着シート染着しにくいイエロー染料を用いることが好ましい。具体的には、Solvent Yellow 9、17、24、31、35、58、93、100、102、103、105、112、162、163、Dispers Yellow 3、42、64、82、160、201、224からなる群より選択した着色剤を用いることが好ましい。更には、Solvent Yellow 93、105、112、162、163、Dispers Yellow 42、64、160、201からなる群より選択した着色剤を用いることがより好ましい。
本発明で好適に使用されるこれらの染料は、トナー中の結着樹脂100重量部に対して、0.2重量部〜5重量部の範囲で添加することが好ましい。
【0024】
上記に挙げたような染料をトナー中にできるだけ内包化させることで、定着部への染着が抑えられることは自明であるが、本発明においては、更に、イエロートナーを製造する場合に、水系媒体中において、少なくとも重合性単量体、離型剤及びイエロー染料を有する重合性単量体組成物を重合させてトナーを直接製造する方法を用い、更に、その際に使用する製造原料として、夫々の溶解性パラメータの差の絶対値│ΔSP│が6.5以下である重合性単量体と離型剤とを用いることによって、本発明の画像形成方法において好適に使用できるイエロートナーを得ることが好ましい。即ち、本発明のイエロートナーの製造方法では、染料が離型剤に対して親和性が高いことを利用し、以下のような優れた効果を得る。
【0025】
先ず、本発明のイエロートナーの製造方法では、少なくとも溶解性パラメーター(SP値)の差の絶対値が一定以下の重合性単量体、離型剤に加えて、上記に挙げたようなイエロー染料を有する重合性単量体組成物を予め混合分散させた後、水系媒体中で該組成物中の重合性単量体を重合してトナーを直接得る。例えば、特公昭36−10231号公報、特公昭43−10799号公報及び特公昭51−14895号公報等に記載されているのと同様に、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、更に必要に応じて、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤等からなるトナー製造原料を、均一に溶解又は分散せしめて重合性単量体組成物とした後、該単量体組成物を、分散安定剤を含有する連続相である水系媒体中に適当な撹拌機を用いて分散させ、同時に、組成物中の重合性単量体の重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナーを形成する。
このように、本発明のイエロートナーの製造方法においては、水系媒体中で、直接重合法によってトナー粒子を形成するため、得られる粒子の形状は分散媒である水等の水系媒体との表面張力によって決定され、一般的に球状になる。従って、該方法によって、本発明の画像形成方法において好適に使用し得る球形形状のトナーが容易に得られる。
【0026】
更に、本発明のイエロートナーの製造方法では、上記の水系媒体中においてトナー粒子が直接得る製造方法においては、重合が進むにつれて重合体の溶解性パラメータSP値が大きくなることを利用し、製造原料である重合性単量体と離型剤の夫々の溶解性パラメータの差の絶対値│ΔSP│が6.5以下となるように構成してトナーを製造して、重合反応当初の段階においては、水系媒体中に染料が均一に溶解分散し、重合が進むにつれて染料の多くが離型剤中に存在するように設計する。このようにすると、離型剤は、定着時にはトナー粒子の表層に染み出すが、紙上に形成したイエロートナー画像の光沢度を低く抑えるために、トナーの分子量分布を制御したり、定着手段の加熱部分を低圧にしているため、定着ローラー等の定着部材からの離型剤の剥れ性は良好であり、染料を多く含む離型剤の定着部材への移行は殆ど見られず、定着部材が、トナーの着色剤である染料によって染着されることを有効に防止できる。
【0027】
上記に説明したように、本発明のイエロートナーの製造方法では、製造原料として、重合性単量体及び離型剤の溶解性パラメータの差の絶対値│ΔSP│が6.5以下であるものを使用することが重要である。即ち、上記│ΔSP│の値が6.5を超える重合性単量体及び離型剤を使用すると、重合の初期段階における染料の均一分散が得られず、所望するトナーの製造が困難になるだけでなく、離型剤が不均一に分散するので、これに伴ってトナー粒子の表層にも偏在することが生じ、定着部材へのトナーを構成している染料の染着が生じる。
【0028】
本発明のイエロートナーの製造方法において使用する重合性単量体としては、従来公知の単量体がいずれも好ましく用いられる。具体的には、例えば、スチレン、o(m−、p−)−メチルスチレン、m(p−)−エチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2ーエチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸アミド等のエン系単量体が好ましく用いられる。
【0029】
これらは、単独で、或いは、一般的には、出版物ポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス温度(Tg)が40〜85℃の範囲を示すように、上記に挙げたような重合性単量体を適宜に混合して用いられる。即ち、理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には、得られるトナーが保存安定性や現像剤の耐久安定性の面から問題が生じる傾向にあり、一方、Tgが85℃を超える場合は、結晶性部分の残存による粒塊が画像上に生じ易く、特に、フルカラー画像を形成するためのトナーとした場合に、OHP画像の透明性を著しく低下させる傾向があり、高画質画像を形成するトナーを得るといった面から好ましくない。
【0030】
本発明のイエロートナーの製造方法に用いられる離型剤としては、ASTM D3418−8に準拠して測定されたDSCの主体極大ピーク値が50〜180℃を示す化合物が好ましい。即ち、上記の極大ピーク値が50℃未満であると離型剤の自己凝集力が弱くなり、結果として、トナーの高温オフセット性が弱くなるので、本発明の画像形成方法に使用するものとしてあまり好ましくない。一方、極大ピーク値が180℃を超えると、現状のところ離型剤そのものの結晶性が劣るため、OHP画像を形成した場合における透明性を確保するといった面から好ましくない。
【0031】
本発明において、上記の極大ピーク値の温度測定を行なう場合には、例えば、パーキンエルマー社製DSC−7を用いる。そして、装置検出部の温度補正には、インジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正については、インジウムの融解熱を用いる。測定するサンプルは、アルミニウム製パンにセットし、対照用に同様の空パンをセットして昇温速度10℃/min.で測定を行った。
上記のような熱特性を有する化合物としては、具体的には、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャートロピッシュワックス、アミドワックス、エステルワックス、高級脂肪酸及びこれらのグラフト/ブロック化合物等が挙げられる。本発明のイエロートナー製造方法においては、トナーの製造原料である離型剤として、これらの化合物を好適に使用する。
【0032】
又、本発明の画像形成方法においては、本発明で使用するイエロートナーを構成している染料との親和性を更に抑制するという面から、定着ローラーやシート等の加熱加圧手段の表面に、離型性オイルを供給しない状態か、或いは離型性オイルを0.04mg/枚(A4)以下の塗布量で塗布した状態の加熱加圧手段を用いて、トナー画像を転写材上に定着する。更に、加熱加圧手段の表面、又は、該表面に塗布されている離型性オイルの構成材料として、水への接触角が80度以上の疎水性材料を用いることが好ましい。又、加熱加圧手段の表面又は離型性オイルを、少なくともフッ素官能基を有する化合物で構成することで、加熱加圧手段に対する着色剤として用いた染料の染着の問題をより一層、改良することができる。
【0033】
本発明の画像形成方法に好適なイエロートナーを製造する場合に使用し得る他の成分等について説明する。
本発明の画像形成方法において用いるトナーは、先に述べたように、少なくとも、結着樹脂、離型剤及びイエロー染料を含むが、その際に使用する結着樹脂は、従来公知のものであればどのようなものでもよい。具体的には、先に列挙したような、スチレン系単量体、アクリル酸エステル系単量体、エン系単量体等を重合して得られるスチレン−アクリル系重合体やポリエステル系重合体、エポキシ系重合体等が好ましく用いられる。
【0034】
又、本発明のイエロートナーの製造方法においては、直接重合法においてトナーを製造するが、製造安定化やトナー特性付与のため、単量体成分の他に、ある程度の範囲で極性樹脂、荷電制御剤を更に添加せしめてもよい。その際に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
更に、重合反応を適宜に制御するために、重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビスー(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤を用いるとよい。
【0035】
これらの重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には、重合性単量体に対して0.5〜20重量%程度添加される。又、開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、十時間半減期温度を参考に、単独又は混合して利用すればよい。
更に、重合度を制御するために、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加してもよい。特に、所望の分子量を有するトナーを得るためには、架橋剤を添加することが好ましい。
【0036】
更に、本発明においては、イエロートナー中に荷電制御剤を含有させてもよい。荷電制御剤としては、従来公知のものをいずれも利用できるが、イエロートナーに使用するものであるので特に無色であり、更にトナーの帯電スピードが速く、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤を用いることがが好ましい。更に、本発明のイエロートナーの製造方法においては、直接重合方法を用いるため、重合阻害性がなく、水系媒体中への可溶化物のない荷電制御剤を用いることが特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系として、サリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属化合物、スルホン酸、カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン等が利用でき、ポジ系として、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
【0037】
これらの荷電制御剤は、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部程度の割合で使用することが好ましい。しかしながら、本発明の画像形成方法において使用するトナーの場合は、荷電制御剤の添加は必須ではない。例えば、二成分現像方法を用いる場合には、キャリヤとの摩擦帯電を利用してトナーを帯電し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いる場合においても、ブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナーを帯電させるので、これらの場合には、トナー中に必ずしも荷電制御剤を含ませる必要はない。
【0038】
更に、本発明のイエロートナー製造方法では、水系媒体中での直接重合方法を利用するが、この際には分散剤を用いることが好ましい。その場合に使用し得る分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ、磁性体、フェライト等の無機系酸化物を用いることができるる。又、分散剤として有効な有機系化合物としは、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が挙げられる。これらは、水系媒体中に分散させて使用することができる。これら分散剤は、重合性単量体100重量部に対して0.2〜2.0重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0039】
更に、これら分散剤は、市販のものをそのまま用いてもよいが、細かい均一な粒度を有す分散粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下、これらの無機化合物を生成させて使用することもできる。例えば、分散剤としてリン酸三カルシウムを使用する場合は、高速撹袢下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで、懸濁重合方法に好ましく使用できる分散剤が得られる。
【0040】
又、これら分散剤の更なる微細化のため、0.001〜0.1重量部の界面活性剤を併用してもよい。その際に使用し得る界面活性剤としては、具体的には、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用でき、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
【0041】
本発明の画像形成方法に使用するイエロートナーを、粉砕法を用いて製造する場合においては、従来公知の製造方法を使用することができる。具体的には、結着樹脂、イエロー染料に離型剤等その他の添加剤を加えて混練し、粉砕、分級して所望の粒径のトナー粒子を得る。更に、得られたトナーに、流動化剤等の添加剤を外添混合する等して得られるトナーを使用できる。
【0042】
本発明のイエロートナーの製造方法では、先に説明したように、直接重合方法を用いるが、具体的には、以下の如き製造方法によってトナーを製造することができる。先ず、適宜に選択した重合性単量体中に、低軟化物質からなる、離型剤、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザーや超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめて、重合性単量体組成物を作製する。次に、得られた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有させた水系分散媒体中に投入し、通常の撹拌機、又は、ホモミキサー、ホモジナイザー等によって充分に分散させる。この際、好ましくは、重合性単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように、撹拌速度や撹拌時間を調節し、造粒する。更に、その後は、分散安定剤の作用によって粒子状態が維持され、且つ、トナー粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えばよい。
【0043】
又、重合温度は40℃以上、一般的には、50〜90℃の温度に設定して重合を行う。又、重合反応後半に昇温してもよく、更に、トナー定着時の臭いの原因等となる未反応の重合性単量体や副生成物等を除去するために、反応後半、又は反応終了後に、一部水系媒体を留去してもよい。反応終了後、生成したトナー粒子を、洗浄及びろ過して回収し、乾燥してトナー粒子を得る。懸濁重合法においては、通常、重合性単量体組成物100重量部に対して、水300〜3,000重量部を水系媒体として使用することが好ましい。
【0044】
以下に、本発明における各種測定法について述べる。
先ず、粒度分布測定方法について述べる。ここで、粒度分布については、種々の方法によって測定できるが、本発明においては、コールターカウンターを用いて測定を実施した。即ち、コールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いる。電解液には、1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調整して用いる。例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20ml加えて測定用サンプルを調製する。粒度分布測定は、上記で調製した試料が懸濁した電解液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いてトナーの体積を測定して体積分布を算出した。それから、この体積分布から重量基準の重量平均粒径(D4)を求めた。
【0045】
次に、分子量の測定方法について述べる。本発明における樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予め現像剤をソックスレー抽出器を用いてトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に離型剤等の低軟化点物質は溶解するが、得られる樹脂は溶解しない有機溶剤、例えば、クロロホルム等で充分洗浄又は抽出を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液を、ポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過して測定用サンプルを調製する。そして、得られたサンプルについて、ウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成には、昭和電工製A−801、802、803、804、805、806、807を連結したものを用い、標準ポリスチレン樹脂の検量線を用いて分子量を測定した。
【0046】
次に、酸価の測定方法について述べる。トナーサンプル2〜10gを200mlの三角フラスコに秤量し、メタノール:トルエン=30:70の混合溶媒約50mlを加えてトナーを溶解させる。そして、0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用い、予め標定された0.1N−水酸化カリ/エタノール溶液で滴定し、アルコールカリ液の消費量から次の計算で酸価を求める。
【数2】
【0047】
次に、本発明の画像形成方法を実施し得る画像形成装置の一具体例を図1を参照しながら説明する。
図1は、電子写真プロセスを利用したモノカラー画像、マルチカラー画像及びフルカラー画像を形成し得る画像形成装置(複写機或いはレーザープリンタ)の概略断面図である。中間転写体として中抵抗の弾性ローラー5を、2次接触転写手段として、転写ベルト8を使用している。
【0048】
1は像担持体として繰り返し使用される回転ドラム型の電子写真感光体(以下、単に「感光体」或いは「感光体ドラム」と呼ぶ)であり、矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。感光体1はa−Se、CdS、ZnO2、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラム若しくは感光ベルトであってもよい。
【0049】
感光体1としては、アモルファスシリコン感光層、又は有機系感光層を有する感光体が好ましく用いられる。
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する単一層型でもよく、或いは、電荷輸送層と電荷発生層とを成分とする機能分離型感光層であってもよい。図1に示したのは、導電性基体上に電荷発生層1b、次いで電荷輸送層1aの順で積層されている構造の積層型感光層の好ましい例の一つである。
【0050】
有機感光層の結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が、特に、転写性、クリーニング性がよく、クリーニング不良、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくい。
【0051】
帯電工程では、コロナ帯電器を用いる感光体1とは非接触である方式と、ローラー等を用いる接触型の方式があり、いずれのものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低オゾン発生化のためには、図1に示す如く接触方式のものが好ましく用いられる。
帯電ローラー2は、中心の芯金2bとその外周を形成した導電性弾性層2aとを基本構成とするものである。帯電ローラー2は、感光体1面に押圧力を持って圧接され、感光体1の回転に伴い従動回転する。
帯電ローラーを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラーの当接圧が5〜500g/cmで、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた場合には、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50Hz〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±1.5kVであり、直流電圧を用いた時には、直流電圧=±0.2〜±1.5kVである。
【0052】
この他の帯電手段としては、帯電ブレートを用いる方法や、導電ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不必要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
接触帯電手段としての帯電ローラー及び帯電ブレート材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を設けてもよい。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)等が適用可能である。
【0053】
感光体ドラム1は回転過程で、1次帯電ローラー2により所定の極性及び電位に一様に帯電処理され、次いで不図示の画像露光手段(例えば、カラー原稿画像の色分解・結像露光光学系、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザスキャナによる走査露光系等)による画像露光3を受けることにより目的のカラー画像の第1の色成分像(例えば、イエロー成分像)に対応した静電荷像が形成される。
次いで、その静電荷像が第1現像器4−1により第1色であるトナーにより現像される。現像器4−1は装置ユニットであり、画像形成装置本体に着脱可能である。現像器4−2、現像器4−3及び、現像器4−4も、上記で説明した現像器4−1と同様な構造を有している非磁性一成分現像方式の現像器である。
中間転写体5は矢印方向に感光ドラム1と同じ周速度をもって回転駆動されている。
【0054】
感光ドラム1上に形成担持された第1色目のトナー画像は、感光ドラム1と中間転写体5とのニップを通過する過程で、中間転写体5に印加される一次転写バイアス6により形成される電界と圧力により、中間転写体5の外周面に中間転写されていく。以後、この工程を一次転写という。
以下、同様に第2色目のトナー画像、第3色目のトナー画像、第4色目のトナー画像が順次中間転写体5上に重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成トナー画像が形成される。
【0055】
転写ベルト8は、中間転写体5の回転軸に対応し平行に軸受させて、中間転写体5の下面部に接触させて配設してある。転写ベルト8はバイアスローラ9とテンションローラ10によって支持され、バイアスローラ9には、2次転写バイアス源17によって所望の2次転写バイアスが印加され、テンションローラ10は接地されている。
感光ドラム1から中間転写体5への第1〜4色のトナー画像の順次重畳転写のための1次転写バイアスは、トナーとは逆極性(+)でバイアス電源6から印加される。
感光ドラム1から中間転写体5への第1〜4色のトナー画像の順次転写実行工程において、転写ベルト8及び中間転写体クリーニングローラ7は中間転写体5から接離可能となっている。
【0056】
中間転写体5上に重畳転写された合成カラートナー画像の転写材Pへの転写は、転写ベルト8が中間転写体5に当接されると共に、不図示の給紙カセットからレジストローラ12、転写前ガイド16を通過して、中間転写体5と転写ベルト8との当接ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送され、同時に2次転写バイアスがバイアス電源17からバイアスローラ9に印加される。この2次転写バイアスにより中間転写体5から転写材Pへ合成カラートナー画像が転写される。以後この工程を二次転写という。
トナー画像の転写がされた転写材Pは、オイル含浸パッド11が当接された加熱ローラ13及び加圧ローラ14を有する加熱加圧定着器15へと導入されて、加熱定着される。
【0057】
中間転写体5は、パイプ状の導電性芯金5bと、その外周面に形成した中抵抗の弾性体層5aからなる。芯金5bは、プラスチックのパイプに導電性メッキを施したものでもよい。
中抵抗の弾性体層5aは、シリコンゴム、テフロンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンの3次元共重合体)等の弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化錫、炭化ケイ素の如き導電性付与剤を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を105〜1011Ω・cmの中抵抗に調整されたソリッド或いは発泡肉質の層である。
【0058】
【実施例】
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[トナー(1)の製造]
高速撹拌装置TK−ホモミキサーを備えた2リットル用四つ口フラスコ中に、イオン交換水510重量部と、0.1mol/lのNa3PO4水溶液450重量部とを入れ、回転数を12,000回転に調整しつつ、70℃に加温せしめた。ここに、1.0mol/lのCaCl2水溶液68重量部を徐々に添加して、微小な難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
【0059】
一方分散質系として、下記の組成をアトライターを用い3時間分散混合した後、重合開始剤であるラウリルパーオキサイド3.0重量部を添加して、重合性単量体組成物を得た。
【0060】
上記で得られた重合性単量体組成物を、先に調製した水系分散媒体中に投入して、10,000rpmで、10分間造粒した。その後、高速撹拌器からプロペラ撹拌羽根に撹拌器を変えて、60回転で重合を10時間継続させた。重合終了後、スラリーを冷却し、希塩酸を添加して分散剤を除去せしめた。次に、洗浄、乾燥を行なって、重量平均粒径が6.5μmであるイエロートナー粒子を得た。更に、上記で得られたイエロー粒子100重量部と、疎水性シリカ1.5重量部とをヘンシェルミキサーで混合して、イエロートナー(1)を得た。
【0061】
[トナー(2)の製造]
トナー(1)の製造において、ジビニルベンゼン0.15重量部を、ドデシルメルカプタン2.0重量部に変更した以外はトナー(1)の製造方法と同様にして、トナー(2)を作製した。
【0062】
[トナー(3)の製造]
トナー(1)の製造において、ライスワックス(SP値4.6)5重量部を、ポリプロピレンワックス(SP値1.9)8重量部に変更した以外はトナー(1)の製造方法と同様にして、トナー(3)を作製した。
【0063】
[トナー(4)の製造]
トナー(1)の製造において、ジビニルベンゼン0.15重量部を0.8重量部に変更した以外はトナー(1)の製造方法と同様にして、トナー(4)を作製した。
【0064】
[トナー(5)の製造]
トナー(1)の製造において、C.I.ソルベントイエロー93、3重量部をC.I.ソルベントイエロー17、3重量部に変更した以外はトナー(1)の製造方法と同様にして、トナー(5)を作製した。
【0065】
表1に、イエロートナー(1)〜(5)の物性をまとめて示した。
【0066】
【表1】
【0067】
実施例1〜5、比較例1及び2
上記で得たイエロートナー(1)〜(5)を、フルカラー複写機(CLC500;キヤノン社製の改造機)に搭載し、画像を形成して、耐久試験及び画像評価を行った。耐久性及び画像の評価は、下記の方法及び基準で評価した。
【0068】
<評価>
1.定着条件
図1に示すような画像形成装置を使用して画像形成を行なった。定着条件として、表1に示したように、オイル含浸パッド11を取り、定着オイル塗布をしないローラー直径40mmのフッ素コートローラーを定着ローラーとして用いるか、又は、この定着ローラー表面に、オイル含浸パッド11の含浸量を調整することで、アミン変性オイルを0.03mg/枚(A4)塗布しながら定着した。定着に用いたこれらの材料の、水への接触角を表2に示した。
【0069】
2.染着性評価
画像形成には、光沢度4〜12の範囲にある80g/m2紙を転写材として用い、トナーのり量が0.5〜0.6mg/cm2になるよう調整したべた画像を画出しして、5,000枚の耐久試験を行った。画出しの条件としては、温度23℃/湿度65%RHの環境下で、現像コントラスト320Vにて現像転写した。そして、その後直ちにトナーを現像せずに、1枚80g/m2の紙を通紙し、排紙された紙上の画像濃度を測定し、定着機に対するトナーの染着性の評価を行なった。評価は、下記の基準で4段階評価し、評価結果を表2に示した。
【0070】
3.ハイライト再現性
コントラスト電位を調整し、画像濃度が0〜0.8までの間で16段階に均等に分かれるようにした8階調の画像を出し、肉眼でハイライト再現性を評価した。評価は、下記の基準で4段階評価し、評価結果を表2に示した。
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、オーバーヘッドプロジェクタ用の透明シートに画像を形成した場合には優れた透明性を発揮し、且つ、紙上に形成した画像についても、ハイライト部においても高品位の優れた画像が得られる画像形成方法、及び該画像形成方法に良好に使用し得るイエロートナーの製造方法が提供される。
又、本発明によれば、定着ローラーやシート等の定着手段への耐汚染性に優れたイエロートナーを使用する画像形成方法、及び該イエロートナーの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法を実施し得る画像形成装置の一具体例を示す図である。
【符号の説明】
1:潜像担持体
2:1次帯電ローラー
2a:導電性弾性層
2b:芯金
3:画像露光
4:現像器
4−1:第1現像器(イエロー)
4−2:第2現像器(マゼンタ)
4−3:第3現像器(シアン)
4−4:第4現像器(ブラック)
5:中間転写体
5a:弾性体層
5b:導電性芯金
6:1次転写バイアス電源
7:中間転写体クリーニングローラ
8:転写ベルト
9:バイアスローラ
10:テンションローラ
11:オイル含浸パッド
12:レジストローラ
13:加熱ローラ
14:加圧ローラ
15:加熱加圧定着器
16:転写前ガイド
17:2次転写バイアス電源
18:クリーニング手段
18a:クリーニングブレード
P:転写材
Claims (3)
- 転写材上のトナー像を、離型性オイルを供給しない状態か、或いは離型性オイルを0.04mg/枚(A4)以下の塗布量で塗布した状態の加熱加圧手段を用いて、転写材に定着して画像を形成する画像形成方法において、少なくとも、結着樹脂、離型剤及びイエロー染料を含み、
該イエロー染料がSolvent Yellow9、17、24、31、35、58、93、100、102、103、105、112、162、163、Dispers Yellow 3、42、64、82、160、201及び224からなる群より選択され、
且つ、分子量分布において、トナー中の結着樹脂に対して分子量が60万以上の成分が0.002〜50重量%含有され、
タップ密度が0.53〜0.60となるように調整されたイエロートナーを用いてトナー像の形成を行い、更に、転写材としての紙上に定着されたイエロー単色画像の光沢度が50以下となるように構成して画像形成を行なうことを特徴とする画像形成方法。 - 加熱加圧手段の表面、又は該表面に塗布されている離型性オイルが、水への接触角が80度以上の疎水性材料で構成されている請求項1に記載の画像形成方法。
- 加熱加圧手段の表面、又は、該表面に塗布されている離型性オイルが、少なくともフッ素官能基を有する化合物で構成されている請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
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