JP4628058B2 - 加圧部材、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 - Google Patents

加圧部材、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 Download PDF

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Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリまたはそれらの複合機などの画像形成装置に関する。そのうち特に、像担持体上に形成したトナー画像を直接または間接的に転写して、シート・OHPフィルム等の記録媒体に画像を記録する電子写真式の画像形成装置に関する。および、そのような画像形成装置において、像担持体とともに、帯電装置、現像装置、クリーニング装置の少なくとも1つを一体的に構成して画像形成装置本体に対して一括して着脱自在とするプロセスカートリッジに関する。および、そのようなプロセスカートリッジや画像形成装置において、使用するとき乾式現像剤を介在して、像担持体等の対向部材に押し当ててその対向部材との間に当接領域を形成する、現像ローラ等の加圧部材に関する。
従来、画像形成装置の中には、乾式現像剤を介在して、対向部材に加圧部材を押し当ててその対向部材と加圧部材との間に当接領域を形成するものがある。例えば、対向部材である像担持体に乾式現像剤を介在して、加圧部材である現像ローラを押し当てて像担持体と現像ローラとの間に当接領域を形成するものがある。
この種の画像形成装置にあっては、対向部材に対して加圧部材を強く押し当て過ぎると、当接領域において現像剤に過剰な当接圧力が加わり、現像剤の凝集や固着を生ずる問題がある。そこで、従来の画像形成装置の中には、現像剤に過剰な当接圧力が加わりにくくした発明が多々考えられている。
特開平3−236075号公報 特開平4−136966号公報 特開平5−297706号公報 特開平7−295396号公報 特開平10−48941号公報 特開平11−167299号公報
しかしながら、いずれも当接領域における当接圧力を均一化する点、また当接領域における変形歪みの接線方向別の個所への伝播を防止する点で、改良の余地が多く残されていた。
そこで、この発明の第1の目的は、対向部材に対する加圧部材の当接圧力の偏りを防止し、当接圧力を均一かつ安定に維持しながら、対向部材に対する加圧部材の当接圧力の過剰による現像剤の凝集や固着を防止することにある。
この発明の第2の目的は、歪みの影響が別の個所の歪みに連動しにくく、歪みむらによる実行的周速むらを発生しにくくし、濃度むらやバンディングといった画像送り方向乱れを防止することにある。
この発明の第3の目的は、強固で破損の心配がなく、ゲルやポリマの流出による汚染の発生がなく、加圧部材の耐久性を向上して長期安定性を高めことにある。
この発明の第4の目的は、伸縮による繰り返し疲労を抑制し、加圧部材の耐久性を向上して長寿命化を図ることにある。
この発明の第5の目的は、画像形成装置において、高画質、高信頼性の画像形成を可能とすることにある。
請求項1に記載の発明は、上述した第1、3の目的を達成すべく、使用するとき乾式現像剤を介在して対向部材に押し当ててその対向部材との間に当接領域を形成する、現像ローラ等の加圧部材において、可撓性を有する表層の内側に、軟質ゲル材料を密封する裏打ち層を形成し、表層と裏打ち層間に、ヤング率が70Gpa以下で、耐力が700Mpa以上の合金で形成した合金層を設ける、ことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、同じく上述した第1、3の目的を達成すべく、使用するとき乾式現像剤を介在して対向部材に押し当ててその対向部材との間に当接領域を形成する、現像ローラ等の加圧部材において、可撓性を有する表層の内側に、吸水した高吸水性ポリマ材料を密封する裏打ち層を形成し、表層と裏打ち層間に、ヤング率が70Gpa以下で、耐力が700Mpa以上の合金で形成した合金層を設ける、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、上述した第3の目的を達成すべく、請求項1または2に記載の加圧部材において、合金層がチタン合金で形成されている、ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、上述した第1の目的を達成すべく、請求項1ないしのいずれか1に記載の加圧部材を備えることを特徴とする、プロセスカートリッジである。
請求項に記載の発明は、同じく上述した第1の目的を達成すべく、請求項1ないしのいずれか1に記載の加圧部材を備えることを特徴とする、画像形成装置である。
請求項に記載の発明は、上述した第2の目的を達成すべく、請求項に記載の画像形成装置において、前記加圧部材が、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、静電クリーニングローラ、定着ローラ、定着用加圧ローラのいずれかである、ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、上述した第1の目的を達成すべく、請求項またはに記載の画像形成装置において、前記対向部材に対する前記加圧部材の食い込み量を所定値以下に維持する、ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、上述した第5の目的を達成すべく、請求項ないしのいずれか1に記載の画像形成装置において、前記乾式現像剤を構成するトナーの重量平均径を4〜15μmとする、ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、同じく上述した第5の目的を達成すべく、請求項ないしのいずれか1に記載の画像形成装置において、前記乾式現像剤を構成するトナーにワックスを含有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、加圧部材の、可撓性を有する表層の内側に、軟質ゲル材料を密封する裏打ち層を形成するので、パスカルの原理で加圧部材の内圧を均等とし、対向部材に対する加圧部材の当接圧力の偏りを防止し、当接圧力を均一かつ安定に維持しながら、対向部材に対する加圧部材の当接圧力の過剰による現像剤の凝集や固着を防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、加圧部材の、可撓性を有する表層の内側に、吸水した高吸水性ポリマ材料を密封する裏打ち層を形成するので、同じくパスカルの原理で加圧部材の内圧を均等とし、対向部材に対する加圧部材の当接圧力の偏りを防止し、当接圧力を均一かつ安定に維持しながら、対向部材に対する加圧部材の当接圧力の過剰による現像剤の凝集や固着を防止することができる。
請求項1、2に記載の発明によれば、加圧部材が、軸まわりに回転するローラ部材であると、加えて、歪みの影響が別の個所の歪みに連動しにくく、加圧部材が歪みむらによる実行的周速むらを発生しにくくし、濃度むらやバンディングといった画像送り方向乱れを防止することができる。
請求項に記載の発明によれば、表層と裏打ち層間に、ヤング率が70Gpa以下で、耐力が700Mpa以上の合金で形成した合金層を設けるので、加えて、強固で破損の心配がなく、ゲルやポリマの流出による汚染の発生がなく、加圧部材の耐久性を向上して長期安定性を高めことができる。
請求項に記載の発明によれば、プロセスカートリッジにおいて、請求項1ないしのいずれか1に記載の加圧部材を備えるので、パスカルの原理で加圧部材の内圧を均等とし、対向部材に対する加圧部材の当接圧力の偏りを防止し、当接圧力を均一かつ安定に維持しながら、対向部材に対する加圧部材の当接圧力の過剰による現像剤の凝集や固着を防止することができる。
請求項に記載の発明によれば、画像形成装置において、請求項1ないしのいずれか1に記載の加圧部材を備えるので、パスカルの原理で加圧部材の内圧を均等とし、対向部材に対する加圧部材の当接圧力の偏りを防止し、当接圧力を均一かつ安定に維持しながら、対向部材に対する加圧部材の当接圧力の過剰による現像剤の凝集や固着を防止することができる。
請求項に記載の発明によれば、加圧部材が、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、静電クリーニングローラ、定着ローラ、定着用加圧ローラのいずれかであるので、加えて、歪みの影響が別の個所の歪みに連動しにくく、加圧部材が歪みむらによる実行的周速むらを発生しにくくし、濃度むらやバンディングといった画像送り方向乱れを防止することができる。
請求項に記載の発明によれば、対向部材に対する加圧部材の食い込み量を所定値以下に維持するので、この点からも、対向部材に対する加圧部材の当接圧力の過剰による現像剤の凝集や固着を防止することができる。
請求項に記載の発明によれば、乾式現像剤を構成するトナーの重量平均径を4〜15μmとするので、低画質、トナー飛散等を防止し、高画質、高信頼性の画像形成を可能とすることができる。
請求項に記載の発明によれば、画像形成装置において、乾式現像剤を構成するトナーにワックスを含有するので、高画質、高信頼性の画像形成を可能とすることができる。

以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良形態につき説明する。
図1には、一例である画像形成装置における像担持体まわりの内部構成を示す。
図中符号10が、ドラム状の像担持体であり、図中時計まわりに回転する。像担持体10のまわりには、上部に帯電装置として帯電ローラ12を配置して像担持体10に押し当て、その帯電ローラ12から時計まわりに図中右側に現像装置13、下部に転写・搬送装置14、左側にクリーニング装置15などを配置する。
そして、像担持体10の時計まわりの回転とともに、帯電ローラ12によりその像担持体10の表面を一様に帯電し、次いで不図示の露光装置からレーザ光Lを照射して書込みを行い、表面に静電潜像を形成する。それから、現像装置13によりトナーを付着してその静電潜像を可視像化する。その可視像にタイミングを合わせてレジストローラ対17を回転し、それに先端を突き当てていた記録媒体を像担持体10の下方に送り込み、転写・搬送装置14で転写して像担持体10上のトナー画像を記録媒体に転写する。
画像転写後の記録媒体は、転写・搬送装置14で不図示の定着装置へと送り込み、そこで転写画像を定着して例えば不図示の排紙トレイ上に排出する。一方、画像転写後の像担持体10表面は、クリーニング装置15で転写残トナーを除去して不図示の除電装置で除電し、初期化して再度の画像形成に備える。
図2には、現像装置13の概略構成を示す。
現像装置13は、現像ケース20内に、現像ローラ22、トナー供給ローラ23、アジテータ24をそれぞれ回転自在に備え、一成分乾式現像剤であるトナー25を収納する。現像ローラ22は、現像ケース20の現像窓26を通して像担持体10の周面に押し当てる。現像ローラ22の周面には、現像ケース20で基端を保持するトナー薄層化ブレード27の先端を押し当てる。
そして、現像ケース20のトナーホッパ28でアジテータ24を回転してトナー25を撹拌しながらトナー供給ローラ23へと搬送し、そのトナー25をさらにトナー供給ローラ23で搬送して現像ローラ22の周面に供給し、その現像ローラ22上のトナー25をトナー薄層化ブレード27で薄層化して後、薄層化した現像ローラ22上のトナー25を像担持体10の表面に付着する。
図3には、現像ローラ22の縦断面を示す。
図中符号30は、芯金である。芯金30のまわりには、裏打ち層31を設ける。裏打ち層31のまわりには、合金層32を設ける。合金層32のまわりには、可撓性を有する表層33を設ける。そして、使用するときは、乾式現像剤であるトナー25を介在して、対向部材である像担持体10に押し当ててその像担持体10との間にニップ(当接領域)n(図1参照)を形成する。
表層33は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂とポリ塩化ビニル系樹脂との混合物および塩化ビニリデンと塩化ビニルとの共重合体のグループから選ばれる塩素系樹脂と可塑剤とを含有した材料、ポリプロピレン系樹脂(曲げ弾性率が800〜1500kg/cm、平均分子量が8万〜50万が好適。安全で安価。)などを用いてつくる。
表層33の内側に形成する裏打ち層31には、表層33とそれと同じ材料でつくった下層34間に、軟質ゲル材料または吸水した高吸水性ポリマ材料を密封して収納する。軟質ゲル材料または吸水した高吸水性ポリマ材料は、架橋度の低い構造をもち、大量の溶媒(水を含む)を細孔内に取り込むことができ、乾燥体積の何倍にも膨潤する。その粒子体積中細孔の占める割合は、収容した溶媒量に比例する。
軟質ゲル材料の例としては、水を溶媒とした架橋ポリデキストラン、水を溶媒としたアガロースゲル、水を溶媒としたポリアクリルアミド、水を溶媒としたアガロースゲル、有機溶媒を溶媒としたスチレン−ジビニルベンゼン、高膨潤性粘土(例:ベントナイト、天然スメクタイト、合成スメクタイト、膨潤性マイカ等からなる群)をゲル化させたチクソトロピックなゲル状物(高膨潤性粘土の含有量が、0.1〜20重量%が好適)、水を溶媒としたカルボキシメチルセルロースナトリウム(水重量比1%、25℃条件で粘度9,700CPSが可能。さらに混合比を増やすと粘度は急激に増加。下水又は土中への廃棄時、自然バクテリアにより生分解される無害物質)、高ダイラタント(通常は、溶媒中の粒子が凝集しないで低粘度を示すが、粒子濃度が45%以上になると高粘度へと粘度ジャンプが起きる特性)な共重合物の分散液等がある。
高ダイラタントな共重合物の分散液を現像ローラに用いた場合、停止時に像担持体10に対する現像ローラ22の当接圧を低くし、回転時には現像ローラ硬度が高まり像担持体10に対する当接圧も停止時より局所的に高める態様がとれ、停止時の圧痕が出難く、かつ起動トルクを抑制できる等、現像ローラ22やトナーに与えるダメージを低減できる。
他方、高吸水性ポリマ材料(高分子電解質などの水溶性ポリマを不溶化した構造をもつ)の例としては、一部上述の軟質ゲル材料と同じ例があるが、分類上以下のものがある。
1)原料面から(組成別)分類した場合
a)デンプン系……・グラフト重合系、カルボキシルメチル化(CM化)
b)セルロース系…・・グラフト重合系、カルボキシルメチル化(CM化)
c)合成ポリマ系…・・アクリル系(ポリアクリル酸系)、ポバール系(ポリビニルアルコール系)、アクリルアミド系(ポリアクリルアミド系)、ポリオキシエチレン(PEO)系
2)不溶化方法から分類した場合
a)グラフト重合(グラフト重合による3次元化)
b)橋かけ剤の共重合(橋かけ重合)
c)水溶性ポリマの3次元化
d)自己橋かけ重合
e)放射線照射
f)結晶構造の導入
3)親水化方法から分類した場合
a)親水性モノマの重合
b)疎水性モノマへのCM化反応
c)疎水性ポリマへの親水性モノマのグラフト反応
d)ニトリル基、エステル基の加水分解反応
4)製品形態から分類した場合
a)粉末状……・・球形、無定形
b)フィルム状
c)繊維状……・・短繊維、長繊維、不織布
表層33の内側の裏打ち層31を、吸水した高吸水性ポリマ材料を密封し、かつ該ポリマ材料の一部が温度調整部材に接触した構成にするには、まず該裏打ち層31となる、表層33と下層34とで構成する空隙部に上記の粉末状や繊維状の高吸水性ポリマ材料を入れ、次いで空隙部に吸水し、該空隙部の内圧を1013hPa以上に高めた状態で封をする製造方法が、所望硬度等の特性を安定して得るのに好適である。
表層33と裏打ち層31との間には、合金層32を設ける。合金層32は、ヤング率が70Gpa以下で、耐力が700Mpa以上のチタン合金で形成する。合金層32を使用することにより、必要な喰い込み量を確保し、かつ過重の低減を図り、また硬度の高い現像ローラの使用を可能にすることができる。これにより、長期にわたる安定した高画質の画像形成を提供できる。
合金層32には、体心立方構造を有するβ型チタン合金を使用し、基本的にはTi3(Ta,Nb,V)+(Zr,Hf,O)と表示される組成である。製造方法は純Ti粉末にNbやTa,Zr,Hf,V,Scなどの粉末を所定量混合し、ゴム型内に充填してCIP(冷間静水圧圧縮)整形する。そして、1200℃で6時間などの条件で真空焼結し、大気中において800〜1000℃で熱間鋳造する。これに熱処理を300〜500℃で10時間行う。引っ張り強度は、材料の組成比を変えることで変わるが、1000Mpaと高く、またヤング率は、40-80Gpaとすることが可能である。
これにより、大幅に強固になり、破損の心配がなく、裏打ち層31のゲルやポリマの流出による汚染の発生をなくすことができる。また、長期使用による磨耗や破損の心配がなく、現像ローラ22の耐久性を向上して長期安定性を高めることができ、ヤング率も低く設定できるため、ゲル材料やポリマ材料を用いた均一な圧力を維持する効果を得ることができる。
現像ローラ22としての実行硬度は、JIS-A硬度で60度以下の硬さが望ましく、さらに好ましくは、45度以下が望ましい。
現像ローラ22に表面から外圧を加えると、ニップnが凹み、裏打ち層31内で高まった圧力が瞬時に均等になるように拡散しながら伝播する。なお、外圧を加えた後、裏打ち層31の内圧が平行状態に達した際、表面が外圧に応じて伸びる材料で覆われている場合は、体積は減容しないので内圧は外圧を加える前とほとんど同じ状態で安定状態(平衡状態)になる。特に、表面が可撓性を持つ材料で覆われている場合は、現像ローラ22の断面は外部からの局部加圧で歪み断面積が減少し、一定の加圧圧力を維持することができる。
そこで、図4に示すように、現像ローラ22を、対向部材である像担持体10に押し当てると、(B)に示す従来例では、ニップnに局部的な凹みや近傍表層の盛り上がりを生ずるが、(A)に示すこの例では、そのような凹みや盛り上がりといった現像ローラ表面周速ムラの原因となる歪み変形が発生しにくくなり、また該現像ローラ駆動軸の振動も直接ローラ表面に伝播しにくいので、濃度むら、バンディング等の画像送り方向乱れを防止することができる。
なお、図4において、像担持体10に押し当てない状態における加圧ローラ22のローラ外形を点線で示し、押し当てた状態のローラ外形を実線で示す。後者の状態では、(A)に示すこの例によれば、ニップnより遠いところほど外径rMAXが大きくなり、(B)に示す従来例によれば、ニップnの近傍で外径rMAXが大きくなる。
ところで、図示例では、図5に示すように、現像ローラ22のローラ部36の両端に、そのローラ部36の外径より0.05〜0.2mm程度小径のコロ37を設け、ローラ軸38に片側200g重以上、両端で400g重以上となる荷重Fを加え、像担持体10に現像ローラ22のローラ部36の外周を押し当てる。このとき、コロ37を像担持体10の周面に押し当てることにより、対向部材である像担持体10に対する加圧部材である現像ローラ22の食い込み量を所定値以下に維持し、像担持体10に対する現像ローラ22の当接圧を抑制する。
さて、表層33と裏打ち層31との間には、図6に示すように、伸びの防止の役割をなす伸び防止層40を設けるようにしてもよい。伸び防止層40は、他の部材41に積層したり、他の部材と混在したりして設け、例えばグラスファイバー層や樹脂層や芯体層などで構成する。
樹脂層は、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂を用いて形成する。芯体層は、綿、絹、麻などの天然繊維、キチン繊維、アルギン酸繊維等の再生繊維、アセテート繊維等の半合成繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、アラミド繊維等の合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維などの無機繊維などを用いてつくる。例えば、太さ100μmのアラミド繊維を織布形状にして用いる例が挙げられる。
また、乾式現像剤を構成するトナー25は、重量平均径を4〜15μmとする。トナー粒径が適正範囲内のため、トナー粒径の大小に関わるが、コスト高、低画質、トナー飛散等の問題を防止できる。1200dpi以上の高解像度画像を得るには、該トナー粒径が6μm程度の大きさも許容可能である。
さらに、乾式現像剤を構成するトナーは、ワックスを含有する。この例では、トナーに加わる熱および圧の負荷を少なくできるので、ワックスを含有したトナー特有の経時変化を生ずる問題を改善できる。
トナーには、ポリエステル、ポリオール、スチレンアクリル等のバインダー樹脂等が使用できる。また、離型剤としてのワックス類は、従来公知のものが使用できる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックス、密ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド等およびこれらの各種変性ワックスが挙げられる。
これらは1種または2種以上を併用して用いることができるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックスおよび酸化ライスワックスを単独または組み合わせて使用することにより良好な離型性を得ることができる。ここで、カルナウバワックスとしては、微結晶であり、酸価が5以下であり、結着樹脂中に分散した時の粒子径が1μm以下であるものが特に好ましい。また、モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であるものが特に好ましい。また、酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価が10〜30であるものが特に好ましい。
さらに、この時の離型剤の融点が80〜125℃であることが特に好ましい。融点を80℃以上にすることにより耐久性が優れたトナーとすることができ、また融点を125℃以下とすることにより定着時に速やかに溶融し、確実な離型効果を発揮できる。これらの離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜15重量部、好ましくは、2〜10重量部である。1重量部以下ではオフセット防止効果が不十分であり、15重量部以上では転写性、耐久性等が低下する。また、この発明で使用するトナーは、必要に応じて、着色剤、帯電制御剤、磁性体、添加剤等を加えることも可能である。
トナーに用いる着色剤としては、公知の染料および顔料が使用できる。
黄色系着色剤としては、例えば、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー、(GR、A、RN、R),ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、ベンズイミダゾロンイエロー、イソインドリノンイエロー等が挙げられる。
赤色系着色剤としては、例えば、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイヤーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッド(F5R、FBB)、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パ−マネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ等が挙げられる。
青色系着色剤としては、例えば、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン等が挙げられる。
黒色系着色剤としては、例えば、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネル ブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物等が挙げられる。
その他の着色剤としては、チタニア、亜鉛華、リトボン、ニグロシン染料、鉄黒等が挙げられる。
これらの着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜30重量部の範囲内である。
この例で、トナーに用いられる帯電制御剤としては、まず、トナーを正帯電性に制御するものとして、ニグロシンおよびその変成物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート等が挙げられる。
また、トナーを負帯電性に制御するものとして、サリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることも可能である。
これらの帯電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜8重量部が好ましい。
トナーに用いられる添加剤としては、従来公知のものが使用できるが、具体的には、Si,Ti,Al,Mg,Ca,Sr,Ba,In,Ga,Ni,Mn,W,Fe,Co,Zn,Cr,Mo,Cu,Ag,V,Zr等の酸化物や複合酸化物等が挙げられ、特にSi,Ti,Alの酸化物であるシリカ、チタニア、アルミナが好適である。
また、このときの添加剤の添加量は、母体粒子100重量部に対して0.5〜1.8重量部であることが好ましく、特に好ましくは、0.7〜1.5重量部である。
添加剤の添加量が、0.5重量部未満であると、トナーの流動性が低下するため、十分な帯電性が得られず、また転写性や耐熱保存性も不十分となり、地汚れやトナー飛散の原因にもなりやすい。
また、1.8重量部より多いと、流動性は向上するものの、ビビリ、ブレードめくれ等の像担持体クリーニング不良や、トナーから遊離した添加剤による像担持体等へのフィルミングが生じやすくなり、クリーニングブレードや像担持等の耐久性が低下し、定着性も悪化する。さらに、細線部におけるトナーのチリが発生しやすくなり、特にフルカラー画像における細線の出力の場合には、少なくとも2色以上のトナーを重ねる必要があり、付着量が増えるため、特にその傾向が顕著である。
さらに、カラートナーとして用いる場合には、添加剤が多く含有されていると、透明シートに形成されたトナー画像をオーバーヘッドプロジェクターで投影した場合に投影像にかげりが生じ、鮮明な投影像が得られにくくなる。
ここで、添加剤の含有量の測定には種々の方法があるが、蛍光X線分析法で求めるのが一般的である。すなわち、添加剤の含有量既知のトナーについて、蛍光X線分析法で検量線を作成し、この検量線を用いて、添加剤の含有量を求めることができる。
さらに、この例で用いる添加剤は、必要に応じ、疎水化、流動性向上、帯電性制御等の目的で、表面処理を施されていることが好ましい。
ここで、表面処理に用いる処理剤としては、有機系シラン化合物等が好ましく、例えば、メチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のアルキルクロロシラン類、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のアルキルメトキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等が挙げられる。
また、処理方法としては、有機シラン化合物を含有する溶液中に添加剤を漬積し乾燥させる方法、添加剤に有機シラン化合物を含有する溶液を噴霧し乾燥させる方法等があるが、この例においては、いずれの方法も好適に用いることができる。
ところで、上述した例では、現像装置13を単独で画像形成装置本体に対して着脱自在とする。しかし、像担持体10、帯電装置12、クリーニング装置15などの少なくとも1つと一体的に構成し、画像形成装置本体に対して一括して着脱自在としてもよい。このようにすると、メンテナンス性を向上し、小型化を可能とすることができる。
さて、上述した例では、対向部材を像担持体10とし、加圧部材を、それに乾式現像剤であるトナー25を介在して押し当てることによりそれらの間にニップ(当接領域)nを形成する現像ローラ22とする例を示した。しかし、加圧部材は、もちろん現像ローラ22に限るものではなく、帯電ローラ12、転写装置をローラ部材で形成したときの転写ローラ、クリーニング装置の清掃部材を静電ローラとしたときの静電クリーニングローラ、定着装置の定着ローラや定着用加圧ローラなどのローラ部材であってもよいし、ローラ部材に限らず、例えばベルト部材を挟んで対向部材に押し当てるものであってもよい。
一方、対向部材も、ローラ状部材に限らず、ベルト部材であってもよいし、回転したり移動したりしない固定ブレードなどでもよい。
図7には、対向部材を定着装置の定着ローラとし、加圧部材を定着用加圧ローラとした例を示す。
図中符号50は、定着ローラであり、筒状で、表層の加熱離型層51とその内側の熱線吸収および熱伝導層52とを有し、内部にヒータ53を備えてなる。その定着ローラ50には、不図示のスプリングで付勢して加圧ローラ54を押し当ててそれらの間にニップ(当接領域)nを形成する。加圧ローラ54は、芯金55と裏打ち層56と表層57とで構成する。表層57は、断熱性を有する加圧離型弾性層である。
定着装置の入口側には、画像転写後の記録媒体をニップnに案内する一対のガイド板58を設け、定着ローラ50の周面に近接して温度センサ59を備える。出口側には、画像定着後の記録媒体を案内するガイド板60を設け、定着ローラ50の周面に先端を接触して分離爪61を備える。分離爪61は、ニップnを通過した記録媒体を定着ローラ50から分離する。
この例においても、裏打ち層56には、軟質ゲル材料または吸水した高吸水性ポリマ材料を密封する。また、表層57と裏打ち層56との間には、ヤング率が70Gpa以下で、耐力が700Mpa以上のチタン合金で形成した合金層を設けたり、伸び防止層を設けたりするとよい。
この種の定着装置に適用した場合には、加圧部材である加圧ローラ54に温度上昇を抑制する温度上昇抑制手段を設けることが好ましい。図7に示す例では、芯金55を温度上昇抑制手段としても利用し、加圧ローラ54の温度上昇を抑制する。また、図8に示すように、ヒートパイプ63を用いたり、ヒートシンク64を用いたりして加圧ローラ54の温度上昇を抑制するようにしてもよい。
なお、定着ローラ50については、ローラ表面を微細な突出部分があるように多少粗面処理を施す(十点平均粗さRzがトナー平均粒径の50%以下が好適。突出部の平均間隔Smx及びSmyは各々最小画像ドットの主走査方向長さおよび副主走査方向長さの30%以下が好適。)と、平均的な圧力に比べと該突出部圧力が局所的に高まり、最小ドットレベルで定着不良による定着画像の欠損を防止できる。
逆に、低温度環境下における過度の冷却も避けることが望ましい。例えば、機内の熱源(定着ヒータ53、像担持体10のヒータ、記録媒体の除湿ヒータ、裏打ち層56用の専用ヒータなど)を利用して過度の冷却を防止する。加熱のための伝熱にも、熱伝導率のよい金属やヒートパイプを用いたり、送風を利用したりする。
このように温度上昇抑制手段や温度低下抑制手段などの温度調整部材を設けることによって、加圧部材の温度上昇や温度低下を抑制し、裏打ち層56の内圧の過不足変化を防止することができる。
なお、図9には、トナーとキャリアとよりなる二成分乾式現像剤を収納する画像形成装置において、上述した例と同様に、像担持体を対向部材とし、現像ローラを加圧部材とする例を示す。
現像装置70の現像ケース71内には、現像ローラ72と、内部に固定磁石を内蔵する供給ローラ73と、2つの撹拌部材74とを備え、二成分乾式現像剤75を収納する。供給ローラ73のまわりには、薄層化ブレード76を設ける。
そして、トナー補給孔77から現像ケース71内に補給したトナーを撹拌部材74でキャリアと撹拌しながら供給ローラ73に搬送し、その供給ローラ73でトナーをキャリアとともに磁力で担持する。供給ローラ73の回転とともに薄層化ブレード76で供給ローラ73上の現像剤量を規制し、適正量化した現像剤のトナーのみを現像ローラ72に供給し、現像ローラ72でトナーを付着して像担持体10上の静電潜像を可視像化する。
この例においても、加圧部材である現像ローラ72には、可撓性を有する表層の内側に裏打ち層を形成する。裏打ち層には、軟質ゲル材料または吸水した高吸水性ポリマ材料を密封する。また、表層と裏打ち層との間には、ヤング率が70Gpa以下で、耐力が700Mpa以上のチタン合金で形成した合金層を設けたり、伸び防止層を設けたりする。
一例である画像形成装置における像担持体まわりの内部機構の概略構成図である。 その画像形成装置に備える現像装置の概略構成図である。 その現像装置に備える現像ローラの拡大縦断面図である。 (A)はその現像ローラの押し当て状態、(B)は従来の現像ローラの押し当て状態を示す説明図である。 像担持体に対する現像ローラの押し当て状態を示す平面図である。 (A)は伸び防止層の部分拡大斜視図、(B)および(C)はその部分断面図である。 定着装置の概略構成図である。 温度調整部材を有する加圧ローラの構成図である。 画像形成装置における二成分乾式現像剤を収納する現像装置の概略構成図である。
符号の説明
10 像担持体(対向部材)
12 帯電ローラ
22 現像ローラ(加圧部材)
25 トナー(一成分乾式現像剤)
31 裏打ち層
32 合金層
33 表層
40 伸び防止層
50 定着ローラ(対向部材)
54 加圧ローラ(加圧部材)
56 裏打ち層
57 表層
72 現像ローラ(加圧部材)
n ニップ(当接領域)

Claims (9)

  1. 使用するとき乾式現像剤を介在して対向部材に押し当ててその対向部材との間に当接領域を形成する加圧部材において、
    可撓性を有する表層の内側に、軟質ゲル材料を密封する裏打ち層を形成し、
    前記表層と前記裏打ち層間に、ヤング率が70Gpa以下で、耐力が700Mpa以上の合金で形成した合金層を設けることを特徴とする、加圧部材。
  2. 使用するとき乾式現像剤を介在して対向部材に押し当ててその対向部材との間に当接領域を形成する加圧部材において、
    可撓性を有する表層の内側に、吸水した高吸水性ポリマ材料を密封する裏打ち層を形成し、
    前記表層と前記裏打ち層間に、ヤング率が70Gpa以下で、耐力が700Mpa以上の合金で形成した合金層を設けることを特徴とする、加圧部材。
  3. 前記合金層がチタン合金で形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の加圧部材。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1に記載の加圧部材を備えることを特徴とする、プロセスカートリッジ。
  5. 請求項1ないし3のいずれか1に記載の加圧部材を備えることを特徴とする、画像形成装置。
  6. 前記加圧部材が、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、静電クリーニングローラ、定着ローラ、定着用加圧ローラのいずれかであることを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記対向部材に対する前記加圧部材の食い込み量を所定値以下に維持することを特徴とする、請求項5または6に記載の画像形成装置。
  8. 前記乾式現像剤を構成するトナーの重量平均径を4〜15μmとすることを特徴とする、請求項5ないし7のいずれか1に記載の画像形成装置。
  9. 前記乾式現像剤を構成するトナーにワックスを含有することを特徴とする、請求項5ないし8のいずれか1に記載の画像形成装置。
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