JP3789028B2 - トレッドゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気抵抗が小さく、かつ導電性材料のブリード性が低いタイヤ用トレッドゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の低燃費化に対応して転がり抵抗を低減した低燃費タイヤの開発が進められており、ヒステリシスロスを低下させるために、タイヤ用トレッドゴム組成物に用いられる補強材であるカーボンブラックの一部または全部をシリカに置き換えることが一般的に行なわれている。
【0003】
しかし、カーボンブラックの配合量を少なくすると、えられるタイヤの電気抵抗が増大して静電気が自動車に蓄積してしまい、たとえばラジオノイズが発生したり、給油所でスパークを起こして発火するなどの問題がある。
【0004】
そこで、たとえば国際公開第95/31888号パンフレット(1995)または特開平9−111039号公報においては、シリカ配合ゴム組成物に導電性を付与すべくオキシエチレンユニットを有する非イオン性界面活性剤である導電性材料を配合する技術が開示されている。
【0005】
しかし、前記先行技術は、導電性材料とゴム成分やシリカなどの他の成分とを同時に混練りすることによりゴム組成物をえようとするものであり、導電性材料の分散性が低いだけでなく、その配合量を多くしなければ電気抵抗を充分に低下させることができず、さらに、導電性材料のゴム成分への溶解度が低いため導電性材料のブリードが発生しやすいという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記問題点に鑑み、本発明の目的は、電気抵抗が小さく(高電気伝導度)、かつ導電性材料のブリード性が低いトレッドゴム組成物をうることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シリカ100重量部に対して2〜50重量部の式(I):R−O−(CH 2 −CH 2 −O) n −H(式中、Rはアリール基、nは1以上の整数)で示されるオキシエチレンユニットを有する導電性材料を被覆してなる被覆シリカ20〜80重量部を、ジエン系ゴムを主成分とするゴム成分100重量部に配合してなるトレッドゴム組成物に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、ゴム組成物に配合するシリカをあらかじめ導電性材料で被覆することに最大の特徴を有する。すなわち、本発明においては導電性被膜を有する被覆シリカをジエン系ゴムを主成分とするゴム成分に配合する。これにより、えられるトレッドゴム組成物における導電性材料の分散性が向上し、その結果として電気抵抗が小さく前記導電性材料のブリード性が低いトレッドゴム組成物をうることができる。
【0010】
本発明においては、シリカ表面の被膜を構成する導電性材料を、えられるゴム組成物中でシリカとともにほぼ均一に分散させる必要がある。したがって前記被膜は、少なくとも被覆シリカとゴム成分とを配合混練する際にシリカ表面から分離しにくいものでなければならない。
【0011】
また、前記被膜はシリカの表面全体を均一に被覆してなるのが好ましいが、被膜を形成する導電性材料の種類によっては、シリカ表面の一部をほぼ均一に、本願発明の効果を損なわない範囲で被覆していればよい。
【0012】
本発明において用いることのできる導電性材料は、シリカの表面に導電性被膜を形成しうるものであれば、液状、ペースト状などのいずれであってもよく、ゴム成分中でのシリカの分散性を低下させることなく、また、少なくともゴム成分との配合混練の際にはシリカから分離しにくいものであればよい。
【0013】
本発明のトレッドゴム組成物は、トレッドに成形後も導電性材料のブリードが少ないものである。これは、導電性被膜がたとえばシリカの表面に化学的に結合しているか、シリカの表面に親和力によって担持されているか、またはシリカの表面に物理的に担持されているためであると考えられる。
【0014】
かかる導電性材料としては、たとえば
(1)オキシエチレンユニットを側鎖、主鎖および/または末端に有する化合物など;これらのうち、炭素数の比較的少ないものはタイヤ用ゴム組成物の分野で非イオン性界面活性剤として通常使用され、炭素数の比較的多いものはタイヤ用ゴム組成物の分野で帯電防止剤および導電性可塑剤として通常使用されている。また、これらはシリカの表面に親和力によって担持されて被膜を形成するものである。
【0015】
(2)過塩素酸リチウムなどの金属塩;これらはタイヤ用ゴム組成物の分野で前記(1)の非イオン性界面活性剤、帯電防止剤または導電性可塑剤と併用して通常使用される。
【0016】
(3)ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリピロールなどの導電性ポリマー;これらはシリカの表面に物理的に担持されて被膜を形成するものである。
【0017】
(4)ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリピロールなどの主鎖共役型高分子に、ヨウ素、五フッ化ヒ素などの電子受容性分子もしくは金属ナトリウムなどの電子供与性物質をドープしてえられるものなどのドープ型導電性ポリマー;これらはシリカの表面に物理的に担持されて被膜を形成するものである。
【0018】
さらに、前記導電性材料(1)〜(4)のなかでも、シリカとの親和性が高いという点から(1)の導電性材料が好ましく、具体的には式(I):R−O−(CH2−CH2−O)n−H(式中、Rは水素原子、または炭化水素基、nは1以上の整数)で示されるオキシエチレンユニットを有する化合物を用いるのが好ましい。この化合物は、オキシエチレンユニットを有する化合物のもつエーテル結合部分が親水性であるため、えられるタイヤトレッドの表面が親水性となり、該親水性の表面に道路上の水や大気中の湿気が吸収されて導電性が高くなり、静電気を地面や大気に放出することにより導電性がえられ、静電気が自動車に蓄積されるのを防ぐことができる。また、この化合物は被膜形成性がよく、シリカ表面に存在する水酸基と導電性材料の有する親水性部分が結合して持続性のある導電性被膜を形成する。オキシエチレンユニットを有する化合物は、側鎖、主鎖および/または末端にオキシエチレンユニットを有しているものである。
【0019】
式(I)中のnの範囲は、1以上の整数であればよいが、少ないと電気抵抗低減効果が小さく、多すぎるとゴム成分との相溶性、補強性が低下するという点から、2≦n≦16であるのが好ましく、さらに電気抵抗低減効果、ゴム成分との相溶性、および補強性のバランスという点から、3≦n≦14であるのが好ましい。
【0020】
また、式(I)のRは水素原子または炭化水素基である。炭化水素基としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に制限はないが、たとえばアルキル基、アリール基などがあげられる。これら炭化水素基は置換されていてもよく、また直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。炭化水素基が置換されているばあいは、電気抵抗低減効果およびゴム成分との相溶性の向上という点からオキシエチレンユニットにより置換されていてもよい(このばあい、オキシエチレンユニットを有する化合物には側鎖にオキシエチレンユニットを有するものも含む)。
【0021】
前記式(I)で示されるオキシエチレンユニットを有する化合物のうち、主鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物の具体例としては、たとえばモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
【0022】
【化1】
【0023】
(理研ビタミン(株)製のリケマールA−23、n=8)、C12H25O(CH2CH2O)5H(理研ビタミン(株)製のリケマールB−205、n=5)などがあげられ、側鎖にオキシエチレンユニットを有する化合物としては、たとえば住友化学工業(株)製のスミエード300G(n=10)などが好ましい。
【0024】
つぎに、本発明において前記導電性材料により被覆されるシリカとしては、従来からタイヤの分野で用いられているものであればよいが、補強性、ハンドリング、ミキシングの点から比表面積が150〜300m2/g、見かけ比重が120〜300g/リットルであるものが好ましい。
【0025】
つぎに、前記導電性材料を用いてシリカを被覆する方法としては、とくに制限はなく、導電性材料の種類、性状などによって適宜選定すればよい。たとえばシリカを撹拌槽中で撹拌しながら導電性材料を滴下した後、乾燥して被覆シリカをうる方法、シリカを撹拌槽中で撹拌しながら導電性材料をスプレーで噴射もしくは噴霧した後、乾燥して被覆シリカをうる方法などがあげられる。
【0026】
また、前記被覆シリカにおいて、シリカ100重量部に対する導電性材料(被膜)の重量比としては、少なすぎると導電性改善効果が少なく、多すぎるとブルーミングが発生するという点から2〜50重量部であるが、導電性改善効果とブルーミング発生防止のバランスという点から5〜25重量部であるのが好ましい。
【0027】
本発明におけるゴム成分は主としてジエン系ゴムからなる。かかるジエン系ゴムとしては、従来からタイヤの分野で用いられているものであればよいが、たとえば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、ブチルゴム(IIR)などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合せて用いてもよい。
【0028】
また、本発明におけるゴム成分を構成するジエン系ゴム以外のゴム成分としては、通常タイヤの分野でジエン系ゴムと併用されているものであって、本発明の効果を損なわないものであればよい。またその配合割合は本発明の効果を損なわない範囲であればよい。
【0029】
本発明のトレッドゴム組成物は、前記ゴム成分と被覆シリカとを従来の方法で混練りすることによってえられる。このばあいの前記被覆シリカのゴム成分に対する混練割合としては、ゴム成分100重量部に対して補強性と低燃費性の両立という点から20〜80重量部であるが、さらに補強性と低燃費のバランスを考えると30〜70重量部であるのが好ましい。
【0030】
また、本発明のトレッドゴム組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でカーボンブラックを配合してもよい。かかるカーボンブラックとしては従来からタイヤの分野で用いられているものであればよいが、好ましくはSAF、ISAF、HAFなどの補強性の高いタイプのものが望ましい。
【0031】
カーボンブラックを配合するばあい、ゴム成分に対する混練割合としては、本発明の効果を損なわない範囲であればよい。
【0032】
なお、本発明のトレッドゴム組成物には、通常、タイヤの分野で用いられる配合剤、たとえばイオンなどの加硫剤、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)などの加硫促進剤、亜鉛華(ZnO)やステアリン酸などの加硫助剤、カップリング剤、プロセスオイル、ワックス、老化防止剤などを、本発明の効果が損なわれない範囲で必要に応じて配合してもよい。
【0033】
本発明のトレッドゴム組成物を用いて、通常の方法によりタイヤ用トレッドおよび該トレッドを有するタイヤを作製することができる。
【0034】
【実施例】
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限られるものではない。
【0035】
製造例1〜4(被覆シリカの製造)
シリカAとしてデグッサ(株)製のウルトラシルVN3(比表面積:210m2/g、見かけ比重:220g/リットル)、導電性材料Aとして三井石油化学(株)製のトリエチレングリコールを用い、まず撹拌槽に5kgのシリカを入れ、撹拌しながら導電性材料A100gを100g/minの速度で滴下した後、乾燥することにより、シリカ100重量部に対して導電性材料Aが2重量部被覆された本発明の被覆シリカ1をえた。同様にして導電性材料Aの滴下量を500g、1000gおよび2500gとして、それぞれシリカ100重量部に対して導電性材料Aが10、20および50重量部被覆された本発明の被覆シリカ2、3および4をえた。
【0036】
比較例1〜4
ゴム成分として天然ゴム40重量部、SBR60重量部を用い、これに製造例1〜4でえた被覆シリカ1〜4および他の添加剤を表1に示す配合でバンバリーミキサーを用いて混練りし、比較ゴム組成物をえた。このゴム組成物を加硫プレスを用いて170℃で10分間加硫することにより加硫後の比較ゴム組成物1〜4をえた。
【0037】
なお、SBRとしては日本合成ゴム(株)製のSL574、シランカップリング剤としてはデグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフェン)、プロセスオイルとしては出光興産(株)製のダイアナプロセスPS32、ワックスとしては大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス、老化防止剤としては精工化学(株)製のオゾノン6C、ステアリン酸としては日本油脂(株)製の桐、亜鉛華としては東邦亜鉛(株)製の銀嶺R、イオウとしては鶴見化学(株)製のイオウ、加硫促進剤としては大内新興化学工業(株)製のノクセラーNSを用いた。
【0038】
ついで、えられた比較ゴム組成物1〜4または加硫後の比較ゴム組成物1〜4について下記の方法にしたがって評価した。評価結果を表1に示す。
【0039】
[評価方法]
(1)体積固有抵抗値
加硫後の比較ゴム組成物1〜4から、長さおよび幅が15cmで厚さが2mmの試験片を作製し、ADVANTEST社製の電気抵抗測定器R8340Aを用い、印加電圧500V、温度25℃、湿度50%の条件で、それぞれの試験片の体積固有抵抗値:logσV(Ωcm)を測定した。値が小さいほど、えられたゴム組成物は電気抵抗値が小さく、性能が高いことを示す。
【0040】
(2)粘弾性
前記体積固有抵抗値の測定のばあいと同様にして作製した試験片について、岩本製作所(株)製の粘弾性スペクトロメータを用い、周波数10Hz、動歪2.0%の条件下で、70℃における損失係数(tanδ)を測定した。えられた値の逆数を、後述する比較例5(導電性材料未配合)のものを基準である100として指数で示した。該指数が大きいほどtanδが低く性能が良好である。
【0041】
(3)耐摩耗性
前記体積固有抵抗値の測定のばあいと同様にして作製した試験片について、岩本製作所(株)製のランボーン摩耗試験器を用いて、表面回転速度50m/min、負荷荷重1.5kg、スリップ率30%および50%、落砂量15g/minの条件下で摩耗量を評価した。2つのスリップ率での値の平均値をとり、えられた平均値を、後述する比較例5(導電性材料未配合)のものを基準である100として指数で示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れている。
【0042】
(4)タイヤの電気抵抗
未加硫の比較ゴム組成物1〜4を用いて、ロートレッドを作製し、タイヤカバーに貼付成形し、170℃、20kgfで10分間加硫するという条件および方法で195/65R15のサイズのタイヤを作製した。えられたタイヤについて、Wdk blatt3に規定されている荷重下でのタイヤ電気抵抗の測定方法にしたがってタイヤの電気抵抗を測定した。図1にタイヤの電気抵抗の測定方法を説明するための概略説明図を示す。図1に示すように、台板2に対して絶縁状態で取付けられた鋼板3の上に、標準リム4にリム組し、かつ空気圧を20kpaとしたタイヤ1を設置し、荷重450kgをかけ、リムの中央部とタイヤ1が接地している鋼板3とのあいだの抵抗値logΩ(Ω)を、抵抗測定器5を用いて印加電圧500V、温度25℃、湿度50%の条件で測定した。
【0043】
(5)耐ブリード性
加硫後の比較ゴム組成物1〜4から、幅10cm、長さ10cm、厚さ2mmの試験片を作製し、日当たりがよく雨に濡れない場所に30日間曝露した。30日経過後もブリードが認められなかったものをA、30日経過後にブリードが認められたものをB、20日経過後にブリードが認められたものをC、10日経過後にブリードが認められたものをD、1日経過後にブリードが認められたものをEとして評価した。
【0044】
比較例5〜9
表1に示す配合割合に変えたほかは比較例1と同様にして比較ゴム組成物5〜9をえ、かつ評価を行なった。結果を表1に示す。比較例5は導電性材料Aを配合しなかった例、比較例6〜9は導電性材料Aをシリカに被覆せず単に混合した例である。
【0045】
【表1】
【0046】
表1より、あらかじめ導電性材料を被覆したシリカを用いてえられる比較ゴム組成物1(比較例1)は、同量の導電性材料およびシリカを単に混合してえられる比較ゴム組成物6(比較例6)に比べて、体積固有抵抗値およびタイヤの電気抵抗値が低下し、かつtanδおよび耐ブリード性が向上している。比較例2と比較例7、比較例3と比較例8、比較例4と比較例9からも同様のことがいえる。また、比較例1〜4においては、導電性材料の使用量の増加によって耐ブリード性が低下することはないが、比較例6〜9においては、耐ブリード性が低下しているのがわかる。
【0047】
比較例10〜12
表2に示す配合割合を用いたほかは比較例1と同様にして比較ゴム組成物10〜12をえ、かつ比較例1と同様にして評価を行なった。結果を表2に示す。なお、カーボンブラックとしては東海カーボン(株)製のN330を用いた。
【0048】
【表2】
【0049】
表2より、カーボンブラックを含むばあいであっても、比較ゴム組成物10(比較例10)は導電性材料およびシリカを単に混合してえられる比較ゴム組成物11(比較例11)に比べて、体積固有抵抗値およびタイヤの電気抵抗値が低下し、かつtanδおよび耐ブリード性が向上している。また、比較例12より、導電性材料を用いずにカーボンブラックの配合量を多くして体積固有抵抗値およびタイヤの電気抵抗値を低下させようとすると、tanδが低下してしまうことがわかる。
【0050】
製造例5〜7
導電性材料として三井石油化学(株)製のモノエチレングリコール(導電性材料B)、理研ビタミン(株)製のリケマールA−23(
【0051】
【化2】
【0052】
n=8)(導電性材料C)、理研ビタミン(株)製のリケマールB−205(C12H25O(CH2CH2O)5H、n=5)(導電性材料D)を用いたほかは製造例1と同様にして、シリカA100重量部に対していずれも10重量部の導電性材料B〜Dからなる被膜を有する本発明の被覆シリカ5〜7をえた。
【0053】
実施例1および比較例13〜17
表3に示す配合割合を用いたほかは比較例1と同様にして本発明のトレッドゴム組成物1および比較ゴム組成物13〜17をえ、かつ評価を行なった。結果を表3に示す。なお、表3には、比較のために比較例2および比較例7でえたゴム組成物についての結果も記載する。
【0054】
【表3】
【0055】
表3より、導電性材料として導電性材料B(モノエチレングリコール)を用い、かつあらかじめ導電性材料を被覆するシリカを用いてえられる比較ゴム組成物13(比較例13)は、同じ導電性材料Bおよびシリカを単に混合してえられる比較ゴム組成物15(比較例15)に比べて、体積固有抵抗値およびタイヤの電気抵抗値が低下し、かつtanδおよび耐ブリード性が向上している。導電性材料として導電性材料A(トリエチレングリコール)を用いた比較例2と比較例7、導電性材料として導電性材料C(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル)を用いた実施例1と比較例16、導電性材料として導電性材料D(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を用いた比較例14と比較例17のばあいも同様である。すなわち、導電性材料の種類をかえても本発明の優れた効果をうることができるのがわかる。
【0056】
製造例8および9
シリカとして日本シリカ(株)製のニプシルVN3(比表面積:170〜220m2/g、見かけ比重:120〜160g/リットル)(シリカB)または日本シリカ(株)製のニプシルAQ(比表面積:170〜220m2/g、見かけ比重:240〜280g/リットル)(シリカC)を用いたほかは製造例1と同様にして、シリカBまたはCに対して10重量%の導電性材料Aからなる被膜を有する本発明の被覆シリカ8および9をえた。
【0057】
比較例18〜21
表4に示す配合割合を用いたほかは比較例1と同様にして比較ゴム組成物18〜21をえ、かつ評価を行なった。結果を表4に示す。なお、表4には、比較のために比較例2および比較例7でえたゴム組成物についての結果も記載する。
【0058】
【表4】
【0059】
表4より、あらかじめ導電性材料を被覆するシリカとしてシリカBを用いてえられる比較ゴム組成物18(比較例18)は、導電性材料および同じシリカBを単に混合してえられる比較ゴム組成物20(比較例20)に比べて、体積固有抵抗値およびタイヤの電気抵抗値が低下しており、かつtanδおよび耐ブリード性が向上している。また、比較例2と比較例7、比較例19と比較例21のばあいも同様である。すなわち、シリカの種類をかえても本発明の優れた効果をうることができるのがわかる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、電気抵抗が低く、耐ブリード性に優れ、かつ低燃費タイヤに好適なトレッドゴム組成物をうることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイヤの電気抵抗の測定方法を説明するための概略説明図である。
【符号の説明】
1 タイヤ
2 台板
3 鋼板
4 リム
5 抵抗測定器
Claims (1)
- シリカ100重量部に対して2〜50重量部の式(I):R−O−(CH 2 −CH 2 −O) n −H(式中、Rはアリール基、nは1以上の整数)で示されるオキシエチレンユニットを有する導電性材料を被覆してなる被覆シリカ20〜80重量部を、ジエン系ゴムを主成分とするゴム成分100重量部に配合してなるトレッドゴム組成物。
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