JP3788713B2 - ディーゼルエンジンの電子制御式燃料噴射システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンの電子制御式燃料噴射システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来公知の電子制御式燃料噴射システムでは、エンジン回転に同期して回転駆動されるパルサと、このパルサに設けられた歯を検出してパルス信号を発生する回転角センサとを備え、この回転角センサより出力されるパルス信号に基づいて噴射ポンプに内蔵される電磁スピル弁の開閉動作を制御している。
ところが、スピル弁の開弁時に発生するスピル反力によりパルス信号にノイズが乗ると、そのノイズによって正規のパルス信号(エンジン回転数に同期して出力されるパルス信号)以外に余分なパルス信号が出力される“パルス割れ”と呼ばれる現象を生じる。このパルス割れは、スピル弁の開弁時刻(スピル開弁時刻と呼ぶ)から略所定時間(約5ms)の間に発生することが分かっている。つまり、図16で説明すると、スピル開弁時刻t2 をセットするためのパルス信号Aの次に出力される正規のパルス信号Bの直前または直後(A−B間、B−C間)でパルス割れが発生する可能性がある。
【0003】
スピル開弁時刻t2 を含むパルス間隔(A−B間の時間間隔:ets2)、及び次のパルス間隔(B−C間の時間間隔:ets3)は、次気筒のスピル開弁時刻を算出するためのデータとして使用されるが、上記のようにパルス信号Bの直前または直後でパルス割れが発生すると、誤ったデータが記憶されて次気筒の噴射量を適正に制御できなくなる。そこで、従来では、パルス割れが発生すると、エンジン回転数の変動に伴う各パルス間隔の大小関係からパルス割れの発生箇所を特定して、次気筒の噴射量制御に必要なデータの補正を行っている。
【0004】
以下に、従来のシステムによるデータ補正方法について説明する。
パルス間の時間間隔を比較すると、スピル開弁時刻t2 を含むパルス間(A−B間)で最もエンジン回転数が落ち込むため、A−B間の時間間隔ets2が最も大きく、その後、エンジン回転数の上昇に伴って次第にパルス間隔が小さくなる。従って、パルス割れが発生していない正常時であれば、連続する各パルス間隔の値は、以下の大小関係▲1▼が成立する。
ets2>ets3>edram1>edram2……………………▲1▼
【0005】
これに対し、パルス割れによって例えば以下の大小関係▲2▼が成立する場合は、図16に示すように、本来のets2に対応するパルス間(A−B間)でパルス割れが発生していると判断し、ets2及びets3のデータを以下の様に補正している。
ets3<edram1>edram2……………………………▲2▼
ets2=ets2+ets3
ets3=edram1
【0006】
また、従来の燃料噴射システムでは、パルサに設けられた欠歯部を基準として求められるスピル角を時間換算してスピル開弁時刻を算出している。
なお、パルサには、エンジンの気筒数と同数だけ欠歯部が設けられ、欠歯部と欠歯部との間に一定の間隔で多数の歯が連続して設けられた有歯領域が設定されている(図3参照)。
このパルサの欠歯部は、以下に説明する欠歯判定によって検出される。
欠歯判定は、過去最近のパルス間隔に対して今回のパルス間隔が十分に長い場合に、欠歯部が検出された(つまりクランク角が基準回転角に到達した)と判定する。従って、パルス割れが発生していなければ、欠歯部を含むパルス間隔と、その一つ前のパルス間隔との大小関係によって欠歯部が検出される。
【0007】
ところが、パルス割れが生じると、有歯領域の最初の歯が検出されていないにも係わらず、欠歯判定の条件が満たされる場合が生じる。そこで、従来のシステムでは、図17に示すように、スピル弁の開弁動作に起因してパルス割れが発生する可能性のある範囲をマスク域として設定し、このマスク域では欠歯判定を禁止している。具体的には、スピル開弁時刻t2 をセットするためのスピル時刻セット信号Aから4番目に検出されるパルス信号E(パイロット噴射の場合5番目の信号)までをマスク域として設定している。これにより、スピル開弁時刻t2 後にパルス割れが発生しても、そのパルス割れ前後のパルス間隔に基づいて欠歯判定が行われることはなく、本来の欠歯部を含むパルス間隔に基づいて欠歯判定を行うことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
近年では、燃料噴射圧の高圧化に伴い、噴射ポンプの駆動軸に作用する駆動トルクが増大してパルス割れが2回以上発生することがある。ところが、上述した従来の燃料噴射システムでは、パルス割れが発生した時に、そのパルス割れ数を1回に限定して補正ロジックが組み立てられている。このため、パルス割れが2回以上発生すると、上述したデータ補正及び欠歯判定マスク処理において、それぞれ以下の問題が発生する。
【0009】
a)次気筒の噴射量制御に必要なデータ補正
各パルス間隔の大小関係に基づいてデータ補正を行う従来の補正ロジックでは、パルス割れが2回以上発生した場合にパルス割れの発生箇所を特定できない。また、パルス割れが複数回発生する場合は、パイロットスピルとメインスピルの両方に起因して生じる場合が考えられるが、従来のシステムでは、パイロットスピルに起因して生じるパルス割れ数(パルス割れ総数はパルスカウンタのカウンタ値によって判断できる)を特定できない。以上の結果、次気筒の噴射量制御に必要なデータを適正に補正することができず、エンジン始動性が大幅に悪化するという問題が生じている。
【0010】
b)欠歯判定マスク処理
従来のシステムでは、スピル時刻セット信号から4番目に検出される信号までをマスク域とすれば、パルス割れが1回しか発生しない限り、マスク域が終了する直前のパルス間隔(時間間隔)、つまり図17において、スピル時刻セット信号Aから3番目に検出されるパスル信号Dと4番目に検出されるパスル信号Eとのパルス間隔(時間間隔)はパルス割れの影響を受けることがない。従って、パルス割れが発生しても、上記のD−E間のパルス間隔と欠歯部を含むE−F間のパルス間隔との大小関係に基づく正常な欠歯判定を行うことができる。
【0011】
しかし、パルス割れが複数回発生すると、マスク域が時間的に短く成るため、マスク域が終了する直前のパルス間隔がパルス割れの影響を受ける場合が生じる。この場合、マスク域が終了した直後のパルス間隔とマスク域が終了する直前のパルス間隔との間で欠歯判定条件を満たす大小関係が成立すると、欠歯部を誤判定して次気筒の噴射量制御に悪影響(メイン噴射量が減少する)が生じる。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、第1の目的は、パルス割れが複数回発生した場合でも、次気筒のスピル開弁時刻を算出するためのデータ(パルス間隔)を適正に補正できる制御システムを提供することであり、第2の目的は、パルス割れの発生回数に係わりなく、欠歯部の誤判定を防止できる制御システムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の手段)
前回検出されたスピル時刻セット信号とスピル直後信号との時間間隔を記憶するメモリを具備し、今回のスピル時刻セット信号が検出された後、メモリに記憶されているデータに基づいて今回のスピル直後信号が出現する予定時刻を算出し、その予定時刻に最も近い時刻に検出されるパルス信号を今回のスピル直後信号として検出する。つまり、スピル開弁時刻から今回のパルス信号までの時間を算出し、その時間が、スピル開弁時刻から予定時刻までの予測時間を経過したか否かを判定し、予測時間を経過したと判定された場合に、予定時刻に出現する仮想のパルス信号と前回のパルス信号との時間、および仮想のパルス信号と今回のパルス信号との時間をそれぞれ算出し、両方の時間を比較して、仮想のパルス信号に近い方のパルス信号を今回のスピル直後信号として判定する。この場合、パルス割れの有無及び発生回数に係わりなくスピル直後信号を検出できるので、スピル時刻セット信号とスピル直後信号とのパルス間隔(時間間隔)を次気筒の噴射量制御に必要なデータ(具体的には、次気筒のスピル開弁時刻に対する余り時間を求めるために必要なデータ)として使用することができる。
【0013】
(請求項2の手段)
請求項1に記載した電子制御式燃料噴射システムにおいて、
今回のスピル時刻セット信号からスピル開弁時刻t2までの余り時間etspを算出し、更にメモリに記憶されているデータから余り時間etspを減算して、スピル開弁時刻t2から今回のスピル直後信号が出現するまでの予測時間eshを求め、その予測時間eshをスピル開弁時刻t2に加算してスピル直後信号が出現する予定時刻を求めている。
この場合、今回のスピル開弁時刻t2を基準としてスピル直後信号が出現する予定時刻を算出しているので、スピル時刻セット信号が本来のパルス信号からずれた場合(例えばパイロット噴射とメイン噴射を行う時に、パイロット噴射に起因してパルス割れが生じると、メイン噴射のスピル時刻セット信号が移動する)でも的確にスピル直後信号を検出することができる。
なお、今回のスピル時刻セット信号からスピル開弁時刻t2までの余り時間etspは、従来周知の算出方法により求めている。即ち、メモリに記憶されている前回のデータ(スピル時刻セット信号とスピル直後信号との時間間隔)に基づいて、今回の余り角(スピル時刻セット信号からスピル開弁時刻までの回転角度)を時間に換算して算出することができる。
【0014】
(請求項3の手段)
一つの気筒に対しパイロット噴射とメイン噴射から成る二段噴射を行う時に、パイロット噴射を終了するスピル弁の開弁動作に起因して回転角センサから正規のパルス信号以外に余分なパルス信号が出力されるパイロットパルス割れを検出するパイロットパルス割れ検出手段を有している。
このパイロットパルス割れ検出手段は、パイロットパルス割れが発生する可能性のある時間帯をパルス割れマスク域として設定し、そのパルス割れマスク域で検出されるパルス信号の数をカウントするパルス割れカウンタと、回転角センサより出力されるパルス信号をパルサの欠歯部を基準として計数するパルス計数手段とを備え、メインスピル時刻セット信号が検出された後、メインスピル直後信号を特定する制御上のパルス番号とパルス割れカウンタでカウントされたパルス信号の数との合計値を算出し、その合計値とパルス計数手段で計数されるメインスピル直後信号までの計数値とを比較し、その比較結果に基づいてパイロットパルス割れが発生しているか否かを判定することができる。
【0015】
具体的には、パルス計数手段の計数値と前記合計値とが等しい場合は、パルス割れカウンタでカウントされたパルス信号の数に正規のパルス信号が含まれていないため、パルス割れカウンタのカウント値をパイロットパルス割れ数と判断することができる。
また、パルス計数手段の計数値と前記合計値とが異なる場合は、パルス割れカウンタでカウントされたパルス信号の数に正規のパルス信号が含まれているため、パルス割れカウンタでカウントされたパルス信号の数から“1”を引き算して求められる数値をパイロットパルス割れ数と判断することができる。但し、パルス割れカウンタのカウント値が“1”の場合は、正規のパルス信号のみカウントされたことになり、パイロットパルス割れは発生していないと判断する。
【0016】
これにより、パイロット噴射とメイン噴射の両方でそれぞれスピル弁の開弁動作に起因してパルス割れが発生する場合でも、パイロット噴射側のパルス割れ数が求められることで、メイン噴射側のパルス割れ数も求めることができる。なお、パルス割れの総数は、パルス計数手段の計数値から規定のパルス数を引き算することで求めることができる。
この結果、一つの気筒に対しパイロット噴射とメイン噴射から成る二段噴射を行う時に、パルス割れが複数回発生した場合でも、請求項1または2の方法で検出した今回のスピル直後信号の次に出現する正規のパルス信号を検出することができる。即ち、パイロット噴射の場合であれば、今回のパイロットスピル時刻セット信号から(パイロットパルス割れ数+2)番目に検出されるパルス信号がパイロットスピル直後信号の次に出現する正規のパルス信号となる。
【0017】
(請求項4の手段)
パルス割れを生じる可能性のある時間帯をパルス割れ域とし、そのパルス割れ域を経過してから二番目に出現するパルス信号をマスク域終了信号と呼び、燃料噴射の終了指令をスピル弁に出力するスピル開弁時刻をセットするためのパルス信号をスピル時刻セット信号と呼ぶ時に、このスピル時刻セット信号からマスク域終了信号までの間をマスク域として、欠歯判定手段による欠歯判定処理を禁止する。
【0018】
この場合、パルス割れ域を経過して最初に出現するパルス信号とその次に出力するパルス信号、つまりマスク域終了信号とのパルス間隔(時間間隔)は、当然パルス割れ域から外れているため、パルス割れが発生してもパルス間隔が変動することはない。従って、スピル時刻セット信号からマスク域終了信号までをマスク域とすれば、パルス割れ前後のパルス間隔に基づいて欠歯判定が行われることはなく、本来の欠歯部を含むパルス間隔を使用して欠歯判定を行うことができ、欠歯部の誤判定を防止できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1はディーゼルエンジンの電子制御式燃料噴射システムの全体図である。
本実施例の電子制御式燃料噴射システム(以下、本システムと呼ぶ)は、電磁スピル弁1(図2参照)を内蔵する噴射ポンプ2と、この噴射ポンプ2の作動を制御する制御装置(以下、ECU3と呼ぶ)を備える。
本システムに用いられる噴射ポンプ2は、加圧された高圧燃料を分配してディーゼルエンジン(図示しない)の各気筒(例えば4気筒)毎に設けられた燃料噴射ノズルに供給する分配形噴射ポンプ2であり、その構成は周知であるので、噴射ポンプ2全体の詳細な説明は省略し、本発明の制御システムに必要な構成について重点的に説明する。
【0020】
まず、噴射ポンプ2の概略を図2及び図3を用いて説明する。
噴射ポンプ2は、図示しない動力伝達手段を介してディーゼルエンジンのクランクシャフトに連結されたポンプ駆動軸4を有し、このポンプ駆動軸4がクランクシャフトの1/2の回転速度で回転する。
ポンプ駆動軸4の外周には、例えば磁性材料で形成された円形状のパルサ5が固定され、ポンプ駆動軸4の端部にはカップリングを介してカムプレート6が接続されている。
【0021】
パルサ5の外周面には、図3に示すように、円周方向に複数の歯が連続して設けられた有歯領域5aと欠歯部5bとが交互に設けられている。
有歯領域5aは、例えば21個の歯がクランクシャフトの7.5°CAに相当する間隔毎に連続して設けられ、欠歯部5bは、クランクシャフトの30°CAに相当する間隔、つまり有歯領域5aの3個分の歯が欠落して設けられている。この有歯領域5aと欠歯部5bは、それぞれエンジンの気筒数と同数(本実施例では4箇所)だけ設定されている。
【0022】
パルサ5の上部には、ローラリング7に固定された回転角センサ8が設けられている。この回転角センサ8は、マグネットとピックアップコイルとを具備し、パルサ5の外周面に設けられた歯が回転角センサ8を横切る毎にパルス状のタイミング信号(以下パルス信号と呼ぶ)を出力する。従って、ポンプ駆動軸4と一体にパルサ5が回転すると、パルサ5の有歯領域5aが回転角センサ8を横切る間に略一定の周期で21個のパルス信号を出力する(図4参照)。
なお、回転角センサ8とパルサ5との位相は、ディーゼルエンジンのクランク角が、各気筒毎において制御上の基準となる角度に達した際に、何れかの有歯領域5aの最初の歯が回転角センサ8と対向するように調整されている。
【0023】
カムプレート6には、エンジンの気筒数と同数のカム面6aが設けられ、そのカム面6aがローラリング7に保持されたローラ9に圧接されている。このカムプレート6は、ポンプ駆動軸4の回転が伝達されて回転すると、カム面6aとローラ9との係合に伴って規定のカムリフトだけ軸方向(図2の左右方向)に往復運動する。
また、カムプレート6には、燃料を加圧するためのプランジャ10が同軸的に取り付けられ、シリンダ11に嵌挿されている。このプランジャ10は、カムプレート6と一体に回転しながら、エンジンの気筒数と同数回だけシリンダ11内を往復運動する。
【0024】
噴射ポンプ2の下部には、図3に示すように、周知の油圧式タイマ12が内蔵されている。このタイマ12は、ローラリング7に接続されたタイマピストン12aを具備し、このタイマピストン12aを介してローラリング7を周方向に移動させることにより、噴射タイミングを制御することができる。なお、上記の回転角センサ8は、ローラリング7に固定されてローラリング7と一体に移動できるので、タイマ12の作動に関わりなく、プランジャ10のリフトに対して一定のタイミングで基準信号を出力することができる。
【0025】
電磁スピル弁1は、図2に示すように、フィードポンプ(図示しない)によって汲み上げられた燃料が供給される燃料室13とシリンダ11内に形成される高圧室14とを連通するスピル通路15を開閉するもので、コイル1a、弁体1b、スプリング1c等より構成され、コイル1aが通電されていない(OFF)時は、スプリング1cの付勢力を受けて弁体1bがスピル通路15を開き、コイル1aが通電される(ON)とスプリング1cの付勢力に抗して弁体1bがスピル通路15を閉じるように作動する。この電磁スピル弁1の開閉動作は、駆動回路(EDU)16を介してECU3により電子制御される(図1参照)。
【0026】
ECU3は、次気筒の噴射量制御に必要なパルス間隔(時間間隔)を記憶するメモリと、回転角センサ8から出力されるパルス信号を計数するパルスカウンタを具備している。
パルスカウンタは、下述する欠歯判定によってパルサ5の欠歯部5bが検出されると、計数値(パルス番号)をクリアして、再び欠歯部5bが検出されるまでパルス番号を順次カウントアップする。従って、図4に示すように、回転角センサ8から正規のパルス信号が出力されている限り(つまりパルス割れが発生していない場合)、パルサ5の有歯領域5aの最初の歯を検出して出力されるパルス信号から有歯領域5aの最後の歯を検出して出力されるパルス信号に対応して、パルスカウンタにはパルス番号“0〜20”が計数される。なお、図4は回転角センサ8から出力されるパルス信号と、パルスカウンタの計数状態を示している。パルス信号の上部に記された番号は、パルスカウンタの計数値で表されるパルス番号である。
【0027】
ここで、欠歯判定について説明する。
ECU3は、パルス信号が検出される毎にパルス間隔etnintを算出し、今回のパルス間隔etnintiと過去最近算出されたパルス間隔etninti-1(一つ前のパルス間隔)との比を求め、次式の関係(1)が成立する場合、つまり過去最近のパルス間隔に対して今回のパルス間隔が十分長い場合に、欠歯部5bが検出された(クランク角が基準回転角に到達した)と判定する。
etninti-1/etninti≦0.43…………………………………………(1)
従って、パルス割れが発生していなければ、欠歯部5bを含むパルス間隔と、その一つ前のパルス間隔との大小関係が上記(1)式を満足する。
【0028】
次に、本システムの噴射量制御に係わる基本動作について説明する。
なお、本実施例では、ECU3より駆動回路16を介して電磁スピル弁1へ出力される制御信号及びその指令時刻を次のように説明する(図5参照)。
a)スピル閉弁信号:燃料噴射の開始指令を電磁スピル弁1に出力する信号
b)スピル開弁信号:燃料噴射の終了指令を電磁スピル弁1に出力する信号
c)スピル閉弁時刻:スピル閉弁信号を電磁スピル弁1に出力する時刻
d)スピル開弁時刻:スピル開弁信号を電磁スピル弁1に出力する時刻
【0029】
ECU3は、アクセル開度センサや水温センサ等から入力したエンジンの負荷情報とエンジン回転数に基づいて燃料噴射量Qを算出する。
燃料噴射量Qが算出されると、その燃料噴射量Qから燃料噴射を終了させるスピル角θpを求める。このスピル角θpは、図5に示すように、制御上の基準であるパルサ5の欠歯部5bからの回転角度で表される。具体的には、パルサ5の有歯領域5aにおいて回転角センサ8からパルス信号が出力される回転間隔7.5°CAを整数倍した値“7.5×n°CA”と余り角“θr°CA”とで求められる。ここで、整数値nは、次式の条件を満たす最も大きな値が代入される。
θp≧7.5×n
【0030】
続いて、クランクシャフトが余り角θrだけ回転するのに必要な余り時間etspを算出し、現在時刻に余り時間etspを加算してスピル開弁時刻t2 を求める。その後、現在時刻がスピル開弁時刻t2 に到達した時点で、駆動回路16を介して電磁スピル弁1への通電を停止する。その結果、電磁スピル弁1がスピル通路15を開いて燃料噴射を終了させる。
なお、プランジャ10の吸入行程中に、次回の燃料噴射に備えて再び電磁スピル弁1を閉弁しておく必要があるが、そのスピル閉弁時刻t1 は、プランジャ10の吸入行程中に実行されれば、そのタイミングは特に重要ではなく、スピル開弁時刻t2 に比べて、そのタイミング精度の要求は極めて小さい。
【0031】
上述の基本動作は、回転角センサ8より出力されるパルス信号に基づいて実行されている。しかし、電磁スピル弁1の開弁動作に起因して回転角センサ8の出力信号にノイズが混入すると、そのノイズによってパルス割れを生じることがある。このパルス割れは、スピル開弁時刻t2 から略所定時間(約5ms)の間に発生することが分かっている。つまり、図6で説明すると、スピル開弁時刻t2 をセットするパルサ5の歯A(前記のパルス番号n)の次の歯Bの直前または直後(A−B間、B−C間)でパルス割れが発生する可能性がある。なお、図6は、エンジン回転数、回転角センサ8より出力されるパルス信号、電磁スピル弁1に出力される駆動信号を示すタイムチャートである
【0032】
なお、以下の説明において、スピル開弁時刻をセットするためのパルサ5の歯をスピル時刻セット歯、スピル時刻セット歯の次の歯をスピル直後歯、このスピル直後歯の次の歯をスピル後後歯と呼び、スピル時刻セット歯を検出して出力されるパルス信号をスピル時刻セット信号、スピル直後歯を検出して出力されるパルス信号をスピル直後信号、スピル後後歯を検出して出力されるパルス信号をスピル後後信号と呼ぶ。
【0033】
次に、パルス割れに対する本システムの制御ロジックについて説明する。
図6に示すスピル開弁時刻t2 を含むパルス間隔(A−B間の時間間隔:ets2)と次のパルス間隔(B−C間の時間間隔:ets3)は、次気筒のスピル開弁時刻を算出するためのデータとして使用されるが、上記のようにスピル直後信号Bの直前または直後でパルス割れが発生すると、パルスカウンタの計数値(パルス番号)によってスピル直後信号Bを検出できなくなる。
これに対し、本システムでは、以下の手順に従ってスピル直後信号を検出している。
【0034】
(A)スピル直後信号(スピル直後歯)の求め方(本発明の請求項1及び2に係わる実施例)。
図7はスピル直後信号を求めるためのECU3の処理手順を示すフローチャート、図8は本処理に係わるパルス信号と駆動信号を示すタイムチャートである。なお、この処理は、パルス信号が検出される毎に実行される。
Step10…スピル時刻セット信号A(スピル時刻セット歯)が検出されたか否かを判定する。このスピル時刻セット信号Aは、パルスカウンタの計数値(パルス番号n)によって判定される。この判定結果がYESの場合、つまりスピル時刻セット信号Aが検出された場合は次のStep20へ進み、判定結果がNOの場合はStep30を経て処理を終了する。
【0035】
Step20…スピル直後信号B(スピル直後歯)が出現する予測時間esh を下式より算出した後、前回の予測時間をクリアする。
esh =前回のets2(×MDT )−今回のetsp
MDT :係数
Step30…現在時刻がスピル開弁時刻t2 を過ぎ、且つ予測歯が未検出であるか否かを判定する。なお、前記予測歯とは、図8に予定時刻と示した位置に出現する仮想的なパルス信号(即ち、スピル開弁時刻t2 から予測時間esh を経過した後に出現する仮想のパルス)を意味する。この判定結果がYESの場合は次のStep40へ進み、判定結果がNOの場合は処理を終了する。
Step40…スピル開弁時刻t2 から今回のパルス信号までの時間を算出する。
【0036】
Step50…Step40で算出した時間がStep20で算出した予測時間esh を経過したか否かを判定する。この判定結果がYESの場合は、今回のパルス信号によって予測歯が検出されたものとして次のStep60へ進み、判定結果がNOの場合は処理を終了する。
Step60…前記予測歯とその予測歯の前後に出現したパルス信号までの時間を算出する。つまり、前回のパルス信号(図8のイ信号:前回歯)から予測歯までの時間(図8に示すa)と予測歯から今回のパルス信号(図8のウ信号:今回歯)までの時間(図8に示すb)を算出する。
【0037】
Step70…Step60で算出した両方の時間を比較して、予測歯に近いパルス信号を判定する。ここでは、今回のパルス信号(ウ信号:今回歯)の方が予測歯に近いか否かを判定する。この判定結果がYESの場合は次のStep80へ進み、判定結果がNOの場合はStep90へ進む。
Step80…今回のパルス信号(ウ信号:今回歯)が予測歯に最も近いため、今回のパルス信号(ウ信号:今回歯)をスピル直後信号Bとする。
Step90…前回のパルス信号(イ信号:前回歯)が予測歯に最も近いため、前回のパルス信号(イ信号:前回歯)をスピル直後信号Bとする。
なお、図8に示すタイムチャートでは、予測歯(予定時刻)に最も近い信号がウ信号であるため、このウ信号がスピル直後信号Bとなる。また、ア信号及びイ信号は、それぞれパルス割れによって発生した信号である。
【0038】
以上の処理により、パルス割れに影響されることなく(つまりパルス割れが発生しても発生しなくても、またパルス割れが複数回発生した場合でも)、スピル直後信号Bを検出することができる。従って、例えば図6に示したように、スピル直後信号Bの前後でそれぞれパルス割れが発生している場合は、スピル時刻セット信号Aとスピル直後信号Bとの時間間隔ets2(▲1▼+▲2▼)、及びスピル直後信号Bとスピル後後信号Cとの時間間隔ets3(▲3▼+▲4▼)を算出することが可能である。なお、スピル後後信号Cは、スピル時刻セット信号Aから(パルス割れ総数+2)番目に検出されるパルス信号として求めることができる。
【0039】
続いて、一つの気筒に対しパイロット噴射とメイン噴射から成る二段噴射を行う場合のパルス割れの影響について説明する。
この場合、パイロットスピルとメインスピルの両方に起因してパルス割れが生じることが考えられる。なお、パイロットスピルに起因して発生するパルス割れをパイロットパルス割れと呼び、メインスピルに起因して発生するパルス割れをメインパルス割れと呼ぶ。
また、二段噴射を行う場合は、図9に示すように、パイロット噴射のスピル時刻セット歯Apとメイン噴射のスピル時刻セット歯Amが同一の場合(イ)、一つだけずれる場合(ロ)、二つ以上ずれる場合(ハ)の三通りが起こり得る。これに対し、パイロット噴射のスピル時刻セット信号とスピル直後信号、及びメイン噴射のスピル直後信号とスピル後後信号は、上記三通りの何れの場合でも、それぞれ共通して求めることができる。
【0040】
つまり、パイロット噴射のスピル時刻セット信号は、パルス割れが発生する以前に検出されるため、パルス割れの影響を受けない。従って、スピル角から求められる指令値とパルスカウンタの計数値(パルス番号)とが一致するため、そのパルス番号によって検出できる。
パイロット噴射のスピル直後信号とメイン噴射のスピル直後信号は、それぞれ上述した処理(A)によって求めることができる。
メイン噴射のスピル後後信号は、パルス割れが発生した後に検出されるため、指令値にパルス割れ総数を加算したパルス番号によって検出できる。
【0041】
しかし、パイロット噴射のスピル後後信号とメイン噴射のスピル時刻セット信号は、上記の三通りの場合でそれぞれ求め方が異なるため、以下に三通りの場合に分けて説明する。
a)パイロット噴射のスピル後後信号の求め方。
パイロット噴射とメイン噴射のスピル時刻セット歯が同一の場合は、上記のメイン噴射のスピル後後信号と同一である。
パイロット噴射とメイン噴射のスピル時刻セット歯が一つだけずれる場合は、上記のメイン噴射のスピル直後信号と同一である。
パイロット噴射とメイン噴射のスピル時刻セット歯が二つ以上ずれる場合は、パイロット噴射のスピル時刻セット信号から(パイロットパルス割れ数+2)番目に検出されるパルス信号である。なお、パイロットパルス割れ数の求め方は後述する。
【0042】
b)メイン噴射のスピル時刻セット信号の求め方。
パイロット噴射とメイン噴射のスピル時刻セット歯が同一の場合は、上記のパイロット噴射のスピル時刻セット信号と同一である。
パイロット噴射とメイン噴射のスピル時刻セット歯が一つだけずれる場合は、上記のパイロット噴射のスピル直後信号と同一である。
パイロット噴射とメイン噴射のスピル時刻セット歯が二つ以上ずれる場合は、(メイン噴射のスピル指令値+パイロットパルス割れ数)のパルス番号によって検出できる。
【0043】
(B)次に、パイロットパルス割れ数の求め方(本発明の請求項3に係わる実施例)について説明する。
図10はパルス割れ数を求めるためのECU3の処理手順を示すフローチャート、図11は本処理に係わるタイムチャートである。この処理はパルス信号が検出される毎に実行される。
なお、以下の説明において、パイロット噴射とメイン噴射とを区別するために、パイロット噴射の場合は“P”、メイン噴射の場合は“M”を付けて説明する。例えばパイロット噴射のスピル時刻セット信号は、Pスピル時刻セット信号と呼び、メイン噴射のスピル時刻セット信号は、Mスピル時刻セット信号と呼ぶ。
【0044】
Step100 …パルス割れ域フラグを判定する。この判定でフラグがOFFの場合(判定結果NO)はStep110 へ進み、ONの場合(判定結果YES)はStep130 へ進む。
Step110 …Pスピル時刻セット信号(図11のA信号)が検出されたか否かを判定する。この判定結果がNOの場合は、Step160 を経て処理を終了し、判定結果がYESの場合はStep120 へ進む。
Step120 …パルス割れ域フラグをONした後、Step160 を経て処理を終了する。
Step130 …パイロットスピルの後、電磁スピル弁1が確実に閉弁したか否かを判定する。ここでは、Mスピル閉弁信号がONした後、1.3ms経過した時点で電磁スピル弁1が確実に閉弁したと判断する。この判定結果がNOの場合、つまり確実に閉弁していないと判断された場合はStep140 へ進み、判定結果がYESの場合はStep150 へ進む。
【0045】
Step140 …パルス割れ数を計数するパルス割れカウンタの値をアップする。ここでは、Step130 で電磁スピル弁1が確実に閉弁したと判断されるまで、パルス信号が検出される毎にカウンタ値を更新する(図11参照)。その後、Step130 で電磁スピル弁1が確実に閉弁したと判断された場合は、Step150 へ進む。
Step150 …パルス割れ域フラグをOFFした後、Step160 へ進む。
Step160 …Mスピル開弁信号がONしたか否かを判定する。この判定結果がNOの場合は処理を終了し、判定結果がYESの場合はStep170 へ進む。
Step170 …Mスピル直後信号のパルス番号(Mスピル時刻セット信号のパルス番号+1)にパルス割れカウンタの計数値を加算する。
【0046】
Step180 …パルスカウンタで計数されるMスピル直後信号までの計数値がStep170 で加算した値と等しいか否かを判定する。この判定結果がYESの場合はStep190 へ進み、判定結果がNOの場合は処理を終了する。
Step190 …パルス割れカウンタの計数値から“1”を引き算してパルス割れ数を求める。なお、Step180 の判定結果がNOの場合は、パルス割れカウンタの計数値をそのままパルス割れ数とする。
以上の処理により、パイロットスピルに起因して発生したパルス割れ数を求めることができる。
【0047】
(C)次に、パルサ5の欠歯部5bを検出するための欠歯判定処理(本発明の請求項4に係わる実施例)について説明する。
本システムでは、パルサ5の欠歯部5bをクンラク角に対する制御上の基準位置としてスピル閉弁時刻及びスピル開弁時刻t2 を算出している。
ところが、パルス割れが生じると、有歯領域5aの最初の歯が検出されていないにも係わらず、上述した欠歯判定の条件(1)が満たされる場合が生じる。
そこで、本システムでは、パルス割れによる欠歯部5bの誤判定を防止するための欠歯判定マスク処理を実行している。
【0048】
以下に、欠歯判定マスク処理について説明する。
図12は欠歯判定マスク処理を行うECU3の処理手順を示すフローチャート、図13は本処理に係わるタイムチャートである。この処理はパルス信号が検出される毎に実行される。
Step200 …スピル時刻セット信号Aが検出されたか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりスピル時刻セット信号Aが検出された場合は次のStep210 へ進み、判定結果がNOの場合はStep220 へ進む。なお、メイン噴射に先立ってパイロット噴射を行う場合は、パイロット噴射のスピル時刻セット信号を判定する。
【0049】
Step210 …欠歯判定を中止する。
Step220 …メインスピルが終了したか否かを判定する。この判定結果がYESの場合は次のStep230 へ進み、判定結果がNOの場合はStep240 へ進む。
Step230 …メインスピルから現在までの時間を算出した後、Step240 へ進む。
Step240 …メインパルス割れ域外か否かを判定する。このメインパルス割れ域は、図13に示すように、メインスピル後の時間(Mスピル開弁時刻t2 から例えば5ms間)で設定される。判定結果がYESの場合、つまりメインパルス割れ域外の場合はStep250 へ進み、判定結果がNOの場合、つまりメインパルス割れ域内の場合は次のStep260 へ進む。
Step250 …マスクカウンタをインクリメントした後、Step270 へ進む。
【0050】
Step260 …Step240 でメインパルス割れ域内と判定された場合、マスクカウンタをクリアしてStep270 へ進む。なお、スピル時刻セット信号Aが検出された時点では、メインパルス割れ域外(図13参照)であるため、マスクカウンタがインクリメントされるが、次のパルス信号が検出された時点では、メインパルス割れ域内となるため、マスクカウンタの値はクリアされる。
Step270 …マスクカウンタの値が“2”か否かを判定する。この判定結果がNOの場合は処理を終了し、判定結果がYESの場合はStep280 へ進む。
Step280 …欠歯判定マスク域を過ぎているため、欠歯判定を再開する。
【0051】
以上の処理によれば、メインパルス割れ域を経過して最初に出現するパルス信号とその次に出力するパルス信号(マスク域終了信号と呼ぶ)とのパルス間隔(時間間隔)は、当然メインパルス割れ域から外れているため、パルス割れが発生してもパルス間隔が変動することはない。従って、図13に示すように、スピル時刻セット信号Aからマスク域終了信号までを欠歯判定マスク域とすれば、パルス割れ前後のパルス間隔に基づいて欠歯判定が行われることはなく、本来の欠歯部5bを含むパルス間隔を使用して欠歯判定を行うことができる。その結果、パルス割れによる欠歯部5bの誤判定を防止できる。
【0052】
(D)続いて、エンジン回転数NEの算出処理について説明する。
まず、従来システムのNE算出処理について説明する。
ECU3は、パルス間隔の累積値を記憶するメモリewrt45、及びNE算出用メモリet451 〜et454 等を備えている。ewrt45のメモリ値は、パルス番号“2”、“8”、“14”、“20”が検出される毎にet451 〜et454 に記憶された後、クリアされる(図4参照)。従って、et451 には、パルス番号“20”が検出された後、パルス番号“2”が検出されるまでのパルス間隔の累積値、即ちクランク角が45℃A変化するのに要した時間が記憶される。
【0053】
同様に、et452 〜et454 には、パルス番号“8”、“14”、“20”が検出された時点で、それぞれクランク角が45℃A変化するのに要した時間が記憶される。このet451 〜et454 の各メモリ値を加算した値は、クランクシャフトが180°CA変化するのに要した時間に一致するため、この値を用いて次気筒の燃料噴射量を求めるために必要なエンジン回転数NEを算出している。
ところが、パルス割れの影響でet451 〜et454 のデータを誤学習すると、精度良くエンジン回転数NEを算出することができなくなる。
【0054】
これに対し、本システムでは、図14に示すフローチャートに沿ってNE算出処理を行っている。この処理はパルス信号が検出される毎に実行される。図15は本処理に係わるタイムチャートである。
Step300 …欠歯フラグがONか否かを判定する。判定結果がNOの場合はStep310 へ進み、判定結果がYESの場合はStep400 へ進む。
Step310 …パルス信号を検出する毎にecnirqm のカウンタ値をインクリメントした後、Step320 へ進む。
Step320 …スピル時刻セット歯が検出されたか否かを判定する。判定結果がYESの場合はStep330 へ進み、判定結果がNOの場合はStep380 へ進む。
【0055】
Step330 …ene 算出中止フラグをONし、et451 とet452 のデータを記憶してStep340 へ進む。
Step340 …etncq4域か否かを判定する。判定結果がNOの場合はStep350 へ進み、判定結果がYESの場合はStep360 へ進む。
Step350 …加算RAM の初期値etncq にewrt45のデータをセットし、Step370 へ進む。
Step360 …加算RAM の初期値etncq にewrt45+et453 のデータをセットし、Step370 へ進む。
Step370 …欠歯フラグをOFFして処理を終了する。
Step380 …ene 算出中止フラグがONか否かを判定する。判定結果がNOの場合はStep370 を経て処理を終了し、判定結果がYESの場合はStep390 へ進む。
【0056】
Step390 …加算RAM のデータetncq を更新した後、Step370 を経て処理を終了する。
Step400 …ecnirqm のカウンタ値(検出されたパルス信号の総数)がメモリECNENDに記憶された設定値(本実施例では“20”)より大きいか否かを判定する。判定結果がNOの場合はStep370 を経て処理を終了し、判定結果がYESの場合はStep410 へ進む。
Step410 …et451 〜et454 及びewrt45のデータを補正し、ene 算出中止フラグをOFFし、ecnirqm のカウンタ値をクリアした後、Step370 を経て処理を終了する。
【0057】
上記の処理によれば、et451 とet452 には、従来システムと同様に、それぞれクランク角が45℃A変化するのに要した時間が記憶される。つまり、et451 には、欠歯部5bの直前の歯(欠歯信号)が検出された後、パルス番号“2”が検出されるまでのパルス間隔の累積値が記憶され、et452 には、パルス番号“2”が検出された後、パルス番号“8”が検出されるまでのパルス間隔の累積値が記憶される。その後、et453 とet454 には、パルス番号“8”から欠歯部5bの直前の歯(有歯領域5aの最後の歯)までの各パルス間隔を全て加算し、その合計値を二等分した値が記憶される。このため、スピル後にパルス割れが発生した場合でも、その発生回数に係わりなく、エンジン回転数NEを算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディーゼルエンジンの電子制御式燃料噴射システムの全体図である。
【図2】噴射ポンプの作動を説明する概略図である。
【図3】パルサと回転角センサを示す断面図である。
【図4】パルス信号とパルスカウンタの状態を示すタイムチャートである。
【図5】本システムの噴射量制御に係わるタイムチャートである。
【図6】エンジン回転数、パルス信号、駆動信号を示すタイムチャートである。
【図7】スピル直後歯を検出するための処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図7の処理手順に係わるタイムチャートである。
【図9】パイロット噴射とメイン噴射の各スピル指令値の関係を示すタイムチャートである。
【図10】パイロットパルス割れ数を算出するための処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図10の処理手順に係わるタイムチャートである。
【図12】欠歯判定マスク処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】図12の処理手順に係わるタイムチャートである。
【図14】NE算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】図14の処理手順に係わるタイムチャートである。
【図16】エンジン回転数、パルス信号、駆動信号を示すタイムチャートである(従来技術の説明)。
【図17】欠歯判定に係わるタイムチャートである(従来技術の説明)。
【符号の説明】
1 電磁スピル弁(スピル弁)
2 噴射ポンプ
3 ECU
4 ポンプ駆動軸
5 パルサ
5a 有歯領域
5b 欠歯部
8 回転角センサ
15 スピル通路
Claims (4)
- エンジン回転に同期して回転駆動され、エンジンのクランク角に対して所定の回転角位置に設けられた欠歯部と該欠歯部から円周方向に一定の間隔で連続して設けられた特定数の歯を有するパルサと、
このパルサの歯を検出してパルス信号を出力する回転角センサと、
燃料の圧送工程で加圧された燃料を低圧側へ逃がすためのスピル通路と、
このスピル通路を開閉するスピル弁とを備え、
前記回転角センサより出力されるパルス信号に基づいて前記スピル弁の開閉動作を制御するディーゼルエンジンの電子制御式燃料噴射システムであって、
燃料噴射の終了指令を前記スピル弁に出力するスピル開弁時刻をセットするためのパルス信号をスピル時刻セット信号と呼び、このスピル時刻セット信号の次に出現する正規のパルス信号をスピル直後信号と呼ぶ時に、前回検出された前記スピル時刻セット信号と前記スピル直後信号との時間間隔を記憶するメモリと、
今回の前記スピル時刻セット信号が検出された後、前記メモリに記憶されているデータに基づいて今回の前記スピル直後信号が出現する予定時刻を算出する予定時刻算出手段と、
前記スピル開弁時刻から今回のパルス信号までの時間を算出し、その時間が、前記スピル開弁時刻から前記予定時刻までの予測時間を経過したか否かを判定する予測時間経過判定手段と、
前記予測時間を経過したと判定された場合に、前記予定時刻に出現する仮想のパルス信号と前回のパルス信号との時間、および前記仮想のパルス信号と今回のパルス信号との時間をそれぞれ算出し、両方の時間を比較して、前記仮想のパルス信号に近い方のパルス信号を今回のスピル直後信号として判定するスピル直後信号判定手段とを有することを特徴とするディーゼルエンジンの電子制御式燃料噴射システム。 - 請求項1に記載した電子制御式燃料噴射システムにおいて、
今回の前記スピル時刻セット信号から前記スピル開弁時刻t2までの余り時間etspを算出し、更に前記メモリに記憶されているデータから前記余り時間etspを減算して、前記スピル開弁時刻t2から今回の前記スピル直後信号が出現するまでの予測時間eshを求め、その予測時間eshを前記スピル開弁時刻t2に加算して前記スピル直後信号が出現する予定時刻を求めることを特徴とするディーゼルエンジンの電子制御式燃料噴射システム。 - エンジン回転に同期して回転駆動され、エンジンのクランク角に対して所定の回転角位置に設けられた欠歯部と該欠歯部から円周方向に一定の間隔で連続して設けられた特定数の歯を有するパルサと、
このパルサの歯を検出してパルス信号を出力する回転角センサと、
燃料の圧送工程で加圧された燃料を低圧側へ逃がすためのスピル通路と、
このスピル通路を開閉するスピル弁とを備え、
前記回転角センサより出力されるパルス信号に基づいて前記スピル弁の開閉動作を制御するディーゼルエンジンの電子制御式燃料噴射システムであって、
燃料噴射の終了指令を前記スピル弁に出力するスピル開弁時刻をセットするためのパルス信号をスピル時刻セット信号と呼び、このスピル時刻セット信号の次に出現する正規のパルス信号をスピル直後信号と呼ぶ時に、そのスピル直後信号を検出するスピル直後信号検出手段と、
一つの気筒に対しパイロット噴射とメイン噴射から成る二段噴射を行う時に、前記パイロット噴射を終了する前記スピル弁の開弁動作に起因して前記回転角センサから正規のパルス信号以外に余分なパルス信号が出力されるパイロットパルス割れを検出するパイロットパルス割れ検出手段とを有し、
前記スピル直後信号検出手段は、
前回検出された前記スピル時刻セット信号と前記スピル直後信号との時間間隔を記憶するメモリを具備し、今回の前記スピル時刻セット信号が検出された後、前記メモリに記憶されているデータに基づいて今回の前記スピル直後信号が出現する予定時刻を算出し、その予定時刻に最も近い時刻に検出されるパルス信号を今回の前記スピル直後信号として検出することを特徴とし、
前記パイロットパルス割れ検出手段は、
a)前記パイロットパルス割れが発生する可能性のある時間帯をパルス割れマスク域として設定するマスク域設定手段と、
b)前記パルス割れマスク域で検出されるパルス信号の数をカウントするパルス割れカウンタと、
c)前記回転角センサより出力されるパルス信号を前記パルサの欠歯部を基準として計数するパルス計数手段と、
d)前記メイン噴射を終了するメインスピル開弁時刻をセットするためのパルス信号をメインスピル時刻セット信号と呼び、そのメインスピル時刻セット信号を検出するセット信号検出手段と、
e)前記メインスピル時刻セット信号の次に出現する正規のパルス信号をメインスピル直後信号と呼び、前記メインスピル時刻セット信号が検出された後、前記メインスピル直後信号を特定する制御上のパルス番号と前記パルス割れカウンタでカウントされたパルス信号の数との合計値を算出する合計値算出手段と、
f)前記パルス計数手段で計数される前記メインスピル直後信号までの計数値と前記合計値算出手段で算出された合計値とを比較し、その比較結果に基づいて前記パイロットパルス割れが発生しているか否かを判定するパイロットパルス割れ判定手段とを具備し、
このパイロットパルス割れ判定手段は、
前記パルス計数手段の計数値と前記合計値算出手段の合計値とが等しい場合は、前記パルス割れカウンタでカウントされたパルス信号の数を前記パイロットパルス割れ数と判断し、前記パルス計数手段の計数値と前記合計値算出手段の合計値とが異なる場合は、前記パルス割れカウンタでカウントされたパルス信号の数から1を引き算して求められる数値を前記パイロットパルス割れ数と判断することを特徴とするディーゼルエンジンの電子制御式燃料噴射システム。 - エンジン回転に同期して回転駆動され、エンジンのクランク角に対して所定の回転角位置に設けられた欠歯部と該欠歯部から円周方向に一定の間隔で連続して設けられた特定数の歯を有するパルサと、
このパルサの歯を検出してパルス信号を出力する回転角センサと、
燃料の圧送工程で加圧された燃料を低圧側へ逃がすためのスピル通路と、
このスピル通路を開閉するスピル弁とを備え、
前記回転角センサより出力されたパルス信号を検出して前記スピル弁の開閉動作を制御するディーゼルエンジンの電子制御式燃料噴射システムであって、
a)前記パルサの欠歯部が検出されたか否かを判定する欠歯判定手段と、
b)前記回転角センサより出力されるパルス信号を前記パルサの欠歯部を基準として計数するパルス計数手段と、
c)燃料噴射を終了する前記スピル弁の開弁動作に起因して前記回転角センサから正規のパルス信号以外に余分なパルス信号が出力されるパルス割れを生じる可能性のある時間帯をパルス割れ域として設定するパルス割れ域設定手段と、
d)前記パルス割れ域を経過してから二番目に出現するパルス信号をマスク域終了信号と呼び、燃料噴射の終了指令を前記スピル弁に出力するスピル開弁時刻をセットするためのパルス信号をスピル時刻セット信号と呼ぶ時に、このスピル時刻セット信号から前記マスク域終了信号までの間をマスク域として前記欠歯判定手段による欠歯判定処理を禁止する欠歯判定禁止手段とを具備していることを特徴とするディーゼルエンジンの電子制御式燃料噴射システム。
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