JP3787969B2 - 磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク上に記録されたサーボ情報に基づいて磁気ヘッドを位置決めしながらデータの記録再生を行う磁気ディスク装置に用いるサーボ書き込み方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気ディスク装置では、ディスク上に記録されたサーボ情報に基づいて磁気ヘッドを位置決めしながらデータの記録再生を行うが、上記磁気ディスク媒体にサーボ情報を形成する方法としては、主として以下の2つの方式がある。
【0003】
(1)第1の方式:サーボライタを用いてサーボライトする方式
(2)第2の方式:全面凹凸サーボ方式
ここでは、それぞれについての詳細な説明は省略するが、上記第1の方式は現在のハードディスクドライブ(HDD)装置におけるサーボ情報書き込みに通常用いられている方式であり、上記第2の方式には以下のような例がある。なお、上記第2の方式は、特開平2−218016号公報、特開平3−228219号公報、特開平4−95218号公報、特開平4−182927号公報、日経エレクトロニクス1993.7.19(no.568),169p〜182p、等にて既に開示されている。
【0004】
上記第2の方式すなわち全面凹凸サーボ方式の場合の凹凸サーボパターン形成方法の主なものの概要を3通り挙げる。
【0005】
(i)第1のパターン形成方法
当該第1のパターン形成方法の手順を図17に示すフローチャートにて説明する。
【0006】
この図17において、ステップST101では、光ディスクのレーザーカッティングの手法等により、磁気ディスク媒体上に形成すべき位置決めサーボパターンのマスタパターンを作製する。
【0007】
ステップST102では、ステップST101で形成したマスタパターンに基づき、射出成形(プラスチック基板を使用する場合)やガラス2P法(文献:Kloosterboer, J.G.and Lippits, G.J.M., "Photopolymerizable coatings for Laservision Video Discs," J.Radiat. Curing, 11(1),pp.10-21,1984.)等により、非磁性基板表面に凹凸パターンを形成する。
【0008】
ステップST103では、ステップST102で凹凸パターンを形成した非磁性基板上に、磁性層を形成する。
【0009】
ステップST104では、ステップST103で形成した非磁性基板表面の磁性層を、直流磁化する。
【0010】
この第1のパターン形成方法によれば、図18の(b)に示すように磁化された凹凸サーボパターンが形成されるようになる。なお、図18は、上記磁気ディスク媒体における凹凸サーボパターンのトラック走行方向の断面図を示している。
【0011】
(ii)第2のパターン形成方法
当該第2のパターン形成方法の手順を図19に示すフローチャートにて説明する。
【0012】
この図19において、ステップST111では、上記第1のパターン形成方法のステップST101と同様にしてマスタパターンを作製する。
【0013】
ステップST112では、上記第1のパターン形成方法のステップST102と同様にして非磁性基板表面に凹凸パターンを形成する。
【0014】
ステップST113では、上記第1のパターン形成方法のステップST103と同様にして、凹凸パターンを形成した非磁性基板上に磁性層を形成する。
【0015】
ステップST114では、上記ステップST113で形成した非磁性基板表面の磁性層に対して大きな磁界を印加し、非磁性基板の凹部の磁性層を含めて直流磁化する。
【0016】
ステップST115では、ステップST114で非磁性基板凹部の磁性層を含めて直流磁化された非磁性基板表面に対して、ステップST114の時とは逆で且つ小さな磁界を印加することにより、非磁性基板の凸部の磁性層のみ凹部とは逆方向に直流磁化する。
【0017】
この第2のパターン形成方法によれば、図18の(a)に示すように磁化された凹凸サーボパターンが形成されるようになり、上記第1のパターン形成方法による凹凸サーボパターンと比較して大きな出力を得られる利点がある。なお、この第2のパターン形成方法は、詳細な説明は省略するが、前記特開平3−228219号公報に記載の第2図、日経エレクトロニクス1993.7.19(no.568),169p〜182pに記載の図7にて述べられている方法と同じである。
【0018】
(iii)第3のパターン形成方法
当該第3のパターン形成方法の手順を図20に示すフローチャートにて説明する。
【0019】
この図20において、ステップST121では、上記第1のパターン形成方法のステップST101と同様にしてマスタパターンを作製する。
【0020】
ステップST122では、非磁性基板上に磁性層を形成する。
【0021】
ステップST123では、上記ステップST121で形成したマスタパターンに基づき、エッチング等の手法により、当該非磁性基板上の磁性層の一部を選択的に除去する。なお、このステップST121からステップST123までのステップは、前記特開平2−218016号公報に記載されて公開されている。
【0022】
ステップST124では、ステップST123までのステップにより得られた非磁性基板表面に残った磁性層を直流磁化する。
【0023】
この第3のパターン形成方法によれば、図18の(c)に示すように磁化された凹凸サーボパターンが形成されるようになる。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した第1の方法(サーボライタを用いてサーボライトする方式)、第2の方式(全面凹凸サーボ方式)のそれぞれについて、以下の問題点がある。
【0025】
(1)サーボライタを用いてサーボライトする第1の方式の場合
第1の問題点として、ディスクドライブの磁気ヘッドを取り付けたアームを、外部から機械的に位置決めしてサーボ信号の書き込みを行うので、精度の確保が難しいことが挙げられる。
【0026】
第2の問題点として、大がかりな装置が必要で、また、書き込みにかなりの時間を要するため、製造コストを押し上げる要因となっていることが挙げられる。
【0027】
第3の問題点として、画像データなどの大量のデータを連続的に記録再生する用途の場合は、光ディスクで通常用いられているような螺旋状のトラックフォーマットの方が適するのに対し、この第1の方式の場合はサーボパターンを同心円状に書き込むのは容易だが螺旋状に書き込むのは難しいことが挙げられる。
【0028】
(2)全面凹凸サーボ方式である第2の方式の場合
この第2の方式の問題点としては、製造コストは下げられるが、ディスクの表面が平坦でないため、磁気ヘッドの低浮上化が難しく、記録密度が制限されることが挙げられる。ただし、この第2の方式の場合は、光ディスクにおける成形技術を使用できるため、サーボパターンを螺旋状に形成するのは容易である。
【0029】
そこで、本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、精度の確保が容易で、大がかりな装置が必要なく、また製造コストの上昇を防止でき、さらに、サーボパターンを螺旋状に書き込むことが容易で、記録密度を高めることをも可能とする磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法を提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法は、磁気ディスク媒体の少なくとも一方の面にヘッド位置決め用の凹凸パターンを形成し、サーボ情報を生成すると同時に、その凹凸パターンに従って、上記他方の平坦な面及び両面が平坦な1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面上の書き込み位置決めを行いながら、サーボ情報を磁化反転パターンとして上記他方の平坦な面及び1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面に書き込むことにより、上述した課題を解決する。
【0033】
また、本発明の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法は、磁気ディスク媒体の少なくとも一方の面にヘッド位置決め用の凹凸パターンを形成し、サーボ情報を生成すると同時に、その凹凸パターンに従って、上記他方の平坦な面及び両面が平坦な1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面上の書き込み位置決めを行いながら、サーボ情報を磁化反転パターンとして上記他方の平坦な面及び1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面に書き込むことにより、上述した課題を解決する。
【0034】
さらに、本発明の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法は、ディスク媒体の少なくとも一方の面にヘッド位置決め用の凹凸パターンを形成し、サーボ情報を生成すると同時に、その凹凸パターンに従って、両面が平坦な1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面上の書き込み位置決めを行いながら、サーボ情報を磁化反転パターンとして上記1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面に書き込むことにより、上述した課題を解決する。
【0035】
上述した本発明の各磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法においては、ヘッド位置決め用の凹凸パターンを螺旋軌跡に沿った形に配置しておけば、サーボ情報としての磁化反転パターンを螺旋軌跡に沿った形に記録することができる。また、読み取った凹凸パターンに従って磁気ディスク媒体の平坦な面上の書き込み位置決めを行う際に、磁気ディスク媒体の回転数の2倍以上の全ての整数倍の周波数においてゲインの低下する閉ループ制御を行うことも可能である。
【0038】
上述したように、本発明の第1のポイントは、一方の表面にのみヘッド位置決め用の凹凸パターンが形成された磁気ディスク媒体をスピンドルモータに取り付け、片方の面に形成された凹凸パターンに従ってサーボ書き込み用のアームアセンブリのトラック位置決めを行いながら他方の平坦面へサーボ情報を磁化反転パターンとして書き込むことである。
【0039】
また、本発明の第2のポイントは、一方の表面にのみヘッド位置決め用の凹凸パターンが形成された磁気ディスク媒体と、さらに両面が平坦面からなる1枚または複数枚の磁気ディスク媒体を同一のスピンドルモータにスタックし、1表面に形成した凹凸パターンに従ってサーボ書き込み用のアームアセンブリのトラック位置決めを行いながら、凹凸パターンが形成された磁気ディスク媒体の他方の平坦面および上記1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の平坦面にサーボ情報を磁化反転パターンとして書き込むことである。
【0040】
さらに、本発明の第3のポイントは、少なくとも一方の表面にヘッド位置決め用の凹凸パターンが形成された位置決め基準ディスクと、さらに両面が平坦面からなる1枚または複数枚の磁気ディスク媒体を同一のスピンドルモータにスタックし、位置決め基準ディスク上の凹凸パターンに従ってサーボ書き込み用のアームアセンブリのトラック位置決めを行いながら、上記1枚または複数枚の磁気ディスク媒体にサーボ情報を磁化反転パターンとして書き込むことである。
【0041】
すなわち本発明において、ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンは、例えば光ディスクにおける成形技術を使用して高精度に形成できるため、ヘッド位置決め用の凹凸パターンに従ってサーボ書き込み用のアームアセンブリのトラック位置決めを行いながら他の平坦面へ磁化反転パターンを書き込むことにより、精度のよいサーボ情報の記録が行える。
【0042】
また、サーボ情報を磁化反転パターンとして書き込んだ面は、凹凸のない平坦面であるので、ヘッドの低浮上化による高記録密度化に適している。
【0043】
さらに、ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンの形成には光ディスクにおける成形技術を使用できるため、螺旋状のトラックフォーマットを使用する際の、位置決めパターンの形成にも適している。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0045】
本発明の第1の実施の形態の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法におけるサーボ書き込みの手順について、主な工程順に図1のフローチャートを用いて説明する。
【0046】
図1において、ステップST1では、前述した全面凹凸サーボ方式の場合と同様の光ディスクのレーザーカッティングの手法等により、サーボ情報を書き込むべき図2の磁気ディスク媒体1の片側表面(以下、第1b面と呼ぶ)のみにヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成する。この磁気ディスク媒体1の第1b面上に形成されるヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンとしては、前記図18の(a),(b),(c)に示したようなパターンを例に挙げることができる。この場合の図18は、本実施の形態の磁気ディスク媒体1の上記第1b面のみに形成された凹凸サーボパターンのトラック走行方向の断面図を示している。
【0047】
一方、第1の実施の形態の磁気ディスク媒体1は、上記ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンが形成された第1b面の反対側の面(以下第1a面と呼ぶ)には凹凸パターンを形成せずに平坦面としており、この第1a面(平坦面)には磁性層を形成しておく。
【0048】
ここで、例えば図3の(B)に示すように、上記第1b面上で上記凹凸サーボパターンを形成する領域2bsは、データ領域2bdと交互に略放射状に配置され、その数は数十乃至数百とする。
【0049】
この凹凸サーボパターン領域2bsは、例えば図4に示すように、同期用情報領域、トラックアドレス情報領域、ファイン位置情報領域より構成される。上記トラックアドレス情報領域内に形成されるパターンはデータトラックの番号(いわゆるトラックアドレス)を表し、上記ファイン位置情報領域内に形成されるパターンはそのトラック内での詳細な位置を示すファイン信号を表し、上記同期用情報領域内に形成されるパターンは上記トラックアドレスとファイン信号を再生するために必要な同期クロックを抽出するためのクロックマークである。これらの信号は、その詳細は省略するが、例えば本件出願人による特開平8−194904号公報にて既に開示されたようなフォーマットに基づいて形成されている。なお、凹凸サーボパターン領域2bs内の凹部と凸部の関係は、図4に示したものと反対でもよい。また、凹凸サーボパターンのピッチとデータトラックのピッチは異なってもよい。すなわち例えば、凹凸サーボパターンを形成した面におけるデータトラックのピッチが凹凸サーボパターンのピッチの2倍でもよい。場合によっては、ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成する面には、データ領域の一部または全部に凹凸でデータビットを形成してROMデータとすることもできる。
【0050】
次に図1のステップST2では、上記第1b面のみにヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成した磁気ディスク媒体1を、上記第1a面の平坦面にサーボ情報の書き込みを行うための装置のスピンドルモータに取り付ける。この際、磁気ディスク媒体1をリムーバブル磁気ディスク装置の記憶媒体として用いる場合には、予め磁気ディスク媒体1を専用のカートリッジに組み込んだ後にスピンドルモータに取り付けてもよい。
【0051】
なお、サーボ情報の書き込みを行うための装置としては、最終的に該磁気ディスク媒体1を組み込む磁気ディスク装置を用いてもよいし、サーボ情報の書き込みのための専用の装置であってもよい。該磁気ディスク装置ないし該サーボ情報の書き込みのための専用の装置では、図5に示すように、上記磁気ディスク媒体1のヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成した第1b面に対して磁気データを記録再生するための磁気ヘッド3bと、反対側の第1a面の平坦面に磁気データを記録再生するための磁気ヘッド3aとが、同一のアームアセンブリ9に取り付けられており、例えばVCM(ボイスコイルモータ)アクチュエータ4により同時に駆動及び位置決めされるようになっている。なお、磁気ヘッドとアームアセンブリとVCMアクチュエータを纏めてヘッドアセンブリ6と呼ぶ。この磁気ディスク媒体1がスピンドルモータ5に取り付けられている。ここで、平坦面の第1a面用の磁気ヘッド3aには、上記凹凸サーボパターンが形成される第1b面用の磁気ヘッド3bよりも浮上量の低いヘッドを用いることができ、磁気ヘッド3bには薄膜インダクティブヘッド、磁気ヘッド3aにMR(MagnetoResistive)インダクティブ複合ヘッドを用いるといった組み合わせも可能である。
【0052】
図1のステップST3では、上記第1b面の凹凸サーボパターンからの磁気信号を上記磁気ヘッド3bが再生した信号から得られる位置情報をもとに、当該磁気ヘッド3bと磁気ヘッド3aとが取り付けられたアームアセンブリ9を基準位置(例えばディスク外周側の所定位置)に位置決めし、その状態で磁気ヘッド3aにより平坦面の第1a面に位置決めのためのサーボ情報を磁化反転パターンとして書き込む。なお、この際、一つの記録再生アンプを磁気ヘッド3aと磁気ヘッド3bとで時分割使用してもよいし、それぞれに専用の記録再生アンプを設けて並列使用してもよい。
【0053】
上記サーボ情報を書き込んだ後の当該第1a面の平坦面における磁化反転サーボパターン領域2asのトラック走行方向の断面図は、図6に示すようになる。
【0054】
図1のステップST4では、上記第1b面の凹凸サーボパターンからの磁気信号を上記磁気ヘッド3bが再生した信号から得られる位置情報をもとに、前記アームアセンブリ9を、前回位置から例えば第1a面(平坦面)でのデータトラックのピッチの1/2だけずらして位置決めし、その状態で磁気ヘッド3aにより当該第1a面に位置決めのためのサーボ情報を磁化反転パターンとして書き込む。
【0055】
図1のステップST5では、所定のトラック本数分だけ、ステップST4の操作を繰り返す。
【0056】
これにより、例えば図3の(A)に示すように、上記第1a面上にサーボ情報として形成された磁化反転サーボパターン領域2asは、前記図3の(B)同様に、データ領域2adと交互に略放射状に配置され、その数は数十乃至数百となる。なお、図3の例では、磁化反転サーボパターン領域2asが図3の(B)に示した第1b面と同じようにデータ領域と交互に略放射状に配置され、その数は凹凸サーボパターン領域2bsの数と同じになっているが、それらは必ずしも同じである必要はなく、異なってもよい。
【0057】
磁化反転サーボパターン領域2asは、凹凸サーボパターン領域2bsの構成と同様に、例えば同期用情報領域、トラックアドレス情報領域、ファイン位置情報領域より構成される。ただし、磁化反転サーボパターン領域の時間長は凹凸サーボパターン領域と異なってもよい。例えば、磁化反転サーボパターン領域の時間長を凹凸サーボパターン領域より短くしてもよいし、パターンの時間間隔を短くした上でファイン位置情報領域のパターン個数を増やしてもよい。
【0058】
なお、磁化反転サーボパターンを書き込むピッチは、凹凸サーボパターンのピッチと同じにするのが簡単であるが、例えば磁化反転サーボパターンを書き込むピッチを凹凸サーボパターンのピッチの半分として、平坦面のトラック本数を凹凸サーボパターンを形成した面の2倍とすることもできる。
【0059】
以上が、第1の実施の形態における磁気ディスク媒体1へのサーボ書き込み方法の説明である。
【0060】
また、当該第1の実施の形態は、上記サーボ書き込み方法によりサーボパターンが書き込まれた磁気ディスク媒体を組み込んだ磁気ディスク装置(磁化反転サーボパターンの書き込み装置として該磁気ディスク装置を用いた場合と、専用のサーボ書き込み装置を用いて磁化反転サーボパターンを書き込んだ後に該磁気ディスク装置に組み込んだ場合のどちらとも)と、また、サーボパターンが書き込まれた磁気ディスク媒体を組み込んだ磁気ディスクカートリッジ(サーボパターンを書き込んだ後にカートリッジに組み込む場合と、カートリッジに組み込んだ後に本方法によりサーボパターンを書き込む場合の2通り考えられる)とをそれぞれ含むものである。さらに、磁気ディスク媒体への磁化反転サーボパターンの書き込み装置として、最終的に該磁気ディスク媒体を組み込む磁気ディスク装置自身を用いる場合の、その磁気ディスク装置も当該第1の実施の形態に含まれる。
【0061】
図7には、本発明の第1の実施の形態の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法を実現する装置の要部(サーボ書き込み回路)の概略構成を示す。なお、この図7の各構成要素において前記図5の各構成要素と同じものには同一の指示符号を付してそれらの詳細な説明は省略する。
【0062】
上記磁気ディスク1の第1b面に形成されたヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンは、位置決め信号読み出し用の前記磁気ヘッド3bにて再生され、再生アンプ103で増幅される。この再生アンプ103にて増幅された再生信号は、位置信号生成回路104とタイミング生成回路105に入力される。
【0063】
タイミング生成回路105では、上記再生信号から位置信号を取り出すためのタイミング信号や、サーボ書き込みのためのタイミング信号を生成し、前者は位置信号生成回路104に、後者はサーボ書き込み制御ブロック120の記録タイミング制御回路107に入力される。
【0064】
位置信号生成回路104では、タイミング生成回路105から入力されるタイミング信号に基づき、上記増幅された再生信号から位置情報を生成する。
【0065】
サーボ書き込み制御ブロック120の目標位置生成回路109は、例えばデータトラックのピッチの1/2だけ順次オフセットした目標位置信号を所定のトラック本数分発生させる。この目標位置生成回路109において生成された目標位置信号は、位置決め制御回路106に入力される。
【0066】
当該位置決め制御回路106では、上記位置信号生成回路104から入力される位置情報に基づき、VCMアクチュエータ4を制御するための制御信号をVCMドライバ102に送り、当該VCMドライバ102は、上記位置決め制御回路106からの制御信号に基づいてVCMアクチュエータ4を駆動することにより、前記アームアセンブリ9を目標位置に位置決めする。なお、位置決め制御回路106は、上記アームアセンブリ9が目標位置に整定した時点で、位置決め完了信号をサーボ書き込み制御ブロック120の記録タイミング制御回路107に送る。
【0067】
一方、前記第1a面に前記磁化反転サーボパターンを形成するための、現在の目標位置に対応したサーボ情報は、サーボ書き込み制御ブロック120のサーボパターン生成回路108で生成され、位置決め完了後に記録タイミング制御回路107により時間管理されて、記録/再生アンプ101に送られ、前記サーボ情報の書き込み用の磁気ヘッド3aにより、磁気ディスク1の前記第1a面に書き込まれる。この際は、記録/再生アンプ101は記録モードに保持される。
【0068】
また、サーボ書き込み制御ブロック120には、通常書き込みパターン検証回路110が設けられており、例えば全てのトラックにおける磁化反転パターンからなるサーボ信号書き込みが終了した時点で、記録/再生アンプ101を再生モードとし、前記磁気ディスク1の第1b面に形成された凹凸サーボパターンからの位置情報を基に、順次アームアセンブリ9を位置決めしつつ、書き込んだ磁化反転サーボパターンをサーボ書き込み用の磁気ヘッド3aで再生して、書き込みパターンを検証する動作(いわゆるベリファイ動作)を行うようになっている。
【0069】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0070】
以下、本発明の第2の実施の形態の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法におけるサーボ書き込みの手順について、主な工程順に図8のフローチャートを用いて説明する。なお、前述した第1の実施の形態では、磁気ディスク媒体1の第1b面に形成したヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンに従ってサーボ書き込み用のアームアセンブリのトラック位置決めを行いながら、他方の第1a面の平坦面にサーボ情報を書き込む例を挙げたが、当該第2の実施の形態では、磁気ディスク媒体の第1b面に形成したヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンに従ってサーボ書き込み用のアームアセンブリのトラック位置決めを行いながら、凹凸サーボパターンが形成された磁気ディスク媒体の第1a面の平坦面のみならず、更に両面が平坦面からなる1枚又は複数枚の磁気ディスク媒体の各平坦面にもサーボ情報を磁化反転パターンとして書き込むようにしている。
【0071】
図8において、ステップST11では、前記第1の実施の形態のステップST1と同様にして、磁気ディスク媒体の第1b面に、前述の全面凹凸サーボ方式の場合と同様の光ディスクのレーザーカッティングの手法等により、ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成する。また、上記凹凸サーボパターンが形成された面の反対側の第1a面は平坦面としており、この平坦面にも磁性層を形成しておく。
【0072】
図8のステップST12では、図9に示すように、上記ステップST11において第1b面のみにヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成した磁気ディスク11と、両面が平坦面からなる1枚又は複数枚の磁気ディスク媒体18とを、サーボ情報の書き込みを行うための装置のスピンドルモータ15にスタックする。なお、図9の例では、両面が平坦面からなる1枚又は複数枚の磁気ディスク媒体18の各表面を第2a面、裏面を第2b面として示している。この際、本実施の形態にかかる各磁気ディスク媒体をリムーバブル磁気ディスク装置の記憶媒体として用いる場合には、上記第1b面のみにヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成した磁気ディスク11と、さらに両面が平坦面からなる1枚又は複数枚の磁気ディスク媒体18とを、図10に示すような形でカートリッジ20に組み込んだ後にスピンドルモータに取り付けてもよい。このカートリッジ20では、ケース32内に上記各磁気ディスク11、18が配され、各磁気ディスク11、18の中心穴部がセンターコア31に取り付けられている。このセンターコア31が上記スピンドルモータに取り付けられる。
【0073】
ここで、当該第2の実施の形態における上記サーボ情報の書き込みを行うための装置としては、前記第1の実施の形態における磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法の場合と同様に、最終的に該磁気ディスク媒体を組み込む磁気ディスク装置を用いてもよいし、サーボ情報の書き込みのための専用の装置であってもよい。この第2に実施の形態における磁気ディスク装置ないしサーボ情報の書き込みのための専用の装置では、図9に示すように、ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成した磁気ディスク11の第1b面に磁気データを記録再生するための磁気ヘッド13と、当該磁気ディスク11の反対側の第1a面(平坦面)および両面(第2a面及び第2b面)が平坦面からなる1枚又は複数枚の磁気ディスク媒体18の各平坦面に磁気データを記録再生するための各磁気ヘッド17とが同一のアームアセンブリ19に取り付けられており、例えばVCMアクチュエータ14により同時に駆動及び位置決めされるようになっている。以下、磁気ヘッドとアームアセンブリとVCMアクチュエータを纏めてヘッドアセンブリ16と呼ぶ。なお、上記各磁気ヘッド17には、上記磁気ヘッド13よりも浮上量の低いヘッドを用いることができ、磁気ヘッド13には薄膜インダクティブヘッド、各磁気ヘッド17にMRインダクティブ複合ヘッドを用いるといった組み合わせも可能である。
【0074】
図8のステップST13では、上記磁気ディスク11の第1b面の凹凸サーボパターンからの磁気信号を上記磁気ヘッド13が再生した信号から得られる位置情報をもとに、各磁気ヘッド17が取り付けられたアームアセンブリ19を基準位置(例えば各ディスクの外周側の所定位置)に位置決めし、その状態で各磁気ヘッド17により、上記磁気ディスク11の反対側の第1a面(平坦面)および両面(第2a面及び第2b面)が平坦面からなる1枚又は複数枚の磁気ディスク媒体18の各平坦面に位置決めのためのサーボ情報を磁化反転パターンとして書き込む。なお、この際の、各磁気ヘッド17によるサーボ情報の磁化反転パターンとしての書き込みは、一斉に行ってもよく、時分割で行ってもよい。
【0075】
図8のステップST14では、上記磁気ディスク11の第1b面の凹凸サーボパターンからの磁気信号を上記磁気ヘッド13が再生した信号から得られる位置情報をもとに、各磁気ヘッド13,17とが取り付けられたアームアセンブリ19を、前回位置から例えば各平坦面(第1a面、第2a面、第2b面)でのデータトラックのピッチの1/2だけずらして位置決めし、その状態で各磁気ヘッド17により当該各平坦面に位置決めのためのサーボ情報を磁化反転パターンとして書き込む。
【0076】
図8のステップST15では、所定のトラック本数分だけ、ステップST14の操作を繰り返す。
【0077】
これにより、例えば図11の(A)に示すように、上記磁気ディスク11の第1a面上にサーボ情報として形成された磁化反転サーボパターン領域2asと、各磁気ディスク媒体18の第2a面及び第2b面上にサーボ情報として形成された磁化反転サーボパターン領域3as及び3bsとは、それぞれのデータ領域2ad、3ad、3bdと交互に略放射状に配置され、その数は数十乃至数百となる。なお、磁化反転サーボパターン領域2as、3as、3bsの数は前記第1の実施の形態における磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法の場合と同様に、凹凸サーボパターン領域2bsの数と同じでもよいし、異なってもよいが、図11の例には凹凸サーボパターン領域2bsの数を磁化反転サーボパターン領域2as、3as、3bsの数の2倍とした場合の例を示した。このように凹凸サーボパターン領域2bsの数を増やすと、サーボ情報を磁化反転パターンとして書き込む際の位置決め精度を良くすることができるという利点がある。この利点は前記第1の実施の形態に適用した場合も同様である。
【0078】
以上が、第2の実施の形態における各磁気ディスク媒体11、18へのサーボ書き込み方法の説明である。
【0079】
また、当該第2の実施の形態は、上記サーボ書き込み方法によりサーボパターンが書き込まれた磁気ディスク媒体を組み込んだ磁気ディスク装置(磁化反転サーボパターンの書き込み装置として該磁気ディスク装置を用いた場合と、専用のサーボ書き込み装置を用いて磁化反転サーボパターンを書き込んだ後に該磁気ディスク装置に組み込んだ場合のどちらとも)と、また、サーボパターンが書き込まれた磁気ディスク媒体を組み込んだ磁気ディスクカートリッジ(サーボパターンを書き込んだ後にカートリッジに組み込む場合と、カートリッジに組み込んだ後に本方法によりサーボパターンを書き込む場合の2通り考えられる)とをそれぞれ含むものである。さらに、磁気ディスク媒体への磁化反転サーボパターンの書き込み装置として最終的に該磁気ディスク媒体を組み込む磁気ディスク装置自身を用いる場合の、その磁気ディスク装置も当該第2の実施の形態に含まれる。
【0080】
図12には、本発明の第2の実施の形態の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法を実現する装置の要部(サーボ書き込み回路)の概略構成を示す。なお、この図12の各構成要素において前記図7及び図9の各構成要素と同じものには同一の指示符号を付してそれらの詳細な説明は省略する。
【0081】
上記磁気ディスク11の第1b面に形成されたヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンは、位置決め信号読み出し用の前記磁気ヘッド13にて再生され、前記図7同様に再生アンプ103で増幅され、その増幅された再生信号は前述同様に位置信号生成回路104とタイミング生成回路105に入力される。
【0082】
これら位置信号生成回路104とタイミング生成回路105以降の各構成要素は、前述同様に動作し、前記図9のVCMアクチュエータ14が、位置決め制御回路109からの制御信号に基づいてVCMドライバ132にて駆動されることにより、前記図9のアームアセンブリ19が目標位置に位置決めされる。
【0083】
一方、前記磁気ディスク11の第1a面及び各磁気ディスク媒体18の第2a面及び第2b面に前記磁化反転サーボパターンを形成するための、現在の目標位置に対応したサーボ情報は、サーボ書き込み制御ブロック120のサーボパターン生成回路108で生成され、記録/再生アンプ131に送られ、前記サーボ情報の書き込み用の磁気ヘッド17により、磁気ディスク11の第1a面及び各磁気ディスク媒体18の第2a面及び第2b面に書き込まれる。
【0084】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0085】
以下、本発明の第3の実施の形態の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法におけるサーボ書き込みの手順について、主な工程順に図13のフローチャートを用いて説明する。なお、前述した第2の実施の形態では、サーボ情報を磁化反転パターンとして書き込む対象が、前記位置決め基準ディスク13の第1a面の平坦面と各磁気ディスク媒体18の各平坦面とになっているが、この第3の実施の形態においては、ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成したディスク媒体は含まない点が異なっている。
【0086】
図13において、ステップST21では、前記第1の実施の形態のステップST1と同様にして、磁気ディスク媒体の片面或いは両面に対して、前述の全面凹凸サーボ方式の場合と同様の光ディスクのレーザーカッティングの手法等により、ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成する。この第3に実施の形態では、上記ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンが片面或いは両面に形成された磁気ディスク媒体を、以下、位置決め基準ディスクと呼ぶことにし、また、当該位置決め基準ディスクの上記凹凸サーボパターンが形成される上記片面或いは両面をまとめて第3面と呼ぶことにする。
【0087】
なお、当該第3の実施の形態の場合、ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成する磁気ディスク媒体(位置決め基準ディスク)は、サーボ書き込みのためのヘッド位置決め専用に使用し、データの記録再生に利用しない方式も採用可能である。その場合、当該位置決め基準ディスクには、前述したようなデータ領域が不要となり、ディスク全面に亙って凹凸サーボパターンを形成することが可能になる。このようにディスク全面に亙って凹凸サーボパターンを形成すれば、磁化反転パターンの書き込みの際の位置決め精度を上げられる利点がある。
【0088】
図13のステップST22では、図14に示すように、上記ステップST21において上記第3面(片面或いは両面)にヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成した位置決め基準ディスク21と、両面が平坦面からなる1枚又は複数枚の磁気ディスク媒体28とを、サーボ情報の書き込みを行うための装置のスピンドルモータ25にスタックする。なお、図14の例でも前記図9と同様に、両面が平坦面からなる1枚又は複数枚の磁気ディスク媒体28の各表面を第2a面、裏面を第2b面として示している。この際、本実施の形態にかかる各磁気ディスク媒体をリムーバブル磁気ディスク装置の記憶媒体として用いる場合には、上記第3面にヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成した位置決め基準ディスク21と、さらに両面が平坦面からなる1枚又は複数枚の磁気ディスク媒体28とを、前記図10に示したような形でカートリッジ20に組み込んだ後にスピンドルモータに取り付けてもよく、また、上記位置決め基準ディスク21は予めスピンドルモータに固定しておき、上記両面が平坦面からなる1枚または複数枚の磁気ディスク媒体28のみをカートリッジ20に組み込んだ後に該スピンドルモータにスタックする形としてもよい。後者の場合は、上記位置決め基準ディスク21は、データの記録再生には利用しない。
【0089】
ここで、当該第3の実施の形態における上記サーボ情報の書き込みを行うための装置としては、前記第1、第2の実施の形態における磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法の場合と同様に、最終的に該磁気ディスク媒体を組み込む磁気ディスク装置を用いてもよいし、サーボ情報の書き込みのための専用の装置であってもよい。この第3に実施の形態における磁気ディスク装置ないしサーボ情報の書き込みのための専用の装置では、図14に示すように、ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成した位置決め基準ディスク21の第3面(片面或いは両面)に磁気データを記録再生するための磁気ヘッド(サーボヘッド)23と、上記両面(第2a面及び第2b面)が平坦面からなる1枚又は複数枚の磁気ディスク媒体28の各平坦面に磁気データを記録再生するための各磁気ヘッド27とが同一のアームアセンブリ29に取り付けられており、例えばVCMアクチュエータ24により同時に駆動及び位置決めされるようになっている。上記磁気ヘッドとアームアセンブリとVCMアクチュエータを纏めてヘッドアセンブリ26と呼ぶ。なお、この第3の実施の形態の場合、上記位置決め基準ディスク21と上記各磁気ディスク媒体28とでは、異なる材質のものを用いることができ、例えば、位置決め基準ディスク21として樹脂またはガラス基板からなるディスクを使用し、上記各磁気ディスク媒体28としてはアルミ基板からなるディスクを使用してもよい。また、上記各磁気ヘッド27には、上記磁気ヘッド(サーボヘッド)23よりも浮上量の低いヘッドを用いることができ、磁気ヘッド23には薄膜インダクティブヘッド、各磁気ヘッド27にMRインダクティブ複合ヘッドを用いるといった組み合わせも可能である。
【0090】
なお、上述の第3の実施の形態の説明では、ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成するディスク媒体(位置決め基準ディスク)を磁気ディスク媒体としているが、上記位置決め基準ディスクをサーボ書き込みのためのヘッド位置決め専用に使用してデータの記録再生には利用しない場合においては、当該位置決め基準ディスクに光ディスク媒体を用い、前記磁気ヘッド(サーボヘッド)23に変えて光ヘッドを用いて上記凹凸サーボパターンの再生を行うようにすることも可能である。但し、この第3の実施の形態の例では、説明を簡略化するために、上記位置決め基準ディスクを磁気ディスク媒体とし、サーボヘッドも磁気ヘッドとした例を挙げている。
【0091】
図13のステップST23では、上記位置決め基準ディスク21の第3面の凹凸サーボパターンからの磁気信号を上記磁気ヘッド(サーボヘッド)23が再生した信号から得られる位置情報をもとに、各磁気ヘッド27が取り付けられたアームアセンブリ29を基準位置(例えば各ディスクの外周側の所定位置)に位置決めし、その状態で各磁気ヘッド27により、上記両面(第2a面及び第2b面)が平坦面からなる1枚又は複数枚の磁気ディスク媒体28の各平坦面に位置決めのためのサーボ情報を磁化反転パターンとして書き込む。なお、この際の、各磁気ヘッド27によるサーボ情報の磁化反転パターンとしての書き込みは、一斉に行ってもよく、時分割で行ってもよい。
【0092】
図13のステップST24では、上記位置決め基準ディスク21の第3面の凹凸サーボパターンからの磁気信号を上記磁気ヘッド(サーボヘッド)23が再生して生成した位置情報をもとに、当該サーボヘッド23と各磁気ヘッド27とが取り付けられたアームアセンブリ29を、前回位置から例えば各平坦面(第2a面、第2b面)でのデータトラックのピッチの1/2だけずらして位置決めし、その状態で各磁気ヘッド27により当該各平坦面に位置決めのためのサーボ情報を磁化反転パターンとして書き込む。
【0093】
図13のステップST25では、所定のトラック本数分だけ、ステップST24の操作を繰り返す。
【0094】
以上が、第3の実施の形態における各磁気ディスク媒体28へのサーボ書き込み方法の説明である。
【0095】
また、当該第3の実施の形態は、磁気ディスク媒体への磁化反転サーボパターンの書き込み装置として、最終的に該磁気ディスク媒体を組み込む磁気ディスク装置自身を用いる場合のその磁気ディスク装置と、ヘッド位置決め用の凹凸パターンを形成する磁気ディスク媒体をサーボ書き込みのためのヘッド位置決め専用に使用し、データの記録再生には利用しない場合で、サーボ情報の書き込みのために専用の装置を用いる場合のサーボ書き込み装置とをそれぞれ含むものである。さらに、リムーバブル磁気ディスクドライブ用の磁気ディスク媒体のサーボライト用途に対しては、ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを形成した磁気ディスク媒体がスピンドルモータに固定されたサーボライト専用ドライブとして本装置を構成し、サーボ情報を書き込むべきディスク媒体の着脱をカートリッジの挿抜で行えるようにすれば、量産性も良く特に効果的と考えられる。
【0096】
図15には、本発明の第3の実施の形態の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法を実現する装置の要部(サーボ書き込み回路)の概略構成を示す。なお、この図15の各構成要素において前記図7及び図14の各構成要素と同じものには同一の指示符号を付してそれらの詳細な説明は省略する。
【0097】
上記位置決め基準ディスク21の第3面に形成されたヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンは、位置決め信号読み出し用の前記磁気ヘッド23(或いは光ヘッド)にて再生され、前記再生アンプ163で増幅され、その増幅された再生信号は前述同様に位置信号生成回路104とタイミング生成回路105に入力される。
【0098】
これら位置信号生成回路104とタイミング生成回路105以降の各構成要素は、前述同様に動作し、前記図14のVCMアクチュエータ24が、位置決め制御回路109からの制御信号に基づいてVCMドライバ162にて駆動されることにより、前記図14のアームアセンブリ29が目標位置に位置決めされる。
【0099】
一方、前記各磁気ディスク媒体28の第2a面及び第2b面に前記磁化反転サーボパターンを形成するための、現在の目標位置に対応したサーボ情報は、サーボ書き込み制御ブロック120のサーボパターン生成回路108で生成され、記録/再生アンプ161に送られ、前記サーボ情報の書き込み用の磁気ヘッド27により、各磁気ディスク媒体28の第2a面及び第2b面に書き込まれる。
【0100】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0101】
この第4の実施の形態では、前述した第1〜第3の実施の形態にて説明した様なヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを、ディスク上に螺旋軌跡に沿った形に配置形成する。このように、ディスク上に凹凸サーボパターンを螺旋軌跡に沿った形に配置する場合も、前述の全面凹凸サーボ方式の場合と同様の光ディスクのレーザーカッティングの手法等を用いることができる。
【0102】
この第4の実施の形態のように、ヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを、螺旋軌跡に沿った形にディスク上に配置形成することにより、前記平坦面に書き込むサーボ情報も螺旋軌跡に沿った形に配置することができ、したがって例えば画像データなどの大量のデータを連続的に記録再生する用途の場合に好適な螺旋状のトラックフォーマットを簡単に実現できる。
【0103】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0104】
この第5の実施の形態は、前記第1の実施の形態の前記ステップST3及びステップST4、前記第2の実施の形態の前記ステップST13及びステップST14、前記第3の実施の形態の前記ステップST23及びステップST24において、形成した凹凸サーボパターンからの磁気信号を磁気ヘッドで再生した位置情報をもとにして前述のアームアセンブリ(9、19、29)の位置決めを行う際に、スピンドルモータ(5、15、25)の回転数の整数倍の周波数においてゲインの低下する構造を持つ閉ループ制御系を用いるようにしたものである。
【0105】
この第5の実施の形態における、ヘッド位置決め制御系の一巡伝達関数の例を図16の(A)及び(B)に示す。
【0106】
この図16の(A)および(B)に示す特性のヘッド位置決め制御系においては、スピンドルモータの回転数の2倍〜4倍の周波数においてゲインの低下するフィルタを挿入した場合を示しているが、これに限らず、例えば回転数の2倍〜8倍の周波数でゲインの低下する構造を持つ制御系を用いてもよく、また回転数の2倍以上のすべての整数倍の周波数でゲインの低下する構造を持つ制御系を用いてもよい。
【0107】
図16の(B)に示す特性のヘッド位置決め制御系においては、さらに、スピンドルモータの回転周波数においてピークを持つようなフィルタを併せて挿入しており、これによりディスク偏心に起因する位置決め誤差を小さくする効果がある。
【0108】
上記第5の実施の形態のヘッド位置決め制御系を用いた場合、スピンドルモータの回転数の整数倍の周波数におけるゲインが小さいため、凹凸サーボパターンのパターン成形誤差等に起因するRRO(repeatable runout)成分(回転同期のランナウト成分)への追従が抑えられる。
【0109】
従って、凹凸サーボパターンのパターン成形誤差等に起因するRRO成分が比較的大きい場合、当該第5の実施の形態のヘッド位置決め制御系を用いることにより、平坦面に磁化反転パターンとして書き込むサーボ情報の転写精度を改善できる。
【0110】
上述のようなことから、本発明の各実施の形態によれば、予めディスク上にヘッド位置決め用の凹凸サーボパターンを、光ディスクにおける成形技術を使用して高精度に形成し、それに基づいて他の平坦面あるいは他の1枚又は複数の磁気ディスク媒体の平坦面に磁化反転パターンとしてサーボ情報の書き込みが行われる。
【0111】
従って、通常のサーボライタのようにアームを外部から機械的に位置決めしてサーボ信号の書き込みを行う必要がないため、精度よいサーボ情報の記録が可能であり、かつ、小型のサーボ書き込み装置ないし自ドライブ単体でのサーボ書き込みができるため、製造コストが下げられるという効果がある。
【0112】
また、サーボ情報を磁化反転パターンとして書き込んだ面は、凹凸のない平坦面であるので、ヘッドの低浮上化による高記録密度化に適するという効果がある。
【0113】
さらに、画像データなどの大量のデータを連続的に記録再生する用途に好適な螺旋状のトラックフォーマットでの位置決めパターンの形成が容易にできるという効果も有する。
【0114】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、予めディスク上にヘッド位置決め用の凹凸パターンを例えば光ディスクにおける成形技術を使用して高精度に形成し、それに基づいて他の平坦面あるいは他の1枚又は複数枚の磁気ディスク媒体の平坦面に磁化反転パターンとしてサーボ情報の書き込みを行うようにしており、従って、通常のサーボライタのようにアームを外部から機械的に位置決めしてサーボ信号の書き込みを行う必要がないため、精度よいサーボ情報の記録が可能であり、且つ、小型のサーボ書き込み装置乃至自ドライブ単体でのサーボ書き込みができるため、製造コストが下げられる。
【0115】
また、サーボ情報を磁化反転パターンとして書き込んだ面は、凹凸のない平坦面であるので、ヘッドの低浮上化による高記録密度化に適する。
【0116】
さらに、画像データなどの大量のデータを連続的に記録再生する用途に好適な螺旋状のトラックフォーマットでの位置決めパターンの形成が容易にできる。
【0117】
すなわち本発明においては、精度の確保が容易で、大がかりな装置が必要なく、また、製造コストの上昇を防止でき、さらに、サーボパターンを螺旋状に書き込むことが可能で、記録密度を高めることをが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法におけるサーボ書き込みの手順を示すフローチャートである。
【図2】片面(第1b面)に凹凸サーボパターンを形成し、他方の平坦面(第1a面)に磁性層を形成した第1の実施の形態の磁気ディスク媒体の斜視図である。
【図3】第1の実施の形態の磁気ディスクの第1a面上のデータ領域及び磁化反転サーボパターン領域の配置と、第1b面上のデータ領域及び凹凸サーボパターン領域の配置を示す図である。
【図4】凹凸サーボパターン領域の詳細な構成を示す図である。
【図5】第1の実施の形態のサーボ情報の書き込みを行うための装置の磁気ヘッド周辺の主要構成要素の概略構成を示す図である。
【図6】サーボ情報を書き込んだ後のディスク平坦面における磁化反転サーボパターン領域のトラック走行方向の断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法を実現する装置の要部(サーボ書き込み回路)の概略構成を示すブロック回路図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法におけるサーボ書き込みの手順を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態のサーボ情報の書き込みを行うための装置の磁気ヘッド周辺の主要構成要素の概略構成を示す図である。
【図10】本発明にかかる磁気ディスク媒体をリムーバブル磁気ディスク装置の記憶媒体として用いた場合のディスクカートリッジの概略構成を示す図である。
【図11】第2の実施の形態の位置決め基準ディスクの第1a面上のデータ領域及び磁化反転サーボパターン領域の配置と第1b面上のデータ領域及び凹凸サーボパターン領域の配置、他の磁気ディスク媒体の各平坦面上のデータ領域及び磁化反転サーボパターン領域の配置を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法を実現する装置の要部(サーボ書き込み回路)の概略構成を示すブロック回路図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法におけるサーボ書き込みの手順を示すフローチャートである。
【図14】第3の実施の形態のサーボ情報の書き込みを行うための装置の磁気ヘッド周辺の主要構成要素の概略構成を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法を実現する装置の要部(サーボ書き込み回路)の概略構成を示すブロック回路図である。
【図16】第5の実施の形態におけるヘッド位置決め制御系の一巡伝達関数の例を示す図である。
【図17】全面凹凸サーボ方式の第1のパターン形成方法の手順を示すフローチャートである。
【図18】全面凹凸サーボ方式により形成されるパターンのトラック走行方向の断面図である。
【図19】全面凹凸サーボ方式の第2のパターン形成方法の手順を示すフローチャートである。
【図20】全面凹凸サーボ方式の第2のパターン形成方法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1,11,18,21,28 磁気ディスク、 3a,3b,13,17,23,27 磁気ヘッド、 4,14,24 VCMアクチュエータ、 5,15,25 スピンドルモータ、 6,16,26 ヘッドアセンブリ、 9,19,29 アームアセンブリ、 31 センターコア、 32 ケース、 101,131,161 記録/再生アンプ、 102,132,162 VCMドライバ、 103,163 再生アンプ、 104 位置信号生成回路、 105タイミング生成回路、 106 位置決め制御回路、 107 記録タイミング制御回路、 108 サーボパターン生成回路、 109 目標位置生成回路、 110 書き込みパターン検証回路、 120 サーボ書き込み制御ブロック
Claims (6)
- 磁気ディスク媒体の一方の面にヘッド位置決め用の凹凸パターンを形成し、上記磁気ディスク媒体の上記一方の面から読み取った凹凸パターンに従って、上記磁気ディスク媒体の他方の平坦な面上の書き込み位置決めを行いながら、サーボ情報を磁化反転パターンとして当該他方の平坦な面に書き込む磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法において、
上記磁気ディスク媒体の上記一方の面から読み取った凹凸パターンに従って上記磁気ディスク媒体の他方の平坦な面上の書き込み位置決めを行う際に、当該磁気ディスク媒体の回転数の2倍以上の全ての整数倍の周波数においてゲインの低下する閉ループ制御を行うことを特徴とする磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法。 - 上記磁気ディスク媒体の上記ヘッド位置決め用の凹凸パターンは螺旋軌跡に沿った形に配置されてなり、上記サーボ情報としての磁化反転パターンを上記磁気ディスク媒体の他方の平坦な面に上記螺旋軌跡に沿った形に記録することを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法。
- 磁気ディスク媒体の一方の面にヘッド位置決め用の凹凸パターンを形成し、上記磁気ディスク媒体の一方の面から読み取った凹凸パターンに従って、上記磁気ディスク媒体の他方の平坦な面及び両面が平坦な1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面上の書き込み位置決めを行いながら、サーボ情報を磁化反転パターンとして上記磁気ディスク媒体の他方の平坦な面及び両面が平坦な1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面に書き込む磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法において、
上記磁気ディスク媒体の上記一方の面から読み取った凹凸パターンに従って上記磁気ディスク媒体の他方の平坦な面及び両面が平坦な1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面上の書き込み位置決めを行う際に、各磁気ディスク媒体の回転数の2倍以上の全ての整数倍の周波数においてゲインの低下する閉ループ制御を行うことを特徴とする磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法。 - 上記磁気ディスク媒体の上記ヘッド位置決め用の凹凸パターンは螺旋軌跡に沿った形に配置されてなり、上記サーボ情報としての磁化反転パターンを上記磁気ディスク媒体の他方の平坦な面及び両面が平坦な1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面に上記螺旋軌跡に沿った形に記録することを特徴とする請求項3記載の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法。
- ディスク媒体の少なくとも一方の面にヘッド位置決め用の凹凸パターンを形成し、上記ディスク媒体から読み取った凹凸パターンに従って、両面が平坦な1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面上の書き込み位置決めを行いながら、サーボ情報を磁化反転パターンとして上記両面が平坦な1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面に書き込む磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法において、
上記ディスク媒体の上記一方の面から読み取った凹凸パターンに従って上記両面が平坦な1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面上の書き込み位置決めを行う際に、各磁気ディスク媒体の回転数の2倍以上の全ての整数倍の周波数においてゲインの低下する閉ループ制御を行うことを特徴とする磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法。 - 上記ディスク媒体の上記ヘッド位置決め用の凹凸パターンは螺旋軌跡に沿った形に配置されてなり、上記サーボ情報としての磁化反転パターンを上記両面が平坦な1枚または複数枚の磁気ディスク媒体の各面に上記螺旋軌跡に沿った形に記録することを特徴とする請求項5記載の磁気ディスク媒体へのサーボ書き込み方法。
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