JP3787429B2 - 融雪装置及び融雪方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、融雪装置及び融雪方法に関するものであり、より詳細には、路盤面等に堆積した積雪を主に遠赤外線の共振作用により融雪し得る融雪装置及び融雪方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冬季の降雪寒冷地域、深雪地域又は厳冬地域等において、車道等の路面、歩道等の歩行路面、建築物の屋根面、或いは、鉄道等の軌道などの積雪又は氷層を加熱し、比較的広範な積雪又は氷層を融解ないし氷解し、或いは、路面の凍結を防止し得る各種形式の融雪装置が提案されている。この種の融雪装置として、例えば、高温の熱風を積雪面に吹付ける熱風加熱方式の融雪装置、温水を積雪面に噴霧する温水噴霧方式の融雪装置、或いは、面状電熱ヒーター又は電熱線等を路面又は路盤内に埋設してなる電気加熱方式の融雪装置等が知られている。
本願発明者は、この種の融雪装置において、通電可能な多数の球状発熱体と、外部電源に接続可能な電極とを収容した複数の樹脂製袋体からなる電気発熱式の面状融雪装置を提案している。上記袋体を構成する樹脂シート又は樹脂フィルムは、加熱時に遠赤外線を放射可能な特殊カーボン等の遠赤外線放射性物質を含有する。電極及び球状発熱体を収容した各袋体は、面状発熱体として路面等の融雪面に埋設され、各袋体の電極は、電気導線を介して外部電源装置に接続される。各球状発熱体の電気抵抗発熱性皮膜は、上記電極に対する駆動電力の供給により通電され、各発熱体の皮膜は発熱する。この結果、袋体全体が発熱し、路面の積雪を加熱するとともに、袋体の遠赤外線放射性物質が遠赤外線を放射し、かくして、路上の積雪又は氷層は、面状融雪装置の加熱作用及び遠赤外線放射作用により融解ないし氷解する。かかる構成の融雪装置によれば、積雪は、袋体から放射される遠赤外線の放射能力、深達力及び共鳴呼吸作用(共振作用)により、0℃以上の比較的低温域において効果的に融解されるので、樹脂製袋体の加熱温度を20℃程度の比較的低温域に規制し得る。従って、かかる構成の融雪装置によれば、従来の融雪装置に比べて電力消費量を約1/3程度に抑制することが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように発熱体を融雪面に埋設した上記形式の融雪装置をアスファルト舗装道路等に敷設する場合、クラッシャラン等のアスファルト舗装基盤を施工する路盤形成工程の完了後に面状発熱体及び電気配線を路盤面に敷設し、しかる後、アスファルト舗装工程を実施せざるを得ず、従って、路盤形成工程の施工直後に土木工事又は建築外構工事等を過渡的に中断した上で、融雪装置を施工せざるを得ない。この結果、土木・建築工事の施工工程の煩雑化、或いは、施工工期の長期化等の弊害が生じ得るばかりでなく、設計・施工管理を遂行する上で実務的な支障が生じ易く、しかも、このようにして路面に埋設された融雪装置の保守・点検管理は、実際には極めて困難であり、面状発熱体及び電気配線の定期的補修・交換作業等は、容易に実施し難い。
【0004】
また、一般に、公道等の路盤下には、給水、ガス、電気又は電話等の多種多様な配管及び配線が埋設されており、これらの埋設配管・配線網は、長期的な維持・管理のために定期的な点検、交換又は補修を要する。このため、公道等の舗装路は、一般に数年単位で部分掘削される事情がある。このような埋設配管・配線網の掘削・補修工事は、路面に埋設された融雪装置を考慮した上で慎重に施工し得るものの、同工事の施工作業の煩雑化及び施工工程の長期化は、事実上の問題として回避し得ない。
【0005】
更に、或る種の特殊路面に関しては、上記面状発熱体及び電気配線を路盤内又は路盤下に埋設すること自体を許容し得ない事情がある。例えば、発熱体及び電気配線の構造強度及び耐久性等を考慮すると、上記融雪装置を構成する面状発熱体及び電気配線は、航空機の車輪接地圧力に対する高度な耐圧性能(例えば、400TON以上の耐圧性能)を要求される空港の滑走路、或いは、走行車両又は風圧等の加振力により動的に挙動する動的構造設計の構造物の路面(例えば、橋梁又は高架高速道路の路面)等に対して、好適に適応し難く、従って、上記構成の融雪装置は、この種の特殊路面又は構造物に対して容易に施工し得ない。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発熱体を路面に埋設することなく、路面の積雪を効果的に融雪し得る融雪装置及び融雪方法を提供することにある。
本発明は又、上記融雪装置を備え、上記融雪方法を実施し得る融雪システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の波長域にピーク波長を有する遠赤外線を雪面に照射するとともに、積雪層の雪面温度を0℃以上の温度に加温することにより、積雪層を構成する水分子の共振作用が生起し、積雪層又は氷層が効率的且つ効果的に融解又は氷解する事実を認識し、かかる認識ないし知見に基づいて本願発明を達成したものである。即ち、本発明は、路面又は屋根面等の降雪面に堆積した積雪層を融解する融雪装置において、底面を閉塞した円筒形のセラミックス成形体からなり、通電時に発熱する電熱手段が前記成形体の壁体に埋設され、ピーク波長が5乃至15μmの波長域に位置する遠赤外線を加熱時に放射可能な輻射体と、該輻射体を加熱する電熱手段と、を備えた遠赤外線発生器と、前記輻射体から放射された遠赤外線を前記降雪面に偏向し、前記降雪面の所定領域に照射する遠赤外線反射面を備えた反射板と、を備え、降雪面の上方域に配置されることを特徴とする融雪装置を提供する。本発明の上記構成によれば、降雪面の上方域に配置された上記輻射体は、電熱手段の加熱作用により遠赤外線を放射し、上記反射板の遠赤外線反射面は、遠赤外線を降雪面の所定領域に効果的に照射する。積雪に照射された5乃至15μmのピーク波長を有する遠赤外線は、積雪層の内部に深く到達する高度な深達力を発揮するとともに、積雪層を構成する水分子の共振現象又は共鳴呼吸現象を生起し、水分子の水素結合を離間せしめ、雪又は氷成分を水分子の共振振動により発熱させる。かくして、降雪面の積雪層に照射された遠赤外線により、積雪層は加温され、積雪構成成分は融解する。
【0008】
本発明は又、路面又は屋根面等の降雪面に堆積した積雪層を融解する融雪方法において、降雪面の上方域に配置した遠赤外線輻射体を加熱し、5乃至15μmの波長域にピーク波長を有する遠赤外線を前記輻射体から放射せしめ、該遠赤外線を反射板の反射面により反射し、前記遠赤外線を前記降雪面の所定領域に向かって偏向させ、該遠赤外線を雪面の所定領域に照射し、該領域の積雪層を構成する水分子の共振作用を誘発し、前記降雪面を加温し、該降雪面を構成する路面材料に、30℃以下の低温域において遠赤外線を放射可能な炭素粉末を含み、10乃至20%の重量比の輻射素子が混入された遠赤外線輻射素子から遠赤外線を前記積雪層に放射し、前記水分子の共振作用を更に誘発して、水分子の共振現象により前記積雪層を融解するとともに、前記積雪層を0℃以上の温度域に保持することを特徴とする融雪方法を提供する。積雪層を構成する雪又は氷成分には、隣接する水分子間に比較的強い水素結合が作用するが、積雪層に照射された5乃至15μmのピーク波長、殊に、10μm近傍のピーク波長を有する遠赤外線は、積雪層を構成する雪層及び/又は氷層の内部に深く到達する高度な深達力を発揮し、水分子の固有振動数と近似した振動波長の電磁波として、水分子の共振現象又は共鳴呼吸現象を生起する。また、降雪面を構成する路面構成材料に混入された遠赤外線輻射素子は、降雪面の加温により遠赤外線を積雪層に放射し、水分子の共振作用を更に誘発する。従って、上記特定波長の遠赤外線の照射により、雪又は氷成分の水素結合は離間し、雪又は氷成分は、水分子の共振振動により発熱する。このように積雪構成要素の遠赤外線吸収作用及び共振作用により積雪層の融解又は氷解現象を誘発する上記構成の融雪方法によれば、面状発熱体、電熱線、電力供給配線及び/又は制御線等を降雪面に埋設することなく、路面の積雪を効果的に融雪し得る。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の融雪装置に係る好適な実施形態によれば、上記輻射体は、底面を閉塞した円筒形のセラミックス成形体からなり、通電時に発熱する電熱手段がセラミックス成形体の壁体に埋設され、上記遠赤外線のピーク波長は、5乃至15μmの波長域に位置する。好ましくは、上記輻射体を構成する円筒形壁体は、ジルコニア系セラミックス焼成体からなり、上記ピーク波長は、10μm近傍の波長域に位置する。更に好適には、上記輻射体は、上記電熱線を埋設した円筒形壁体と、該壁体の底面開口を閉塞する底板とを備え、底板を上下方向に貫通する貫通孔が、底板に穿設される。貫通孔は、円筒形壁体の内部中空域と輻射体の下方域とを相互連通するとともに、円筒形壁体が放射する遠赤外線を下方域に放射する。
【0011】
上記輻射体として、ピーク波長が10μm付近の波長域に表出する遠赤外線を50℃以下の比較的低温域において放射するセラミックス焼成体を好適に使用し得る。遠赤外線放射性能を有する好適なセラミックス焼成体として、ジルコニア系、チタニア系、コージライト系又はアルミナ系のセラミックス原料に対してマンガン、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、バリウム又はクロム等の金属酸化物、或いは、ゲルマニウム等を配合し且つ高温炉内雰囲気にて焼結成形してなるセラミックス焼成体を例示し得る。また、上記電熱手段として、ニクロム線等の電気抵抗発熱線を好適に使用することができる。
本発明の更に好適な実施形態において、上記遠赤外線反射面は、上記輻射体を収容可能な下面開口形の半球形反射板により形成され、反射板は、輻射体と実質的に同心状に配置される。好ましくは、遠赤外線反射面は、実質的に半球形に成形された金属製反射板の電解研磨面により形成される。更に好ましくは、上記反射板の外面は、断熱材料にて被覆される。
【0012】
本発明の融雪方法に係る好適な実施形態によれば、上記ピーク波長が10μm近傍の波長域に位置する遠赤外線が上記輻射体から放射される。本発明の或る実施形態において、降雪面を構成する路面材料に遠赤外線輻射素子が混入されるとともに、降雪面が、少なくとも0℃以上の低温域に加温される。この結果、遠赤外線が遠赤外線輻射素子から積雪層に放射され、水分子の共振作用が更に誘発される。好適には、上記遠赤外線輻射素子は、30℃以下の低温域において遠赤外線を放射可能な炭素粉末を含み、10乃至20%の重量比の輻射素子が、路面構成材料に対して混入される。
本発明の融雪システムに係る好適な実施形態において、上記反射板は、上記輻射体を収容した下面開口形の半球体として形成される。降雪面を構成する路面構成材料に混入された上記遠赤外線輻射素子は、降雪面の加温により遠赤外線を積雪層に放射し、水分子の共振作用を更に誘発する。本発明の或る実施形態において、降雪面を加温する補助加熱手段が更に配設され、上記遠赤外線輻射素子は、補助加熱手段による降雪面の加温により遠赤外線を積雪層に効率的に放射する。
【0013】
本発明の好適な実施形態によれば、上記外部電源制御装置は、降雪を検出する降雪検出手段と、降雪面の積雪量に相応して上記電気抵抗発熱体の通電を制御する通電制御手段とを備える。
本発明の或る実施形態において、上記融雪装置は、移動可能又は変位可能な支持手段によって降雪面の上方域に支持され、遠赤外線を放射すべき雪面領域を任意に可変制御し得るように構成される。このような支持手段として、軌道走行装置又は回転駆動装置等を例示し得る。
【0014】
【実施例】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例に係る融雪装置及び融雪方法について、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る融雪システムの全体構成を示す概略断面図である。
本実施例に係る融雪システムは、アスファルト舗装道路の上方域に配置された融雪装置1と、融雪装置1を支持する支柱Pと、電気ケーブル又は電気導線Eを介して融雪装置1に接続された外部電源制御装置Dとから略構成される。図1において、アスファルト舗装道路の路面には、積雪層Sが堆積している。
外部電源制御装置Dは、融雪装置1の定時作動等を制御可能なタイマー等の調時部、更には、外気温及び降雪等の気象条件を検出する作動環境検出部等の各種検出手段を備えるとともに、融雪装置1に対する給電を制御する給電制御部等の作動制御手段を内蔵する。
【0015】
アスファルト舗装道路は、路床F上に積層された路盤Bを備え、アスファルト舗装材料の舗装層Aが、路盤B上に施工される。路床Fは、川砂、海砂又は山砂等の遮断層からなり、所望により、凍上抑制層を含む。路盤Bは、路床F上に敷設されたクラッシャラン等の路盤材料層からなり、路盤材料層は、路上F上に敷設され且つ転圧され、締固め機等にて締固められる。
舗装層Aは、プライムコート及びタックコート等を介して路盤B上に積層された加熱アスファルト混合物からなり、遠赤外線輻射素子Cが舗装層Aに混入される。遠赤外線輻射素子Cは、炭素粉末、アルミナ粉末及びシリカ粉末の混合物からなり、加熱アスファルト混合物に対して重量比10乃至20%の遠赤外線輻射素子Cが、舗装層Aに混入される。遠赤外線輻射素子Cは、0℃以上の温度域において、5乃至15μmの波長帯域にピーク波長を有する遠赤外線、好ましくは、主に10μm近傍のピーク波長を有する遠赤外線を放射する。
【0016】
融雪装置1を支持する支柱Pは、基礎6から垂直上方に延びる垂直支柱部2と、支柱部2の上端部から側方に延びるアーム部3と、アーム部3の先端部から垂下する懸吊部4とから構成され、支柱部2、アーム部3及び懸吊部4は、中空管構造を有する。支柱Pの中空部は、電気導線Eを挿通可能なケーブル管路(図示せず)を構成する。
【0017】
融雪装置1を構成する遠赤外線発生器10及び反射板30が、懸吊部4の下端に配設されたソケット部5に係止される。遠赤外線発生器10は、通電時に発熱可能な電熱線を有するセラミックス製の円筒体からなり、円筒体は、5乃至15μmの波長帯域にピーク波長を有する遠赤外線、好ましくは、主に10μm近傍のピーク波長を有する遠赤外線を加熱時に放射する。
全体的に半球形態に形成された反射板30は、遠赤外線発生器10が放射した遠赤外線を下方に偏向させる内部反射面を備え、反射面にて反射した遠赤外線は、積雪層Sの所定雪面領域に集中的に照射される。
【0018】
図2は、融雪装置1の全体構造を示す縦断面図であり、図3、図4及び図5は、融雪装置1を構成する遠赤外線発生器10の側面図、底面図及び部分縦断面図である。
図2に示す如く、遠赤外線発生器10及び反射板30は、懸吊部4及びソケット部5の中心軸線と同心状に配置される。遠赤外線発生器10は、円筒形に成形されたセラミックス製の放射部11と、ソケット部5に螺入可能な口金部12とを備える。口金部12は、ソケット部5に螺入され、ソケット部5の内部電極面(図示せず)と導電接触し、電気導線Eを介して外部電源制御装置D(図1)から供給される電力を受電する。
【0019】
図5に示す如く、通電軸16が、放射部11の内部中空域において遠赤外線発生器10の中心軸線上に配置され、通電軸16は、放射部11の頂部閉塞板13及び底部閉塞板14の間に延在する。ソケット部5に接続された導電線(図示せず)が、通電軸16の中心部に配線され、該導電線は、接続端子線17に接続される。接続端子線17は、通電軸16から放射部11の壁体20に延び、放射部壁体20に埋設された電気抵抗発熱線18に接続される。電気抵抗発熱線18は、放射部壁体20内に螺旋形態又はコイル形態に埋設され、放射部11の下端部から上端部に亘って放射部壁体20の全域に延在する。上記放射部壁体20及び閉塞板13、14は、好適には、酸化ジルコンの成形体からなり、発熱線18の配線形態に相応する螺旋状の溝又は段部が、放射部11の外面に形成される。
通電軸16は、底部閉塞板14を貫通し、係止具19が、通電軸16の下端部に係止ないし締結される。頂部及び底部閉塞板13、14は、係止具19の係止又は締結により放射部壁体20を挟持し、放射部壁体20を含む遠赤外線発生器10の各構成要素を所定位置に固定する。複数の貫通孔15が、底部閉塞板14に穿設される。底部閉塞板14を上下方向に貫通する貫通孔15は、図4に示す如く、所定の角度間隔を隔てて係止具19の周囲に配列され、放射部11の内部中空域の過熱を防止するとともに、遠赤外線を集中的に垂直下方に放射する。
【0020】
図2に示すように、反射板30は、反射板30の内部反射面を構成する金属製反射鏡31と、反射板30の外面を被覆する断熱材層32とから構成される。本実施例において、反射鏡31は、純度99.7%のアルミニウム成形板からなり、好適には、1mm以上の板厚を有する。遠赤外線発生器10に面する反射鏡31の表面は、電解研磨され、発生器10から放射した遠赤外線は、反射鏡31の表面(反射面)にて反射し、下方に偏向する。反射鏡31は、口金部12を挿通可能な円形開口部33を頂部に備える。所定の曲率半径を有する半球部34が、開口部33から下方に延在し、円筒形に形成された下位垂下部35に連続する。本実施例において、反射鏡31の全高Hは、閉塞板13、14を含む放射部11の全高hに対して、約1.2〜1.6×hの範囲に設定され、反射鏡31の曲率半径r及び下面開口半径dは、放射部11の全高hに対して、約0.7〜1.2×hの範囲に設定される。
【0021】
断熱材層32は、反射鏡31の裏面(外面)全域を被覆する断熱材料により構成され、例えば、商品名イソライト(イソライト工業株式会社製品)等のセラミックス製断熱材からなる。本実施例において、断熱材層32の被覆厚は、5〜15mmに設定される。ソケット部5に対する口金部12の螺子込みにより、開口部33の周縁部に位置する反射板30の部分は、ソケット部5と、頂部閉塞板13の段部21との間に挟持される。
【0022】
次に、上記融雪システムの作動について説明する。
外部電源制御装置Dは、電気導線Eを介して外部電源の電力を融雪装置1に供給する。駆動電力が融雪装置1の遠赤外線発生器10に通電され、発熱線18は発熱し、放射部11の壁体20及び閉塞板13、14を所定温度域に加熱する。放射部11及び底部閉塞板14は、発熱線18の発熱により、所定波長の遠赤外線を放射する。遠赤外線のピーク波長は、好ましくは、5乃至15μmの波長域、更に好ましくは、主に10μm近傍の波長域に位置する。
放射部11の外周面から放射された遠赤外線は、反射鏡31の表面(反射面)にて反射し、下方に偏向され、反射板30の下面開口を介して融雪装置1の下方域に放射される。路上の所定領域に堆積した積雪Sに対して遠赤外線を放射するように設計された反射鏡31の反射面は、遠赤外線を積雪Sの所定領域に対して効果的に集中照射するように遠赤外線を偏向する。放射部11の壁体20及び閉塞板14から放射された遠赤外線は、部分的に反射板30の下面開口を介して直接に下方に放射される。また、放射部11の壁体から放射部内に放射された遠赤外線は、底部閉塞板14に配設された貫通孔15を介して、集中的に反射板30の下方に放射される。
【0023】
かくして融雪装置1から下方に放射された遠赤外線は、路面に堆積した積雪Sに照射され、積雪S及び舗装層Aを0℃以上の温度域に加温し、積雪Sを融解する。舗装層Aに混入した遠赤外線輻射素子Cは、舗装層Aの加温により、主に10μm近傍のピーク波長を有する遠赤外線を積雪Sに対して放射する。
ここに、積雪Sを構成する雪又は氷成分には、隣接する水分子間に比較的強い水素結合が作用している。積雪Sに照射された5乃至15μmのピーク波長、殊に、10μm近傍のピーク波長を有する遠赤外線は、積雪構成要素(雪層及び/又は氷層)の内部に深く到達する高度な深達力を発揮するばかりでなく、水分子の固有振動数と類似した振動波長の電磁波として、水分子の共振現象又は共鳴呼吸現象を生起する特性を有する。上記特定波長の遠赤外線の照射により、積雪Sを構成する雪又は氷成分の水素結合は離間し、雪又は氷成分は、水分子の共振振動により発熱し、かくして、積雪Sは融解する。
【0024】
このように、雪結晶及び/又は氷結晶を遠赤外線放射エネルギーによる共振現象によって融解する上記方式の融雪システムは、輻射熱による積雪Sの加熱融解作用を企図したものではなく、積雪構成要素の遠赤外線吸収作用及び共振作用による積雪Sの融解現象を生起するように構成される。従って、融雪装置1の輻射熱量は、積雪層S及び舗装層Aを0℃以上の比較的低温域に加温し且つ維持し得る低位熱量に規制され、この結果、輻射熱等による積雪融解作用を企図した従来の融雪装置に比べて、外部電源の供給電力を低減し、電力消費量を大幅に削減することが可能となる。また、積雪Sの上方域から遠赤外線を照射する上記方式の融雪システムによれば、面状発熱体、電熱線、電力供給配線及び/又は制御線等を路面に埋設することなく、融雪システムを積雪面の上方域に配設し得る。従って、舗装路の施工工程及び施工管理と直接に関連せずに、融雪システムを施工し得るばかりでなく、任意の施工部位又は既設の路面等に対して融雪システムを簡易且つ短期に設置することができる。更に、発熱体及び埋設配線網の路面下埋設を要しない上記構成の融雪システムは、高度な耐圧性を要する空港の滑走路や、挙動による配線網の切断又は変位等が生じ易い橋梁構造物の路面等の特定路面に対して配設し得るとともに、定期点検又は定期交換等の保守管理又は定期掘削を要する公道に対して好適に設置し得る。
【0025】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能であり、該変形例又は変更例も又、本発明の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
例えば、上記実施例において、上記融雪システムは、アスファルト舗装道路の路面に対して適用されているが、本発明に係る融雪システムは、コンクリート舗装道路又は舗装用ブロック敷設道路等の各種構造の路面に対して任意に適用し得るものである。
更に、上記反射鏡31の素材は、アルミニウム合金に限定されるものではなく、反射鏡材料として、チタン合金又はステンレス合金等の各種合金、或いは、ガラス材料等の各種素材を使用することができ、また、上記反射板を被覆する断熱材層32として、反射鏡31の裏面に貼着可能又は固定可能な各種のセラミック系断熱材又は樹脂系断熱材を使用することができる。
【0026】
また、上記構成の融雪システムにおいて、舗装層Aを20乃至30℃程度の低温域に加温し得る電熱線等の簡易な補助加熱手段を舗装層A又は路盤Bに更に埋設し、遠赤外線輻射素子Cの遠赤外線放射作用を更に促進するように構成しても良い。
更に、上記反射板30の形態、融雪装置1の支持構造、或いは、遠赤外線発生器10の素材及び形態等は、使用目的及び使用環境条件等に相応して任意に設計変更し得るものである。例えば、遠赤外線を照射すべき雪面領域の範囲を、反射鏡31の反射面の曲率及び半径等の適当な設定により、適切に調整することができ、また、融雪装置1を支持する支持手段は、任意の雪面に遠赤外線を放射し得るように適当な駆動装置を介して移動可能に構成しても良い。
【0027】
【発明の効果】
以上説明した如く、請求項1乃至4に記載された本発明の上記構成によれば、発熱体を路面に埋設することなく、路面の積雪を効果的に融雪し得る融雪装置及び融雪方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る融雪システムの全体構成を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す融雪システムを構成する融雪装置の全体構造を示す縦断面図である。
【図3】融雪装置を構成する遠赤外線発生器の側面図である。
【図4】融雪装置を構成する遠赤外線発生器の底面図である。
【図5】融雪装置を構成する遠赤外線発生器の部分縦断面図である。
【符号の説明】
1 融雪装置
2 支柱部
3 アーム部
4 懸吊部
5 ソケット部
6 基礎
10 遠赤外線発生器
11 放射部
12 口金部
13 頂部閉塞板
14 底部閉塞板
15 貫通孔
16 通電軸
17 接続端子線
18 電気抵抗発熱線
19 係止具
20 壁体
21 段部
30 反射板
31 反射鏡
32 断熱材層
33 円形開口部
34 半球部
35 下位垂下部
A 舗装層
B 路盤
C 遠赤外線輻射素子
D 外部電源制御装置
E 電気導線
F 路床
P 支柱
Claims (4)
- 路面又は屋根面等の降雪面に堆積した積雪層を融解する融雪装置において、
底面を閉塞した円筒形のセラミックス成形体からなり、通電時に発熱する電熱手段が前記成形体の壁体に埋設され、ピーク波長が5乃至15μmの波長域に位置する遠赤外線を加熱時に放射可能な輻射体と、該輻射体を加熱する電熱手段と、を備えた遠赤外線発生器と、
前記輻射体から放射された遠赤外線を前記降雪面に偏向し、前記降雪面の所定領域に照射する遠赤外線反射面を備えた反射板と、を備え、降雪面の上方域に配置されることを特徴とする融雪装置。 - 前記輻射体を構成する円筒形壁体は、ジルコニア系セラミックス焼成体からなり、前記ピーク波長は、10μm近傍の波長域に位置することを特徴とする請求項1に記載の融雪装置。
- 前記輻射体は、前記電熱線を埋設した円筒形壁体と、該壁体の底面開口を閉塞する底板とを備え、該底板を上下方向に貫通する貫通孔が、前記底板に穿設され、該貫通孔は、前記円筒形壁体の内部中空域と前記輻射体の下方域とを相互連通するとともに、前記円筒形壁体が放射する遠赤外線を下方域に放射することを特徴とする請求項1または2に記載の融雪装置。
- 路面又は屋根面等の降雪面に堆積した積雪層を融解する融雪方法において、
降雪面の上方域に配置した遠赤外線輻射体を加熱し、5乃至15μmの波長域にピーク波長を有する遠赤外線を前記輻射体から放射せしめ、該遠赤外線を反射板の反射面により反射し、前記遠赤外線を前記降雪面の所定領域に向かって偏向させ、該遠赤外線を雪面の所定領域に照射し、該領域の積雪層を構成する水分子の共振作用を誘発し、
前記降雪面を加温し、該降雪面を構成する路面材料に、30℃以下の低温域において遠赤外線を放射可能な炭素粉末を含み、10乃至20%の重量比の輻射素子が混入された遠赤外線輻射素子から遠赤外線を前記積雪層に放射し、前記水分子の共振作用を更に誘発して、
水分子の共振現象により前記積雪層を融解するとともに、前記積雪層を0℃以上の温度域に保持することを特徴とする融雪方法。
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