JP3242836B2 - 地表面層加温用パネル及びその地中埋設構造 - Google Patents

地表面層加温用パネル及びその地中埋設構造

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JP3242836B2 JP09475496A JP9475496A JP3242836B2 JP 3242836 B2 JP3242836 B2 JP 3242836B2 JP 09475496 A JP09475496 A JP 09475496A JP 9475496 A JP9475496 A JP 9475496A JP 3242836 B2 JP3242836 B2 JP 3242836B2
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修 山崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地表面の融雪、解氷の
ため地中に埋設する地表面層加温用パネル及びその埋設
構造に関し、より詳しくは、加熱源と、それを包被して
横方向に広がる金属製網体が、セメント系硬化材中に埋
設され、板状に硬化してなる地表面層加温用パネル及び
それを地中に埋設した地中埋設構造に関する。
【0002】
【従来技術】積雪地あるいは寒冷凍結地における道路、
飛行場、ゴルフ場、果樹園、畑地、宅地内庭等の除雪、
融雪あるいは凍結地表面の解氷には、従来から無機塩類
等の融雪剤撒布あるいは地表面層中に加温水や電熱によ
る融雪又は解氷手段を埋設することが行われている。し
かし塩類の撒布は積雪毎に使用しなければならず、また
河川への塩類の流入は環境上好ましくなく、また電熱ケ
ーブル、温水管の埋設も埋設部分しか効果が無いことか
ら、高い埋設密度が必要であり、埋設工事費またエネル
ギーコストも高くその低減が望まれている。
【0003】積雪地においては、除雪車により車道の雪
を飛ばして除雪する方法が主力として適用されている
が、これによって人道、歩道上への雪塊の蓄積はおびた
だしく、また地下水溝への雪塊の流し込みも限界を超え
ると路面に溢水し、これが氷結して交通障害をもたらす
など多くの難問を抱えているのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の事情から本発明
の課題は、地表面層に埋設の容易な加温用パネル及びそ
の埋設構造を得ることにあり、これによって埋設の現地
工事を低減し、さらに加熱源の敷設密度を従来に比して
低下し、エネルギーコストを低減することを課題とする
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決すべく種々検討し、試験を重ねた結果到達したも
で、請求項1に係る発明は、加熱源と、それを包被して
横方向に広がる遠赤外線放射表面を有する金属製網体
が、セメント系硬化材中に埋設され、板状に硬化してな
地表面層加温用パネルにおいて、前記金属製網体が、
Mn0.3〜4.3Wt%必要に応じてMg0.05〜
6.0Wt%を含有し、残部がAlと不可避的不純物よ
りなり、かつ粒径0.01〜0.3μmのAl−Mn系
金属間化合物析出物が分散してなる組織を有する合金か
らなり、その表面に陽極酸化被膜を施してなることを特
徴とする地表面層加温用パネルである。
【0006】請求項2に係る発明は、請求項1記載の地
表面層加温用パネルの地中埋設構造であって、該パネル
は、地表面下において地表面に平行方向に列設され、該
各パネルの加熱源端子を接続し埋設してなることを特徴
とする地表面層加温用パネルの地中埋設構造である。
【0007】
【作用】 請求項1記載の発明では、加熱源と、それを包
被して横方向に広がる遠赤外線放射表面を有する金属製
網体が、セメント系硬化材中に埋設され、板状に硬化し
てなる地表面層加温用パネルであるため、加熱源からの
熱流は、金属製網体からの熱伝導により第一の分散化が
生じ、さらにセメント系硬化体中において第二の分散化
が生じ、この二つの熱流障壁を経て伝熱するため、熱流
は加熱源周辺に留まらず加熱源から離れた位置に分散伝
熱され、融雪、解氷の面積が増加する。
【0008】さらに加熱された金属性網体の表面が遠赤
外線放射性を有する場合、地表面層の分散化した温度上
昇を増進する現象が認められる。これは波長範囲約3〜
1,000μmの電磁波を放射し、空間を通過して被加
熱物に吸収され、物質内の熱運動が励起されて物質の温
度を上昇する遠赤外線放射の作用による。 また硬化体中
に加熱源を埋設してパネル状に一体化してあるため、地
表面層中に埋設後において加熱源がその埋設位置、レベ
ルを堅固に保持して安定し、加熱源に変形応力が及び難
いこと、従って加熱源の接続部も安定に保持され、脱落
傷等が起こりにくいものとなる。現地の埋設工事にお
いて、従来のごとく加熱源を埋設地層面に配列する作業
が無くなり、作業が簡易化し、施工精度も向上する。
【0009】特に金属製網体としては、特開平5−23
0692号公報に記載されるAl−Mn−(Mg)系合
金の表面に陽極酸化皮膜を施してなる材は、耐熱性、適
性波長領域が優れ本発明のごとき用途に適応性が高い。
この材料は、Mn0.3〜4.3wt%、必要に応じて
Mg0.05〜6.0wt%を含有し、残部がAlと不
可適的不純物よりなり、かつ粒径0.01〜0.3μm
のAl−Mn系金属間化合物析出物が分散してなる組織
を有する合金からなり、その表面に厚さ4μm以上の陽
極酸化被膜を施したものであり、Al−Mn系金属間化
合物の析出粒子が陽極酸化被膜中にそのまま残存し、こ
れが枝別れした微細なポアを有する多孔質の陽極酸化被
膜が形成されている。その結果入射光の散乱吸収率が向
上し遠赤外線放射特性に優れている。
【0010】又セメント系硬化体中に加熱源と、それを
包被して横方向に広がる遠赤外線放射表面を有する金属
製網体が埋設されて、パネル状に一体化されてあるた
め、地表面層中に埋設後において加熱源がその埋設位
置、レベルを堅固に保持して安定し、加熱源に変形応力
が及び難いこと、従って加熱源の接続部も安定に保持さ
れ、脱落損傷等が起こりにくいものとなる。現地の埋設
工事において、従来のごとく加熱源を埋設地表面に配列
する作業が無くなり、作業が簡易化し、施工精度も向上
する。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載の地
表面層加温用パネルの地中埋設構造であって、該パネル
は、地表面下において地表面に平行方向に列設され、該
各パネルの加熱源端子を接続した埋設構造であるため、
個々のパネルが小型、可搬性であって施工性に富むのみ
でなく、これを多数接続することによって広範囲の一体
化したパネル群と化し、これを埋設した広い地表面層を
単一制御することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】 以下本発明を実施の形態に基づき
図1ないし図7を参照して説明する。 図1は、本発明の
地表面層加温用パネル内部に埋設された加熱源1と金属
製網体2の結合状態を露出した平面図である。図2ない
し図3は、硬化後の地表面層加温用パネル4の縦断面図
であり、図2は、図1のA−A’矢視、また図3は同じ
く図1のB−B’矢視方向の断面図である。
【0013】加熱源1は、電熱、熱流体のいずれであっ
てもよく、また両者の併用組み合わせも可能であり、地
域の環境条件により例えば温排水と電熱ケーブル等の組
み合わせ等が適宜行われる。灯油焚温水ボイラー給湯、
廃熱回収温水、温泉湧水、等がすべて好対象となる。こ
れらの加熱源1の配置は種々のパターンが有り得るが図
1に示すような蛇行配置が一般的である。
【0014】本発明において、加熱源1と金属製網体2
との接触は「包被」という状態を特定している。具体的
には、図4、図5に例示するように加熱源1の外周面に
金属製網体2を上方または下方から包被する方式、ある
いは図6に示すように2層に重ねた網体の間に挟持して
上下両方から加熱源を包被する方式も適している。金属
製網体2には加熱源1の配置相応位置に加熱源が嵌合す
るU字溝を予め形成しておく。この場合U字溝を加熱源
1より幾分縮径して成形しておくことにより両者の嵌合
には網体の弾性付勢が働いて堅固に密着する。
【0015】金属製網体2は、金属線条を編組した網
体、あるいは金属板の巾方向に千鳥状に貫通した切り込
みを入れ、該金属板をその長さ方向に伸張することによ
り形成される、いわゆるエキスパンションメタル又はエ
キスパンドネットとして公知の物が好ましく適用でき
る。この物は編組した網状体に比較して、網を構成する
各線条が連続一体化しており、熱伝導、熱分散に甚だ効
果的である。上記エキスパンションメタルの原板の厚み
は剛性、引っ張り強度、熱流密度等を考慮して決められ
るが、通常0.3〜2.0mmの範囲である。
【0016】本発明において、遠赤外線放射性表面を有
する金属製網体としては、特に、特開平5−23069
2号公報に記載されるAl−Mn−(Mg)系合金の陽
極酸化材が、耐熱性、適正波長領域が優れ本発明のごと
き用途に最も適応性が高いことが認められた。この材料
は、Mn0.3〜4.3wt%、必要に応じてMg0.
05〜6.0wt%含有し、残部がAlと不可避的不純
物よりなり、かつ粒径0.01〜0.3μmのAl−M
n系金属間化合物析出物が分散してなる組織を有する合
金からなり、その表面に厚さ4μm以上の陽極酸化被膜
を施したものであり、Al−Mn系金属間化合物の析出
粒子が陽極酸化被膜中にそのまま残存し、これが枝分か
れした微細なボアを有する多孔質の陽極酸化被膜が形成
されている。その結果入射光の散乱吸収率が向上し、遠
赤外線放射特性に優れている。さらに金属製網体として
は前記のごとく板材から製造されたエキスパンションメ
タルが最も好ましい。
【0017】本発明において使用されるセメント系硬化
材は、ポルトランドセメントに骨材、必要に応じて種々
の混和用ポリマー(SBR系、アクリル系等)を混合し
た汎用モルタル、コンクリートが使用される。 特に混和
剤として カチオン系クロロプレンゴムラテックスを基
剤とするもの(商品名:ネオメント102M、ポリマー
固形分45±1%、昭和電工・デユポン株式会社製品)
は、セメントモルタル、コンクリート硬化物の耐衝撃
性、耐摩耗性を大巾に改善するほか吸水率、透水量が小
さい特性を有し、しかも金属との接着性も良いため本発
明の硬化材として適しており、対セメント数%〜15%
程度の添加量でその効果を顕現する。
【0018】
【実施例】 以下さらに具体的実施例によって本発明を説
明する。 図1に示す加熱源1は、直径8.5mmの電熱
ケーブルで、蛇行芯間隔70mm、金属製網体2は、前
記したAl−Mn(Mg)系合金からなるエクスパンシ
ョンメタル(原板厚さ0.8mm)の表面に厚さ20μ
mの陽極酸化被膜を施し たものを使用した。図4に示す
ように加熱源1の上方から、金属製網体2に予め加熱源
1より幾分縮径して成形しておいた逆U字溝を弾性付勢
を働かせて嵌合包被した。
【0019】第1例として、図1に示す上記1、2の包
被結合体を、図示してない成形基盤上に合成樹脂フィル
ム等の離型材を敷いてその面上に載置し、周囲を図示し
てない成形枠体をもって包囲する。成形枠体内にセメン
ト系硬化材としては、セメントモルタルスラリー(普通
ポルトランドセメント40Kg、川砂、砂利5号120
Kg、市水12Kg、消泡剤50g混合)を注入し、成
形基盤に緩い水平動を与えて密実化し、常法により気中
養生21日間を経て離型し、板状硬化パネル4を得た。
パネル寸法は、平面1.00m×1.00mで厚さは5
0mmであった。
【0020】第2例として、セメントモルタルスラリー
にクロロプレンゴムのカチオン系ラテックス混和剤とし
て市販商品名「ネオメント102M」(昭和電工・デユ
ポン(株)製)を9Kg混和したほかは上記第1例と同
一である。
【0021】第3例として、セメント系硬化材をコンク
リート配合(普通ポルトランドセメント40Kg、川砂
6号115Kg、砕石(5〜13mm)160Kg、市
水12Kg、消泡剤90g混合)としたほかは上記第2
例と同一である。
【0022】上記第1例、第2例、第3例において得ら
れた硬化体パネルの特性を調査した結果圧縮強度は、各
325、446、473Kg/cm 2 、曲げ強度は、各
70、106、110Kg/cm 2 、吸水性は、各8.
8、5.7、5.0%、耐衝撃性指数(JIS−A14
21)は、4、12、13であった。 上記のように本発
明の地表面層加温用パネルは、いずれも十分な強度を有
し、地中埋設に耐える堅固なものであるが、特にカチオ
ン系クロロプレンエマルジョンを混和したセメントモル
タル、コンクリートからなるものは、特に強度、吸水
性、耐衝撃性に優れていることが認められた。
【0023】上記のようにして製出した本発明の地表面
層加温用パネルを、図7に例示するように地中に埋設し
た。粘土質路床上の厚さ40cmの砂礫層からなる下層
路盤6c上に、厚さ20cmの、保温性付与のためパー
ライトを混合した砂、砂利からなる上層路盤6bを積層
形成し、その上に上記第1例及び第2例によって製出し
た加温用パネル4を5枚各端子を電気的に直列に接続し
て長さ5m、巾1mのパネル列を形成し1ユニットとし
た。パネルの上部にはアスファルト混合物からなる厚さ
10cmの表層6aを形成し舗装道路を構成した。
【0024】上記のパネルを2ユニット直列に接続し、
長さ10mの舗装道路を施工して寒冷期における凍結路
面の解氷状況を調査した。 外気温−3〜+1℃、路面に
水を張って凍結させ、氷厚2cmとした状態において前
記ユニットに通電してパネルを加熱した。約3.0時間
経過後解氷が始まり3.5時間後にはすべてが解氷し
た。しかも解氷は当初は、従来の加熱源を単に埋設する
方式に似て、融雪パネル埋設位置の路面に起こったが、
期間半ばにはパネル埋設位置より0.5m離れた位置、
すなわち埋設パネル巾の2倍の2m巾の路面において生
起しており、均一な熱分散の効果が認められた。
【0025】上記の舗装道路において降雪時の積雪状況
を調査した。 降雪開始直後に埋設パネルユニットに通電
し、積雪経過を観測したところ、通電当初は路面に約5
cm程度の積雪が認められたが約2.0時間後融雪が始
まり、約3.0時間以降は積雪量は減少してゆき、約
4.0時間以降は降雪中にも関わらず積雪はなく、終始
路面を露出していた。パネル埋設位置より0.5m離れ
た位置までこの状態が拡大しており、均一な熱分散の効
果が認められた。この間、周辺のパネルを埋設してない
普通路面は、積雪30cmに達した。この状況下におい
て、周辺の道路に加熱源を単純に埋設した従来方式の融
雪道路は、埋設位置直上の路面に融雪が認められたに留
まった。
【0026】
【発明の効果】 本発明に係わる地表面層加温手段は、加
熱源を包被して横方向に広がる金属製網体がセメント系
硬化材中に埋設され、板状に硬化したパネルであるた
め、加熱源からの熱流は金属製網体とセメント系硬化体
によって分散化し、加温面積を広げるため埋設密度を低
減できる効果がある。 さらに強度の高いセメント系硬化
体中に加熱源を一体に埋設してあるため埋設後地層中に
おける加熱源と網状体の安定保持に信頼性を高めるとと
もに、基盤工事を簡略化し、あるいは埋設地層を浅く出
来る等施工期間の短縮、工事費を低減する効果がある。
また工事現地では、パネルを当該地層面に配列接続する
のみで足りるため、現地工事が単純簡易であり、施工ミ
スが起こらず格別な技能を要しない利点がある。
【0027】本発明の実施は、上記の効果により積雪地
あるいは寒冷凍結地における道路、飛行場、ゴルフ場、
果樹園、畑地、宅地内庭等の積雪予防、除雪、融雪ある
いは凍結地表面の解氷に有益であり、実用上の利便は大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の地表面層加温用パネル内部に埋設され
た加熱源1と金属製網体2の結合状態を露出した平面図
である。
【図2】図1のA−A’矢視方向縦断面図である。
【図3】図1のB−B’矢視方向縦断面図である。
【図4】本発明の加熱源の上方から金属製網体を包被す
る方式の説明図である。
【図5】本発明の加熱源の下方から金属製網体を包被す
る方式の説明図である。
【図6】本発明の加熱源を2層に重ねた網体の間に挟持
して上下両方から包被する方式の説明図である。
【図7】本発明の地表面層加温用パネルの地中埋設例縦
断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・加熱源 2・・・・・金属製網体 3・・・・・硬化体 4・・・・・地表面層加温用パネル 5・・・・・接続端子 6a・・・・表層 6b・・・・上層路盤 6c・・・・下層路盤 7・・・・・地表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−119111(JP,A) 特開 平5−310461(JP,A) 特開 平5−230692(JP,A) 特開 平8−184004(JP,A) 実開 昭64−31108(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E01C 11/26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱源と、それを包被して横方向に広が
    る遠赤外線放射表面を有する金属製網体が、セメント系
    硬化材中に埋設され、板状に硬化してなる地表面層加温
    用パネルであって、前記金属製網体が、Mn0.3〜
    4.3Wt%必要に応じてMg0.05〜6.0Wt%
    を含有し、残部がAlと不可避的不純物よりなり、かつ
    粒径0.01〜0.3μmのAl−Mn系金属間化合物
    析出物が分散してなる組織を有する合金からなり、その
    表面に厚さ4μm以上の陽極酸化被膜を施してなること
    を特徴とする地表面層加温用パネル。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の地表面層加温用パネルの
    地中埋設構造であって、該パネルは、地表面下において
    地表面に平行方向に列設され、該各パネルの加熱源端子
    を接続し埋設してなることを特徴とする地表面層加温用
    パネルの地中埋設構造。
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