JP3787256B2 - 抵抗率計の電極 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体の洗浄装置、産業機械、農業、食品、医療関係などの各分野における水質管理、原子力発電所の冷却水の絶縁性及び各種の薬液の濃度管理などに用いられる抵抗率計の電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体の洗浄装置、産業機械、農業、食品、医療関係などの各分野における水質管理、原子力発電所の冷却水の絶縁性及び各種の薬液の濃度管理などにおいて、純水の純度や電解質液の濃度を測定するために、前記純水や電解質液の抵抗率を測定する抵抗率計が用いられる。前記抵抗率計は、例えば図5に示す電極101を備えている。
【0003】
図5に例示された抵抗率計の電極101は、前記電極部材としての内電極102と、電極部材としての外電極103と、前記内電極102及び外電極103を支持する支持部104と、前記内電極102と電気的に接続した内電極リード線106と、前記外電極103と電気的に接続した外電極リード線107と、を備えている。
【0004】
内電極102は、円柱状に形成されている。内電極102の基端部102aには、ナット螺合部108が設けられている。ナット螺合部108は、前記内電極102の基端部102aの外周に形成されている。ナット螺合部108には、ナット109が螺合する。
【0005】
外電極103は、その内径が前記内電極102の外径より大きく形成された円管状に形成されている。内電極102と外電極103とは、互いに同軸的でかつ前記外電極103内に内電極102が挿入された状態で配されている。
【0006】
内電極102は、その先端部102b側に位置する先端面102cが、前記外電極103の先端部103b側に位置する先端面103cより若干外電極103の奥側に位置した状態で配されている。内電極102と外電極103は、共に導電性を有する金属やカーボンなどの非金属から構成されている。
【0007】
前記支持部104は、前記内電極102及び外電極103それぞれの基端部102a,103aを支持している。支持部104は、内電極ホルダ110と、外電極ホルダ111と、コネクタ部112と、を備えている。
【0008】
内電極ホルダ110は、内径が内電極102の外径と略等しく形成された円管状に形成されている。内電極ホルダ110は、前記内電極102の基端部102aの外周に嵌合する。内電極ホルダ110は、絶縁性を有する樹脂または金属などから形成されている。
【0009】
外電極ホルダ111は、円管状に形成されている。外電極ホルダ111は、一端部111aに、前記外電極103の基端部103aの外周に嵌合する外電極嵌合部111bと、前記内電極ホルダ110の外周に嵌合する内電極ホルダ嵌合部111cと、を設けている。外電極ホルダ111は、導電性を有する金属などから構成されている。
【0010】
外電極ホルダ111は、外電極嵌合部111b及び内電極ホルダ嵌合部111cが、それぞれ前記外電極103の基端部103a及び内電極ホルダ110の外周に嵌合する。外電極ホルダ111は、他端部111dの内周にコネクタ部112が嵌合する。
【0011】
また、外電極ホルダ111は、その軸線に沿った略中央部に、リング部材取付溝103dを設けている。リング部材取付溝103dは、前記外電極ホルダ111の内周面から凹に形成されている。リング部材取付溝103dは、前記外電極ホルダ111の周方向に沿って形成されている。
【0012】
前記コネクタ部112は、コネクタ本体113と、前記リード線106,107それぞれと電気的に接続する接続ピン114,115を備えている、コネクタ本体113は、絶縁性を有する樹脂または金属などから構成されている。コネクタ本体113は、前記外電極ホルダ111の内径と略等しい外径を有する円柱状に形成されている。
【0013】
接続ピン114,115は、それぞれ、前記コネクタ本体113の長手方向に沿って、このコネクタ本体113内に埋設されている。接続ピン114,115は、それぞれ、前記コネクタ本体113の一端面113aから他端面113bに亘って、前記コネクタ本体113を貫通して配されている。
【0014】
前記コネクタ部112は、前記コネクタ本体113が、前記外電極ホルダ111の他端部111dの内周に嵌合して、前記外電極ホルダ111に取り付けられる。
【0015】
内電極リード線106は、一端部が前記内電極102の基端部102aに電気的に接続しているとともに、他端部が前記接続ピン114に電気的に接続している。内電極リード線106は、内電極接続部120によって、前記内電極102の基端部102aに電気的に接続している。
【0016】
内電極接続部120は、導電性円環部材121と、ばねなどからなる弾性体122と、前述したナット109と、を備えている。前記導電性円環部材121は、その内側に、ナット螺合部108が通ることのできる円環状に形成されている。導電性円環部材121は、導電性を有する金属から構成されている。
【0017】
導電性円環部材121には、前記内電極リード線106の一端部が半田などを用いたろう付によって電気的に接続されている。弾性体122は、その内側に、ナット螺合部108が通ることのできる円環状に形成されている。
【0018】
前記内電極接続部120は、前記導電性円環部材121をその内側にナット螺合部108を通しかつ前記内電極ホルダ110の端面110aに重ね合わせ、さらに前記弾性体122をその内側にナット螺合部108を通して導電性円環部材121に重ね合わせ、前記ナット螺合部108にナット109を螺合させる。
【0019】
そして、このナット109が、前記弾性体122を介して導電性円環部材121を内電極ホルダ102に向かって押圧して、前記内電極リード線106と内電極102との間の電気的な接続を確保する。
【0020】
外電極リード線107は、一端部が前記外電極103の基端部103aに電気的に接続しているとともに、他端部が前記接続ピン115に電気的に接続している。外電極リード線107は、外電極接続部130によって、前記外電極103に電気的に接続されている。
【0021】
外電極接続部130は、導電性円環部材131を備えている。導電性円環部材131は、円環状に形成されている。導電性円環部材131は、その外縁部が、前記リング部材取付溝103dに嵌合する。導電性円環部材131は、導電性を有する金属から構成されている。導電性円環部材131には、前記外電極リード線107の一端部が半田などを用いたろう付によって電気的に接続されている。
【0022】
前述した構成によって、外電極接続部130は、導電性円環部材131の外縁部が前記リング部材取付溝103dに嵌合することによって、前記外電極リード線107と外電極103との間の電気的な接続を確保する。
【0023】
前記抵抗率計の電極101内には、前記外電極ホルダ111の内周面と、前記内電極ホルダ110の端面110aと、コネクタ本体113の端面113aと、によって囲まれた空間116が、形成されている。この空間116内には、エポキシ樹脂132が充填されている。
【0024】
このエポキシ樹脂132は、前記外電極ホルダ111の内周面、前記内電極ホルダ110の端面110a及びコネクタ本体113の端面113aそれぞれとの間を液密に保ち、前記空間116内に前述した電解質液の侵入を防止する。さらに、このエポキシ樹脂132は、前記コネクタ本体113の外周面と外電極ホルダ111の内周面とを互いに接着して、これらのコネクタ本体113の外周面と外電極ホルダ111の内周面との間を液密に保つ。
【0025】
また、抵抗率計の電極101は、前記内電極ホルダ110と、外電極ホルダ111との間に、Oリング133を設けている。このOリング133は、前記ホルダ110,111の相互の間を液密に保ち、前記空間116内に前述した電解質液が侵入することを防止する。
【0026】
前述した構成によって、抵抗率計の電極101は、前記内電極102及び外電極103それぞれの少なくとも先端部102b,103bを、計測対象の電解質液の流路中に配置し、これらの電極102,103間の電気抵抗を測定することより前記電解質液の抵抗率を測定する。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
前述した図5に例示された抵抗率計の電極101は、前記空間116内にエポキシ樹脂132が充填されて、前記コネクタ部112と外電極ホルダ111との間を液密に保って前記空間116のシールを行っている。
【0028】
このため、前記リード線106,107それぞれと接続ピン114,115それぞれとを互いに接続する際の応力による変形や、使用中の温度サイクルやヒートショックによって、これらのリード線106,107とエポキシ樹脂132との間や電極ホルダ111とエポキシ樹脂132との間に隙間などが生じて、前記エポキシ樹脂132のシール性が低下する恐れがあった。
【0029】
前記エポキシ樹脂132のシール性が低下すると、前記コネクタ本体113の外周面と外電極ホルダ111の内周面との間から、センサが漏れた場合や結露した場合に、電解質液が、前記空間116内に侵入して、抵抗率計の電極101が電解質液の抵抗率を測定する際に不具合が生じる恐れがあった。
【0030】
したがって、本発明の目的は、測定対象物としての電解質液が内部に侵入することを防止して、測定する際に生じる不具合を抑制できる抵抗率計の電極を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の抵抗率計の電極は、少なくとも2個の電極部材が計測対象の電解質液の流路中に所定間隔をおいて配置され、電極部材間の電気抵抗より前記電解質液の抵抗率を測定する抵抗率計の電極において、前記電極部材それぞれの基端部を支持するとともに、前記電極部材の基端部から先端部に向かう方向に沿った貫通孔を備えた支持部と、前記電極部材それぞれに接続された電線が互いに束ねられて形成されかつ前記電極部材の基端部から前記貫通孔を通って外部に導かれる電線束と、弾性体からなりかつ前記支持部と電線束との間を液密に保つOリングと、を備え、前記Oリングは、軸線に関して対称な円環状でかつ前記軸線に沿った断面形が円形に形成されているとともに、内径が前記電線束の外径より小さく形成され、前記Oリングは、円形に形成された断面形の直径が、3mm以上でかつ前記電線束の外径の50%以上に形成されたことを特徴としている。
【0034】
請求項1に記載した本発明の抵抗率計の電極によれば、弾性体からなり、かつ電極部材それぞれと接続した電線が束ねられて形成される電線束と、前記電極部材の基端部を支持する支持部と、の間を液密に保つOリングを備えている。このため、前記電極部材と電線とが互いに接続する接続箇所に、電界質液が侵入することが防止される。
【0035】
Oリングが比較的太く形成されているので、電線束及び支持部との接触面積が広くなり、このOリングが電線束と支持部との間をより確実に液密に保ってよりシールする。このため、前記Oリングが、電極部材と電線とが互いに接続する接続箇所に、電界質液が侵入することをより確実に防止する。
【0036】
Oリングが、円形に形成された断面形の直径が3mm以上でかつ電線束の外径の50%以上の比較的太い寸法に形成されているので、このOリングが電線束と支持部との間をより液密に保ってより一層確実にシールする。このため、前記Oリングが、電極部材と電線とが互いに接続する接続箇所に、電界質液が侵入することをより一層確実に防止する。
【0037】
また、Oリングの断面形の直径が3mm以上でかつ電線束の外径の50%以上の比較的太い寸法に形成されているので、液温や外部温度の上昇によりこの電線の芯線を覆う被覆部が変形しても、前記電線束と支持部との間のシール性が低下することを抑制できる。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1ないし図4を参照して説明する。
図1などに示す本発明の一実施形態にかかる抵抗率計の電極1は、半導体の洗浄装置、産業機械、農業、食品、医療関係などの各分野における純水などの水質管理、原子力発電所の冷却水の絶縁性及び電解質液としての各種の薬液の濃度管理などに用いられる。前記電極1を用いる抵抗率計は、計測対象物としての前述した電解質液の純度を測定するために、前記電解質液の抵抗率を測定する装置である。
【0039】
抵抗率計の電極1は、図1に示すように、電極部材としての内電極2と、電極部材としての外電極3と、前記内電極2及び外電極3を支持する支持部4と、温度検出部5と、前記内電極2と電気的に接続した本明細書に記した電線としての内電極リード線6と、前記外電極3と電気的に接続した本明細書に記した電線としての外電極リード線7と、を備えている。
【0040】
内電極2は、円柱状に形成されている。内電極2は、外径が比較的小さく形成された小径部2aと、外径が比較的大きく形成された大径部2bと、を一体に備えている。これらの小径部2a及び大径部2bは、互いに同軸的でかつ直列に連結している。
【0041】
内電極2は、前記大径部2bが抵抗率計の電極1の先端側に位置しかつ小径部2aが基端側に位置した状態で配される。前記内電極2は、前記小径部2a側に位置する端面2cから前記大径部2bに向かって凹の温度検出部挿入孔2dが形成されている。
【0042】
前記温度検出部挿入孔2dは、前記小径部2a及び大径部2bそれぞれと互いに同軸的に配されている。温度検出部挿入孔2dは、前記端面2cから前記内電極2の先端側に向かって延在している。温度検出部挿入孔2dは、前記端面2cと前記内電極2の先端部2gとに亘って形成されている。なお、温度検出部挿入2dは、前記端面2cには開口しているが、前記内電極2の先端部2g側に位置する端面2eには開口していない。
【0043】
外電極3は、その内径が前記内電極2の大径部2bの外径より大きく形成された円管状に形成されている。内電極2と外電極3とは、互いに同軸的でかつ前記外電極3内に内電極1が挿入された状態で配されている。内電極2は、前記大径部2bの端面2eが、前記外電極3の先端部3c側に位置する端面3aより若干外電極3の奥側に位置した状態で配されている。内電極2と外電極3は、共に導電性を有する金属などから構成されている。
【0044】
前記支持部4は、前記内電極2及び外電極3それぞれの基端部2f,3bを支持している。支持部4は、内電極ホルダ10と、外電極ホルダ11と、基端キャップ12などを備えている。
【0045】
内電極ホルダ10は、円管状に形成されている。内電極ホルダ10は、外径が比較的小さく形成された小径部10aと、外径が比較的大きく形成された大径部10bと、を一体に備えている。小径部10aと大径部10bとは互いに同軸的でかつ互いに直列に連結されている。
【0046】
前記小径部10aの内径は、前記内電極2の小径部2aの外径と略等しく形成されている。小径部10aの外径は、前記内電極2の大径部2bの外径と略等しく形成されている。
【0047】
前記大径部10bの内径は、前記小径部10aの外径と略等しく形成されている。すなわち大径部10bの内径は、前記小径部10aの内径より大径に形成されている。大径部10bの外径は、外電極3の外径と略等しく形成されている。このため、内電極ホルダ10の内周において、前記小径部10aと大径部10bとの間には、段差面10cが形成されている。
【0048】
段差面10cは、前記内電極ホルダ10の両端部に位置する両端面10d,10eに沿って形成されている。内電極ホルダ10は、絶縁性を有する樹脂または金属などから形成されている。
【0049】
内電極ホルダ10は、前記小径部10aが前記内電極2の近傍に位置しかつ前記大径部10bが前記内電極2から離れた側に位置した状態で、前記内電極2の小径部2aの外周に嵌合して配される。
【0050】
外電極ホルダ11は、円管状に形成されている。外電極ホルダ11は、外径が比較的小さく形成された小径部11aと、外径が比較的大きく形成された大径部11bと、を一体に備えている。小径部11aと大径部11bとは互いに同軸的でかつ互いに直列に連結されている。
【0051】
前記小径部11a及び大径部11bそれぞれの内径即ち、外電極ホルダ11の内径は、外電極3の外径と略等しく形成されている。外電極ホルダ11は、導電性を有する金属などから構成されている。
【0052】
外電極ホルダ11は、前記大径部11bが前記内電極2の近傍に位置しかつ前記小径部11aが前記内電極2から離れた側に位置した状態で、前記外電極3の基端部3bの外周に嵌合するとともに、前記内電極ホルダ10の大径部10bの外周に嵌合して配される。
【0053】
外電極ホルダ11は、その軸線に沿った略中央部に、リング部材取付溝11cを設けている。リング部材取付溝11cは、前記外電極ホルダ11の内周面から凹に形成されている。リング部材取付溝11cは、前記外電極ホルダ11の周方向に沿って形成されている。
【0054】
また、前記外電極ホルダ11と内電極ホルダ10との間には、互いの間を液密に保つOリング13が設けられている。内電極2と内電極ホルダ10との間には、互いの間を液密に保つOリング14が設けられている。これらのOリング13,14は、ゴムなどの弾性体から構成されている。
【0055】
さらに、前記内電極2及び内電極ホルダ10の長手方向に沿った方向において、前記内電極ホルダ10と外電極3との間には、中間部材15が設けられている。中間部材15は、円環状に形成されている。中間部材15は、内径が前記小径部10aの外径と略等しく形成されているとともに、外径が前記外電極ホルダ11の内径と略等しく形成されている。
【0056】
中間部材15は、小径部10aの外周に嵌合しかつ外電極ホルダ11の内周に嵌合している。中間部材15は、絶縁性を有する樹脂又は金属などから構成されている。また、この中間部材15が小径部10aの外周に嵌合しかつ外電極ホルダ11の内周に嵌合することによって、前記内電極2と外電極3とは、これらの電極2,3の径方向に沿った間隔が所定間隔t(図1に示す)に保たれている。
【0057】
基端キャップ12は、円板部12aと筒部12bとを有する有底筒状に形成されている。円板部12aは、円板状に形成されている。筒部12bは、筒状に形成されかつ円板部12aの周縁に連なっている。
【0058】
基端キャップ12は、周知のポリアミド樹脂(ナイロン)などの合成樹脂から形成されている。基端キャップ12は、前記筒部12aが前記外電極ホルダ11の小径部11aの外周に嵌合して配されている、基端キャップ12は、前記筒部12bが前記小径部11aに、周知のエポキシ系接着剤によって接着されて固定されている。
【0059】
基端キャップ12は、前記円板部12aを貫通する丸孔12cを備えている。丸孔12cは、その平面形状が略円形に形成されている。丸孔12cは、前記円板部12aと同軸的に配されている。丸孔12cは、その内側に、温度検出部5の後述する電線束26が通る。この丸孔12cは、本明細書に記した貫通孔を構成している。
【0060】
また、前記支持部4は、前記内電極ホルダ10の大径部10bの内周面10fと、外電極ホルダ11の内周面11dと、基端キャップ12の円板部12a等で囲まれた空間16を、その内部に形成している。この空間16には、前記温度検出部挿入孔2dが開口している。
【0061】
前記空間16は、その内側に、前記外電極ホルダ11のリング部材取付溝11cに取り付けられるC状リング17と、付勢手段としてのコイルばね18と、第1の止め環19と、第2の止め環20などを収容している。
【0062】
C状リング17は、平面形状がC状の円環状に形成されている。C状リング17は、その外縁が、前記リング部材取付溝11c内に嵌合して、外電極ホルダ11に固定される。C状リング17は、ステンレス鋼などの周知の鋼などから構成されている。
【0063】
前記コイルばね18は、その内側に、温度検出部5の電線束26が通った状態で前記空間16内に収容されている。コイルばね18は、前記C状リング17と、内電極ホルダ10の大径部10bとの間に配されており、前記C状リング17を前記基端キャップ12側に向かって付勢している。コイルばね18は、ステンレス鋼などの周知の鋼などから構成されている。
【0064】
第1の止め環19は、ステンレス鋼などの周知の鋼などからなりかつ円環状に形成されている。第1の止め環19は、その内側に内電極2の小径部2aが通った状態で、前記内電極ホルダ10の大径部10b内に収容されている。第1の止め環19は、その内縁が、前記内電極2の小径部2aの外周に嵌合して、前記内電極2などに固定されている。
【0065】
第2の止め環20は、ステンレス鋼などの周知の鋼などからなりかつ円環状に形成されている。第2の止め環20は、その内側に、温度検出部5の電線束26が通った状態で前記空間16内に収容されている。第2の止め環20は、前記C状リング17の基端キャップ12側に設けられている。第2の止め環20は、その外縁が、前記外電極ホルダ11の内周面11dに嵌合して、前記外電極ホルダ11などに固定されている。
【0066】
前記温度検出部5は、図1及び図2に示すように、一対の温度センサ素子21,22と、これらの温度センサ素子21,22それぞれと電気的に接続した電線23,24と、円管ばね部材25などを備えている。温度検出部5は、前記温度検出部挿入孔2d内に配されている。
【0067】
温度センサ素子21,22は、それぞれ、温度検出部挿入孔5内でかつ前記内電極2の先端部2gに配されている。温度センサ素子21,22は、それぞれ、温度を測定する感温部21a,22aを備えている。
【0068】
温度センサ素子21,22は、それぞれ、感温部21a,22aがディスク形、ペレット形あるいはそれに類似した面部を有する形状のサーミスタにより構成されている。温度センサ素子21,22は、それぞれの感温部21a,22aの面部が、前記温度検出部挿入孔5内において、前記電解質液の流路に対し略平行となるように配置されている。
【0069】
電線23,24は、それぞれ一端が前記温度センサ素子21,22の感温部21a,22aに電気的に接続している、電線23,24は、前記内電極2の先端部2gから内電極2の基端部2fに向かって延びて、前記温度検出部挿入孔2d内に配されている。
【0070】
電線23,24の長手方向に沿った中央部から他端部に至る部分と、内電極リード線6と、外電極リード線7と、は互いに束ねられて電線束26を構成している。電線束26は、前記温度検出部5が温度検出部挿入孔2d内に収容された際に、前記内電極2及び外電極3の基端部2f,3b側に位置する基端キャップ12の丸孔12cを通って外部に導かれる。電線23,24は、それぞれ、図示しない演算装置などに電気的に接続している。
【0071】
円管ばね部材25は、導電性を有する周知の鋼などから構成されている。円管ばね部材25は、円管状に形成されている。円管ばね部材25は、一部が、長手方向に沿って切りかかれている。円管ばね部材25は、その長手方向に対し交差する断面の断面形状がC状に形成されている。円管ばね部材25は、その外径が伸縮自在となる弾性を有している。円管ばね部材25は、初期状態において、前記内電極2の小径部2aの内径より大きな外径となっている。
【0072】
円管ばね部材25は、前記電線束26の温度センサ素子21,22寄りに配されている。円管ばね部材25は、前記電線23,24を互いに束ねている。円管ばね部材25は、その弾性復元力に抗して、前記小径部2a内に挿入される。円管ばね部材25は、前記小径部2a内に挿入されると、弾性復元力を生じて、前記小径部2aの内周面と密接する。
【0073】
また、前記温度センサ21,22の感温部21a,22aを互いに電気的に接続しかつ前記円管ばね部材25と電気的に接続する電線27が設けられている。この電線27は、前記感温部21a,22aの互いの電位を前記円管ばね部材25と等しく保つ機能を有している。
【0074】
内電極リード線6は、一端部6aが前記円管ばね部材25と電気的に接続している。内電極リード線6は、円管ばね部材25と電気的に接続することによって、前記内電極2と電気的に接続する。内電極リード線6は、前記電線23,24などとともに電線束26として基端キャップ12まで導かれ、前記丸孔12c内を通って外部に導かれる。内電極リード線6は、前述した図示しない演算装置などに電気的に接続している。
【0075】
外電極リード線7は、一端部7aが前記第2の止め環20に電気的に接続している。外電極リード線7は、前記第2の止め環20に電気的に接続することによって、外電極ホルダ11及び外電極33と電気的に接続する。外電極リード線7は、前記電線23,24などとともに電線束26として基端キャップ12まで導かれ、前記丸孔12c内を通って外部に導かれる。外電極リード線7は、前述した図示しない演算装置などに電気的に接続している。
【0076】
また、前記基端キャップ12内には、シリコンゴムなどの弾性体からなるOリング30が設けられている。Oリング30は、図3及び図4に示すように、軸線Pに関して対称な円環状に形成されている。Oリング30は、図3に示すように、その初期状態において、その内径d1が前記電線束26の外径D1(図4に示す)より小さくかつ外径d2が外電極ホルダ11の小径部11aの内径D2(図4に示す)より若干大きく形成されている。
【0077】
Oリング30は、図3に示すように、初期状態において、前記軸線Pに沿った断面形が円形に形成されている。Oリング30は、円形に形成されたその断面形の直径が3mm以上でかつ前記電線束26び外径D1の50%以上に形成されている。このように、Oリング30は、円形に形成された断面形が太く形成されている。
【0078】
Oリング30は、内周側に電線束26を通しかつ前記外電極ホルダ11の小径部11aの内側即ち基端キャップ12の筒部12bの内側に配される。Oリング30は、前記基端キャップ12内に設けられると、前記電線束26と、外電極ホルダ11の小径部11aの内周面と、の間を液密に保ち、前記空間16内に電解質液が侵入することを防止する。
【0079】
また、前記温度検出部挿入孔2d内に前記温度検出部5が設けられかつ前記空間16内に、C状リング17、コイルばね18及び止め環19,20などが収容された状態で、エポキシ樹脂31が充填されている。
【0080】
このエポキシ樹脂31は、前記外電極ホルダ11の内周面11d、前記内電極ホルダ10の端面10eとの間を液密に保ち、前記空間16内に前述した電解質液の侵入を防止する。
【0081】
前述した構成によれば、電極1を用いた抵抗率計は、前記内電極2及び外電極3それぞれの少なくとも先端部2g,3cを、計測対象の電解質液の流路中に配置し、前記リード線6,7などを介して演算装置などに伝えられる電極2,3間の電気抵抗を測定することにより前記電解質液の抵抗率を測定する。
【0082】
このとき、前記温度センサ素子21,22の感温部21a,22aから、前記電線23,24などを介して前記電解質液の温度に応じた情報が、前記演算装置に伝えられる。そして、この演算装置などが電解質液の温度の補償を行い、この電解質液のあらかじめ決められた一定温度における抵抗率を算出する。
【0083】
本実施形態の抵抗率計の電極1によれば、電線束26と、前記電極2,3の基端部2f,3bを支持する支持部4の外電極ホルダ11の小径部11aと、の間を液密に保つ弾性体からなるOリング30を備えている。
【0084】
このため、リード線6,7などに流れる電流によってリード線6,7が発熱して、前記空間16内に充填されたエポキシ樹脂31と前記リード線6,7などとの間に隙間が生じても、電線束26と基端キャップ12との間から、前記空間16内即ち電極2,3それぞれとリード線6,7とが互いに接続する接続箇所としての、リード線6と円管ばね部材25との接続箇所の近傍及びリード線7と第2の止め環20の接続箇所の近傍に、前記電界質液が侵入することを防止できる。したがって、電解質液の抵抗率を測定する際に生じる不具合を抑制できる。
【0085】
また、前記Oリング30が、円形に形成された断面形の直径が、3mm以上でかつ前記電線束26の外径の50%以上に形成されて、比較的太く形成されている。このため、電線束26及び支持部4との接触面積が広くなりOリング30が電線束26と外電極ホルダ11の小径部11aとの間をより液密に保ってよりシールする。したがって、前記空間16内即ち前述した接続箇所に電界質液が侵入することによって電解質液の抵抗率を測定する際に生じる不具合をより抑制できる。
【0086】
さらに、前記抵抗率計の電極1を用いて前記電解質液の抵抗率を測定する際に、液温や外部温度の上昇によって前記リード線6,7の被覆部が変形することによって、例えば、図4(B)に示すように、外径が縮径する方向に前記電線束26が変形しても、前記Oリング30が内径d1が電線束26の外径D1より小さくかつ外径d2が外電極ホルダ11の小径部11aの内径D2より大きく形成されているので、前記Oリング30の内周面30aが前記電線束26が縮径するのに追随して縮径する。
【0087】
このため、前記電線束26がその外径D1が縮径する方向に変形しても、前記Oリング30が、前記電線束26の外周面と密接して、この電線束26との間を液密に保つ。したがって、前記空間16内即ち前述した接続箇所の近傍に電界質液が侵入することをより一層防止でき、電解質液の抵抗率を測定する際に生じる不具合をより一層抑制できる。さらに、前述した本発明の電極1は、電解質液の導電率を測定する導電率計に用いることができるのは勿論である。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の本発明によれば、弾性体からなりかつ電線束と支持部との間を液密に保つOリングを備えているため、前記電極部材と電線とが互いに接続する接続箇所への電界質液の侵入を防止できる。したがって、前記接続箇所に電界質液が侵入することによって電解質液の抵抗率を測定する際に生じる不具合を抑制することができる。
【0089】
Oリングが太く形成されておりかつ、電線束と支持部との接触面積が広いので、電線束と支持部との間がより液密に保たれる。このため、前記Oリングが、電極部材と電線とが互いに接続する接続箇所に、電界質液が侵入することをより確実に防止する。したがって、前記接続箇所に電界質液が侵入することによって電解質液の抵抗率を測定する際に生じる不具合をより抑制することができる。
【0090】
Oリングの断面形の直径が3mm以上でかつ電線束の外径の50%以上の太い寸法に形成されているので、電線束と支持部との間がより一層液密に保たれる。このため、前記Oリングが、電極部材と電線とが互いに接続する接続箇所に、電界質液が侵入することをより一層確実に防止する。したがって、前記接続箇所に電界質液が侵入することによって電解質液の抵抗率を測定する際に生じる不具合をより一層抑制することができる。
【0091】
また、Oリングの断面形状の直径が3mm以上でかつ電線束の外径の50%以上の比較的太い寸法に形成されているので、電線が発熱してこの電線の被覆部が変形しても、前記電線束と支持部との間のシール性が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる抵抗率計の電極の全体構成を示す断面図である。
【図2】同実施形態の電極の温度検出部の構成を示す側面図である。
【図3】(A)は同実施形態の電極のOリングを示す平面図である。
(B)は図3(A)中のIIIB−IIIB線に沿う断面図である。
【図4】同実施形態の電極の要部を示す断面図である。
【図5】従来の抵抗率計の電極の全体構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 抵抗率計の電極
2 内電極(電極部材)
2f 基端部
3 外電極(電極部材)
3b 基端部
4 支持部
6 内電極リード線(電線)
7 外電極リード線(電線)
12c 丸孔(貫通孔)
26 電線束
30 Oリング
P 軸線
t 所定間隔
Claims (1)
- 少なくとも2個の電極部材が計測対象の電解質液の流路中に所定間隔をおいて配置され、電極部材間の電気抵抗より前記電解質液の抵抗率を測定する抵抗率計の電極において、
前記電極部材それぞれの基端部を支持するとともに、前記電極部材の基端部から先端部に向かう方向に沿った貫通孔を備えた支持部と、
前記電極部材それぞれに接続された電線が互いに束ねられて形成されかつ前記電極部材の基端部から前記貫通孔を通って外部に導かれる電線束と、
弾性体からなりかつ前記支持部と電線束との間を液密に保つOリングと、を備え、
前記Oリングは、軸線に関して対称な円環状でかつ前記軸線に沿った断面形が円形に形成されているとともに、内径が前記電線束の外径より小さく形成され、
前記Oリングは、円形に形成された断面形の直径が、3mm以上でかつ前記電線束の外径の50%以上に形成されたことを特徴とする抵抗率計の電極。
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