JP3786979B2 - マンホール管との継手構造およびその施工方法 - Google Patents

マンホール管との継手構造およびその施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はゴム製の可とう継手に関し、特にコンクリート製マンホール(以下、マンホールと省略する)と下水道管(以下、管と省略する)との接合部に使用して好適であるマンホール用止水可とう継手およびその施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、マンホールと管とを接続するために使用するマンホール用止水継手として、本出願人は実公平4−29190号公報において、図4(a)、(b)にその一例を示すように、図示しない管の端部に同軸的に挿通させる円筒部22と、円筒部22の一端部に2カ所軸方向に突出する突出部23と、つば状に円筒部22の半径方向に取り付けられた縁部24とからなるマンホール用止水継手21を開示している。
【0003】
上述した実公平4−29190号公報に開示されたマンホール用止水継手21は、図5に示すように、マンホール31の外壁31bに明けられた穴31a内に突出部23を挿入した状態で、縁部24とマンホール31の外壁31bとを接着剤32で固定するとともに、円筒部22と管33とを粘着剤層34と締結バンド35とで固定する。その後、突出部23と穴31aとの間にモルタル36等を設けることにより、管33をマンホール31に接続している。これにより、マンホール31と管33との接続部における良好な止水効果を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したマンホール用止水継手21の突出部23は中実のゴムであるため、マンホール31への施工中、管33がある程度屈曲しても突出部23はその変位に追従し止水効果に悪影響はないが、管33がある程度以上の屈曲角で屈曲した場合、図6に示すように、突出部23はその変位に追従しきれなくなり、つば状の縁部24の粘着剤が剥がれ、止水効果に悪影響を与える問題があった。特に、山間部等における施工では、管33の屈曲角が大きくなることが多く、従来のマンホール用止水継手21をそのまま使用できなかった。
【0005】
本発明の目的は上述した課題を解消して、管が大きく屈曲してもその変位に追従し良好な止水性を維持することができるマンホール用止水可とう継手およびその施工方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のマンホールと管との継手構造は、マンホールの外壁に明けられた穴に管を固定してなるマンホールと管と継手構造において、管の端部に同軸的に挿通させる円筒部と、円筒部の一端部に軸方向に突出する突出部と、つば状に円筒部の半径方向に取り付けられるとともに粘着剤を貼られた縁部とからなり、前記突出部が、前記円筒部と前記突出部との境部と、前記縁部から前記突出部に連なる箇所とにより形成された、管の変位を吸収する凹部と、中実の厚肉部とを有するマンホール用止水可とう継手を用いて、前記円筒部に粘着剤層を介して保持された前記管とともに、前記突出部をマンホールの外壁に明けられた穴に所定位置まで入れ、前記粘着剤を貼られた縁部を接着剤層を塗布したマンホールの外壁面に貼着し、前記円筒部の前記粘着剤層の部分を外側から締結バンドで締め付け圧着固定することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明のマンホールと管との継手構造の施工方法は、マンホールの外壁に明けられた穴に管を固定してなるマンホールと管との継手構造の施工方法において、管の端部に同軸的に挿通させる円筒部と、円筒部の一端部に軸方向に突出する突出部と、つば状に円筒部の半径方向に取り付けられるとともに粘着剤を貼られた縁部とからなり、前記突出部が、前記円筒部と前記突出部との境部と、前記縁部から前記突出部に連なる箇所とにより形成された、管の変位を吸収する凹部と、中実の厚肉部とを有するマンホール用止水可とう継手を用いて、前記円筒部に粘着剤層を介して保持された前記管とともに、前記突出部をマンホールの外壁に明けられた穴に所定位置まで入れ、前記粘着剤を貼られた縁部を接着剤層を塗布したマンホールの外壁面に貼着し、前記円筒部の前記粘着剤層の部分を外側から締結バンドで締め付け圧着固定することを特徴とするものである。
【0008】
【作用】
上述した構成において、突出部に設けた凹部が、施工後従来の止水継手では追従できない程度管が大きく屈曲してもその変位を吸収し、縁部がマンホール外壁から剥がれることはなく、良好な止水性能を維持することができる。また、凹部を有する突出部を円筒部の全周にわたって設けた場合、および円筒部に蛇腹部を設けるた場合は、マンホール用止水可とう継手の止水性能をさらに向上させることができ、好ましい態様となる。
【0009】
また、本発明の施工方法では、上述した構成のマンホール用止水可とう継手を使用し、管と円筒部との間およびマンホールと縁部との間を粘着材で固定して水密構造を構成しているため、モルタルを全く使用せず施工することができる。そのため、型枠組作業等の熟練を要する作業を必要とせず、またモルタルやコンクリートの硬化まで埋め戻しを待つ必要がなく、約20分程度の短時間で施工が可能となるとともに、施工後引き続き埋め戻し作業をすることが可能となる。さらに、その後突出部とマンホールとの間をモルタルで埋める際に、上記構成のマンホール用止水可とう継手が管の屈曲による変位を十分に吸収するため、そのままモルタルによる固定を行うことができる。
【0010】
【実施例】
図1(a)、(b)は本発明のマンホール用止水可とう継手の一例の構成を示す図である。図1(a)、(b)に示す例において、マンホール用止水可とう継手1は、図示しない管の端部を保持する円筒部2と、この円筒部2の一端部に軸方向に突出する突出部3と、つば状に円筒部2の半径方向に取り付けられた縁部4とから構成されている。本発明で重要なのは、突出部3の円筒部2と縁部4との境に、円筒部2側に向かって開口する凹部6を設けた点である。なお、本例では、突出部3を円筒部2の全周にわたって設けている。従って、本例では、円筒部2と縁部4とは直接接触せず、突出部3を介して接続されている。また、突出部3には、その上端および下端に2つの突起部3a、3bを設け、さらにこの突起部3a、3bには凹部6は存在していない。
【0011】
また、図1(a)、(b)において、5は縁部4の施工時にマンホールと面する面に設けた粘着材、7は円筒部3の端部内面に設けられた粘着剤層、8は円筒部3の端部外面に設けられた締結バンドである。これらの粘着材5、粘着剤層7、締結バンド8を使用して行われる本発明のマンホール用止水可とう継手の施工方法について、図2を参照して説明する。まず、円筒部2に粘着剤層7を介して保持された管10とともに、突出部3を、マンホール9の外壁に明けられた穴9aに所定位置まで挿入する。そして、縁部4の接着剤5とマンホール9の外壁に塗布した接着剤11とを貼着する。その後、管10の穴9a内の位置を調整し、円筒部2の粘着剤層7の部分を外側から締結バンド8で締め付け圧着固定することで、本発明のマンホール用止水可とう継手1の施工を終了する。なお、本例では、円筒部2に蛇腹部12を設けている。
【0012】
そのため、上述した施工時に図3に示すように管10が屈曲しても、管10の屈曲による変位を、突出部3の凹部6により吸収することができる。すなわち、屈曲した方向の凹部6が縮みその反対側の凹部6が伸びることで、屈曲による変位を吸収している。なお、上述した施工後は、必要に応じて、従来と同様に一旦土砂等を埋め戻した後例えば1月後、突出部3と穴9aとの間をモルタル等で固定することはいうまでもない。
【0013】
本発明のマンホール用止水可とう継手1の円筒部2、突出部3、縁部4を構成する材料は、可とう性があれば特に限定するものではないが、日光の当たらない土中で使用されることが多いため、耐バクテリア性を付与した天然ゴムの使用が好ましい。また、粘着材5、粘着剤層7、接着剤11の材質も特に限定するものでないが、粘着性および耐久性の良いブチルゴム系の使用が好ましい。
【0014】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明マンホール用止水可とう継手によれば、突出部に凹部を設けたことにより、施工後従来の止水継手では追従できない程度管が大きく屈曲してもその変位を凹部が吸収し、縁部がマンホール外壁から剥がれることはなく、良好な止水性能を維持することができる。また、凹部を有する突出部を円筒部の全周にわたって設けた場合、および円筒部に蛇腹部を設けるた場合は、マンホール用止水可とう継手の止水性能をさらに向上させることができるため好ましい。
【0015】
また、本発明の施工方法によれば、上述した構成のマンホール用止水可とう継手を使用し、管と円筒部との間およびマンホールと縁部との間を粘着材で固定して水密構造を構成しているため、モルタルを全く使用せず施工することができる。そのため、型枠組作業等の熟練を要する作業を必要とせず、またモルタルやコンクリートの硬化まで埋め戻しを待つ必要がなく、約20分程度の短時間で施工が可能となるとともに、施工後引き続き埋め戻し作業をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマンホール用止水可とう継手の一例の構成を示す図である。
【図2】本発明のマンホール用止水可とう継手の施工方法の一例を説明するための図である。
【図3】本発明のマンホール用止水可とう継手の施工方法の他の例を説明するための図である。
【図4】従来のマンホール用止水継手の一例の構成を示す図である。
【図5】従来のマンホール用止水継手の施工方法の一例を説明するための図である。
【図6】従来のマンホール用止水継手の問題を説明するための図である。
【符号の説明】
1 マンホール用止水可とう継手
2 円筒部
3 突出部
3a,3b 突起部
4 縁部
5 粘着材
6 凹部
7 接着剤層
8 締結バンド
9 マンホール
9a 穴
10 管
11 接着剤

Claims (4)

  1. マンホールの外壁に明けられた穴に管を固定してなるマンホールと管と継手構造において、管の端部に同軸的に挿通させる円筒部と、円筒部の一端部に軸方向に突出する突出部と、つば状に円筒部の半径方向に取り付けられるとともに粘着剤を貼られた縁部とからなり、前記突出部が、前記円筒部と前記突出部との境部と、前記縁部から前記突出部に連なる箇所とにより形成された、管の変位を吸収する凹部と、中実の厚肉部とを有するマンホール用止水可とう継手を用いて、前記円筒部に粘着剤層を介して保持された前記管とともに、前記突出部をマンホールの外壁に明けられた穴に所定位置まで入れ、前記粘着剤を貼られた縁部を接着剤層を塗布したマンホールの外壁面に貼着し、前記円筒部の前記粘着剤層の部分を外側から締結バンドで締め付け圧着固定することを特徴とするマンホールと管との継手構造。
  2. 前記凹部を有する突出部が、前記円筒部の全周にわたって設けられている請求項1記載のマンホールと管との継手構造。
  3. 前記円筒部が蛇腹部を有する請求項1または2記載のマンホールと管との継手構造。
  4. マンホールの外壁に明けられた穴に管を固定してなるマンホールと管との継手構造の施工方法において、管の端部に同軸的に挿通させる円筒部と、円筒部の一端部に軸方向に突出する突出部と、つば状に円筒部の半径方向に取り付けられるとともに粘着剤を貼られた縁部とからなり、前記突出部が、前記円筒部と前記突出部との境部と、前記縁部から前記突出部に連なる箇所とにより形成された、管の変位を吸収する凹部と、中実の厚肉部とを有するマンホール用止水可とう継手を用いて、前記円筒部に粘着剤層を介して保持された前記管とともに、前記突出部をマンホールの外壁に明けられた穴に所定位置まで入れ、前記粘着剤を貼られた縁部を接着剤層を塗布したマンホールの外壁面に貼着し、前記円筒部の前記粘着剤層の部分を外側から締結バンドで締め付け圧着固定することを特徴とするマンホールと管との継手構造の施工方法。
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