JP3786758B2 - 車両用給電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両に搭載されている種々の電装品、装置、機器へ給電を行う車両用給電装置に関するものであり、特に、少ない給電線で、障害に対して耐用性が強く、障害を迅速に排除可能で、障害が発生しても電装品への給電が継続できる車両用給電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、車両の電子化が急速に進行している。
車両、たとえば、各種の乗用車は、内燃機関、自動変速装置などの運行に必須の主要機器(以下、主機という)の燃費の向上、排気ガスの低減、円滑な走行、安全走行などの観点からマイクロコンピュータを始めとする電子回路、電子デバイスを用いた電子制御化が進められている。
また、フロントパネルの計器類を電子的な表示装置、たとえば、カラー液晶表示装置に代えて、車両の運行状態の認識を一層容易にするとともに、車両の種々の情報を種々の形態を提供することも試みられている。
さら、移動手段としての車両の乗り心地の一層の向上、利便性の向上を図るとともに単なる移動手段としてだけでなく車両を居住空間として利用する要望も高く、主機だけでなく、空調装置、GPSSを用いた位置評定・運行案内装置、シートの自動調節装置、パワーウインドー、ワイパ、ドアロック、種々のランプ、ラジオ、CD、TV装置、娯楽施設などの補助的な装置・機器(以下、補機)の搭載の増大と、それらの電子制御化が進んでいる。
【0003】
以上のように、車両に搭載する電装品、主機および補機が電子制御されるに伴って、電装品、主機および補機自体が電気的に駆動される部分が増大する他、主機および補機の電子制御のために各種の電子装置が車両に搭載されている。
したがって、主機に搭載された上記装置および機器のために、車両における給電および電子制御装置を動作させる信号伝送が重要になってきている。
【0004】
しかしながら、車両における給電および信号送信においては、給電線および信号線(ワイヤハーネス)がドアなどの回転部位を通過したり、移動部位などを通過したり、狭い部位に嵌め込んだり、ビスで止めたり、高温多湿部位などを通過することもあるから、通常の屋内配線より劣化、破断などに起因する断線または短絡の可能性が高い。
給電線または信号線の破断または短絡によって主機または補機が正常に動作しなくなると問題であるから、その対策が種々提案されている。
【0005】
特開昭60−193746号公報は、車両の電源と負荷との間のワイヤハーネスに電流センサとしゃ断器を設け、車両の停車中において、電源から電装品などの負荷に流れる単位電流を検出して異常状態を検出し、異常と判断したときはしゃ断器を駆動して、負荷を電源から切り離すことが開示されている。しかしながら、この方法は、停車中における異常状態のみを対象としており、車両の走行中には適用できないという不具合がある。停車中の異常検出は比較的容易であるが、負荷の状態は走行状態に応じて変化するから、この技術を走行中の車両に適用するには限界がある。かりにこの技術を走行中の車両に適用したとしても、負荷を電源から切り離せばいいとは限らない。
【0006】
従来の車両用給電装置の1例として、サブシステムに応じたフューズまたはヒュージブルリンクの電源(給電)ライン保護素子で保護された電源ラインを電装品に対して接続し、電源ラインに短絡などが発生した場合、サブシステムのみにその影響を限定し、その他のサブシステムには影響を及ぼさないようにする技術が提案されている。しかしながら、この方法では、電源ラインを数多く布線しなければならないという不具合がある。特に、車両内という限定された空間内に、数多くの電源ラインを布線することは実装の面で容易ではない。
【0007】
特開昭57−80239号公報は、電源ラインをループ状にし、電源ラインの少なくとも1箇所に電流センサを配設し、電流センサが異常状態を検出したとき、中央制御部にその検出状態を通報し、中央制御部が複数の電源制御器を順次、動作、不動作状態にしていき、異常発生位置を評定(特定)し、異常発生位置が特定されたとき、その部位を電源ループから切り離す技術を開示している。
【0008】
特開平5−64361号公報は、2系統の電源ラインを布線し、ダイオードを介して給電することにより、いずれかの電源ラインが断線または短絡しても障害のない電源ラインから給電する技術を開示している。
【0009】
特開平8−275408号公報は、電源と負荷との間に、2系統の給電線を並行して布設し、かつ、これら2本の給電線を切り換える2つのリレーを設けておき、一方の給電線に短絡などの不具合が発生した場合、他方のリレーが他方の給電線と負荷を接続する給電線バックアップ方式を開示している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭57−80239号公報に開示されている方法は、電源ラインの構成は複雑さを回避しているが、障害検出に時間がかかり、障害発生部位を切り離すのに時間がかかりすぎるという問題がある。
【0011】
特開平5−64361号公報に開示されている方法は、2系統の電源ラインを布線するのでワイヤハーネスが太くなる。限られた空間にワイヤハーネスを布線することは難しい。また大電流用ダイオードが必要になる。
【0012】
特開平8−275408号公報に開示されている方法は、1つのリレーで切り換える負荷グループごとに給電線を2系統布線するので、ワイヤハーネスが太くなり、空間が限られている車両内に太いワイヤハーネスの布線は困難である。特に、信頼性の向上を図って給電線を2系統設けるのであるから、2本の給電線の布線は位置的に離しておくことが望ましいが、空間的に制約の多い車両内にそのような設計思想を適用すると、実装上の種々の問題に遭遇する。
またこの方法は断線などの障害に対しては殆ど無効である。
【0013】
以上、主として、電源ライン(給電ライン)について言及してきたが、制御信号などの信号伝送ラインについても上記同様の問題に遭遇している。
以上のように、空間的に制約が多く実装上の現実的な問題も多い車両において、電装品、主機、補機、電子制御装置などの負荷および電子装置に高い信頼性で効果的に給電し、または、信号経路を確立し維持することが要望されている。
【0014】
本発明の目的は、給電線の本数が少なく、障害に対して耐用性が強く、信頼性が高い車両用給電装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、電源と、該電源から直接給電を受ける主電源分配装置と、1以上の従電源分配装置と、前記電源からの給電を行うため隣接する前記主電源分配装置、従電源分配装置の間の給電部を結ぶ給電線と、前記主電源分配装置および1以上の前記従電源分配装置相互の情報伝送を行う情報伝送信号線とを具備し、前記給電線を介して前記電源から前記従電源分配装置に接続された負荷に給電する車両用給電装置であって、
前記主電源分配装置は、制御手段と、該制御手段と協働して前記情報伝送信号線を介して前記従電源分配装置と情報伝送を行う信号伝送手段と、前記給電線を前記電源から前記従電源分配装置へ2以上の系統で給電させる給電経路と、該給電経路を活殺する2以上のしゃ断手段と、前記しゃ断手段の外部の給電系統の障害を検出する障害検出手段とを有し、
前記従電源分配装置は、制御手段と、該制御手段と協働して前記情報伝送信号線を介して他の電源分配装置と情報伝送を行う信号伝送手段と、自己の電源分配装置に接続されている前記給電線の障害を検出する障害検出手段と、自己の電源分配装置に接続されている給電線への給電をしゃ断する少なくとも1のしゃ断手段とを有し、
前記主電源分配装置および前記従電源分配装置内の前記制御手段は、自己の電源分配装置内の障害検出手段の検出結果と前記情報伝送信号線を介して受信した他の電源分配装置における障害検出結果を参照して、自己の電源分配装置のしゃ断手段を制御する
車両用給電装置が提供される。
【0016】
好適には、当該車両用給電装置の初期状態において、前記主電源分配装置の第一制御手段は、前記信号伝送手段および前記情報伝送信号線を介して前記従電源分配装置の第二制御手段に、前記主電源分配装置と1以上の従電源分配装置とが前記給電線を介してループ状に接続されるように、前記従電源分配装置内のしゃ断手段を駆動させる
車両用給電装置が提供される。
【0017】
また好適には、前記いずれかの障害検出手段が障害を検出したとき、障害を検出した従電源分配装置内の第二制御手段からの送信情報により前記主電源分配装置内の第一制御手段が障害位置を評定し、評定した障害位置の近傍の従電源分配装置の第二制御手段にしゃ断手段駆動信号を送出し、該しゃ断手段駆動信号を受信した第二制御手段が当該従電源分配装置内のしゃ断手段を前記給電線を電気的にしゃ断するように制御する。
【0018】
好適には、前記従電源分配装置は、その従電源分配装置に接続されている両側の給電線から前記第二制御手段および前記信号伝送手段に動作電源を提供する整流素子を有する。
【0019】
また好適には、前記電源から前記第一制御手段および前記信号伝送手段を駆動する制御電源を提供する2以上の制御電源ラインを有し、前記従電源分配装置内の前記第二制御手段および前記信号伝送手段は前記制御電源ラインから整流素子を介して駆動電源を受ける。
【0020】
さらに好適には、車両内に衝撃を検出するセンサを設け、前記主電源分配装置内の第一制御手段は、該センサの衝撃検出に応じて、前記主電源分配装置内のしゃ断手段を開成する。
【0021】
好適には、前記主電源分配装置内の障害検出手段および前記従電源分配装置内の障害検出手段は、接続されている給電線の短絡を検出する電流検出手段を含み、前記給電線の短絡時、前記第一制御手段と前記第二制御手段とが協働して前記しゃ断手段を駆動して短絡位置を排除し、前記しゃ断手段を制御して新たな給電経路を確立する
【0022】
好適には、前記主電源分配装置内の障害検出手段および前記従電源分配装置内の障害検出手段は接続されている給電線の断線を検出する電圧検出手段を含み、前記給電線の断線時、前記第一制御手段と前記第二制御手段とが協働して前記しゃ断手段を制御して断線位置を迂回した新たな給電経路を確立する
【0023】
また好適には、前記電源と前記主電源分配装置とが外部配線を用いずに一体に構成されている。
【0024】
特定的には、前記電源は二次電池である。
【0025】
好適には、前記主電源分配装置に前記2以上の制御電源ラインのそれぞれに、半導体スイッチング素子を設け、前記主電源分配装置の第一制御手段は、前記従電源分配装置の前記第二制御手段が認識する負荷の使用状況に応じて前記主電源分配装置内の給電ラインの前記しゃ断手段を消勢状態にする第1の状態と、該第1の状態が所定時間継続しているとき前記第二制御手段に印加する制御電源を活殺する半導体スイッチング素子を消勢状態にする第2の状態と、通常の動作状態である前記しゃ断手段および半導体スイッチング素子を付勢状態にする第3の状態とに当該車両用給電装置を制御する。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の車両用給電装置の実施例を添付図面を参照して述べる。
図1〜図4は本発明の車両用給電装置の第1実施例の構成図および動作説明図である。
図1に図解したように、本実施例の車両用給電装置は、1つの主電源分配装置1と3つの従電源分配装置3、4、5とがそれぞれ、太い線で示した給電線101〜104と、細い線で示した情報伝送信号線201〜204を用いて接続されている。
給電線101〜104と、主電源分配装置1〜従電源分配装置3〜5とを結んだものを給電ライン100と言う。同様に、情報伝送信号線201〜204と主電源分配装置1〜従電源分配装置3〜5とを結んだものを信号伝送ライン200と言う。以上のごとく、本実施例においては、実質的に1本の給電線、101〜104で給電ラインを構成している。同様に、実質的に1本の信号線201〜204で信号伝送ラインを構成している。
【0027】
なお、詳細な接続関係は後述するが、本実施例においては、主電源分配装置1における給電系統が2つあるから、正常状態または障害発生などの異常状態においても、従電源分配装置3、4、5内のいずれかのリレースイッチが開放状態にあり、給電ライン100も信号伝送ライン200も閉じられたループ構成をとらないことに留意されたい。このような構成をとると、後述する障害位置の評定が容易になる。
しかしながら、本発明の車両用給電装置としては、種々の構成をとることができる。そのような他の構成としては、たとえば、(1)主電源分配装置1のリレースイッチ回路12、従電源分配装置3、4、5、主電源分配装置1のリレースイッチ回路13に至るループ構成にしてもよいし、(2)主電源分配装置1のリレースイッチ回路12、従電源分配装置3と、主電源分配装置1のリレースイッチ回路13、従電源分配装置5、4に至る2つの給電系統を形成してもよい。
以下、本実施例は、図解のループ構成をとる場合について述べる
【0028】
主電源分配装置1および従電源分配装置3、4、5の配置例を述べる。
主電源分配装置1は、たとえば、車両のエンジンルームに配置され、従電源分配装置3はインパネの右側に配置され、従電源分配装置5はインパネの左側に配置され、中央の従電源分配装置4は主電源分配装置1から一番離れているリヤに配置されている。
したがって、給電線101および信号線201はエンジンルームの主電源分配装置1からインパネの右側にある従電源分配装置3まで布線(配索)され、給電線104および信号線204はエンジンルームの主電源分配装置1からインパネの左側の従電源分配装置5まで布線され、給電線102および信号線202はインパネの右側にある従電源分配装置3からリヤにある従電源分配装置4まで、給電線103および信号線203はインパネの左側にある従電源分配装置5からリヤにある従電源分配装置4まで布線されている。
給電線101および信号線201の両端にコネクタのプラグ91、92が接続されており、主電源分配装置1に取りつけられたレセプタクル19と従電源分配装置3に取りつけられたレセプタクル38とこれらのプラグを嵌め合わせるだけで、主電源分配装置1と従電源分配装置3との間の給電ラインと信号伝送ラインとが容易に確立される。以下同様に、従電源分配装置3と従電源分配装置4との間の給電ラインおよび信号伝送ラインの確立、従電源分配装置4と従電源分配装置5との間の給電ラインおよび信号伝送ラインの確立、および、従電源分配装置5と主電源分配装置1との間の給電ラインおよび信号伝送ラインの確立も、それぞれのプラグと対応するそれぞれのレセプタクルとを嵌合させるだけで容易に行える。
【0029】
主電源分配装置1の内部構成について述べる。
主電源分配装置1は、二次電池(バッテリィ)18と、マイクロコンピュータを内蔵した制御ユニット10と、信号伝送ユニット11と、図示省略した入出力(I/O)ユニットと、それぞれコイルLと接点Cとから成り並列に配置されているリレー式スイッチ回路(以下、リレースイッチ)12および13と、二次電池(バッテリィ)18から外部に流れる電流を監視する電流監視器14、15を有する。
図解の関係でI/Oユニットは図示省略したが、このI/Oユニットは従電源分配装置3におけるI/Oユニット37と同様、制御ユニット10に接続されており、制御ユニット10は実際はI/Oユニットを介してリレースイッチ12および13を駆動する。また、たとえば、図示省略したイグニッションキースイッチの読み込みなども、I/Oユニットを介して制御ユニット10で読み込む。しかしながら、図解の主電源分配装置1においては図解の関係で直接制御ユニット10からリレースイッチ12および13を駆動するように図解している。このことは、従電源分配装置3〜5においても同様である。
【0030】
バッテリィ18はオルタネータ6に接続されており、オルタネータ6からバッテリィ18に充電可能である。
電流監視器14および電流監視器15はそれぞれ、シャント抵抗付の電流検出器を用い、シャント抵抗の両端の電圧を差動増幅器で増幅し、増幅した電圧をオペレーションアンプを用いて比較回路で基準電圧値と比較する回路構成をとることができる。また、電流監視器14および電流監視器15をホール効果素子などの非接触式の電流検出器などを用いることもできる。
電流監視器14は主電源分配装置1と従電源分配装置3との間の給電線101に短絡などの障害があることを検出する。障害が発生した場合、制御ユニット10は電流監視器14の障害検出信号を読み込み、リレースイッチ12が消勢してバッテリィ18から外部への給電を停止する。
同様に、電流監視器15は主電源分配装置1と従電源分配装置5との間の給電線104に短絡などの障害があることを検出する。障害が発生した場合、制御ユニット10は電流監視器15の障害検出信号を読み込み、リレースイッチ12が消勢してバッテリィ18から外部への給電を停止する。
【0031】
制御ユニット10にはマイクロコンピュータが内蔵されており、信号伝送ユニット11と協働して下記に述べる信号伝送処理を行う他、リレースイッチ12およびリレースイッチ13を駆動制御して、給電ライン100および信号伝送ライン200のループ管理を行う。また制御ユニット10は電流監視器14、15の検出値を読み込んで給電ライン100の監視を行う。これらの詳細な制御動作については後述する。
なお、バッテリィ18を主電源分配装置1には含めず、オルタネータ6と同様、主電源分配装置1の外部に設置されていると考えることもできる。
【0032】
従電源分配装置3、4、5は基本的に主電源分配装置と同じ構成をしている。なお、中央に位置する従電源分配装置4の内部に電流監視器44を設けた例を示しているが、以下に述べるように、障害検出に際しては電流監視器44は必ずしも必要ない。しかしながら、以下の例においては、電流監視器44があるものとしておく。
【0033】
代表例として、従電源分配装置3の構成および動作を述べる。
従電源分配装置3は、制御ユニット30と、信号伝送ユニット31と、それぞれがコイルLと接点Cから成り直列に接続されているリレー式スイッチ回路(以下、リレースイッチ)32、33と、1つの電流監視器34と、2つの整流ダイオード35、36と、入出力ユニット(I/Oユニット)37を有する。
2つの整流ダイオード35、36はノードNAを挟んで逆向きに接続されている。
リレースイッチ32とリレースイッチ33の接点Cはそれぞれ、ノードNCを挟んで直列接続されており、このノードNCにスイッチング素子301を通して負荷Lが接続されている。負荷Lとしては、従電源分配装置3がインパネの右側に配置されているから、インパネの右側の近傍の、ヘッドライト、ドア駆動電装品などである。
リレースイッチ32とリレースイッチ33のコイルLはノードNBを挟んで直列に接続されている。
制御ユニット30にはマイクロコンピュータが内蔵されており、信号伝送ユニット31と協働して下記に述べる信号伝送処理を行う他、リレースイッチ32およびリレースイッチ33を駆動制御して、給電ライン100および信号伝送ライン200の管理を行う。制御ユニット30は電流監視器34の検出値を読み込んで給電ライン100の監視を行う。これらの詳細な制御動作については後述する。
【0034】
負荷Lはスイッチング素子301の開閉動作に応じて、従電源分配装置3のノードNCにおける主電源分配装置1からのバッテリィ18の電圧または電流が印加される。スイッチング素子301は、制御ユニット30がI/Oユニット37を介して行う。但し、図解の簡略のため、他の従電源分配装置4、5においてはI/Oユニットおよびスイッチング素子の駆動線を割愛した。
主電源分配装置1の説明でも述べたが、リレースイッチ32とリレースイッチ33はI/Oユニット37を介して制御ユニット30の指令に応じて付勢または消勢されるが、図解の関係で直接制御ユニット30から消勢/付勢されるように図解している。このことは他の従電源分配装置4、5においても同様である。
たとえば、イグニッションキースイッチ、パワーウインドー操作スイッチなどは、代表的に示してスイッチ311としてI/Oユニット37を介して制御ユニット30に入力される。尚、他の電源分配装置4、5においても、スイッチ入力は存在し得るが、図解の関係で省略している。
また、I/Oユニット、負荷Lを活殺するスイッチング素子、スイッチング入力は本発明の主題ではないので、図2以降の図面からは図解を省略した。
【0035】
電流監視器34は従電源分配装置3と4との間の給電線202を含むその下流に短絡などの障害があることを検出する。障害が発生した場合、リレースイッチ33が消勢してバッテリィ18からの給電を停止するともに障害を排除する。
なお、本発明における「下流」の意味は車両用給電装置のループ構成によって変化することに留意されたい。たとえば、従電源分配装置3が主電源分配装置1から直接給電されている場合は、給電線102は下流になるが、逆に、従電源分配装置3が従電源分配装置4側から給電されている場合は、給電線101が下流になる。すなわち、「下流」とは電流の流れる向きの下流を意味している。
【0036】
図1に図解した構成において、主電源分配装置1内の電流監視器14は主電源分配装置1と従電源分配装置3との間およびその下流の障害検出に用いられる。電流監視器15は主電源分配装置1と従電源分配装置5との間およびその下流の障害検出に用いられる。
同様に、従電源分配装置3内の電流監視器34は従電源分配装置3と従電源分配装置4との間およびその下流の障害検出に用いられる。
また、従電源分配装置5内の電流監視器54は従電源分配装置5と従電源分配装置4との間およびその下流の障害検出に用いられる。
したがって、上述したように、従電源分配装置4内の電流監視器44は無くてもよい。
以下、車両用給電装置の給電ライン100および信号伝送ライン200の経路確立状態を述べる。
【0037】
車両係止(非動作)状態
車両の停止(非動作)状態においては、主電源分配装置1内において、バッテリィ18から給電線19を介して給電されて制御ユニット10が動作可能である。しかしながら、この状態において、制御ユニット10は何もせず、制御ユニット10内のマイクロコンピュータ、メモリなどはスリープモードにあり、最小の電力消費状態にある。この停止状態においては、信号伝送ユニット11も動作せず、制御ユニット10はリレースイッチ12のコイルLおよびリレースイッチ13のコイルLを消勢したままであるから(図1の破線で示した状態)、リレースイッチ12の接点Cおよびリレースイッチ13の接点Cは図示のごとく開放(オープン)状態にあり、主電源分配装置1を介してバッテリィ18からの従電源分配装置3、4、5への給電は行われない。
このように、停止状態では、制御ユニット10は最小電力で待機しているだけであり、従電源分配装置3、4、5およびそこに接続されている負荷Lには給電されないから、バッテリィ18の消費電力は最小に維持される。
【0038】
なお、バッテリィ18と主電源分配装置1とは一体化することができる。たとえば、主電源分配装置1の内部にバッテリィ18を内蔵して、バッテリィ18からはバスなどを介して直接制御ユニット10に給電を行う。このうように、バッテリィ内蔵型主電源分配装置1に構成すると、バッテリィ18と主電源分配装置1との給電系統に障害が発生する可能性は著しく低減し、通常、バッテリィ18が配設されている車両のエンジンルームにおける給電線の引き回しが楽になるという実装上の利点がある。
【0039】
起動状態
車両の起動を示すイグニッションキースイッチが操作されと(図示せず)、イグニッションキースイッチから主電源分配装置1へ直接布線されている配線(図示せず)を介して制御ユニット10がその状態を検出して、リレースイッチ12およびリレースイッチ13のコイルLを付勢してそれらの接点Cを図示実線の位置にする。その結果、バッテリィ18、リレースイッチ12の接点C、電流監視器14の経路が確立されて、給電線101を介して従電源分配装置3への給電が行われる。同様に、バッテリィ18、リレースイッチ13の接点C、電流監視器15の経路が確立されて、給電線104を介して従電源分配装置5への給電が行われる。
なお、信号伝送ライン200には経路を切断する回路は設けられていないから、信号伝送ユニット11、信号線201、信号伝送ユニット31の信号伝送ライン200は断続されることなく、常時、確立されている。
【0040】
従電源分配装置3への給電によって、バッテリィ18の電圧が従電源分配装置3の整流ダイオード35を経由して制御ユニット30に印加されて制御ユニット30が動作可能となる。
同様に、従電源分配装置5への給電によって、バッテリィ18の電圧が従電源分配装置5の整流ダイオード55を経由して制御ユニット40に印加されて制御ユニット40が動作可能となる。
このとき、信号伝送ユニット11から信号伝送ユニット31に「イグニッションキーが操作された状態」信号が通報されるから、制御ユニット30はその信号を読み取り、その状態で駆動可能な負荷、たとえば、ラジオなどの負荷Lへの給電を可能な状態にする。すなわち、制御ユニット30はリレースイッチ32のコイルLを付勢してリレースイッチ32の接点Cを図示実線のように閉成する。その結果、ノードNCに電位が発生し、負荷Lへの給電が可能になる。
同様に、信号伝送ユニット11から信号伝送ユニット51にも「イグニッションキーが挿入された状態」信号が通報されるから、制御ユニット50はその信号を読み取り、その状態で駆動可能なラジオなどの負荷Lへの給電を可能な状態にする。すなわち、制御ユニット50はリレースイッチ52のコイルLを付勢して接点Cを図示実線のように閉成する。その結果、ノードNCに電位が発生し、負荷Lへの給電が可能になる。
以上のように、「イグニッションキーが挿入された状態」で動作すべき負荷Lへの給電を可能にして、バッテリィ18の電力消費を抑制している。
【0041】
正常状態
上述したように、イグニッションキースイッチが回転されて起動状態になると、主電源分配装置1の制御ユニット10がその状態を検出して、信号伝送ユニット11を介して、従電源分配装置3、5の信号伝送ユニット31、51にその状態信号を通報する。
以下、この起動状態と正常状態を図2を参照して述べる。図2の車両用給電装置は、接点Cの位置関係を除いて、図1に図解した車両用給電装置と構成などは同じである。
従電源分配装置3の制御ユニット30はリレースイッチ33のコイルLを付勢し、接点Cを図示破線の状態から図示実線のように閉成状態にする。その結果、リレースイッチ32の接点C、リレースイッチ33の接点Cおよび電流監視器34を含む経路が確立されて、従電源分配装置3を経由して従電源分配装置4にバッテリィ18から給電が行われる。また、信号伝送ユニット31から従電源分配装置4の信号伝送ユニット41に「起動状態」信号が伝送される。
同様に、従電源分配装置5の制御ユニット50はリレースイッチ53のコイルLを付勢し、接点Cを図示破線の状態から図示実線のように閉成状態にする。その結果、リレースイッチ52の接点C、リレースイッチ53の接点Cおよび電流監視器54を含む経路が確立されて、従電源分配装置5を経由して従電源分配装置4にバッテリィ18から給電が行われる。また、信号伝送ユニット51から従電源分配装置4の信号伝送ユニット41に「起動状態」信号が伝送される。
【0042】
従電源分配装置4において、電流監視器44、整流ダイオード46およびノードNA、および、整流ダイオード46およびノードNを介して、バッテリィ18から制御ユニット40に給電が行われ、制御ユニット40が動作し、信号伝送ユニット41に伝送された「起動状態」信号を読み取る。
この例では、信号伝送ユニット41には信号伝送ユニット31と信号伝送ユニット51の両側から「起動状態」信号が伝送され、同じ信号が衝突する恰好になる。同じ信号が衝突する従電源分配装置が終端の従電源分配装置でもある。図解の例のように3個の従電源分配装置3、4、5ではなく、さらに多数の従電源分配装置が配設された場合も、その内部の制御ユニットが同じ情報が衝突したとき、経路上で終端に位置していることを検出できる。
図2に図解した例においては、終端の従電源分配装置4の制御ユニット40は、リレースイッチ43、42のいずれか、この例では、リレースイッチ42のコイルLを付勢して、接点Cを図示破線の状態から実線の状態に閉成する。これにより、ノードNCから負荷Lへの給電が可能になる。
但し、リレースイッチ43は消勢したままであり、その接点Cは開放状態(開成状態)にある。その理由は、主電源分配装置1の電流監視器14から従電源分配装置3を通って右回りの給電経路と、主電源分配装置1の電流監視器15から従電源分配装置5を通って左回りの給電経路に分離しておくと、障害発生時にその障害位置を容易に評定できる。その意味では、上述したように、給電ライン100は開放部位を含み、完全なループ構成をしていない。
しかしながら、上述したように、本発明の車両用給電装置においては、種々の給電系統をとることができる。
【0043】
以上により、給電ライン100が確立されて、従電源分配装置3、4、5の内部の制御ユニット30、40、50への給電はもちろん、それぞれの装置から負荷Lへの給電が可能になる。
また、以上により、信号伝送ユニット11、31、41、51を含む信号伝送ライン200も実質的に確立されている。
【0044】
障害発生(短絡)と障害地点の評定
上述した正常状態から、図2に示した従電源分配装置4と5との間の地点Xで何らかの理由で短絡事故が発生したと仮定する。
短絡によって障害地点Xに大きな短絡電流が流れる。その結果、従電源分配装置5内の電流監視器54は過大電流を検出する。それに伴って、主電源分配装置1の内部の電流監視器14も過大電流を検出する。しかしながら、従電源分配装置3内の電流監視器34は正常電流値を示す。
従電源分配装置4において、ダイオード45からは正常な給電が行われなくなるが、ダイオード46の経路からは制御ユニット40および信号伝送ユニット41への給電は維持されている。
なお、過大電流が流れる従電源分配装置5内の制御ユニット50は過大電流によって破損しないように構成されている。同様に、従電源分配装置5の負荷Lへ過大電流が流れることを防止する手段、たとえば、過大電流制限素子が設けられている。
電流監視器54で検出した過大電流は制御ユニット50で読み取られ、信号伝送ユニット51を介して主電源分配装置1の信号伝送ユニット11、制御ユニット10に通報される。制御ユニット10はまた電流監視器14から過大電流検出値を読み取る。正常な検出値を示す電流監視器34の読みは制御ユニット30、信号伝送ユニット31、信号伝送ユニット11を経由して制御ユニット10に通報される。
以上の障害状況から制御ユニット10は、従電源分配装置5と従電源分配装置4との間に障害地点Xが存在することを推察する。
【0045】
障害位置排除
制御ユニット10は、信号伝送ユニット11を介して制御ユニット50にリレースイッチ53の消勢を指示する。また、制御ユニット10は信号伝送ユニット11を介して従電源分配装置40にリレースイッチ32を消勢して、リレースイッチ33を付勢する指示を行う。
制御ユニット50がリレースイッチ53を消勢する。制御ユニット40はリレースイッチ32を消勢して、リレースイッチ33を付勢する。
その結果を図3に示す。図解のように、障害地点Xは切り離され、従電源分配装置4の負荷Lは電流監視器44側のリレースイッチ43の接点Cを経由して給電が継続される。
以上のごとく本実施例によれば、障害地点Xの特定(評定)と障害地点Xの排除が迅速にかつ自動的に行われる。
【0046】
制御ユニット10は上記障害地点Xと上記制御ユニット10の構成を記憶しておく。これら記憶した情報を、たとえば、インパネの液晶表示部などに出力すると、障害地点に該当する給電線103の交換と復旧作業を迅速に行うことができる。
【0047】
復旧作業
通常、障害地点Xを含む給電線103の交換は車両の停止状態で行うから、正常な給電線103に交換した後、上述した「停止状態」、「初期状態」、「起動状態」における制御処理が反復される。その時点で障害地点Xが正常に復旧していれば、上述した正常な給電ライン100が再び確立される。
その時点でも、障害地点Xが排除されない場合は、図3の状態に制御処理される。
【0048】
従電源分配装置3と従電源分配装置4との間に障害地点Xが発生した場合も、上記同様に障害地点Xの検出、その排除が行われる。
【0049】
図4に図解したように、主電源分配装置1と従電源分配装置5の間の給電線104に障害地点Xが存在した場合は、他の電源分配装置の制御ユニットで障害を検出していないので、電流監視器15に過大電流が流れたことを主電源分配装置1の制御ユニット10が検出して障害地点Xの評定(推定)ができる。
この場合、制御ユニット10は図2に図解した経路状態から、図4に図解した状態に制御する。すなわち、リレースイッチ13を消勢し、従電源分配装置4の制御ユニット40に信号伝送ライン200を介してリレースイッチ43も付勢する指示を出し、制御ユニット50にリレースイッチ52も消勢する指示を出す。制御ユニット40がリレースイッチ43のコイルLを付勢して接点Cを閉成すると、リレースイッチ13の接点Cが開成して従電源分配装置5への給電経路は喪失するが、従電源分配装置3−4−5の経路で給電が可能となる。また、リレースイッチ43のコイルLの消勢に伴う接点Cの開成により障害地点Xが排除される。
【0050】
以上述べたように、本実施例においては、1箇所の障害ならば、どの部位に障害が発生しても、正確かつ迅速に障害地点を評定でき、そこを迅速に排除し、新たな給電ライン100を確立できる。したがって、本実施例の車両用給電装置は障害に伴う悪影響を最小に抑制し、障害発生後も継続して給電できるから、信頼性が高い。
しかも、本実施例は給電ライン100も信号伝送ライン200もそれぞれ実質的に1本であるから、狭い車両内を布線する際、場所もとらない。
【0051】
第1実施例の変形例:断線検出
主電源分配装置1および従電源分配装置3、4、5において電流監視器14、15、電流監視器34などを設けた場合を例示したが、これら電流監視器34は短絡などの検出には有効であるが、断線検出には適切ではない。断線検出には、電圧を監視する電圧監視器が好ましい。したがって、断線検出をも行う時は、電流監視器34などとともに電圧監視器を設けることが望ましい。
電圧監視器による断線検出後の障害地点の排除、新たな給電ラインの確立は上述した短絡障害と同様である。
短絡検出より断線検出を優先する場合は、電流監視器34に代えて電圧監視器を設ければよい。
なお、断線した場合、一時的に断線した近傍の、たとえば、従電源分配装置30への給電が停止し、一時的に制御ユニット30および信号伝送ユニット31の動作が停止することを回避するため、負荷Lに対する給電ライン100とは別に、制御ユニット30、信号伝送ユニット31などへの二次的な給電ラインを設けることもできる。この二次的な給電ラインには短絡検出のための電流監視手段を設けることが望ましい。そのような電流監視手段としては、電流監視機能付半導体スイッチなどが知られている。
【0052】
第2実施例
図5は本発明の第2実施例の車両用給電装置の構成図である。
図5に図解した車両用給電装置は、主電源分配装置1A、従電源分配装置3A、4A、5Aを有しており、図1〜図4を参照して述べた第1実施例の車両用給電装置と類似している。以下、図5の車両用給電装置と図1〜図4に図解した車両用給電装置との相違を述べる。なお、図解の簡略化のため、図5においては、レセプタクルとプラグは省略しているが、これらの図1〜図4と同様である。
図5においては、給電ライン100の他に、給電線110と給電線120とが付加されている。
主電源分配装置1Aは、図1〜図4に示した主電源分配装置1に対してバッテリィ18から給電線17が付加されており、この給電線19の電流を監視する電流監視器16A、16Bが付加されている。電流監視器16A、16Bは、電流監視器14、15と同様、シャント抵抗付電流計または電流監視機能付半導体素子である。
従電源分配装置3A、4A、5Aは、従電源分配装置4Aに電流監視器が設けられていない点を除けば、同じ構成をしている。たとえば、従電源分配装置3Aと図1〜図4に図解した従電源分配装置3と比較すると、ノードNAにおいて対向し逆極性に接続されている整流ダイオード35A、36Aの他端が、給電線110と給電線120に直接接続されている点が相違する。
【0053】
以上の構成上の相違から明らかなように、図5に図解した車両用給電装置は、従電源分配装置3Aにおける制御ユニット30および信号伝送ユニット31、従電源分配装置4Aにおける制御ユニット40および信号伝送ユニット41、従電源分配装置5Aにおける制御ユニット50および信号伝送ユニット51が、リレースイッチ12、13、リレースイッチ32、33などのスイッチング素子を介さずに、常に、バッテリィ18から給電される構成になっていることである。すなわち、負荷Lへの給電ラインとは独立に、制御ユニット30、信号伝送ユニット31などの電子装置への給電が行われるから、給電ライン100の障害の影響を受けない。
しかも、たとえば、従電源分配装置3Aにおける整流ダイオード35A、36Aが異なる給電線110と120とに接続されているから、たとえば、一方の給電線110に断線などの障害が発生しても、他方の給電線120から給電が行われる。その意味において、制御ユニット30、信号伝送ユニット31などへの給電系統の信頼性を高くしている。
図1〜図4を参照して述べた、車両の停止時の制御動作、初期状態の制御動作、起動状態の制御動作、正常状態の制御動作、短絡障害地点評定方法、障害地点の排除方法、復帰方法などは、第1実施例とほぼ同様である。しかしながら、図5に図解した第2実施例においては、常に、制御ユニット30、信号伝送ユニット31などに給電がされているので、障害からの復帰時間が短縮できるという利点がある。
【0054】
第2実施例の変形例:断線検出
図5に図解した車両用給電装置は、図1〜図4に図解した車両用給電装置と同様、短絡障害に対する回路構成になっている。
図5に図解した車両用給電装置についても、第1実施例の変形例として下手ように、断線検出のためには、電圧を監視する電圧監視器を設けることが望ましい。
【0055】
第3実施例
図6は本発明の第3実施例の車両用給電装置の構成図である。
図6に図解した車両用給電装置は、図5に図解した車両用給電装置における従電源分配装置3Aを、リレースイッチ32、リレースイッチ33などの経路しゃ断手段を持たない単なる負荷接続回路7に変更した回路である。
負荷接続回路7には、過大電流感応素子として、フューズ71〜73が設けられており、これらのフューズ71〜73の先に負荷Lが接続されている。すなわち、負荷接続回路7において、フューズ71〜73に3つに分岐されており、負荷接続回路7の内部で電源分配をしていることになる。
これらの負荷Lは、給電線101に接続されているから、主電源分配装置1Aにおけるリレースイッチ12が付勢されたとき、これらの負荷Lに給電が行われる。負荷L側で過大電流が流れるとフューズ71などが溶断して過大電流がそれ以上負荷Lに流れることを防止する。
その他は図5に図解した車両用給電装置と同様である。
【0056】
第4実施例
図7は本発明の第4実施例の車両用給電装置の構成図である。
図7に図解した車両用給電装置は、図5に図解した車両用給電装置に従電源分配装置8を付加した回路である。
従電源分配装置8は、制御ユニット80、信号伝送ユニット81、リレースイッチ82、逆極性に接続されている整流ダイオード85、86を有する。
整流ダイオード85は給電線120に接続され、整流ダイオード86は給電線110に接続されている。整流ダイオード85、86の接続ノードNAが制御ユニット80に接続されているから、制御ユニット80および信号伝送ユニット81には、リレースイッチ12、13のスイッチング素子の動作の影響がない、バッテリィ18からの給電が直接行われる。
リレースイッチ82のコイルLの一方の端子は、制御ユニット80と同様の給電が行われる。
リレースイッチ82の接点Cは、一方が給電線101に接続され、他方が給電線104に接続されており、接点Cの共通接点には負荷Lで接続されている。すなわち、制御ユニット80によって付勢されたり、消勢されるリレースイッチ82の接点Cの状態によって、リレースイッチ82の出力端子に接続されている負荷Lは、給電線101から給電されたり、給電線104から給電される。換言すれば、負荷Lの給電ラインがリレースイッチ82の動作に応じて選択的に切り替わる。
その他は図5に図解した車両用給電装置と同様である。
【0057】
第5実施例
図1〜図6に図解した車両用給電装置は車両に搭載される例を示している。
車両は事故、たとえば、衝突事故、追突事故の起こりうる。そのような場合に短絡事故などが発生し、さらに制御ユニット10、制御ユニット30などが動作不能になり、上述した実施例の正当な動作の遂行が困難になる場合も予想される。その様な場合、短絡を起こしている障害地点Xの検出だけでなく、障害地点Xの排除も困難になる可能性がある。そのような事態にバッテリィ18からの給電だけが継続されると種々の二次的な問題が発生する可能性がある。
このような事態に対応するために、本発明の第5実施例として、主電源分配装置1、1Aに衝突、追突などにおける衝撃を検出する加速度センサを付加し、加速度センサが衝撃を感知したら、主電源分配装置1(1A)においてバッテリィ18からの給電を全てしゃ断して短絡などがあってもそれによって二次的な問題が発生しないようにする衝撃断路手段を付加することもできる。
なお、車両の衝突、追突などにおける衝撃を検出する加速度センサは、主電源分配装置1、1Aの外部に設けて、配線によって加速度センサの検出信号を主電源分配装置1、1Aに導いてもよい。
【0058】
本発明の実施に際しては、上述した実施例に限定されず種々の変形態様をとることができる。
たとえば、上述した実施例においては、バッテリィ18を主電源分配装置1に含めて、バッテリィ18を一体構成にした例を示した。このようにバッテリィ18を主電源分配装置1に含めると、バッテリィ18と主電源分配装置1との間の筐体なとで保護されていない布線が短縮できる、または、そのような布線がなくなるという利点がある。
【0059】
以上、主として、車両に搭載される電装品、主機、補機などへの信頼性の高い給電を述べたが、上述した車両用給電装置は車両に適用が限定されるものではなく、信頼性の高い電源系統を必要とする種々の用途に適用できる。
【0060】
また、上述した実施例はバッテリィ18からDC電流、電圧が供給される場合について述べたが、本発明の実施に際しては、バッテリィ18からのDC電流、電圧の給電に限らず、ACの給電にも適用できる。ただし、電流監視器14などの検出回路はAC向けのものに変更し、リレースイッチ12、13などのスイッチング素子をリレーから、トライアックなどの交流用スイッチング素子に変更する。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、給電線の本数は1本でも給電できる給電線の本数を最小限にすることができる。
【0062】
また本発明によれば、短絡、断線などの障害に対して信頼性が高い車両用給電装置が実現できた。
【0063】
さらに本発明によれば、種々の態様で負荷に給電できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の給電装置の第1実施例としての車両用給電装置の構成図であり、特に、車両の停止状態の形態図である。
【図2】図2は本発明の給電装置の第1実施例としての車両用給電装置の構成図であり、特に、車両の正常状態から短絡事故発生のときの形態図である。
【図3】図3は本発明の給電装置の第1実施例としての車両用給電装置の構成図であり、特に、障害地点X排除処理を示す形態図である。
【図4】図4は本発明の給電装置の第1実施例としての車両用給電装置の構成図であり、特に、障害復帰処理の形態図である。
【図5】図5は本発明の給電装置の第2実施例としての車両用給電装置の構成図である。
【図6】図6は本発明の給電装置の第3実施例としての車両用給電装置の構成図である。
【図7】図7は本発明の給電装置の第4実施例としての車両用給電装置の構成図である。
【符号の説明】
1・・主電源分配装置
10・・制御ユニット
11・・信号伝送ユニット
12、13・・リレースイッチ
14、15、電流監視器
18・・バッテリィ
3、4、5・・従電源分配装置
30・・制御ユニット
31・・信号伝送ユニット
32、33・・リレースイッチ
34・・電流監視器
35、36・・整流ダイオード
37・・入出力ユニット
100・・給電ライン
200・・信号伝送ライン
Claims (14)
- 電源と、
該電源から直接給電を受ける主電源分配装置と、
1以上の従電源分配装置と、
前記電源からの給電を行うため隣接する前記主電源分配装置、従電源分配装置の間の給電部を結ぶ給電線と、
前記主電源分配装置および1以上の前記従電源分配装置相互の情報伝送を行う情報伝送信号線と
を具備し、
前記給電線を介して前記電源から前記従電源分配装置に接続された負荷に給電する車両用給電装置であって、
前記主電源分配装置は、
第一制御手段と、
該第一制御手段と協働して前記情報伝送信号線を介して前記従電源分配装置と情報伝送を行う信号伝送手段と、
前記給電線を前記電源から前記従電源分配装置へ2以上の系統で給電させる給電経路と、
該給電経路を活殺する2以上のしゃ断手段と、
前記しゃ断手段の外部の給電系統の障害を検出する障害検出手段と
を有し、
前記従電源分配装置は、
第二制御手段と、
該第二制御手段と協働して前記情報伝送信号線を介して他の電源分配装置と情報伝送を行う信号伝送手段と、
自己の電源分配装置に接続されている前記給電線の障害を検出する障害検出手段と、
自己の電源分配装置に接続されている給電線への給電をしゃ断する少なくとも1のしゃ断手段と
を有し、
前記主電源分配装置および前記従電源分配装置内の前記第一及び第二の制御手段のそれぞれは、自己の電源分配装置内の障害検出手段の検出結果と前記情報伝送信号線を介して受信した他の電源分配装置における障害検出結果を参照して、自己の電源分配装置のしゃ断手段を制御する
車両用給電装置であって、
当該車両用給電装置の初期状態において、前記主電源分配装置の第一制御手段は、前記信号伝送手段および前記情報伝送信号線を介して前記従電源分配装置の第二制御手段に、前記主電源分配装置と1以上の従電源分配装置とが前記給電線を介してループ状に接続されるように、前記従電源分配装置内のしゃ断手段を駆動させる
車両用給電装置。 - 前記いずれかの障害検出手段が障害を検出したとき、
障害を検出した従電源分配装置内の第二制御手段からの送信情報により前記主電源分配装置内の第一制御手段が障害位置を評定し、
評定した障害位置の近傍の従電源分配装置の第二制御手段にしゃ断手段駆動信号を送出し、該しゃ断手段駆動信号を受信した第二制御手段が当該従電源分配装置内のしゃ断手段を前記給電線を電気的にしゃ断するように制御する
請求項1記載の車両用給電装置。 - 前記従電源分配装置は、その従電源分配装置に接続されている両側の給電線から前記第二制御手段および前記信号伝送手段に動作電源を提供する整流素子を有する
請求項1又は請求項2いずれか記載の車両用給電装置。 - 前記電源から前記第二制御手段および前記信号伝送手段を駆動する制御電源を提供する2以上の制御電源ラインを有し、
前記従電源分配装置内の前記第二制御手段および前記信号伝送手段は前記制御電源ラインから整流素子を介して駆動電源を受ける
請求項1又は請求項2いずれか記載の車両用給電装置。 - 車両内に衝撃を検出するセンサを設け、
前記主電源分配装置内の第一制御手段は、該センサの衝撃検出に応じて、前記主電源分配装置内のしゃ断手段を開成する
請求項1〜4いずれか記載の車両用給電装置。 - 前記主電源分配装置内の障害検出手段および前記従電源分配装置内の障害検出手段は、接続されている給電線の短絡を検出する電流検出手段を含み、
前記給電線の短絡時、前記第一制御手段と前記第二制御手段とが協働して前記しゃ断手段を駆動して短絡位置を排除し、前記しゃ断手段を制御して新たな給電経路を確立する
請求項1〜5いずれか記載の車両用給電装置。 - 前記主電源分配装置内の障害検出手段および前記従電源分配装置内の障害検出手段は接続されている給電線の断線を検出する電圧検出手段を含み、
前記給電線の断線時、前記第一制御手段と前記第二制御手段とが協働して前記しゃ断手段を制御して断線位置を迂回した新たな給電経路を確立する
請求項1〜6いずれか記載の車両用給電装置。 - 前記電源と前記主電源分配装置とが外部配線を用いずに一体に構成されている
請求項1〜7いずれか記載の車両用給電装置。 - 前記電源は二次電池である、請求項8記載の車両用給電装置。
- 前記主電源分配装置に前記2以上の制御電源ラインのそれぞれに、半導体スイッチング素子を設け、
前記主電源分配装置の第一制御手段は、前記従電源分配装置の前記第二制御手段が認識する負荷の使用状況に応じて前記主電源分配装置内の給電線の前記しゃ断手段を消勢状態にする第1の状態と、該第1の状態が所定時間継続しているとき前記第二制御手段に印加する制御電源を活殺する半導体スイッチング素子を消勢状態にする第2の状態と、通常の動作状態である前記しゃ断手段および半導体スイッチング素子を付勢状態にする第3の状態とに当該車両用給電装置を制御する
請求項4記載の車両用給電装置。 - 電源と、
該電源から直接給電を受ける主電源分配装置と、
1以上の従電源分配装置と、
前記電源からの給電を行うため隣接する前記主電源分配装置、従電源分配装置の間の給電部を結ぶ給電線と、
前記主電源分配装置および1以上の前記従電源分配装置相互の情報伝送を行う情報伝送信号線と
を具備し、
前記給電線を介して前記電源から前記従電源分配装置に接続された負荷に給電する車両用給電装置であって、
前記主電源分配装置は、
第一制御手段と、
該第一制御手段と協働して前記情報伝送信号線を介して前記従電源分配装置と情報伝送を行う信号伝送手段と、
前記給電線を前記電源から前記従電源分配装置へ2以上の系統で給電させる給電経路と、
該給電経路を活殺する2以上のしゃ断手段と、
前記しゃ断手段の外部の給電系統の障害を検出する障害検出手段と
を有し、
前記従電源分配装置は、
第二制御手段と、
該第二制御手段と協働して前記情報伝送信号線を介して他の電源分配装置と情報伝送を行う信号伝送手段と、
自己の電源分配装置に接続されている前記給電線の障害を検出する障害検出手段と、
自己の電源分配装置に接続されている給電線への給電をしゃ断する少なくとも1のしゃ断手段と
を有し、
前記主電源分配装置および前記従電源分配装置内の前記第一及び第二の制御手段のそれぞれは、自己の電源分配装置内の障害検出手段の検出結果と前記情報伝送信号線を介して受信した他の電源分配装置における障害検出結果を参照して、自己の電源分配装置のしゃ断手段を制御する
車両用給電装置であって、
前記従電源分配装置は、その従電源分配装置に接続されている両側の給電線から前記第二制御手段および前記信号伝送手段に動作電源を提供する整流素子を有する
車両用給電装置。 - 電源と、
該電源から直接給電を受ける主電源分配装置と、
1以上の従電源分配装置と、
前記電源からの給電を行うため隣接する前記主電源分配装置、従電源分配装置の間の給電部を結ぶ給電線と、
前記主電源分配装置および1以上の前記従電源分配装置相互の情報伝送を行う情報伝送信号線と
を具備し、
前記給電線を介して前記電源から前記従電源分配装置に接続された負荷に給電する車両用給電装置であって、
前記主電源分配装置は、
第一制御手段と、
該第一制御手段と協働して前記情報伝送信号線を介して前記従電源分配装置と情報伝送を行う信号伝送手段と、
前記給電線を前記電源から前記従電源分配装置へ2以上の系統で給電させる給電経路と、
該給電経路を活殺する2以上のしゃ断手段と、
前記しゃ断手段の外部の給電系統の障害を検出する障害検出手段と
を有し、
前記従電源分配装置は、
第二制御手段と、
該第二制御手段と協働して前記情報伝送信号線を介して他の電源分配装置と情報伝送を行う信号伝送手段と、
自己の電源分配装置に接続されている前記給電線の障害を検出する障害検出手段と、
自己の電源分配装置に接続されている給電線への給電をしゃ断する少なくとも1のしゃ断手段と
を有し、
前記主電源分配装置および前記従電源分配装置内の前記第一及び第二の制御手段のそれぞれは、自己の電源分配装置内の障害検出手段の検出結果と前記情報伝送信号線を介して受信した他の電源分配装置における障害検出結果を参照して、自己の電源分配装置のしゃ断手段を制御する
車両用給電装置であって、
前記電源から前記第一制御手段および前記信号伝送手段を駆動する制御電源を提供する2以上の制御電源ラインを有し、
前記従電源分配装置内の前記第二制御手段および前記信号伝送手段は前記制御電源ラインから整流素子を介して駆動電源を受ける
車両用給電装置。 - 電源と、
該電源から直接給電を受ける主電源分配装置と、
1以上の従電源分配装置と、
前記電源からの給電を行うため隣接する前記主電源分配装置、従電源分配装置の間の給電部を結ぶ給電線と、
前記主電源分配装置および1以上の前記従電源分配装置相互の情報伝送を行う情報伝送信号線と
を具備し、
前記給電線を介して前記電源から前記従電源分配装置に接続された負荷に給電する車両用給電装置であって、
前記主電源分配装置は、
第一制御手段と、
該第一制御手段と協働して前記情報伝送信号線を介して前記従電源分配装置と情報伝送を行う信号伝送手段と、
前記給電線を前記電源から前記従電源分配装置へ2以上の系統で給電させる給電経路と、
該給電経路を活殺する2以上のしゃ断手段と、
前記しゃ断手段の外部の給電系統の障害を検出する障害検出手段と
を有し、
前記従電源分配装置は、
第二制御手段と、
該第二制御手段と協働して前記情報伝送信号線を介して他の電源分配装置と情報伝送を行う信号伝送手段と、
自己の電源分配装置に接続されている前記給電線の障害を検出する障害検出手段と、
自己の電源分配装置に接続されている給電線への給電をしゃ断する少なくとも1のしゃ断手段と
を有し、
前記主電源分配装置および前記従電源分配装置内の前記第一及び第二の制御手段のそれぞれは、自己の電源分配装置内の障害検出手段の検出結果と前記情報伝送信号線を介して受信した他の電源分配装置における障害検出結果を参照して、自己の電源分配装置のしゃ断手段を制御する
車両用給電装置であって、
車両内に衝撃を検出するセンサを設け、
前記主電源分配装置内の第一制御手段は、該センサの衝撃検出に応じて、前記主電源分配装置内のしゃ断手段を開成する
車両用給電装置。 - 電源と、
該電源から直接給電を受ける主電源分配装置と、
1以上の従電源分配装置と、
前記電源からの給電を行うため隣接する前記主電源分配装置、従電源分配装置の間の給電部を結ぶ給電線と、
前記主電源分配装置および1以上の前記従電源分配装置相互の情報伝送を行う情報伝送信号線と
を具備し、
前記給電線を介して前記電源から前記従電源分配装置に接続された負荷に給電する車両用給電装置であって、
前記主電源分配装置は、
第一制御手段と、
該第一制御手段と協働して前記情報伝送信号線を介して前記従電源分配装置と情報伝送を行う信号伝送手段と、
前記給電線を前記電源から前記従電源分配装置へ2以上の系統で給電させる給電経路と、
該給電経路を活殺する2以上のしゃ断手段と、
前記しゃ断手段の外部の給電系統の障害を検出する障害検出手段と
を有し、
前記従電源分配装置は、
第二制御手段と、
該第二制御手段と協働して前記情報伝送信号線を介して他の電源分配装置と情報伝送を行う信号伝送手段と、
自己の電源分配装置に接続されている前記給電線の障害を検出する障害検出手段と、
自己の電源分配装置に接続されている給電線への給電をしゃ断する少なくとも1のしゃ断手段と
を有し、
前記主電源分配装置および前記従電源分配装置内の前記第一及び第二の制御手段のそれぞれは、自己の電源分配装置内の障害検出手段の検出結果と前記情報伝送信号線を介して受信した他の電源分配装置における障害検出結果を参照して、自己の電源分配装置のしゃ断手段を制御する
車両用給電装置であって、
前記電源と前記主電源分配装置とが外部配線を用いずに一体に構成されている
車両用給電装置。
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